JP6711072B2 - 導電性支持体の製造方法 - Google Patents

導電性支持体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6711072B2
JP6711072B2 JP2016064459A JP2016064459A JP6711072B2 JP 6711072 B2 JP6711072 B2 JP 6711072B2 JP 2016064459 A JP2016064459 A JP 2016064459A JP 2016064459 A JP2016064459 A JP 2016064459A JP 6711072 B2 JP6711072 B2 JP 6711072B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cylindrical
cylindrical pipe
pipe material
peripheral surface
closed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2016064459A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017177120A (ja
Inventor
章彦 中村
章彦 中村
寛晃 小川
寛晃 小川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd, Fujifilm Business Innovation Corp filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2016064459A priority Critical patent/JP6711072B2/ja
Publication of JP2017177120A publication Critical patent/JP2017177120A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6711072B2 publication Critical patent/JP6711072B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Electrophotography Configuration And Component (AREA)

Description

本発明は、導電性支持体の製造方法に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置には、トナー像が形成される像保持体として、電子写真感光体が用いられており、この電子写真感光体としては、アルミニウム等の導電性基体上に感光層を形成した感光体が知られている。
なお、こうした電子写真感光体等に用いられる導電性基体を製造するにあたり、形状精度の観点で、絞り加工が施されることがある。この絞り加工の方法として、様々な技術が開示されている。
例えば、特許文献1には、缶素材に絞り・しごき加工が行われポンチに冠着された缶胴体がストリッパ本体に形成されている経路孔を通過するとき、カムリングが揺動してカムフォロワ部がカムリングのカム部と協働することで、フィンガは回転軸の回りに個別に回転し、各フィンガの爪部が経路孔の外側に後退して、缶胴体と干渉せず、ポンチが戻り工程にあるときには、各フィンガは、弾性部材で個別に付勢されて回転軸回りに回転し、爪部が缶胴体に係合して、缶胴体をポンチから抜き取る絞り・しごき加工される缶胴体用ストリッパ装置が開示されている。
また、特許文献2には、パンチに張り付いた缶材の開口端部に接触して該缶材を該パンチから脱着する複数のフィンガー部と、該各フィンガー部を開動作または閉動作する駆動部とを備えて成る絞り・しごき缶成形装置用のストリッパー装置であって、前記フィンガー部は複数の小フィンガーから成り、且つ該各小フィンガーは前記パンチの軸方向に対し弾性的に移動可能に構成され、前記駆動部は前記各フィンガー部に対応した揺動支点を有する複数の揺動アームと、該各揺動アームに係合するカム部を有する回転可能なカムリングとから成る絞り・しごき缶成形装置用のストリッパー装置が開示されている。
また、特許文献3には、センターパンチが成形孔に向かって前進する途中で、アウターパンチの上端部がパンチホルダに押されて、アウターパンチの下端部の成形部がストリッパの下端面よりダイ側に突出した状態になり、センターパンチが成形孔に突入して成形された一端有底筒形のワークにおける開口端に、成形部によって拡開部が成形され、センターパンチが成形孔から後退するときには、パンチホルダがストリッパの上端面から離間するように移動して、拡開部の先端をストリッパの下端面に接触させた状態でワークからセンターパンチが抜かれると共に、コイルスプリングの弾発力によって拡開部からアウターパンチの成形部が抜かれる成形装置が開示されている。
特開2003−103312号公報 特許第5286510号公報 特許第5448103号公報
本発明は、円柱雄型を内部に配置した状態で円筒管材に絞り加工を施した後、円筒管材の内周面全面と接触する円柱雄型を円筒管材から引き抜く際、円筒管材に対して円柱雄型を引き抜く方向とは逆側の方向に負荷を掛ける方法として、円筒管材の開口部側の端部に押し当て部材を押し当てる方法のみを採用する場合に比べ、変形の発生が抑制された導電性支持体が得られる導電性支持体の製造方法が提供される。
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。

電性を有し、軸方向の一方の端面は開口した開口部であり、他方の端面は閉口した閉口部である円筒管材を準備する円筒管材準備工程と、
円柱状でありかつ前記円筒管材の内径よりも外径が小さい円柱雄型を、前記円筒管材の前記開口部側から挿入して前記閉口部の内面に接触させ、前記円筒管材及び前記円柱雄型を同軸状に配置する雄型配置工程と、
径が前記円筒管材の外径よりも小さくかつ前記円柱雄型の外径よりも大きい円形孔を有する有孔雌型の前記円形孔に、前記円柱雄型が配置された前記円筒管材を前記閉口部側から挿入し貫通させて絞り加工を施し、前記円筒管材の内周面全面が前記円柱雄型の外周面に接触するよう前記円筒管材の径を縮小する絞り工程と、
引っ掛り部を引っ掛けて一方向に負荷を付与し得る引っ掛け部材を、前記絞り工程後の前記円筒管材の前記閉口部側の端部に引っ掛け、前記円筒管材に対し軸方向の閉口部側方向に負荷を付与した状態で、前記円柱雄型を前記開口部側から引き抜く引き抜き工程と、
を経て導電性かつ円筒状の支持体を製造する導電性支持体の製造方法。

記絞り工程は、前記絞り加工前に前記円筒管材の外周面と前記閉口部との境界であった角部を、前記絞り加工によって前記外周面側に絞り込むことで、前記絞り加工後の前記円筒管材の外周面に溝を形成する工程であり、
前記引き抜き工程における前記円筒管材に対する前記軸方向の閉口部側方向への負荷の付与は、前記溝に前記引っ掛け部材を引っ掛けて前記軸方向の閉口部側方向に負荷を掛けることで行われる、に記載の導電性支持体の製造方法。

記溝の平均深さが0.1mm以上であるに記載の導電性支持体の製造方法。

記絞り工程において、前記絞り加工前の前記円筒管材における前記外周面の平均厚みが0.2mm以上0.9mm以下である又はに記載の導電性支持体の製造方法。

記絞り工程において、前記絞り加工前の前記円筒管材における前記閉口部の平均厚みが0.5mm以上3.0mm以下であるのいずれか1項に記載の導電性支持体の製造方法。

記絞り工程において、前記絞り加工前の前記円筒管材における前記閉口部の平均厚みが前記外周面の平均厚み以上であるのいずれか1項に記載の導電性支持体の製造方法。

記絞り工程において、前記絞り加工前の前記円筒管材の外径をD1とし、前記絞り加工後の前記円筒管材の外径をD2としたとき、前記絞り加工による縮径率(D2/D1)が0.7以上0.9以下であるのいずれか1項に記載の導電性支持体の製造方法。

