JP6707354B2 - 回転体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、回転体の製造方法に関する。
特許文献1には、軸部とプーリ部とを摩擦圧接により接合してプーリを作製することが開示されている。
特開2007−253192号公報
軸部とプーリ部とを摩擦圧接により接合してプーリを作製する場合のプーリの生産性は、摩擦圧接を行う際の軸部とプーリ部の互いの接合面の昇温速度に依存するため、昇温速度を速くするとプーリの生産性が向上する。
ここで、軸部とプーリ部の互いの接合面の接合面積を狭くすることで、昇温速度を速くすることが考えられるが、この場合には、接合面積が狭くなるので、接合後の軸部とプーリ部との接合強度が低下してしまう。
そのため、摩擦圧接により2つの部材を互いに接合する際に、接合作業の生産性の向上と、接合後の接合強度の向上の両方を実現できるようにすることが求められている。
環状の第1突出部を有する第1回転部材と、
前記第1突出部と外径が異なる環状の第2突出部を有する第2回転部材と、を準備する第1工程と、
前記第2突出部と前記第1回転部材とを接触させると共に、前記第1回転部材および前記第2回転部材の一方を回転させることにより、前記第2突出部と前記第1回転部材との接触部を加熱する第2工程と、
前記接触部の加熱の後に、前記第2突出部の外径側に位置する前記第1突出部と前記第2回転部材とを接触させる方向への移動を開始し、その後、前記第1突出部と前記第2回転部材との回転摩擦圧接による固相接合と、前記第2突出部と前記第1回転部材との回転摩擦圧接による固相接合と、を開始する第3工程と、を含むことを特徴とする回転体の製造方法。

本発明によれば、第1回転部材と第2突出部との接触を、第1突出部と第2回転部材との接触よりも先に行って、第1回転部材と第2突出部との接触部を予め加熱したのちに、第1突出部と第2回転部材とを接触させて、第1突出部と第2回転部材との接触部の回転摩擦圧接と、第2突出部と第1回転部材との接触部の回転摩擦圧接とを行うことで、1つの接合面の面積を狭くする一方、接合面を複数とすることで接合面の総面積を増やすことができるので、接合作業の生産性の向上と、接合後の接合強度の向上の両方を実現することができる。
第1の実施の形態にかかるプーリを模式的に示した図である。 シーブ部と軸部とを回転摩擦圧接により接合する方法のフローチャートである。 シーブ部と軸部を回転摩擦圧接により接合する方法を説明する図である。 第2の実施の形態にかかる可動プーリを説明する図である。 第3の実施の形態にかかる可動プーリを説明する図である。 第4の実施の形態にかかる可動プーリを説明する図である。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を、車両用のベルト式無段変速機のバリエータを構成するプーリ1の作製に適用した場合を例に挙げて説明する。
図1は、プーリ1を模式的に示した図であり、(a)は、軸部4とシーブ部5とを接合して作製された可動プーリ3と、固定プーリ2と、から構成されるプーリ1の断面図であり、(b)は、可動プーリ3の断面図であって、接合前の軸部4とシーブ部5の断面図である。
図1の(a)に示すように、プーリ1は、当該プーリ1の軸部21を回転軸Xに沿わせた向きで配置された固定プーリ2と、固定プーリ2の軸部21で、回転軸X回りの回転が規制された状態で回転軸X方向に移動可能に設けられた可動プーリ3と、から構成される。
固定プーリ2は、軸部21の一端21a側に、径方向外側に延出するシーブ部22を有しており、このシーブ部22における可動プーリ3との対向面が、回転軸Xに対して所定角度傾斜したシーブ面22aとなっている。
可動プーリ3は、固定プーリ2の軸部21に外挿される円筒状の軸部4と、軸部4の固定プーリ2側の端部から径方向外側に延出するシーブ部5とを有している。
回転軸X方向におけるシーブ部5の一方の面は、回転軸Xに対して所定角度傾斜したシーブ面5aとなっており、他方の面は、油圧室Rに供給された油圧作用面5bとなっている。
なお、油圧室Rは、可動プーリ3のシーブ部5に設けた円筒状のシリンダ部55の開口を、軸部21の他端21bに固定されたプランジャ6で封止することで、シリンダ部55の内径側に形成されている。
プーリ1において固定プーリ2と、可動プーリ3は、互いのシーブ面22a、5aを対向させた向きで設けられており、これらシーブ面22aとシーブ面5aとの間に、ベルトVが巻き掛けられるV溝10が形成されている。
固定プーリ2の軸部21において可動プーリ3は、回転軸X方向に移動可能に設けられており、可動プーリ3は、油圧室Rに油圧が供給されると、V溝10の溝幅Wを狭める方向(図中、左方向)に移動すると共に、油圧室Rへの油圧の供給が遮断されると、ベルトVから作用する押圧力で、V溝10の溝幅Wを広げる方向(図中、右方向)に移動するようになっている。
実施の形態では、軸部4とシーブ部5とを接合して可動プーリ3を作製しており、接合前の軸部4は、円筒状の基部41と、基部41の一端41aから突出する筒状の内径側接合部42と、基部41の一端41aから径方向外側に突出するフランジ部45と、から一体に形成されている。
回転軸X方向から見た内径側接合部42の内径D1は、基部41を回転軸X方向に貫通する貫通孔411と整合する内径を有すると共に、外径D2は、基部41の外径D3よりも小さい外径を有している(D3>D2)。
この内径側接合部42の先端面42aは、回転軸Xに直交する平坦面となっており、内径側接合部42の基部41の一端41aからの突出長さL1は、後記する外径側接合部53の突出長さL2よりも長くなっている(L1>L2)。
フランジ部45は、基部41の外径D3よりも大きい外径D5を有している。このフランジ部45の固定プーリ2との対向面45aは、基部41の一端41aと面一な平坦面となっており、この対向面45aもまた、回転軸Xに直交している。
シーブ部5では、リング状の基部51の油圧作用面5bの外径側に、回転軸X方向から見てリング状を成すシリンダ部55が設けられており、このシリンダ部55の内径側に、前記したフランジ部45の外径D5と整合する外径D5の外径側接合部53が設けられている。
この外径側接合部53もまた、回転軸X方向から見てリング形状を成しており、前記した内径側接合部42の外径D2よりも大きい内径D4で形成されている。
実施の形態では、外径側接合部53の回転軸Xの径方向の幅W1と、前記した内径側接合部42の回転軸Xの径方向の幅W1とが、同じ幅となるように、外径側接合部53の外径D5と内径D4が設定されている。
本実施例では、外径側接合部53の幅W1と内径側接合部42の幅W1とが同じ幅となるように設定しているが、内径側接合部42は外径側接合部53より周速度が遅いので、発熱量が低く、外径側接合部53と同じ接合温度となるのに時間がかかる。よって、内径側接合部42の発熱量を高くして短時間で外径側接合部53の接合温度と同じ温度にするために、内径側接合部42の幅W1を外径側接合部53の幅W1より大きくしたものであっても良い。
外径側接合部53の先端面53aは、回転軸Xに直交する平坦面となっている。
シーブ部5における外径側接合部53の油圧作用面5bからの突出長さL2は、前記した内径側接合部42の基部41からの突出長さL1よりも短くなっており、シーブ部5と軸部4とを共通の回転軸X上で互いに近づける方向に変位させると、内径側接合部42とシーブ部5との接触の方が、外径側接合部53と軸部4のフランジ部45との接触よりも先になるように設定されている。
[可動プーリの製造]
以下、シーブ部5と軸部4とを回転摩擦圧接により接合して、可動プーリ3を製造する方法(手順)を説明する。
図2は、シーブ部5と軸部4とを回転摩擦圧接により接合して可動プーリ3を製造する方法のフローチャートである。
図3は、シーブ部5と軸部4とを回転摩擦圧接により接合して可動プーリ3を製造する方法を説明する図であり、(a)は、シーブ部5と軸部4とを準備位置に配置した状態を示す図であり、(b)は、
