JP6702027B2 - 強化ガラス板 - Google Patents

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Description

本発明は、強化ガラス板に関し、特に、近年の車両軽量化に対応した板厚の薄い強化ガラス板に関する。
従来より、車両の窓ガラスには、強化ガラス板が用いられている。強化ガラス板は、表面に圧縮応力層を有し、厚さ方向の中央部に引張応力層を有している。強化ガラス板は、例えば650〜700℃の高温状態のガラス板表面に、空気を吹き付けて強化処理を施すことにより製造することができる。
近年、省燃費化の観点から車両の軽量化を達成するため、車両用強化ガラス板に要求される安全規格を満たしつつ、板厚の薄いガラス板が求められている。
引用文献1及び引用文献2には、板厚の薄いガラス板であって、車両用強化ガラス板に要求された安全規格を満たした強化ガラス板が開示されている。
特公昭59−19050号公報 特開昭52−121620号公報
しかしながら、引用文献1及び引用文献2の開示内容を板厚の薄いガラス板、例えば厚さ2.7mm以下のガラス板に応用した場合、長さ75mmを超える細長い破片や、面積が3cmを超える大破片が出やすい傾向があり、安全規格を安定して満足しなかった。
以上のような背景を鑑み、本願では、車両用窓ガラスの破砕規格を満足しやすく、板厚の薄い強化ガラス板を提供する。
上記目的を達成するため、本発明は、
複数のノズルから吹きつけられる冷却媒体によって強化される強化ガラス板であって、
前記強化ガラス板の厚さが2.7mm以下であり、
前記強化ガラス板は、表面に、複数の前記ノズルから吹きつけられる冷却媒体によって、複数の応力痕が形成され、
最も近い複数の前記応力痕間の距離が、20mm以下であり、
前記強化ガラス板は、表面に、前記応力痕の中心から2.5mm離れた点を結んだ第1仮想円を備え、
前記強化ガラス板は、破砕時に生じる弾性波の影響を受けない非弾性波領域を備え、
破砕時に、前記非弾性波領域内において、前記第1仮想円内に存在するクラックの本数が、平均3.4本以上であることを特徴とする強化ガラス板
を提供する。
本発明によれば、車両用窓ガラスの破砕規格を満足しやすく、板厚の薄い強化ガラス板を提供する。
本実施形態に係る強化ガラス板を製造するための風冷強化装置10の要部を例示した概略図 風冷強化装置10によって強化された強化ガラス板Gの正面図 弾性波領域と非弾性波領域とを示す概念図 第1仮想円18内に存在するクラックの本数の数え方の例を示した図 最大破片50と最小破片51について説明する図 破砕時の破片の様子を示す図 摺動距離と第1仮想円内に存在するクラック数の関係を示す図 摺動距離と第2仮想円内に存在するクラック数の関係を示す図
以下、図面を用いて、本発明に係る強化ガラス板の具体的な実施の形態について説明する。
なお、以下本明細書において、強化ガラス板Gは平面視で矩形として説明するが、これに限定されない。例えば、台形や三角形などの多角形であってもよく、多角形の一辺及び/又は角部は、円弧状でもよい。
なお、以下本明細書において、「平行」とは、本発明の効果を損なわない程度のズレは許容する。例えば、厳密な意味の平行から±3°程度のズレは許容する。
図1は、本実施形態に係る強化ガラス板を製造するための風冷強化装置10の要部を例示した概略図である。また、図2は風冷強化装置10によって強化された強化ガラス板Gの正面図である。また、図3は弾性波領域と非弾性波領域とを示す概念図である。
強化ガラス板Gは、風冷強化装置10によって強化される。強化ガラス板Gは、第1面G1と第1面G1に対向する第2面G2と、第1面G1と第2面G2とを接続する側面G3とを有する。
強化ガラス板Gの厚さは、1.8mm以上2.7mm以下である。特に、自動車の軽量化の観点から、強化ガラス板Gの厚さは好ましくは2.5mm以下、より好ましくは2.3mm以下が望ましい。また、板厚が1.8mm以上であれば、風冷強化法において、破砕規格を満足する表面圧縮応力及び表面圧縮応力と対で生じる内部引張応力を形成しやすい。
風冷強化装置10は、第1面G1及び第2面G2の全域に向けて冷却媒体を吹きつける複数のノズル12を備えている。冷却媒体の例としては、空気が挙げられる。強化ガラス板Gの片側に千鳥配置された複数のノズル12と、強化ガラス板Gの反対側に千鳥配置された複数のノズル12とは、強化ガラス板Gを挟んで対称的に配置されている。
なお、複数のノズルの配置は千鳥配置に限定されず、例えば正方格子状に配置されていてもよい。
