JP6706497B2 - 親水性化合物の分離分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、親水性化合物の分離分析方法に関する。
糖類等の親水性化合物の分離には、液体クロマトグラフィーが広く用いられている。糖類等の分離分析方法としては、例えば、イオン交換クロマトグラフィー用カラムを用いる方法、親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムを用いる方法等が挙げられる。
イオン交換クロマトグラフィー用カラムを用いる方法では、溶離液として、不揮発性の塩基性化合物を添加した強アルカリ水溶液が用いられる(例えば、非特許文献1参照)。この方法では、糖類等の親水性化合物の分離性能が高い反面、溶離液に不揮発性の化合物が含まれる。そのため、この方法では、質量分析装置や荷電化粒子検出器等の装置内部で溶離液を揮発させるタイプの検出器を用いて糖類等の親水性化合物の高感度分析ができないという課題がある。
また、親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムを用いる方法では、糖類等の親水性化合物の親水性の違いを利用して、糖類等を分離する(例えば、非特許文献2参照)。しかし、糖類等の中には、構造が非常に似ているために、親水性の違いだけで分離することが難しいものもある。例えば、グルコースとガラクトースは、5つある水酸基のうちの1つの結合の向きが異なるのみであり、その他の構造は共通している。そのため、この方法では、構造が似ている糖類等を分離することが非常に難しいという課題がある。
T.R.I.Cataldi et.al. J.Chromatogr.A855(1999)539−550 Z.Guo et.al. Chem.Commun.(2007)2491−2493
本発明は、従来法では分離が難しかった構造が似ている2種以上の糖類等の親水性化合物を完全に分離することができる、液体クロマトグラフィーによる糖類等の親水性化合物の分離分析方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムを用いた液体クロマトグラフィーにおいて、pHが12.5以上の揮発性の溶離液を用いることにより、従来法では分離が難しかった構造が似ている2種以上の糖類等の親水性化合物を完全に分離することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムを用いた液体クロマトグラフィーにより親水性化合物を分離分析する方法であって、pHが12.5以上の揮発性の溶離液を用いることを特徴とする親水性化合物の分離分析方法。
[2]前記親水性化合物は、糖類である[1]に記載の親水性化合物の分離分析方法。
[3]前記糖類は、アラビノース、キシロース、マンノース、ガラクトースおよびグルコースからなる群から選択される少なくとも1種である[1]または[2]に記載の親水性化合物の分離分析方法。
[4]前記溶離液は、揮発性の有機溶媒と、揮発性の塩基性化合物と、水と、を含む[1]〜[3]に記載の親水性化合物の分離分析方法。
[5]前記揮発性の有機溶媒は、水溶性の有機溶媒である[4]に記載の親水性化合物の分離分析方法。
[6]前記水溶性の有機溶媒は、アセトニトリルである[5]に記載の親水性化合物の分離分析方法。
[7]前記親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムに充填された充填剤が、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、または、ポリアクリレートを含む[1]〜[6]のいずれかに記載の親水性化合物の分離分析方法。
[8]前記充填剤が、アミノ基を有する充填剤である[7]に記載の親水性化合物の分離分析方法。
[9]前記親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムで分離した親水性化合物を、質量分析装置を用いて検出する[1]〜[8]のいずれかに記載の親水性化合物の分離分析方法。
[10]前記親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムで分離した親水性化合物を、荷電化粒子検出器または蒸発光散乱検出器を用いて検出する[1]〜[8]のいずれかに記載の親水性化合物の分離分析方法。
本発明によれば、従来法では分離が難しかった構造が似ている2種以上の糖類等の親水性化合物を完全に分離することができる、液体クロマトグラフィーによる糖類等の親水性化合物の分離分析方法を提供することができる。また、揮発性の溶離液を用いることにより、質量分析装置、荷電化粒子検出器、蒸発光散乱検出器等の装置内部で溶離液を揮発させる形式の検出器による糖類等の親水性化合物の高感度分析が可能となる。