記雄型配置工程に供される前記円柱雄型は、前記円筒管材の前記閉口部の内面に接触する側の端面に空洞を有し、
前記引き抜き工程に供される前記円筒管材は、前記円柱雄型が前記端面に有する前記空洞に対応する位置に前記空洞よりも開口面積の小さい貫通穴を有し、
かつ前記引き抜き工程における前記円筒管材に対する前記軸方向の閉口部側方向への負荷の付与は、前記貫通穴から前記空洞内の空間に挿入した前記引っ掛け部材を前記円筒管材の前記閉口部の内面に引っ掛けて、前記軸方向の閉口部側方向に引っ張ることで行われる、に記載の導電性支持体の製造方法。
、又はに係る発明によれば、円柱雄型を内部に配置した状態で円筒管材に絞り加工を施した後、円筒管材の内周面全面と接触する円柱雄型を円筒管材から引き抜く際、円筒管材に対して円柱雄型を引き抜く方向とは逆側の方向に負荷を掛ける方法として、円筒管材の開口部側の端部に押し当て部材を押し当てる方法のみを採用する場合に比べ、変形の発生が抑制された導電性支持体が得られる導電性支持体の製造方法が提供される。
に係る発明によれば、円柱雄型を内部に配置した状態で円筒管材に絞り加工を施した後、円筒管材の内周面全面と接触する円柱雄型を円筒管材から引き抜く際、円筒管材に対して円柱雄型を引き抜く方向とは逆側の方向に負荷を掛ける方法として、円筒管材が閉口部側に貫通穴を有しかつ円柱雄型が円筒管材の閉口部の内面に接触する側の端面に空洞を有し、この貫通穴から前記空洞内の空間に引っ掛け部材を挿入し円筒管材の閉口部の内面に引っ掛けて、軸方向の閉口部側方向に引っ張ることで負荷を掛ける方法のみを採用する場合に比べ、導電性支持体における変形の発生を容易に抑制した導電性支持体の製造方法が提供される。
に係る発明によれば、前記溝の平均深さが0.1mm未満である場合に比べ、導電性支持体における変形の発生を容易に抑制した導電性支持体の製造方法が提供される。
に係る発明によれば、絞り加工前の前記円筒管材における外周面の平均厚みが0.9mm超えである場合に比べ、導電性支持体における変形の発生を容易に抑制した導電性支持体の製造方法が提供される。
に係る発明によれば、絞り加工前の前記円筒管材における閉口部の平均厚みが0.5mm未満である場合に比べ、導電性支持体における変形の発生を容易に抑制した導電性支持体の製造方法が提供される。
に係る発明によれば、絞り加工前の前記円筒管材における閉口部の平均厚みが外周面の平均厚み未満である場合に比べ、導電性支持体における変形の発生を容易に抑制した導電性支持体の製造方法が提供される。
に係る発明によれば、前記縮径率(D2/D1)が0.9超えである場合に比べ、導電性支持体における変形の発生を容易に抑制した導電性支持体の製造方法が提供される。
第1の実施形態に係る導電性支持体の製造方法における絞り工程の一部を示す概略断面図である。 第1の実施形態に係る導電性支持体の製造方法における絞り工程の一部を示す概略断面図である。 第1の実施形態に係る導電性支持体の製造方法における絞り工程の一部を示す概略断面図である。 第1の実施形態に係る導電性支持体の製造方法における引き抜き工程の一部を示す概略斜視図である。 第1の実施形態に係る導電性支持体の製造方法における引き抜き工程の一部を示す概略断面図である。 第1の実施形態に係る導電性支持体の製造方法における絞り工程の変形例の一部を示す概略断面図である。 第1の実施形態に係る導電性支持体の製造方法における絞り工程の変形例の一部を示す概略断面図である。 第1の実施形態に係る導電性支持体の製造方法における絞り工程の変形例の一部を示す概略断面図である。 第1の実施形態に係る導電性支持体の製造方法における絞り工程の変形例の一部を示す概略断面図である。 (A)は第2の実施形態に係る導電性支持体の製造方法において絞り工程に用いられる円筒管材を示し、(B)は第2の実施形態に係る導電性支持体の製造方法において絞り工程に用いられる円柱雄型を示す概略斜視図である。 第2の実施形態に係る導電性支持体の製造方法における絞り工程の一部を示す概略断面図である。 第2の実施形態に係る導電性支持体の製造方法における絞り工程の一部を示す概略断面図である。 第2の実施形態に係る導電性支持体の製造方法における引き抜き工程の一部を示す概略断面図である。 第2の実施形態に係る導電性支持体の製造方法における引き抜き工程の一部を示す概略断面図である。 (A)〜(C)は、本実施形態に係る導電性支持体を製造する工程の一部(インパクトプレス加工)を示す概略図である。 本実施形態により製造される導電性支持体を有する電子写真感光体を備えた画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態により製造される導電性支持体を有する電子写真感光体を備えた画像形成装置の他の例を示す概略構成図である。 従来の導電性支持体の製造方法における絞り工程の一部を示す概略断面図である。 従来の導電性支持体の製造方法における絞り工程の一部を示す概略断面図である。 従来の導電性支持体の製造方法における絞り工程の一部を示す概略断面図である。 従来の導電性支持体の製造方法における引き抜き工程の一部を示す概略斜視図である。 従来の導電性支持体の製造方法における引き抜き工程の一部を示す概略断面図である。 従来の導電性支持体の製造方法における引き抜き工程の一部を示す概略断面図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、図面中、同様の機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
[導電性支持体の製造方法]
本実施形態に係る導電性支持体の製造方法では、少なくとも円筒管材準備工程、雄型配置工程、絞り工程、及び引き抜き工程を経て円筒状の導電性支持体を製造する。
なお、本明細書において、「円筒」及び「円筒状」とは中空であり端面が円形の筒型形状を指し、「円柱」及び「円柱状」とは中空でも中実でもよい端面が円形の柱型形状を指す。
以下、上記の各工程について説明する。
まず円筒管材準備工程では、絞り加工に供するための円筒管材を準備する。
図1Aに示すように、軸方向の一方の端面が開口した開口部4Bcであり、他方の端面が閉口した閉口部4Bbである円筒管材4Bを準備する。なお、円筒管材4Bは導電性の材料で構成されている。この円筒管材4Bの製造方法については、後に詳述する。
次いで雄型配置工程では、円筒管材4Bの内部、つまり中空の空間内に円柱雄型31A(以下単に「パンチ」とも称す)を配置する。
図1Aに示すように、円柱状でありかつ円筒管材4Bの内径lよりも小さい外径kを有する円柱雄型(パンチ)31Aを準備する。このパンチ31Aを、円筒管材4Bに対して開口部4Bc側から閉口部4Bbの内面に接触するよう挿入し、さらに円筒管材4Bとパンチ31Aとが同軸状になるよう(両者の円筒形状における軸が重なるよう)配置する。
次いで絞り工程では、有孔雌型33(以下単に「ダイス」とも称す)を用いて円筒管材4Bに対し絞り加工を施す。
まず円形孔を有する有孔雌型(ダイス)33を準備する。なお、このダイス33における円形孔は、図1Aに示すように、円筒管材4Bの外径mよりも小さくかつパンチ31Aの外径kよりも大きい径nを有する。このダイス33を用い、図1A乃至図1Cに示すように、雄型配置工程でパンチ31Aが配置された円筒管材4Bを円形孔に対して閉口部4Bb側から挿入して貫通させ、絞り加工を施す。
こうして絞り加工を施すことで、図1Cに示すように、円筒管材4Bの外径をダイス33の円形孔の径nの大きさにまで縮小させ、かつ円筒管材4Bの内周面全面をパンチ31Aの外周面に接触させる。
次いで引き抜き工程では、パンチ31Aを円筒管材4Bから引き抜き、つまり脱型を行う。
なお、円筒管材4Bの内周面がパンチ31Aの外周面に接触して密着している。そのため、パンチ31Aを引き抜くには、円筒管材4Bをパンチ31Aとは独立して固定し、円筒管材4Bに対してパンチ31Aを引き抜く方向(つまり円筒管材4Bの軸方向の開口部側方向)とは逆側の方向(つまり円筒管材4Bの軸方向の閉口部側方向)に負荷を与えることが求められる。
本実施形態ではこの負荷の付与を、図2及び図3に示すように、引っ掛け部材35を、絞り工程後の円筒管材4Bの閉口部側における引っ掛けが可能な箇所に引っ掛けて、円筒管材4Bに対し軸方向の閉口部側方向に負荷を掛けることで行う。そして、円筒管材4Bに対して軸方向の閉口部側方向に負荷を付与した状態で、パンチ31Aを逆方向、つまり円筒管材4Bの軸方向の開口部側方向に引っ張ることで、パンチ31Aを引き抜いて脱型する。
なお、本実施形態では、円筒管材4Bに対する引っ掛け部材の引っ掛けは、閉口部側の端部に存在する引っ掛け可能な箇所にて行う。
具体的には、前記引っ掛け部材を引っ掛ける箇所の位置は、円筒管材4Bの軸方向において閉口部側から10%以内の端部領域であることが好ましい。
また、通常は、引き抜き工程によってパンチ31Aを脱型した後に、円筒管材4Bの閉口部側の端部を切断し除去することで導電性支持体が製造される。そのため、引っ掛け部材を引っ掛ける箇所の位置は、引き抜き工程後に切断し除去される領域であることが好ましい。
本実施形態では、引っ掛け部材35を円筒管材4Bの閉口部側の端部に引っ掛けて、円筒管材4Bに対し軸方向の閉口部側方向に負荷を付与した状態でパンチ31Aを引き抜く引き抜き工程を備えることで、変形の発生が抑制された導電性支持体が得られる。
この効果が奏される作用について説明する。
従来、円筒管材に対して絞り加工を施す場合、例えば下記能様で行われていた。
具体的には、図12Aに示すように、まず円筒管材104Bに対し、円柱状でありかつ円筒管材104Bの内径よりも小さい外径を有する円柱雄型(パンチ)131を準備し、このパンチ131を、円筒管材104Bの内部に挿入し、同軸状になるよう配置する(雄型配置工程)。
次いで、円筒管材104Bの外径よりも小さくかつパンチ131の外径よりも大きい径を有する円形孔を備えた有孔雌型(ダイス)133の該円形孔に、図12A乃至図12Cに示すように、パンチ131が配置された円筒管材104Bを閉口部側から挿入して貫通させ、絞り加工を施す(絞り工程)。こうして、図12Cに示すように、円筒管材104Bの外径をダイス133の円形孔の径の大きさにまで縮小させる。なお、円筒管材104Bの内周面はその全面がパンチ131の外周面に接触し、密着した状態となる。
その後、円筒管材104Bからパンチ131を引き抜く引き抜き工程(脱型工程)が行われる。ただし、円筒管材104Bの外周面の中央部を固定すると、外周面にキズや変形が発生するため、通常固定する領域は円筒管材104Bの軸方向端部が選択される。
ここで、従来においては、円筒管材104Bとパンチ131との密着力に対抗し得る負荷を与える観点で、図13及び図14Aに示すように、円筒管材104Bの開口部側の端部に押し当て部材(ストリッパー)134を押し当てる方法が取られていた。
具体的には、パンチ131が通過し得る穴を有しかつ円筒管材104Bの開口部側の端部に対して押当てが可能な環状の押し当て部材(ストリッパー)134を準備する。このストリッパー134を、図13に示すように、円筒管材104Bの開口部側から近付け、図14Aに示すように、ストリッパー134の穴にパンチ131の端部が挿入されるよう配置し、かつ円筒管材104Bの開口部側端部にストリッパー134を押し当てる。その後、ストリッパー134から円筒管材104Bの開口部側端部に対し、円筒管材104Bの軸方向の閉口部側方向への負荷を掛けつつ、パンチ131を前記負荷とは逆側の方向(つまり円筒管材104Bの軸方向の開口部側方向)に引っ張ることで、パンチ31Aを引き抜いて脱型する。
しかし、円筒管材104Bの開口部側端部には、ストリッパー134からの負荷によって、図14Bに示すように応力Xが集中し、開口部側端部に変形が生じることがあった。
また、絞り加工は円筒管材104Bを塑性変形させる加工方法であるため絞り工程後の開口部側端部は、通常は平滑な面でないことが多い。その場合、引き抜き工程においてストリッパー134が押し当てられる円筒管材104Bの開口部側端部は、ストリッパー134と部分的にしか接触しておらず、ストリッパー134からの負荷による応力Xが、さらに部分的に集中し、開口部側端部における変形がより大きくなることがあった。
これに対し、本実施形態では、引き抜き工程において円筒管材4Bに付与する軸方向の閉口部側方向への負荷を、円筒管材4Bの閉口部側の端部に引っ掛け部材35を引っ掛け、この引っ掛け部材35から円筒管材4Bに負荷を掛けることで行う。つまり、引き抜き工程において円筒管材4Bに付与する負荷を、変形の生じ易い開口部側端部への負荷に代えて、又は開口部側端部への負荷に加えて、閉口部側端部に付与する。これにより、円筒管材4Bの開口部側端部への負荷が除去又は低減され、開口部側端部での応力集中による変形が抑制される。
次いで、本実施形態に係る導電性支持体の製造方法の具体的な態様について、より詳細に説明する。
−第1の実施形態−
第1の実施形態に係る導電性支持体の製造方法は、少なくとも円筒管材準備工程、雄型配置工程、絞り工程、及び引き抜き工程を経て円筒状の導電性支持体を製造する。
そして、前記絞り工程は、絞り加工前に円筒管材の外周面と閉口部との境界であった角部を、絞り加工によって外周面側に絞り込むことで、絞り加工後の円筒管材の外周面に溝を形成する工程である。また、引き抜き工程における円筒管材に対する軸方向の閉口部側方向への負荷の付与は、溝に引っ掛け部材を引っ掛けて軸方向の閉口部側方向に負荷を掛けることで行われる。
以下、上記の各工程について説明する。
・円筒管材準備工程
まず円筒管材準備工程では、絞り加工に供するための円筒管材を準備する。
図1Aに示すように、軸方向の一方の端面が開口した開口部4Bcであり、他方の端面が閉口した閉口部4Bbである円筒管材4Bを準備する。
ここで、円筒管材準備工程における円筒管材の製造方法について詳述する。
円筒管材には、導電性を有する材料が用いられ、例えばアルミニウムを含む金属材料が挙げられる。円筒管材は、アルミニウム単体で構成されていてもよいし、アルミニウム合金で構成されていてもよい。
ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることを意味する。
