JP6710666B2 - 水処理方法及び水処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、特に、油分と有機物を含む排水の処理方法と、油分と有機物を含む排水の水処理装置に関する。
油分を含む排水は、業種を問わず、工場や事業所などで大量に発生する。そのため、より効率的な油分を含む排水の処理方法の確立が望まれている。
一般的に、油分を含む排水の処理方法として、凝集加圧浮上処理が知られている。凝集加圧浮上処理では、まず、無機凝集剤とアニオン性有機高分子凝集剤により、油分を凝集させ、フロックを形成させる。次に、加圧浮上槽内で、空気を溶解させた加圧水を注入することにより、加圧浮上槽表面にフロックを浮上させる。加圧浮上槽表面に浮上したフロックはフロス又は汚泥と呼ばれる(ここでは、単に汚泥と呼ぶ)。最後に、汚泥を掻き寄せ機で系外に排出し、加圧浮上槽の中間水が処理水となる。
凝集加圧浮上処理には、下記のような課題がある。
(1)無機凝集剤とアニオン性有機高分子凝集剤の2種類を使用するため、各薬品のタンク、溶解槽、供給ポンプなどの設備が増える。また、各薬品の注入率を適正に制御する手間が増える。
(2)無機凝集剤には、凝集効果を発揮できるpH範囲があり、酸やアルカリを使用して、pHを調整する必要がある。また、無機凝集剤は酸性であるため、注入した量に応じて、アルカリが必要となる。
(3)無機凝集剤に含まれる金属に由来した汚泥が余計に発生する。
(4)汚泥の含水率は、94〜97%と高いので、発生する汚泥容積が大きくなる。このため、別途、脱水処理設備が必要であり、汚泥を別の凝集剤を使って、再度凝集させて脱水処理を行う必要がある。
上記のような凝集加圧浮上の課題に対して、無機凝集剤とアニオン性有機高分子凝集剤の代わりに、カチオン性の有機高分子凝集剤を使用する凝集加圧浮上処理が公知になっている。
特許文献1にはカチオン系高分子凝集剤を用いた含油排水の処理方法が開示されており、油分を含む汚れ成分が界面活性剤にて微細に分散せしめられた含油排水を、pH値が8より大きく、12より小さな値となり、且つ温度が50℃以下となるように調整した状態下で、かかる排水中に、ジメチルアミノエチルアクリレート系ポリマ若しくはジメチルアミノエチルメタクリレート系ポリマからなり、且つイオン性を示す官能基を有するユニットが全ユニットの60モル%以上である高カチオン系高分子凝集剤を、100〜1000mg/Lの範囲の濃度となる量において添加して、該排水中に分散した前記汚れ成分を凝集させ、該汚れ成分の凝集体からなる汚泥を形成させることによって、該排水を、該汚れ成分と水分とに分離する。
特許文献2には、含油排水の油分除去装置が開示されており、この装置は、油分および懸濁物質を含有する含油排水を貯留する排水貯留槽と、高分子凝集剤を水に溶解した凝集剤溶解水を貯留する凝集剤貯留槽と、前記排水貯留槽から供給される前記含油排水の流量を調整する計量槽と、該計量槽から所定流量で供給される前記含油排水に前記凝集剤貯留槽から供給される前記凝集剤溶解水を添加した混合水を撹拌することによって前記油分や前記懸濁物質が固化した微細なフロックの凝集体であるスカムを形成する反応槽と、該反応槽から供給される前記混合水中の前記スカムを分離する分離槽と、該分離槽から供給される前記スカムに付着あるいは浸透した前記混合水を回収する脱水槽と、該脱水槽から前記混合水を前記排水貯留槽へ運搬する第1循環配管と、前記脱水槽から排出される前記スカムを貯留するスカム貯留槽と、前記分離槽から排出される前記混合水を貯留する混合水貯留槽と、該混合水貯留槽から前記混合水を前記反応槽へ運搬する第2循環配管とを有している。更に、引用文献2には、凝集剤溶解水中の高分子凝集剤の濃度を0.2質量%以上にし、かつ、凝集剤溶解水の粘度を300mPa・s以上に保つ凝集剤貯留槽も開示されている。
特開2004−230278号公報 特開2015−73945号公報 特開2003−211293号公報 特開2007−307512号公報 特開2010−264417号公報
機械設備標準仕様書、平成28年度、一般財団法人 下水道事業支援センター発行
上記のカチオン性有機高分子凝集剤を使用した凝集加圧浮上処理では、無機凝集剤とアニオン性有機高分子凝集剤の2種類の薬品を使用する必要はなくなり、上記(1)〜(3)の課題は解決されるが、依然として、上記(4)の課題は解決されないままである。また、カチオン性有機高分子凝集剤による油分の凝集処理では、さらに下記のような課題が生じることが分かった。
(5)カチオン性有機高分子凝集剤で油分を含む排水を凝集させると、油分やカチオン性有機高分子凝集剤の粘着性・粘性に起因し、フロックの粘着性が増加し、凝集槽、凝集槽の撹拌機、加圧浮上槽、配管などにフロックが付着するトラブルが起こる。さらには、このような付着トラブルによって凝集不良や分離不良が起こる。
本発明の目的は、上記(4)及び(5)の課題を同時に解決できる水処理方法及び水処理装置を提供することである。より詳しくは、上記(4)の課題に対して、汚泥の含水率を低減し、発生する汚泥量を削減することができる水処理方法及び水処理装置を提供することである。
また、汚泥の含水率を低減し、発生する汚泥量を削減することにより、後段の脱水処理を不要とし、脱水処理で使用される凝集剤を不要とする水処理方法及び水処理装置を提供することである。
また、本発明の目的は、上記(5)の課題に対して、カチオン性有機高分子凝集剤、油分を含む被処理水、凝集条件を適切に選択し、フロック粘着性のトラブルを回避する水処理方法及び装置を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成とすることができる。
