JP6709713B2 - コンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法及びコンクリート構造物の修復方法 - Google Patents

コンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法及びコンクリート構造物の修復方法 Download PDF

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Description

本発明は、コンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法及びコンクリート構造物の修復方法に関する。
ダム等のコンクリート構造物において、コンクリート構造物に浮き又は剥離が生じているか否かを検査する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、コンクリートの壁面の表層部の浮きを調査する際に、吊下ロープに打音棒とマイクロフォンとからなるピックアップを装着し、吊下ロープを壁面に沿って移動させてピップアップを位置決めし、打音棒により壁面を軽打して打音を発生させ、打音をマイクロフォンで収録し、収録音を遠隔で聴取して温室を区分けすることにより、壁面の浮きの存在位置を遠隔診断する方法が開示されている。
特開昭63−279166号公報
ところで、上記のような従来技術では、測定者が打音を聴取することによる定性的な判断しかできないため、測定者による検査結果のバラツキが生じる欠点があり、改善が望まれている。
そこで本発明は、コンクリート構造物の浮き及び剥離を定量的に検査することができるコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法を提供することを目的とする。
本発明は、先端に弾性体の球体を有するハンマーによりコンクリート構造物に打撃を加える打撃工程と、打撃工程におけるハンマーの球体とコンクリート構造物との接触時間と、ハンマーの球体の速度とを測定する測定工程と、測定工程で測定された接触時間及びハンマーの球体の速度と、ハンマーの球体のポアソン比と、ハンマーの球体の弾性係数と、ハンマーの球体の質量と、ハンマーの球体の半径と、コンクリート構造物のポアソン比とから、コンクリート構造物の弾性係数を算出する算出工程と、算出工程により算出されたコンクリート構造物の弾性係数が予め設定された健全度閾値より小さいときに、コンクリート構造物に浮き及び剥離のいずれかが生じていると評価する評価工程とを備えたコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法である。
この構成によれば、打撃工程により、先端に弾性体の球体を有するハンマーによりコンクリート構造物に打撃が加えられ、測定工程により、打撃工程におけるハンマーの球体とコンクリート構造物との接触時間と、ハンマーの球体の速度とが測定され、算出工程により、測定工程で測定された接触時間及びハンマーの球体の速度と、ハンマーの球体のポアソン比と、ハンマーの球体の弾性係数と、ハンマーの球体の質量と、ハンマーの球体の半径と、コンクリート構造物のポアソン比とから、コンクリート構造物の弾性係数が算出され、評価工程により、算出工程により算出されたコンクリート構造物の弾性係数が予め設定された健全度閾値より小さいときに、コンクリート構造物に浮き及び剥離のいずれかが生じていると評価される。これにより、コンクリート構造物の浮き及び剥離を定量的に検査することができる。
この場合、健全度閾値は、予め求められたコンクリート構造物の弾性係数と圧縮強度との関係における予め設定されたコンクリート構造物の圧縮強度の下限値に対応するコンクリート構造物の弾性係数にすることができる。
直接的に浮き又は剥離の発生の有無を評価することは難しいが、この構成によれば、健全度閾値は、予め求められたコンクリート構造物の弾性係数と圧縮強度との関係における予め設定されたコンクリート構造物の圧縮強度の下限値に対応するコンクリート構造物の弾性係数であるため、コンクリート構造物の弾性係数と圧縮強度との関係を用いて、間接的にコンクリート構造物の浮き及び剥離を定量的に検査することができる。
また、健全度閾値は、予め求められたコンクリート構造物の表面からの深さとコンクリート構造物の弾性係数との関係における予め設定されたコンクリート構造物の表面からの深さの最小値に対応するコンクリート構造物の弾性係数にすることができる。
この構成によれば、健全度閾値は、予め求められたコンクリート構造物の表面からの深さとコンクリート構造物の弾性係数との関係における予め設定されたコンクリート構造物の表面からの深さの最小値に対応するコンクリート構造物の弾性係数であるため、コンクリート構造物の弾性係数と深さとの関係を用いて、間接的にコンクリート構造物の浮き及び剥離を定量的に検査することができる。