円筒管材を構成するアルミニウム合金としては、アルミニウムのほかに、例えばSi、Fe、Cu、Mn、Mg、Cr、Zn、Tiを含むアルミニウム合金が挙げられる。
円筒管材を構成するアルミニウム合金は、いわゆる1000系合金が好ましい。
なお、円筒管材のアルミニウム含有率(アルミニウム純度:質量比)は、加工性の観点から、90.0%以上であることが好ましく、93.0%以上であることがより好まく、95.0%以上がより更に好ましい。
円筒管材準備工程において、円筒管材を製造する方法は、特に限定されるものではなく公知の方法が用いられる。例えば、インパクトプレス加工などの形状整形による方法が挙げられる。
図9(A)乃至(C)は、導電性を有する材料で構成される被加工材料(以下「スラグ」という場合がある)をインパクトプレス加工によって円筒形状に成形する工程の一例を示す。
−インパクトプレス加工−
まず、潤滑材を塗布した導電性を有する材料(例えばアルミニウム又はアルミニウム合金)のスラグ30を用意し、図9(A)に示すようにダイ(雌型)20に設けられている円形孔24にセットする。次いで、図9(B)に示すように、ダイ20にセットしたスラグ30を円柱状のパンチ(雄型)21によりプレスする。これによりスラグ30がダイ20の円形孔からパンチ21の周囲を覆うように円筒状に伸びて成形される。成形後、図9(C)に示すように、パンチ21を引き上げてストリッパー22の中央孔23を通すことによりパンチ21が引き抜かれて円筒管材4Aが得られる。
このようなインパクトプレス加工によれば、加工硬化によって硬度が上がり、厚みが薄く、かつ、硬度が高い導電性材料(例えばアルミニウム又はアルミニウム合金)の円筒管材4Aが製造される。
円筒管材4Aの厚みは特に限定されないが、例えば電子写真感光体における導電性基体として用いる場合であれば、硬度を保ちつつ後の絞り加工によって例えば0.2mm以上0.9mm以下の厚みに加工する観点から、インパクトプレス加工により成形する円筒管材4Aの厚みは、0.4mm以上0.8mm以下であることが好ましく、0.4mm以上0.6mm以下であることがより好ましい。
・雄型配置工程
次いで雄型配置工程では、円筒管材準備工程で準備した円筒管材4Bの内部、つまり中空の空間内に円柱雄型(パンチ)31Aを配置する。
図1Aに示すように、円柱状でありかつ円筒管材4Bの内径lよりも小さい外径kを有するパンチ31Aを準備し、円筒管材4Bに対して開口部4Bc側から閉口部4Bbの内面に接触するよう挿入する。そして、円筒管材4Bとパンチ31Aとが同軸状になるよう(両者の円筒形状における軸が重なるよう)配置する。
なお、パンチ31Aの円筒管材4Bへの挿入は、円筒管材4Bとパンチ31Aとが相対的に移動すればよく、つまり固定された円筒管材4Bに対しパンチ31Aを開口部4Bc側から近付けて挿入させてもよいし、固定されたパンチ31Aに対し円筒管材4Bを開口部4Bc側から近付けて挿入させてもよい。また、両者をそれぞれ同時に反対の方向に移動させながら挿入を行ってもよい。
・絞り工程
次いで絞り工程では、有孔雌型(ダイス)33を用いて円筒管材4Bに対し絞り加工を施す。
なお、第1の実施形態では、この絞り工程において絞り加工前に円筒管材の外周面と閉口部との境界であった角部を、絞り加工によって外周面側に絞り込むことで、絞り加工後の円筒管材の外周面における閉口部側の端部に、溝を形成する。
まず円形孔を有するダイス33を準備する。なお、このダイス33における円形孔は、図1Aに示すように、円筒管材4Bの外径mよりも小さくかつパンチ31Aの外径kよりも大きい径nを有する。このダイス33を用い、図1A乃至図1Cに示すように、雄型配置工程でパンチ31Aが配置された円筒管材4Bを円形孔に対して閉口部4Bb側から挿入して貫通させることで、絞り加工を施す。
そして、この絞り加工によって、図1Cに示すように、円筒管材4Bの外径をダイス33の円形孔の径nの大きさにまで縮小させ、かつ円筒管材4Bの内周面全面をパンチ31Aの外周面に接触させる。
なお、円筒管材4Bのダイス33に対する挿入及び貫通は、円筒管材4Bとダイス33とが相対的に移動すればよく、つまり固定された円筒管材4Bに対しダイス33を閉口部4Bb側から近付けて円形孔に円筒管材4Bを挿入させダイス33を移動させて貫通させてもよいし、固定されたダイス33に対し円筒管材4Bの閉口部4Bb側を円形孔に向けながら近付けて円形孔に円筒管材4Bを挿入させ円筒管材4Bを移動させて貫通させてもよい。また、両者をそれぞれ同時に反対の方向に移動させながら挿入及び貫通を行ってもよい。
ここで、上記絞り工程において、絞り加工前において円筒管材4Bにおける閉口部4Bbであった領域(図1Aにおいてドットで示される領域)の端部は、絞り加工が施されることで、図1Bに示されるように外周面側に絞り込まれる。この際、閉口部4Bbであった領域(ドットで示される領域)と外周面4Baであった領域との境界部分(つまり角部)に相当する箇所を、外周面4Baよりも径の内側に凹んだ形状となるよう制御することで、図1B及び図1Cに示すように、絞り加工後の円筒管材4Bの外周面における閉口部側の端部に溝42を形成することができる。
−溝−
(1)深さ
ここで、円筒管材4Bの外周面に形成される溝42について説明する。
引き抜き工程において引っ掛け部材35の引っ掛かり性を向上させパンチ31Aの引抜き(脱型)を容易に行う観点から、溝42の平均深さは0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上がより好ましく、0.3mm以上がさらに好ましい。
一方、溝42の深さの上限値は、絞り加工後における円筒管材4Bの外周面の厚み未満である。ただし、溝42を有する箇所における強度の確保の観点から、溝42の底(最深部)における円筒管材4Bの厚み(溝部壁面厚み)が0.3mm以上であることが好ましく、さらに0.5mm以上であることがより好ましい。
ここで、溝42の深さとは、溝42の縁(つまり溝42と円筒管材4Bの外周面との境界)と溝42の底(最深部)との、円筒管材4Bにおける径方向長さを指す。平均深さの測定は、ノギスを用いて、溝42の縁における外径及び溝42の底における外径を測定し、その差分から算出する。この測定を、溝42の周方向において等間隔に4点実施し、その平均値を平均深さとする。
絞り加工による溝42の形成の制御や、形成される溝42の深さの制御は、例えば絞り加工後の円筒管材4Bにおける、外周面4Baの厚み、閉口部4Bbの厚み、外周面4Baと閉口部4Bbとの厚みの比率、絞り加工による縮径率(D2/D1)(D1は絞り加工前の円筒管材4Bの外径、D2は絞り加工後の円筒管材4Bの外径をさす)等により調整される。
(2)外周面の厚み
深さが前記範囲である溝42を形成する観点で、絞り加工後の円筒管材4Bにおける外周面4Baの平均厚みは0.2mm以上0.9mm以下であることが好ましく、0.4mm以上0.7mm以下がより好ましく、0.5mm以上0.6mm以下がさらに好ましい。
絞り加工後の外周面4Baの平均厚みが0.9mm以下であることで深さが前記範囲の溝42を良好に形成し得る。また、外周面4Baの平均厚みが0.2mm以上であることで円筒管材4B及び得られる導電性支持体の強度が向上する。
(3)閉口部の厚み
深さが前記範囲である溝42を形成する観点で、絞り加工後の円筒管材4Bにおける閉口部4Bbの平均厚みは0.5mm以上3.0以下であることが好ましく、1mm以上3mm以下がより好ましく、2mm以上3mm以下がさらに好ましい。
絞り加工後の閉口部4Bbの平均厚みが0.5mm以上であることで深さが前記範囲の溝42を良好に形成し得る。また、閉口部4Bbの平均厚みが3.0mm以下であることで絞り加工における加工容易性が向上する。
(4)外周面と閉口部との厚みの比率
深さが前記範囲である溝42を形成する観点で、絞り加工後の円筒管材4Bにおける閉口部4Bbの平均厚みの外周面4Baの平均厚みに対する比率は、1以上(つまり閉口部4Bbの平均厚みが外周面4Baの平均厚み以上)であることが好ましく、1.5以上5以下がより好ましく、3以上5以下がさらに好ましい。
閉口部4Bbの平均厚みが外周面4Baの平均厚み以上であることで深さが前記範囲の溝42を良好に形成し得る。
(5)縮径率
深さが前記範囲である溝42を形成する観点で、絞り加工による縮径率(D2/D1)(D1は絞り加工前の円筒管材4Bの外径、D2は絞り加工後の円筒管材4Bの外径をさす)は、0.7以上0.9以下であることが好ましく、0.7以上0.8以下がより好ましく、0.7以上0.75以下がさらに好ましい。
縮径率(D2/D1)が0.9以下であることで深さが前記範囲の溝42を良好に形成し得る。また、縮径率(D2/D1)が0.7以上であることで絞り加工における加工容易性が向上する。
なお、下記の変形例に示すように絞り加工を複数回に分けて行う場合、縮径率(D2/D1)は最初の絞り加工前の外径と最後の絞り加工後の外径との比率を指す。
−変形例−
ここで、絞り工程における絞り加工は、複数回に分けて行ってもよい。つまり、図4A乃至図4Cに示すように、まずパンチ31Aが内部に配置された円筒管材4Cをダイス32(第1絞り加工用ダイス)の円形孔に挿入し貫通させて、円筒管材4Cの内周面がパンチ31Aの外周面に接触しない程度にまで縮径させて第1絞り加工を施し、その後図5に示すように、円筒管材4Cをダイス(第2絞り加工用ダイス/図示せず)の円形孔に挿入し貫通させて、円筒管材4Cの内周面全面がパンチ31Aの外周面に接触するまで縮径させて第2絞り加工を施してもよい。また、絞り加工を3回以上に分けて行ってもよい。
なお、絞り加工を複数回に分けて行う場合、円筒管材4Cの外周面への溝の形成は複数回の絞り加工のうち一部の絞り加工においてのみ実施してもよいが、複数回の全ての絞り加工で実施してもよい。
例えば、絞り加工を第1絞り加工及び第2絞り加工の2回に分けて行う場合であれば、図4A乃至図4Cに示すように、パンチ31Aが内部に配置された円筒管材4Cをダイス32(第1絞り加工用ダイス)の円形孔に挿入し貫通させて、円筒管材4Cの内周面がパンチ31Aの外周面に接触しない程度にまで縮径させて第1絞り加工を施す。この際、第1絞り加工前において円筒管材4Cにおける閉口部4Cbであった領域(図4Aにおいてドットで示される領域)と外周面4Caであった領域との境界部分(つまり角部)に相当する箇所を、外周面4Caよりも径の内側に凹んだ形状となるよう制御して、図4B及び図4Cに示すように、円筒管材4Cの外周面に溝43を形成する。
その後、図5に示すように、円筒管材4Cを第2絞り加工用ダイス(図示せず)の円形孔に挿入し貫通させて、円筒管材4Cの内周面全面がパンチ31Aの外周面に接触するまで縮径させて第2絞り加工を施す。この際、第1絞り加工後であってかつ第2絞り加工前に円筒管材4Cにおける閉口部の角部であった箇所が外周面側に絞り込まれるが、この箇所についても外周面よりも径の内側に凹んだ形状となるよう制御することで、第1絞り加工で形成された溝とその一部が重なるように溝が形成され、つまり溝が重なり合った大きな1つの溝43が形成される。こうして、第1絞り加工及び第2絞り加工により形成された溝43を有する円筒管材4Cを得てもよい。
また、絞り加工を複数回に分けて行う場合に、それぞれの溝を異なる位置に形成し、つまり軸方向において別々に複数の溝が形成されてもよい。
さらに、絞り加工を複数回に分けて行う場合において、溝形成の容易性の観点から、円筒管材の外周面への溝の形成を1回目の絞り加工においてのみ実施してもよい。
・引き抜き工程
次いで引き抜き工程では、パンチ31Aを円筒管材4Bから引き抜き、つまり脱型を行う。
第1の実施形態では、図2及び図3に示すように、絞り工程で円筒管材4Bの外周面における閉口部側の端部に形成された溝42に引っ掛け部材35を引っ掛け、この引っ掛け部材35から円筒管材4Bに対して、軸方向の閉口部側方向に負荷を掛ける。そして、負荷が付与された状態でパンチ31Aを逆方向(円筒管材4Bの軸方向の開口部側方向)に引っ張ることで、パンチ31Aを引き抜いて脱型する。
溝42に対して引っ掛け部材35を引っ掛ける箇所は、特に限定されるものではないが、2箇所以上10箇所以下が好ましく、4箇所以上8箇所以下がより好ましい。それぞれの引っ掛け部材35は、円筒管材4Bにおける周方向に等間隔で配置されることが好ましい。
なお、第1の実施形態において、円筒管材4Bに対し軸方向の閉口部側方向に負荷を掛ける手段としては、上記の溝42に引っ掛けた引っ掛け部材35のみであることが好ましい。ただし、他の手段と併用してもよく、例えば図13及び図14Aに示される、円筒管材の開口部側の端部に押し当てられる押し当て部材(ストリッパー)134による手段を併用してもよい。また、後述の第2の実施形態に示す、貫通穴4Daから引っ掛け部材36を挿入して閉口部の内面に引っ掛ける手段と併用してもよい。
・後処理工程
引き抜き工程後の円筒管材4Bに対し、焼き鈍しなどの熱処理を施してもよい。例えば、150℃を超える温度で焼き鈍しを行うことで、加工時の残留歪みを除去し、導電性支持体の変形が抑制され、円筒度の向上が実現される。
また、引き抜き工程後の円筒管材4Bに対し、円筒管材4Bの閉口部側の端部を切断等の方法で除去してもよい。この際、溝42を有する領域を含めて除去することが好ましい。また、円筒管材4Bの開口部側の端部を切断等の方法で除去してもよい。
以上の工程を経て得られる導電性支持体の厚み(外周面の肉厚)は、特に限定されるものではないが、例えば電子写真感光体における導電性基体として用いる場合であれば、0.2mm以上0.9mm以下が好ましく、0.3mm以上0.6mm以下であることがより好ましい。
こうして、第1の実施形態に係る製造方法により、導電性支持体が製造される。
第1の実施形態によれば、引き抜き工程において円筒管材4Bに付与する軸方向の閉口部側方向への負荷を、円筒管材4Bが外周面の閉口部側端部に有する溝42に引っ掛け部材35を引っ掛け、この引っ掛け部材35から円筒管材4Bに負荷を掛けることで行う。つまり、引き抜き工程において円筒管材4Bに付与する負荷を、変形の生じ易い開口部側端部への負荷に代えて、又は開口部側端部への負荷に加えて、閉口部側端部に付与する。これにより、円筒管材4Bの開口部側端部への負荷が除去又は低減され、開口部側端部での応力集中による変形が抑制される。
