JP6704406B2 - タイヤ - Google Patents
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Description
これに関し、有機繊維とゴムとを接着する技術としては、例えば、繊維をエポキシ系化合物やイソシアネート系化合物によって接着する技術がある(例えば特開2004−339299号公報及び国際公開第2014/074404号)。また、ゴムと繊維とを接着する場合には、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス樹脂を用いた接着方法が知られている(例えば特開2001−73247号公報)。
一方、補強層に用いるコード部材を樹脂材料で被覆する場合、樹脂材料とコード部材との接着については、改善の余地が未だ十分にある。
本開示のタイヤは、ビード部及び前記ビード部のタイヤ半径方向外側に連なるサイド部を有する樹脂製のタイヤ骨格部材と、有機繊維及び前記有機繊維を被覆する樹脂材料を含む補強層と、を備え、前記有機繊維が、ナイロン系繊維材料を含むコード部材と、前記コード部材上に設けられレゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂を含む組成物で形成された接着層(以下、適宜「RF層」と称することがある)と、を有する。
前記のように補強層中のコード部材を含む有機繊維は、特定のコード部材及びRF層の2構成要素を有するものとし、かつそれぞれの構成要素間を接着させることで、前記有機繊維が前記補強層中の樹脂材料に被覆された場合に、前記有機繊維が前記補強層中の樹脂材料と強く接着して固定される。また、補強層がタイヤ骨格部材の内部又は表面に接して配置される場合、補強層が樹脂材料を用いて形成されているため、ゴムを用いた場合に比して補強層とタイヤ骨格部材との接着力を高めることができる。
明細書等において、数値範囲を表す「〜」はその上限及び下限の数値を含む範囲を表す。
以下に、本発明の一例について詳細に説明する。
本開示における補強層とは、有機繊維と、前記有機繊維を被覆する樹脂材料と、を含む。また、補強層は本開示のタイヤ、好ましくはタイヤ骨格部材を補強する層であり、タイヤ、好ましくはタイヤ骨格部材を補強可能な位置であれば補強層の配置は特に限定されないが、好ましくはタイヤ骨格部材に配置され、より好ましくはタイヤ骨格部材のサイド部に配置される。ここで、補強層がタイヤ骨格部材に配置されている態様としては、補強層がタイヤ骨格部材自体の内部に備えられている態様の他、タイヤ骨格部材の内表面又は外表面に設置されている態様を含む。また、補強層は、タイヤ骨格部材と離れて配置されている態様であってもよく、例えば、タイヤ骨格部材と補強層との間に他の層が存在する態様であってもよい。
補強層は、上述のように、有機繊維と、前記有機繊維を被覆する樹脂材料を含んで形成されている。ここで、有機繊維は樹脂材料で完全に被覆されていてもよいし、補強層において有機繊維が樹脂材料に被覆されていない箇所を有していてもよい。また、補強層は、例えば、タイヤのビード部からサイド部に延びると共にタイヤ周方向に間隔を空けて並べて配置される層とすることもできる。
補強層の厚さとしては、有機繊維の材質、太さ等、目的に応じて適宜調整されることが好ましい。
以下、補強層について、図1を用いて、その構造についての具体例を示し、それぞれの部材及び層について説明する。
本開示における有機繊維は、ナイロン系繊維材料を含むコード部材(以下コード部材という)と、前記コード部材上に設けられレゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂を含む組成物で形成された接着層と、を有する。なお、接着層はコード部材の表面すべてを覆うように設けられていることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、表面の一部分においてコード部材の表面を覆っていない領域を有していてもよい。また、接着層は少なくとも一部がコード部材の表面と直に接するよう設けられていることが好ましく、接着層のコード部材に相対する側の面のすべてがコード部材の表面と直に接するよう設けられていることがより好ましい。
本開示における有機繊維を構成するコード部材は、複数のモノフィラメントを撚り合わせた1本のマルチフィラメントの1本単体を片撚りしたもの、または、前記マルチフィラメントの2本以上を撚り合わせたものであることが好ましい。また、目的に応じて、例えばマルチフィラメント1本のみを用いたり、マルチフィラメントを用いずにモノフィラメントのみを用いたりしてもよい。ここで複数とは、10本以上のことをいう。
前記コード部材としては、例えば、ナイロン系繊維材料からなるマルチフィラメントを用いることができる。
前記有機繊維の構造について、図1A、図1B及び図1Cを用いて具体的に説明する。図1Aは、本開示における有機繊維を構成するコード部材1を説明するための概略図である。図1Aに示すコード部材1は、所定本数のモノフィラメントfを集合し、これに所定数の撚りをかけて形成されたマルチフィラメントMの2本を撚り合わせて形成したものである。ここで、集合させるモノフィラメントfの本数や撚り数、集合させるマルチフィラメントMの本数や撚り、材質等を考慮して適宜調整することが出来る。
有機繊維4において、コード部材1とRF層3との間は、各層を形成する材料同士が接着している。本開示における有機繊維4は、後述するように樹脂材料に一部又は全部を被覆させることで、本開示における補強層として用いることができる。
図1Cに示すように、RF層3は、コード部材1上に設けられ、コード部材1の表面を覆っている。RF層3は、一方の面でコード部材1上に接着されていればよい。RF層3は、コード部材1の表面すべてを覆うように接着して設けられていることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、表面の一部分においてコード部材1の表面と接着していない領域を有していてもよい。上述のように、RF層3の外周面は、補強層を形成するために樹脂材料で有機繊維4を被覆する際、樹脂材料によって覆われ当該樹脂材料と接着する。
ナイロン系繊維材料は、ラクタムの開環重縮合や、ジアミンと二塩基酸との重縮合等の公知の方法によって合成することができる。
ただし、コード部材がナイロン系繊維材料以外の他の繊維材料を含む場合、コード部材の表面(その上にRF層が設けられる面)を構成する繊維材料としてナイロン系繊維材料を含むことが好ましい。コード部材の表面を構成する繊維材料のうち、ナイロン系繊維材料が占める比率(面積比)は、50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、100%であることが特に好ましい。
接着層(RF層)とは、コード部材上に設けられる層であり、レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂を含む組成物(以下、適宜「RF組成物」と称することがある)で形成された層である。「レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂を含む組成物で形成された層」は、RF組成物に含まれるレゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂を反応させて形成した層である。
RF層を形成するレゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂(以下、レゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合体ともいう)は、レゾルシノールを少なくとも一部に含むフェノール類化合物と、ホルムアルデヒドとが縮合して得られた化合物である。
レゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合体は、分岐などの少ないレゾール型(一般的な接着剤用フェノール樹脂の形態)であるのが好ましい。また、メチロール基及びジメチレンエーテル結合(ジベンジルエーテル結合)が残留せず、それ自身では、加熱を受けても縮合反応がほとんど進行しないもの、すなわち安定性が高いものが好ましい。例えば、フェノール類化合物間の結合部位総数におけるメチレン結合の比率を、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上とすることが可能である。すなわち、数個のフェノール類化合物分子がほぼメチレン結合のみによりほぼ直鎖状に結合したものなどが好ましいと考えられる。
またレゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合体は、ホルムアルデヒド由来の部分により結合されるフェノール類化合物の一部または全部がレゾルシノールである。また、レゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合体は、特開2014−001270号公報に挙げられるように、改質されたものであってもよい。
また、任意のアニオン系界面活性剤を用いて、ボールミル、サンドミルによって中性の水に分散させて使用することも可能である。この場合、接着力を有効に発現させるために、界面活性剤の量を分散状態が悪くならない程度に少量にすることが好ましい。
RF層に含まれるにレゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂の含有量は特に限定されるものではないが、固形分換算で、2質量%以上20質量%以下が好ましく、さらに好ましくは3質量%以上10質量%以下である。
樹脂材料は、前記補強層中に含まれ、前記有機繊維を被覆する材料である。また、樹脂材料は、従来の天然ゴムや合成ゴム等の加硫ゴムは含まないことを意味する。
樹脂材料としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれも用いることができる。ここで、熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)とは、温度上昇と共に材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になる高分子化合物をいう。本明細書では、このうち、温度上昇と共に材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になり、かつ、ゴム状弾性を有する高分子化合物を熱可塑性エラストマーとし、温度上昇と共に材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になり、かつ、ゴム状弾性を有しない高分子化合物をエラストマーでない熱可塑性樹脂として区別する。
また、熱硬化性樹脂とは、温度上昇と共に3次元的網目構造を形成し、硬化する高分子化合物をいう。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂及びポリアミド系樹脂等が挙げられる。さらに、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、及び、動的架橋型熱可塑性エラストマー(TPV)が挙げられる。
これらの中でも、前記有機繊維との接着性から、熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、ポリアミド系熱可塑性樹脂又はポリウレタン系熱可塑性樹脂を用いることが更に好ましく、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)を用いることが特に好ましい。
補強層は、本開示のタイヤにおいて、有機繊維及び前記有機繊維を被覆する樹脂材料を含む。補強層は、好ましくはタイヤ骨格部材に配置され、より好ましくはタイヤ骨格部材のサイド部に配置される。例えば、前記タイヤ骨格部材に配置された補強層は、以下の工程、すなわち、
(1)ナイロン系繊維材料を含むコード部材の表面に、レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂を含むRF組成物を付与した後に、160℃〜180℃に加熱して接着層(RF層)を形成することで有機繊維を得るRF処理工程と、
(2)前記RF処理工程の後、タイヤ骨格部材上に複数の前記有機繊維を所望の間隔で並置し、前記有機繊維が並置された前記接着層(RF層)の表面に樹脂材料を付与した後に加熱して補強層を形成する樹脂コーテイング処理工程と、を有する工程によって製造することができる。
RF処理工程では、RF層とコード部材との接着性をさらに高める観点から、RF組成物の塗膜を乾燥する乾燥工程を設け、さらにその後にRF組成物の塗膜をベーキングするベーキング工程を設けてもよい。乾燥工程を設けることによって、RF組成物中の溶剤を十分に除去し、次のベーキング工程を効率よく行うことができる。RF処理工程において、乾燥工程とベーキング工程とをおこなう場合、両工程において加熱温度が160℃〜180℃の範囲内であることが好ましい。前記乾燥工程では、例えば、160℃〜180℃で70秒間〜90秒間乾燥させることが好ましい。また、ベーキング工程では、例えば、160℃〜170℃で50秒間〜70秒間ベーキングさせることが好ましい。
RF組成物の付与方法としては、塗布、浸漬、押出成型等の公知の方法を適宜用いることができる。例えば、前記コード部材をRF組成物に含浸させて、前記のように乾燥後にベーキングすることで、効率よくRF層を形成することができる。
続いて本開示のタイヤの具体的な実施形態について図を用いて説明するが、本開示のタイヤは以下の実施形態に限定されない。図2において、本実施形態に係るタイヤ10は、タイヤ骨格部材12と、補強層14とを備えている。
第1実施形態で用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)及び熱硬化性樹脂が挙げられ、その定義は上述と同様である。
本実施形態は、少なくとも、ビード部16と、該ビード部のタイヤ半径方向外側に連なるサイド部18と、該サイド部のタイヤ幅方向内側に連なり、トレッドが配置されるクラウン部26とを有する樹脂製のタイヤ骨格部材12と、有機繊維が樹脂材料により被覆され、前記ビード部16から前記サイド部18に延びると共にタイヤ周方向に並べて配置された補強層14と、を備えている。以下、その作用について説明する。
更に、補強層14のタイヤ半径方向内側端14Aが、ビード部16のリム離反点Pよりもタイヤ半径方向内側に位置しているので、例えば縁石等の乗り上げ時におけるピンチカットを抑制することができる。
また、補強層14がビード部16に埋設されたビードコア22に係止され、かつ巻き付けられているので、タイヤに生ずる張力の多くを該補強層14が負担することができる。このため、内圧に対する耐性が格段に向上する。このことにより、タイヤ骨格部材12の厚みを薄くできるので、乗り心地性を向上させることができる。
また、タイヤ10において、サイド部に配置された補強層14の有機繊維を、コード部材及び接着層(RF層)の二層で構成することで、有機繊維を補強層14のみならずタイヤ骨格部材12とも強く接着させることが可能となる。
図4及び図5において、本実施形態に係るタイヤ20では、タイヤ周方向に隣り合う補強層14が互いに当接している。この補強層14は、少なくともタイヤ最大幅位置を含む部分で当接している。当接には、補強層14の端面同士がタイヤ周方向に突き当たっている場合と、タイヤ半径方向に重なっている場合を含む。
第1実施形態において、タイヤ周方向に隣り合う補強層14の間に、他の補強層(図示せず)を配置してもよい。この場合、他の補強層と補強層14とを部分的に重ねてもよい。また、他の補強層のタイヤ周方向一方側を隣接する補強層14と部分的に重ね、タイヤ周方向他方側を隣接する補強層14と重ねず、例えば0.1mm以上の隙間を設けるようにしてもよい。また、第2実施形態において、タイヤ周方向に隣り合う補強層14を互いに部分的に重ねてもよい。
図9において、本実施形態に係るタイヤ110は、タイヤ骨格部材112と、補強層114とを備えている。
また、熱硬化性樹脂とは、前記第1実施形態で定義したものと同様の高分子化合物をさし、前記熱硬化性樹脂としては、前記第1実施形態で挙げた樹脂等と同様の樹脂等が挙げられる。さらに、その他に用いることができる樹脂材料も、前記第1実施形態で挙げたものと同様である。
図11Bに示される例では、補強層114は、ビードコア122のタイヤ幅方向外側面122Aに全面的に接合されている。
図11Cに示される例では、補強層114は、ビードコア122のタイヤ幅方向外側面122A及びタイヤ半径方向内側面122Bに沿うように略L字形に折り曲げられ、該タイヤ幅方向外側面122Aからタイヤ半径方向内側面122Bのタイヤ幅方向中央に渡って接合されている。
図11Dに示される例では、補強層114は、ビードコア122のタイヤ幅方向外側面122Aからタイヤ半径方向内側面122Bに渡って、それぞれ全面的に接合されている。
図11Eに示される例では、補強層114は、ビードコア122のタイヤ幅方向外側面122A、タイヤ半径方向内側面122B及びタイヤ幅方向内側面122Cに沿うように略U字形に折り曲げられ、該タイヤ幅方向外側面122Aから、タイヤ半径方向内側面122B、タイヤ幅方向内側面122Cに渡って、それぞれ全面的に接合されている。
図11Fに示される例では、補強層114は、ビードコア122の周囲を囲んでいる。この補強層114は、ビードコア122を囲むように折り曲げられ、タイヤ幅方向外側面122A、タイヤ半径方向内側面122B、タイヤ幅方向内側面122C及びタイヤ半径方向外側面122Dに、それぞれ全面的に接合されている。
図12Bに示される例では、補強層114は、ビードコア122のタイヤ半径方向外側面122D及びタイヤ幅方向内側面122Cに沿うように略L字形に折り曲げられ、該タイヤ半径方向外側面122Dからタイヤ幅方向内側面122Cに渡って、それぞれ全面的に接合されている。
図12Cに示される例では、補強層114は、タイヤ半径方向外側面122D、タイヤ幅方向内側面122C及びタイヤ半径方向内側面122Bに沿うように略U字形に折り曲げられ、該タイヤ半径方向外側面122Dから、タイヤ幅方向内側面122C、タイヤ半径方向内側面122Bに渡って、それぞれ全面的に接合されている。
図12Dに示される例では、補強層114は、ビードコア122の周囲を囲んでいる。この補強層114は、ビードコア122を囲むように折り曲げられ、タイヤ半径方向外側面122D、タイヤ幅方向内側面122C、タイヤ半径方向内側面122B及びタイヤ幅方向外側面122Aに、それぞれ全面的に接合されている。
前記した図11A〜図11F及び図12A〜図12Dに示される例では、補強層114のビードコア側の末端114Aが、該ビードコア122の周囲に位置1している。この末端114Aは、ビードコア122に熱溶着されている。なお、この末端114Aは、ビードコア122の周囲に位置していればよく、必ずしもビードコア122に熱溶着されていなくてもよい。
図13Aに示される例では、補強層114の末端114Aは、ビードコア122を構成する3層のうち最もタイヤ半径方向外側に位置する層と、タイヤ半径方向中央に位置する層との間に位置している。
図13Bに示される例では、補強層114の末端114Aは、ビードコア122を構成する3層のうち最もタイヤ半径方向内側に位置する層と、タイヤ半径方向中央に位置する層との間に位置している。
図13Cに示される例では、ビードコア122がモノストランドビードとなっており、補強層114の末端114Aは、タイヤ幅方向に隣り合う3対のコード120の間に位置している。図13Dに示される例では、ビードコア122を構成する3層のうち最もタイヤ幅方向外側に位置する層と、タイヤ幅方向中央に位置する層との間に位置している。このビードコア122は、タイヤ幅方向に積み重ねられたストランドビードである。図13C及び図13Dにおいて、補強層114の末端114Aは、ビードコア122のコード120間に、タイヤ半径方向外側から内側に向かって入り込んだ状態となっている。
