以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は、本発明の好適な具体例であって、種々の好ましい技術を開示しているが、本発明の技術範囲はこれらの態様に限定されるものではない。
先ず、本発明の実施形態によるゲート装置1について説明する。ゲート装置1は、図1等に示すように、高速道路や有料道路の料金所又は有料駐車場の出入口等のゲートにおいて、車路2の脇に車路2に沿うように形成されたコンクリート製のプラットフォームであるアイランド3上に設置されている。ゲート装置1は、車路2上を進行する車両(移動体)のゲートの通行を、後述するゲートバー16の開閉によって規制する。なお、ゲート装置1の車路2側の面とアイランド3の車路2側の縁石部とは、極力接近していることが望ましく、接近しているほどゲートバー16の長さを短くすることができる。
本実施形態では、説明の便宜上、車路2上においてゲート通過前の地点からゲートを見た場合に、手前側を「前」、向こう側(奥側)を「後」、右側を「右」、左側を「左」、上側を「上」、下側を「下」と定義する。以下、本実施形態において方向を説明する場合には、この定義に従うものとする。車路2上を進行する車両は、通常、ゲート装置1の前方からゲート装置1に接近し、その後、ゲート装置1の後方へ進む。即ち、ゲート装置1の前後方向は、車路2と平行な車両進行方向(移動体進行方向)である。
ゲート装置1は、本体部11と、垂直方向に伸長する垂直回動軸12を介して本体部11の上方に回動可能に設けられた回動部13と、垂直回動軸12と直交する水平回動軸14を介して回動部13に回動可能に設けられたゲートバー基部15と、後述するリリース動作できるようにゲートバー基部15に着脱可能に取り付けられたゲートバー16とを備える。
なお、水平回動軸14が前後方向に伸長するように位置するときの回動部13の位置を「車路遮断可能位置」と称する(図1、図3(1)及び(2)、図4(1)及び(2)、図6(2)参照)。また、リリース動作したゲートバー16を復帰させる動作(リリース復帰動作)においてゲートバー16をゲートバー基部15に保持させるときの回動部13の位置(水平回動軸14が左右方向に伸長するように位置するときの回動部13の位置)を「ゲートバー迎え位置」と称する(図3(4)、図5(2)、図6(1)参照)。以下では、回動部13等の各部の説明における各方向は、特に指定のない限り、車路遮断可能位置を基準にして示している。
また、回動部13が車路遮断可能位置(通常時の位置)にあるときに、水平回動軸14を回動してゲートバー基部15及びゲートバー16を横臥・起立させることにより車路2の遮断・開放を行う動作を「車路開閉動作」(又はゲート開閉動作)と称する。このとき、ゲートバー基部15及びゲートバー16が横臥する位置を「横臥位置」と称し(図1、図3(1)、図4(1)破線参照)、ゲートバー基部15及びゲートバー16が起立する位置を「起立位置」と称する(図4(1)実線、図6(2)実線参照)。以下では、ゲートバー基部15及びゲートバー16等の説明における各方向は、特に指定のない限り、横臥位置を基準にして示している。
先ず、本体部11について説明する。本体部11は、矩形柱状に形成された本体筐体21を備え、本体筐体21はアイランド3上に固定されている。また、本体筐体21の後面には開閉蓋17が開閉可能に取り付けられていて、この開閉蓋17を開いたときに本体筐体21の後面のほぼ全域に形成された後開口部が開口するようになっている。
本体部11は、本体筐体21の内部に垂直回動軸12、及び垂直回動軸12を回動駆動させる回動駆動部22を備える。垂直回動軸12は、本体筐体21内のほぼ中央に配置され、垂直回動軸12の上端は、本体筐体21の上面のほぼ中央に形成された開口部を介して外部に露出し、回動部13と接続可能になっている。
回動駆動部22は、後述する回動駆動モータ55(図2参照)等を備えている。回動駆動部22は、垂直回動軸12を水平方向に回動させることにより、垂直回動軸12に接続された回動部13を、水平回動軸14、ゲートバー基部15及びゲートバー16と共に水平方向に回動させることができる。例えば、回動駆動部22は、リリース動作したゲートバー16を、リリース動作する前の状態、すなわち、車路開閉動作が可能な元の状態に復帰させる際に垂直回動軸12を回動させる。
また、本体筐体21の左後側には、リリース動作したゲートバー16を支持する制止部23(ストッパ)が設けられている。制止部23は、本体筐体21から後方へ離間した位置で取り付けアーム24の上に立設している。取り付けアーム24は、本体筐体21から後方へと延設されている。制止部23は、例えば、垂直方向に長形の軸部23aと、軸部23aの周囲に回転可能に設けられる回転ローラ23bとから構成される。
また、本体部11は、送電部25を本体筐体21の左側に備える。送電部25は、通常状態では、ゲートバー16に設けられる受電部26から離間した位置で、取り付けアーム24上で制止部23の近傍に配置されている。一方、送電部25は、例えば、回動部13がゲートバー迎え位置まで回動すると共にゲートバー16がゲートバー基部15に保持されるときに、ゲートバー16に設けられる受電部26が接近して対向する。
送電部25は、ゲート装置1の電源(図示せず)に接続されていて、受電部26が送電部25に接近したときに、受電部26に対して無線で電源供給する(非接触で給電する)ように構成される。即ち、送電部25及び受電部26は、非接触給電部を構成する。送電部25と受電部26とからなる非接触給電部は、例えば、電磁結合方式によって電力供給を行うと共に、非接触通信部として信号伝送を行うように構成される。送電コイル等を有する出力部としての送電部25の伝送可能領域内に、受電コイル等を有する伝送部としての受電部26が入ると、電磁結合によって受電部26に起電力が生じる。このようにして、送電部25から受電部26へと電力供給が行われる。また、送電部25及び受電部26は、非接触通信部を構成していて、送電部25は、受電部26から伝送される検知信号を受信する。