風冷強化装置10によって強化された強化ガラス板Gの表面には、ノズル12から冷却媒体が吹きつけられる。それにより、図2のように応力痕14が形成される。応力痕14は、強化ガラス板Gの表面のうち、各ノズル12の延長線と交わる位置、すなわち、より冷却能力の高い部分に対応した位置に形成される。かかる位置は、他の位置に比べて、より冷却されやすい。そのため、この部分を平面的に見れば、強い平面圧縮応力が生ずる。したがって、応力痕14は、偏光板もしくは鋭敏色板によって観察できる。
なお、図2において、応力痕14は円形で図示されているが、応力痕14の形状としては円形に限られたものではない。応力痕14の形状としては、楕円形、四角形、多角形など種々の形状であってもよいし、点状であってもよい。
前述のように、応力痕14はノズル12の延長線と交わる位置に形成される。そのため、複数の応力痕14も、ノズル12と同様に対称的(千鳥配置)に配置されている。複数の応力痕14は、図2に示すように第1応力痕14Aと、第2応力痕14Bと、第3応力痕14Cと、第4応力痕14Dとを備える。
第2応力痕14B、第3応力痕14C及び第4応力痕14Dは、第1応力痕14Aから基準距離aだけ隔てて配置されている。すなわち、基準距離aとは、第1応力痕14Aを中心と見たときに、第1応力痕14Aと最も近い複数の応力痕間の距離である。応力痕間の距離とは、任意の応力痕の中心と、その応力痕と最も近い別の応力痕の中心との距離を示す。同じ応力痕間の距離を持つ応力痕が、複数あっても良い。本実施形態の場合、第1応力痕14Aに対して、同じ応力痕間の距離を持つ応力痕は6つある。なお、第2応力痕14Bを形成するノズル12、第3応力痕14Cを形成するノズル12及び第4応力痕14Dを形成するノズル12は、第1応力痕14Aを形成するノズル12から基準距離aだけ隔てて配置されている。
なお、基準距離aは本実施形態のように千鳥配置の場合、後述する平行四辺形(長方形を含む)の領域の短軸の長さと等しい。
基準距離aは、20mm以下、より好ましくは18mm以下、さらに好ましくは16mm以下、さらに好ましくは14mm以下、さらに好ましくは13.5mm以下、さらに好ましくは12mm以下、さらに好ましくは10mm未満であることが望ましい。
このような基準距離aとすることで、小さなピッチで応力痕14が形成される。応力痕14の板厚方向の内部には、クラックの進展や分岐のエネルギー源である高い内部引張応力が形成されている。そのため、応力痕14のピッチが小さく、応力痕14が密に形成されることで、クラックの進展や分岐のエネルギー源が密集することになる。したがって破砕した際に、長さ75mmを超える細長い破片や、面積が3cmを超える大破片を出にくくすることができる。
また、一般に、強化ガラス板において、応力痕14が形成された領域には平面圧縮応力が、応力痕14間の領域には平面引張応力が形成される。しかし、平面圧縮応力と平面引張応力との境界部分の差が大きくなり過ぎると、その部分において強化ガラス板に光学的な大きな歪が生じる。それは、従来、車両運転者に景色の歪みなどの不快感を与える原因となっていた。そのため従来技術では、風冷強化時に、強化ガラス板に平面圧縮応力と平面引張応力によるパターンを形成した後、ガラス板を摺動させてそのパターンをぼかす、すなわち平面圧縮応力と平面引張応力の境界部分を鈍らせることを行っていた。なお、摺動とは、ガラス板の、ノズル12の中心線に対して直交する方向への往復運動を繰り返すことを指す。また、ガラス板を摺動させる代わりに、ノズル12を摺動させてもよい。また、ガラス板とノズル12との両方を摺動させてもよい。
一方、本発明の発明者らは、本実施形態のように、基準距離aをある一定値以下とすることで、車両運転者が光学的な大きな歪として認識しづらくなることを見出した。その理由は、応力痕14同士の間隔を狭めれば、平面圧縮応力と平面引張応力との境界部分に大きな差が生じても、その境界部分が繰り返し存在するピッチもまた小さいために、車両運転者が光学的な大きな歪として認識しづらくなるためである。その結果、平面圧縮応力と平面引張応力との境界部分を鈍らせる必要がなく、摺動距離を小さくすることができる。また、摺動を行わなくてもよい。
特に、強化ガラス板Gが複曲面を有する場合、摺動時にノズル12の先端とガラス板Gとの接触を避けるために、ノズル12の先端とガラス板との距離やガラス板の摺動距離に制限があった。したがって、車両用窓ガラスの破砕規格を満足しやすく、板厚の薄い強化ガラス板を提供することは難しかった。しかし、上記基準距離aとすれば、摺動距離を小さくできるため、複曲面を有するガラスでも、充分な品質のガラス板が得られる。
なお、本明細書で複曲面とは、ある方向と、その方向に垂直な方向の、2つの方向に湾曲した面を指す。