(a)の状態からシーブ部5を、回転軸X回りに回転させながら軸部4に近づける方向に変位させて、軸部4の内径側接合部42をシーブ部5の油圧作用面5bに当接させて予備加熱開始位置まで移動させた状態を示す図であり、(c)は、(b)の状態からシーブ部5を軸部4側にさらに移動させて、シーブ部5の外径側接合部53を軸部4のフランジ部45に当接させた接合開始位置まで移動させている途中の状態を示す図であり、(d)は、シーブ部5の外径側接合部53を軸部4のフランジ部45に当接させた接合開始位置まで移動させた状態を示す図であり、(e)は、(d)の状態からシーブ部5を軸部4側にさらに移動させて、シーブ部5と軸部4との接合終了位置まで移動させた状態を示す図である。
なお、図3では、説明の便宜上、回転軸Xを挟んだ一方側(図中、上側)のみを示しており、他方側(図中、下側)の図示を省略している。
実施の形態においてシーブ部5と軸部4との接合は、軸部4を回転不能に支持する固定側支持装置11と、シーブ部5を軸部4に対して同軸に配置すると共に回転軸X回りに回転させながら軸部4に近づける方向に移動する可動側支持装置12と、を有する接合装置を用いて行われるようになっている。
始めに、軸部4を固定側支持装置11に支持させると共に、シーブ部5を可動側支持装置12に支持させて、軸部4の内径側接合部42と、シーブ部5の外径側接合部53とを、回転軸X方向で対向配置させた準備位置に配置する(図2:ステップS101、図3の(a)参照)。
続いて、シーブ部5を回転軸X回りに回転させながら、シーブ部5を軸部4に近づける方向(図中、右方向)に移動させて、シーブ部5の油圧作用面5bに、軸部4の内径側接合部42の先端面42aを接触させた予備加熱開始位置まで移動させる(図2:ステップS102、図3の(b)参照)。
そして、シーブ部5を回転軸X回りに回転させながら、シーブ部5の油圧作用面5bと内径側接合部42の先端面42aとを接触させた状態を、第1の所定時間保持して、油圧作用面5bと先端面42aの接触部を、シーブ部5と軸部4との回転軸X回りの相対回転による摩擦熱で加熱する予備加熱を実施する(図2:ステップS103、図3の(b)参照)
前記したように、軸部4の一端41aと、シーブ部5の油圧作用面5bは、回転軸Xに直交する平坦面であり、軸部4からシーブ部5側に延びる内径側接合部42の突出長さL1が、シーブ部5から軸部4側に延びる外径側接合部53の突出長さL2よりも長いので、シーブ部5が予備加熱開始位置に配置された状態では、外径側接合部53の先端面53aと、軸部4のフランジ部45の対向面45aとの間に隙間Wa(Wa=L1−L2)が生じるようになっている。
そのため、シーブ部5を予備加熱開始位置に配置した状態で、シーブ部5を軸部4に対して相対的に回転させると、油圧作用面5bと先端面42aとの接触部のみが加熱されることになる。
さらに、この際に、回転軸Xの径方向における内径側接合部42と外径側接合部53との間の空間S内の空気Airが、接触部の加熱により暖められて膨張するので、この膨張した空気Airが、隙間Waを通って、空間Sから外部に放出されることになる。
油圧作用面5bと先端面42aとの接触部の予備加熱を完了した後、さらに、シーブ部5を回転軸X回りに回転させながら、軸部4に近づける方向(図中、右方向)に移動させて、シーブ部5の外径側接合部53の先端面53aに、軸部4のフランジ部45の対向面45aを接触させた接合開始位置まで移動させる(図2:ステップS104、図3の(c)、(d)参照)。
この際に、油圧作用面5bと先端面42aとの接触部(内径側接触部C_in)の回転摩擦圧接が僅かに行われることになり、空間S内の空気がさらに暖められることになる。
実施の形態では、外径側接合部53の先端面53aに、フランジ部45の対向面45aが接触するまでの間は、空間Sが隙間Waを介して外部と連通しているので(図3の(c)参照)、暖められて膨張した空気Airは、隙間Waを通って外部に放出されることになる。
そして、回転軸X回りに回転させているシーブ部5を、図3の(d)に示す接合開始位置で第2の所定時間保持して、油圧作用面5bと先端面42aとの接触部(内径側接触部C_in)と、外径側接合部53の先端面53aと軸部4のフランジ部45(対向面45a)との接触部(外径側接触部C_out)との接合前加熱を実施する(図2:ステップS105、図3の(d)参照)。
これにより、内径側接触部C_inと外径側接触部C_outとが、回転摩擦圧接に適した温度に加熱される。
ここで、回転軸Xの径方向で、内径側接触部C_inは外径側接触部C_outよりも内径側に位置しており、シーブ部5が回転軸X回りに回転している際の周速度は、内径側接触部C_inの方が、外径側接触部C_outよりも小さくなる。
そうすると、接合前加熱での内径側接触部C_inの温度の昇温速度は、接合前加熱での外径側接触部C_outの温度の昇温速度よりも低いために、接合前加熱を、同じ温度の内径側接触部C_inと外径側接触部C_outに対して実施すると、接合前加熱後の内径側接触部C_inの温度は、接合前加熱後の外径側接触部C_outの温度よりも低くなってしまう。
実施の形態では、前記した予備加熱(図2:ステップS103、図3の(b))により、内径側接触部C_inを事前に加熱しており、接合前加熱(ステップS105)後の内径側接触部C_inの温度と、外径側接触部C_outの温度とが、ほぼ同じ温度となるように、前記した予備加熱(ステップS103)を行う第1の所定時間と、接合前加熱(ステップS105)を行う第2の所定時間とが設定されている。
ここで、「ほぼ同じ温度」とは、内径側接触部C_inの温度と外径側接触部C_outの温度との温度差の絶対値が所定温度範囲内であることを意味しており、例えば、温度差の絶対値は、50℃以内、好ましくは10℃以内、より好ましくは1℃以内、理想的には0℃であれば良い。
そのため、接合前加熱(ステップS105)の終了後に、シーブ部5を、接合終了位置(図3の(e)参照)に向けてさらに移動させて回転摩擦圧接(図2:ステップS106、図3の(d)、(e)参照)を行うと、内径側接触部C_inと外径側接触部C_outとを、回転摩擦圧接に適したほぼ同じ温度まで加熱(昇温)した状態で、内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接触部C_outの回転摩擦圧接とが、平行して行われることになる。
また、第2の所定時間経過後、シーブ部5の回転を停止したのち、当該シーブ部5を軸部4にさらに圧接(アプセット加工)することで、シーブ部5と軸部4との接合を完了する。
これにより、内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接触部C_outの回転摩擦圧接とが、ほぼ同じ温度・圧力のもとで実施されることになるので、回転摩擦圧接後の内径側接触部C_inの接合強度と、外径側接触部C_outの接合強度をほぼ同じ強度にすることができる。
また、外径側接触部C_outが、軸部4の基部41よりも大径のフランジ部45に設けられており、回転軸X周りの周方向における外径側接触部C_outでの接合長を長くすることができる。これにより、軸部4とフランジ部45と外径側の接合面積を大きく確保できるので、外径側接触部C_outの接合強度をさらに向上することができる。
なお、シーブ部5を接合終了位置まで移動させて、シーブ部5と軸部4との回転摩擦圧接による接合を行うと、例えば、油圧作用面5bと先端面42aとの接触部(内径側接触部C_in)では、油圧作用面5bと先端面42aの互いの接触面の肉が、混ざり合うことなく径方向に移動してバリBを発生させる。
そうすると、油圧作用面5bと先端面42aとの界面では、空気との接触による酸化皮膜が形成されていた材料表面がバリBとなり、このバリBの生成に伴って、空気に触れていなかった材料表面同士が互いに接触することになる。
ここでシーブ部5と軸部4は、それぞれ同じ材料で形成されているので、油圧作用面5bと先端面42aとの界面では、空気に触れていなかった同一の材料同士が互いに高温・高圧下で接合されて固相接合の状態となるので、シーブ部5の油圧作用面5bと先端面42aとが、強固に接合されることになる。