本発明の親水性化合物の分離分析方法で用いられる液体クロマトグラフの一例を示す模式図である。 実施例1におけるクロマトグラムである。 実施例2におけるクロマトグラムである。 比較例1におけるクロマトグラムである。 比較例2におけるクロマトグラムである。 実施例3におけるクロマトグラムである。 比較例3におけるクロマトグラムである。
本発明の親水性化合物の分離分析方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[親水性化合物の分離分析方法]
本発明の親水性化合物の分離分析方法は、親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムを用いた液体クロマトグラフィーによる分離分析方法であって、pHが12.5以上の揮発性の溶離液を用いる方法である。本発明の親水性化合物の分離分析方法は、糖類等の親水性化合物の分析だけではなく、糖類等の親水性化合物の分取(糖類等の親水性化合物を分離して、回収すること)も含む。
「pH」
本発明における溶離液のpHとは、有機溶媒と、塩基性化合物と、水とを混合してなる混合液の状態で測定した値を指す。溶離液のpHを測定する方法としては、特に限定されないが、例えば、pHメータを用いた測定方法が用いられる。
「分離分析の対象となる物質」
親水性相互作用クロマトグラフィーは、分離分析の対象となる物質(以下、「分析対象物質」と言う。)と充填剤との間での親水性相互作用によって分析対象物質を分離する。本発明の親水性化合物の分離分析方法では、調製時の温度(室温(25℃))においてpHが12.5以上の揮発性の溶離液を用いることによって、親水性を有する分離対象物質の保持性の違いが増強すると考えられる。したがって、本発明における分析対象物質は親水性化合物である。ここで、親水性化合物とは、構造内に親水性官能基を有する化合物を意味し、親水性官能基としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、リン酸基、スルホ基、シアノ基、アミド基等が挙げられる。本発明における親水性化合物としては、単糖、二糖、オリゴ糖等の糖類が好ましい。
糖類としては、例えば、アラビノース、キシロース、マンノース、ガラクトース、グルコース、エリトロース、トレオース、リボース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、ニゲロース、ラフィノース、パノース、マルトトリオース、メレジトース、スタキオース等が挙げられる。これらの中でも、アラビノース、キシロース、マンノース、ガラクトースおよびグルコースからなる群から選択される少なくとも1種の分析において、本発明の親水性化合物の分離分析方法はより効果を発揮する。また、本発明の親水性化合物の分離分析方法は、上記で例示した糖類から選ばれる2種以上、特にアラビノース、キシロース、マンノース、ガラクトースおよびグルコースからなる群から選択される2種以上または全種の一斉分析において特に効果を発揮する。
「溶離液」
本発明における揮発性の溶離液は、揮発性の有機溶媒と、揮発性の塩基性化合物と、水と、を含む。
本発明における揮発性の溶離液とは、溶離液に含まれる全ての成分の常圧(101.325kPa)下での沸点が180℃以下であるものを言う。
本発明における溶離液は、溶離液調製時の温度(室温(25℃))においてpHが12.5以上であり、12.5以上、14.0以下であることが好ましい。親水性化合物の分離性能をより高めるためには、溶離液のpHは13.0以上、14.0以下であることがより好ましい。すなわち、本発明における溶離液は、アルカリ性である。
溶離液のpHが12.5未満では、親水性化合物の保持時間が長くなり、また、親水性化合物の分離性能が低くなるため、構造が似ている2種以上の糖類等の親水性化合物を完全に分離することができない。
本発明における溶離液のpHは、揮発性の有機溶媒と、揮発性の塩基性化合物と、水との混合比によって調整することができる。
本発明における揮発性の塩基性化合物は、常圧(101.325kPa)下において、180℃以下の沸点を有する化合物である。
本発明における揮発性の塩基性化合物としては、アンモニア(沸点:−33℃)またはアミン類が好ましい。
アミン類としては、例えば、メチルアミン(沸点:−6℃)、ジメチルアミン(沸点:−7℃)、トリメチルアミン(沸点:2.9℃)、エチルアミン(沸点:16.6℃)、ジエチルアミン(沸点:55.5℃)、トリエチルアミン(沸点:89.7℃)、エチレンジアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、オキサゾール、チアゾール等が挙げられる。これらの中でも、ジエチルアミンが特に好ましい。ジエチルアミンが好ましい理由は、揮発性があり、かつ、強いアルカリ性を示すことに加え、ジエチルアミンを含む溶離液を用いて糖類の分析を行った場合、比較的短時間で分析を行うことが可能であるからである。これらの塩基性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明における揮発性の有機溶媒は、常圧(101.325kPa)下において、180℃以下の沸点を有する化合物である。
