JP6708868B1 - レンズ及びレンズの製造方法 - Google Patents

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Abstract

レンズ本体の種類を問わず、機能性層、染色層の上層に保護層が施されたレンズ及びレンズの製造方法を提供する。本発明のレンズ1は、レンズ本体10と、該レンズ本体の少なくとも一方面に施された機能性層20もしくは染色層30と、前記機能性層もしくは前記染色層の上層に施されたダイヤモンドライクカーボン膜層100とを備えることを特徴とする。

Description

本発明は、眼鏡レンズ、カメラレンズ、工業用レンズ等として使用されるレンズ及びレンズの製造方法に関する。
従来、調光性、反射防止性、耐久性、傷防止性、強度性、ファッション性、撥水性等、各種機能性の向上を図るために機能性層が施されたレンズが種々知られている。
例えば特許文献1には、機能性層の密着性を良好にするため、プラスチックレンズ基材の表面上にプライマー層とハードコート層とを順に積層させた後、ハードコート層除去工程を行い、プライマー層を露出させた表面に機能性層を施す眼鏡レンズの製造方法が開示されている。
また特許文献2には、十分な反射率が得られ耐候性を備えたものとするため、プラスチック製光学基材の一方面に屈折率が1.50以上のハードコート層を形成するとともに、ハードコード層の上層に湿式法によって有機ケイ素化合物を主成分とした屈折率が1.42以上の第1の機能膜層を形成し、第1の機能膜層の上層に湿式法によって第1の機能膜層よりも屈折率の高い有機ケイ素化合物を主成分とした第2の機能膜層を形成し、3層構造のミラーコート層を構成したミラーコート光学物品が開示されている。
さらに特許文献3には、染色光学部品の表面にハードコートを好適に密着させるため、透明樹脂からなるフィルムの一方の面を染色する第1ステップと、該第1ステップにて得られた染色済みフィルムを用いてフィルムインサート成形により前記フィルムが一体成形されたセミレンズを得,前記フィルムの染色面がレンズ材料と接触するようにフィルムインサート成形を行う第2ステップと、を有する染色光学部品の製造方法が開示されている。
特開2012−173480号公報 特開2009−204759号公報 特開2010−281964号公報
このように機能性層や染色層の上層にさらに機能性層を密着性よく施すことは難しく、さらなる改善が望まれる。
例えば、合成樹脂材からなる有機系レンズにハードコート層とミラーコート層とを施す際には、ハードコート液とレンズ本体の屈折率が同じか非常に近い数値でないと干渉縞となってレンズの表面に現れてしまう。また有機系レンズでも、硝子等の無機系レンズでもミラーコート層を施した場合、ミラーコート層の表面に傷がつきやすいため、ミラーコート層の上層にさらに保護層を施したいが、ミラーコート層の上層に機能性層が乗りづらく、剥離しやすいので、ミラーコート層の表面の傷を防ぐのは非常に困難である。
無機系レンズの偏光レンズでは、凸面の硝子ウエハーの内側(凹面側)にミラー蒸着を施し、その後、偏光膜と裏側の硝子ウエハーを貼りあわせることにより、硝子ウエハーでカバーされたミラーコート層が施されたレンズを得ることができる。しかしこの場合は、ミラーコート層に反射した光が硝子ウエハーの中でゴースト現象を生じてしまう。
またこのような偏光レンズに機能性層を施す際には、例えばヨード染めの偏光膜の場合、加工時に100℃以上の熱が加われると偏光膜に悪影響が及んでしまうので、高温加工はできないという問題もある。
さらに有機系レンズに色をつける場合、安定して色目をコントロールするため、モノマーもしくはポリマーに顔料を練り込んで染色層を形成するが、より多様なコスメティック効果を求め、色の濃度を変化させるだけでなく、偏光膜の色にさらに色を重ねる等して、色の濃淡を表現するグラデーション(ぼかし)加工を行った場合、その上に従前のハードコート層を施すと、色抜けが発生し、色目が安定しないことも問題になっている。
そこで本発明の目的は上記課題を解決するため、レンズ本体の種類を問わず、機能性層、染色層の上層に保護層が施されたレンズ及びレンズの製造方法を提供することにある。