なお、外径側接合部53の先端面53aと軸部4のフランジ部45との接触部(外径側接触部C_out)においても、同様に固相接合の状態となるので、強固に接合されることになり、シーブ部5と軸部4とが強固に接合されることになる。
シーブ部5と軸部4との回転摩擦圧接が終了すると、作製された可動プーリ3の接合部の外周に生じたバリBの除去などを行う後処理(図2:ステップS108)を行ったのち、シーブ部5と軸部4との回転摩擦圧接による接合での可動プーリ3の製造を終了することになる。
ここで、シーブ部5と軸部4との回転摩擦圧接による接合を終了すると、接合時に加熱されていた内径側接触部C_inおよび外径側接触部C_outと、これらの近傍領域が、自然冷却されることになる。
そうすると、内径側接合部42と外径側接合部53の間の空間S内の空気もまた冷却されることになり、冷却の進行の伴う空気の凝縮により、密閉された空間S内が負圧状態になる。
この空間S内に生じた負圧は、シーブ部5と軸部4とを互いに接合させる方向に作用するので、シーブ部5と軸部4との接合状態を維持する応力が、空間S内の負圧により、作用し続けることになる。
これにより、接合後のシーブ部5と軸部4との接合強度を、より高めることができる。
以上の通り、実施の形態では、
(1)環状の外径側接合部53(第1突出部)を有するシーブ部5(第1回転部材)と、
外径側接合部53よりも外径が小さい環状の内径側接合部42(第2突出部)を有する軸部4(第2回転部材)と、を接合して、プーリ1の可動プーリ3(回転体)を製造する可動プーリ3の製造方法であって、
共通の回転軸X上で、外径側接合部53と内径側接合部42とを対向させた向きで、シーブ部5と可動プーリ3を配置する準備工程(第1工程)(ステップS101)と、
シーブ部5を回転軸X回りに回転させた状態で軸部4に近づけて、内径側接合部42とシーブ部5とを接触させた状態で、油圧作用面5bと先端面42aの接触部である内径側接触部C_inを、シーブ部5と軸部4との回転軸X回りの相対回転による摩擦熱で予備加熱する予備加熱工程(第2工程)(ステップS102、S103)と、
シーブ部5を回転軸X回りに回転させた状態で、軸部4にさらに近づけて、油圧作用面5bと内径側接合部42の先端面42aとの接触部である内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接合部53の先端面53aと軸部4のフランジ部45との接触部である外径側接触部C_outの回転摩擦圧接を行って、軸部4とシーブ部5とを接合する接合工程(第3工程)(ステップS104〜S107)と、を含む軸部4とシーブ部5とを接合して可動プーリ3を製造する可動プーリ3(回転体)の製造方法とした。
このように構成すると、シーブ部5と内径側接合部42との接触を、外径側接合部53と軸部4との接触よりも先に行って、シーブ部5と内径側接合部42との接触部(内径側接触部C_in)を予め加熱したのちに、外径側接合部53と軸部4とを接触させて、内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接合部53と軸部4との接触部(外径側接触部C_out)の回転摩擦圧接とを行うことで、可動プーリ3が作製される。
これにより、1つの接合面の面積を狭くする一方で、接合面を複数とすることで接合面の総面積を増やすことができるので、接合作業の生産性の向上と、接合後の接合強度の向上の両方を実現することができる。
特に、内径側接合部42の外径を、外径側接合部53の内径よりも小さくして、内径側接合部42と外径側接合部53とが、回転軸Xの径方向で間隔を空けて配置されている構成としたので、軸部4とシーブ部5とを接合する際の接合面積は、内径側接合部42よりも外径側接合部53のほうが広くなる。
これにより、内径側接合部42のみで軸部4とシーブ部5とを接合する場合によりも、内径側接合部42と外径側接合部53で軸部4とシーブ部5とを接合する場合のほうが、接合面積を広く取ることできるので、接合後の接合強度が向上することになる。
また、内径側接合部42と外径側接合部53とが、回転軸Xの径方向で間隔を空けて配置されているので、内径側接合部42と外径側接合部53を有していない軸部4とシーブ部5とを、回転摩擦圧接で接合する場合よりも接合面積が抑えられている。
そのため、回転摩擦圧接を行うために互いの接合面同士を加熱する際に、互いの接合面の温度を、回転摩擦圧接に適した温度まで速やかに加熱することができる。
よって、径側接合部42と外径側接合部53を有していない軸部4とシーブ部5とを、回転摩擦圧接で接合する場合よりも、回転摩擦圧接により接合する作業を短時間で行うことができるので、軸部4とシーブ部5とを接合して生産される可動プーリ3の生産性が向上する。
(2)予備加熱工程(ステップS103)では、外径側接合部53の先端面53aと軸部4のフランジ部45(対向面45a)との間に隙間Waが形成されて、外径側接合部53の先端面53aと、軸部4のフランジ部45(対向面45a)とが互いに接触していない状態で、内径側接合部42の先端面42aとシーブ部5の油圧作用面5bとの接触部である内径側接触部C_inを加熱する構成とした。
このように構成すると、内径側接触部C_inの加熱により、内径側接合部42と外径側接合部53との間の空間S内の空気が暖められて膨張しても、この膨張した空気が、隙間Waを通って、空間Sから外部に放出されることになる。
空間Sが外部と連通していない状態で内径側接触部C_inが加熱されると、膨張した空気が空間S内で圧縮されて、空間S内の圧力が高くなる。そうすると、空間S内で圧縮された空気(圧縮空気)により、接合後の軸部4とシーブ部5との接合を解消する方向に作用する応力が生じるので、軸部4とシーブ部5との接合がこの応力により阻害されてゆがみが生じ、接合後の軸部4とシーブ部5との接合強度が低下する可能性がある。
上記のとおり、空間Sが外部と連通している状態で、内径側接触部C_inが加熱されるので、圧縮空気による熱処理時のゆがみ低減の効果が発揮される。
また、加熱により膨張した空間S内の空気を外部に放出したのちに、外径側接触部C_outの接合により空間Sが封止されるので、軸部4とシーブ部5との接合後に空間S内の空気が自然冷却により常温まで低下すると、空気の凝縮により空間S内の圧力が負圧になる。この負圧は、軸部4とシーブ部5とを接続を保持する方向に作用するので、接合後の軸部4とシーブ部5との接合強度が向上する。
(3)予備加熱工程(ステップS103)では、内径側接合部42とシーブ部5とを接触させた状態で、第1の所定時間保持して、内径側接合部42とシーブ部5との接触部である内径側接触部C_inを加熱するように構成されており、
接合工程(ステップS105、S106)では、
内径側接合部42とシーブ部5とを接触させた状態で保持しつつ、外径側接合部53(第1突出部)と軸部4(第2回転部材)とをさらに接触させた状態で、第2の所定時間保持したのち、内径側接合部42とシーブ部5との接触部である内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接合部53と軸部4との接触部である外径側接触部C_outの回転摩擦圧接とを行うように構成されており、
第2の所定時間が経過した時点で、外径側接合部53と軸部4との接触部である外径側接触部C_outの温度と、内径側接合部42とシーブ部5との接触部である内径側接触部C_inの温度の差の絶対値が所定以内(例えば、50℃以内、好ましくは10℃以内、より好ましくは1℃以内、理想的には0℃)になるように、第1の所定時間と、第2の所定時間とが設定されている構成とした。
これにより、内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接触部C_outの回転摩擦圧接とが、ほぼ同じ温度・圧力のもとで行われることになるので、回転摩擦圧接後の内径側接触部C_inの接合強度と、外径側接触部C_outの接合強度をほぼ同じ強度にすることができる。