本発明における揮発性の有機溶媒としては、水と任意の量で相溶するものが好適に用いられる。このような有機溶媒としては、例えば、アセトニトリル(沸点:82℃)、テトラヒドロフラン、アセトン、エタノール、メタノール等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明における溶離液において、親水性化合物の保持時間が長くならず、また、分離性能を高めるためには、溶離液を構成する有機溶媒の比率は、仕込み時において70体積%以上であることが好ましく、90体積%以上であることがより好ましく、90体積%〜95体積%であることがさらに好ましい。
本発明における溶離液において、親水性化合物の保持時間が長くならず、また、分離性能を高めるためには、溶離液を構成する水の比率は、仕込み時において30体積%以下であることが好ましく、5体積%以下であることがより好ましく、1体積%〜5体積%であることがさらに好ましい。
本発明における溶離液において、親水性化合物の保持時間が長くならず、また、分離性能を高めるためには、溶離液を構成する塩基性化合物の比率は、仕込み時において1体積%以上であることが好ましく、2体積%以上であることがより好ましく、2体積%〜5体積%であることがさらに好ましい。
本発明における溶離液は、pH、揮発性、分離性能等を損なわない範囲で、前記の有機溶媒、前記の塩基性化合物、および、水以外の成分を含んでいてもよい。
前記の有機溶媒、前記の塩基性化合物、および、水以外の成分としては、例えば、二酸化炭素、ギ酸等が挙げられる。これらの成分は、緩衝作用を発現させるために加えられる。
「カラム」
本発明で用いられるカラムは、例えば、円筒形状をなすハウジングと、そのハウジングの内部に充填された後述する充填剤とから概略構成されている。ハウジングの材質および大きさは、特に限定されない。
本発明では、親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムが用いられる。本発明における親水性相互作用クロマトグラフィーとは、移動相に有機溶媒と水の混合溶媒を用い、固定相に高極性官能基を用いる分析方法を指す。
「充填剤」
充填剤は、シリカゲルやポリマー等の基材、または、イオン交換基や極性基のような官能基を前記基材に導入した粒子である。
本発明において、基材としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアクリレート等のアルカリ耐性の高い基材が好ましく用いられる。
基材に導入する官能基としては、アミノ基が好ましい。
本発明において、充填剤としては、高い親水性を有し、糖類のアノマー分離を抑制可能であるという観点から、アミノ基を有するポリビニルアルコールがより好ましい。
基材に導入するアミノ基は、親水性に優れたアミノ基であることが好ましい。このようなアミノ基としては、具体的には、D−グルカミン(下記式(1))、N−メチル−D−グルカミン(下記式(2))、1−アミノ−1−デオキシ−D−マンニトール(下記式(3))、1−アミノ−1−デオキシ−D−ガラクチトール(下記式(4))、4−アミノ−1,2,3−ブタントリオール(下記式(5))、3−アミノ−1,2−プロパンジオール(下記式(6))、および、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール(下記式(7))からなる群から選択される少なくとも1種を基材に化学結合させることによって基材に導入されたアミノ基が挙げられる。
Figure 0006706497
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「装置」
本発明の親水性化合物の分離分析方法では、例えば、図1に示すような液体クロマトグラフが用いられる。
図1に示す液体クロマトグラフ100は、移動相としての溶離液200が流される方向(溶離液200の通液方向)に沿って順に設けられた、容器110と、通液ポンプ120と、試料導入部130と、カラム140と、検出器150と、を備えている。容器110と、通液ポンプ120と、試料導入部130と、カラム140と、検出器150とは、配管等からなる流路160を介して連結されている。
容器110内には、溶離液200が収容されている。
溶離液200としては、上記の揮発性の有機溶媒と、揮発性の塩基性化合物と、水と、を含むものが用いられる。
通液ポンプ120は、容器110内の溶離液200を一定の流量で送ることができる。
試料導入部130は、通液ポンプ120とカラム140を連結する流路160の途中に設けられている。この試料導入部130から、流路160を流れる溶離液200に、分離分析の対象となる試料が導入される。
カラム140は、ハウジングに、上記の基材、または、基材に官能基を化学結合させた粒子からなる充填剤が充填されたものである。カラム140は、試料に含まれる分離対象化合物(糖類等の親水性化合物)を分離する。