次に、回動部13について説明する。回動部13は、矩形柱状に形成された箱状の回動筐体31を備えている。ゲート装置1を上方から見た場合に、回動筐体31の矩形状の外形は、本体筐体21の矩形状の外形と概ね同一であり、回動筐体31の下面のほぼ中央で垂直回動軸12と接続される。なお、回動筐体31の後面には開閉扉(図示せず)が開閉可能に取り付けられていて、この開閉扉を開いたときに回動筐体31の後面のほぼ全域が開口するようになっている。
回動部13は、回動筐体31の内部に水平回動軸14、及び水平回動軸14をゲートバー基部15及びゲートバー16と共に回動駆動させるゲートバー駆動部32を備える。水平回動軸14の先端は、回動筐体31の前面に形成された開口部を介して外部に露出し、ゲートバー基部15と接続可能になっている。水平回動軸14の先端には、ゲートバー基部15をネジ等により着脱可能に取り付けるためにフランジ33が固定されている。
ゲートバー駆動部32は、後述するゲートバー駆動モータ52(図2参照)等を備えている。ゲートバー駆動部32は、回動部13が車路遮断可能位置にあって水平回動軸14が前後方向に伸長するように位置している間、水平回動軸14をゲートバー基部15及びゲートバー16と共に回動駆動させることにより車路開閉動作を行うことができる(図4(1)参照)。例えば、ゲートバー駆動部32は、車路2を遮断するときにはゲートバー基部15及びゲートバー16が「横臥位置」(図4(1)の二点鎖線参照)になるように、また、車路2を開放するときにはゲートバー基部15及びゲートバー16が「起立位置」(図4(1)の実線参照)になるように水平回動軸14を回動する。なお、ゲートバー基部15及びゲートバー16の「起立位置」は、車路2(ゲート)を十分に開放するような位置であればよく、例えば、ゲートバー基部15及びゲートバー16を鉛直に直立させた位置や、85度程度に起立させた位置でよい。
次に、ゲートバー基部15及びゲートバー16について説明する。ゲートバー基部15は、前側が開口された断面コ字状に形成された長尺状の部材であり、ゲートバー16の一端側を嵌合する形状を有する。ゲートバー基部15は、長手方向一端側(右側)の後面が水平回動軸14に取り付けられていて、水平回動軸14の回動に応じて回動部13に対して回動可能になっている。一方、ゲートバー基部15の長手方向他端側(左側)は、水平回動軸14と交わる方向(本実施形態においては水平回動軸14と直交する方向)に伸長している。また、ゲートバー基部15の他端側には、短手方向(上下方向)に伸長するリリース回動軸41が備えられている。なお、ゲートバー基部15の後面には、ゲートバー16に設けられる受電部26を露出するための開口部26aが形成される。
また、ゲートバー基部15においてリリース回動軸41の周囲にはリリース付勢部としてのトーションスプリング42が装着されている(図3(1)参照)。トーションスプリング42は、リリース動作時にゲートバー16のリリース方向の回動を助長するようにゲートバー16に付勢力を与える。
ゲートバー16は、長尺に形成され、1台のゲート装置1で車両の通行を規制する場合には、車路2を遮断できる程度の長さを有する。なお、2台のゲート装置1を車路2の左右にそれぞれ配置する場合には、ゲートバー16は比較的短く形成される。ゲートバー16は、長手方向一端側(右側)に設けられるゲートバー保持部43と、ゲートバー保持部43に装着されて長手方向他端側(左側)に延在するゲートバー本体44とを備える。
ゲートバー16のゲートバー本体44は、軽量な材料、例えば、アルミ製で中空の角パイプ等からなる芯材44aの他端側を、発泡ウレタン等からなる緩衝材44bで覆うことによって形成される(図8参照)。ゲートバー本体44の芯材44aには、多数の肉抜きの角孔44cが一定間隔で開口している。角孔44cは、芯材44aの軽量化のために形成されていて、(回動部13が車路遮断可能位置にあってゲートバー16が横臥位置にあるときに)車両進行方向に沿った面(上下面)に設けられるとよく、更に、車両進行方向に対向する面(前後面)にも同様に設けられてもよい。緩衝材44bの外表部には、ドライバー等からの視認性を良くするために、赤白のストライプ等のラミネートが施されるとよい。なおゲートバー本体44は、ゲートバー本体44の右端側の緩衝材44bが覆われていない芯材44aの部分を、ゲートバー保持部43に対して長手方向左側より図示しないガイドに沿って抜き差しして交換することができ、ゲートバー保持部43に挿入した後にはカバー43aで後述する係止機構45を覆って固定するが、図3ないし図6ではカバー43aは省略している。
ゲートバー16は、ゲートバー保持部43がゲートバー基部15に嵌合するように、ゲートバー基部15に取り付けられる。このとき、ゲートバー16の中間部に位置するゲートバー保持部43の長手方向他端側が、ゲートバー基部15のリリース回動軸41に回動可能に支持される。これにより、ゲートバー16は、ゲートバー保持部43に対してリリース回動軸41周りに回動可能になる。
ゲートバー16の一端側は、ゲートバー基部15の一端側に着脱可能に保持される。具体的には、ゲートバー基部15の一端側及びゲートバー16の一端側には、係止機構45が設けられていて、係止機構45により、ゲートバー基部15の一端側とゲートバー16の一端側とが互いに着脱可能に係止される。例えば、係止機構45は、図8に示すように、ゲートバー基部15の一端側に設けられる係止部45aと、ゲートバー16のゲートバー保持部43の一端側に設けられるラッチ45bとで構成される。