また、円筒性に優れた導電性支持体が求められる用途(例えば電子写真感光体における導電性基体)においては、開口部側端部に変形が生じた場合、引き抜き工程後にこの開口部側端部が除去される。しかし、第1の実施形態によれば前記の通り開口部側端部の変形が抑制されることにより、開口部側端部の除去する領域が低減され、その結果歩留りを高められる。
−第2の実施形態−
第2の実施形態に係る導電性支持体の製造方法は、少なくとも円筒管材準備工程、雄型配置工程、絞り工程、及び引き抜き工程を経て円筒状の導電性支持体を製造する。
そして、前記雄型配置工程に供される円柱雄型(パンチ)は、円筒管材の閉口部の内面に接触する側の端面に空洞を有し、かつ前記引き抜き工程に供される円筒管材は、円柱雄型が端面に有する前記空洞に対応する位置に空洞よりも開口面積の小さい貫通穴を有する。そして、前記引き抜き工程における円筒管材に対する軸方向の閉口部側方向への負荷の付与は、前記貫通穴から前記空洞内の空間に挿入した引っ掛け部材を円筒管材の閉口部の内面に引っ掛けて、軸方向の閉口部側方向に負荷を掛けることで行われる。
以下、上記の各工程について説明する。
・円筒管材準備工程
円筒管材準備工程では、絞り加工に供するための円筒管材を準備する。なお、円筒管材準備工程は、第1の実施形態に記載の方法により実施し得る。
・雄型配置工程
第2実施形態に用いられる円柱雄型(パンチ)31Bは、図6(B)に示されるように、円筒管材4Dの閉口部の内面に接触する側の端面に空洞31Baを有する。
この空洞31Baは、図8Aに示されるように、後の引抜き工程において引っ掛け部材36が挿入される空間を確保するための空洞である。よって、空洞31Baの大きさ(体積)は引っ掛け部材36を挿入し得る大きさであればよい。
また、空洞31Baの空間に挿入された引っ掛け部材36は、図8Aに示されるように、円筒管材4Dの閉口部の内面に引っ掛けることが求められる。よって、空洞31Baの開口部の広さ(開口面積)は、円筒管材4Dが閉口部に有する貫通穴4Daよりも広く形成され、さらには引っ掛け部材36を円筒管材4Dの閉口部の内面に引っ掛けるのに要求される面積が確保されていることが好ましい。
空洞31Baの深さは、引っ掛け部材36を挿入し得る深さであればよい。なお、空洞31Baは、パンチ31B内を反対側の端面まで貫通した形状であってもよい。
空洞31Baの形状及び設けられる位置は、特に限定されるものではないが、後の引抜き工程において引っ掛け部材36から円筒管材4Dに掛けられる負荷の偏りを抑制する観点で、パンチ31Bの軸を中心にした円形状であることが好ましい。
また、第2実施形態に用いられる円筒管材4Dは、少なくとも引き抜き工程前の段階で図6(A)に示されるように、パンチ31Bが端面に有する空洞31Baに対応する位置に空洞31Baよりも開口面積の小さい貫通穴4Daを有する。
円筒管材4Dの貫通穴4Daは、引き抜き工程前までに形成されていればよく、例えば円筒管材準備工程後であって雄型配置工程の前に、円筒管材4Dの閉口部の一部を穿つことで設けてもよい。また、雄型配置工程後であって引き抜き工程の前に、パンチ31Bが閉口部の内側に接触するよう配置された状態で、貫通穴4Daを形成してもよい。ただし、予め雄型配置工程の前に貫通穴4Daを形成しておくことが好ましい。
貫通穴4Daは、図8Aに示されるように、後の引抜き工程において引っ掛け部材36を挿入するための挿入口である。よって、貫通穴4Daの広さ(面積)は引っ掛け部材36を挿入し得る広さであればよい。
また、空洞31Baの空間に挿入された引っ掛け部材36は、図8Aに示されるように、円筒管材4Dの閉口部の内面に引っ掛けることが求められる。よって、貫通穴4Daの広さ(面積)は、パンチ31Bが端面に有する空洞31Baよりも狭く形成され、さらには引っ掛け部材36を円筒管材4Dの閉口部の内面に引っ掛けるのに要求される面積が確保される広さであることが好ましい。
貫通穴4Daの形状及び設けられる位置は、特に限定されるものではないが、後の引抜き工程において引っ掛け部材36から円筒管材4Dに掛けられる負荷の偏りを抑制する観点で、円筒管材4Dの軸を中心にした円形状であることが好ましい。
第2実施形態の雄型配置工程では、円筒管材4Dの内部にパンチ31Bを配置する。
図7Aに示すように、円柱状でありかつ円筒管材4Dの内径よりも小さい外径を有するパンチ31Bを、円筒管材4Dに対して開口部側から閉口部の内面に接触するよう挿入する。この際、空洞31Baが設けられた側の端面が円筒管材4Dの閉口部に接触するよう配置する。そして、円筒管材4Dとパンチ31Bとが同軸状になるよう(両者の円筒形状における軸が重なるよう)配置する。
・絞り工程
次いで絞り工程では、有孔雌型(ダイス)33を用いて円筒管材4Dに対し絞り加工を施す。
まず円形孔を有するダイス33を準備する。なお、このダイス33における円形孔は、図7Aに示すように、円筒管材4Dの外径よりも小さくかつパンチ31Bの外径よりも大きい径を有する。このダイス33を用い、図7A乃至図7Bに示すように、雄型配置工程でパンチ31Bが配置された円筒管材4Dを円形孔に対して閉口部側から挿入して貫通させることで、絞り加工を施す。
そして、この絞り加工によって、図7Bに示すように、円筒管材4Dの外径をダイス33の円形孔の径の大きさにまで縮小させ、かつ円筒管材4Dの内周面全面をパンチ31Bの外周面に接触させる。
また、絞り工程における絞り加工は複数回に分けて行ってもよい。したがって、円筒管材4Dの内周面がパンチ31Bの外周面に接触しない程度にまで縮径させる第1絞り加工と、円筒管材4Dの内周面全面がパンチ31Bの外周面に接触するまで縮径させる第2絞り加工とに分ける等、絞り加工を2回以上に分けて行ってもよい。
・引き抜き工程
次いで引き抜き工程では、パンチ31Bを円筒管材4Dから引き抜き、つまり脱型を行う。
第2の実施形態では、図8A及び図8Bに示すように、円筒管材4Dの閉口部に設けられた貫通穴4Daから、パンチ31Bの端面に設けられた空洞31Ba内の空間に引っ掛け部材36を挿入し、この引っ掛け部材36を円筒管材4Dの閉口部の内面に引っ掛ける。そして、引っ掛け部材36を軸方向の閉口部側方向に引っ張ることで円筒管材4Dに対し負荷を付与し、負荷が付与された状態でパンチ31Bを逆方向(円筒管材4Dの軸方向の開口部側方向)に引っ張ることで、パンチ31Bを引き抜いて脱型する。
引っ掛け部材36の形状は、貫通穴4Daから挿入できかつ円筒管材4Dの閉口部の内面に引っ掛け得る形状であれば、特に限定されない。具体的には、図8Aに示されるL型状の引っ掛け部材や、その他J型状の引っ掛け部材等が挙げられる。
引っ掛け部材36の挿入本数は、特に限定されるものではないが、2本以上10本以下が好ましく、4本以上8本以下がより好ましい。それぞれの引っ掛け部材36は、円筒管材4Dにおける周方向に等間隔で配置されることが好ましい。
なお、第2の実施形態において、円筒管材4Dに対し軸方向の閉口部側方向に負荷を掛ける手段としては、上記の貫通穴4Daから挿入して閉口部の内面に引っ掛けた引っ掛け部材36のみであることが好ましい。ただし、他の手段と併用してもよく、例えば図13及び図14Aに示される、円筒管材の開口部側の端部に押し当てられる押し当て部材(ストリッパー)134による手段を併用してもよい。また、前述の第1の実施形態に示す、溝42に引っ掛け部材35を引っ掛ける手段と併用してもよい。
・後処理工程
第1の実施形態と同様に、引き抜き工程後の円筒管材4Dに対し、焼き鈍しなどの熱処理を施してもよい。
また、引き抜き工程後の円筒管材4Dに対し、円筒管材4Dの閉口部側の端部を切断等の方法で除去してもよく、円筒管材4Dの開口部側の端部を切断等の方法で除去してもよい。
以上の工程を経て得られる導電性支持体の好ましい厚み(外周面の肉厚)は、第1の実施形態と同様である。
こうして、第2の実施形態に係る製造方法により、導電性支持体が製造される。
第2の実施形態によれば、引き抜き工程において円筒管材4Dに付与する軸方向の閉口部側方向への負荷を、円筒管材4Dが有する貫通穴4Daから引っ掛け部材36を挿入して閉口部の内面に引っ掛け、この引っ掛け部材36を引っ張って円筒管材4Dに負荷を掛けることで行う。つまり、引き抜き工程において円筒管材4Dに付与する負荷を、変形の生じ易い開口部側端部への負荷に代えて、又は開口部側端部への負荷に加えて、閉口部側端部に付与する。これにより、円筒管材4Dの開口部側端部への負荷が除去又は低減され、開口部側端部での応力集中による変形が抑制される。
また、円筒性に優れた導電性支持体が求められる用途(例えば電子写真感光体における導電性基体)においては、開口部側端部に変形が生じた場合、引き抜き工程後にこの開口部側端部が除去される。しかし、第2の実施形態によれば前記の通り開口部側端部の変形が抑制されることにより、開口部側端部の除去する領域が低減され、その結果歩留りを高められる。
本実施形態に係る製造方法により製造される導電性支持体は、例えば電子写真方式の画像形成に用いられる電子写真感光体の基体(導電性基体)等として用いられる。
[電子写真感光体]
本実施形態に係る製造方法により製造される導電性支持体(以下単に「本実施形態に係る導電性支持体」と称す)を導電性基体として備える電子写真感光体(以下単に「感光体」とも称す)は、前述の導電性支持体と、導電性支持体上に配置された感光層と、を有して構成される。
感光体の構成としては、特に限定されるものではないが、例えば導電性基体(導電性支持体)上に、下引層と、中間層と、電荷発生層と、電荷輸送層と、保護層と、を有する感光体や、前記荷発生層及び電荷輸送層に代えて単層型感光層を有する感光体等の態様が挙げられる。
ここで、本実施形態に係る導電性支持体を電子写真感光体の導電性基体として用いる場合、導電性基体の表面は、電子写真感光体がレーザプリンタに使用される場合、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を抑制する目的で、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化されていることが好ましい。なお、非干渉光を光源に用いる場合、干渉縞防止の粗面化は、特に必要ないが、導電性基体の表面の凹凸による欠陥の発生を抑制するため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、例えば、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、回転する砥石に導電性基体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が挙げられる。
粗面化の方法としては、導電性基体の表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、導電性基体の表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も挙げられる。
陽極酸化による粗面化処理は、金属製(例えばアルミニウム製)の導電性基体を陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することにより導電性基体の表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、多孔質陽極酸化膜に対して、酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、例えば、0.3μm以上15μm以下が好ましい。この膜厚が上記範囲内にあると、注入に対するバリア性が発揮される傾向があり、また繰り返し使用による残留電位の上昇が抑えられる傾向にある。
導電性基体には、酸性処理液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
ベーマイト処理は、例えば90℃以上100℃以下の純水中に5分から60分間浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分から60分間接触させて行う。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
(下引層)
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ωcm以上1011Ωcm以下の無機粒子が挙げられる。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子のBET法による比表面積は、例えば、10m/g以上がよい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
無機粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
無機粒子は、表面処理が施されていてもよい。無機粒子は、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤と他のシランカップリング剤とを併用してもよい。この他のシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面処理剤による表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法のいずれでもよい。
表面処理剤の処理量は、例えば、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
ここで、下引層は、無機粒子と共に電子受容性化合物(アクセプター化合物)を含有することが、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性が高まる観点からよい。
電子受容性化合物としては、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;等の電子輸送性物質等が挙げられる。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
