JP6707755B2 - 建物の解体方法 - Google Patents
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Description
この解体方法は、建物を1階から順番に上層階に向かって解体する。解体する最も下の階の複数カ所で壁の一部を除去して除去部に伸長したジャッキをセットし、ジャッキで建物を倒れないように垂直姿勢に保持し、この状態でジャッキで支持していない最も下の階の壁面や床面を解体して除去し、その後、ジャッキを収縮して建物全体を降下し、建物全体を降下させた状態で、最も下の階となった壁の一部を除去して伸長したジャッキをセットして建物を垂直姿勢に保持し、この状態で、ジャッキで支持しない最も下の階の壁等を解体して除去する工程を繰り返して建物全体を下の階から上の階に順番に解体して全体を解体する。
本発明は以上の欠点を解消することを目的として開発されたもので、本発明の大切な目的は、複数のジャッキで建物を安定に垂直姿勢に自立させながら、下の階から上の階に向かって順番に各階を安全に解体できる建物の解体方法を提供することにある。
本発明のある態様にかかる建物の解体方法は、請求項2に記載するように、ジャッキ4を建物の柱2を支持する位置にセットすることで、柱をジャッキで支持して、柱の間の壁を解体して、建物を安定に垂直姿勢に保持しながら能率よく解体できる特長がある。
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
内部解体工程では、解体する建物1の内部を解体して撤去し、建物1の外周部を残して建物1の内部を空洞化する。内部解体工程で解体される箇所は、図1の(1)において鎖線で示すように、解体する建物1の内部、すなわち、天井や床、間仕切り壁等である。内部が解体されて撤去された建物1は、建物1の外周部に位置する構造体、つまり外壁や柱2、横架材等のみとなり、その形状が筒状となる。筒状となった建物1は、その全重量が軽くなる上に平面視において重量のバラツキが生じにくいので、後述するジャッキのセット工程でジャッキ4をセットした状態でも、安定して垂直姿勢に自立する。また、解体する建物1の構造耐力において主要な部分が建物1の内部に位置する場合は、その部分を解体せずに残存させる。さらに、ジャッキ4をセットする階の、床13を解体せずに残しても良い。後述するが、ジャッキのセット工程や解体工程において、スムーズに作業を行うことができるからである。ただし、内部解体工程は必ずしも行わずともよい。建物内部の解体及び撤去は、解体工程において行うことができるからである。
この工程では、図2に示すように、解体する建物1の同一階の複数カ所を破壊し、この破壊部3にジャッキ4をセットする。セットされた複数のジャッキ4は、建物1を下から垂直姿勢に保持する。ジャッキ4をセットする箇所は、解体する建物1を安定して支持できる箇所である。建物1を安定して支持できる箇所とは、建物1の構造耐力上主要な部分で、例えば壁や柱2である。図1では、解体する建物1の2階の柱2にジャッキ4をセットする例を示している。ジャッキ4をセットする2階の柱2の下部を破壊し、この破壊部3にジャッキ4をセットして建物1を下から支持する。また、ジャッキ4のセットは、後述する養生工程にて配置される養生壁10を足場として利用するが、建物1の内部に仮設足場を設けてもよい。内部解体工程にて、床13を残存させた場合は床13を利用して、ジャッキ4のセットを行う。
連結工程では、ジャッキのセット工程において所定の位置にセットされた複数のジャッキ4を、連結具5で互いに連結して、各々のジャッキ4を垂直姿勢に保持する。連結具5で互いが連結された複数のジャッキ4は、各々が傾倒することなく、より安定した状態で建物1の上層階部を支持することができる。
解体工程では、ジャッキのセット工程でジャッキ4をセットした階において、ジャッキ4で支持しない領域を解体する。解体工程で解体される箇所は、図1の(5)においてクロスハッチングで示すように、ジャッキ4がセットされた2階において、セットされたジャッキ4で支持しない領域である。すなわち、ジャッキ4が支持する柱2同士の間の外壁や横架材等、建物1の外周部を解体する。この解体工程での建物1の外周部の解体は、ジャッキをセットしている階の一階層分を一度に行うが、複数回に分けて行うこともできる。解体工程を複数回に分けて行う場合は、解体する領域の下端から所定の高さ分だけ解体する。そして、後述する降下工程と伸長工程を行った後に、再び所定の高さ分を解体し、これらを繰り返すことで一階層分の解体領域を解体する。解体工程を複数回に分けて行う方法は、建物1の外周部を残存させた状態で、ジャッキ4で建物1の上層階を支持するため、より安定して建物1を垂直姿勢に保持することができる。また、前述した内部解体工程を行わない場合は、この解体工程にてジャッキ4をセットした直上階の建物1の内部の解体も同時に行う。解体工程にて解体された建物1は、図1の(6)に示す状態となる。