なお、基準距離aは、その効果を妨げない程度の変動は許容する。例えば、±1mm程度のズレは許容するものとする。
なお、本実施形態は、摺動を完全に行わないことに限定されない。後述するが、例えば、摺動距離が25mm程度以内の摺動は許容する。なお、摺動距離とは、ガラス板を1回往復運動させた場合の往復の距離である。
また、強化ガラス板Gの表面には、第1応力痕14A、第2応力痕14B、第3応力痕14C及び第4応力痕14Dによって、平行四辺形領域16が形成される。平行四辺形領域16は各応力痕14A、14B、14C、14Dの中心を結ぶことによって形成され、図2で示す破線で囲まれた領域である。平行四辺形領域16の一辺の長さ及び短軸は基準距離aであり、長軸bは基準距離aより幾何学的に求められる。
ところで、強化ガラス板Gは、表面に圧縮応力層、板厚方向の内部に引張応力層を有する。強化ガラス板に局部的な衝撃を与えることによって、クラックが表面に発生する。そのクラックが圧縮応力層を通過して引張応力層に到達すると、クラックは引張応力によりガラス板の四方八方に進行し、強化ガラス板Gが破砕することになる。その際に弾性波が発生し、強化ガラス板Gの内部を、強化ガラス板Gの周縁部に向けて伝播する。
弾性波は、クラックが引張応力層に到達し、ガラス板の四方八方へ進行を開始すると同時に発生し、発生点(すなわちクラックの起点)から同心円状に伝播する。弾性波の伝播速度は、クラックの進行速度よりも早く、一般にクラックの進行速度の1.7〜2.3倍である。
弾性波は、強化ガラス板Gの周縁部で反射された後、遅れて進行してきたクラックの先端と衝突する。クラックの先端と弾性波とが衝突すると、エネルギー的な揺らぎが生じるため、クラックが分岐しやすくなる。その結果、弾性波とクラックとの衝突地点よりもクラックの起点から遠ざかる領域(以下、弾性波領域38ともいう)における破片の大きさは、弾性波とクラックの衝突地点よりもクラックの起点側の領域(以下、非弾性領域39ともいう)の破片の大きさよりも微細なものになる。そのため、車両用窓ガラスの破砕規格を満たすか否か判断する上では、非弾性波領域39内での破砕が重要である。なお、非弾性波領域とは、破砕時に生じる弾性波の影響を受けない領域を言う。また、弾性波とは横波(S波)を指す。弾性波の伝播速度及びクラックの進行速度は、例えば、高速度カメラ、ホログラフィ干渉計等によって観察し、算出することができる。
以下、図3では、強化ガラス板Gの重心Aにおいて破砕した場合を想定して、弾性波の伝播速度がクラックの進行速度の2倍として、弾性波領域38と非弾性波領域39を説明する。
図3において、強化ガラス板Gが重心Aを起点に破砕した場合に、重心Aから強化ガラス板Gの下縁部の点Bに至る直線36沿いに伝播した弾性波は、点Bで正反射し、直線37に沿って伝播する。これにより、重心Aを起点に強化ガラス板Gの下縁側に向かって直線35沿いを進行したクラックは、点Cにおいて、直線37沿いを伝播してきた弾性波と衝突する。
このように強化ガラス板Gの下縁で正反射してきた弾性波と重心Aを起点に下縁側に向かって進行してきたクラックとの衝突点を結んだ線が破線31である。同様に、強化ガラス板Gの左縁で正反射してきた弾性波と重心Aを起点に左縁側に向かって進行してきたクラックとの衝突点を結んだ線が破線32であり、強化ガラス板Gの上縁で正反射してきた弾性波と重心Aを起点に上縁側に向かって進行してきたクラックとの衝突点を結んだ線が破線33であり、強化ガラス板Gの右縁で正反射してきた弾性波と重心Aを起点に右縁側に向かって進行してきたクラックとの衝突点を結んだ線が破線34である。
以上より、破線31、32、33、34によって閉じた領域(斜線部)が非弾性波領域39で、それ以外の領域が弾性波領域38である。
なお、非弾性波領域39は、弾性波の伝播速度によって変動してよい。例えば、弾性波の伝播速度をクラックの進行速度の1.7倍とした場合の、前記強化ガラス板の周縁部で正反射して来た弾性波とが衝突する点を結んだ線と、弾性波の伝播速度をクラックの進行速度の2.3倍とした場合の、前記強化ガラス板の周縁部で正反射して来た弾性波とが衝突する点を結んだ線の間の幅を持った領域でもよい。
強化ガラス板Gは、破砕時に、非弾性波領域39において、応力痕14の中心から2.5mm離れた点を結んだ第1仮想円18内に存在するクラックの本数が、平均3.4本以上、より好ましくは平均3.7本以上、さらに好ましくは平均4本以上、さらに好ましくは平均4.2本以上であることが望ましい。
応力痕14の中心とは、偏光板又は鋭敏色版で観察される応力痕14の中心を意味する。
第1仮想円18は半径2.5mmの円であって、強化ガラス板Gの表面に仮想的に形成される。なお、図2には第1仮想円18の大きさが、応力痕14よりも小さい場合が図示されているが、第1仮想円18の大きさは、応力痕14と等しくてもよく、大きくてもよい。