また、健全度閾値は、コンクリート構造物に対して予め行われたJIS A 1152に規定されたコンクリートの中性化深さの測定方法によって測定された中性化深さよりも深い部位におけるコンクリート構造物の弾性係数にすることができる。
この構成によれば、健全度閾値は、コンクリート構造物に対して予め行われたJIS A 1152に規定されたコンクリートの中性化深さの測定方法によって測定された中性化深さよりも深い部位におけるコンクリート構造物の弾性係数であるため、中性化深さの測定結果を用いて、間接的にコンクリート構造物の浮き及び剥離を定量的に検査することができる。
また、本発明は、上記本発明のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法によって浮き及び剥離のいずれかが生じていると評価されたコンクリート構造物に対して、上記本発明のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法を行いつつコンクリート構造物の表層部を削り取り、上記本発明のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法によって浮き及び剥離のいずれかが生じていると評価されなくなるまで、コンクリート構造物の表層部を削り取るコンクリート構造物の修復方法である。
この構成によれば、本発明のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法によって浮き及び剥離のいずれかが生じていると評価されたコンクリート構造物に対して、本発明のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法が行われつつコンクリート構造物の表層部が削り取られ、本発明のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法によって浮き及び剥離のいずれかが生じていると評価されなくなるまで、コンクリート構造物の表層部が削り取られる。これにより、削り取る量を最小限にしつつ、浮き及び剥離の無い状態にコンクリート構造物を修復することができる。
本発明のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法によれば、コンクリート構造物の浮き及び剥離を定量的に検査することができる。また、本発明のコンクリート構造物の修復方法によれば、削り取る量を最小限にしつつ、浮き及び剥離の無い状態にコンクリート構造物を修復することができる。
実施形態に係るコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法で使用される検査システムを示す図である。 実施形態に係るコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法の各工程を示すフローチャートである。 図1の検査システムのハンマーによりコンクリート構造物に打撃を加えたときの加速度の波形を示す図である。 コンクリート構造物の弾性係数と圧縮強度との関係を示すグラフである。 健全なコンクリート及び浮き又は剥離を有するコンクリートの弾性係数を示すグラフである。 コンクリート構造物の表面からの深さと弾性係数との関係を示すグラフである。 実施形態に係るコンクリート構造物の修復方法の各工程を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態に係るコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法及びコンクリート構造物の修復方法について、図面を用いて詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態に係るコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法は、既設のダム等のコンクリート構造物10に浮き11及び剥離12のいずれかが生じているか否かを短時間で定量的に評価するための方法である。
なお、コンクリート構造物の浮きとは、コンクリート構造物の内部でひび割れが連続したり、施工時の欠陥が供用中の振動や変形によって欠陥どうしが連続して、コンクリート構造物の表面付近のコンクリートがコンクリート構造物の内部のコンクリートと一体性を失いつつある状態を意味する。また、コンクリート構造物の剥離とは、浮きの状態にあったコンクリート構造物の表面付近のコンクリートが何らかの原因でコンクリート構造物の内部のコンクリートからはがれ落ちる現象を意味する。
