JP6699402B2 - ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の多段階製造方法 - Google Patents

ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の多段階製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の多段階製造方法に関する。本発明で得られるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物は、リチウム二次電池の正極活物質であるリチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物の原料に好適である。
スピネル型構造のリチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物は5V級リチウム二次電池用正極活物質として注目されている。リチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物はニッケルとマンガンとが規則配列した超格子構造である。この物質の製造方法としては、ニッケル源、マンガン源を混合し焼成する固相反応法やニッケル及びマンガンを含有する複合水酸化物や複合オキシ水酸化物を前駆体とする製造方法がある。ニッケル及びマンガンを含有する複合水酸化物や複合オキシ水酸化物は、金属がより均一に分布しているため、ニッケルとマンガンの規則配列を前提とした場合、好ましい前駆体といえる。
近年、酸化剤を用いた共沈法により得られた、化学組成式がNi0.25+αMn0.75−αOOH(但し、−0.025≦α≦0.025である)で表されるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物が開示された(特許文献1)。当該ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物は、水酸化カドミウム構造の単一結晶相である特徴を有し、大気中で安定であり、共沈、洗浄、乾燥といった一般的な工程でマンガン成分の偏析を生じない優れた前駆体である旨が開示されている。
また、特許文献1には、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の特に好ましい特性として、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の平均粒子径(D50)は5〜20μm、かつ、タップ密度が1.5g/cm以上が記載されている。
一方、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を実用化する場合、出来るだけ安価な設備で効率よく製造することが望まれ、反応容器に原料を連続的に供給し、かつ、反応容器から製造物を連続的に抜き出す、所謂、連続法が好ましい。
従来の方法では、連続法で、前記平均粒子径とタップ密度の両方を独立で制御することは難しい場合があり、平均粒子径とタップ密度の両方が好ましい範囲であるニッケル−マンガン系複合オキシ水酸化物をより容易に製造することが求められていた。
WO2015/008863
本発明は、反応容器に原料を連続的に供給し、かつ、反応容器から製造物を連続的に抜き出す連続法において、平均粒子径とタップ密度の両方が好ましい範囲であるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物をより容易に得ることが可能な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造方法について鋭意検討した結果、反応液のpHがニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の粒子径とタップ密度に影響すること、pHが高い程、粒子径が大きくなるが、タップ密度が低くなり、従来の製造方法では、平均粒子径とタップ密度を独立して制御し、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を、連続法で安定して製造することが難しい場合があることを見出した。さらに、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造方法を検討した結果、所望の平均粒子径で、かつ、所望のタップ密度より低いニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を製造した後に、当該ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物のタップ密度を高めることで、平均粒子径とタップ密度の両方を、所望の値に調整されたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を、連続法で製造できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、工程(A)と工程(B)の少なくとも2段階でニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物が製造され、工程(A)に次いで、工程(B)を、少なくとも1段実施することを特徴とする、化学組成式がNi0.25+αMn0.75−αOOH(但し、−0.025≦α≦0.025である)で表されるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の多段階製造方法である。
工程(A):ニッケルを含む金属塩水溶液、マンガンを含む金属塩水溶液、苛性アルカリ水溶液及び酸化剤、又は、ニッケル及びマンガンを含む金属塩水溶液、苛性アルカリ水溶液並びに酸化剤を反応容器(a)に連続的に供給し、混合し、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を製造する工程。
工程(B):工程(A)で得たニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を反応容器(b)に供給し、かつ、反応容器(b)にニッケルを含む金属塩水溶液、マンガンを含む金属塩水溶液、苛性アルカリ水溶液及び酸化剤、又は、ニッケル及びマンガンを含む金属塩水溶液、苛性アルカリ水溶液並びに酸化剤を連続的に供給、混合し、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを得て、かつ、該ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを反応容器(b)から連続的に抜き出す工程。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の多段階製造方法は、少なくとも、2段階の製造工程が必要である。本発明では、最初の製造工程を工程(A)と呼び、工程(A)に引き続き行う2段目以降の工程を、工程(B)と呼ぶ。
工程(A)は、ニッケルを含む金属塩水溶液、マンガンを含む金属塩水溶液、苛性アルカリ水溶液及び酸化剤、又は、ニッケル及びマンガンを含む金属塩水溶液、苛性アルカリ水溶液並びに酸化剤を反応容器(a)に連続的に供給し、混合し、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を製造する工程であり、得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物は2段階目の工程(B)に送られる。
ニッケルを含む金属塩水溶液と、マンガンを含む金属塩水溶液の供給比率は、ニッケルとマンガンのモル比が(0.25+α):(0.75−α)とすればよい。ニッケルを含む金属塩水溶液と、マンガンを含む金属塩水溶液の供給比率でニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物のニッケルとマンガンの組成を調整する。
ニッケルを含む金属塩水溶液と、マンガンを含む金属塩水溶液の供給方法は、特に制限はなく、ニッケル塩を溶解した金属塩水溶液と、マンガン塩を溶解した金属塩水溶液を製造し、各々の金属塩水溶液を一定比率で反応容器に投入することが可能である。この際、各金属塩水溶液は反応容器の個別の場所に投入して良いが、同じ場所に投入することが好ましく、特に好ましくは、反応容器投入前にニッケルを含む金属塩水溶液とマンガンを含む金属塩水溶液を混合するもの(これが、ニッケル及びマンガンを含む金属塩水溶液である)である。