(I)油分及び有機物を含む被処理水に、カチオン性有機高分子凝集剤を添加して混合し、油分及び有機物を凝集させ、油分及び有機物のフロックを形成するフロック形成工程と、前記フロックが形成された被処理水を、前記フロックと分離液とに機械的に固液分離する機械的固液分離工程と、を有する水処理方法において、前記カチオン性有機高分子凝集剤はカチオン性モノマーを50モル%以上含む原料モノマーから生成され、純水に2g/Lの濃度で溶解した前記カチオン性有機高分子凝集剤の溶液を、60分−1の回転速度でB型粘度計を用いて25℃で測定した粘度が200mPa・s以上であり、前記被処理水の前記油分の濃度(ヘキサン抽出物質濃度)と、前記被処理水の前記有機物の濃度(COD Cr 濃度)との比が0.5以下である
(II)機械的固液分離工程では、フロックを加圧して固液分離することができる。
(III)分子量が500万以上のカチオン性有機高分子凝集剤を用いることが好ましい。
(IV)フロック形成工程の好ましい条件は、撹拌機の回転速度を30分−1〜200分−1に設定した凝集槽で被処理水とカチオン性有機高分子凝集剤の溶液を撹拌し、混合することである。
(V)また、フロック形成工程では、被処理水とカチオン性有機高分子凝集剤とを5分以上混合することが好ましい。
(VI)機械的固液分離工程において、フロックを1kPa〜100kPaの圧力で加圧することができる。
更に、本発明は、以下のような水処理装置に関するものである。
(VII)上記いずれかの水処理方法に用いる排水の水処理装置であって、油分及び有機物を含む被処理水に、カチオン性有機高分子凝集剤を加えて混合溶液を得る供給手段と、混合溶液の油分及び有機物を凝集させ、油分及び有機物のフロックを含む被処理水を得る凝集手段と、フロックを含む被処理水を、フロックと分離液とに機械的に固液分離する固液分離手段と、分離したフロックを1〜100kPaの圧力で加圧する加圧手段を有することを特徴とする。
本発明によれば、油分を含む被処理水の水処理方法において、汚泥の含水率を低減し、発生する汚泥量を削減することができる。また、本発明によれば、油分を含む被処理水の水処理方法において、汚泥の含水率を低減し、発生する汚泥量を削減することにより、後段の脱水処理を不要とし、脱水処理で使用される凝集剤を不要とすることができる。また、カチオン性有機高分子凝集剤凝集剤で油分を含む被処理水の水処理方法において、フロック粘着性トラブルを回避できる。
本発明を模式的に示すフローシート 本発明の水処理装置の第1例を説明する模式図 本発明の水処理装置の第2例を説明する模式図 本発明の水処理装置の第3例を説明する模式図 本発明の水処理装置の第4例を説明する模式図 固液分離装置の第1例を説明する模式的断面図 固液分離装置の第2例を説明する模式的断面図
図1は本発明を模式的に示すフローシートであり、本発明の水処理方法及び水処理装置は、油分と有機物を含む被処理水を処理対象とし、この被処理水にカチオン性有機高分子凝集剤を添加してフロックを形成し、フロックが形成された被処理水を、汚泥(フロック)と分離液に機械的に固液分離する。以下、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は特定の具体例に限定されるものではない。
[被処理水]
処理の対象となる被処理水は、油分と有機物を含む排水であれば特に限定されない。例えば、食品加工工場、食品製造工場、機械工場、自動車工場など各種工場で発生する排水を挙げることができる。また、ショッピングセンタ、レストラン、スーパーマーケット、ホテル、病院などの各種施設から排出される排水(例:厨房排水)を挙げることができる。また、被処理水は、無機物を含んでもよい。
油分とは、常温で液体の油のみならず、常温で固体の脂肪、即ち、油脂類全般を意味する。被処理水に含まれる油分としては、例えば、植物油、動物油、鉱物油などがあり、被処理水は1種類の油分のみを含む場合、2種以上の油分を含む場合がある。一般的に、排水中の油分の濃度は、ヘキサン抽出物質(JIS K0102)として測定される。
他方、有機物は、上記のような油分と、油分以外の有機物の全てを含む概念であり、例えば、上記のような油分(植物油、動物油、鉱物油)に加え、炭水化物、タンパク質、脂質、核酸、アルコール類、脂肪酸、界面活性剤、塗料などがあり、これら有機物が1種以上含まれている排水を処理対象とすることができる。すなわち、「油分と有機物を含む排水」には、油分の他に油分以外の有機物を含む排水の他、油分の他は有機物を含まない排水がある。
有機物は、動植物由来の物質でも化学的に合成された物質でもよい。また、上記のような有機物から製造された物質でも上記有機物の分解物でもよい。一般的に、排水中の有機物の総量は、CODCrとして測定される。
油分をヘキサン抽出物質として測定し、有機物をCODCrとして測定した場合、被処理物に含まれる油分濃度(mg/L)と有機物濃度CODCr(mg/L)との比H/Cは、好ましくは0.01〜0.60、特に0.01〜0.50、その中でも0.01〜0.40、特に0.30以下であることが好ましい。
被処理水に含まれる有機物に対する油分の比が高すぎると、油分をカチオン性有機高分子凝集剤で凝集させた場合、油分とカチオン性有機高分子凝集剤の粘着性・粘性により、フロックの粘着性が高くなり、水処理装置の装置や部品(凝集槽、凝集槽の撹拌機、固液分離装置、固液分離装置のろ過面、配管等)にフロックが付着するトラブルが起こる。さらには、このような付着トラブルによって凝集不良や分離不良が起こる。特に、カチオン度が高く、分子量が大きい有機高分子凝集剤を使用する場合には、フロックの粘着性は著しく増加し、上記のようなトラブルは顕著である。