前記した第1の実施形態では、前記した予備加熱工程(ステップS102、S103)のステップS102において、シーブ部5を回転軸X回りに回転させた状態で軸部4に近づけて、内径側接合部42とシーブ部5とを接触させたのち、ステップS103において、シーブ部5を回転軸X回りに回転させた状態で、油圧作用面5bと先端面42aの接触部である内径側接触部C_inを、シーブ部5と軸部4との回転軸X回りの相対回転による摩擦熱で予備加熱する場合を例示した。
ここで、予備加熱工程のステップS102において、シーブ部5を回転軸X回りに回転させていない状態で軸部4に近づけて内径側接合部42とシーブ部5とを接触させたのち、ステップS103において、シーブ部5を回転軸X回りに回転させた状態で、油圧作用面5bと先端面42aの接触部である内径側接触部C_inを、シーブ部5と軸部4との回転軸X回りの相対回転による摩擦熱で予備加熱する構成としても良い。
また、前記した第1の実施形態では、環状の外径側接合部53(第1突出部)がシーブ部5(第1回転部材)に設けられており、外径側接合部53よりも外径が小さい環状の内径側接合部42(第2突出部)が軸部4(第2回転部材)に設けられている場合を例示した。
本発明は、この態様のみに限定されるものではなく、例えば、第1突出部と第2突出部の両方が、軸部4側、またはシーブ部5側に設けられている構成とすることや、第1突出部と第2突出部が、軸部4側とシーブ部5側に分かれている構成としても良い。
以下、これらの場合について、他の実施形態として説明する。
[第2の実施の形態]
図4は、第2の実施形態にかかる可動プーリ3Aを説明する図であり、(a)は、可動プーリ3Aの断面図であって、接合前の軸部4Aとシーブ部5Aの断面図であり、(b)は、(a)の状態からシーブ部5Aを、回転軸X回りに回転させながら軸部4Aに近づける方向に変位させて、軸部4Aの内径側接合部42をシーブ部5Aの油圧作用面5bに当接させて予備加熱開始位置まで移動させた状態を示す図であり、(c)は、シーブ部5Aをシーブ部5Aと軸部4Aとの接合終了位置まで移動させた状態を示す図である。
図4に示すように、第2の実施形態にかかる可動プーリ3Aもまた、軸部4Aとシーブ部5Aとを接合して製造されるものであり、この可動プーリ3Aでは、環状の外径側接合部43(第1突出部)と、外径側接合部43よりも外径が小さい環状の内径側接合部42(第2突出部)が、軸部4Aに設けられている。
第2の実施形態における軸部4Aは、円筒状の基部41と、基部41の一端41aから突出する筒状の内径側接合部42と、基部41の一端41aから径方向外側に突出するフランジ部45と、フランジ部45から内径側接合部42と同方向に突出する筒状の外径側接合部43と、から一体に形成されている。
回転軸X方向から見た内径側接合部42の内径D1は、基部41を回転軸X方向に貫通する貫通孔411と整合する内径を有すると共に、外径D2は、基部41の外径D3よりも小さい外径を有している(D3>D2)。
この内径側接合部42の先端面42aは、回転軸Xに直交する平坦面となっており、
内径側接合部42の基部41の一端41aからの突出長さL1は、外径側接合部43の突出長さL2よりも長くなっている(L1>L2)。
フランジ部45は、基部41の外径D3よりも大きい外径D5を有している。このフランジ部45の固定プーリ2との対向面45aは、基部41の一端41aと面一な平坦面となっており、この対向面45aもまた、回転軸Xに直交している。
外径側接合部43は、フランジ部45の外周部から、シーブ部5A側に所定の突出長さL2で設けられており、この外径側接合部43の先端面43aは、回転軸Xに直交する平坦面となっている。
実施の形態では、この外径側接合部43の径方向の幅W1と、内径側接合部42の径方向の幅W1とが同じになるように、当該外径側接合部43の内径D4と外径D5が設定されている。
本実施例では、外径側接合部43の幅W1と内径側接合部42の幅W1とが同じ幅となるように設定しているが、内径側接合部42は外径側接合部43より周速度が遅いので、発熱量が低く、外径側接合部43と同じ接合温度となるのに時間がかかる。よって、内径側接合部42の発熱量を高くして短時間で外径側接合部43の接合温度と同じ温度にするために、内径側接合部42の幅W1を外径側接合部43の幅W1より大きくしたものであっても良い。
軸部4Aにおける外径側接合部43の基部41からの突出長さL2は、前記した内径側接合部42の基部41からの突出長さL1よりも短くなっており、シーブ部5Aと軸部4Aとを共通の回転軸X上で互いに近づける方向に変位させると、内径側接合部42とシーブ部5A(油圧作用面5b)との接触の方が、外径側接合部53とシーブ部5A(油圧作用面5b)との接触よりも先になるように設定されている。
[可動プーリ3Aの製造]
かかる構成の軸部4Aとシーブ部5Aとを接合して可動プーリ3Aを製造する場合には、前記した第1の実施形態の場合と同じ手順(図2参照)を経て、軸部4Aとシーブ部5Aとが接合される。
具体的には、軸部4Aの内径側接合部42および外径側接合部43を、回転軸X方向で、シーブ部5Aの油圧作用面5bに対向配置させた準備位置に配置し(図2:ステップS101)、シーブ部5Aを、回転軸X回りに回転させながら軸部4Aに近づける方向(図中、右方向)に移動させて、シーブ部5Aの油圧作用面5bに、軸部4Aの内径側接合部42の先端面42aを接触させた予備加熱開始位置まで移動させる(図2:ステップS102、図4の(b)参照)。
そして、回転軸X回りに回転するシーブ部5Aの油圧作用面5bを、内径側接合部42の先端面42aに接触させた状態で、第1の所定時間保持して、油圧作用面5bと先端面42aの接触部を、シーブ部5Aと軸部4Aとの回転軸X回りの相対回転による摩擦熱で加熱する予備加熱を実施する(図2:ステップS103)。
さらに、シーブ部5Aを回転軸X回りに回転させながら、軸部4Aに近づける方向(図中、右方向)に移動させて、シーブ部5Aの油圧作用面5bに、軸部4Aの外径側接合部43の先端面43aを接触させた接合開始位置まで移動させたのち(図2:ステップS104)、回転軸X回りに回転させているシーブ部5Aを、図3の(d)に示す接合開始位置で第2の所定時間保持して、油圧作用面5bと先端面42aとの接触部(内径側接触部C_in)と、油圧作用面5bと先端面53aとの接触部(外径側接触部C_out)との接合前加熱を実施する(図2:ステップS105)。
そして、接合前加熱(ステップS105)の終了後に、シーブ部5Aを、接合終了位置(図3の(e)参照)に向けてさらに移動させて回転摩擦圧接(図2:ステップS106、図3の(d)、(e)参照)を行って、内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接触部C_outの回転摩擦圧接とを平行して行ったのち、前記したアプセット加工、前記した後処理(図2:ステップS108)を経て、シーブ部5Aと軸部4Aとが回転摩擦圧接により接合された可動プーリ3Aが作製されることになる。
以上の通り、第2の実施の形態では、
(4)シーブ部5A(第1回転部材)と、当該シーブ部5Aよりも外径が小さい環状の外径側接合部43(第1突出部)、および当該外径側接合部43よりも外径が小さい環状の内径側接合部42(第2突出部)を、シーブ部5Aとの対向部に有する軸部4A(第2回転部材)とを接合して、プーリ1の可動プーリ3A(回転体)を製造する製造方法であって、
共通の回転軸X上で、外径側接合部43と内径側接合部42を、シーブ部5Aの油圧作用面5bに対向させた向きで、シーブ部5A、軸部4Aとを配置する準備工程(第1工程)(ステップS101)と、
シーブ部5Aを回転軸X回りに回転させた状態で、軸部4Aに近づけて、内径側接合部42の先端面42aとシーブ部5Aの油圧作用面5bとを接触させた状態で、油圧作用面5bと先端面42aの接触部である内径側接触部C_inを、シーブ部5Aと軸部4Aとの回転軸X回りの相対回転による摩擦熱で予備加熱する予備加熱工程(第2工程)(ステップS102、S103)と、
