JP6701712B2 - 制動力制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、車両旋回中のヨーイングを抑制することにある。
請求項2の発明にかかる制動力制御装置は、前記制動力制御部は、前記スリップ角速度の大きさが大きいほど前記制動力の増加量を大きくする、ことを特徴とする。
請求項3の発明にかかる制動力制御装置は、前記車両の操舵角を検知する操舵角検知部を更に備え、前記制動力制御部は、前記操舵角の時間変化率である操舵周波数に基づいて前記制動力の増加量を変更する、ことを特徴とする。
請求項4の発明にかかる制動力制御装置は、前記車両の操舵角を検知する操舵角検知部を更に備え、前記制動力制御部は、前記操舵角の大きさに基づいて前記制動力の増加量を変更する、ことを特徴とする。
請求項5の発明にかかる制動力制御装置は、前記制動力制御部は、前記スリップ角速度がゼロになった場合、前記制動力を増加前の状態に戻す、ことを特徴とする。
請求項2の発明によれば、スリップ角速度の大きさが大きいほど制動力の増加量を大きくするので、ステアリング操舵角や車両の走行速度が大きいほど制動力を大きくして車両の横方向への移動量を大きくする上で有利となる。
請求項3の発明によれば、操舵周波数に基づいて制動力の増加量を変更するので、旋回の緊急性に合わせて制動力の増加量を変更することができ、特に急な旋回動作を行う必要な場合に迅速に車両を移動させる上で有利となる。
請求項4の発明によれば、操舵角に基づいて制動力の増加量を変更するので、特に旋回意図のないステアリング操作時に急制動を防止する上で有利となる。
請求項5の発明によれば、スリップ角速度がゼロになった場合、制動力を増加前の状態に戻すので、旋回後にスムーズに直線走行に移行する上で有利となる。
まず、実施の形態にかかる制動力制御装置が搭載された車両10のブレーキ機構について説明する。
図1は、車両10のブレーキ機構を示す説明図である。
図示するように、マスタシリンダ3には、液路2を介してホイールシリンダ1A〜1Dが接続されており、ドライバがブレーキペダル5を踏み込むと、このブレーキペダル5の操作に応じてマスタシリンダ3内のブレーキ液(作動流体)が加圧されるとともに、液路2を介してブレーキ液が各ホイールシリンダ1A〜1Dに供給されるようになっている。なお、ホイールシリンダ1A〜1Dは、図示しない車両の前後左右の各車輪に対応してそれぞれ設けられている。
また、同様に、右前輪および左後輪用の液路2Rもその下流側で2つの液路2C,2Dに分岐しており、右前輪のホイールシリンダ1C,左後輪のホイールシリンダ1Dに液路2C,2Dがそれぞれ接続されている。
ところで、図示するように、上記マスタシリンダ3と各ホイールシリンダ1A〜1Dとの間には、各種のバルブや液路をそなえたハイドロリックユニット6が設けられている。
そして、このような各輪の制動力制御により、車両の挙動が不安定な状態となった場合(又は不安定な状態になることが予測された場合)であっても、車両挙動の安定化を図ることができるようになっている。
第2液路13の他端側にはモータ14により駆動されるポンプ15が接続されており、ポンプ15の上流側及び下流側には、それぞれ逆止弁24,25が介装されている。
また、液路16上にはインテーク弁17が介装されている。ここで、インテーク弁17は、液路16を連通状態又は遮断状態に選択的に切り換えるオンオフ型の電磁弁であって、やはり後述するECU26からの制御信号に基づいてその作動が制御されるようになっている。
また、これらのドレーン用液路20A〜20Dは逆止弁23を介して液路16に接続されている。
車両10には、制動力制御装置に対応するECU26が設けられている。
ECU26は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
なお、図1では液圧センサ12以外のセンサについては図示を省略している。
スリップ角速度検知部262は、車両10のスリップ角速度を検知する。車両10のスリップ角とは、前輪のタイヤが向いている方向と車両10の進行方向とがなす角であり、スリップ角速度はスリップ角の単位時間当たりの変化量である。