一方、被処理水に含まれる有機物に対して油分の比が十分に低いと、油分をカチオン性有機高分子凝集剤で凝集させた場合にフロックの粘着性は低くなり、上記のようなトラブルを回避できる。従って、カチオン度が高く、分子量が大きい有機高分子凝集剤を使用する場合でも、上記のようなトラブルは発生しない。
<カチオン性有機高分子凝集剤>
−種類
カチオン性有機高分子凝集剤としては、カチオン性モノマーの単独重合体又は共重合体、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとの共重合体などから1種以上を選択して使用することができる。本発明では、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄などの無機凝集剤と明確に区別するため、有機高分子凝集剤と記載するが、一般的には単に高分子凝集剤と称される。
カチオン性モノマーとしては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの中和塩、3級塩若しくは4級塩などが挙げられ、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート又はジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの中和塩、3級塩若しくは4級塩などから1種以上を選択して用いることができる。これらの中でもジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級塩が好ましく、より好ましくはアンモニウム塩である。
ノニオン性モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニルなどから1種以上を選択して用いることができる。アニオン性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸、及びこれらの金属塩又はアンモニウム塩などから1種以上を選択して用いることができる。
なお、(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートの両方を含む概念であり、(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸の両方を含む概念であり、更に、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミドとメタクリルアミドの両方を含む概念である。
また、カチオン性有機高分子凝集剤としては、非アミジン系高分子凝集剤に加え、アミジン単位を有するアミジン系高分子凝集剤、アミジン系高分子凝集剤と上記の非アミジン系高分子凝集剤を混合した高分子凝集剤などが挙げられる。
カチオン性有機高分子凝集剤の態様は、粉末状、液状(ディスパージョン状、エマルジョン状)などが挙げられる。
−カチオン度
上述したように、原料モノマーの種類や凝集剤の態様は限定されるものではないが、本発明は、カチオン度が50mol%以上、即ち、ポリマの全モノマー単位(ユニット)中にカチオン性モノマー単位を50mol%以上含むカチオン性有機高分子凝集剤を用いることが好ましく、特に好ましいカチオン度は60mol%以上、その中でも80mol%以上が好ましい。
更に、実質カチオン性モノマーからなる(100mol%)カチオン性有機高分子凝集剤を使用することもできる。なお、カチオン度は、凝集剤の原料モノマーに含まれるカチオン性モノマーの割合(mol%)として定義することもできる。
一般的に、排水中に含まれる油分は、界面活性剤やアルカリ成分によって、排水中に細かく分散し、油分粒子の表面は負に帯電している。一般的な汚濁物質のゼータ電位に比べて、油分粒子のゼータ電位は著しく低く、通常のカチオン性有機高分子凝集剤を加えても、フロックは形成されないか、フロックが形成されても機械的な固液分離に耐えられる強いフロックは形成されない。
一方、カチオン度が50mol%以上のカチオン性有機高分子凝集剤を加えて混合すると、大きく正に帯電した(正の電荷密度が高い)分子鎖が排水中に細かく分散した油分を捕捉し、機械的な固液分離に耐えられる強いフロックを形成することができる。
−分子量
カチオン性有機高分子凝集剤の分子量は特に限定されないが、分子量が500万以上であることが好ましく、特に600万以上、その中でも800万以上であることが好ましい。ここでの分子量は、固有粘度法で測定・算出された値であり、その測定、算出法の詳細は、「ポリマー凝集剤使用の手引き」の112〜116頁(東京都下水道サービス株式会社、平成14年3月発行)に記載されている。
上述したように排水中の油分は細かく分散しているので、通常のカチオン性有機高分子凝集剤を加えても、フロックは形成されないか、フロックが形成されても機械的な固液分離に耐えられる強いフロックは形成されない。一方、カチオン度50mol%以上であることに加え、分子量が500万以上のカチオン性有機高分子凝集剤を添加して混合すると、長い分子鎖が排水中に細かく分散した油分を捕捉し、機械的な固液分離に耐えられる強いフロックを形成することができる。
−粘度
分子量と同じ観点から、カチオン性有機高分子凝集剤の特性を溶液粘度で定義することもできる。具体的には、カチオン性有機高分子凝集剤を純水に2g/Lで溶解したときの溶液粘度は、200mPa・s以上であることが好ましく、特に220mPa・s以上、その中でも250mPa・s以上であることが好ましい。
また、カチオン性有機高分子凝集剤を純水に1g/Lで溶解した場合、その水溶液の粘度は100mPa・s以上であることが好ましく、特に120mPa・s以上、その中でも150mPa・s以上であることが好ましい。