図4は、第1仮想円18内に存在するクラックの本数の数え方の例を示した図である。第1仮想円18内に存在するクラックの本数は、図4に示すように、主に進行するクラック(以下、主クラックともいう)及び分岐点で分岐したクラックの区別なく、数えたものを指す。なお、主クラックとは、分岐点の前後で角度がほとんど変わらないクラックを指す。
また、第1仮想円18内に存在するクラックの本数の平均とは、非弾性領域39の全ての各応力痕に対応する第1仮想円内に存在する、クラックの本数の平均値を指す。なお、非弾性領域39の第1仮想円の数が100を超える場合、任意に20個の第1仮想円内に存在するクラックの本数の平均値を目安としてよい。
上記のような第1仮想円18内に存在するクラックの本数であれば、各第1仮想円18を通ったクラック同士が、各第1仮想円18の間の領域で、互いに繋がりやすい。したがって、長さ75mmを超える細長い破片や、面積が3cmを超える大破片を出にくくすることができる。
また、基準距離aが前述の範囲であり、かつ上記のような第1仮想円18内に存在するクラックの本数であれば、より破砕規格を満たしやすくなる。各第1仮想円18を通ったクラック同士が、各第1仮想円18の間の領域で、より互いに繋がりやすくなるためである。
また、強化ガラス板Gは、前記応力痕の中心から5mm離れた点を結んだ第2仮想円をさらに備え、第2仮想円に存在するクラックの本数が、平均8.8本以上、より好ましくは平均9.1本以上、さらに好ましくは平均9.5本以上、さらに好ましくは平均10本以上が望ましい。
第2仮想円は半径5mmの円であって、強化ガラス板Gの表面に仮想的に形成される。
上記のような第2仮想円内に存在するクラックの本数であれば、各第2仮想円を通ったクラック同士が、各第2仮想円の間の領域で、互いに繋がりやすい。したがって、長さ75mmを超える細長い破片や、面積が3cmを超える大破片を出にくくすることができる。
また、基準距離aが前述の範囲であり、かつ上記のような第2仮想円内に存在するクラックの本数であれば、より破砕規格を満たしやすくなる。各第1仮想円18を通ったクラック同士が、各第1仮想円18の間の領域で、より互いに繋がりやすくなるためである。
また、強化ガラス板Gは、破砕時に、非弾性波領域39において、第1仮想円18内に存在する分岐点の数が、平均1.5個以上、より好ましくは平均1.7個以上、さらに好ましくは平均2個以上が望ましい。
分岐点とは、2本以上のクラックが交わっている点を指し、図4に示された例では3点である。
上記のような第1仮想円18内に存在する分岐点の数であれば、分岐点を中心に進行角度の異なるクラックが複数生じるため、各第1仮想円18内を通ったクラック同士が、各第1仮想円18の間の領域で、互いに繋がりやすい。したがって、長さ75mmを超える細長い破片や、面積が3cmを超える大破片を出にくくすることができる。
また、基準距離aが前述の範囲であり、かつ上記のような第1仮想円18内に存在する分岐点の数であれば、より破砕規格を満たしやすくなる。各第1仮想円18を通ったクラック同士が、各第1仮想円18の間の領域で、より互いに繋がりやすくなるためである。
図5は、最大破片50と最小破片51について説明する図である。強化ガラス板Gは、破砕時に、非弾性波領域39において、平行四辺形領域16内に少なくとも一部が存在する最大破片50の面積と、平行四辺形領域16内に少なくとも一部が存在する最小破片51の面積との比が、15以上、より好ましくは17以上、さらに好ましくは20以上、さらに好ましくは23以上、さらに好ましくは25以上であることが望ましい。
平行四辺形領域16内に少なくとも一部が存在する最大破片50とは、平行四辺形領域16内に少なくとも一部が存在する破片の中で、面積が最大のものを指す。
また、平行四辺形領域16内に少なくとも一部が存在する最小破片51とは、平行四辺形領域16内に少なくとも一部が存在する破片の中で、面積が最小のものを指す。
また、平行四辺形領域16の長軸bは、クラックの起点から強化ガラス板Gのエッジに向かう任意の方向とする。
最大破片50の面積と最小破片51の面積の比とは、最大破片50の面積を最小破片51の面積で除した値を指す。
また、最大破片50の面積は、1.5cm以上3.0cm以下、より好ましくは1.8cm以上2.9cm以下、さらに好ましくは2.0cm以上2.8cm以下であることが望ましい。
非弾性領域39内の少なくとも一つの平行四辺形領域16内に、上記のような比の最大破片50と最小破片51を備えれば、長さ75mmを超える細長い破片や、面積が3cmを超える大破片を出にくくすることができる。