ゲートバー基部15及びゲートバー16は、係止機構45によって係止されることで一直線状に伸長して一体化固定され、車路開閉動作が可能な状態になる。また、ゲートバー基部15及びゲートバー16は、係止機構45による係止が外れると、一体化固定が解除され、ゲートバー16はゲートバー基部15に対してリリース回動軸41周りに回動する。本実施形態では、この回動動作を「リリース動作」と称し、リリース動作によってゲートバー16がリリース回動軸41周りに回動する方向(車路2の右側のアイランド3に配置したゲート装置1の場合には、ゲートバー16の長手方向他端部が車両進行方向へと向かう方向であって、上方から見て時計回り方向)を「リリース方向」と称する(図3(2)破線矢印参照)。
なお、係止機構45は、車路開閉動作による振動や風圧等の力が加えられても、ゲートバー基部15とゲートバー16(ゲートバー保持部43)との係止を維持する程度の保持力を有する。一方、係止機構45は、上記保持力以上の力、例えば、車両がゲートバー16に衝突する際に加わる外力によって、ゲートバー基部15とゲートバー16(ゲートバー保持部43)との係止が外れるように構成される。なお、係止機構45は、リリース動作したゲートバー16が、非リリース方向に回動して、所定の押圧力によってゲートバー基部15に嵌合されるとき、ゲートバー基部15及びゲートバー16を係止する構成を有する。
また、ゲートバー16は、図2や図8等に示すように、ゲートバー本体44の芯材44aの破断等の変形度合いを検知する変形検知部46を備える。変形検知部46は、例えば、導電性を有する第1の導電テープ46a及び第2の導電テープ46bと、通電感知部47とで構成される。
第1の導電テープ46aは、ゲートバー本体44の芯材44aの車両進行方向に対向する前側内面及び後側内面のそれぞれに、ゲートバー本体44の長手方向の全域に渡って貼り付けられている。第2の導電テープ46bは、芯材44a内の他端(左側端)で前後の第1の導電テープ46a同士を導通させると共に貼り付けられる。即ち、前後の第1の導電テープ46a及び第2の導電テープ46bは、芯材44aの一端側(右側)に両端を有して芯材44aの内周全域に渡る範囲で貼り付けられた導通パターンを構成する。そのため、前後の第1の導電テープ46a及び第2の導電テープ46bに断裂がなければ、芯材44aの一端側で導通パターンの導通状態を確認できる。一方、何れかの場所で第1の導電テープ46a又は第2の導電テープ46bが断裂した場合には、芯材44aの一端側で導通パターンの導通状態を確認することができず、この際に、第1の導電テープ46a及び第2の導電テープ46bの導通異常が感知される。
更に、ゲートバー本体44の芯材44aの外側には、補強テープ44dが長手方向の全域に渡って貼り付けられている。補強テープ44dは、ガラス繊維等で補強された高張力の薄膜の粘着テープであり、極めて高い引張り強度を有するテープである。一方で、第1の導電テープ46aは、さほど引張り強度の高いものではなく、且つ、伸縮性も少ないテープである。そのために、仮にゲートバー16に車両が衝突した際に、ゲートバー本体44の芯材44aが破断すると、それに伴って第1の導電テープ46aも破断するが、補強テープ44dによって、芯材44aの完全な分離が防止される。また、第1の導電テープ46aと補強テープ44dとを、それぞれ芯材44aの異なる面に(内面と外面とに)貼り付けることにより、破断の感知感度を向上させる一方で、破断後の分離を極力防止することができる。
ゲートバー16のゲートバー保持部43には、上記した受電部26と通電感知部47とが設けられる。非接触給電部を構成する受電部26は、送電部25からの電力供給を受けて起動し、通電感知部47に電力を供給する。また、非接触通信部を構成する受電部26は、通電感知部47からの検知信号を送電部25へと伝送する。
受電部26は、ゲートバー保持部43の前面側(リリース回動軸41が設けられる側)で、例えば、リリース回動軸41の近傍に配置される。受電部26は、回動部13が車路遮断可能位置にある通常時には(図3(1)や図4(1)等参照)、ゲート装置1の制止部23の近傍に設置した送電部25とは離間した位置にある。ところが、リリース復帰動作では、受電部26と送電部25とが極めて接近して制止する状態があり(図3(4)や図5(2)等参照)、この接近状態は、制止部23によってゲートバー16の根元付近を抑えながら位置決めされるために、極めて再現性がよくなっている。
通電感知部47は、ゲートバー本体44の芯材44aに設けられる前後の第1の導電テープ46aのそれぞれの一端(右側端)に接続する接点部47aと、これらの接点部47aを保持する接点保持部47bと、受電部26に接続される電気配線47cとを有する。そして、通電感知部47は、ゲートバー本体44の芯材44aに設けられた第1の導電テープ46a及び第2の導電テープ46bの導通を感知して、その感知結果(検知結果)の検知信号を受電部26へと出力するように構成される。
例えば、通電感知部47は、接点保持部47bに直流2線式の有接点スイッチを設けて、接点部47a同士の抵抗値が0であれば導通状態と判定してOK(ON)を示す検知信号を出力し、また、接点部47a同士の抵抗値が所定の閾値以上(殆どが無限大)であれば非導通状態と判定してNG(OFF)を示す検知信号を出力する。各接点部47aは、例えば、ゲートバー16の芯材44aを内側と外側とから挟み込む差込式コネクタのように構成されてよい。あるいは、各接点部47aは、着脱可能な市販のコネクタをゲートバー保持部43側とゲートバー本体44側とに設けていて、両者を嵌合させることで接続されるように構成されてもよい。
通電感知部47の構成によれば、ゲートバー16がリリース回動軸41を中心にゲートバー基部15に対して回動しても、電気配線47c等にテンションが掛かることがなく、また、通常時は、受電部26と送電部25とが対面していないので、通電感知動作が行われず、一方、リリース復帰動作の過程でのみ、通電感知動作が行われる。
