JP6702524B1 - ベーパーチャンバー - Google Patents
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Abstract
Description
そうなると、受熱部に作動液が供給されなくなり、ウィック中央部が乾いてしまう、ドライアウトという現象が生じてしまうことがあった。
ドライアウトが生じると、熱源に近い受熱部において作動液の気化が生じないので熱源からの熱を吸収することができない。その場合、熱源の温度が下がらずにCPU等の電子部品が熱暴走を起こして故障すること、モバイル端末の表面温度が想定よりも高くなってしまうことが懸念される。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。
図1は、ベーパーチャンバーの構造の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すベーパーチャンバー1は、対向する第1シート11及び第2シート12から構成される筐体10と、筐体10内に封入された作動液20と、第1シート11の第2シート12に対向する主面11a(第1シート11の内壁面11a)に設けられたウィック30と、第2シート12の第1シート11に対向する主面12a(第2シート12の内壁面12a)に設けられた複数の支柱40とを備えている。筐体10は、内部に空洞13を有しており、空洞13を確保するために、第1シート11及び第2シート12が支柱40によって支持されている。
第1シート11及び第2シート12は、外縁において互いに接合され、封止されている。図1に示すベーパーチャンバー1では、ウィック30は、第1シート11の内壁面11aに所定の間隔で配置された複数の凸部31と、凸部31上に配置されたメッシュ32とを備えている。
封止部は、溶接部を含む部位であり、第1シートと第2シートが溶接されていないが接している部位については、溶接部ではないが封止部に含まれる。
発熱部材70の熱により、発熱部材70の直上においてウィック30に存在する作動液20が気化し、発熱部材70の熱を奪うとともに気化した作動液はメッシュ32から空洞13に移動する。
気化した作動液20は筐体10内を移動して、筐体10の外縁付近で凝縮して液相となる。
液相となった作動液20はウィック30の有する毛細管力によりウィック30に吸収され、ウィック30内を再度発熱部材70の方に移動して、発熱部材70の熱を奪うように働く。
作動液が筐体内をこのように循環して移動することにより、ベーパーチャンバーによる発熱部材の冷却が行われる。
以下に、ベーパーチャンバーが溝部を有することにより発揮される作用効果について、ベーパーチャンバーが溝部を有さない場合と溝部を有する場合を対比して説明する。
ベーパーチャンバーが溝部を有さない場合、筐体の外縁において、第1シート11の内壁面11aと第2シート12の内壁面12aの間の間隔(図2中、両矢印Xで示す距離)が狭くなってしまう部位が存在する。このような部位は毛細管力が強くなり、この部位に保持された作動液はウィック側に移動することなくとどまってしまう。そのため、循環する作動液の量が少なくなり、場合によっては発熱部材70付近に作動液が存在しないドライアウトが生じる。
図3では、第1シート11が溝部60を有している。
ベーパーチャンバーが溝部60を有する場合、筐体の外縁において、第1シート11の内壁面11aと第2シート12の内壁面12aの間の間隔(図3中、両矢印Yで示す距離)が広くなる。
このように、ベーパーチャンバーが筐体の外縁において溝部を有していることにより第1シートの内壁面と第2シートの内壁面の間の間隔が広くなっていると、作動液に対する毛細管力が強くならない。そのため、作動液は第1シートの内壁面と第2シートの内壁面の間に保持されない。そして、作動液はウィックの有する毛細管力によりウィックに吸収されて発熱部材側に移動していくことができ、循環する作動液の量が少なくなることはない。
図4には、第1シート11が溝部60をウィック30と封止部50の間に1カ所だけ有している例を示している。
具体的には、溝部60は封止部50のうちの溶接部51と接しており、さらにウィック30とも接している。これは、溝部が封止部と第1シートと第2シートの対向する方向に直交する方向から断面視して接している形態の一形態である。また、溝部がウィックと溶接部の間にわたって設けられている形態であるともいえる。
図4に示す溝部60は、上面視が長方形状である。
溝部の幅(図4中に両矢印Wで示す距離)は、特に限定されるものではないが、500μm以上、700μm以下であることが好ましい。
溝部の上面視形状が長方形状でない場合は、両矢印Wで示す方向での最長の距離を溝部の幅とすることができる。
また、溝部の長さ(図4中に両矢印Dで示す距離)は、特に限定されるものではないが、300μm以上、3000μm以下であることが好ましい。
溝部の上面視形状が長方形状でない場合は、両矢印Dで示す方向での最長の距離を溝部の長さとすることができる。
なお、溝部の深さについては、特に限定されるものではないが、溝部がないと仮定した場合の金属シートの上面の位置から、溝部となっている金属シートの上面の位置までの距離の最大値(図3中に両矢印Tで示す距離)として定められ、100μm以上、1000μm以下であることが好ましい。