車両10の横加速度Ayと、走行速度V、スリップ角速度Sβ、ヨーレイトYとの間には、下記式(1)のような関係がある。
Ay = V(Sβ+Y) ・・・(1)
横加速度Ayは加速度センサ35から、走行速度Vは車速センサ30から、ヨーレイトYはヨーレイトセンサ32から、それぞれ取得可能であるため、上記式(1)の関係からスリップ角速度Sβを算出可能である。
内輪側にある車輪の制動力を増加させると、内輪側の車速が低下する。一方で外輪側にある車輪の制動力は変わらないので、内輪側に比べ車速は落ちない。言い換えると、内輪側の車速は遅く、外輪側の車速は速く、車両としては内輪側に向く。
そのような状態では、車両の向きと進行方向のずれが更に大きくなる。つまりより大きなスリップ角が生じる。スリップ角も内輪制御中、時間的に変化する。つまりスリップ角速度が生じる。
スリップ角速度が生じると上記式(1)に示すように横力(横加速度)が生じ、より操縦応答性(旋回性)が向上する。
実線で示すのが制動力制御部264による内輪制御を実施した場合の車両10の動き(例えば車両先端部の移動軌跡)、点線で示すのが内輪制御を実施しない場合(非内輪制動時)の車両10の動きである。
状態D1では車両10は左側車線L1を直進走行している。この状態でドライバが紙面右方向(時計回り)にステアリングを操舵すると、車両10に同方向に向かうスリップ角速度が生じる。制動力制御部264は、旋回方向に対して内輪側にある右側の前後輪に制動力を付与する(状態D2の丸印)。
なお、例えば急カーブ旋回時のように、元々ドライバがブレーキ操作を行っており、これによる制動力が各輪に付与されている場合には、旋回方向に対して内輪側にある車輪の制動力を元の制動力より増加させる。
この結果、旋回中の状態D2では、実線で示す内輪制動時の方が点線で示す非内輪制動時と比較して、右方向への移動量が大きくなっている。状態D3のように車両10の車線変更が完了する点は、内輪制動時ではP1、非内輪制動時ではP2となっており、内輪制動時の方がより短時間で車線変更が完了する。すなわち、車両10の操舵応答性を向上させることができる。
また、例えば内輪制動を行わずに内輪制動時のような経路を走行するには、操舵角をより大きくする必要があり、車両10のヨーが増大して搭乗者の乗り心地が悪化する可能性がある。内輪制動を行うことでヨーを増大させることなく素早い車線変更が可能となり、車両10の車両姿勢を安定させることができる。
状態D3以降、右側車線L2に車線変更をした後、ドライバが紙面左方向(反時計回り)にステアリングを操舵すると、車両10に同方向に向かうスリップ角速度が生じる。制動力制御部264は、旋回方向に対して内輪側にある左側の前後輪に制動力を付与する(状態D4の丸印)。
この結果、旋回中の状態D4では、実線で示す内輪制動時の方が点線で示す非内輪制動時と比較して、左方向への移動量が大きくなっている。状態D5のように車両10の車線変更が完了する点は、内輪制動時ではP3、非制動時ではP4となっており、内輪制動時の方がより短時間で車線変更が完了する。すなわち、車両10の操舵応答性を向上させることができる。
図4Aは内輪制動時、図4Bは非内輪制動時であり、それぞれ図3の車両10の動きに連動している。図4の各グラフは上から順に車両10の基準状態D1(図3における左側車線L1の中心位置)からの横方向の移動距離、操舵角、スリップ角速度、横力、内輪制動力を示している。なお、図4A(内輪制動時)の横方向の移動距離のグラフには、比較のため非内輪制動時の移動距離を点線でプロットしている。
一方、図4Bに示す非内輪制動時では、時刻T1に操舵が開始されると、スリップ角速度が発生するのは同じであるが内輪制動力の付与は行われない。
この結果、内輪制動時には非内輪制動時と比較して車両10に働く横力が大きくなり、横方向への単位時間当たりの移動距離、すなわち横方向の移動速度が大きくなる。
内輪制動時には、時刻T2αから横方向の移動を開始後、時刻T3αに右側車線L2の中心位置D2への移動を完了するのに対して、非内輪制動時には、時刻T2βから横方向の移動を開始後、時刻T3β(>T3α)に右側車線L2の中心位置D2への移動を完了する。すなわち、内輪制動時の方がより短時間で車線変更が完了する。