検出器150は、カラム140にて分離された化合物を検出する。溶離液200が揮発性であるため、検出器150としては、質量分析装置、荷電化粒子検出器、蒸発光散乱検出器等の、装置内部で溶離液200を揮発させる形式の装置を用いることができる。
また、液体クロマトグラフ100では、試料導入部130、カラム140および検出器150が、図示しない恒温漕内に設置されていてもよい。恒温漕は、温度制御機能を備え、試料導入部130、カラム140、および、検出器150の温度を制御する。これにより、安定した分析を行うことができる。
質量分析装置(Mass Spectrometry、MS)は、カラム140で分離された化合物を高真空下でイオン化し、そのイオンを電磁気的に分離して検出する装置である。
荷電化粒子検出器は、カラム140で分離された化合物を含む溶離液200を噴霧し、微粒子になった成分にコロナ放電によって電荷を持たせ、電気的に検出する装置である。
蒸発光散乱検出器は、カラムで分離された化合物を含む溶離液200を蒸発させることにより、その化合物を微粒子化し、その散乱光を測定する装置である。
液体クロマトグラフ100を用いた分析では、試料導入部130から流路160内に注入された試料が、通液ポンプ120によって流路160内を通液される溶離液200により、カラム140へと導かれる。カラム140にて、試料中の分離対象化合物(糖類等の親水性化合物)が分離され、分離された化合物が、検出器150にて溶離液200のみの信号からの変化量として計測される。検出器150からの出力信号を、検出器150に接続された図示しないデータ処理部でクロマトグラムに変換する。
溶離液200、すなわち、移動相の流量(カラム140内を流れる速さに比例)は、特に限定されないが、0.5mL/min〜1.5mL/minであることが好ましい。
また、移動相を通液する際のカラム140の温度は、特に限定されないが、30℃〜60℃であることが好ましい。
カラム140の長手方向と垂直な断面の直径は、2.0mm〜4.6mmであることが好ましい。
本発明の親水性化合物の分離分析方法によれば、親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムを用いた液体クロマトグラフィーにおいて、pHが12.5以上の揮発性の溶離液を用いることにより、従来法では分離が難しかった構造が似ている2種以上の糖類等の親水性化合物を完全に分離し、定量性に優れた分析が可能である。また、揮発性の溶離液を用いることにより、質量分析装置、荷電化粒子検出器、蒸発光散乱検出器を用いた高感度分析が可能である。
本発明の親水性化合物の分離分析方法では、アルカリ性の溶離液を用いるため、カラムにシリカゲル基材からなる充填剤を用いた場合、カラムの分離能が劣化するという問題が発生することがある。そこで、上述のように、本発明の親水性化合物の分離分析方法では、例えば、ポリビニルアルコール等のアルカリ耐性の高い基材を用いることにより、長寿命で安定性に優れた分析が可能である。
また、本発明の親水性化合物の分離分析方法では、糖類等の親水性化合物を分離した後、回収することもできる。
親水性化合物の回収方法としては、例えば、上記の液体クロマトグラフ100の流路160の出口側(つまり、検出器150の下流側)に回収容器を設置し、示差屈折(RI)検出器や紫外可視分光(UV−vis)検出器等の検出器のクロマトグラムを参考に、溶離液200とともに流れてくる糖類等の親水性化合物を、成分ごとに分けて回収する。前記溶離液には、不揮発性の化合物を混合していないため、溶離液を蒸発させる操作のみで目的成分(糖類等の親水性化合物)を単離することが可能である。溶離液に不揮発性化合物を含む場合、目的成分の単離のためには分液操作などが必要となり、操作が煩雑となる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
カラムとして、昭和電工社製のShodex(登録商標) HILICpak VG−50 4Eを用い、検出器として、荷電化粒子検出器である、Thermo Scientific社製のCorona(登録商標) CADを用いて、アラビノース、キシロース、マンノース、ガラクトース、グルコースの5種の糖を分析した。
Shodex(登録商標) HILICpak VG−50 4Eは、ポリビニルアルコールからなる基材にアミノ基を化学結合させてなる充填剤を充填したカラムである。また、カラムの長手方向と垂直な断面の直径は4.6mm、カラムの長さは250mmである。
溶離液としては、アセトニトリルと、ジエチルアミンと、水とを、仕込み時の体積比で、アセトニトリル:ジエチルアミン:水=95:4:1の割合で混合した混合溶液を用いた。この溶離液の調製時の温度(室温(25℃))におけるpHは、pHメータ(888 Titrando、Metrohm社製)を用いて測定したところ、13.1であった。
溶離液の流量(カラム内を流れる溶離液の速さに比例)を1.0mL/min、カラム温度を60℃とした。