電子受容性化合物は、下引層中に無機粒子と共に分散して含まれていてもよいし、無機粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。
電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着させる方法としては、例えば、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
乾式法は、例えば、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させた電子受容性化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させて、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。電子受容性化合物の滴下又は噴霧するときは、溶剤の沸点以下の温度で行うことがよい。電子受容性化合物を滴下又は噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に制限されない。
湿式法は、例えば、攪拌、超音波、サンドミル、アトライター、ボールミル等により、無機粒子を溶剤中に分散しつつ、電子受容性化合物を添加し、攪拌又は分散した後、溶剤除去して、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。溶剤除去方法は、例えば、ろ過又は蒸留により留去される。溶剤除去後には、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては、電子受容性化合物を添加する前に無機粒子の含有水分を除去してもよく、その例として溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法が挙げられる。
なお、電子受容性化合物の付着は、表面処理剤による表面処理を無機粒子に施す前又は後に行ってよく、電子受容性化合物の付着と表面処理剤による表面処理と同時に行ってもよい。
電子受容性化合物の含有量は、例えば、無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下がよく、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子化合物;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物;シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これらの中でも、下引層に用いる結着樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
添加剤としてのシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で、又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
下引層は、ビッカース硬度が35以上であることがよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
下引層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ケトン系溶剤、ケトンアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するときの無機粒子の分散方法としては、例えば、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の公知の方法が挙げられる。
下引層形成用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
下引層の膜厚は、例えば、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上50μm以下の範囲内に設定される。
(中間層)
下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
これらの中でも、中間層は、ジルコニウム原子又はケイ素原子を含有する有機金属化合物を含む層であることが好ましい。
中間層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた中間層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
中間層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上3μm以下の範囲に設定される。なお、中間層を下引層として使用してもよい。
(電荷発生層)
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro−Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
これらの中でも、近赤外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、金属フタロシアニン顔料、又は無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン;特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン;特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン;特開平4−189873号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより好ましい。
一方、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;チオインジゴ系顔料;ポルフィラジン化合物;酸化亜鉛;三方晶系セレン;特開2004−78147号公報、特開2005−181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等が好ましい。
450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合にも、上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いるときには、感光層中の電界強度が高くなり、基体からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレン、フタロシアニン顔料等のp−型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いたときに顕著となる。
これに対し、電荷発生材料として、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料等のn−型半導体を用いた場合、暗電流を生じ難く、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。n−型の電荷発生材料としては、例えば、特開2012−155282号公報の段落[0288]〜[0291]に記載された化合物(CG−1)〜(CG−27)が挙げられるがこれに限られるものではない。
なお、n−型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn−型とする。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、結着樹脂としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが好ましい。
電荷発生層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷発生層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。なお、電荷発生層の形成は、電荷発生材料の蒸着により行ってもよい。電荷発生層の蒸着による形成は、特に、電荷発生材料として縮環芳香族顔料、ペリレン顔料を利用する場合に好適である。
電荷発生層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式等が挙げられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷発生層形成用塗布液を下引層上(又は中間層上)に塗布する方法としては、例えばブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下の範囲内に設定される。
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層である。電荷輸送層は、高分子電荷輸送材料を含む層であってもよい。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては、電荷移動度の観点から、下記構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び下記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体が好ましい。
構造式(a−1)中、ArT1、ArT2、及びArT3は、各々独立に置換若しくは無置換のアリール基、−C−C(RT4)=C(RT5)(RT6)、又は−C−CH=CH−CH=C(RT7)(RT8)を示す。RT4、RT5、RT6、RT7、及びRT8は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
構造式(a−2)中、RT91及びRT92は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を示す。RT101、RT102、RT111及びRT112は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基、−C(RT12)=C(RT13)(RT14)、又は−CH=CH−CH=C(RT15)(RT16)を示し、RT12、RT13、RT14、RT15及びRT16は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。Tm1、Tm2、Tn1及びTn2は各々独立に0以上2以下の整数を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
ここで、構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び前記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「−C−CH=CH−CH=C(RT7)(RT8)」を有するトリアリールアミン誘導体、及び「−CH=CH−CH=C(RT15)(RT16)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度の観点で好ましい。
高分子電荷輸送材料としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系の高分子電荷輸送材は特に好ましい。なお、高分子電荷輸送材料は、単独で使用してよいが、結着樹脂と併用してもよい。
電荷輸送層に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの中でも、結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好適である。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
電荷輸送層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷輸送層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、例えば、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下の範囲内に設定される。
(保護層)
保護層は、必要に応じて感光層上に設けられる。保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善する目的で設けられる。
そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
1)反応性基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に有する反応性基含有電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり当該反応性基含有電荷輸送材料の重合体又は架橋体を含む層)
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
反応性基含有電荷輸送材料の反応性基としては、連鎖重合性基、エポキシ基、−OH、−OR[但し、Rはアルキル基を示す]、−NH、−SH、−COOH、−SiRQ1 3−Qn(ORQ2Qn[但し、RQ1は水素原子、アルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、RQ2は水素原子、アルキル基、トリアルキルシリル基を表す。Qnは1〜3の整数を表す]等の周知の反応性基が挙げられる。
連鎖重合性基としては、ラジカル重合しうる官能基であれば特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基である。具体的には、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、スチリル基(ビニルフェニル基)、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基等が挙げられる。なかでも、その反応性に優れることから、連鎖重合性基としては、ビニル基、スチリル基(ビニルフェニル基)、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基であることが好ましい。