降下工程は、セットした全てのジャッキ4を一緒に収縮して建物1を垂直姿勢に保持して降下させる。また、伸長工程は、建物1を降下した後、順番にジャッキ4の上部を破壊して破壊部3を設け、ジャッキ4を伸長して建物1を垂直姿勢に保持する。伸長工程は、ひとつのジャッキ4の上部を破壊し、破壊した分だけジャッキ4を伸長して支持した後、隣のジャッキの上方を破壊してジャッキ4を伸長する。このように、順番にひとつずつジャッキ4を伸長することで、建物1を垂直姿勢に保持して全てのジャッキ4を伸長させることができる。
養生工程では、解体する建物1の外側に養生壁10を配置し、解体工事中に発生する粉塵等の飛散を防止する。養生工程は、図1の(2)に示すように、解体する建物1の1階からジャッキのセット工程でジャッキ4をセットする2階の外側に、養生壁10を配置する。養生壁10は、解体する建物1の外周に沿って支持部材を配置し、この支持部材に粉塵等の飛散を防止するシートを連結して養生壁10としている。支持部材は、金属製の単管パイプ等を使用し、この単管パイプを所定の間隔で格子状に連結して、建物1に対して垂直姿勢に配置する。垂直姿勢に配置された支持部材は、倒壊等を防ぐために建物1に連結される。また、この支持部材は、仮設足場としても利用可能で便利に使用できる。支持部材に連結されるシートは、建物1を解体する際に発生する飛石や粉塵の飛散、また騒音を防止するためのシートで、養生シートを使用する。また、養生壁10は、養生シートの他に、騒音を効果的に防止する防音パネル等を使用してもよい。解体する建物1の立地条件等を考慮して、配置する養生壁10の種類を選択する。
(1)内部解体工程
図1の(1)に示すように、解体する建物1の全階において、設備や内装材の撤去及び床や天井の解体を行い、建物1の内部を空洞化させる。
(2)養生工程
図1の(2)に示すように、空洞化した建物1の外側に養生壁10を設置する。養生壁10は、建物1の1階から2階部分を覆うように垂直姿勢に配置して建物1に連結する。また、養生壁10を設置すると共に、建物1の内部の1階に解体重機11を配置する。
(3)ジャッキのセット工程
図1の(2)、(3)、及び図2に示すように、建物1の2階の柱2の下部を破壊し、直ちに破壊部3にジャッキ4をセットする。ジャッキ4は、伸長した状態で破壊した柱2の下端にセットする。したがって、破壊部3は、伸長状態のジャッキ4をセットできるように破壊する。2階の全ての柱2において、柱2の下部の破壊とジャッキ4のセットを順番に繰り返す。
(4)連結工程
図1の(4)、及び図3に示すように、セットした全てのジャッキ4を連結具5で連結する。ジャッキ4に固定された固定片6と連結フレーム7とをボルト8で連結する。連結具5で連結されたジャッキ4は垂直姿勢に保持されて、支持する建物1を安定して自立させる。
(5)解体工程
図1の(5)に示すように、ジャッキ4をセットした2階部分を解体する。解体を行う箇所は、ジャッキ4が支持しない領域であって、柱2と柱2の間の外壁等の建物1の外周部である。1階に配置された解体重機で、2階部分の解体を行う。外周部が解体された建物1の2階部分は、ジャッキ4が支持している柱2のみが残存する状態となる。
(6)降下工程
図7の(1)、(2)に示すように、伸長状態でセットした全てのジャッキ4を収縮して、建物1全体を降下させる。
(7)伸長工程
図7の(3)に示すように、全ジャッキ4を収縮させた状態で、ジャッキ4の上方に位置する柱2の下部を、ジャッキ4が伸長しうる長さ分だけ切断する。柱2を切断後、直ちにジャッキ4を伸長して切断した柱2の下端を支持する。この柱2の切断とジャッキ4の伸長を、ジャッキ4をセットした全ての柱2に対してひとつずつ順番に行い、建物を垂直姿勢に保持する。
(8)降下工程
図8の(4)、(5)に示すように、全ジャッキ4を一緒に収縮させて、建物1を降下させる。さらに、(7)の伸長工程、及び(8)の降下工程を繰り返すことで、建物1の2階の一階層分を降下する。
(9)図8の(6)に示すように、2階の一階層分が降下された建物1は、セットしたジャッキ4が3階の柱2の下端を支持する状態となる。その後、さらに(5)〜(8)の工程を繰り返して、建物1の3階から5階を解体した後、セットしたジャッキ4と連結具5を撤去する。
(10)図1の(8)で示すように、建物1の1階部分の解体を解体重機11にて行い、養生壁10を撤去し解体工事を終える。
(1)内部解体工程
解体する建物1において、設備や内装材の撤去及び床や天井の解体を行う。このとき、ジャッキ4をセットする2階の床13のみ残存させる。また、この2階の床13には所定の大きさの開口穴14を設ける。
(2)養生工程
空洞化した建物1の外側に養生壁10を設置する。養生壁10は、建物1の1階から2階部分を覆うように垂直姿勢に配置して建物1に連結する。また、養生壁10を設置すると共に、建物1の残存させた2階の床に解体重機11を配置する。
(3)ジャッキのセット工程
建物1の2階の柱2の下部を破壊し、直ちにこの破壊部3にジャッキ4をセットする。ジャッキ4は、伸長した状態で破壊した柱2の下端にセットする。破壊部3は、伸長した状態のジャッキ4をセットできるように破壊する。2階の全ての柱2において、柱2の下部の破壊とジャッキ4のセットを繰り返す。