シーブ部5Aを回転軸X回りに回転させた状態で、軸部4Aにさらに近づけて、油圧作用面5bと内径側接合部42の先端面42aとの接触部である内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、油圧作用面5bと外径側接合部53の先端面53aとの接触部である外径側接触部C_outの回転摩擦圧接を行って、軸部4Aとシーブ部5Aとを接合する接合工程(第3工程)(ステップS104〜S107)と、を含む軸部4Aとシーブ部5Aとを接合して可動プーリ3Aを製造する可動プーリ3A(回転体)の製造方法とした。
このように構成すると、シーブ部5Aと内径側接合部42との接触を、シーブ部5Aと外径側接触部53との接触よりも先に行って、シーブ部5Aと内径側接合部42との接触部(内径側接触部C_in)を予め加熱したのちに、シーブ部5Aと外径側接合部53とを接触させて、内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、シーブ部5Aと外径側接触部53との接触部(外径側接触部C_out)の回転摩擦圧接とを行うことで、可動プーリ3Aが作製される。
これにより、1つの接合面の面積を狭くする一方で、接合面を複数とすることで接合面の総面積を増やすことができるので、接合作業の生産性の向上と、接合後の接合強度の向上の両方を実現することができる。
(5)予備加熱工程(ステップS103)では、
外径側接合部43の先端面43aとシーブ部5の油圧作用面5bとの間に隙間Waが形成されて、外径側接合部43の先端面43aと、シーブ部5の油圧作用面5bとが互いに接触していない状態で、内径側接合部42の先端面42aとシーブ部5の油圧作用面5bとの接触部である内径側接触部C_inを加熱する構成とした。
このように構成すると、内径側接触部C_inの加熱により、内径側接合部42と外径側接合部43との間の空間S内の空気が暖められて膨張しても、この膨張した空気が、隙間Waを通って、空間Sから外部に放出されることになる。
よって、前記した第1の実施の形態の場合と同様の効果が奏されることになる。
(6)予備加熱工程(ステップS103)では、内径側接合部42とシーブ部5とを接触させた状態で、第1の所定時間保持して、内径側接合部42とシーブ部5との接触部である内径側接触部C_inを加熱するように構成されており、
接合工程(ステップS105、S106)では、
内径側接合部42とシーブ部5とを接触させた状態で保持しつつ、外径側接合部43とシーブ部5とをさらに接触させた状態で、第2の所定時間保持したのち、内径側接合部42とシーブ部5との接触部である内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接合部43とシーブ部5との接触部である外径側接触部C_outの回転摩擦圧接とを行うように構成されており、
第2の所定時間が経過した時点で、外径側接合部43とシーブ部5との接触部である外径側接触部C_outの温度と、内径側接合部42とシーブ部5との接触部である内径側接触部C_inの温度の差の絶対値が所定以内(例えば、50℃以内、好ましくは10℃以内、より好ましくは1℃以内、理想的には0℃)になるように、第1の所定時間と、第2の所定時間とが設定されている構成とした。
これにより、内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接触部C_outの回転摩擦圧接とが、ほぼ同じ温度・圧力のもとで行われることになるので、回転摩擦圧接後の内径側接触部C_inの接合強度と、外径側接触部C_outの接合強度をほぼ同じ強度にすることができる。
なお、この第2の実施形態の場合にも、予備加熱工程のステップS102において、シーブ部5Aを回転軸X回りに回転させていない状態で軸部4Aに近づけて内径側接合部42とシーブ部5Aとを接触させたのち、ステップS103において、シーブ部5Aを回転軸X回りに回転させた状態で、油圧作用面5bと先端面42aの接触部である内径側接触部C_inを、シーブ部5Aと軸部4Aとの回転軸X回りの相対回転による摩擦熱で予備加熱する構成としても良い。
[第3の実施の形態]
図5は、第3の実施形態にかかる可動プーリ3Bを説明する図であり、(a)は、可動プーリ3Bの断面図であって、接合前の軸部4Bとシーブ部5Bの断面図であり、(b)は、(a)の状態からシーブ部5Bを、回転軸X回りに回転させながら軸部4Bに近づける方向に変位させて、シーブ部5Bの内径側接合部52を軸部4Bの一端41aに当接させて予備加熱開始位置まで移動させた状態を示す図であり、(c)は、シーブ部5Bをシーブ部5Bと軸部4Bとの接合終了位置まで移動させた状態を示す図である。
図5に示すように、第3の実施形態にかかる可動プーリ3Bもまた、軸部4Bとシーブ部5Bとを接合して製造されるものであり、この可動プーリ3Bでは、環状の外径側接合部53(第1突出部)と、外径側接合部53よりも外径が小さい環状の内径側接合部52(第2突出部)が、シーブ部5Bに設けられている。
第3の実施形態におけるシーブ部5Bでは、リング状の基部51の油圧作用面5bの外径側に、回転軸X方向から見てリング状を成すシリンダ部55が設けられており、このシリンダ部55の内径側に、軸部4Bのフランジ部45の外径D5と整合する外径D5の外径側接合部53が設けられている。
そして、この外径側接合部53の内径側に、軸部4Bの貫通孔411の内径D1と整合する内径D1の内径側接合部52が設けられている。
これら外径側接合部53と内径側接合部52は、回転軸X方向から見てリング形状を成しており、外径側接合部53は、内径側接合部52の外径D2よりも大きい内径D4で形成されている。
実施の形態では、外径側接合部53の回転軸Xの径方向の幅W1と、内径側接合部52の回転軸Xの径方向の幅W1とが、同じ幅となるように、外径側接合部53の外径D5と内径D4が設定されている。
本実施例では、外径側接合部53の幅W1と内径側接合部52の幅W1とが同じ幅となるように設定しているが、内径側接合部52は外径側接合部53より周速度が遅いので、発熱量が低く、外径側接合部53と同じ接合温度となるのに時間がかかる。よって、内径側接合部52の発熱量を高くして短時間で外径側接合部53の接合温度と同じ温度にするために、内径側接合部52の幅W1を外径側接合部53の幅W1より大きくしたものであっても良い。
外径側接合部53の先端面53aと、内径側接合部52の先端面52aは、それぞれ回転軸Xに直交する平坦面となっている。
シーブ部5Bにおける外径側接合部53の油圧作用面5bからの突出長さL2は、内径側接合部52の突出長さL1よりも短くなっており、シーブ部5Bと軸部4Bとを共通の回転軸X上で互いに近づける方向に変位させると、内径側接合部52と軸部4Bとの接触の方が、外径側接合部53と軸部4Bのフランジ部45との接触よりも先になるように設定されている。
[可動プーリ3Bの製造]
かかる構成の軸部4Bとシーブ部5Bとを接合して可動プーリ3Bを製造する場合には、前記した第1の実施形態の場合と同じ手順(図2参照)を経て、軸部4Bとシーブ部5Bとが接合される。
具体的には、シーブ部5Bの内径側接合部52および外径側接合部53を、回転軸X方向で、軸部4Bに対向配置させた準備位置に配置し(図2:ステップS101)、シーブ部5Bを、回転軸X回りに回転させながら軸部4Bに近づける方向(図中、右方向)に移動させて、シーブ部5Bの内径側接合部52の先端面52aと、軸部4Bの先端面41aを接触させた予備加熱開始位置まで移動させる(図2:ステップS102、図5の(b)参照)。
そして、回転軸X回りに回転するシーブ部5Bの内径側接合部52の先端面52aと、軸部4Bの先端面41aを接触させた状態で、第1の所定時間保持して、内径側接合部52と軸部4Bとの接触部を、シーブ部5Bと軸部4Bとの回転軸X回りの相対回転による摩擦熱で加熱する予備加熱を実施する(図2:ステップS103)。