また、最大破片50は、平行四辺形領域16の重心の位置を含むことがより望ましい。非弾性領域39内で、少なくとも一つの平行四辺形領域16をこのようにすることで、長さ75mmを超える細長い破片や、面積が3cmを超える大破片を出にくくすることができる。
また、最大破片50は、最大破片50の最長長さを直径とした円52の面積の30%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは55%以上、さらに好ましくは60%以上を占めることが望ましい。
最大破片50の最長長さとは、例えば図5の両矢印で示すように、最大破片50の輪郭線上の2点を結んだ直線のうち、最も長いものを指す。
最大破片50の最長長さを直径とした円52とは、例えば図5の一点鎖線で示すような円52を指す。
非弾性領域39内で、少なくとも一つの平行四辺形領域16で、このような最大破片50を有することで、面積が3cmを超える大破片を出にくくすることができるとともに、特に長さ75mmを超える細長い破片が生じにくくなる。
上記のような最大破片50と最小破片51の比の規定、最大破片50の規定とする理由を、従来技術と本願の技術思想を対比して以下に説明する。
一般に従来技術の多くは、破砕規格を満足させるために、強化ガラス板に平面圧縮応力と平面引張応力のパターンを形成することで、クラックの進展方向を曲げてクラック同士を繋いでいた。また、平行四辺形領域の重心近傍は大破片が出やすかったために、クラックが平行四辺形領域の重心近傍を通るようにクラックの進行方向を曲げて誘導していた。すなわち、従来技術の技術思想では、全ての破片を一様の大きさになるように破砕させるものだった。しかし、これでもなお、平行四辺形領域内で大破片が出る傾向があった。その理由は、このようにクラックを平行四辺形領域内重心近傍を通るように誘導する場合、本来、平行四辺形領域内の重心近傍以外の部分を通るはずのクラックまでも重心近傍に導いてしまうため、平行四辺形領域内の重心近傍以外の部分で、大破片が出る傾向があることによる。
一方、本実施形態では、基準距離aが小さく、かつ内部引張応力が高い応力痕14の中心周囲で、クラックが上記本数以上、又は分岐点が上記個数以上であれば、平面応力のパターンによってクラックを平行四辺形領域16内に導かずとも、破砕規格を満足しやすいことを見出した。すなわち、最大破片は平行四辺形領域の重心近傍に生じさせ、重心近傍以外の部分は、クラックを繋いで細かく破砕する技術思想である。上述したようにクラックの本数又は分岐点の数が一定以上のため、重心近傍以外の部分でクラックの密度が高くて互いに繋がりやすく、かつ基準距離aが小さいために、最大破片は大破片及び細長い破片になりにくい。したがって、破砕規格を満たしやすいガラスが得られる。
強化ガラス板Gの平均表面圧縮応力は、100MPa以上165MPa以下、より好ましくは105MPa以上160MPa以下、さらに好ましくは110MPa以上155MPa以下であることが望ましい。
このような平均表面圧縮応力の値であれば、強化ガラス板G全体に、クラックが進展及び分岐するのに充分な内部引張応力が形成できる。
なお、加熱されたガラス板に複数のノズル12の開口孔から冷却媒体を吹き付けて製造された強化ガラス板Gは、冷却媒体の噴流がガラス板に衝突する点(応力痕14)と、各応力痕14の間の点とでは、表面圧縮応力が異なっている。そのため、強化ガラス板Gの平均表面圧縮応力とは、第1応力痕14Aでの値と、第1応力痕14Aと最も近い応力痕であって、お互いに最も近い点である2点(第2応力痕14B、第3応力痕14C)とで形成される三角形の重心での値との平均値とする。前者が表面圧縮応力の最大値に近いと予想され、後者が表面圧縮応力の最小値に近いと予想される点となる。表面圧縮応力は、バイアスコープ法という散乱光弾性を用いたバビネ型表面圧縮応力計を用いて測定できる。
また、応力痕14における表面圧縮応力の値は、120MPa以上175MPa以下、より好ましくは130MPa以上175MPa以下、さらに好ましくは140MPa以上、175MPa以下、さらに好ましくは143MPa以上175MPa以下、さらに好ましくは145MPa以上175MPa以下であれば望ましい。
このような応力痕14における表面圧縮応力の値とすることで、応力痕14の位置の板厚内部に、クラックが進展及び分岐するのに充分な内部引張応力が形成でき、応力痕14の中心周囲において、クラックが上記本数以上、又は分岐点が上記個数以上となりやすい。