(4)連結工程
セットした全てのジャッキ4を連結具5で連結する。連結具5で連結されたジャッキ4は垂直姿勢に保持されて、支持する建物1を安定して自立させる。
(5)解体工程
図9に示すように、ジャッキ4をセットした2階部分において、ジャッキ4が支持しない領域の建物1の外周部を解体する。この解体は、2階に配置された解体重機11で行うので、小型の解体重機を使用することができる。また、建物1の1階であって、2階の床に設けられた開口穴14の下方となる位置に搬出車両12を配置させておく。解体工程で順次発生する廃材等を開口穴14から落下させて、直接、搬出車両12に積み込む。解体重機11による解体作業と、廃材等の搬出作業を繰り返して、2階の外周部の解体を行う。
(6)降下工程
ジャッキ4がセットされた2階の外周部を解体後、セットした全てのジャッキ4を収縮して、建物全体を降下させる。
(7)伸長工程
全ジャッキ4を収縮させた状態で、ジャッキ4が伸長しうる長さ分だけ柱2の下部を切断する。柱2を切断後、直ちにジャッキ4を伸長して切断した柱2の下端を支持する。この柱2の切断とジャッキ4の伸長を、ジャッキ4をセットした全ての柱2に対してひとつずつ順番に行い、建物を垂直姿勢に保持する。
(8)降下工程
全ジャッキ4を一緒に収縮させて、建物1を降下させる。(7)および(8)の工程を繰り返すことで、2階の一階層分を降下する。
(9)2階の一階層分が降下された建物1は、セットしたジャッキ4が3階の柱2の下端を支持する状態となる。その後、さらに(5)〜(8)の工程を繰り返して、建物1の3階から5階を解体した後、セットしたジャッキ4を撤去する。
(10)建物1の1階部分の解体を解体重機11にて行い、養生壁10を撤去し解体工事を終える。
2…柱
3…破壊部
4…ジャッキ
4A…シリンダー部
4B…伸縮ロッド
4C…固定プレート
4D…支持プレート
5…連結具
6…固定片
6A…連結片
7…連結フレーム
8…ボルト
9…支持筒
10…養生壁
11…解体重機
12…搬出車両
13…床
14…開口穴
Claims (11)
- 建物の同一階の複数カ所を破壊して各々の破壊部にジャッキをセットし、複数のジャッキでもって建物を下から支持して垂直姿勢に保持した後、
前記ジャッキで支持してなる階であって、前記ジャッキで支持しない領域を解体する解体工程と、
前記解体工程で建物を解体した後、前記ジャッキを収縮して建物を垂直姿勢に保持して降下させる降下工程と、
前記ジャッキの上方を破壊して破壊部に前記ジャッキを伸長して建物を支持するジャッキの伸長工程とからなり、これらの工程を繰り返すことで建物全体を解体する建物の解体方法であって、
建物の複数カ所を支持してなる複数の前記ジャッキを連結具で互いに連結して垂直姿勢に保持することを特徴とする建物の解体方法。 - 前記ジャッキが建物の柱を支持する位置にセットすることを特徴とする請求項1に記載する建物の解体方法。
- 前記連結具に鋼材を使用することを特徴とする請求項1又は2に記載する建物の解体方法。
- 前記連結具に形鋼を使用することを特徴とする請求項3に記載する建物の解体方法。
- 前記連結具を建物の壁に沿って配置して、柱の下端にセットしてなる前記ジャッキに連結し、前記連結具が前記ジャッキを介して枠形状に連結することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載する建物の解体方法。
- 前記ジャッキを最初に2階以上の階にセットして、前記ジャッキをセットした階から順番に上層部を解体した後、最後に前記ジャッキをセットした階を解体することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載する建物の解体方法。
- 建物の1階から前記ジャッキをセットする階の外側に、解体する建物の飛散を防止する養生壁を配置し、前記養生壁を建物に連結して垂直姿勢に配置して、建物を下の階から順番に上層階を解体することを特徴とする請求項6に記載する建物の解体方法。
- 前記ジャッキに、雄ねじロッドを雌ねじ孔の筒体にねじ込んで雄ねじロッドを伸縮する機械式ジャッキを使用し、前記連結具を前記筒体に連結することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載する建物の解体方法。
- 建物の内部を解体した後、建物の外周部に前記ジャッキをセットして外壁を解体することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載する建物の解体方法。
- 前記ジャッキをセットする階において、建物の内部の床を解体せずに残し、前記床に建物を解体する解体重機を配置し、前記解体工程を行うことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載する建物の解体方法。
- 前記ジャッキをセットする階において、建物の内部の床に開口穴を設けることを特徴とする請求項1ないし10に記載する建物の解体方法。
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