この結果、上記と同様に内輪制動時には非内輪制動時と比較して車両10に働く横力が大きくなり、横方向への単位時間当たりの移動距離、すなわち横方向の移動速度が大きくなる。
内輪制動時には時刻T5αから横方向の移動を開始後、時刻T6αに左側車線L1の中心位置D1への移動を完了するのに対して、非内輪制動時には時刻T5βから横方向の移動を開始後、時刻T6β(>T6α)に左側車線L1の中心位置D1への移動を完了する。すなわち、内輪制動時の方がより短時間で車線変更が完了する。
また、操舵の開始から横方向への移動が生じるまでの応答時間(時刻T4から時刻T5αまたは時刻T5β)も、内輪制動時の方が非内輪制動時よりも短くなっている。
図5は、操舵周波数または操舵角に基づく制動力の増加量を模式的に示す説明図である。
図5Aのグラフは、縦軸が内輪に付与する制動力への重み付け係数であり、横軸は操舵周波数である。重み付け係数は、例えば1以上の値を持つ係数であり、基準となる制動力に対して重み付け係数を掛け合せることにより、重み付け係数に応じて制動力を変更することが可能となる。
図5Aに示すように、操舵周波数がF1以下の領域では、操舵周波数が大きいほど、すなわちステアリング操作速度が速いほど内輪に付与する制動力が大きくなるようにしている。これにより、ステアリング操作速度が速いほど、より迅速に車両10を操舵方向に旋回させることができる。
なお、重み付け係数のピークとなる周波数F1は、例えば通常のドライバによる操舵操作で実現可能な操舵周波数の上限値などに設定する。
これにより、ドライバが若干ステアリング位置を変更した程度では大きな制動力は発生せず、旋回の意図をもってステアリング操作した場合に制動力を発生させることができ、車両の走行姿勢を安定させることができる。
なお、重み付け係数のピークとなる操舵角θ2は、例えば通常のドライバによる操舵操作で実現可能な操舵角の上限値などに設定する。
また、制動力制御装置は、スリップ角速度の大きさが大きいほど制動力の増加量を大きくするので、ステアリング操舵角や車両の走行速度が大きいほど制動力を大きくして車両10の横方向への移動量を大きくする上で有利となる。
また、制動力制御装置において、操舵周波数に基づいて制動力の増加量を変更するようにすれば、旋回の緊急性に合わせて制動力の増加量を変更することができ、特に急な旋回動作を行う必要な場合に迅速に車両10を移動させる上で有利となる。
また、制動力制御装置において、操舵角に基づいて制動力の増加量を変更するようにすれば、特に旋回意図のないステアリング操作時に急制動を防止する上で有利となる。
また、制動力制御装置において、スリップ角速度がゼロになった場合、制動力を増加前の状態に戻すようにすれば、旋回後にスムーズに直線走行に移行する上で有利となる。
Claims (5)
- 車両のスリップ角速度を検知するスリップ角速度検知部と、
前記車両の各輪にそれぞれ付与する制動力の大きさを制御する制動力制御部と、を備える制動制御装置であって、
前記制動力制御部は、前記スリップ角速度が生じた場合、前記車両の旋回方向に対して内輪側にある車輪の制動力を増加させる、
ことを特徴とする制動力制御装置。 - 前記制動力制御部は、前記スリップ角速度の大きさが大きいほど前記制動力の増加量を大きくする、
ことを特徴とする請求項1記載の制動力制御装置。 - 前記車両の操舵角を検知する操舵角検知部を更に備え、
前記制動力制御部は、前記操舵角の時間変化率である操舵周波数に基づいて前記制動力の増加量を変更する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の制動力制御装置。 - 前記車両の操舵角を検知する操舵角検知部を更に備え、
前記制動力制御部は、前記操舵角の大きさに基づいて前記制動力の増加量を変更する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の制動力制御装置。 - 前記制動力制御部は、前記スリップ角速度がゼロになった場合、前記制動力を増加前の状態に戻す、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の制動力制御装置。
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