JP6704231B2 - 原子力プラントの解体方法 - Google Patents
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Description
原子力プラントは他のプラントとは異なり放射性廃棄物を含むため、原子炉領域の解体工程においては、通常、原子炉近くに設けられたプール内に対象機器を移送し、水中で対象機器の解体を行うようになっている。例えば特許文献1には、原子炉近くに設けられたプール内において解体用マニピュレータを用いて遠隔操作によって原子炉の解体作業を行うことが記載されている。
原子炉容器から燃料を取り出して燃料貯蔵プールに貯蔵するステップと、
前記燃料貯蔵プールから前記燃料を搬出するステップと、
前記原子炉容器からの前記燃料の取出し後、前記原子炉容器の上方に位置するとともに水が貯留された作業用プールに前記原子炉容器内の炉内構造物を取り出し、前記作業用プールに貯留された前記水の中で前記炉内構造物を解体するステップと、
解体された前記炉内構造物を前記作業用プールから搬出するステップと、
前記炉内構造物の前記作業用プール外への搬出後、前記作業用プールの前記水を抜くステップと、を備え、
前記炉内構造物の取出し及び解体作業は、前記燃料貯蔵プールからの前記燃料の搬出完了前に開始する。
そこで、上記(1)の原子力プラントの解体方法では、炉内構造物の取出し及び解体作業を、燃料貯蔵プールからの燃料の搬出完了前に開始するようにしている。このように、炉内構造物を解体するステップをスケジュール(工程表)の比較的早い段階で行うことにより、作業用プールの水を早期に抜くことができる。作業用プールの水を早期に抜くことで、水張り設備の維持コストを削減でき、よって廃止措置に要するコストを大幅に低減することができる。
また、炉内構造物の取出し及び解体作業を従来のスケジュールよりも前倒しで実施した場合であっても、廃止措置全体の効率低下を引き起こすことはない。
なお、炉内構造物の取出し及び解体作業と、燃料の搬出作業とは、互いに独立した作業工程となるため、これらを同時に実施することも可能である。
前記作業用プール及び該作業用プールに連通する前記燃料貯蔵プールに前記水が貯留された状態で、前記原子炉容器からの前記燃料の取出し及び前記燃料貯蔵プールへの前記燃料の移動を前記水の中で行うとともに、前記炉内構造物の前記原子炉容器からの取出し及び解体を前記水の中で行う。
そこで、上記(2)の方法では、上記(1)に記載したように炉内構造物の取出し及び解体作業を、燃料貯蔵プールからの燃料の搬出完了前に開始するようにしているので、作業用プール及び燃料貯蔵プールの使用を早い段階で終わらせることができ、これらのプールの水を早期に抜くことができる。よって、水張り設備の維持コストをより一層削減できる。
また、上記(2)の方法によれば、作業用プール及び燃料貯蔵プールに水が貯留された状態で、原子炉容器からの燃料の取出し及び燃料貯蔵プールへの燃料の移動を水の中で行うとともに、炉内構造物の原子炉容器からの取出し及び解体を水の中で行うようにしている。そのため、燃料搬出ステップおよび炉内構造物の解体ステップを効率的に行うことができる。
前記作業用プールから搬出された解体後の前記炉内構造物を遮蔽容器に収容し、乾式の一時保管施設に保管するステップをさらに備える。
前記一時保管施設は、前記原子炉容器及び前記作業用プールの外部、且つ、前記原子炉容器を格納する格納容器内に設けられている。
前記一時保管施設を建設するステップをさらに備え、
前記炉内構造物の取出し及び解体作業は、前記一時保管施設の建設完了前に開始する。
前記原子力プラントの格納容器内における原子炉以外の機器を解体するステップをさらに備え、
前記炉内構造物の取出し及び解体作業は、前記機器の解体開始前に開始する。
(7)一実施形態では、上記(6)の方法において、
前記炉内構造物の取出し及び解体作業は、前記機器の解体開始前に完了する。
(8)一実施形態では、上記(6)又は(7)の方法において、
前記機器は、前記原子力プラントの蒸気発生器、加圧器、再循環ポンプまたは格納容器スプレーの少なくとも一つを含む。
また、炉内構造物の取出し及び解体作業を従来のスケジュールよりも前倒しで実施した場合であっても、廃止措置全体の効率低下を引き起こすことはない。
原子炉容器11にはペレット状の核燃料(例えばウラン燃料やMOX燃料等)を含む燃料棒12が収容されており、この燃料の核分裂反応で発生する熱エネルギーにより、原子炉容器11の中の一次冷却水が加熱される。原子炉容器11には、原子炉出力を制御するために、核燃料を含む炉心で生成される中性子数を吸収して調整するための制御棒13が設けられている。なお、原子炉容器11内で加熱された一次冷却水は蒸気発生器16に送られ、熱交換により二次冷却ループ20を流れる二次冷却水(二次冷却材)を加熱して蒸気を発生させる。
なお、他の実施形態において、原子炉2が沸騰水型原子炉である場合、内部構造物(炉内構造物)は、蒸気中の湿分を除去する機能を有する構造物を含む。