なお、上記粘度は、濃度が1g/Lと2g/Lのいずれの場合も、B形粘度計、JIS K7117−1:1999の附属書1(参考)に記載されているスピンドルSB2号を使用し、25℃、60min−1の回転速度で測定した値である。スピンドルはロータとも呼ばれる。
−溶媒
カチオン性有機高分子凝集剤は、好ましくは溶媒に溶解又は分散させた凝集剤溶液として使用する。この溶媒は特に限定されないが、例えば、純水、水道水、工業用水、地下水、各種排水処理の処理水、海水などを挙げることができる。カチオン性有機高分子凝集剤の凝集力を最大限発揮させる観点からは、純水、水道水を使用することが好ましい。一方、経済性の観点からは、工場用水、地下水、各種排水処理の処理水を使用することが好ましい。
−注入量
カチオン性有機高分子凝集剤の注入量は、3mg/L〜300mg/Lであることが好ましく、特に5mg/L〜200mg/L、その中でも10mg/L〜150mg/Lであることが好ましい。なお、凝集剤溶液を使用する場合、この注入量及び下記
注入率は、溶媒を除いた凝集剤単独の量を示す。
更に、被処理水のCODCrに対するカチオン性有機高分子凝集剤の注入率は、0.2%〜3.0%であることが好ましく、特に0.3%〜2.5%、その中でも0.4%〜2.0%であることが好ましい。カチオン性有機高分子凝集剤の注入量や注入率が高すぎると、処理コストが高くなるだけではなく、フロックの粘性が増して固液分離が困難になる、フロックが崩れやすくなる等の問題が生じる。
[その他の薬剤(凝集助剤)]
本発明は、無機凝集剤など他の薬剤を使用しなくても、油分を含む排水を処理可能ではあるが、上記カチオン性有機高分子凝集剤以外の薬剤の使用を何ら制限するものではない。具体的には、公知の無機凝集剤、有機高分子凝結剤(カチオン性有機高分子凝集剤よりも低分子量の凝集剤)、油除去剤などから選択される1種以上の凝集助剤を添加することもできる。
無機凝集剤としては硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化アルミニウム、ポリ硫酸第2鉄(ポリ鉄)、硫酸第2鉄、塩化第2鉄あるいはこれらの混合物が使用可能である。有機高分子凝結剤としては縮合系ポリアミン、ジシアンジアミド・ホルマリン縮合物、ポリエチレンイミン、ポリビニルイミダリン、ポリビニルピリジン、ジアリルアミン塩・二酸化硫黄共重合体、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩・二酸化硫黄共重合体、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩・アクリルアミド共重合体、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩・ジアリルアミン塩酸塩誘導体共重合体、アリルアミン塩重合体などが挙げられる。
縮合系ポリアミンの具体例としては、アルキレンジクロライドとアルキレンポリアミンとの縮合物、アニリンとホルマリンの縮合物、アルキレンジアミンとエピクロルヒドリンとの縮合物、アンモニアとエピクロルヒドリンとの縮合物などが挙げられる。エピクロルヒドリンと縮合するアルキレンジアミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、ジブチルアミンなどが挙げられる。
無機凝集剤は、カチオン性有機高分子凝集剤を添加する前に被処理水に添加することが好ましい。しかし、汚泥の増加等の問題を考慮すると、無機凝集剤の使用量は、被処理水1L当たり1000mg未満、好ましくは500mg未満、より好ましくは100mg未満、特に好ましくは10mg未満であり、無機凝集剤を実質使用しないことも可能である。
油除去剤は、被処理水に分散して油の除去に寄与する物質であって、天然高分子系油除去剤、合成高分子系油除去剤のうち1種以上を用いることが可能であり、その態様も紛体、短繊維状など特に限定されないが、化学構造中に親水性部分と疎水性部分の少なくとも一方を有する物質であって、好ましくは親水性部分と疎水性部分の両方を含む物質を用いる。
天然高分子系油除去剤は、親水性物質であれば特に限定されず、天然物をそのまま、天然物からの抽出物、天然物の精製品、天然物の加工品(化学修飾、変性)、天然物の再生品など多用なものを使用することができるが、好ましくはセルロース系物質、タンパク質系物質であり、特に好ましくはセルロース系物質である。
合成高分子系油除去剤は、化石原料から合成される親油性物質であれば特に限定されず、ポリオレフィン、ビニル系重合体、脂肪族ポリエステルその他樹脂材料を1種以上用いることができる。更に、分子鎖の絡み合いまたは三次元的な架橋構造のネットワークの中に油分を分子レベルで抱き込む吸油性ポリマを0.1mmから約5mmに無定形に粉砕した粉末も使用可能である。
次に、上述したカチオン性有機高分子凝集剤を用いた水処理方法と、それに用いる装置について説明する。
<水処理装置>
図2〜5は第1〜第4例の水処理装置1a〜1dを示す模式図であって、同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。これらの水処理装置1a〜1dは、供給手段15と、固液分離装置31a〜31cとを有しており、供給手段15は固液分離装置31cに接続されるか(図4)、固液分離装置31a、31bの前段の装置に接続されている(図2、3、5)。