次に、ゲート装置1におけるリリース動作及びリリース復帰動作について図3〜図6を参照しながら説明する。図3〜図6はゲート装置1のリリース動作とリリース復帰動作を示している。ここで、「リリース復帰動作」とは、リリース動作したゲートバー16を、リリース動作前の状態、すなわち、車路開閉動作が可能な元の状態に復帰させる動作である。
先ず、ゲート装置1のリリース動作について説明する。ゲート装置1において、通常時は、図3(1)や図4(1)等に示すように、回動部13は車路遮断可能位置にあって、水平回動軸14が前後方向に伸長するように配置されていて、ゲートバー基部15及びゲートバー16の車路開閉動作が可能な状態になっている。
正常な状態では、車路2を遮断しているゲートバー16に車両が衝突することはない。しかし、例えば、ETC(Electronic Toll Collection System)車載器にETCカードを装着し忘れた車両がETCのゲートを通過する場合等の正常でない状態では、車路2を遮断しているゲートバー16に車両が衝突することがある。
車路2を遮断しているゲートバー16に、車路2を進行する車両が衝突する場合、車両はゲートバー16の他端側(ゲートバー本体44の他端側)に衝突する。このように車両がゲートバー16に衝突すると、その衝突によってゲートバー16の他端側に加わる外力により、係止機構45の係止が解かれ、ゲートバー基部15の一端側からゲートバー16の一端側(ゲートバー保持部43の一端側)が離脱する。そして、図3(2)や図4(2)等に示すように、ゲートバー16がリリース回動軸41を中心に、車両進行方向(リリース方向)に回動する(図3(2)破線矢印参照)。
このとき、衝突によりゲートバー16の他端側に加わる力が小さい場合には、ゲートバー16は、衝突による力と、リリース回動軸41の近傍に設けられたトーションスプリング42の付勢力とにより回動し、比較的弱い力で制止部23に当たって停止する。このように、トーションスプリング42によれば、リリース動作するゲートバー16を制止部23に確実にかつ迅速に到達させることができると共に、ゲートバー16が制止部23に当たって停止した状態を維持することができる。一方、衝突によりゲートバー16の他端側に加わる力が大きい場合には、ゲートバー16は、衝突による力により勢いよく回動し、比較的強い力で制止部23に当たるが、これにより制止部23が受ける衝撃は、ゲートバー16の緩衝材44b等によって吸収される。このようにして、ゲートバー16は、例えば、時計回り(リリース方向)におよそ90度回動して停止し、ゲートバー16の向きが車路2とほぼ平行になって、リリース完了の状態になる。
次に、ゲート装置1のリリース復帰動作について説明する。上記のようなゲートバー16のリリース動作は、後述するリリース検知スイッチ58(図2参照)により検知され、これに応じて、制御部50(図2参照)により、直ちにリリース復帰動作が自動的に開始される。リリース復帰動作において、先ず、図3(3)や図5(1)に示すように、回動駆動部22が垂直回動軸12を回動して、回動部13がゲートバー16のリリース動作の回動に追随又は後追いするように回動させる。例えば、回動駆動部22は、回動部13を車路遮断可能位置からゲートバー迎え位置まで、時計回り(リリース方向)におよそ90度回動させる(図3(4)及び図5(2)参照)。
このとき、ゲートバー16も、回動部13の回動に伴って時計回り方向に回動する(図3(3)及び図5(1)参照)。ゲートバー16は、制止部23に当接しているので、回動部13が時計回り方向に回動する間、ゲートバー16は、制止部23との当接が維持されたまま後方にスライドすることになる。そして、ゲートバー16は、制止部23との当接部分を支点にしてリリース回動軸41周りを非リリース方向に回動して、ゲートバー16の長手方向の中間部から一端側にかけて制止部23の回転ローラ23bをなぞりながら徐々に移動し、ゲートバー16の一端側(ゲートバー保持部43の一端側)がゲートバー基部15の一端側に接近する。
なお、図3(3)に示すように、回動部13が回動する間、ゲートバー16の他端側は車路2から離れる方向に若干移動し、ゲートバー16の向きが車路2と平行でない状態となることがあるが、このときに、ゲートバー16の他端がアイランド3上に設置された他の装置に干渉する場合には、制止部23の本体部11からの距離をより長くして、ゲートバー16の他端に近い部分が制止部23に当接するように構成する。これにより、ゲートバー16の他端側が車路2から離れる方向に移動する量を小さくすることができるので、ゲートバー16の他端が他の装置へ干渉するのを防止することができる。
そして、図3(4)や図5(2)に示すように、回動部13が回動してゲートバー迎え位置に到達すると、ゲートバー16の一端側(ゲートバー保持部43の一端側)がゲートバー基部15の一端側に当接し、その後、回動駆動部22が回動部13を回動する力によって、ゲートバー基部15の一端側及びゲートバー16の一端側が時計回り方向に押圧される。また、ゲートバー16の一端側は、ゲートバー基部15の底部の保持部スプリング(図示せず)から弾発力を受ける。このとき、ゲートバー基部15の一端側及びゲートバー16の一端側には、互いに向きが反対である回動駆動部22の力と保持部スプリングの力が作用するので、互いに接近又は接触する方向に強く押される。これにより、ゲートバー基部15の一端側及びゲートバー16の一端側に設けられた係止機構45が互いに確実に係止される。この係止によって、ゲートバー基部15とゲートバー16とは両者が同一方向を向くように一体化固定される。
このようにして、回動部13が、ゲートバー迎え位置まで回動して、リリース動作したゲートバー16の一端側をゲートバー基部15の一端側に係止(保持)させると、回動駆動部22は回動部13の回動を停止する。
続いて、図6(1)に示すように、ゲートバー駆動部32が水平回動軸14を回動して、ゲートバー基部15及びゲートバー16を上方へと回動させる(図6(1)破線矢印参照)。このとき、一体化固定されたゲートバー基部15及びゲートバー16の向きは車路2に平行のままである。そして、上方に回動するゲートバー基部15及びゲートバー16が起立位置となった時点で、ゲートバー駆動部32は水平回動軸14の回動を停止する。