本実施形態に係るコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法で使用される検査システム1は、先端に弾性体の球体3を有するハンマー2を備える。球体3は、例えば、直径が40〜60[mm]であり、重量が250〜900[g]の鋼球である。球体3には、測定者が把持するための柄部4が取り付けられている。球体3には、球体3の加速度を検出する加速度センサ5が取り付けられている。加速度センサ5には、ケーブル6の一端が接続されている。ケーブル6の他端にはモニタ7が接続されている。モニタ7は、後述する方法によって、浮き11を生じている可能性があるコンクリート構造物10の弾性係数を算出するための電子計算機である。モニタ7は、検査結果を表示する液晶ディスプレイ8を有する。
以下、本実施形態のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法について説明する。図2に示すように、先端に弾性体の球体3を有するハンマー2によりコンクリート構造物10の被測定部位に打撃を加える打撃工程が行われる(S1)。次に、打撃工程におけるハンマー2の球体3とコンクリート構造物10との接触時間と、ハンマー2の球体3の速度とを測定する測定工程とが行われる(S2)。図3に示すように、測定工程では、モニタ7の液晶ディスプレイ8に、ハンマー2によりコンクリート構造物10に打撃を加えたときの加速度の波形が表示される。ハンマー2の球体3とコンクリート構造物10との接触時間は、当該加速度の波形を解析することにより測定することができる。また、ハンマー2の球体3の速度は、例えば、ハンマー2の球体3がコンクリート構造物10に接触するまでに加速度センサ5により検出されたハンマー2の球体3の加速度を積分することにより測定することができる。
図2に戻り、測定工程で測定された接触時間及びハンマーの球体の速度と、ハンマーの球体のポアソン比と、ハンマーの球体の弾性係数と、ハンマーの球体の質量と、ハンマーの球体の半径と、コンクリート構造物のポアソン比とから、コンクリート構造物の弾性係数を算出する算出工程が行われる(S3)。本実施形態では、Hertzの弾性接触理論を応用してコンクリート構造物10の弾性係数を算出する。Hertzの弾性接触理論によれば、接触時間Tは、下式(1)により算出することができる。下式(1)において、接触時間=T、ハンマー2の球体3の速度=V、ハンマー2の球体3のポアソン比=ν、ハンマー2の球体3の弾性係数=E、ハンマー2の球体3の質量=m、ハンマー2の球体3の半径=r、コンクリート構造物10のポアソン比=ν、コンクリート構造物10の弾性係数=E、無次元係数=aである。

ハンマー2の球体3については、接触時間T、速度V、ポアソン比ν、弾性係数E、質量m及び半径rが既知である。一方、コンクリート構造物10については、弾性係数E及びポアソン比νが不明である。しかし、ただし、ポアソン比νは、ハンマー2の球体3の変形量には大きな影響を与えないパラメータであるため、常に同じ概算値等を用いても実用上問題が無い。すなわち、ハンマー2の球体3の接触時間T、速度V、ポアソン比ν、弾性係数E、質量m及び半径rと、仮定したコンクリート構造物10のポアソン比νとから、コンクリート構造物10の弾性係数Eを下式(2)により求めることができる。

算出工程により算出されたコンクリート構造物10の弾性係数Eが予め設定された健全度閾値より小さいときに、コンクリート構造物10に浮き11及び剥離12のいずれかが生じていると評価する評価工程が行われる(S4)。健全度閾値とは、コンクリート構造物10に浮き11及び剥離12のいずれかが生じているか否かを評価するための弾性係数Eの閾値である。
本実施形態では、健全度閾値は、予め求められたコンクリート構造物10の弾性係数Eと圧縮強度との関係における予め設定されたコンクリート構造物10の圧縮強度の下限値に対応するコンクリート構造物10の弾性係数Eに設定することができる。図4に示すように、様々なコンクリート構造物10において、コンクリート構造物の弾性係数と圧縮強度との関係を示す近似式y=0.02x+0.49xが解析される。一般にレディミクストコンクリート工場保有の配合において設計基準強度の最低値は18[N/mm]であるため、コンクリート構造物10の圧縮強度の下限値をy=18[N/mm]に設定すると、近似式y=0.02x+0.49xにより、弾性係数Eの下限値x=20.15≒20.2[kN/mm]となる。
図5に示すように、本発明の発明者が行った試験においては、浮き11及び剥離12のいずれもが生じていないコンクリート構造物10においては、その弾性係数Eが20.2[kN/mm]を全て上回る結果となった。一方、浮き11及び剥離12のいずれかが生じているコンクリート構造物10においては、その弾性係数Eが20.2[kN/mm]を下回る結果となった。従って、本実施形態では、健全度閾値を20.2[kN/mm]に設定することにより、コンクリート構造物10に浮き11及び剥離12のいずれかが生じているか否かを評価することができる。なお、上記圧縮強度の下限値は、コンクリート構造物10の状況に応じて適宜変更することができる。