具体的には、固液分離槽31a〜31cの前段には、被処理水11が最初に供給される貯槽11が設置され(図2〜5)、この貯槽11と固液分離槽31a、31bの間に、1台以上の凝集槽21、22を設置するか(図2、3)、1台以上の前処理槽25と1台以上の凝集槽21を設置する(図5)。供給手段15は、貯槽11と固液分離装置31a、31bの間、すなわち、凝集槽21、22、前処理槽25、配管、中継槽、ポンプから選択される1台以上の装置に接続される。
後述するフロックはカチオン性有機高分子凝集剤の添加により形成されるため、供給手段15が接続された装置が凝集手段を構成することになる。すなわち、凝集槽21、22、前処理槽25、配管、中継槽、ポンプから選択される装置を凝集手段の構成部材とする場合と(図2、3、5)、供給手段15が接続された固液分離装置31cを凝集手段の構成部材とする場合がある(図4)。
従って、凝集手段で形成されたフロックは、凝集手段と同じ固液分離装置31c又は凝集手段とは異なる固液分離装置31a、31bで固液分離することになる。固液分離装置31a〜31cは特に限定さないが、重力式沈殿処理設備や加圧浮上装置よりも、加圧、遠心力、減圧(真空排気)又はこれらの組み合わせで機械的に固液分離する装置を用いる。
具体的には、汚泥脱水に用いられる公知の脱水装置も用いることが可能であり、より具体的には、スクリュープレス脱水機、ベルトプレス脱水機、遠心脱水機、多重円板型脱水機(例えば、非特許文献1に開示)、多重板型スクリュープレス脱水機(非特許文献1に開示)、回転加圧脱水機(非特許文献1に開示)、真空脱水機、楕円板型脱水機(特許文献3、特許文献4に開示)を用いることができる。
更に、固液分離装置31a〜31cには従来から汚泥濃縮に使用される濃縮機をも用いることが可能であり、例えば、スクリュー濃縮機、ベルト濃縮機(非特許文献1に開示)、遠心濃縮機(非特許文献1に開示)、楕円板型濃縮機(特許文献3、特許文献4に開示)を用いることができる。以下に、固液分離装置31a〜31bをより具体的に説明する。
図6、7は第1例、第2例の固液分離装置31a、31bを示す部分断面図であって、固液分離装置31a、31bはフロックを連続処理するフロック移動手段35を有している。フロック移動手段35は、例えば、回転ロールのようなベルト駆動手段37と、ベルト駆動手段37に架け渡されたベルト36とを有している。
処理対象のフロック9は、フロック投入口33を介してはベルト36上に供給され、ベルト駆動手段37の回転により、ベルト36と共に略水平方向に移動する。ベルト36の一部又は全部はろ布で構成されており、フロック9は移動の間に水分が分離し、分離した水(分離液)はベルト36下方の捕捉手段34に補足され、水分が除去されたフロック9は汚泥として排出口39から排出される。
汚泥を排出後のベルト36はフロック投入口33側へ戻り、再度被処理水が供給されるが、フロック投入口33側へ戻る前に、洗浄管38からの洗浄水を散布し、ベルト36を洗浄してもよい。
このように、上記固液分離装置31a、31bはいずれも固液分離の連続処理に適しているが、より好ましくは、第2例の固液分離装置31bのように、加圧手段41を設置する(図7)。加圧手段41はフロック9を加圧(圧搾)する装置であって、例えば、排出口39の手前に配置された1枚以上の加圧板42を有している。
加圧板42は鉛直面からフロック投入口33側へ傾斜し、その下端とベルト36との間には隙間があり、その隙間を通過する際に、フロック9は加圧板42でベルト36に押し付けられて加圧(圧搾)される。このときの加圧圧力は、隙間の大きさ、加圧板42の傾斜角度及び枚数、フロック9の移動速度及び供給量等を加圧条件とし、1以上の加圧条件を変更することで、調整することができる。
なお、加圧手段41は加圧板42に限定されず、加圧ロールのような他の形状の加圧部材を用いてもよい。いずれの場合も、加圧手段41により、フロック9の含水率を効率良く低下させることができる。フロックに加える圧力は特に限定されず、装置構造により適宜変更可能ではあるが、200kPa以下が好ましく、特に1kPa〜150kPaが好ましく、その中でも1kPa〜100kPaが好ましい。上記圧力は、第2例の固液分離装置31bの場合は加圧板42の加圧条件で調整することができるし、スクリュープレス脱水機の場合は、スクリューの回転数や出口の開度を調整して内部圧力を調整することができる。
上述した第1例、第2例の固液分離装置31a、31bは凝集手段とは別装置である。次に、凝集手段としても機能し、フロック形成工程に使用される固液分離装置31cについて説明する。
図4の水処理装置1cに使用される固液分離装置31cは、固液分離手段と凝集手段を兼ね備えた装置の一例であり、ここでは遠心脱水装置で構成されている。この固液分離装置31cは、筒状のケーシング48と、ケーシング48に挿通された中空の外胴ボウル45と、外胴ボウル45に挿通された内胴スクリュー47とを有しており、外胴ボウル45と内胴スクリュー47は、回転軸を中心に同一方向に異なる速度で回転し、回転差が生じるように構成されている。
貯槽11の被処理水は内胴スクリュー47の内部空間に供給されるが、その前段でカチオン性有機高分子凝集剤又はその溶液が混合され、その混合溶液は、内胴スクリュー47の汚泥供給口49から外胴ボウル45と内胴スクリュー47との間の空間(プール)に供給される。供給された混合溶液は撹拌混合されながら強い遠心力を受け、生成したフロックの固液分離が進む。内胴スクリュー47の外面にはスクリュー羽根46が取り付けされており、固液分離で生じた汚泥は、回転するスクリュー羽根46により移送され、最終的に固液分離装置31cの排出口から排出される。他方、分離液は、汚泥排出側との水位差により、汚泥とは別の排出口から排出される。