反応性基含有電荷輸送材料の電荷輸送性骨格としては、電子写真感光体における公知の構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格であって、窒素原子と共役している構造が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン骨格が好ましい。
これら反応性基及び電荷輸送性骨格を有する反応性基含有電荷輸送材料、非反応性の電荷輸送材料、反応性基含有非電荷輸送材料は、周知の材料から選択すればよい。
保護層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
保護層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた保護層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱等の硬化処理することで行う。
保護層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ系溶剤;イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
なお、保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
保護層形成用塗布液を感光層(例えば電荷輸送層)上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
保護層の膜厚は、例えば、好ましくは1μm以上20μm以下、より好ましくは2μm以上10μm以下の範囲内に設定される。
(単層型感光層)
単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)は、例えば、電荷発生材料と電荷輸送材料と、必要に応じて、結着樹脂、及びその他周知の添加剤と、を含む層である。なお、これら材料は、電荷発生層及び電荷輸送層で説明した材料と同様である。
そして、単層型感光層中、電荷発生材料の含有量は、全固形分に対して10質量%以上85質量%以下がよく、好ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、単層型感光層中、電荷輸送材料の含有量は、全固形分に対して5質量%以上50質量%以下がよい。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。
単層型感光層の膜厚は、例えば、5μm以上50μm以下がよく、好ましくは10μm以上40μm以下である。
[画像形成装置(及びプロセスカートリッジ)]
次いで、本実施形態に係る導電性支持体を備える電子写真感光体を用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態における画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る導電性支持体を備える電子写真感光体が適用される。
本実施形態における画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段を備える装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に電子写真感光体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
本実施形態における画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
なお、本実施形態における画像形成装置において、例えば、電子写真感光体を備える部分が、画像形成装置に対して着脱されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態における電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。なお、プロセスカートリッジには、電子写真感光体以外に、例えば、帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段からなる群から選択される少なくとも一つを備えてもよい。
以下、本実施形態における画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図10は、本実施形態における画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態における画像形成装置100は、図10に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
図10におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8(帯電手段の一例)、現像装置11(現像手段の一例)、及びクリーニング装置13(クリーニング手段の一例)を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材の一例)135を有しており、クリーニングブレード135は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。なお、クリーニング部材は、クリーニングブレード135の態様ではなく、導電性又は絶縁性の繊維状部材であってもよく、これを単独で、又はクリーニングブレード135と併用してもよい。
なお、図10には、画像形成装置として、潤滑材14を電子写真感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、及び、クリーニングを補助する繊維状部材136(平ブラシ状)を備えた例を示してあるが、これらは必要に応じて配置される。
以下、本実施形態における画像形成装置の各構成について説明する。
−帯電装置−
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
−露光装置−
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
−現像装置−
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
現像装置11に使用される現像剤は、トナー単独の一成分系現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤であってもよい。また、現像剤は、磁性であってもよいし、非磁性であってもよい。これら現像剤は、周知のものが適用される。
−クリーニング装置−
クリーニング装置13は、クリーニングブレード135を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
−転写装置−
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
−中間転写体−
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図11は、本実施形態における画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図11に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
−円筒管材準備工程−
潤滑剤を塗布したアルミニウム(Al)純度99.5%以上のJIS呼称1050合金のスラグを用意した。このスラグを用いて、インパクトプレス用ダイ(雌型)とインパクトプレス用パンチ(雄型)によりインパクトプレス加工にて底面(閉口部)を有する直径34mmの円筒管材1を作製した。
−雄型配置工程−
円柱状かつ前記円筒管材1の内径よりも小さい外径を有する円柱雄型(パンチ)を準備し、円筒管材1に対して開口部側から閉口部の内面に接触するよう挿入し、さらに円筒管材1とパンチとが同軸状になるよう配置した。
−絞り工程−
前記円筒管材1に対し、2回の絞り加工を施した。
まず、円形孔を有する第1絞り加工用の有孔雌型(第1ダイス)及び第2絞り加工用の有孔雌型(第2ダイス)を準備した。なお、この第1ダイスにおける円形孔は、前記円筒管材1の外径よりも小さくかつ円柱雄型(パンチ)の外径よりも大きい径を有する。また、第2ダイスにおける円形孔は、前記第1ダイスにおける円形孔よりも小さくかつ円筒管材1の内周面全面を円柱雄型(パンチ)の外周面に接触させ得る径を有する。
この第1ダイス及び第2ダイスを用い、円柱雄型(パンチ)が配置された円筒管材1に対し2回の絞り加工を施し、円筒管材1の内周面全面が円柱雄型(パンチ)の外周面に接触するよう縮径させた。なお、縮径率(D2/D1、第1絞り加工前の外径と第2絞り加工後の外径との比率)、第1及び第2絞り加工前の外周面厚み、第1及び第2絞り加工前の閉口部厚みが下記表1に記載の条件となるよう調整した。
この第1及び第2絞り加工により、第1絞り加工前において円筒管材1における閉口部と外周面との境界部分(角部)であった箇所(外周面における閉口部側の端部)に、下記表1に記載の溝深さを有する溝が形成された。
−引き抜き工程−
次いで、絞り工程で円筒管材1の外周面における閉口部側の端部に形成された溝に対し、図2及び図3に示す形状の引っ掛け部材を、周方向に等間隔で4箇所引っ掛けて把持した。この引っ掛け部材から円筒管材1に対して軸方向の閉口部側方向に負荷を掛け、さらに円柱雄型(パンチ)を逆方向に引っ張って、円柱雄型(パンチ)を引き抜いて脱型した。
こうして、直径30mm、長さ251mmの円筒状の導電性支持体を得た。
<実施例2〜6、9、10>
表1に従って、第1及び第2絞り加工前の外周面厚み、閉口部厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6、9、10の導電性支持体を作製した。
<実施例7、8、11>
表1に従って、第1及び第2絞り加工前の外周面厚み、閉口部厚み、及び縮径率(D2/D1)を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例7、8、11の導電性支持体を作製した。
ただし、引抜き工程において円筒管材に負荷を掛ける手段として、実施例1で行った溝部の引っ掛け部材による把持(溝部把持)に加え、図13及び図14Aに示される円筒管材の開口部側の端部への押し当て部材(ストリッパー)の押し当て(開口側押し当て)を併用した。
<実施例12>
−円筒管材準備工程−
実施例1と同様にして円筒管材2を作製した。その後、円筒管材2の閉口部に、図6(A)に示す形状の貫通穴4Daを形成した。
−雄型配置工程−
円柱状かつ前記円筒管材1の内径よりも小さい外径を有し、かつ図6(B)に示す形状の空洞31Baを有する円柱雄型(パンチ)を準備した。その後、実施例1と同様にして円柱雄型(パンチ)を配置した。
−絞り工程−
実施例1と同様にして第1及び第2絞り加工を行った。ただし、縮径率(D2/D1)、第1及び第2絞り加工前の外周面厚み、第1及び第2絞り加工前の閉口部厚みが下記表1に記載の条件となるよう調整した。
−引き抜き工程−
図8A及び図8Bに示すように、円筒管材2の閉口部に設けられた貫通穴から、円柱雄型(パンチ)の端面に設けられた空洞内の空間に、L型の引っ掛け部材を4本挿入して周方向に等間隔で配置し、円筒管材2の閉口部の内面に引っ掛けた。
この引っ掛け部材(L型部材)を軸方向の閉口部側方向に引っ張り、さらに円柱雄型(パンチ)を逆方向に引っ張って、円柱雄型(パンチ)を引き抜いて脱型した。
<比較例1>
表1に従って、第1及び第2絞り加工前の外周面厚み、閉口部厚みを変更し、かつ引抜き工程において円筒管材に負荷を掛ける手段を、溝部の引っ掛け部材による把持(溝部把持)から、図13及び図14Aに示される円筒管材の開口部側の端部への押し当て部材(ストリッパー)の押し当て(開口側押し当て)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の導電性支持体を作製した。
(溝深さの測定)
なお、各例で得られた導電性支持体に関し、溝の縁部における外径及び溝の底部の外径をノギスで測定し、差分から溝深さを算出した。
〔評価〕
−把持適性−
A:溝深さ0.2mm以上かつ溝の底における厚み(溝部壁面厚み)が0.5mm以上
B:溝深さ0.1mm以上かつ溝部壁面厚みが0.5mm以上
C:溝深さが0.1mm未満
−変形量評価−
各例で得られた導電性支持体の、外周面における開口部側から20mm位置、及び閉口部側から20mm位置での真円度を、Rondcom(東京精密社製、型番:60A、測定条件:測定倍率×500、フィルタ:ガウシアン、測定速度6/min)を用いて測定し、絞り加工前後での真円度の差を算出し、以下の評価基準で評価した。
A:加工前後の真円度の差(Δ)が10μm未満
B:加工前後の真円度の差(Δ)が10μm以上20μ未満
C:加工前後の真円度の差(Δ)が20μm以上
上記結果から、本実施例では比較例に比べ、外周面の開口部側端部及び閉口部側端部での変形が抑制されていることが分かる。これにより、本実施例の導電性支持体は、円筒度が高く、開口部のカット幅を削減できることがわかる。
4A、4B、4C、4D、104B 円筒管材、4Ba、4Ca 外周面、4Bb、4Cb 閉口部、4Bc 開口部、4Da 貫通穴、7 電子写真感光体、8 帯電装置、9 露光装置、11 現像装置、13 クリーニング装置、20 ダイ、21 パンチ、22 ストリッパー、23 中央孔、24 円形孔、30 スラグ、31A、31B、131 円柱雄型(パンチ)、31Ba 空洞、32、33、133 有孔雌型(ダイス)、35 引っ掛け部材、36 引っ掛け部材、40 転写装置、42、43 溝、50 中間転写体、100 画像形成装置、120 画像形成装置、132 繊維状部材(ロール状)、134 ストリッパー、135 クリーニングブレード、136 繊維状部材(平ブラシ状)、300 プロセスカートリッジ