また本発明のレンズの製造方法は、レンズ本体の少なくとも一方面に機能性層もしくは染色層を形成するコーティング工程と、該機能性層もしくは前記染色層の上層に50℃以下で60〜70分以内でダイヤモンドライクカーボン膜層を形成するDLCコーティング工程とを備え、前記DLCコーティング工程は、前記機能性層もしくは前記染色層の表面をスパッタ処理で改質し、イオン注入を行い、その後、窒素極性基、炭素極性基及び酸素極性基のうち、いずれかの極性基を生成した状態で前記ダイヤモンドライクカーボン膜層を形成することを特徴とする。
本発明のレンズは、レンズ本体の種類を問わず、機能性層、染色層の上層に保護層が施されたものとすることができる。また本発明のレンズの製造方法によれば、機能性層の上層に保護層を備えたレンズを容易に製造することができる。
本発明の第1実施形態に係るレンズの一例を層構造を示した説明するための説明図であり、同レンズの模式的断面図である。 本発明の第2実施形態に係るレンズの一例を層構造を示した説明するための説明図であり、同レンズの模式的断面図である。 本発明の第3実施形態に係るレンズの一例を層構造を示した説明するための説明図であり、同レンズの模式的断面図である。
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
本実施形態に係るレンズ1は、レンズ本体10と、レンズ本体10の少なくとも一方面に施された機能性層20もしくは染色層30と、機能性層20もしくは染色層30の上層に施されたダイヤモンドライクカーボン膜層100とを備える。
レンズ1は、眼鏡レンズ、カメラレンズ、サングラス、ゴーグル、防犯カメラレンズ、光学フィルター、望遠鏡レンズ、顕微鏡、コンタクトレンズ、拡大鏡の他、プリンタ、コピー機、プロジェクター、レーザー装置、可変ファイバー、光学スコープ等に設けられるレンズ等、あらゆるレンズに適用することができる。
眼鏡レンズに用いられるレンズ1の場合、セミフィニッシュドレンズ、フィニッシュドレンズ(プラノレンズを含む)のいずれのタイプのレンズにも度付きの有無は問わず、適用できる。またレンズ1は、第3実施形態に示すような偏光レンズの偏光膜の色や種々機能性層の色そのものの色を使用したレンズやクリアレンズ等を含むことは言うまでもない。
レンズ本体10は、ポリカーボネイト、ポリウレタン、ナイロン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリル、アリルジグリコールカーボネート(PPG社製:CR−39)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセテート(TAC)等の合成樹脂材からなる有機系レンズ、もしくは硝子等からなる無機系レンズとすることができ、レンズ本体は偏光、非偏光を問わない。また本実施形態では、染色層30が施されたレンズ本体10(いわゆる後染色)についても説明するが、レンズ本体10に染色層30が施されているものに限定されず、レンズ本体10自体が着色されているものであってもよい。
レンズ本体10の少なくとも一方面に施される機能性層20としては、調光性、反射防止性、耐久性、傷防止性、強度性、ファッション性、撥水性等、各種機能性を付与できる機能性層を適用でき、例えばハードコート層、ミラーコート層、反射防止コート層、撥水コート層等、公知の機能性層が挙げられる。
レンズ本体10の少なくとも一方に施される染色層30としては、モノマーもしくはポリマー等に顔料を練り込んで染色層を形成してもよいし、染色剤に、レンズを浸漬させて染色層を形成してもよい。このとき、染色層30の色は、単色でもよいし、色の濃度を変化させるグラデーション(ぼかし)としてもよい。この場合、着色されたレンズ本体10に染色層30を備えたものであってもよい。例えばレンズ1にグラデーション(ぼかし)をいれる際には、薄い色に着色されたレンズ本体10に、染色層30を重ねて色を出し、グラデーションを表現する。よって、本実施形態は、このようなレンズ本体10の多層の染色層30の上層に保護層としてダイヤモンドライクカーボン膜層100が施されたものも含む。また機能性層20が着色されているものであってもよいし、このような機能性層20にさらに染色層30を施してもよく、レンズ1の着色方法は種々公知の手法が採用される。従来、例えばレンズ本体10がポリカーボネイトである場合、この素材は耐衝撃性に優れているので、よく用いられるが、染色性が低いため、色を浸透させるためエッチング等を行う必要があった。しかしこの場合、エッチングで染色層の一部が剥がれ落ち、この上層に塗膜されるウレタン系等のプライマー層に含まれるアルコールが染み出て、濃度のコントロールが非常に難しく、不良品も多く発生しまうという問題があった。本実施形態によれば、エッチング加工・プライマー処理が必要なく、色目調整を自在に行った染色層30の上層に密着性のよいダイヤモンドライクカーボン膜層100を施すことで、色落ちを防止し、色目の安定化を図ることができ、色濃度のコントロールも容易に行うことができる。