遠心力を利用する固液分離装置31cは、凝集手段としての機能と、固液分離手段としての機能を兼ね備えるため、凝集槽21、22を省略することができるが、凝集効率向上のために凝集槽21、22を設置してもよく、pH調整などの前処理のための前処理槽25を設置してもよい。
更に、いずれの水処理装置1a〜1dの場合も、凝集助剤の供給手段17、pH調整剤を供給するpH調整手段、分離液のろ過手段や、フロック(汚泥)の濃縮装置等、その他装置を別途設けることもできる。
次に、上記のような水処理装置1a〜1dを用いた水処理方法を具体的に説明する。
<水処理方法>
供給手段15は溶解槽18と、ポンプ14とを有しており、溶解槽18には、予め、カチオン性有機高分子凝集剤を水などに溶解した溶液を収容しておく。更に必要であれば、カチオン性有機高分子凝集剤と同じ供給手段15又は別の供給手段17に、凝集助剤やpH調整剤等の他の薬剤を収容しておく。
油分と有機物とを含有する排水を被処理水とし、この被処理水を、先ず貯槽11へ供給する。被処理水の油分濃度が高すぎる場合は、油分濃度の低い排水と混合し、被処理水の有機物に対する油分濃度の比H/Cを所望の値(例:0.60以下)にしてから、ポンプ等の送液手段により、固液分離装置31a〜31c側へ供給することもできる。
被処理水には、上記カチオン性有機高分子凝集剤を添加する前に、pH調整剤と凝集助剤の少なくとも一方を添加してもよい。
凝集助剤を使用する場合は、その供給手段17は、貯槽11から凝集槽21、22迄の間、即ち、貯槽11、前処理槽25、凝集槽21、22、配管、中継槽、ポンプのうち一ヶ所以上に接続する(図5)。
凝集助剤が油除去剤と無機凝集剤から選択される場合、いずれもカチオン性有機高分子凝集剤場所よりも上流側で被処理水に添加し、油除去剤と無機凝集剤を併用する場合、油除去剤の添加後に無機凝集剤を添加することが好ましい。
pH調整剤を使用する場合、好ましくは、凝集槽21よりも上流側の前処理槽25を中和槽とし(図5)、貯槽11から供給した被処理水に、酸、アルカリ、緩衝剤などから選択される1種以上のpH調整剤を添加してpHを調整し、遅くともカチオン性有機高分子凝集剤を添加する前に、凝集に適したpH(例:pH4〜10)に調整する。
カチオン性有機高分子凝集剤は、前処理槽25で添加してもよいが、好ましくは、pH調整よりも下流側の凝集槽21、22で被処理水に添加する。
図3のように凝集槽21、22を複数設置する場合、全ての凝集槽21、22に供給手段15を接続してもよいが、少なくとも貯槽11に最も近い凝集槽21(上流側)で、カチオン性有機高分子凝集剤を添加する。
カチオン性有機高分子凝集剤(溶液)が添加された被処理水の混合溶液は、撹拌機で撹拌され、被処理水に含まれる油分と有機物(懸濁物質)とが凝集してフロックが形成される。
撹拌機の種類と撹拌条件は特に限定されないが、図2、3、5のように回転撹拌する装置の場合、凝集槽でカチオン性有機高分子凝集剤を均一に分散させながらフロックを形成(成長)させるための回転速度は30min−1〜200min−1(毎分30〜200回)が好ましく、特に30min−1〜150min−1が好ましく、その中でも特に30min−1〜100min−1が好ましい。
複数台の凝集槽21、22を設置する場合、上流側の1台以上の凝集槽21に高速撹拌機を設置して高速撹拌槽とし、下流側の1台以上の凝集槽22に低速撹拌機を設置して低速撹拌槽とすることが好ましい。
すなわち、貯槽11側の凝集槽21を高速撹拌槽とし、固液分離装置31a、31側の凝集槽22を低速撹拌槽とし、高速撹拌槽でカチオン性有機高分子凝集剤を均一に分散させた後、低速撹拌槽でフロックを成長させる。この低速撹拌により、フロックが大きく成長して、ろ過性に優れた、強固なフロックを得ることができる。なお、高速撹拌とは、200min−1以上の撹拌速度を示し、低速撹拌とは200min−1よりも遅い撹拌速度を示す。
このフロック形成装置で被処理水を処理する時間(滞留時間)は特に限定されないが、好ましくは1分〜30分であり、より好ましくは3分〜20分であり、その中でも5〜15分が特に好ましい。
滞留時間の定義は装置の種類や方法により変更することができる。例えば、被処理水を所定量ずつ撹拌槽で撹拌するバッチ式のフロック形成工程では、カチオン性有機高分子凝集剤を添加後の撹拌時間を滞留時間として定義することができる。
被処理水を連続して凝集槽21、22に供給しながら処理する連続式のフロック形成工程では、フロック形成に寄与する槽(凝集槽21、22)の容積Vを、その槽(凝集槽21、22)に供給される溶液の速度Sで除した値V/Sを滞留時間とすることができる。
凝集槽21、22を複数設置する場合、凝集槽21、22の合計容積Vから滞留時間を求めることができる。また、複数種類の溶液(被処理水、カチオン性有機高分子凝集剤溶液)を供給する場合は、各溶液の供給速度の合計Sから滞留時間を求めることもできるし、凝集槽21、22からの溶液の排出速度を供給速度の合計と見做して滞留時間を求めることもできる。
所定の滞留時間を経過後、排出された被処理水は、上述した固液分離装置31a、31bへ供給され、フロックが機械的に固液分離される。上記カチオン性有機高分子凝集剤の使用により、フロックの強度は高くなっているので、固液分離装置31a、31bで機械的に固液分離しても、フロックが破壊され難い。
また、図4の固液分離装置31cのように、フロック形成と機械的固液分離を同時に行うような場合も、フロックが破壊されずに成長する。従って、いずれの装置31a〜31cを用いた場合も、フロックの破壊が抑制され、清澄な分離液が得られる。
以下、実施例により、本発明をより具体的に説明する。
[実施例1]n‐Hex/CODCrの検討