Claims (7)

  1. 導電性を有し、軸方向の一方の端面は開口した開口部であり、他方の端面は閉口した閉口部である円筒管材を準備する円筒管材準備工程と、
    円柱状でありかつ前記円筒管材の内径よりも外径が小さい円柱雄型を、前記円筒管材の前記開口部側から挿入して前記閉口部の内面に接触させ、前記円筒管材及び前記円柱雄型を同軸状に配置する雄型配置工程と、
    径が前記円筒管材の外径よりも小さくかつ前記円柱雄型の外径よりも大きい円形孔を有する有孔雌型の前記円形孔に、前記円柱雄型が配置された前記円筒管材を前記閉口部側から挿入し貫通させて絞り加工を施し、前記円筒管材の内周面全面が前記円柱雄型の外周面に接触するよう前記円筒管材の径を縮小し、前記絞り加工前に前記円筒管材の外周面と前記閉口部との境界であった角部を、前記絞り加工によって前記外周面側に絞り込むことで、前記絞り加工後の前記円筒管材の外周面に溝を形成する工程を含む絞り工程と、
    引っ掛り部を引っ掛けて一方向に負荷を付与し得る引っ掛け部材を、前記絞り工程後の前記円筒管材の前記閉口部側の端部に引っ掛け、前記円筒管材に対し軸方向の閉口部側方向に負荷を付与した状態で、前記円柱雄型を前記開口部側から引き抜き、前記円筒管材に対する前記軸方向の閉口部側方向への負荷の付与は、前記溝に前記引っ掛け部材を引っ掛けて前記軸方向の閉口部側方向に負荷を掛けることで行われる引き抜き工程と、
    を経て導電性かつ円筒状の支持体を製造する導電性支持体の製造方法。
  2. 前記溝の平均深さが0.1mm以上である請求項に記載の導電性支持体の製造方法。
  3. 前記絞り工程において、前記絞り加工前の前記円筒管材における前記外周面の平均厚みが0.2mm以上0.9mm以下である請求項又は請求項に記載の導電性支持体の製造方法。
  4. 前記絞り工程において、前記絞り加工前の前記円筒管材における前記閉口部の平均厚みが0.5mm以上3.0mm以下である請求項〜請求項のいずれか1項に記載の導電性支持体の製造方法。
  5. 前記絞り工程において、前記絞り加工前の前記円筒管材における前記閉口部の平均厚みが前記外周面の平均厚み以上である請求項〜請求項のいずれか1項に記載の導電性支持体の製造方法。
  6. 前記絞り工程において、前記絞り加工前の前記円筒管材の外径をD1とし、前記絞り加工後の前記円筒管材の外径をD2としたとき、前記絞り加工による縮径率(D2/D1)が0.7以上0.9以下である請求項〜請求項のいずれか1項に記載の導電性支持体の製造方法。
  7. 導電性を有し、軸方向の一方の端面は開口した開口部であり、他方の端面は閉口した閉口部である円筒管材を準備する円筒管材準備工程と、
    円柱状でありかつ前記円筒管材の内径よりも外径が小さく、前記円筒管材の前記閉口部の内面に接触する側の端面に空洞を有する円柱雄型を、前記円筒管材の前記開口部側から挿入して前記閉口部の内面に接触させ、前記円筒管材及び前記円柱雄型を同軸状に配置する雄型配置工程と、
    径が前記円筒管材の外径よりも小さくかつ前記円柱雄型の外径よりも大きい円形孔を有する有孔雌型の前記円形孔に、前記円柱雄型が配置された前記円筒管材を前記閉口部側から挿入し貫通させて絞り加工を施し、前記円筒管材の内周面全面が前記円柱雄型の外周面に接触するよう前記円筒管材の径を縮小する絞り工程と、
    引っ掛り部を引っ掛けて一方向に負荷を付与し得る引っ掛け部材を、前記絞り工程後の、前記円柱雄型が前記端面に有する前記空洞に対応する位置に前記空洞よりも開口面積の小さい貫通穴を有する前記円筒管材の前記閉口部側の端部の引っ掛り部である前記貫通穴に引っ掛け、前記貫通穴から前記空洞内の空間に挿入した前記引っ掛け部材を前記円筒管材の前記閉口部の内面に引っ掛けて、前記軸方向の閉口部側方向に引っ張ることで行われる、前記円筒管材に対し軸方向の閉口部側方向への負荷を付与した状態で、前記円柱雄型を前記開口部側から引き抜く引き抜き工程と、
    を経て導電性かつ円筒状の支持体を製造する導電性支持体の製造方法。
JP2016064459A 2016-03-28 2016-03-28 導電性支持体の製造方法 Expired - Fee Related JP6711072B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016064459A JP6711072B2 (ja) 2016-03-28 2016-03-28 導電性支持体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016064459A JP6711072B2 (ja) 2016-03-28 2016-03-28 導電性支持体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017177120A JP2017177120A (ja) 2017-10-05
JP6711072B2 true JP6711072B2 (ja) 2020-06-17