機能性層20もしくは染色層30の上層に施されるダイヤモンドライクカーボン膜層100は、炭素からなる非晶質の硬質膜層である。これを機能性層20もしくは染色層30の上層に塗膜すれば、ダイヤモンドライクカーボン膜層100が保護層となり、レンズ1の硬度を向上させることができ、低摩擦性、耐摩耗性、耐食性、酸素・紫外線バリア機能、絶縁性に優れたものとすることできる。また染色層30の保護層とした場合は、上述のように色落ちを防止し、色目の安定化を図ることができる。ダイヤモンドライクカーボン膜層100を形成するには、プラズマCVDや熱CVD等のCVD法、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタ等のPVD法等、公知の任意の成膜方法で行なうことができる。ここでダイヤモンドライクカーボン膜層100の成膜方法は、レンズ1の用途に応じて選択され、膜厚の調整も成膜方法や加工時間等によって自在に調整できる。例えば層厚が1μm前後でよい場合は、上述のいずれの成膜方法でもよい。しかし、例えば、レンズ1を眼鏡レンズやコンタクトレンズ等に用いる場合は、プラズマイオン注入成膜法を採用し、イオン注入、イオン成膜を行うことが望ましい。これについては、後述する。
ダイヤモンドライクカーボン膜層100は、その用途に応じて機能性層20もしくは染色層30の上層の全面に形成してもよいし、マスキングをして加工すれば、部分的にダイヤモンドライクカーボン膜層100を施すことも可能である。
次に眼鏡レンズとして用いた例について、各実施形態に基づき、さらに詳述する。
なお、以下に説明する第1〜第3実施形態は例示に過ぎず、層構造、レンズ本体10の構成は以下に限定されるものではない。
<第1実施形態>
図1には、凸状のレンズ本体10の表面側に機能性層20としてミラーコート層と、その上層にダイヤモンドライクカーボン膜層100とが施されたレンズ1が示されている。
レンズ本体10は、硝子材等の無機系レンズであってもよいし、上述のような有機系レンズであってもよい。
レンズ本体10を無機系レンズとする場合の硝子材は、特に限定されないが、例えばクラウンとソーダ材からなり、屈折率は1.523、アッベ数58〜59のものとしてもよいし、屈折率1.60、アッベ数35〜45のものや、屈折率1.80、アッベ数30〜42のものを用いてもよい。
レンズ本体10を有機系レンズとする場合は、上述の合成樹脂材をペレット状にし、インジェクション方式で金型に流して成型する。例えば耐衝撃性に優れたポリカーボネイトからなるものの場合、屈折率1.59、アッベ数37のものを用いてもよい。またPPG社のCR−39からなるものの場合、屈折率1.498、アッベ数58のものを用いてもよい。レンズ本体10を有機系レンズとする場合の製造方法は、特に限定されず、材料に応じて公知の任意の方法が採用される。例えば、ポリカーボネイトやポリアミド等は上述のインジェクション方式、PPG社製のCR-39及びTRIVEX、チオウレタン系(三井ケミカル社製 MR-7, MR-8, MR-10)やポリウレタン等はキャスティングで製造される。
機能性層20として施されているミラーコート層は、レンズ1の表面を鏡のように加工することができ、サングラス用のレンズ等に用いられる。ミラーコート層は無機物からなり、層を形成する方法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等、公知の任意の方法で行うことができる。真空蒸着法においては、蒸着中にイオンビームを同時に照射するイオンビームアシスト法を用いてもよい。無機物としては、ZrO2、SiO2、SiO、CrO、CrO、TiO、TiO、Ti、Ti3、NbO、Al、Ta、CeO、MgO、Y、SnO、WO3,MgFなどを用いることができ、一層を塗膜しても複数層を塗膜してもよい。層厚は。0.2μm〜1.0μmとされる。