その後、図6(2)に示すように、回動駆動部22は、回動部13を車両の進行方向(リリース方向)と逆の方向(非リリース方向)に回動する(図6(2)破線矢印参照)。そして、回動部13が車路遮断可能位置に到達した時点で、回動駆動部22は回動部13の回動を停止する。例えば、回動部13は、反時計回り(非リリース方向)におよそ90度回動して車路遮断可能位置に到達する。このようにして回動部13が車路遮断可能位置に到達したとき、ゲートバー16の位置は、車路開閉動作において車路2を開放したときの位置と同じになるので、このままリリース復帰動作を完了させてもよいし、更にゲートバー16を横臥位置へと回動させてからリリース復帰動作を完了させてもよい。なお、ゲートバー16を横臥位置に回動させてからリリース復帰動作を完了させる場合には、ゲートバー16を回動させる前に、安全のため、ゲートを通過する車両がないか否かを判断し、ゲートを通過する車両がない場合に限り、ゲートバー16を横臥位置に回動させる。
次に、ゲート装置1の電気的な構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、ゲート装置1の動作を電気的に制御するための構成を示している。
ゲート装置1は、ゲート装置1を統括制御するための制御部50と、ゲートバー16に異常があるか否かを判断する異常判断部51と、ゲートバー基部15を回動させるゲートバー駆動モータ52と、ゲートバー基部15又はゲートバー16が横臥位置に到達したことを検知する第1のリミット検知スイッチ53と、ゲートバー基部15又はゲートバー16が起立位置に到達したことを検知する第2のリミット検知スイッチ54と、回動部13を回動させる回動駆動モータ55と、回動部13が車路遮断可能位置に到達したことを検知する第3のリミット検知スイッチ56と、回動部13がゲートバー迎え位置に到達したことを検知する第4のリミット検知スイッチ57と、ゲートバー基部15及びゲートバー16の一体化固定の成立・解除を検知するリリース検知スイッチ58と、右設置用の制御プログラムと左設置用の制御プログラムとの切替等の設定操作が可能な設定操作部59と、ゲート装置1外部の車路制御装置70等と通信を行う通信部60とを備えている。
制御部50は、本体部11の本体筐体21内に設けられ、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)50a及びメモリ50bからなり、CPU50a及びメモリ50bはバス50cを介して接続される。メモリ50bは、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリ等からなり、ゲート装置1を制御するためのプログラムやデータが格納される。メモリ50bには、例えば、ゲート装置1の車路開閉動作やリリース復帰動作等を制御する制御プログラムが記憶される。CPU50aは、メモリ50bに格納されたプログラムやデータを読み取り、このプログラムを実行することにより、ゲート装置1の車路開閉動作やリリース復帰動作等を制御する。バス50cは、更にインターフェイス50dに接続される。
制御部50は、バス50c及びインターフェイス50dを介して、上記の異常判断部51、ゲートバー駆動モータ52、第1のリミット検知スイッチ53、第2のリミット検知スイッチ54、回動駆動モータ55、第3のリミット検知スイッチ56、第4のリミット検知スイッチ57、リリース検知スイッチ58、設定操作部59、通信部60に接続される。また、制御部50は、上記の送電部25にも接続されていて、送電部25の電力供給を制御すると共に、送電部25に伝送される信号を受信する。
異常判断部51は、リリース復帰動作の過程において、リリース動作後にゲートバー16が本体部11に接近した状態で、ゲートバー16に異常があるか否かを判断する。異常判断部51は、例えば、変形検知部46による検知結果に基づいて、ゲートバー16の異常を判断し、具体的には、通電感知部47による感知結果が、第1の導電テープ46a及び第2の導電テープ46bの非導通状態になった場合にゲートバー16の芯材44aの変形を検知する。なお、異常判断部51は、制御部50によって実行されて上記のような異常判断処理を行うプログラムで構成されてよい。
ゲートバー駆動モータ52及び回動駆動モータ55は、それぞれ例えば直流モータである。リリース検知スイッチ58は、例えば、水平回動軸14の軸孔内に取り付けられ、ゲートバー基部15とゲートバー保持部43とが十分に接近又は接触したときにOFFとなり、両者が離れたときにONとなる。設定操作部59は、例えばディップスイッチであり、本体筐体21内に設けられている。通信部60は、本体筐体21内に設けられ、例えばゲート装置1がETCゲートに設置される場合に、ゲート装置1の外部においてETCアンテナ(図示せず)から車路制御装置70へ送られた車両データを車路制御装置70から受信する。
次に、ゲート装置1において、上記したようにリリース動作したゲートバー16のリリース復帰動作における制御部50による各部の制御を、図7のフローチャートに沿って説明する。
先ず、ゲート装置1において、ゲートバー16が、車路開閉動作中に、又は横臥位置にあり車路2を遮断しているときに、車両がゲートバー16の他端側に衝突すると、ゲートバー基部15とゲートバー16との一体化固定が解除されてゲートバー16がリリース方向に回動するリリース動作をする。ゲートバー基部15とゲートバー16との一体化固定が解除されると、リリース検知スイッチ58がONになる(ステップS1:YES)。
リリース検知スイッチ58がONになると、制御部50は、回動駆動モータ55を駆動して垂直回動軸12を(上方から見て)時計回り方向に回転させる(ステップS2)。このように垂直回動軸12を時計回り方向に回転させることで、車路遮断可能位置にある回動部13が、車両の進行方向(ゲートバー16のリリース方向)に回動する。