さらに、シーブ部5Bを回転軸X回りに回転させながら、軸部4Bに近づける方向(図中、右方向)に移動させて、シーブ部5Bの外径側接合部53の先端面53aに、軸部4Bのフランジ部45の対向面45aを接触させた接合開始位置まで移動させたのち(図2:ステップS104)、回転軸X回りに回転させているシーブ部5Bを、図3の(d)に示す接合開始位置で第2の所定時間保持して、内径側接合部52と軸部4Bとの接触部である内径側接触部C_inと、外径側接合部53の先端面53aと軸部4Bのフランジ部45との接触部である外径側接触部C_outとの接合前加熱を実施する(図2:ステップS105)。
そして、接合前加熱(ステップS105)の終了後に、シーブ部5Bを、接合終了位置(図3の(e)参照)に向けてさらに移動させて回転摩擦圧接(図2:ステップS106、図3の(d)、(e)参照)を行って、内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接触部C_outの回転摩擦圧接とを平行して行ったのち、前記したアプセット加工、前記した後処理(図2:ステップS108)を経て、シーブ部5Bと軸部4Bとが回転摩擦圧接により接合された可動プーリ3Bが作製されることになる。
以上の通り、第3の実施の形態では、
(7)回転軸X方向の一端にフランジ部45を有すると共にフランジ部45の外径D5よりも小さい外径D3の軸部4B(第1回転部材)と、フランジ部45と整合する外径D5を有する環状の外径側接合部53(第1突出部)、および当該外径側接合部53よりも外径が小さい筒状(環状)の内径側接合部52(第2突出部)を、軸部4Bとの対向部(油圧作用面5b)に有するシーブ部5B(第2回転部材)とを接合して、プーリ1の可動プーリ3Bを作製する接合方法であって、
共通の回転軸X上で、外径側接合部53と内径側接合部52を、軸部4Bに対向させた向きで、シーブ部5B、軸部4Bとを配置する準備工程(第1工程)(ステップS101)と、
シーブ部5Bを回転軸X回りに回転させた状態で、軸部4Bに近づけて、内径側接合部52の先端面52aと軸部4Bの一端41aとを接触させた状態で、第1の所定時間保持することで、内径側接合部52の先端面52aと軸部4Bの一端41aとの接触部である内径側接触部C_inを、シーブ部5Bと軸部4Bとの回転軸X回りの相対回転による摩擦熱で予備加熱する予備加熱工程(第2工程)(ステップS102、S103)と、
シーブ部5Bを回転軸X回りに回転させた状態で、軸部4Bにさらに近づけて、
内径側接合部52の先端面52aと軸部4Bの一端41aとの接触部である内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接合部53の先端面53aと軸部4Bのフランジ部45の対向面45aとの接触部である外径側接触部C_outの回転摩擦圧接を行って、軸部4Bとシーブ部5Bとを接合する接合工程(第3工程)(ステップS104〜S107)と、を含む軸部4Bとシーブ部5Bとを接合して可動プーリ3Bを製造する可動プーリ3B(回転体)の製造方法とした。
このようにすると、内径側接触部C_inを予め加熱したのちに、内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接触部C_outの回転摩擦圧接とを行うことで、内径側接触部C_inの接触部の温度と、外径側接触部C_outの接触部の温度をほぼ同じ温度にしたうえで、回転摩擦圧接を始めることができる。
これにより、内径側接触部C_inと外径側接触部C_outのうちの一方が加熱不足となった状態、または過加熱された状態で、内径側接触部C_inと外径側接触部C_outの回転摩擦圧接が行われることがない。
よって、接触領域の加熱不足や過加熱に起因する接合後の接合強度の不良の発生を抑えて、接合作業の生産性を向上させることができる。
これにより、1つの接合面の面積を狭くする一方で、接合面を複数とすることで接合面の総面積を増やすことができるので、接合作業の生産性の向上と、接合後の接合強度の向上の両方を実現することができる。
(8)予備加熱工程(ステップS103)では、
外径側接合部53の先端面53aと、フランジ部45の対向面45aとの間に隙間Waが形成されて、外径側接合部53の先端面43aと、フランジ部45の対向面45aとが互いに接触していない状態で、内径側接合部52の先端面52aと軸部4の一端41aとの接触部である内径側接触部C_inを加熱する構成とした。
このように構成すると、内径側接触部C_inの加熱により、内径側接合部52と外径側接合部53との間の空間S内の空気が暖められて膨張しても、この膨張した空気が、隙間Waを通って、空間Sから外部に放出されることになる。
よって、前記した第1の実施の形態の場合と同様の効果が奏されることになる。
(9)予備加熱工程(ステップS103)では、内径側接合部52と軸部4の一端41aとを接触させた状態で、第1の所定時間保持して、内径側接合部52と軸部4との接触部である内径側接触部C_inを加熱するように構成されており、
接合工程(ステップS105、S106)では、
内径側接合部52と軸部4とを接触させた状態で保持しつつ、外径側接合部53とフランジ部45とをさらに接触させた状態で、第2の所定時間保持したのち、内径側接合部52と軸部4との接触部である内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接合部53とフランジ部45との接触部である外径側接触部C_outの回転摩擦圧接とを行うように構成されており、
第2の所定時間が経過した時点で、外径側接合部53とフランジ部45との接触部である外径側接触部C_outの温度と、内径側接合部52と軸部4との接触部である内径側接触部C_inの温度の差の絶対値が所定以内(例えば、50℃以内、好ましくは10℃以内、より好ましくは1℃以内、理想的には0℃)になるように、第1の所定時間と、第2の所定時間とが設定されている構成とした。
これにより、内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接触部C_outの回転摩擦圧接とが、ほぼ同じ温度・圧力のもとでなされることになるので、回転摩擦圧接後の内径側接触部C_inの接合強度と、外径側接触部C_outの接合強度をほぼ同じ強度にすることができる。
なお、この第3の実施形態の場合にも、予備加熱工程のステップS102において、シーブ部5Bを回転軸X回りに回転させていない状態で軸部4Bに近づけて、内径側接合部52の先端面52aと軸部4Bの一端41aとを接触させたのち、ステップS103において、シーブ部5Bを回転軸X回りに回転させた状態で、内径側接合部52の先端面52aと軸部4Bの一端41aとの接触部である内径側接触部C_inを、シーブ部5Bと軸部4Bとの回転軸X回りの相対回転による摩擦熱で予備加熱する構成としても良い。
[第4の実施の形態]
図6は、第4の実施形態にかかる可動プーリ3Cを説明する図であり、(a)は、可動プーリ3Cの断面図であって、接合前の軸部4Cとシーブ部5Cの断面図であり、(b)は、(a)の状態からシーブ部5Cを、回転軸X回りに回転させながら軸部4Cに近づける方向に変位させて、シーブ部5Cの内径側接合部52を軸部4Cの内径側接合部42に当接させて予備加熱開始位置まで移動させた状態を示す図であり、(c)は、シーブ部5Cをシーブ部5Cと軸部4Cとの接合終了位置まで移動させた状態を示す図である。
図6に示すように、第4の実施の形態にかかる可動プーリ3Cもまた、軸部4Cとシーブ部5Cとを接合して製造されるものであり、この可動プーリ3Cでは、環状の外径側接合部53、43と、この外径側接合部53、43よりも外径が小さい環状の内径側接合部52、42が、シーブ部5Cと軸部4Cにそれぞれ設けられている。
第4の実施の形態における軸部4Cは、円筒状の基部41と、基部41の一端41aから突出する筒状の内径側接合部42と、基部41の一端41aから径方向外側に突出するフランジ部45と、フランジ部45のシーブ部5Cとの対向面45aから突出する筒状の外径側接合部43と、から一体に形成されている。