ダイヤモンドライクカーボン膜層100は、このような機能性層20として施されているミラーコート層の上層に塗膜される。このとき被膜されるダイヤモンドライクカーボン膜層の層厚は、30nm〜50nmとすることが望ましい。
ミラーコート層は、無機物の薄膜、すなわち金属の薄膜であるので、傷がつきやすい。よって、その上層に保護膜を施すことが必要であるが、ミラーコート層の上にさらに塗膜することが難しいとされていた。しかし発明者の鋭意研究により、ミラーコート層の上層をダイヤモンドライクカーボン膜層100で被覆することが可能であることがわかった。従来より、ダイヤモンドライクカーボン膜層は、硬質化するのに有用であることはわかっていたが、炭素被膜であるので、茶色やグレーに着色されてしまう点でレンズへの適用は困難であった。しかし、層厚を30nm〜50nmという極薄膜とすれば、レンズへの着色はほとんど気にならない透明近いものにでき、非常に良好な耐摩耗試験及びひび割れ・剥離試験の結果を得ることができた。試験の内容、結果については、後述する。
<製造方法>
図1に示すレンズ1の製造方法の一例について説明する。
ここではレンズ本体10をポリカーボネイトで製し、その一方面に20℃〜80℃にて真空蒸着方式により機能性層20であるミラーコート層を形成する(ミラーコーティング工程)。そしてその後、ミラーコート層の上層に50℃以下で60〜70分以内でダイヤモンドライクカーボン膜層100を形成し(DLCコーティング工程)、レンズ1を得る。
ミラーコーティング工程における温度は、40℃〜50℃で行われることが多いが、レンズ本体10の仕様によっては、60℃〜80℃であってもよく、特に限定されない。
DLCコーティング工程は、以下のように行う。
プラズマイオン注入装置のチャンバー内にミラーコート層が施されたレンズ本体10を吊り下げる等して収容する。チャンバー内を真空引きすると共にチャンバー内にN2、2、、CF、Ar、C、CH4、NH等から選択される少なくとも1種類を主成分としたガスを導入する。この状態で導電線に高周波電力を印加することによって、レンズ本体10の周囲にプラズマを発生させ、その後に高電圧パルス(正負の高圧パルス)を印加してプラズマ中のイオンをレンズ本体10に誘引させる。成膜時間は約1時間、成膜温度は50℃以下で行う。このようにレンズ本体10にイオンが誘引されると、そのイオンに含まれる炭素原子がレンズ本体10に施されたミラーコート層の表面を改質し(スパッタ処理)、所定の深さまで注入され(高エネルギーでイオン注入)、その後NあるいはArのガスを導入して低い電圧を印加しながら極性基を生成する反応を促進させることで、高密着の状態でダイヤモンドライクカーボン膜層100を成膜することができる。
ミラーコート層の表面改質は、真空チャンバー内にガス導入を行い高周波電圧を印加してガスをプラズマ化することによってイオンを生成させ、これを加速して注入することによりなされる。
表面改質を実施するガスの選定方法としては、Arまたは水素原子と窒素原子の割合によりプラズマ状態が異なり、さらにレンズ材質の一部原子を活性化させるかによって、ガス種とその混合割合を決定するのが好ましい。
ガスプラズマを発生させる高周波パルス印加電源は高エネルギーでイオン注入を行うため、非常に重要で、高周波電力として、周波数が0.2MHz〜2.45GHzまでの範囲で、出力が10W〜20kWまでの範囲で、パルス幅1.0μsec以上であることが望ましい。その理由は周波数が0.2MHzより低い周波数では前記ガスのプラズマ分解が充分でなく表面改質速度が遅くなるからであり、また2.45GHzより大きいとプラズマ生成の安定性や装置コストの上昇を招くためである。高周波出力が10W以下ではプラズマ密度が低くイオン注入は出来ても表面改質が出来ないからであり、また20kW以上では電源容量が大きく装置コストの増加を招くためである。さらにパルス幅1.0μsec以下であると実質的なイオン注入時間が短くなり、また絶縁物の場合チャージアップしやすくなるためである。