深さが深すぎるとベーパーチャンバーの厚さが厚くなりすぎる。
また、溝部の幅/深さの比率が0.5〜10.0であることが好ましい。
上記比率が0.5未満と小さい場合、溝部に毛細管力が働きやすくなる。また、上記比率が10.0を超えて大きいと溝部を設けた効果が弱く、毛細管力の強い部位が生じる。
また、溝部の断面形状(図4においてB―B線で切断した際の溝部の断面形状)が半円形状であることが好ましい。また、溝部の断面形状が半円形状である場合の溝部の深さは、その最大深さとして定める。
図5には、上面視が長方形である形状のウィック30の4辺のいずれの辺に対しても溝部60を設けた例を示している。
このように、溝部がウィックの周囲の各辺に設けられていると、ベーパーチャンバーが複数の姿勢(傾き)において作動液をウィック側に移動させることができるため好ましい。
図6には、上面視において、封止部50の側からウィック30の側に向けてその幅が狭くなっていく形状の溝部60の形状を示している。
溝部における封止部側の幅が大きいと毛細管力が小さいので封止部側に作動液が保持されにくい。一方、溝部におけるウィック側の幅が小さいと毛細管力が大きいのでウィック側に作動液が引き寄せられる。
すなわち、封止部側からウィック側に向けて溝部の幅が狭くなる形状であると、封止部側からウィック側への作動液の移動の促進につながる。
そのため、溝部の上面視形状をこのような形状としてもよい。
図6には、溝部の上面視形状の例として、上面視形状が三角形(封止部側が底辺でウィック側が頂点となる正三角形、二等辺三角形、直角三角形)及び台形(封止部側の辺がウィック側の辺より長い等脚台形、その他の台形)の場合を示している。
図7には、第1シート11に設けられた溝部61と第2シート12に設けられた溝部62を示している。
このような構成であると、第1シート11の内壁面11aと第2シート12の内壁面12aの間の間隔(図7中、両矢印Yで示す距離)はかなり広くなる。
従って、ベーパーチャンバーが溝部を有することによる効果が好適に発揮される。
また、図7には第1シートに設けられた溝部と第2シートに設けられた溝部が同じ断面図上に位置する場合、すなわち上面視において溝部の形成位置が重なっている場合を示している。しかしながら、溝部を第1シート及び第2シートの両方に設ける場合に、溝部の形成位置は上面視において重なっていなくてもよい。
図8及び図9は、ウィックと溶接部の間に溝部を形成する位置の他の例を模式的に示す上面図である。
図8及び図9には、溝部とウィック及び溶接部の位置関係を示すために溝部の周囲のみの上面図を示している。
溝部がウィックと接していなくても、溶接部と接していることにより筐体の外縁において最も毛細管力が強くなりやすい部位における毛細管力を弱くすることができるので、循環する作動液の量が減少することを防止することができる。
なお、ウィックを構成する凸部が第1シートと一体である場合、第1シートの厚みは、凸部に接していない部分の厚みとする。また、支柱が第2シートと一体である場合、第2シートの厚みは、支柱に接していない部分の厚みとする。
本明細書において、凸部とは、周囲よりも相対的に高さが高い部分をいい、内壁面から突出した部分に加え、内壁面に形成された凹部、例えば溝などにより相対的に高さが高くなっている部分も含む。
第1シート及び第2シートの接合方法は、特に限定されないが、例えば、レーザー溶接、抵抗溶接、拡散接合、ロウ接、TIG溶接(タングステン−不活性ガス溶接)、超音波接合、樹脂封止などが挙げられる。これらのなかでは、レーザー溶接、抵抗溶接またはロウ接が好ましい。
10 筐体
10a 筐体の内壁面
11 第1シート
11a 第1シートの第2シートに対向する主面(第1シートの内壁面)
12 第2シート
12a 第2シートの第1シートに対向する主面(第2シートの内壁面)
13 空洞
20 作動液
30 ウィック
31 凸部
32 メッシュ
40 支柱
50 封止部
51 溶接部
60、61、62 溝部
70 発熱部材
Claims (4)
- 外縁が接合された対向する第1シート及び第2シートから構成される筐体と、
前記筐体内に封入された作動液と、
前記第1シートの前記第2シートに対向する主面に設けられたウィックと、を備えるベーパーチャンバーであって、
前記第1シート及び前記第2シートはいずれも金属材料からなり、
前記第1シート及び前記第2シートは、外縁を接合する封止部を有し、
前記第1シート及び前記第2シートの少なくとも一方は、前記第1シートと前記第2シートの対向する方向に直交する方向から断面視して前記ウィックと前記封止部の間に溝部を有しており、
前記封止部は、前記第1シート及び前記第2シートが溶接された溶接部を有しており、前記溝部が前記封止部と接していることを特徴とするベーパーチャンバー。 - 前記溝部は前記ウィックと前記溶接部の間にわたって設けられている請求項1に記載のベーパーチャンバー。
- 前記ウィックと前記溝部が断面視して同一シート側に位置している、請求項1又は2に記載のベーパーチャンバー。
- 前記溝部の幅/深さの比率が0.5〜10.0である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のベーパーチャンバー。
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