また、応力痕14における表面圧縮応力値を、上述の各三角形の重心における表面圧縮応力値で除した値が1.05以上、より好ましくは1.07以上、さらに好ましくは1.10以上であることが望ましい。このような値であることで、クラックが上記本数以上、又は分岐点が上記個数以上、かつ最大破片50が上記規定内に入り、長さ75mmを超える細長い破片や、面積が3cmを超える大破片を出にくくすることができる。
本実施形態の強化ガラス板Gのガラスの種類は、ソーダライムガラスである。ソーダライムガラスは、SiO、CaO、NaO、およびKOを主成分として含有するガラスである。なお、本発明の強化ガラス板Gのガラスの種類は特に限定されず、例えば、無アルカリガラス、アルミノシリケートガラスでもよい。
本実施形態の強化ガラス板Gは、酸化物換算の表記で、下記の態様のガラス組成を有することが好ましい。下記の態様のガラス組成を有することで、板厚の薄いガラス板であっても風冷強化によって、高い表面圧縮応力及び表面圧縮応力と対で生じる内部引張応力を形成することが可能である。また、複曲面などの難形状への成形が容易となる。
なお、下記の数値範囲を示す「〜」とは、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含む意昧で使用され、特段の定めがない限り、以下本明細書において「〜」は、同様の意昧をもって使用される。
(第1の態様)
Al :0質量%〜3.5質量%
NaOとKOの合計 :12.0質量%〜14.5質量%
(第2の態様)
Al :0質量%〜2.0質量%
NaOとKOの合計 :13.0質量%〜15.5質量%
上記した第1及び第2の態様に係る強化ガラス板Gは、SiOを65質量%〜75質量%、CaOを7質量%〜14質量%を少なくとも含有し、かつ上記した範囲のAl、NaO、およびKOを含有してよい。
(第3の態様)
SiO :68.0質量%〜75.0質量%
Al :0質量%〜3.5質量%
CaO :7.0質量%〜13.0質量%
MgO :0質量%〜7.0質量%
NaO :12.0質量%〜15.0質量%
O :0質量%〜3.0質量%
NaOとKOの合計 :12.0質量%〜14.5質量%
(第4の態様)
SiO :68.0質量%〜75.0質量%
Al :0質量%〜2.0質量%
CaO :7.0質量%〜13.0質量%
MgO :0質量%〜7.0質量%
NaO :12.0質量%〜15.0質量%
O :0質量%〜3.0質量%
NaOとKOの合計 :13.0質量%〜15.5質量%
Alは、耐候性を確保する成分であり、好ましくは1.7質量%以上、より好ましくは1.8質量%以上である。また、3.5質量%を超えると、粘性が高くなり、溶融が困難になるおそれがある。この観点で、より好ましくは3.3質量%以下、特に好ましくは2.0質量%以下、である。
NaOは、溶融性を向上する成分であり、12.0質量%より少ないと、溶融性が低下するおそれがある。より好ましくは12.8質量%以上、特に好ましくは13.0質量%以上である。また、15.0質量%を超えると、耐候性が低下するおそれがある。より好ましくは14.8質量%以下、特に好ましくは13.8質量%以下である。
Oは、溶融性を向上する成分であり、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.9質量%以上である。また、3.0質量%を超えると、耐候性が低下するおそれがあり、またガラス板のコストも高くなる。より好ましくは1.8質量%以下、特に好ましくは1.6質量%以下である。
なお、ガラス板の組成は、蛍光X線分析法で測定できる。
また、本実施形態の強化ガラス板Gの製造に用いられるガラス板は、線膨張係数が90×10−7/K以上100×10−7/K以下、さらに好ましくは91×10−7/K以上95×10−7/K以下であることが好ましい。なお、本明細書において線膨張係数は、50℃から350℃の平均線膨張係数を指す。
線膨張係数は、ガラス組成及び水分含有量を表すβ―OH値(mm−1)などに依存する。ソーダライムガラスの場合、例えば、ガラス中のアルカリ金属酸化物(NaOやKOなど)の含有量が少なくなるほど、β―OH値(mm−1)が小さくなるほど線膨張係数は高くなる。
また、ガラス板のβ―OH値(mm−1)は、原料中の水分量、原料を溶解する熱源の種類(たとえば、重油、LNG、電気等)、溶解槽中の水蒸気濃度、および溶解槽における溶融ガラスの滞在時間などにより変化し、ガラス原料として酸化物の代わりに水酸化物を用いる方法(例えば、マグネシウム源として酸化マグネシウム(mgO)の代わりに水酸化マグネシウム(Mg(OH))を用いる)を用いるなどによって調整されることが好ましい。本実施態様においてガラス板中の水分含有量は、β―OH値(mm−1)で0.1〜0.4好ましくは0.2〜0.3となる。