なお、成膜時間は、上記の1時間に制約されるものではないが5〜60分であることが好ましい。より好ましくは生産性の観点から短時間処理であるが、レンズ本体10の材料成分によってイオン注入条件を選定する必要がある。またミラーコート層20への表面改質は、上述のようにスパッタ処理、高エネルギーによるイオン注入、低エネルギーによる極性基生成のステップが表面改質に非常に有効である。
また上述のように真空チャンバーに投入してレンズ本体10の全方向から成膜できるので、凸状のレンズといった立体物への加工も可能である。この成膜方法によって、ミラーコート層(機能性層20)の上層にダイヤモンドライクカーボン膜層100の塗膜する場合、まずはミラーコート層の上層に薄膜を形成し、その後、表面加工(エッチング)がなされる。そしてミラーコート層(機能性層20)の表層の表面改質がなされたところに、イオン注入にされるミキシング効果によって、高い密着性を持って、ダイヤモンドライクカーボン膜層100を形成することができる。またDLCコーティング工程において、Au、Ag、Ti、Ar、Cr、Wをガス化し、ダイヤモンドライクカーボン膜層100に導電性を持たせることもできる。その場合、ダイヤモンドライクカーボン膜層100が帯電防止膜となるので、静電気防止効果を発揮するとともに、電磁波シールド効果も奏し得、Crを用いた場合、ブルーライト抑制効果も期待できる。
<第2実施形態>
図2には、第1実施形態に示すレンズ1とは異なる例として、ダイヤモンドライクカーボン膜層100がレンズ本体10の両面に施された例を示す。よって、上述の実施形態と共通する箇所には共通の符号を付し、共通する説明は省略する。
図2に示すレンズ1Aは、有機系レンズとされた凸状のレンズ本体10の表面側にハードコート層20を備え、その上層にさらにミラーコート層20が施されている。すなわち、機能性層20がレンズ本体10の表面側に複数層形成されている。またレンズ本体10の裏面側には機能性層20として反射防止層が形成されている。そしてこれらレンズ本体10の表裏に形成された機能性層20の最も外層にダイヤモンドライクカーボン膜層100が形成されている。
ハードコート層20は、特に限定されないが、例えばアクリル系、シリコン系(シロキサン系)、等の公知の紫外線硬化型、熱硬化型のハードコート液を用いて形成される。このようなハードコート層20の形成方法は、刷塗り(ディップコート)、フローコート、スプレー、スパッタリング、スピンコート等、公知の任意の方法が採用される。
反射防止層20としては、特に限定されないが、例えばTiO、Al、SiO、MgF、BaF、フッ化リチウム等の公知の反射防止液を用いて形成される。反射防止層20においても、高屈折率層及び低屈折率層を交互に積層した多層構造の反射防止層であってもよい。
以上のような構成においても、ダイヤモンドライクカーボン膜層100が保護層としてレンズ本体10及び機能性層20を被覆しているので、機能性層20が有する効果に加えて、レンズ1Aの硬度を向上させることができ、低摩擦性、耐摩耗性、耐食性、酸素・紫外線バリア機能、絶縁性に優れたものとすることできる。またダイヤモンドライクカーボン膜層100をこのようにレンズ本体10の両面に施す際でも、上述の<製造方法>で説明したチャンバーを用いた製造方法であれば、両面を一度で加工可能である。
なお、ここでは図示していないが、機能性層20としては、フッ素含有有機ケイ素化合物からなる撥水層であってもよい。また機能性層20に替えて、染色層30としてもよいこともいうまでもない。さらにダイヤモンドライクカーボン膜層100によって、硬度を向上させることができるため、ハードコート層20が施されていなくてもよい。
<第3実施形態>
図3には、第1実施形態に示すレンズ1とはさらに異なる例として、ダイヤモンドライクカーボン膜層100を偏光レンズに適用した例である。よって、上述の実施形態と共通する箇所には共通の符号を付し、共通する説明は省略する。
図3に示すレンズ1Bは、凸状のレンズ本体10の表面側に機能性層20としてミラーコート層を備え、その上層に保護層としてダイヤモンドライクカーボン膜層100が形成されている。レンズ本体10は、偏光膜10bを両側から0.9mm前後の硝子ウエハー10a,10aで挟んで貼りあわせることによって構成されている。偏光膜10bは、20〜30ミクロン厚のPVA(ポリビニルアルコール)フィルムをヨウ素に浸し、3〜4倍に延伸させたものがよく用いられる。このヨウ素は、熱に弱く、例えば100℃以上の温度をかけると、レンズ本体10が含水している水分の影響でレンズの色が変わってしまい、不良品となる問題があったが、ダイヤモンドライクカーボン膜層100を上述の<製造方法>で形成する場合、成膜温度が50℃と低温で成膜加工ができるため、偏光膜10bに悪影響を与えることなく、レンズ1Bを製造できる。