回転軸X方向から見た内径側接合部42の内径D1は、基部41を回転軸X方向に貫通する貫通孔411と整合する内径を有すると共に、外径D2は、基部41の外径D3よりも小さい外径を有している(D3>D2)。
この内径側接合部42の先端面42aは、回転軸Xに直交する平坦面となっており、
内径側接合部42は、基部41の一端41aから所定の突出長さL4で形成されている。
フランジ部45は、基部41の外径D3よりも大きい外径D5を有している。このフランジ部45の固定プーリ2との対向面45aは、基部41の一端41aと面一な平坦面となっており、この対向面45aもまた、回転軸Xに直交している。
外径側接合部43は、フランジ部45の外周部から、シーブ部5C側に所定長さL5突出して設けられており、この外径側接合部43の先端面43aは、回転軸Xに直交する平坦面となっている。
この外径側接合部43の径方向の幅W1と、内径側接合部42の径方向の幅W1とが同じになるように、当該外径側接合部43の外径D5と内径D4が設定されている。
本実施例では、外径側接合部43の幅W1と内径側接合部42の幅W1とが同じ幅となるように設定しているが、内径側接合部42は外径側接合部43より周速度が遅いので、発熱量が低く、外径側接合部43と同じ接合温度となるのに時間がかかる。よって、内径側接合部42の発熱量を高くして短時間で外径側接合部43の接合温度と同じ温度にするために、内径側接合部42の幅W1を外径側接合部43の幅W1より大きくしたものであっても良い。
第3の実施の形態におけるシーブ部5Cでは、リング状の基部51の油圧作用面5bの外径側に、回転軸X方向から見てリング状を成すシリンダ部55が設けられており、このシリンダ部55の内径側に、軸部4Cのフランジ部45の外径D5と整合する外径D5の外径側接合部53が設けられている。
そして、この外径側接合部53の内径側に、軸部4Cの貫通孔411の内径D1と整合する内径D1の内径側接合部52が設けられている。
これら外径側接合部53と内径側接合部52は、回転軸X方向から見てリング形状を成しており、外径側接合部53は、内径側接合部52の外径D2よりも大きい内径D4で形成されている。
実施の形態では、外径側接合部53の回転軸Xの径方向の幅W1と、内径側接合部52の回転軸Xの径方向の幅W1とが、同じ幅となるように、外径側接合部の外径D5と内径D4が設定されている。
本実施例では、外径側接合部53の幅W1と内径側接合部52の幅W1とが同じ幅となるように設定しているが、内径側接合部52は外径側接合部53より周速度が遅いので、発熱量が低く、外径側接合部53と同じ接合温度となるのに時間がかかる。よって、内径側接合部52の発熱量を高くして短時間で外径側接合部53の接合温度と同じ温度にするために、内径側接合部52の幅W1を外径側接合部53の幅W1より大きくしたものであっても良い。
外径側接合部53の先端面53aと、内径側接合部52の先端面52aは、それぞれ回転軸Xに直交する平坦面となっている。
第4の実施の形態では、軸部4Cにおける外径側接合部43の基部41からの突出長さL5、および内径側接合部42の基部41からの突出長さL4、シーブ部5Cにおける外径側接合部53の油圧作用面5bからの突出長さL7、および内径側接合部52の油圧作用面5bからの突出長さL6は、下記式(1)の条件を満たす量に設定されている。
L5+L7<L4+L6・・・(1)
そのため、シーブ部5Cと軸部4Cとを共通の回転軸X上で互いに近づける方向に変位させると、内径側接合部42と内径側接合部52との接触の方が、外径側接合部53と外径側接合部53との接触よりも先になるように設定されている。
[可動プーリ3Cの製造]
かかる構成の軸部4Cとシーブ部5Cとを接合して可動プーリ3Cを製造する場合には、前記した第1の実施形態の場合と同じ手順(図2参照)を経て、軸部4Cとシーブ部5Cとが接合される。
具体的には、軸部4Cの内径側接合部42および外径側接合部43を、回転軸X方向で、シーブ部5Cの内径側接合部52および外径側接合部53に対向配置させた準備位置に配置し(図2:ステップS101)、シーブ部5Cを、回転軸X回りに回転させながら軸部4Cに近づける方向(図中、右方向)に移動させて、シーブ部5Cの内径側接合部52の先端面52aに、軸部4Cの内径側接合部42の先端面42aを接触させた予備加熱開始位置まで移動させる(図2:ステップS102、図6の(b)参照)。
そして、回転軸X回りに回転するシーブ部5Cの内径側接合部52の先端面52aを、内径側接合部42の先端面42aに接触させた状態で、第1の所定時間保持して、内径側接合部52と内径側接合部42との接触部を、シーブ部5Cと軸部4Cとの回転軸X回りの相対回転による摩擦熱で加熱する予備加熱を実施する(図2:ステップS103)。
さらに、シーブ部5Cを回転軸X回りに回転させながら、軸部4Cに近づける方向(図中、右方向)に移動させて、シーブ部5Cの外径側接合部53の先端面53aに、軸部4Cの外径側接合部43の先端面43aを接触させた接合開始位置まで移動させたのち(図2:ステップS104)、回転軸X回りに回転させているシーブ部5Cを、接合開始位置で第2の所定時間保持して、内径側接合部52と内径側接合部42との接触部(内径側接触部C_in)と、外径側接合部53と外径側接合部43との接触部(外径側接触部C_out)との接合前加熱を実施する(図2:ステップS105)。
そして、接合前加熱(ステップS105)の終了後に、シーブ部5Cを、接合終了位置(図3の(e)参照)に向けてさらに移動させて回転摩擦圧接(図2:ステップS106、図3の(d)、(e)参照)を行って、内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接触部C_outの回転摩擦圧接とを平行して行ったのち、前記したアプセット加工、前記した後処理(図2:ステップS108)を経て、シーブ部5Cと軸部4Cとが回転摩擦圧接により接合された可動プーリ3Cが製造されることになる。
以上の通り、第4の実施形態では、
(10)回転軸X方向における一方側に、環状の外径側接合部53(第1外径側突出部)と、当該外径側接合部53よりも外径が小さい環状の内径側接合部52(第1内径側突出部)を有するシーブ部5C(第1回転部材)と、
回転軸X方向における他方側に、外径側接合部53と整合する環状の外径側接合部43(第2外径側突出部)と、当該外径側接合部43よりも外径が小さく、かつ内径側接合部52と整合する環状の内径側接合部42を有する軸部4C(第2回転部材)とを接合して、プーリ1の可動プーリ3Cを製造する可動プーリ3C(回転体)の製造方法であって、
共通の回転軸X上で、外径側接合部53および内径側接合部52を、外径側接合部43および内径側接合部42にそれぞれ対向させた向きで、シーブ部5Cと軸部4Cとを配置する準備工程(ステップS101)と、
シーブ部5Cを回転軸X回りに回転させた状態で、軸部4Cに近づけて、内径側接合部52の先端面52aと内径側接合部42の先端面42aとを接触させた状態で、第1の所定時間保持することで、内径側接合部52の先端面52aと内径側接合部42の先端面42aの接触部を、シーブ部5Cと軸部4Cとの回転軸X回りの相対回転による摩擦熱で予備加熱する予備加熱工程(ステップS102、S103)と、
シーブ部5Cを回転軸X回りに回転させた状態で、軸部4Cにさらに近づけて、
内径側接合部52の先端面52aと内径側接合部42の先端面42aの接触部である内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接合部53の先端面53aと外径側接合部43の先端面43aの接触部である外径側接触部C_outの回転摩擦圧接を行って、軸部4Cとシーブ部5Cとを接合する接合工程と、を含む軸部4Cとシーブ部5Cとを接合して可動プーリ3Cを作製する接合方法とした。
このようにすると、内径側接触部C_inを予め加熱したのちに、内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接触部C_outの回転摩擦圧接とを行うことで、内径側接触部C_inの温度と、外径側接触部C_outの温度をほぼ同じ温度にしたうえで、回転摩擦圧接を始めることができる。