また、健全度閾値は、予め求められたコンクリート構造物の表面からの深さとコンクリート構造物の弾性係数との関係における予め設定されたコンクリート構造物の表面からの深さの最小値に対応するコンクリート構造物の弾性係数Eに設定することができる。本願発明の発明者は、既設のコンクリートダムにおいて、本実施形態のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法により、コンクリート構造物10のコンクリートの表面からの深さ方向における弾性係数Eの測定を行った。図6に示すように本実施形態の検査方法によって得られた弾性係数Eとコンクリートの表面からの深さには相関が見られた。一般的に、コンクリートの劣化は露出している表面から進行していくため、本実施形態の検査方法によって得られた弾性係数Eを用いて、コンクリート構造物10のコンクリートの劣化の度合を評価することが可能である。
この場合、例えば、予め健全なコンクリート構造物10での本実施形態の検査方法による弾性係数Eを把握しておくことで、その値を健全度閾値として、コンクリート構造物10に浮き11及び剥離12のいずれかが生じているか否かの評価を行うことができる。例えば、過去の事例より、コンクリート表面より15[cm]程度の深さの部位においては健全なコンクリートとして評価できることが知られている。そのため、過去の事例において、図6に示すような予め求められたコンクリート構造物の表面からの深さとコンクリート構造物の弾性係数Eとの関係において、予め設定されたコンクリート構造物の表面からの深さの最小値である15[cm]に対応するコンクリート構造物の弾性係数Eの値を健全度閾値として用いることができる。
また、例えば、ダム等のコンクリート構造物10の一部より予め30[cm]程度のコア供試体を採取しておき、表面から15[cm]程度の深さの位置にて本実施形態の検査方法により測定した弾性係数Eの値を健全度閾値として用いることができる。コア供試体の採取はコンクリート構造物10の一部のみで行えばよく、その他の部位では本実施形態の検査方法により、短時間で少ない労力によりコンクリート構造物10の浮き11及び剥離12の検査を行うことができる。
また、健全度閾値は、コンクリート構造物10に対して予め行われたJIS A 1152に規定されたコンクリートの中性化深さの測定方法によって測定された中性化深さよりも深い部位におけるコンクリート構造物10の弾性係数Eに設定することができる。JIS A 1152に規定されたコンクリートの中性化深さの測定は、ダム等のコンクリート構造物10の一部より採取されたコア供試体が割裂され、割裂されたコア供試体の割裂面にフェノールフタレイン試薬が噴霧され、コンクリート構造物10の表面から赤紫色に呈色した部分までの深さが中性化深さとして測定されることにより行われる。中性化深さの測定はコンクリート構造物10の一部のみで行えばよく、その他の部位では本実施形態の検査方法により、短時間で少ない労力によりコンクリート構造物10の浮き11及び剥離12の検査を行うことができる。
以上に説明した本実施形態のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法を用いてコンクリート構造物を修復することができる。図7に示すように、ダム等のコンクリート構造物10のある部位において、本実施形態のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法が実行される(S11)。本実施形態のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法によって浮き11及び剥離12のいずれかが生じていると評価されたコンクリート構造物10に対して(S12)、本実施形態のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法を行いつつコンクリート構造物10の表層部が削り取られ(S13)、本実施形態のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法によって浮き11及び剥離12のいずれかが生じていると評価されなくなるまで(S12)、コンクリート構造物10の表層部が削り取られる(S13)。これにより、ダム等のコンクリート構造物10の当該部位を浮き11や剥離12の無い状態に修復することができる。
上述したように、測定者が打音を聴取する方法では、測定者が打音を聴取することによる定性的な判断しかできないため、測定者による検査結果のバラツキが生じる欠点があり、雨天等の天候による打音の変化の影響を受け易い欠点がある。また、コンクリート構造物の表面から放射される赤外線を、検出素子を用いて二次元的に走査し、検出された赤外線量を映像として表示するサーモグラフィー法では、天候や気温による影響が大きいため測定条件次第では精度が低くなってしまう欠点がある。