アラビノース、キシロース、マンノース、ガラクトースおよびグルコースは、各糖類の濃度が0.4mg/mLとなるように、あらかじめ溶離液に溶かした試料を用意し、この試料を5μL注入した。
得られたクロマトグラムを図2に示す。図2において、1はアラビノースのピーク、2はキシロースのピーク、3はマンノースのピーク、4はガラクトースのピーク、5はグルコースのピークを示す。また、図2に示すクロマトグラムにおける糖類の分離度を表1に示す。表1において、1−2は、図2における1と2のピークの分離度、3−4は、図2における3と4のピークの分離度、4−5は、図2における4と5のピークの分離度を示す。
なお、クロマトグラムのピークの分離度は、隣接するピークからの分離の程度を表すものであり、例えば、ピーク1とピーク2が存在する場合、下記の式(1)または式(2)に基づいて算出される。
分離度=2×[(ピーク2の保持時間)−(ピーク1の保持時間)]/[(ピーク1のベース幅)+(ピーク2のベース幅)]・・・(1)
分離度=1.18×[(ピーク2の保持時間)−(ピーク1の保持時間)]/[(ピーク1の半値幅)+(ピーク2の半値幅)]・・・(2)
本実施例では、上記の式(2)に基づいて、分離度を算出した。
[実施例2]
溶離液として、アセトニトリルと、トリエチルアミンと、水とを、仕込み時の体積比で、アセトニトリル:トリエチルアミン:水=95:4:1の割合で混合した混合溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、上記の5種の糖を分析した。この溶離液の調製時の温度(室温(25℃))におけるpHは、pHメータ(888 Titrando、Metrohm社製)を用いて測定したところ、12.7であった。
得られたクロマトグラムを図3に示す。また、得られたクロマトグラムに基づく糖類の分離度を表1に示す。
[比較例1]
溶離液として、アセトニトリルと、ジエチルアミンと、水とを、仕込み時の体積比で、アセトニトリル:ジエチルアミン:水=95:1:4の割合で混合した混合溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、上記の5種の糖を分析した。この溶離液の調製時の温度(室温(25℃))におけるpHは、pHメータ(888 Titrando、Metrohm社製)を用いて測定したところ、12.3であった。
得られたクロマトグラムを図4に示す。また、得られたクロマトグラムに基づく糖類の分離度を表1に示す。
[比較例2]
溶離液として、アセトニトリルと、トリエチルアミンと、水とを、仕込み時の体積比で、アセトニトリル:トリエチルアミン:水=95:1:4の割合で混合した混合溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、上記の5種の糖を分析した。この溶離液の調製時の温度(室温(25℃))におけるpHは、pHメータ(888 Titrando、Metrohm社製)を用いて測定したところ、12.1であった。
得られたクロマトグラムを図5に示す。また、得られたクロマトグラムに基づく糖類の分離度を表1に示す。
Figure 0006706497
一般的に、クロマトグラムのピークの分離度が1.5以上の場合、隣接するピークが完全に分離しているとされている。一方、クロマトグラムのピークの分離度が1.5未満の場合、隣接するピークが一部重なっていることになる。
表1の結果から、実施例1、および、実施例2では、全てのピークが完全に分離していることが分かった。一方、比較例1、および、比較例2では、3−4の分離度が1.5よりも低く、分離できていないことが分かった。以上の結果から、pHが12.5未満の溶離液を用いて分析を行った場合、上記の5種の糖を全て完全に分離できないことが分かった。
また、図2と図3の結果から、実施例2よりも実施例1の方が短時間で分析可能であることが分かった。この結果から、上記の5種の糖を全て完全に分離する場合に分析時間を短縮するという観点では、揮発性の塩基性化合物としては、ジエチルアミンの方がトリエチルアミンよりも有効であることが分かった。
[実施例3]
検出器として、島津製作所社製の質量分析装置LCMS‐8030を用い、アラビノース、キシロース、マンノース、ガラクトースおよびグルコースは、各糖類の濃度が0.01mg/mLとなるように、あらかじめ溶離液に溶かした試料を用意し、この試料を5μL注入した以外は実施例1と同様にして、上記の5種の糖を分析した。溶離液の調製時の温度(室温(25℃))におけるpHは、pHメータ(888 Titrando、Metrohm社製)を用いて測定したところ、13.1であった。
得られたクロマトグラムを図6に示す。また、得られたクロマトグラムに基づく糖類の分離度を表2に示す。
[比較例3]
溶離液として、アセトニトリルと、ジエチルアミンと、水とを、仕込み時の体積比で、アセトニトリル:ジエチルアミン:水=95:1:4の割合で混合した混合溶液を用いた以外は実施例3と同様にして、上記の5種の糖を分析した。この溶離液の調製時の温度(室温(25℃))におけるpHは、pHメータ(888 Titrando、Metrohm社製)を用いて測定したところ、12.3であった。