これにより、内径側接触部C_inと外径側接触部C_outのうちの一方が加熱不足となった状態、または過加熱された状態で、内径側接触部C_inと外径側接触部C_outの回転摩擦圧接が行われることがない。
よって、接触領域の加熱不足や過加熱に起因する接合後の接合強度の不良の発生を抑えて、接合作業の生産性を向上させることができる。
さらに、1つの接合面の面積を狭くする一方、接合面を複数とすることで接合面の総面積を増やすことができるので、接合作業の生産性の向上と、接合後の接合強度の向上の両方を実現することができる。
(11)予備加熱工程(ステップS103)では、外径側接合部53の先端面53aと外径側接合部43の先端面43aとの間に隙間Waが形成されて、外径側接合部53の先端面53aと、外径側接合部43の先端面43aとが互いに接触していない状態で、内径側接合部52の先端面52aと内径側接合部42の先端面42aとの接触部である内径側接触部C_inを加熱する構成とした。
このように構成すると、内径側接触部C_inの加熱により、内径側接合部52、42と外径側接合部53、43との間の空間S内の空気が暖められて膨張しても、この膨張した空気が、隙間Waを通って、空間Sから外部に放出されることになる。
空間Sが外部と連通していない状態で内径側接触部C_inが加熱されると、空間S内の圧力が高くなって、接合後の軸部4Cとシーブ部5Cとの接合を解消する方向に応力が作用するので、軸部4Cとシーブ部5Cとの接合がこの応力により阻害されてゆがみが生じ、接合後の軸部4Cとシーブ部5Cとの接合強度が低下する可能性があるが、かかる圧縮空気による熱処理時のゆがみ低減の効果を発揮する。
また、加熱により膨張した空間S内の空気を外部に放出したのちに、外径側接触部C_outの接合により空間Sが封止されるので、軸部4Cとシーブ部5Cとの接合後に空間S内の空気が自然冷却により常温まで低下すると、空気の凝縮により空間S内の圧力が負圧になる。この負圧は、軸部4Cとシーブ部5Cとを接続を保持する方向に作用するので、接合後の軸部4Cとシーブ部5Cとの接合強度が向上する。
(12)予備加熱工程(ステップS103)では、内径側接合部42と内径側接合部52とを接触させた状態で、第1の所定時間保持して、内径側接合部42と内径側接合部52との接触部である内径側接触部C_inを加熱するように構成されており、
接合工程(ステップS105、S106)では、
内径側接合部42と内径側接合部52とを接触させた状態で保持しつつ、外径側接合部43と外径側接合部53とをさらに接触させた状態で、第2の所定時間保持したのち、内径側接合部42と内径側接合部52との接触部である内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接合部43と外径側接合部53との接触部である外径側接触部C_outの回転摩擦圧接とを行うように構成されており、
第2の所定時間が経過した時点で、外径側接触部C_outの温度と、内径側接触部C_inの温度の差の絶対値が所定以内(例えば、50℃以内、好ましくは10℃以内、より好ましくは1℃以内、理想的には0℃)になるように、第1の所定時間と、第2の所定時間とが設定されている構成とした。
これにより、内径側接触部C_inの回転摩擦圧接と、外径側接触部C_outの回転摩擦圧接とが、ほぼ同じ温度・圧力のもとでなされることになるので、回転摩擦圧接後の内径側接触部C_inの接合強度と、外径側接触部C_outの接合強度をほぼ同じ強度にすることができる。
なお、この第4の実施形態の場合にも、予備加熱工程のステップS102において、シーブ部5Cを、回転軸X回りに回転させていない状態で軸部4Cに近づける方向(図中、右方向)に移動させて、シーブ部5Cの内径側接合部52の先端面52aに、軸部4Cの内径側接合部42の先端面42aを接触させた予備加熱開始位置まで移動させたのち、テップS103において、シーブ部5Cを回転軸X回りに回転させた状態で、内径側接合部52の先端面52aと内径側接合部42の先端面42aの接触部を、シーブ部5Cと軸部4Cとの回転軸X回りの相対回転による摩擦熱で予備加熱する構成としても良い。
前記した第1の実施の形態から第4の実施の形態では、シーブ部5、5A〜5Cと軸部4、4A〜4Cとを接合する際に、シーブ部5、5A〜5Cのほうを回転軸X回りに回転させながら、軸部4、4A〜4Cに近づける方向に移動させて、回転摩擦圧接を行う場合を例示した。
本発明は、これらの態様に限定されるものではなく、例えば、軸部4、4A〜4Cのほうを回転軸X回りに回転させながら、シーブ部5、5A〜5Cに近づける方向に移動させて、回転摩擦圧接を行う構成としても良い。
接合を行うタイミングは上記の第1・第2の所定時間経過時点の他に、接触部の温度を直接測定したのちに接合を行うものでも良い。
なお、本実施形態ではL1とL2を異ならせたが、L1=L2とすることも可能である。
また、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうる様々な変更、改良が含まれる。
1 プーリ
2 固定プーリ
3、3A〜3C 可動プーリ
4、4A〜4C 軸部
41 基部
41a 一端
411 貫通孔
42 内径側接合部
42a 先端面
43 外径側接合部
43a 先端面
45 フランジ部
45a 対向面
5、5A〜5C シーブ部
5a シーブ面
5b 油圧作用面
51 基部
52 内径側接合部
52a 先端面
53 外径側接合部
53a 先端面
55 シリンダ部
6 プランジャ
10 V溝
11 固定側支持装置
12 可動側支持装置
Air 空気
B バリ
C_in 内径側接触部
C_out 外径側接触部
R 油圧室
S 空間
V ベルト
W 溝幅
Wa 隙間
X 回転軸

Claims (4)

  1. 環状の第1突出部を有する第1回転部材と、
    前記第1突出部と外径が異なる環状の第2突出部を有する第2回転部材と、を準備する第1工程と、
    前記第2突出部と前記第1回転部材とを接触させると共に、前記第1回転部材および前記第2回転部材の一方を回転させることにより、前記第2突出部と前記第1回転部材との接触部を加熱する第2工程と、
    前記接触部の加熱の後に、前記第2突出部の外径側に位置する前記第1突出部と前記第2回転部材とを接触させる方向への移動を開始し、その後、前記第1突出部と前記第2回転部材との回転摩擦圧接による固相接合と、前記第2突出部と前記第1回転部材との回転摩擦圧接による固相接合と、を開始する第3工程と、を含むことを特徴とする回転体の製造方法。
  2. 第1回転部材と、
    環状の第1突出部と前記第1突出部と外径の異なる環状の第2突出部を有する第2回転部材と、を準備する第1工程と、
    前記第2突出部と前記第1回転部材とを接触させると共に、前記第1回転部材および前記第2回転部材の一方を回転させることにより、少なくとも前記第2突出部と前記第1回転部材との接触部を加熱する第2工程と、
    前記接触部の加熱の後に、前記第2突出部の外径側に位置する前記第1突出部と前記第1回転部材とを接触させる方向への移動を開始し、その後、前記第1突出部と前記第1回転部材との回転摩擦圧接による固相接合と、前記第2突出部と前記第1回転部材との回転摩擦圧接による固相接合と、を開始する第3工程と、を含むことを特徴とする回転体の製造方法。
  3. 前記接触部の加熱を前記第1突出部と前記第1回転部材とが接触していない状態で行うことを特徴とする請求項2に記載の回転体の製造方法。
  4. 前記第3工程において、前記第1突出部の温度と前記第2突出部の温度の差の絶対値が所定以内になるタイミングで接合を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の回転体の製造方法。
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