そして、回動部13がゲートバー迎え位置に到達すると、第4のリミット検知スイッチ57がONになる(ステップS3:YES)。このように回動部13がゲートバー迎え位置に到達することによって、上記したようにゲートバー16がゲートバー基部15に係止されて両者間に一体化固定が成立し、リリース検知スイッチ58がOFFになる(ステップS4:YES)。この直後、制御部50は、回動駆動モータ55を停止させる(ステップS5)。
このようにして、リリース復帰動作の過程においてゲートバー16が本体部11に接近すると、ゲートバー16の異常判断が行われる(ステップS6)。この状態で、非接触給電部を構成する送電部25と受電部26とが接近しているため、送電部25から受電部26へと電力供給が行われ、受電部26及び通電感知部47が起動する。そして、制御部50によるゲートバー16の異常判断として、通電感知部47による通電感知処理を行うと共に、通電感知部47での感知結果に基づいて異常判断部51がゲートバー16の異常を判断する。通電感知部47での感知結果が導通状態(OK)であれば(ステップS6:YES)、異常判断部51はゲートバー16を異常なしと判断して、そのままステップS8に移行する。一方、通電感知部47での感知結果が非導通状態(NG)であれば(ステップS6:NO)、異常判断部51はゲートバー16を異常ありと判断して、異常判定に伴う通報(ステップS7)に移行する。例えば、ステップS7では、通信部60を介して、ゲート装置1外部の車路制御装置70や監視センター(図示せず)等に異常通報を行う。その後、リリース復帰動作を継続して、ステップS8に移行する。
ステップS8では、制御部50は、ゲートバー駆動モータ52を(水平回動軸14の先端側から見て)時計回り方向に回転させる。ゲートバー駆動モータ52の時計回り方向への回転により、横臥位置にあるゲートバー基部15及びゲートバー16が起立位置に向かって回動する。ゲートバー基部15及びゲートバー16が起立位置に到達すると、第2のリミット検知スイッチ54がONになる(ステップS9:YES)。この直後、制御部50は、ゲートバー駆動モータ52を停止させる(ステップS10)。
続いて、制御部50は、回動駆動部22の回動駆動モータ55を駆動して垂直回動軸12を(上方から見て)反時計回り方向に回転させる(ステップS11)。垂直回動軸12の反時計回り方向への回転により、ゲートバー迎え位置にある回動部13が、車両の進行方向(ゲートバー16のリリース方向)と逆方向に回転する。そして、回動部13が車路遮断可能位置に到達すると、第3のリミット検知スイッチ56がONになる(ステップS12:YES)。この直後、制御部50は、回動駆動モータ55を停止させる(ステップS13)。
続いて、制御部50は、車路2の遮断の可否を判定する(ステップS14)。例えば、制御部50は、ゲート装置1外部の車路制御装置70から遮断不可若しくは車両進入中を示す信号を受信した場合には、遮断不可と判定し、このような信号を受信していない場合には、遮断可能と判定する。
制御部50は、車路2を遮断可能と判定した場合には(ステップS14:YES)、ゲートバー駆動モータ52を(水平回動軸14の先端側から見て)反時計回り方向に回転させる(ステップS15)。ゲートバー駆動モータ52の反時計回り方向への回転により、起立位置にあるゲートバー基部15及びゲートバー16が、横臥位置に向かって回動する。続いて、ゲートバー基部15及びゲートバー16が横臥位置に到達すると、第1のリミット検知スイッチ53がONになる(ステップS16:YES)。この直後、制御部50は、ゲートバー駆動モータ52を停止させる(ステップS17)。これにより、リリース復帰動作は完了する。
上述のように、本実施形態によれば、車路2上の車両(移動体)の通行を規制するゲート装置1は、本体部11と、ゲートバー基部15と、ゲートバー16と、ゲートバー駆動部32と、回動部13及び制止部23等からなるリリース復帰機構と、異常判断部51と、を備えている。そして、ゲートバー基部15は、本体部11の上方に位置し、一端側が本体部11に、水平方向に伸長する水平回動軸14周りを回動可能となるように支持され、他端側が水平回動軸14と交わる方向に伸長するように構成される。ゲートバー16は、中間部がゲートバー基部15の他端側に、ゲートバー基部15の伸長方向と交わる方向に伸びるリリース回動軸41周りを回動可能となるように支持され、一端側がゲートバー基部15の一端側に着脱可能に保持され、他端側がゲートバー基部15と同じ方向に伸長するように構成される。ゲートバー駆動部32は、ゲートバー基部15を、ゲートバー基部15及びゲートバー16が横臥する位置である横臥位置と、ゲートバー基部15及びゲートバー16が起立する位置である起立位置との間で回動させるように構成される。リリース復帰機構は、横臥位置にあるゲートバー16で車路2を遮るようにゲートバー基部15を位置した状態において、ゲートバー16の一端側がゲートバー基部15の一端側から離脱してゲートバー16がリリース回動軸41周りを車両の移動方向に向かうリリース方向に回動するリリース動作をした後に、ゲートバー16の一端側をゲートバー基部15の一端側に保持させるリリース復帰動作を行うように構成される。異常判断部51は、本体部11に設けられて、リリース復帰動作の過程において、リリース動作後にゲートバー16が本体部11に接近した状態でゲートバー16に異常があるか否かを判断するように構成される。
このような構成により、リリース動作からリリース復帰動作を自動的に行うゲート装置1において、リリース復帰動作に連動してゲートバー16の破断、変形、破損等の異常の判断を行うことができる。また、リリース動作後にゲートバー16が本体部11に接近した状態を利用するため、再現性がよく、ゲートバー16の以前の状態と現在の状態との比較を最適にすることができるので、ゲートバー16の異常判断を安定的に行うことができる。