以上のような構成においても、ダイヤモンドライクカーボン膜層100が保護層としてレンズ本体10及び機能性層20を被覆しているので、機能性層20が有する効果に加えて、レンズ1Bの硬度を向上させることができ、低摩擦性、耐摩耗性、耐食性、酸素・紫外線バリア機能、絶縁性に優れたものとすることできる。
図3に示す偏光レンズは、一例であって、例えば、硝子ウエハー10aに替えて、ポリカーボネイト等の薄状の有機系レンズを採用してもよい。また機能性層20に替えて、染色層30としてもよいこともいうまでもない。レンズ1Bとして示すような偏光レンズは、偏光膜10bそのものの色がレンズの基本色になるため、従来、色のバリエーションを揃えることは費用対効果的に難しく、通常は茶系もしくはグレー系に限定されがちであるが、レンズ本体10の表面側に染色層30を設け、着色濃度のコントロールやマスキングによる柄などを施した上で、ダイヤモンドライクカーボン膜層100を保護層として被覆すれば、コスメティック的な幅を広げることが可能になる。
1,1A,1B レンズ
10 レンズ本体
20 機能性層
30 染色層
100 ダイヤモンドライクカーボン膜層

Claims (8)

  1. レンズ本体の少なくとも一方面に機能性層もしくは染色層を形成するコーティング工程と、該機能性層もしくは前記染色層の上層に50℃以下で60〜70分以内でダイヤモンドライクカーボン膜層を形成するDLCコーティング工程とを備え、
    前記DLCコーティング工程は、前記機能性層もしくは前記染色層の表面をスパッタ処理で改質し、イオン注入を行い、その後、窒素極性基、炭素極性基及び酸素極性基のうち、いずれかの極性基を生成した状態で前記ダイヤモンドライクカーボン膜層を形成することを特徴とするレンズの製造方法
  2. 請求項1において、
    前記機能性層が、ハードコート層、ミラーコート層、反射防止コート層のいずれかであることを特徴とするレンズの製造方法
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記ダイヤモンドライクカーボン膜層の層厚は、30nm〜50nmであることを特徴とするレンズの製造方法
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項において、
    前記レンズ本体は、合成樹脂材からなる有機系レンズ、もしくは無機系レンズであり、眼鏡レンズとして使用されることを特徴とするレンズの製造方法
  5. 請求項1〜請求項3のいずれか1項において、
    前記レンズ本体は、偏光フィルムを間に挟み硝子ウエハー同士を貼り合わせて構成されている偏光レンズであることを特徴とするレンズの製造方法
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項において、
    前記イオン注入は、高周波電力として周波数が0.2MHz〜2.45GHz、出力が10W〜20kW、パルス幅1.0μsec以上とすることを特徴とするレンズの製造方法。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項において、
    前記極性基の生成は、N あるいはArのガスを導入し電圧を印加させながら行うことを特徴とするレンズの製造方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項において、
    前記機能層は、前記レンズ本体の一方面に20℃〜80℃にて真空蒸着方式により形成されるミラーコート層であることを特徴とするレンズの製造方法。
JP2019536235A 2018-08-07 2018-08-07 レンズ及びレンズの製造方法 Expired - Fee Related JP6708868B1 (ja)

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