原子炉容器本体60は、下部が半球形状をなす下鏡65により閉塞された円筒形状となっている。そして、原子炉容器本体60は、上部に一次冷却水としての軽水(冷却材)を供給する冷却材入口部(入口管台)66と、軽水を排出する冷却材出口部(出口管台)67とが形成されている。また、原子炉容器本体60は、冷却材入口部66及び冷却材出口部67とは別に、図示しない注水ノズル(注水管台)が形成されている。
原子炉容器本体60の内部には、該原子炉容器本体60の内壁面と所定間隔をもって、円筒形状をなす炉心槽72が配置されている。炉心槽72は、上部が上部炉心板71に連結され、下部に下部炉心板73が連結されている。下部炉心板73は、円板形状をなし、図示しない多数の連通孔が形成されており、下部炉心支持板69に支持されている。
炉心74の内部には、多数の燃料集合体50及び多数の制御棒13が配置されている。多数の制御棒13は、上端部がまとめられて制御棒クラスタ51となり、燃料集合体50内に挿入可能となっている。上部炉心支持板68には、該上部炉心支持板68を貫通するように、多数の制御棒クラスタ案内管75が固定されている。各制御棒クラスタ案内管75は、下端部が燃料集合体50内の制御棒クラスタ51まで延出されている。
一実施形態では、格納容器19内には、原子炉容器11から取り出された炉内構造物80を解体するための作業用プール(ピット)30と、格納容器19の上部に設けられたクレーンやホイスト等の移送機構38と、が設けられている。
作業用プール30の底面には、この作業用プール30の下方に形成される原子炉容器収容空間32が開口している。原子炉容器収容空間32は、原子炉容器11の大部分を収容可能に構成されている。すなわち、原子炉容器収容空間32内に原子炉容器11を収容した状態で、原子炉容器11の上部(原子炉容器蓋61:図2参照)のみが作業用プール30内に位置するようになっている。作業用プール30は、炉内構造物80を解体するための解体スペースを有している。
燃料貯蔵プール34は、格納容器19に隣接した補助建屋35内に設けられていてもよい。上記移送路33は、格納容器19と補助建屋35に跨って設けられている。
図4は、一実施形態に係る原子力プラント1の解体方法を示すフローチャートである。図5は、一実施形態に係る原子力プラントの廃止措置の工程表を示す図であり、図4のフローチャートに一部対応している。なお、図4に示すフローチャートは、各ステップを単純に並べて記載しているが、実際には、図5に示す工程表のように、各ステップの開始点又は終了点は他のステップと重複している場合もある。
以下の説明においては、適宜、図1乃至図3の説明で用いた符号を付している。
また、上記原子力プラント1の解体方法では、炉内構造物80の取出し及び解体作業は、燃料貯蔵プール34からの燃料84の搬出完了前に開始するようになっている。
また、炉内構造物80の取出し及び解体作業を従来の廃止措置スケジュール(図6参照)よりも前倒しで実施した場合であっても、廃止措置全体の効率低下を引き起こすことはない。
なお、炉内構造物80の取出し及び解体作業と、燃料84の搬出作業とは、互いに独立した作業工程となるため、これらを同時に実施することも可能である。
なお、炉内構造物取出し・解体ステップS3は、廃止措置スケジュール(工程表)における全工程期間のうち、前半の期間に行うようにしてもよい。
そこで、上記実施形態では、上述したように炉内構造物80の取出し及び解体作業を、燃料貯蔵プール34からの燃料84の搬出完了前に開始するようにしているので、作業用プール30及び燃料貯蔵プール34の使用を早い段階で終わらせることができ、これらのプール30,34の水を早期に抜くことができる。よって、水張り設備90の維持コストをより一層削減できる。
また、上記実施形態によれば、作業用プール30及び燃料貯蔵プール34に水が貯留された状態で、原子炉容器11からの燃料84の取出し及び燃料貯蔵プール34への燃料84の移動を水の中で行うとともに、炉内構造物80の原子炉容器11からの取出し及び解体を水の中で行うようにしている。そのため、燃料搬出ステップS1および炉内構造物80の解体ステップS3を効率的に行うことができる。
このように、解体後の炉内構造物80を遮蔽容器82に収容し、一時保管施設100,110に保管するようにしたので、放射性物質の埋設施設に移送するまでの間、高線量の炉内構造物80を安全に一時保管することができる。
このように、一時保管施設110を格納容器19内に設けることにより、一時保管施設110の建設期間を短くでき、炉内構造物80の取出し及び解体作業をより一層前倒しすることができる。よって、水張り設備90の維持コストを削減できる。
このように、炉内構造物80の取出し及び解体作業を、一時保管施設110の建設完了前に開始することにより、炉内構造物80の取出し及び解体作業をより一層前倒しすることができる。よって、水張り設備90の維持コストをより一層削減できる。
この場合、炉内構造物80の取出し及び解体作業は、前記機器の解体開始前に完了してもよい。
格納容器19内における原子炉2以外の機器は、例えば、原子力プラント1の蒸気発生器、加圧器、再循環ポンプ(沸騰水型原子炉の場合)または格納容器スプレーの少なくとも一つを含む