このような線膨張係数であることで、板厚の薄いガラス板であっても風冷強化によって、高い表面圧縮応力及び表面圧縮応力と対で生じる内部引張応力を形成することが可能である。また、複曲面などの難形状への成形が容易となる。
以下、図1に示す風冷強化装置10を用いて強化ガラス板を作成し、それらが破砕したときの結果について説明する。
<実施例1>
実施例1及び比較例の強化ガラス板を製造した時の条件を以下に記す。
ガラス板の板厚 :2.3mm
線膨張係数 :90×10−7/K
冷却前のガラス温度 :680℃
ノズル直径 :3.4mm
ノズル先端とガラスとの距離 :15mm
基準距離a(短軸a) :13.2mm
長軸b :22.9mm
風圧 :28kPa
冷却時間 :5秒
なお、冷却中のガラス板の摺動距離(以下、摺動距離ともいう)は、0mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、45mm、60mmとして、各サンプルを作成した。
摺動距離0mmにおける平均表面圧縮応力は145MPaだった。また、応力痕14における表面圧縮応力値は152MPaだった。また、応力痕14における表面圧縮応力値を、上述の各三角形の重心における表面圧縮応力値で除した値は、1.11であった。
上記の条件で作成したサンプルの重心を起点に破砕した。摺動距離が0mm、30mm、60mmのものをそれぞれ(a)、(b)、(c)として、破砕時の破片の様子を図6に示す。また、非弾性波領域において、各応力痕の中心から2.5mm離れた点を結んだ第1仮想円内のクラック数の結果を図7に示す。また同様に、各応力痕の中心から5mm離れた点を結んだ第2仮想円内のクラック数の結果を図8に示す。
なお、図6(a)、(b)及び(c)には、応力痕の中心の目印として、点を描いている。
図6より、(a)は(b)及び(c)よりも、長さ75mmを超える細長い破片や、面積が3cmを超える大破片が出にくいことが分かった。
図7より、応力痕の中心から2.5mm離れた点を結んだ第1仮想円内に存在するクラックの本数が、平均3.4本以上であれば、長さ75mmを超える細長い破片や、面積が3cmを超える大破片が出にくいことが分かった。
図8より、応力痕の中心から5mm離れた点を結んだ第2仮想円内に存在するクラックの本数が、平均8.8本以上であれば、長さ75mmを超える細長い破片や、面積が3cmを超える大破片が出にくいことが分かった。
<実施例2>
実施例2の強化ガラス板を製造した時の条件を以下に記す。
ガラス板の板厚 :2.3mm
線膨張係数 :90×10−7/K
冷却前のガラス温度 :665℃
ノズル直径 :4mm
ノズル先端とガラスとの距離 :20mm
基準距離a(短軸a) :18mm
長軸b :31.2m
風圧 :22kPa
冷却時間 :5秒
摺動距離 :0mm
実施例2において、平均表面圧縮応力は117MPaだった。また、応力痕14における表面圧縮応力値は123MPaだった。また、応力痕14における表面圧縮応力値を、上述の各三角形の重心における表面圧縮応力値で除した値は、1.10であった。
実施例2においても、破砕時に応力痕の中心から2.5mm離れた点を結んだ第1仮想円、及び/又は破砕時に応力痕の中心から5mm離れた点を結んだ第2仮想円内に存在する、クラックの本数及び/又は分岐点の数が、本明細書の規定を上回り、長さ75mmを超える細長い破片や、面積が3cmを超える大破片が出にくいことが分かった。
<実施例3>
実施例3の強化ガラス板を製造した時の条件を以下に記す。
ガラス板の板厚 :2.3mm
線膨張係数 :90×10−7/K
冷却前のガラス温度 :680℃
ノズル直径 :2.5mm
ノズル先端とガラスとの距離 :11mm
基準距離a(短軸a) :9.8mm
長軸b :17mm
風圧 :28kPa
冷却時間 :5秒
摺動距離 :0mm
実施例3において、平均表面圧縮応力は139MPaだった。また、応力痕14における表面圧縮応力値は147MPaだった。また、応力痕14における表面圧縮応力値を、上述の各三角形の重心における表面圧縮応力値で除した値は、1.12であった。
実施例3においても、破砕時に応力痕の中心から2.5mm離れた点を結んだ第1仮想円、及び/又は破砕時に応力痕の中心から5mm離れた点を結んだ第2仮想円内に存在する、クラックの本数及び/又は分岐点の数が、本明細書の規定を上回り、長さ75mmを超える細長い破片や、面積が3cmを超える大破片が出にくいことが分かった。
本発明は、強化ガラス板に関し、特に、近年の車両軽量化に対応した板厚の薄い強化ガラス板に関する。
10 風冷強化装置
12 ノズル
14 応力痕
14A 第1応力痕
14B 第2応力痕
14C 第3応力痕
14D 第4応力痕
16 平行四辺形領域