また、本実施形態に係るゲート装置1は、ゲートバー16側に設けられる受電部26及び本体部11側に設けられる送電部25からなる非接触給電部と、ゲートバー16側に設けられて、非接触給電部による給電を受けて起動し、ゲートバー16の芯材44aの変形を検知する変形検知部46と、を更に備える。受電部26及び送電部25は、相互に非接触通信可能に構成されて、変形検知部46による検知結果を異常判断部51へと伝送する。異常判断部51は、変形検知部46による検知結果に基づいてゲートバー16の異常を判断する。
このような構成により、ゲートバー16のリリース復帰動作においてゲートバー16が本体部11に接近したときに、非接触給電及び非接触通信を利用して、ゲートバー16の芯材44aの変形の検知を行うことができる。そのため、耐久性の低い電気配線をゲートバー16と本体部11との間に備えたり、高価で重量の嵩むバッテリーをゲートバー16に備えたりする必要がなく、ゲートバー16の変形検知を低コストで実現することができる。
また、本実施形態に係るゲート装置1では、変形検知部46は、ゲートバー16の伸長方向に沿って配置される第1の導電テープ46a及び第2の導電テープ46bからなる導通パターンと、導通パターンと電気的に接続して導通パターンの導通状態を感知し、導通パターンが非導通状態になった場合にゲートバー16の芯材44aの変形を検知する通電感知部47と、を備える。
このような構成により、ゲートバー16の変形検知を、低コストで簡易な構成によって実現することができる。
また、本実施形態に係るゲート装置1では、ゲートバー16のリリース復帰機構は、回動部13と、制止部23と、回動駆動部22と、を備える回動部13は、本体部11の上方に位置し、垂直方向に伸長する垂直回動軸12周りを回動可能となるように本体部11に支持されると共に、水平回動軸14を回動可能に支持するように構成される。制止部23は、リリース動作時のゲートバー16の回動軌跡上に配置される。回動駆動部22は、車両の通行を規制するときには、横臥位置にあるゲートバー16が車路2を遮るように回動部13の位置を定める一方、リリース復帰動作を行うときには、リリース動作時のゲートバー16の回動に追随するように回動部13を回動させて、ゲートバー16の一端側をゲートバー基部15の一端側に接近又は接触させると共に、ゲートバーの一端側をゲートバー基部15の一端側に保持させるように回動部13の位置を定めるように構成される。
このような構成により、リリース復帰動作では、回動駆動部22が回動部13を回動させることで、制止部23によってゲートバー16を抑えながらゲートバー16を本体部11に接近させるため、ゲートバー16と本体部11との接近状態の再現性を良好に保つことができる。これにより、ゲートバー16の異常検知の精度を高めることができる。
また、本実施形態に係るゲート装置1では、送電部25は、制止部23の近傍に設けられる。
このような構成により、ゲートバー16の自動的なリリース復帰動作時に、送電部25と受電部26とを安定して近接させると共に、安定的な非接触給電状態を保つことができる。
なお、本実施形態では、ゲート装置1は、ゲートバー16のリリース復帰動作を行うリリース復帰機構として、回動部13及び制止部23を備える構成を説明したが、リリース復帰機構は、この構成に限定されない。例えば、他の実施形態では、ゲートバー16のリリース復帰機構は、リリース状態になったゲートバー16をリリース回動軸41の周りに非リリース方向に回動する復帰駆動アーム等の復帰駆動部(図示せず)をゲートバー基部15に備えて構成されてもよい。
本実施形態では、ゲートバー16側に設けられてゲートバー16の変形を検知する変形検知部46を、ゲートバー本体44の芯材44aに設けられる第1の導電テープ46a及び第2の導電テープ46bとゲートバー保持部43に設けられる通電感知部47とで構成する例を説明したが、変形検知部46はこれに限定されない。例えば、他の実施形態では、図9に示すように、変形検知部46は、音波(超音波)や光等の検査信号をゲートバー本体44の芯材44aの内部に出力する検査信号出力部61と、この検査信号に対する反響音や反射光等の反射信号を受信する反射信号受信部62とを備えてもよい。
検査信号出力部61は、ゲートバー保持部43内に設けられ、ゲートバー本体44の一端側から検査信号を出力する。反射信号受信部62は、ゲートバー保持部43内に設けられ、芯材44aの内部で反射した検査信号の反射信号であって、ゲートバー本体44の一端側に到達した反射信号を受信する。即ち、検査信号出力部61及び反射信号受信部62は、非破壊検査装置を構成する。これらの検査信号出力部61及び反射信号受信部62を備える変形検知部46を適用する場合、ゲート装置1の出荷時やゲートバー16の使用開始時等において、正常なゲートバー16を用いて得られる正常な反射信号を、予め制御部50のメモリ50bに記憶しておく。その後、リリース復帰動作を行う場合には、例えば、図7に示すフローチャートのステップ6のタイミングで、検査信号出力部61及び反射信号受信部62を作動させる。そして、異常判断部51が、反射信号受信部62で得られる反射信号と、メモリ50bに記憶された正常な反射信号とを比較して、大きく異なる場合に、ゲートバー16に異常ありと判断する。
このように、他の実施形態によれば、ゲート装置1では、変形検知部46は、検査信号出力部61及び反射信号受信部62からなり、ゲートバー16の一端側からゲートバー16内に検査信号を出力すると共に、検査信号の反射信号を受信して、反射信号に基づいてゲートバー16の芯材44aの変形を検知するように構成される。
このような構成により、ゲートバー16の変形検知を、低コストで簡易な他の構成によって実現することができる。