本試験では、被処理水にカチオン性有機高分子凝集剤を加えて混合し、フロックを形成した。次に、フロックを含む被処理水をフロック(=汚泥)と分離液に固液分離した。本試験では、フロックの粘着性の観点から、本処理方法が適用できる被処理水を確認した。
試験では、下記表1に示すように、食品製造工場排水(F1〜F6、FC1〜FC3)、厨房排水(K1)、機械工場排水(M1、M2、MC1)を使用した。有機高分子凝集剤には、下記実施例2で詳述するカチオン性有機高分子凝集剤p6を使用した。凝集剤溶液のカチオン性有機高分子凝集剤の溶解濃度は1g/Lとした。
試験手順の詳細は以下の通りである。容器に1Lの被処理水を分取し、下記表1に記載した注入量でカチオン性有機高分子凝集剤を加え、撹拌機(回転速度50min−1、撹拌時間10min)で被処理水とカチオン性有機高分子凝集剤を混合し、フロックを形成させた。なお、表1の注入量は、凝集剤溶液としてではなく、カチオン性有機高分子凝集剤としての量を示す。
次に、ふるい(目開き1mm)と加圧板(圧力50kPa)を使用して、フロックを含む被処理水を汚泥と分離液(=処理水)に固液分離した。最後に、処理水のSS及びヘキサン抽出物質と、汚泥の含水率とを測定した。フロックの粘着性は、容器、撹拌機の撹拌羽根に付着する度合いで判定した。
試験結果を表1に示す。これらの試験結果から、被処理水のヘキサン抽出物質とCODCrの比(H/C)が0.5以下であれば、フロック粘着性はないか、あったとしてもわずかであり、フロック形成や固液分離でフロック粘着性が問題になることはなかった。
一方、処理水のヘキサン抽出物質とCODCrの比(H/C)が、0.5より大きいと、フロック粘着性があり、フロック形成や固液分離でフロック粘着性が問題になり、処理ができなかった。そのため、比較例では、処理水の「SS」、「ヘキサン抽出物質」と「汚泥含水率」を測定しなかった。
Figure 0006710666
[実施例2]カチオン度と2g/L溶液粘度の検討
本試験では、フロックを形成して固液分離をする工程において、種類の異なるカチオン性有機高分子凝集剤を使用し、処理性能を比較した。
試験では、食品製造工場排水(F11〜F13)、機械工場排水(M1)を使用した。有機高分子凝集剤には、カチオン性有機高分子凝集剤p1〜p12を使用した。カチオン性有機高分子凝集剤p1はジメチルアミノエチルメタクリレート四級アンモニウム塩の単独重合体であり、カチオン性有機高分子凝集剤p2〜p12はジメチルアミノエチルアクリレート四級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体である。カチオン性有機高分子凝集剤の溶解濃度はいずれも1g/Lとした。
試験手順の詳細は以下の通りである。容器に1Lの被処理水を分取し、表2に記載の注入量でカチオン性有機高分子凝集剤を加え、撹拌機(回転速度50min−1、撹拌時間10min)で被処理水とカチオン性有機高分子凝集剤を混合し、フロックを形成させた。次に、ふるい(目開き1mm)を使用して、フロックを含む被処理水を汚泥と分離液(=処理水)に固液分離した。最後に、処理水のヘキサン抽出物質を測定した。
試験結果を表2に示す。これらの試験結果から、有機高分子凝集剤のカチオン度(全モノマーに対するカチオン性モノマーの割合)が50モル%以上で、かつ、カチオン性有機高分子凝集剤を純水に2g/Lの濃度で溶解した水溶液の粘度が200mPa・s以上である場合に、大きなフロックが形成され、処理水のヘキサン抽出物質の低減が可能であった。
また、カチオン性有機高分子凝集剤を純水に1g/Lの濃度で溶解した溶液の粘度が100mPa・s以上である場合に、大きなフロックが形成され、処理水のヘキサン抽出物質を低減可能であった。また、カチオン性有機高分子凝集剤の分子量が500万以上である場合に、大きなフロックが形成され、処理水のヘキサン抽出物質を低減可能であった。
Figure 0006710666
[実施例3]撹拌機回転速度の検討
上記実施例1、2では、フロック形成工程と固液分離工程とを、所定量(1L)ずつ処理するバッチ方式としたが、実施例3では連続式とした。
すなわち、連続的に被処理水とカチオン性有機高分子凝集剤を凝集槽に供給して混合し、フロックを形成させると共に、フロックが形成された被処理水を凝集槽から連続して排出して固液分離装置へ供給し、連続的に固液分離した。
この試験では、食品製造工場排水(F21)を使用した。カチオン性有機高分子凝集剤としては、上記表2のカチオン性有機高分子凝集剤p6を使用した。カチオン性有機高分子凝集剤の溶解濃度は2g/Lとした。
試験手順の詳細は以下の通りである。撹拌機が設置された凝集槽(容積:32L)に、被処理水(流量:5L/min)、有機高分子凝集剤の溶液(流量:0.15L/min)を供給し、撹拌機(回転速度:20〜300min−1)で被処理水とカチオン性有機高分子凝集剤を混合してフロックを形成させた。
次に、図7に示す機械的固液分離装置31bを使用して、フロックを含む被処理水を汚泥と分離液(=処理水)に固液分離した。加圧板42の圧力は5kPaに設定した。最後に、処理水のヘキサン抽出物質を測定した。
試験結果を表3に示す。これらの試験結果から、撹拌機の回転速度を30〜200min−1に設定してフロックを形成することにより、1mm以下の微細フロック形成を抑制しながら、大きなフロックを形成でき、処理水のヘキサン抽出物質を低減できた。また、この範囲に回転速度を設定してフロックを形成することにより、撹拌羽根へのフロック付着を抑制できた。
Figure 0006710666
[実施例4]滞留時間の検討
本試験は、実施例3と同様に、フロック形成工程と固液分離工程をそれぞれ連続式で行った。