これらの方法によれば、炉内構造物80の取出し及び解体作業をより一層前倒しすることができ、これにより水張り設備90の維持コストをより一層削減できる。
あるいは、原子力プラント1の解体方法は、原子炉領域の機器(炉内構造物80および格納容器19内における原子炉2以外の機器を含む)の解体ステップS3、S8の完了後、原子炉領域を除く周辺機器を解体する周辺機器解体ステップS9を備えていてもよい。
さらにまた、上述したステップS1〜S8の前に、全ての解体作業の準備を行う解体作業準備ステップS0を備えていてもよい。
なお、図6は、従来例における原子力プラントの廃止措置の工程表を示す図である。図6に示す従来の工程表では、燃料取出し・貯蔵および燃料搬出を行った後、周辺機器の解体を開始していた。そして、周辺機器の解体後、炉内構造物以外の原子炉領域の機器(例えば蒸気発生器等)を解体し、その後炉内構造物の取出し・解体を行っていた。そのため、プールの水張り期間が、日程表(廃止措置スケジュール)の大部分の期間に跨ることとなり、水張り設備の維持コストが嵩んでいた。
これに対し、図5に示すように本実施形態によれば、炉内構造物取出し・解体ステップS3を早期に行うことによって、プールの水張り期間を短縮することができる。
また、図1に示す原子力プラント1は、発電を行うための原子力発電プラントを例示したが、動力等のように電力以外のエネルギーを生成するように構成された原子力プラントであってもよい。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
2 原子炉
4 蒸気タービン
6 発電機
10 一次冷却ループ
11 原子炉容器
12 燃料棒
13 制御棒
16 蒸気発生器
18 一次冷却材ポンプ
19 格納容器
20 二次冷却ループ
30 作業用プール
30A 解体スペース
32 原子炉容器収容空間
33 移送路
34 燃料貯蔵プール
35 補助建屋
38 移送機構
50 燃料集合体
60 原子炉容器本体
80 炉内構造物
82 遮蔽容器
84 燃料
86 乾式キャスク
90 水張り設備
91 貯留タンク
92 ポンプ
100 一時保管施設(廃棄物一時保管施設)
102 燃料一時保管施設
110 一時保管施設(廃棄物一時保管施設)
Claims (7)
- 作業用プール及び前記作業用プールに連通する燃料貯蔵プールに水が貯留された状態で、前記作業用プールで原子炉容器から燃料を取り出し、前記燃料を燃料貯蔵プールに移動して貯蔵するステップと、
前記燃料貯蔵プールから前記燃料を搬出するステップと、
前記原子炉容器からの前記燃料の取出し後、前記原子炉容器の上方に位置するとともに水が貯留された作業用プールに前記原子炉容器内の炉内構造物を取り出し、前記作業用プールに貯留された前記水の中で前記炉内構造物を解体するステップと、
解体された前記炉内構造物を前記作業用プールから搬出するステップと、
前記炉内構造物の前記作業用プール外への搬出後、前記作業用プールの前記水を抜くステップと、
前記原子炉内における炉内構造物以外の機器を解体するステップと、
を備え、
前記炉内構造物の取出し及び解体作業は、前記燃料貯蔵プールからの前記燃料の搬出完了前に開始し、前記機器の解体開始前までに完了させることを特徴とする原子力プラントの解体方法。 - 前記作業用プール及び該作業用プールに連通する前記燃料貯蔵プールに前記水が貯留された状態で、前記原子炉容器からの前記燃料の取出し及び前記燃料貯蔵プールへの前記燃料の移動を前記水の中で行うとともに、前記炉内構造物の前記原子炉容器からの取出し及び解体を前記水の中で行うことを特徴とする請求項1に記載の原子力プラントの解体方法。
- 前記作業用プールから搬出された解体後の前記炉内構造物を遮蔽容器に収容し、乾式の一時保管施設に保管するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の原子力プラントの解体方法。
- 前記一時保管施設は、前記原子炉容器及び前記作業用プールの外部、且つ、前記原子炉容器を格納する格納容器内に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の原子力プラントの解体方法。
- 前記一時保管施設を建設するステップをさらに備え、
前記炉内構造物の取出し及び解体作業は、前記一時保管施設の建設完了前に開始することを特徴とする請求項3又は4に記載の原子力プラントの解体方法。 - 前記原子力プラントの格納容器内における原子炉以外の機器を解体するステップをさらに備え、
前記炉内構造物の取出し及び解体作業は、前記機器の解体開始前に開始することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の原子力プラントの解体方法。 - 前記機器は、前記原子力プラントの蒸気発生器、加圧器、再循環ポンプまたは格納容器スプレーの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項6に記載の原子力プラントの解体方法。
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