なお、本実施形態では、ゲート装置1は、ゲートバー16の異常を判断するために、変形検知部46をゲートバー16側に備える構成を説明したが、この構成に限定されない。例えば、他の実施形態では、ゲート装置1は、図10に示すように、変形検知部46に加えて、あるいは、変形検知部46に代えて、リリース復帰動作時に制止部23がゲートバー16から受ける押圧力を感知する押圧感知部として歪感知部63を本体部11側に備える。なお、ゲート装置1は、変形検知部46に代えて歪感知部63を備える場合には、送電部25及び受電部26からなる非接触給電部を省いて構成されてよい。
歪感知部63は、ゲートバー16が制止部23を押圧することで制止部23の軸部23aに係る負荷(荷重)を計測するもので、例えば、軸部23aの歪を検出する歪ゲージで構成される。歪感知部63は、取り付けアーム24内で制止部23の下側に配置され、電気配線を介して制御部50に接続される。歪感知部63による感知結果は制御部50に伝送され、制御部50に接続された異常判断部51が、歪感知部63による感知結果に基づいてゲートバーの異常を判断する。
リリース復帰動作時のゲートバー16は、図3(2)〜(4)に示すように、長手方向の中間部から一端部にかけて制止部23の回転ローラ23bをなぞりながら徐々に移動している。その際に、歪感知部63で検出される歪値は、変形のない正常なゲートバー16であれば、ほぼ同一傾向に(所定の正常範囲内で)出力されることになる。ところが、ゲートバー16が損傷して、ゲートバー本体44の芯材44aに変形、亀裂、破損等が生じた場合、歪感知部63で検出される歪値は、正常なゲートバー16とは異なる傾向で出力され、例えば、極端に歪値が大きく、若しくは小さくなったり、又は、リリース復帰動作の途中で歪値が極端に変化したりする。異常判断部51は、歪感知部63で検出される歪値が所定の正常範囲内であれば、ゲートバー16に異常なし(OK)と判断し、また、歪感知部63で正常とは異なる傾向の歪値が検出された場合には、ゲートバー16に異常あり(NG)と判断する。なお、ゲート装置1が、変形検知部46と共に歪感知部63を備える構成の場合には、変形検知部46の検知結果と歪感知部63での感知結果のAND条件及びOR条件のどちらを用いてゲートバー16の異常を判断してもよいが、何れか一方がNGの場合にゲートバー16に異常ありと判断することが最も安全で好ましい。
上記のような歪感知部63で検出される歪データの例を図11に示す。この例では、歪感知部63は、リリース動作からリリース復帰動作において、ゲートバー16の押圧により生じる制止部23の軸部23aの歪を検出した。図11では、正常なゲートバー16の場合に検出された歪データ101を実線で示し、損傷のあるゲートバー16の場合に検出された歪データ102を破線で示す。なお、正常な歪データ101は、ゲートバー16の緩衝材の厚みや、ゲートバー16の長さによっても多少変化する。また、正常な歪データ101は、トーションスプリング42の強さによっても変化するので、ゲート装置1毎に異なる値を示すことが多い。そのため、ゲート装置1の出荷時や、ゲートバー基部15又はゲートバー16の使用初期時に、ゲート装置1毎の正常な歪データ101を計測して、予め制御部50のメモリ50bに記憶しておく。
リリース動作の初期では、車両の衝突によってゲートバー16が勢いよく制止部23に当たるため、歪データは、一旦スケールアウトする程度にまで上昇するが、すぐさま終息してまた0付近に戻る。その後、リリース復帰動作が開始されると、正常な歪データ101は、ゲートバー16が制止部23に当接したタイミングから徐々に上昇し始めて、回動駆動モータ55が停止して回動部13がゲートバー迎え位置に達する際にピークとなっている。
この実施形態では、リリース復帰動作において、図7に示すフローチャートのステップ6でゲートバー16の異常判断を行う際に、歪感知部63で得られる歪データが、正常な歪データ101に対して大きく変動するか否か、即ち、正常な歪データ101に基づく正常範囲内であるか否かを、異常判断部51が監視する。正常範囲は、例えば、正常な歪データ101の上下に許容範囲を設定して定められる。例えば、ゲートバー本体44の芯材44aに著しい変形が生じた場合には、図9に示すように、正常な歪データ101から大きく外れた歪データ102が歪感知部63から出力される。このように、監視している歪データ102と正常な歪データ101との波形の差異の度合いが大きい場合に、異常判断部51はゲートバー16に異常ありと判断する(ステップ6:YES)。これにより、ゲートバー16の破断には至らないものの、著しく変形した芯材44aを感知することができる。
このように、他の実施形態によれば、ゲート装置1は、本体部11側に設けられて、制止部23がゲートバー16から受ける押圧力を感知する押圧感知部としての歪感知部63を更に備え、異常判断部51は、リリース復帰動作時に回動部13が回動してゲートバー16が制止部23を押圧するときに、歪感知部63による感知結果の歪データ(押圧力)が所定の正常範囲外である場合に、ゲートバー16の異常を判断する。
このような構成により、ゲートバー16を制止部23に接触させつつ長手方向に沿って移動させながら、ゲートバー16の異常判定を行うことができ、ゲートバー16の破損を未然に防止する機能を強化することができる。
上記のように構成した本発明のゲート装置1によれば、リリース復帰動作を自動的に行うETCゲート等で、リリースするゲートバー16の損傷や変形を判断することが容易となる。また、外観的に損傷や変形を確認できない場合でも、緩衝材44bの内部の芯材44aの損傷や変形を検出することができる。従って、ゲートバー16の交換の時期を適切に判断することができ、損傷や変形の程度がひどいゲートバー16を、破損や破断が生じる前に交換できるようになる。
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うゲート装置もまた本発明の技術思想に含まれる。