コンクリート構造物の表面に設置した発振子や衝撃入力装置によって内部に弾性波を発生させ、これをコンクリート構造物の表面の受振子により測定し、コンクリート構造物の内部の欠陥位置や寸法を測定する弾性波法では、コンクリートの含水状態や周辺環境における振動や騒音等のノイズの影響を受ける欠点があり、コンクリート構造物の表面の性状による影響を受ける欠点がある。JIS A 1155に規定のコンクリートの反発度の測定方法では、テストハンマーの打撃に対する硬化コンクリートの反発度から圧縮強度を推定し、非破壊の方法であるが、測定面が垂直または平面でかつ平滑でなければ適用できない欠点がある。JIS A 1152に規定されたコンクリートの中性化深さの測定の方法のみが行われた場合には、測定に時間や労力を要する欠点がある。
一方、本実施形態によれば、打撃工程により、先端に弾性体の球体3を有するハンマー2によりコンクリート構造物10に打撃が加えられ、測定工程により、打撃工程におけるハンマー2の球体3とコンクリート構造物10との接触時間Tと、ハンマー2の球体3の速度Vとが測定され、算出工程により、測定工程で測定された接触時間T及びハンマー2の球体3の速度Vと、ハンマー2の球体3のポアソン比νと、ハンマー2の球体3の弾性係数Eと、ハンマー2の球体3の質量mと、ハンマー2の球体3の半径rと、コンクリート構造物10のポアソン比νとから、コンクリート構造物10の弾性係数Eが算出され、評価工程により、算出工程により算出されたコンクリート構造物10の弾性係数Eが予め設定された健全度閾値より小さいときに、コンクリート構造物10に浮き11及び剥離12のいずれかが生じていると評価される。これにより、コンクリート構造物10の浮き11及び剥離12を定量的に検査することができる。
また、本実施形態によれば、簡易に何度でも適用でき、気象条件や周辺環境状況及びコンクリート構造物の表面の性状に左右されることなく、簡易にコンクリート構造物の健全性の評価を即座に行うことが可能となる。また、本実施形態によれば、迅速な測定が可能であるため、測定のために修復等の施工を長時間中断することがなく、工事工程短縮に資することができ、即座に測定を行えるため必要に応じて測定を繰り返しても修復等の工事工程に及ぼす影響が小さく、工事に関わる費用の縮減に資することができる。
直接的に浮き11又は剥離12の発生の有無を評価することは難しいが、本実施形態によれば、健全度閾値は、予め求められたコンクリート構造物10の弾性係数Eと圧縮強度との関係における予め設定されたコンクリート構造物10の圧縮強度の下限値に対応するコンクリート構造物10の弾性係数Eにできるため、コンクリート構造物10の弾性係数Eと圧縮強度との関係を用いて、間接的にコンクリート構造物10の浮き11及び剥離12を定量的に検査することができる。
また、本実施形態によれば、健全度閾値は、予め求められたコンクリート構造物10の表面からの深さとコンクリート構造物10の弾性係数Eとの関係における予め設定されたコンクリート構造物10の表面からの深さの最小値に対応するコンクリート構造物の弾性係数Eにできるため、コンクリート構造物10の弾性係数Eと深さとの関係を用いて、間接的にコンクリート構造物10の浮き11及び剥離12を定量的に検査することができる。
また、本実施形態によれば、健全度閾値は、コンクリート構造物10に対して予め行われたJIS A 1152に規定されたコンクリートの中性化深さの測定方法によって測定された中性化深さよりも深い部位におけるコンクリート構造物10の弾性係数Eにできるため、中性化深さの測定結果を用いて、間接的にコンクリート構造物10の浮き11及び剥離12を定量的に検査することができる。
また、本実施形態によれば、本実施形態のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法によって浮き11及び剥離12のいずれかが生じていると評価されたコンクリート構造物10に対して、本実施形態のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法が行われつつコンクリート構造物10の表層部が削り取られ、本実施形態のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法によって浮き11及び剥離12のいずれかが生じていると評価されなくなるまで、コンクリート構造物10の表層部が削り取られる。これにより、削り取る量を最小限にしつつ、浮き11及び剥離12の無い状態にコンクリート構造物10を修復することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
1…検査システム、2…ハンマー、3…球体、4…柄部、5…加速度センサ、6…ケーブル、7…モニタ、8…液晶ディスプレイ、10…コンクリート構造物、11…浮き、12…剥離。

Claims (4)

  1. 先端に弾性体の球体を有するハンマーによりコンクリート構造物に打撃を加える打撃工程と、