31〜34 クラックと弾性波との衝突点を結んだ線
35 クラックの進行
36 弾性波の伝播
37 正反射してきた弾性波の伝播
38 弾性波領域
39 非弾性波領域
50 最大破片
51 最小破片
52 最大破片の最長長さを直径とした円
a 基準距離、短軸
b 長軸
G 強化ガラス板
G1 第1面
G2 第2面
G3 側面

Claims (16)

  1. 複数のノズルから吹きつけられる冷却媒体によって強化される強化ガラス板であって、
    前記強化ガラス板の厚さが2.7mm以下であり、
    前記強化ガラス板は、表面に、複数の前記ノズルから吹きつけられる冷却媒体によって、複数の応力痕が形成され、
    最も近い複数の前記応力痕間の距離が、20mm以下であり、
    前記強化ガラス板は、表面に、前記応力痕の中心から2.5mm離れた点を結んだ第1仮想円を備え、
    前記強化ガラス板は、破砕時に生じる弾性波の影響を受けない非弾性波領域を備え、
    破砕時に、前記非弾性波領域内において、前記第1仮想円内に存在するクラックの本数が、平均3.4本以上であることを特徴とする強化ガラス板。
  2. 破砕時に、前記非弾性波領域内において、前記第1仮想円内に存在するクラックの本数が、平均4本以上である請求項1に記載の強化ガラス板。
  3. 前記第1仮想円を通ったクラック同士が、前記第1仮想円の間の領域で、互いに繋がっている請求項1又は2に記載の強化ガラス板。
  4. 破砕時に、前記第1仮想円内に存在するクラックが交わっている点の数が、平均1.5個以上である請求項1から3のいずれか一項に記載の強化ガラス板。
  5. 前記強化ガラス板の表面は、前記応力痕の中心から5mm離れた点を結んだ第2仮想円をさらに備え、
    破砕時に、前記非弾性波領域内において、前記第2仮想円内に存在するクラックの本数が、平均8.8本以上である請求項1から4のいずれか一項に記載の強化ガラス板。
  6. 破砕時に、前記非弾性波領域内において、前記第2仮想円内に存在するクラックの本数が、平均9.5本以上である請求項に記載の強化ガラス板。
  7. 前記強化ガラス板の平均表面圧縮応力は、100MPa以上165MPa以下である請求項1からのいずれか一項に記載の強化ガラス板。
  8. 前記強化ガラス板の前記応力痕における表面圧縮応力の値は、120MPa以上175MPa以下である請求項1からのいずれか一項に記載の強化ガラス板。
  9. 複数の前記応力痕は、第1応力痕を備え、
    複数の前記応力痕は、前記第1応力痕と最も近く、かつお互いに最も近い第2応力痕と第3応力痕とをさらに備え、
    前記強化ガラス板は、前記第1応力痕と、前記第2応力痕と、前記第3応力痕とで形成される三角形を有し、
    前記第1応力痕における表面圧縮応力の値を、前記三角形の重心における表面圧縮応力で除した値が、1.05以上である請求項1からのいずれか一項に記載の強化ガラス板。
  10. 複数の前記応力痕は、第1応力痕を備え、
    複数の前記応力痕は、前記第1応力痕と最も近い、第2応力痕と第3応力痕と第4応力痕とをさらに備え、
    前記強化ガラス板は、前記第1応力痕と前記第2応力痕と前記第3応力痕と前記第4応力痕とによって平行四辺形領域を形成し、
    前記平行四辺形領域は、破砕時に生じる弾性波の影響を受けない領域内に存在し、
    前記平行四辺形領域の長軸は、クラックの起点から前記強化ガラス板のエッジに向かう任意の方向であり、
    前記平行四辺形領域内に少なくとも一部が存在する最大破片の面積と、前記平行四辺形領域内に少なくとも一部が存在する最小破片の面積との比が、15以上である請求項1からのいずれか一項に記載の強化ガラス板。
  11. 前記最大破片の面積は、1.5cm以上3.0cm以下である請求項10に記載の強化ガラス板。
  12. 前記最大破片は、前記平行四辺形領域の重心の位置を含む請求項10又は11に記載の強化ガラス板。
  13. 前記最大破片は、前記最大破片の最長長さを直径とした円の面積の30%以上を占める請求項10から12のいずれか一項に記載の強化ガラス板。
  14. 前記強化ガラス板の厚さが1.8mm以上2.5mm以下である請求項1から13のいずれか一項に記載の強化ガラス板。
  15. 前記強化ガラス板の厚さが1.8mm以上2.3mm以下である請求項14に記載の強化ガラス板。
  16. 前記強化ガラス板の、50℃から350℃の平均線膨張係数が90×10−7/K以上100×10−7/K以下である請求項1から15のいずれか一項に記載の強化ガラス板。
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