Family

ID=60003083

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016064459A Expired - Fee Related JP6711072B2 (ja) 2016-03-28 2016-03-28 導電性支持体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6711072B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109000818B (zh) * 2018-09-27 2024-05-31 兴勤(宜昌)电子有限公司 一种水冷温度传感器及其装配方法
JP7188225B2 (ja) * 2019-03-26 2022-12-13 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 インパクトプレス加工金属筒体

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01181922A (ja) * 1988-01-11 1989-07-19 Showa Alum Corp 精密アルミニウムパイプのしごき加工用パンチ
JP2004154789A (ja) * 2002-11-01 2004-06-03 Toyo Seikan Kaisha Ltd 薄肉化円筒体の製造方法
JP5880345B2 (ja) * 2012-08-10 2016-03-09 富士ゼロックス株式会社 電子写真感光体用導電性支持体、電子写真感光体、画像形成装置およびプロセスカートリッジ
JP6446848B2 (ja) * 2014-06-16 2019-01-09 富士ゼロックス株式会社 電子写真感光体用導電性支持体、電子写真感光体、画像形成装置およびプロセスカートリッジ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017177120A (ja) 2017-10-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9201317B2 (en) Conductive support for electrophotographic photoreceptor, electrophotographic photoreceptor, image forming apparatus, and process cartridge
JP6658169B2 (ja) 電子写真感光体用導電性支持体、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び電子写真感光体用導電性支持体の製造方法
JP2016141841A (ja) 円筒状支持体、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び円筒状支持体の製造方法
JP6711072B2 (ja) 導電性支持体の製造方法
JP6872115B2 (ja) インパクトプレス加工用の金属塊、インパクトプレス加工用の金属塊の製造方法、金属筒状体、金属筒状体の製造方法、電子写真感光体用の導電性基体、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置
JP6446848B2 (ja) 電子写真感光体用導電性支持体、電子写真感光体、画像形成装置およびプロセスカートリッジ
JP6631235B2 (ja) 導電性支持体、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び導電性支持体の製造方法
US9904187B2 (en) Cylindrical member used in electrophotographic photoconductor, electrophotographic photoconductor, image forming apparatus, process cartridge, and method for producing cylindrical member used in electrophotographic photoconductor
JP6834447B2 (ja) 電子写真感光体用の導電性支持体、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP6926458B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び導電性支持体の製造方法
JP7188225B2 (ja) インパクトプレス加工金属筒体
JP6926885B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
US10884347B2 (en) Support for dip coating, electrophotographic photoreceptor, process cartridge, and image forming apparatus
JP6179629B2 (ja) 電子写真感光体用の円筒状支持体の製造方法
US9939745B2 (en) Conductive support for electrophotographic photoreceptor, electrophotographic photoreceptor, and image forming apparatus
JP2023144996A (ja) 電子写真感光体用基材、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2020046618A (ja) 電子写真感光体用支持体、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP2020052214A (ja) 分散剤付着ポリテトラフルオロエチレン粒子、組成物、層状物、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、および画像形成装置
JP2019061145A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置
JP2019061149A (ja) 電子写真感光体用導電性支持体、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP2017062345A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190228

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200212

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200403

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200428

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200511

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6711072

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees