以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に用いられる「第1」、「第2」等の用語は、いかなる順序や重要度を表すものではなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る車両用灯具の概略構造を示す鉛直断面図である。本実施の形態に係る車両用灯具100は、例えば車両後方に配置されるリアコンビネーションランプである。車両用灯具100は、車両のリアパネル1に固定される。具体的には、リアパネル1は車両前方側に凹んだ凹部2を有し、車両用灯具100は凹部2に収容される。車両用灯具100は、凹部2に収容された状態でリアパネル1に固定される。
車両用灯具100は、ランプボディ102と、第1光源104と、第2光源106と、第3光源108と、導光体140とを備える。ランプボディ102は、車両後方側に開口部を有する筐体である。導光体140は、湾曲した板状であり、ランプボディ102の開口部を覆うようにしてランプボディ102に固定される。本実施の形態の導光体140は、インナーカバー(インナーレンズ)として機能する。なお、本実施の形態ではインナーカバー全体が導光体140で構成されているが、導光体140はインナーカバーの一部であってもよい。また、導光体140は、平坦な板状体であってもよい。導光体140の灯具前方側には、車両用灯具100の外筐を構成するアウターカバー(アウターレンズ)4が設けられる。アウターカバー4により、凹部2の開口が塞がれる。
ランプボディ102と導光体140とで形成される灯室103内に、第1光源104、第2光源106及び第3光源108が収容される。第1光源104、第2光源106及び第3光源108は、それぞれ例えばLED(発光ダイオード)である。なお、各光源は、LD(レーザーダイオード)、有機または無機EL(エレクトロルミネセンス)等の他の半導体発光素子や、白熱球、ハロゲンランプ、放電球等であってもよい。また、各光源は、サイドエミッタ方式のLEDであってもよい。第1光源104は、ブラケット110に搭載される。第2光源106及び第3光源108は、共通のブラケット112に搭載される。ブラケット110,112は、ランプボディ102に固定される。
導光体140は、互いに背向する2つの主表面140a,140bと当該2つの主表面140a,140bをつなぐ複数の側面とを有する。複数の側面の少なくとも1つ、本実施の形態では導光体140の上側の側面140c及び下側の側面140dは、第1光源104の光が入射する第1表面142を構成する。なお、側面140cと側面140dのいずれか一方のみが第1表面142を構成してもよい。また、導光体140の左及び/又は右の側面が第1表面142を構成してもよい。また、主表面140a,140bにおける側面近傍にボスを設け、このボスの表面を第1表面142としてもよい。
また、2つの主表面140a,140bのうちの一方の主表面が、第1光源104の光が出射する第2表面144を構成する。本実施の形態では、灯具外側を向く主表面140aが第2表面144を構成している。第2表面144は、第1表面142よりも面積が大きく第1表面142と非平行である。すなわち、第2表面144は、第1表面142と交差する方向に延在する。本実施の形態では、第2表面144は2つの第1表面142に接しており、各第1表面142と第2表面144とがなす角度は略直角である。また、1つの第1表面142の面積に対する第2表面144の面積の比率は、例えば4以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、さらに好ましくは80以上である。
第1光源104は、導光体140の上端側と、導光体140の下端側とに配置される。上端側の第1光源104は、側面140cに光が入射するように配置される。下端側の第1光源104は、側面140dに光が入射するように配置される。すなわち、上端側の第1光源104は、その発光面が側面140c側を向くように配置され、下端側の第1光源104は、その発光面が側面140d側を向くように配置される。また、第2光源106及び第3光源108は、一方の主表面140aに背向する他方の主表面140bに光が入射するように配置される。すなわち、第2光源106及び第3光源108は、それぞれの発光面が主表面140b側を向くように配置される。なお、第1光源104〜第3光源108の数は特に限定されない。
図1における破線領域Rの拡大図に示されるように、導光体140は、透光性を有し且つ内部に光拡散材141を含有する樹脂部材である。導光体140に用いられる樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の、透明な熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を挙げることができる。
光拡散材141としては、例えば二酸化チタン粒子を挙げることができる。二酸化チタン粒子の平均粒径は、例えば150〜500nm、好ましくは160〜450nm、より好ましくは170〜450nm、さらに好ましくは200〜400nm、特に好ましくは220〜400nmである。光拡散材141の含有量は、導光体140の質量全体に対して例えば0.1〜100質量ppm、好ましくは0.1〜50質量ppm、より好ましくは0.1〜10質量ppmである。二酸化チタン粒子は、ルチル変態の割合が例えば50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
導光体140には、用いられる樹脂の主要モノマーと共重合可能な他のモノマーや、帯電防止剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、潤滑剤、流動性改善剤、充填剤、光安定剤等の一般的な添加剤が含有されてもよい。導光体140は、二酸化チタン粒子を混合した樹脂材料から、押し出し成形や射出成形等の一般的な製造方法により製造することができる。また導光体140には、例えばPLEXIGLAS(登録商標)(Roehm GmbH社製)等を用いることができる。
導光体140は、第2表面の法線方向の厚さを4mmとして測定した場合に、第2表面144の少なくとも一部における法線方向での可視光の透過率(第2表面144の法線方向から第2表面144に入射する光の量に対する、反対側の表面から全方向に出射する光の量の割合)が60%以上92%以下である。すなわち、導光体140の形状を4mm厚の板状とした場合に、厚さ方向での可視光の透過率が60%以上92%以下である。また、導光体140は、第2表面の法線方向の厚さを4mmとして測定した場合に、第2表面144の少なくとも一部における法線方向でのヘイズ値が1.1%以上50%以下である。導光体140の可視光透過率は、ヘーズメーターHZ−2(スガ試験機社製)を用いてJIS K7361−1に準拠して測定することができる。導光体140のヘイズ値は、ヘーズメーターHZ−2(スガ試験機社製)を用いてJIS K7136に準拠して測定することができる。
また、導光体140は、側面140c,140dから入射する光が主表面140aから出射される際の出射効率について、以下の条件を満たす。図2(A)及び図2(B)は、導光体の光出射効率の測定方法を説明するための模式図である。図2(A)は、導光体140の寸法とLEDの配置とを示している。図2(B)は、固定枠Bが取り付けられた導光体140を光出射面C側から見た様子を示している。
図2(A)に示すように、上下方向の長さ100mm、左右方向の長さ190mm、厚さ3.2mmの直方体状の導光体140を用意する。この導光体140の側面Aを光源光の入射面とする。そして、側面Aの法線方向にLEDを配置する。LEDは、焦点Pが側面Aを向き、且つ焦点Pから側面Aまでの距離が1.85mmとなるように配置される。LEDの発光面からは、180°の範囲で光が拡散する。
また、図2(B)に示すように、用意した導光体140の周囲を固定枠Bで覆う。固定枠Bで覆われた状態で、導光体140の光出射面Cは、上下方向の長さが90mm、左右方向の長さが160mmとなる。固定枠Bは、表面及び裏面ともに光を反射しない。また、光出射面Cの法線方向で光出射面Cから√10の距離に、受光面(図示せず)を配置する。
この状態で、LEDから光を出射させる。そして、光出射面Cの中心を通る法線と受光面との交点を中心として、受光面上の上下15°×左右25°の矩形領域に照射される光の光束を測定する。導光体140の場合、当該矩形領域に照射される光の光束は、LEDから出射される光の光束を1としたときに0.3%以上となる。
また、導光体140は、側面140cから光が入射されると、主表面140aからの単位面積当たりの出射光量の方が側面140cに背向する側面140dからの単位面積当たりの出射光量よりも多く、主表面140aに背向する主表面140bから光が入射されると、主表面140aからの単位面積当たりの出射光量の方が側面140c,140dからの単位面積当たりの出射光量よりも多い、という光学的特性を有する。側面140dから光が入射された場合も、主表面140aからの単位面積当たりの出射光量の方が側面140cからの単位面積当たりの出射光量よりも多い。すなわち、導光体140は、側面140cあるいは140dから光が入射されると、主表面140aから出射される光の割合が側面140dあるいは140cから出射される光の割合より高く、主表面140bから光が入射されると主表面140aから出射される光の割合が側面140c,140dから出射される光の割合より高い。
本実施の形態に係る導光体140は、非常に高い透明性を有する。また、導光体140は透明であるとともに、側面140c,140dから入射した光を主表面140aの全体から均一に出射することができる。すなわち、第1光源104の非点灯時は、導光体140は透明に見える。一方、第1光源104の点灯時は、導光体140の主表面140a全体が均一に発光して見える。
続いて、車両用灯具100が備える灯具機能について説明する。図3(A)は第1光源が点灯した状態の車両用灯具の概略構造を示す断面図である。図3(B)は、第2光源が点灯した状態の車両用灯具の概略構造を示す断面図である。図3(C)は、第3光源が点灯した状態の車両用灯具の概略構造を示す断面図である。
図3(A)に示すように、第1光源104の光L1は、第1表面142(側面140c及び側面140d)から導光体140に入射される。そして、光L1は、導光体140中の光拡散材141により進行方向が第2表面144(主表面140a)に向けられて、第2表面144の全体から出射される。すなわち、導光体140は、第2表面144全体が面発光する。第1光源104の点灯により、車両用灯具100は、第1の灯具機能を発揮することができる。
また、図3(B)に示すように、第2光源106の光L2は、主表面140bから導光体140に入射され、第2表面144(主表面140a)から出射される。第2光源106の点灯により、車両用灯具100は、第2の灯具機能を発揮することができる。第2光源106が点灯する際は、第1光源104は消灯していることが好ましい。
また、図3(C)に示すように、第3光源108の光L3は、主表面140bから導光体140に入射され、第2表面144(主表面140a)から出射される。第3光源108の点灯により、車両用灯具100は、第3の灯具機能を発揮することができる。第3光源108が点灯する際は、第1光源104は消灯していることが好ましい。
第1の灯具機能は、ストップランプ、テールランプ及びターンランプのうちの1つである。また、第2の灯具機能は、ストップランプ、テールランプ及びターンランプのうちの他の1つである。そして、第3の灯具機能は、ストップランプ、テールランプ及びターンランプのうちの残りの1つである。例えば、車両用灯具100は、第1光源104から赤色の光L1を照射してテールランプとして機能し、第2光源106から赤色の光L2を照射してストップランプとして機能し、第3光源108からアンバー色の光L3を照射してターンランプとして機能する。
なお、車両用灯具100は、第1光源104と第2光源106のみを備え、第1の灯具機能と第2の灯具機能とのみを発揮する構成であってもよい。また、車両用灯具100が発揮する灯具機能として、バックランプ等の他の公知の灯具機能が含まれてもよい。
以上説明したように、本実施の形態に係る車両用灯具100は、光源と、導光体140とを備える。導光体140は、第1表面142(本実施の形態では側面140c,140d)と、第1表面142よりも面積が大きく第1表面142と非平行である第2表面144(本実施の形態では主表面140a)を有し、内部に光拡散材141を含有する。光源の光が第1表面142から導光体140に入射された場合、光拡散材141により当該光の進行方向が第2表面144に向けられて第2表面144から出射される。
導光体140は、第1表面142と、第2表面144と、第1表面142に背向する表面(側面140dを第1表面142とした場合には側面140cであり、側面140cを第1表面142とした場合には側面140d)と、第2表面144に背向する表面(主表面140b)とを有する形状とした場合、第1表面142から光が入射されると第1表面142に背向する表面よりも第2表面144から光が出射されやすく、第2表面144に背向する表面から光が入射されると第1表面142及び第1表面142に背向する表面よりも第2表面144から光が出射されやすい、という光学的特性を有する。
より具体的には、光源は、第1光源104〜第3光源108を含む。導光体140は、第1表面142、及び第1表面142よりも面積が大きく第1表面142と非平行である第2表面144を有する。また、導光体140は内部に光拡散材141を含有する。さらに、導光体140は、第2表面144の少なくとも一部における法線方向での可視光の透過率が60%以上92%以下、ヘイズ値が1.1%以上50%以下である。そして、光源の少なくとも一部の光(本実施の形態では第1光源104の光L1)は、第1表面142から入射され、光拡散材141により進行方向が第2表面144に向けられて第2表面144から出射される。
また、本実施の形態の導光体140は、互いに背向する2つの主表面140a,140bと、2つの主表面140a,140bをつなぐ側面とを有する板状部材である。そして、側面(本実施の形態では側面140c,140d)が第1表面142を構成し、一方の主表面(本実施の形態では主表面140a)が第2表面を構成する。
このように、本実施の形態の車両用灯具100は、側面140c,140dから入射した光を光拡散材141によって効率よく主表面140aから出射することができる導光体140を備える。このため、側面から入射した光を灯具内側の主表面に設けたステップ等の反射要素により反射して、灯具外側の主表面から出射させる導光体に比べて、より均一に導光体を面発光させることができる。また、導光体の表面を均一に発光させることができるため、歩行者や他の車両の運転者等が、車両用灯具100の発光をより確実に視認することができる。よって、車両用灯具100の被視認性を向上させることができる。
また、車両用灯具100は、側面140c,140dに光を入射させる第1光源104の点灯により第1の灯具機能を発揮する。また、灯具内側を向く主表面140bに光を入射させる第2光源106の点灯により第2の灯具機能を発揮する。また、主表面140bに光を入射させる第3光源108の点灯により第3の灯具機能を発揮する。
側面から入射する光をステップ等の反射要素を用いて灯具外側の主表面から出射する導光体の場合、灯具内側の主表面からの光の入射が反射要素によって妨げられやすい。一方、本実施の形態の導光体140は、側面から入射する光を光拡散材141を用いて灯具前方に出射する構成であるとともに、導光体140自体の透光性が高い。このため、第2光源106及び第3光源108の光の導光体への入射は妨げられない。よって、第2の灯具機能及び第3の灯具機能を発揮している状態での車両用灯具100の被視認性を向上させることができる。これにより、車両用灯具100の被視認性を向上させながら、機能統合による車両用灯具100の小型化を図ることができる。なお、導光体140の形状は、第1表面142とこれに非平行な第2表面144とを有する限り特に限定されない。例えば、側面が1つである円盤状や、柱状(実施の形態9を参照)等であってもよい。
(実施の形態2)
実施の形態2に係る車両用灯具100は、導光体140の形状と光源の配置を除いて、実施の形態1に係る車両用灯具100の構成と共通する。以下、実施の形態2に係る車両用灯具100について、実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
図4(A)は、実施の形態2に係る車両用灯具の概略構造を示す鉛直断面図である。図4(B)は第1光源が点灯した状態の車両用灯具の概略構造を示す断面図である。図4(C)は、第2光源が点灯した状態の車両用灯具の概略構造を示す断面図である。図4(D)は、第4光源が点灯した状態の車両用灯具の概略構造を示す断面図である。なお、図4(A)〜図4(D)では、アウターカバー4及びランプボディ102の図示を省略している。
図4(A)に示すように、本実施の形態に係る車両用灯具100は、屈曲部140eを有する板状の導光体140を備える。屈曲部140eは、側面140cと側面140dとの間に配置される。側面140cから入射する光は、屈曲部140eにおいて側面140d側への進行が阻害される。側面140dから入射する光は、屈曲部140eにおいて側面140c側への進行が阻害される。なお、屈曲部140eは省略することもできる。導光体140の材質は実施の形態1と同一である。
また、車両用灯具100は、側面140dに光を入射させる第4光源114を備える。実施の形態1では、側面140dに対向する位置に第1光源104が設けられているが、本実施の形態では、第1光源104に代えて第4光源114が側面140dに対向する位置に設けられる。また、本実施の形態では、第3光源108が設けられていない。第4光源114は、ブラケット116に搭載される。ブラケット116はランプボディ102(図1参照)に固定される。
図4(B)に示すように、第1光源104の光L1は、第1表面142(側面140c)から導光体140に入射される。そして、光L1は、導光体140中の光拡散材141により進行方向が第2表面144(主表面140a)に向けられて、第2表面144の屈曲部140eよりも側面140c側の領域から出射される。第1光源104の点灯により、車両用灯具100は、第1の灯具機能を発揮することができる。
また、図4(C)に示すように、第2光源106の光L2は、主表面140bから導光体140に入射され、第2表面144(主表面140a)から出射される。第2光源106の点灯により、車両用灯具100は、第2の灯具機能を発揮することができる。第2光源106が点灯する際は、第1光源104は消灯していることが好ましい。
また、図4(D)に示すように、第4光源114の光L4は、側面140dから導光体140に入射される。そして、光L4は、導光体140中の光拡散材141により進行方向が第2表面144(主表面140a)に向けられて、第2表面144の屈曲部140eよりも側面140d側の領域から出射される。第4光源114の点灯により、車両用灯具100は、第3の灯具機能を発揮することができる。すなわち、第3の灯具機能を発揮するために用いられる光源の位置が、実施の形態1では主表面140bと対向する位置であるが、本実施の形態では側面140dと対向する位置に変更されている。
第1の灯具機能は、ストップランプ、テールランプ及びターンランプのうちの1つである。また、第2の灯具機能は、ストップランプ、テールランプ及びターンランプのうちの他の1つである。そして、第3の灯具機能は、ストップランプ、テールランプ及びターンランプのうちの残りの1つである。例えば、車両用灯具100は、第1光源104から赤色の光L1を照射してテールランプとして機能し、第2光源106から赤色の光L2を照射してストップランプとして機能し、第4光源114からアンバー色の光L4を照射してターンランプとして機能する。本実施の形態によっても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
(実施の形態3)
実施の形態3に係る車両用灯具100は、光源の配置を除いて実施の形態1に係る車両用灯具100の構成と共通する。以下、実施の形態3に係る車両用灯具100について、実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
図5は、実施の形態3に係る車両用灯具の概略構造を示す正面図である。なお、図5では、アウターカバー4、ランプボディ102及びブラケットの図示を省略している。また、車両のリアパネル内を透視した状態を図示している。本実施の形態の導光体140は、車両のバックドア等の可動部1aに配置される可動側導光体146と、固定部1bに配置される固定側導光体148とを含む。導光体140(可動側導光体146と固定側導光体148)の材質は、実施の形態1と同一である。
可動側導光体146は、車幅方向内側を向く第1側面146aと、鉛直方向下側を向く第2側面146bとを有する。第1側面146aと第2側面146bとは互いに非平行である。固定側導光体148は、車幅方向外側を向く第1側面148aと、鉛直方向下側を向く第2側面148bとを有する。第1側面148aと第2側面148bとは互いに非平行である。
また、車両用灯具100の光源は、第1側面用光源118,122と、第2側面用光源120,124とを有する。第1側面用光源118は、第1側面146aに光を入射させる光源であり、発光面が第1側面146a側を向くように配置される。第2側面用光源120は、第2側面146bに光を入射させる光源であり、発光面が第2側面146b側を向くように配置される。第1側面用光源122は、第1側面148aに光を入射させる光源であり、発光面が第1側面148a側を向くように配置される。第2側面用光源124は、第2側面148bに光を入射させる光源であり、発光面が第2側面148b側を向くように配置される。なお、第2側面用光源120,124は、鉛直方向上側を向く側面に光を入射するように配置されてもよい。
第1側面用光源118の光は、第1側面146aから可動側導光体146に入射される。そして、光は、可動側導光体146中の光拡散材141により進行方向が灯具外側の主表面に向けられて、当該主表面から出射される。第1側面用光源122の光は、第1側面148aから固定側導光体148に入射される。そして、光は、固定側導光体148中の光拡散材141により進行方向が灯具外側の主表面に向けられて、当該主表面から出射される。第1側面用光源118,122の点灯により、車両用灯具100は、第1の灯具機能を発揮することができる。
第2側面用光源120の光は、第2側面146bから可動側導光体146に入射される。そして、光は、可動側導光体146中の光拡散材141により進行方向が灯具外側の主表面に向けられて、当該主表面から出射される。第2側面用光源124の光は、第2側面148bから固定側導光体148に入射される。そして、光は、固定側導光体148中の光拡散材141により進行方向が灯具外側の主表面に向けられて、当該主表面から出射される。第2側面用光源120,124の点灯により、車両用灯具100は、第2の灯具機能を発揮することができる。
第1の灯具機能は、ストップランプ、テールランプ及びターンランプのうちの1つである。また、第2の灯具機能は、ストップランプ、テールランプ及びターンランプのうちの他の1つである。例えば、車両用灯具100は、第1側面用光源118,122の点灯によりテールランプとして機能し、第2側面用光源120,124の点灯によりストップランプとして機能する。
側面入射光を反射するステップを有する面状導光体を用いて複数種の灯具機能を組み合わせる場合、面状導光体の向かい合う一対の側面のうち、一方の側面に第1の灯具機能用の光源を、他方の側面に第2の灯具機能用の光源を、それぞれ配置することが考えられる。このような配置によれば、第1の灯具機能用の光源と、第2の灯具機能用の光源とで、ステップを共有することができる。しかしながら、可動部1aに配置される発光部と固定部1bに配置される発光部との隙間を極力狭くしたい場合等、導光体の向かい合う側面に光源を配置できない場合がある。
この場合、例えば導光体の上下方向に延在する側面に第1の灯具機能用の光源を配置し、左右方向に延在する側面に第2の灯具機能用の光源を配置することが考えられる。このような配置では、第1の灯具機能用の光源から出射される光を導光体外に出射するためのステップと、第2の灯具機能用の光源から出射される光を導光体外に出射するためのステップとを別々に設ける必要がある。各光源用のステップを別個に設けた場合、一方の光源のみを点灯して導光体の主表面全体を発光させることは困難である。
これに対し、本実施の形態の可動側導光体146及び固定側導光体148は、側面から入射した光を光拡散材141によって効率よく主表面から出射することができる導光体である。このため、第1の灯具機能用の光源を第1側面側に配置し、第2の灯具機能用の光源を第1側面と非平行である第2側面側に配置した場合であっても、一方の光源のみの点灯で導光体の主表面全体を発光させることができる。すなわち、本実施の形態によれば、可動部1aに配置される発光部と固定部1bに配置される発光部との隙間を狭めながら、導光体の主表面全体での均一な発光を実現することができる。また、実施の形態1で説明した他の効果も奏することができる。
(実施の形態4)
実施の形態4に係る車両用灯具100は、導光体140の形状を除いて実施の形態1に係る車両用灯具100の構成と共通する。以下、実施の形態4に係る車両用灯具100について、実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
図6は、実施の形態4に係る車両用灯具の概略構造を示す鉛直断面図である。なお、図6ではアウターカバー4、ランプボディ102、ブラケット110及び導光体140の一部の図示を省略している。本実施の形態の導光体140は、第2表面144の法線方向の厚さについて、第1の厚さD1を有する第1部分150と、第2の厚さD2を有する第2部分152とを有する。第1の厚さD1と第2の厚さD2とは互いに異なる厚さであり、本実施の形態では第1の厚さD1よりも第2の厚さD2の方が厚い。導光体140の材質は実施の形態1と同一である。導光体140の第1表面142近傍には、第1光源104が配置される。
第1部分150と第2部分152とは、それぞれの厚さの違いに起因して、互いに輝度が異なる。例えば、第2部分152は、第1部分150に比べて輝度が高い。これは、第1部分150に比べて厚い第2部分152では、第2表面144の法線方向で光拡散材141がより多く存在し、第1表面142から入射した光のより多くを第2表面144に向けて進行させることができるためであると考えられる。
側面入射光を反射するステップを有する面状導光体を用いて、例えば発光面の一方から他方に向かって輝度(明度)を漸減させるグラデーション発光を実現しようとすると、ステップの間隔や深さを変化させる必要がある。このため、導光体の形状が複雑になる。これに対し、本実施の形態の車両用灯具100によれば、導光体140の厚さを異ならせるという簡単な設計のみで、発光面の一部の輝度を他の部分の輝度と異ならせることができる。このため、導光体の形状が複雑になることを回避しながら、グラデーション発光を実現することができる。よって、車両用灯具100の意匠性をより簡単に向上させることができる。また、実施の形態1で説明した効果も奏することができる。なお、本実施の形態の導光体140は、厚さが連続的に変化する形状を有するが、厚さが段階的に変化する形状であってもよい。
(実施の形態5)
実施の形態5に係る車両用灯具100は、導光体140の形状と他の導光体170の存在とを除いて実施の形態1に係る車両用灯具100の構成と共通する。以下、実施の形態5に係る車両用灯具100について、実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
図7(A)及び図7(B)は、実施の形態5に係る車両用灯具の概略構造を示す正面図である。図7(A)は、第1光源104が消灯した状態を示している。図7(B)は、第1光源104が点灯した状態を示している。なお、図7(A)及び図7(B)では、アウターカバー4、ランプボディ102及びブラケット110の図示を省略している。本実施の形態に係る車両用灯具100は、他の導光体170をさらに備える。他の導光体170は、導光体140に隣接し、導光体140の光学的特性とは異なる光学的特性を有する。例えば、他の導光体170は、透過率及びヘイズ値の少なくとも一方が導光体140とは異なる。
本実施の形態の導光体140は、外形が長方形であるとともに、中央に開口部を有する枠状体である。導光体140の左右の側面が第1表面142を構成し、両側面に光を入射させるように第1光源104が配置される。導光体140の材質は実施の形態1と同一である。導光体140の中央の開口部には、他の導光体170が延在する。他の導光体170は例えば、可視光透過率が導光体140よりも高くヘイズ値が導光体140よりも低い、従来公知のアクリル板である。導光体140及び他の導光体170は、インナーカバーを構成する。このようなインナーカバーは、予め成形した導光体140の開口部に他の導光体170を嵌め込んで形成してもよいし、導光体140の材料と他の導光体170の材料との二色成形により形成してもよい。なお、導光体140及び他の導光体170の形状は特に限定されない。
図7(A)に示すように、第1光源104の消灯状態では、導光体140と他の導光体170とは見た目の違いがほとんどない。一方、図7(B)に示すように、第1光源104の点灯状態では、導光体140のみが発光し、他の導光体170は発光しない。すなわち、第1光源104の光は、導光体140中で光拡散材141により進行方向が第2表面144に向けられ、第2表面144から出射される。これにより、導光体140は発光する。一方、他の導光体170中には光拡散材141が存在しない。このため、導光体140を通過して他の導光体170中に入射した光は、そのまま他の導光体170内を進行し、他の導光体170に入射した位置とは反対側の導光体140に到達する。よって、他の導光体170は発光しない。本実施の形態の車両用灯具100によれば、車両用灯具100の意匠性を向上させることができる。また、実施の形態1で説明した効果も奏することができる。
(実施の形態6)
実施の形態6に係る車両用灯具100は、導光体140の形状と光源の配置を除いて、実施の形態1に係る車両用灯具100の構成と共通する。以下、実施の形態6に係る車両用灯具100について、実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
図8は、実施の形態6に係る車両用灯具の概略構造を示す水平断面図である。なお、図8ではアウターカバー4、ランプボディ102及びブラケット110の図示を省略している。導光体140は、板状のベース部154と、ベース部154の一方の面154aから突出する突起部156とを有する。本実施の形態では、ベース部154及び突起部156の組み合わせが複数配列され、隣り合うベース部154同士が連結されて一体的に構成されている。
そして、突起部156が設けられた面154aに背向するベース部154の他方の面154bが第1表面142を構成する。また、突起部156における、ベース部154に接する表面156aが第2表面144を構成する。第2表面144は、ベース部154の法線方向に対して垂直な方向から見える面、あるいは突起部156の突出方向に対して垂直な方向から見える面である。あるいは第2表面144は、突起部156の突出方向に延在する面である。導光体140の材質は実施の形態1と同一である。
第1表面142の近傍には、第1光源104が配置される。第1光源104の光は、第1表面142からベース部154に入射する。ベース部154に入射した光は突起部156内に進行し、光拡散材141によって進行方向が第2表面144に向けられて、第2表面144から出射される。