得られたクロマトグラムを図7に示す。また、得られたクロマトグラムに基づく糖類の分離度を表2に示す。
Figure 0006706497
表2の結果から、実施例3では、全てのピークが完全に分離していることが分かった。一方、比較例3では、3−4の分離度が1.5よりも低く、分離できていないことが分かった。以上の結果から、pHが12.5未満の溶離液を用いて分析を行った場合、上記の5種の糖を全て完全に分離できないことが分かった。
本発明は、複数の糖類等の親水性化合物を分離し、定量する分離・分析手法として、すでに広く用いられている液体クロマトグラフィーによる親水性化合物の分離分析方法において、糖類等の親水性化合物の分離性能をさらに改善することに寄与するものである。分離能の改善は、溶離液の高流速化による分析時間の短縮、あるいは、カラムの小径化や短尺化による溶離液の消費量の削減に寄与する。
また、揮発性の溶離液を用いることにより、質量分析装置、荷電化粒子検出器、蒸発光散乱検出器等を用いた高感度分析が可能となり、分析試料の使用量の低減に寄与する。
100・・・液体クロマトグラフ、110・・・容器、120・・・通液ポンプ、130・・・試料導入部、140・・・カラム、150・・・検出器、160・・・流路、200・・・溶離液。

Claims (10)

  1. 親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムを用いた液体クロマトグラフィーにより親水性化合物を分離分析する方法であって、
    前記親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムが、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、または、ポリアクリレートを含む基材に、アミノ基が導入された充填剤が充填されたものであり、前記アミノ基が、D−グルカミン、N−メチル−D−グルカミン、1−アミノ−1−デオキシ−D−マンニトール、1−アミノ−1−デオキシ−D−ガラクチトール、4−アミノ−1,2,3−ブタントリオール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、および、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオールからなる群から選択される少なくとも1種を前記基材に化学結合させることによって、前記基材に導入されたものであり、
    pHが12.5以上の揮発性の溶離液を用いることを特徴とする親水性化合物の分離分析方法。
  2. 前記親水性化合物は、糖類であることを特徴とする請求項1に記載の親水性化合物の分離分析方法。
  3. 前記糖類は、アラビノース、キシロース、マンノース、ガラクトースおよびグルコースからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の親水性化合物の分離分析方法。
  4. 前記溶離液は、揮発性の有機溶媒と、揮発性の塩基性化合物と、水と、を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の親水性化合物の分離分析方法。
  5. 前記揮発性の有機溶媒は、水溶性の有機溶媒であることを特徴とする請求項4に記載の親水性化合物の分離分析方法。
  6. 前記水溶性の有機溶媒は、アセトニトリルであることを特徴とする請求項5に記載の親水性化合物の分離分析方法。
  7. 前記基材が、ポリビニルアルコールからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の親水性化合物の分離分析方法。
  8. 前記アミノ基が、N−メチル−D−グルカミンを前記基材に化学結合させることによって前記基材に導入されたものであることを特徴とする請求項7に記載の親水性化合物の分離分析方法。
  9. 前記親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムで分離した親水性化合物を、質量分析装置を用いて検出することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の親水性化合物の分離分析方法。
  10. 前記親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムで分離した親水性化合物を、荷電化粒子検出器または蒸発光散乱検出器を用いて検出することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の親水性化合物の分離分析方法。
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