試験では、食品製造工場排水(F21)を使用した。有機高分子凝集剤には、上記表2のカチオン性有機高分子凝集剤p6を使用した。カチオン性有機高分子凝集剤の溶解濃度は2g/Lとした。
試験手順の詳細は以下の通りである。撹拌機が設置された凝集槽(容積:32L)に、被処理水(供給流量:3〜10L/min)、カチオン性有機高分子凝集剤の溶液(供給流量:0.09〜0.30L/min)を供給し、撹拌機(回転速度:60min−1)で被処理水とカチオン性有機高分子凝集剤を混合してフロックを形成させた。
次に、図7に示す機械的固液分離装置31bを使用して、フロックを含む被処理水を汚泥と分離液(=処理水)に固液分離した。加圧板42の圧力は5kPaに設定した。最後に、処理水のヘキサン抽出物質を測定した。
試験結果を表4に示す。これらの試験結果から、混合時間(滞留時間)が5分以上でフロックを形成することにより、1mm以下のフロック形成を抑制させながら、大きなフロックを形成でき、処理水のヘキサン抽出物質を低減できることが確認された。
Figure 0006710666
[実施例5]加圧圧力の検討
本試験では、機械的固液分離装置でフロックを加圧する圧力と処理性能との関係を調べるため、実施例3と同様、フロック形成工程と固液分離工程をそれぞれ連続式で行った。
試験では、食品製造工場排水(F21、F22)を使用した。有機高分子凝集剤には、上記表2のカチオン性有機高分子凝集剤p6を使用した。カチオン性有機高分子凝集剤の溶解濃度は2g/Lとした。
試験手順の詳細は以下の通りである。撹拌機が設置された凝集槽(容積:32L)に、被処理水(流量:5L/min)、カチオン性有機高分子凝集剤の溶液(流量:0.15〜0.20L/min)を供給し、撹拌機(回転速度:60min−1)で被処理水とカチオン性有機高分子凝集剤を混合してフロックを形成させた。
次に、第2例の機械的固液分離装置31b(図7)を使用して、フロックを含む被処理水を汚泥と分離液(=処理水)に固液分離した。機械的固液分離装置上部の加圧板の圧力は0〜200kPaの間で変更した。最後に、処理水のヘキサン抽出物質、汚泥の含水率を測定した。
試験結果を表5に示す。これらの試験結果から、フロックを加圧することにより、汚泥の含水率を低減できた。また、フロックを1〜100kPaで加圧することにより、処理水の悪化を抑制しながら、汚泥の含水率を低減できた。
Figure 0006710666
1a〜1d:水処理装置、 9:フロック、 11:貯槽、 14:ポンプ、 15、17:供給手段、 18:溶解槽、 21、22:凝集槽、 25:前処理槽、 31a〜31c:固液分離装置、 フロック投入口33、 34:捕捉手段、 35:フロック移動手段、 36:ベルト、 37:ベルト駆動手段、 38:洗浄管、 39:排出口、 41:加圧手段、 42:加圧板、 45:外胴ボウル、 46:スクリュー羽根、 47:内胴スクリュー、 48:ケーシング、 49:汚泥供給口

Claims (7)

  1. 油分及び有機物を含む被処理水に、カチオン性有機高分子凝集剤を添加して混合し、油分及び有機物を凝集させ、油分及び有機物のフロックを形成するフロック形成工程と、
    前記フロックが形成された被処理水を、前記フロックと分離液とに機械的に固液分離する機械的固液分離工程と、を有し、
    前記カチオン性有機高分子凝集剤は、全原料モノマーに占めるカチオン性モノマーの割合が50モル%以上であり、
    純水に2g/Lの濃度で溶解した前記カチオン性有機高分子凝集剤の溶液を、60分−1の回転速度でB型粘度計を用いて25℃で測定した粘度が200mPa・s以上であり、
    前記被処理水の前記油分の濃度(ヘキサン抽出物質濃度)と、前記被処理水の前記有機物の濃度(COD Cr 濃度)との比が0.5以下であることを特徴とする水処理方法。
  2. 前記機械的固液分離工程は、前記フロックを加圧して固液分離することを特徴とする請求項1に記載の水処理方法。
  3. 前記カチオン性有機高分子凝集剤の分子量が500万以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の水処理方法。
  4. 前記フロック形成工程は、撹拌機の回転速度を30分−1〜200分−1に設定した凝集槽で前記被処理水と前記カチオン性有機高分子凝集剤の溶液を混合することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の水処理方法。
  5. 前記フロック形成工程では、前記被処理水と前記カチオン性有機高分子凝集剤とを5分以上混合することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の水処理方法。
  6. 前記機械的固液分離工程において、前記フロックを1kPa〜100kPaの圧力で加圧することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の水処理方法。
  7. 前記請求項1〜のいずれか1項記載の水処理方法に用いる排水の水処理装置であって、
    油分及び有機物を含む被処理水に、前記カチオン性有機高分子凝集剤を加えて混合溶液を得る供給手段と、
    前記混合溶液の油分及び有機物を凝集させ、油分及び有機物のフロックを含む被処理水を得る凝集手段と、
    前記フロックを含む被処理水を、前記フロックと分離液とに機械的に固液分離する固液分離手段と、
    前記フロックを1kPa〜100kPaの圧力で加圧する加圧手段と、
    を有することを特徴とする油分及び有機物を含む排水の水処理装置。
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