本実施の形態によれば、突起部156の表面156aにステップを設けることなく、表面156aを発光させることができる。これにより、突起部156の設計自由度を高めることができ、突起部156の細幅化や、表面156aのベース部154に対する傾斜角度を大きくする(より垂直に近づける)といった設計が可能となる。また、突起部156の密度を高めることができる。また、突起部156の表面156aをより均一に発光させることができる。なお、突起部156の数や寸法等は適宜変更することができる。
(実施の形態7)
図9(A)は、実施の形態7に係る車両用灯具の概略構造を示す正面図である。図9(B)は、図9(A)におけるA−A線に沿った断面図である。なお、図9(A)及び図9(B)では、アウターカバー及びランプボディの図示を省略している。本実施の形態に係る車両用灯具900は、第1導光体用光源902と、リフレクタ904と、第1導光体906と、第2導光体用光源908と、第2導光体910とを備える。第1導光体用光源902は、例えばハロゲンランプである。第2導光体用光源908は、例えばLEDである。なお、各光源は、LED、LD、有機または無機EL等の半導体発光素子や、白熱球、放電球等から適宜選択することができる。リフレクタ904は、例えば回転放物面を基調とした反射面を有するパラボラ型リフレクタである。リフレクタ904と第1導光体用光源902とは、リフレクタ904の焦点近傍に第1導光体用光源902が位置するように互いの位置関係が定められる。
第1導光体906は、中央に開口部を有する枠状体であり、リフレクタ904の前端開口部の近傍に配置される。第1導光体906とリフレクタ904とは、リフレクタ904で反射される第1導光体用光源902の光が主に第1導光体906に入射するように互いの位置関係が定められる。第1導光体906は、実施の形態1の導光体140と同じ材料で形成される。
第1導光体用光源902から出射される光の一部は、直にあるいは第2導光体910を通過して灯具前方に照射される。また、第1導光体用光源902から出射される光の他の一部は、リフレクタ904で反射されて第1導光体906の灯具後方側の表面から第1導光体906に入射する。第1導光体906に入射した光は、第1導光体906の光拡散材141によって拡散され、第1導光体906の灯具前方側の表面から出射される。これにより、第1導光体906の灯具前方側の表面は均一に発光する。
第2導光体910は、円柱状あるいは角柱状であり、リフレクタ904の前端開口部よりも灯具前方側に配置される。第2導光体910は、2つの端面が車幅方向を向き、2つの端面をつなぐ柱面910bが灯具前方側を向くように配置される。第2導光体910は、実施の形態1の導光体140と同じ材料で形成される。第2導光体用光源908は、第2導光体910の一方の端面910aに光が入射するように配置される。第2導光体用光源908の光は、端面910aから第2導光体910に入射され、光拡散材141により進行方向が柱面910bに向けられて、柱面910bの全体から出射される。したがって、端面910aは第1表面142を構成し、柱面910bは第2表面144を構成する。
本実施の形態によれば、第1導光体906及び第2導光体910を均一に発光させることができるため、車両用灯具900の被視認性を向上させることができる。また、車両用灯具900の意匠性を向上させることができる。なお、第1導光体906の形状は枠状に限定されない。
本発明は、上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態を組み合わせたり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などの変形を加えることも可能であり、そのような組み合わせられ、もしくは変形が加えられて得られる新たな実施の形態も本発明の範囲に含まれる。このような新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態及び変形それぞれの効果をあわせもつ。
実施の形態1〜6では、光源の光は直に導光体140に入射している。しかしながら、特にこの構成に限定されず、光源から出射されてリフレクタで反射された光が導光体140に入射する構成であってもよい。
本明細書では、導光体140がインナーカバーとして機能する構成が例示されているが、導光体140はアウターカバーの少なくとも一部を構成してもよい。この場合、車両用灯具100は、アウターカバーが発光する灯具となる。これにより、新規な構造を有する車両用灯具100を提供することができる。また、車両用灯具100の意匠性、見栄えを向上させることができる。また、アウターカバーに灯具機能が付与されているため、車両用灯具100の部品点数の削減、及び小型化を図ることができる。