    前記打撃工程における前記ハンマーの前記球体と前記コンクリート構造物との接触時間と、前記ハンマーの前記球体の速度とを測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定された前記接触時間及び前記ハンマーの前記球体の速度と、前記ハンマーの前記球体のポアソン比と、前記ハンマーの前記球体の弾性係数と、前記ハンマーの前記球体の質量と、前記ハンマーの前記球体の半径と、前記コンクリート構造物のポアソン比とから、前記コンクリート構造物の弾性係数を算出する算出工程と、
    前記算出工程により算出された前記コンクリート構造物の弾性係数が20.2[kN/mm]より小さいときに、前記コンクリート構造物に浮き及び剥離のいずれかが生じていると評価し、前記算出工程により算出された前記コンクリート構造物の弾性係数が20.2[kN/mm ]以上であるときに、前記コンクリート構造物に浮き及び剥離のいずれかが生じていると評価しない評価工程と、
    を備えたコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法。
  2. 先端に弾性体の球体を有するハンマーによりコンクリート構造物の表面に打撃を加える打撃工程と、
    前記打撃工程における前記ハンマーの前記球体と前記コンクリート構造物の表面との接触時間と、前記ハンマーの前記球体の速度とを測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定された前記ハンマーの前記球体と前記コンクリート構造物の表面との接触時間及び前記ハンマーの前記球体の速度と、前記ハンマーの前記球体のポアソン比と、前記ハンマーの前記球体の弾性係数と、前記ハンマーの前記球体の質量と、前記ハンマーの前記球体の半径と、前記コンクリート構造物の表面のポアソン比とから、前記コンクリート構造物の表面の弾性係数を算出する算出工程と、
    前記ハンマーにより、前記コンクリート構造物の表面から15[cm]以上の深さで採取された供試体に打撃を加える供試体打撃工程と、
    前記供試体打撃工程における前記ハンマーの前記球体と前記供試体との接触時間と、前記ハンマーの前記球体の速度とを測定する供試体測定工程と、
    前記供試体測定工程で測定された前記ハンマーの前記球体と前記供試体との接触時間及び前記ハンマーの前記球体の速度と、前記ハンマーの前記球体のポアソン比と、前記ハンマーの前記球体の弾性係数と、前記ハンマーの前記球体の質量と、前記ハンマーの前記球体の半径と、前記供試体のポアソン比とから、前記供試体の弾性係数を算出する供試体算出工程と、
    前記算出工程により算出された前記コンクリート構造物の表面の弾性係数が前記供試体算出工程により算出された前記供試体の弾性係数より小さいときに、前記コンクリート構造物に浮き及び剥離のいずれかが生じていると評価する評価工程と、
    を備えたコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法。
  3. 先端に弾性体の球体を有するハンマーによりコンクリート構造物に打撃を加える打撃工程と、
    前記打撃工程における前記ハンマーの前記球体と前記コンクリート構造物との接触時間と、前記ハンマーの前記球体の速度とを測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定された前記接触時間及び前記ハンマーの前記球体の速度と、前記ハンマーの前記球体のポアソン比と、前記ハンマーの前記球体の弾性係数と、前記ハンマーの前記球体の質量と、前記ハンマーの前記球体の半径と、前記コンクリート構造物のポアソン比とから、前記コンクリート構造物の弾性係数を算出する算出工程と、
    前記算出工程により算出された前記コンクリート構造物の弾性係数が前記コンクリート構造物に対して予め行われたJIS A1152に規定されたコンクリートの中性化深さの測定方法によって測定された中性化深さよりも深い部位における前記コンクリート構造物の弾性係数より小さいときに、前記コンクリート構造物に浮き及び剥離のいずれかが生じていると評価する評価工程と、
    を備えたコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法によって浮き及び剥離のいずれかが生じていると評価された前記コンクリート構造物に対して、請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法を行いつつ前記コンクリート構造物の表層部を削り取り、請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の浮き及び剥離の検査方法によって浮き及び剥離のいずれかが生じていると評価されなくなるまで、前記コンクリート構造物の表層部を削り取る、コンクリート構造物の修復方法。
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