本実施形態は、少なくともコードが樹脂被覆されたビードコアが埋設されたビード部と、前記ビード部のタイヤ半径方向外側に連なるサイド部とを有する樹脂製のタイヤ骨格部材と、有機繊維が樹脂材料により被覆され、前記ビードコアに熱溶着され、前記ビード部から前記サイド部へ延びる補強層と、を備えている。以下その作用について説明する。
また、タイヤ110において、サイド部に配置された補強層114の有機繊維を、コード部材及び接着層の二層で構成することで、有機繊維を補強層114のみならずタイヤ骨格部材112とも強く接着させることが可能となる。
前記第4実施形態では、補強層114がタイヤ周方向に並べて配置されるものとしたが、補強層114が一体的に構成されていてもよい。また、タイヤ周方向に隣り合う補強層114を互いに部分的に重ねてもよい。更に、タイヤ周方向に隣り合う補強層114の間に、他の補強層(図示せず)を配置してもよい。この場合、他の補強層と補強層114とを部分的に重ねてもよい。また、他の補強層のタイヤ周方向一方側を隣接する補強層114と部分的に重ね、タイヤ周方向他方側を隣接する補強層114と重ねず、例えば0.1mm以上の隙間を設けるようにしてもよい。
〈ナイロン繊維〉
コード部材として、ナイロン繊維(ナイロン66)のマルチフィラメントである、1400dtex/2、撚り数39×39(回/dm)で表される構造のナイロン繊維(ナイロン66)で形成されたコード部材を準備した。
下記条件に示す配合で、接着層を形成するためのRF組成物を作製した。
〈条件〉
・水酸化ナトリウム溶液(10質量%水溶液)(東ソー社製):33.3質量部
・ホルムアルデヒド(37質量%水溶液)(イソバン、日本化成社製):34.8質量部
・レゾルシノール(住友化学社製):27.1質量部
・水:904.8質量部
<RF処理>
前記コード部材に、前記にて作製したRF組成物を含浸塗布し、160℃80秒での乾燥及び170℃60秒でのベーキングを行うことで、コード部材及びRF接着層が積層された有機繊維を得た。
前記有機繊維を一般的なラミネーター(コーテイング装置)に設置し、樹脂材料であるポリアミド系熱可塑性エラストマー(ポリアミド12系樹脂、宇部興産社製「UBESTA、XPA9055)を、樹脂押し出し時のダイ温度が245℃及びラミネータープレス温度が230℃の条件で、前記有機繊維上にコーテイングして13cm(幅)×100mm(長さ)×0.8mm(厚さ)のラミネート板を作製し、これを試験片1とした。なお、試験片1は、横一列のみに1mm間隔で、100本打ち込まれ有機繊維を含む形態を有する。
比較例1として、ナイロン繊維(ナイロン66)で形成されたコード部材を、RF処理せずに、そのまま前記コーテイング装置に設置し、実施例1と同様に、樹脂コーテイング処理してラミネート板を作製し、これを試験片2とした。
前記にて作製した実施例及び比較例における各試験片の接着力について、国際公開第2010125992号に記載された加硫ゴムの試験片における接着力の測定方法を利用して求めた。すなわち、上記各試験片について、それらの有機繊維と樹脂材料との接着強度を、JIS K6301(1995年に規定される「7.はく離試験」に準拠した試験方法によって求めた。測定においては、各試験片であるラミネート板中に埋め込まれている有機繊維を、一定の引張り速度で有機繊維をラミネート板から掘り起こす際における有機繊維1本を掘り起こすのに必要な力を、接着力(N/本)として表した。
<結果>
このように、有機繊維を、ナイロン系繊維材料を含むコード部材及びRF層を有する構造とし、樹脂材料に被覆されることで、コード部材と樹脂材料とを十分に接着させた補強層が得られることが示された。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (5)
- ビード部及び前記ビード部のタイヤ半径方向外側に連なるサイド部を有する樹脂製のタイヤ骨格部材と、
有機繊維及び前記有機繊維を被覆する樹脂材料を含む補強層と、を備え、
前記有機繊維が、ナイロン系繊維材料を含むコード部材と、前記コード部材上に設けられレゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂を含む組成物で形成された接着層と、を有するタイヤ。 - 前記補強層に含まれる前記樹脂材料が、ポリアミド系熱可塑性樹脂又はポリウレタン系熱可塑性樹脂を含む請求項1に記載のタイヤ。
- 前記ポリアミド系熱可塑性樹脂が、ポリアミド系熱可塑性エラストマーである請求項2に記載のタイヤ。
- 前記コード部材が、複数のモノフィラメントを撚り合わせた1本のマルチフィラメントの1本単体を片撚りしたもの、または、前記マルチフィラメントの2本以上を撚り合わせたものである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記補強層が、前記サイド部に配置された請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ。
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