ニッケルを含む金属塩水溶液とマンガンを含む金属塩水溶液を混合する方法は、ニッケルを含む金属塩水溶液とマンガンを含む金属塩水溶液を混合用の容器に入れ、撹拌機などで撹拌し、均一化すればよく、また、ラインミキサーを用いて混合し均一化することも好ましい。
工程(A)、及び、工程(B)で用いるニッケルを含む金属塩水溶液とマンガンを含む金属塩水溶液は個別に製造しても良いが、一括して製造した金属塩水溶液を用いても良い。
本発明のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の多段階製造方法は、苛性アルカリ水溶液を反応容器に供給することが必須である。苛性アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等の水溶液があげられ、その濃度に特に制限はないが、得られる本発明のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーのスラリー濃度を高く維持することで、生産効率を良好にして、ろ過工程の負荷を低減し、かつ、苛性供給速度の許容誤差を広くして、安定製造を容易にし、製造コストを改善するため、好ましくは、1〜48wt%であり、より好ましくは、10〜30wt%である。
苛性アルカリ水溶液の供給量は、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーのpHが所望の値になるように調整する。
発明者らは、pHが平均粒子径、並びに、タップ密度に密接に影響するため、単一のpH設定値で平均粒子径とタップ密度の両方を所望の値に制御することは、特に連続法において困難な場合があることを見出した。
本発明は、工程(A)と工程(B)の少なくとも2段階でニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物が製造されるため、複数のスラリーpHにてニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を製造することが可能となり、連続法でありながら、平均粒子径とタップ密度の両方を所望の値に制御することが容易となる。
本発明のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の多段階製造方法は、酸化剤を反応容器(a)及び反応容器(b)に供給することが必須である。酸化剤は、前記金属塩水溶液中のNiイオンとMnイオンを酸化するために用いられる。本発明で使用する酸化剤は、NiイオンとMnイオンを酸化できれば、その他の制約は特にない。経済性から、通常、酸素含有ガス、過酸化水素水等が好ましく用いられ、酸素含有ガスとしては、例えば、空気、純酸素、酸素と不活性ガス(例えば、窒素)との混合気等があげられる。これらのうち、特に、空気が好ましい。コンプレッサー等を用いて空気を反応容器に供給すればよい。
工程(A)は、化学組成式がNi0.25+αMn0.75−αOOH(但し、−0.025≦α≦0.025である)で表されるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物が製造できればよく、その他の制限は特にない。工程(A)で製造するニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物は、工程(B)に輸送され、反応容器(b)に供給される。
工程(A)で製造するニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の形態に制限はなく、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を水などの溶媒に分散したスラリー、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の湿潤ケーキ、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の乾燥粉末などが何れも適用可能である。
工程(A)で製造されるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の平均粒子径は、全段階を経て製造されるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の平均粒子径が所望の値になるように調整する。工程(B)で得られるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の平均粒子径は、前の段階で得られ反応容器(b)に投入されるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の平均粒子径がほとんど変化しない。そのため、通常、工程(A)で製造するニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の平均粒子径は、全段階を経て製造されるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の所望の平均粒子径より、0.1〜5μm小さい値、より好ましくは、0.1〜3μm小さい値とすればよい。
例えば、全段階を経て製造されるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の所望の平均粒子径が8μmの場合、通常、工程(A)で製造するニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の平均粒子径を、3〜7.9μm、より好ましくは、5〜7.5μmにすればよい。
工程(A)で製造されるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物のタップ密度は特に制約はない。工程(B)では、工程(A)で製造したニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物のタップ密度より、高いタップ密度を有するニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物が得られる。
前述の通り、化学組成式がNi0.25+αMn0.75−αOOH(但し、−0.025≦α≦0.025である)で表されるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物が製造できればよく、その他の制限は特にないが、好ましくは、工程(A)は、ニッケル及びマンガンを含む金属塩水溶液、苛性アルカリ水溶液並びに酸化剤を反応容器(a)に供給、混合し、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を晶析し、かつ、晶析により得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを反応容器(a)から連続的に抜き出す。
工程(A)で得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーは、工程(B)の反応容器(b)に送られる。
工程(B)は、工程(A)で製造されたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を反応容器(b)に供給し、かつ、ニッケルを含む金属塩水溶液、マンガンを含む金属塩水溶液、苛性アルカリ水溶液及び酸化剤、又は、ニッケル及びマンガンを含む金属塩水溶液、苛性アルカリ水溶液並びに酸化剤を連続的に、反応容器(b)に供給、混合し、反応容器(b)で得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを連続的に抜き出す工程である。
工程(B)への輸送、及び、反応容器(b)への投入を行うには、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーやニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の湿潤ケーキが好ましい。最も好ましい形態は、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーである。ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の乾燥粉末を用いると、輸送や反応容器(b)への投入時に紛体が飛散し、作業者の健康を害したり、環境を汚染する可能性がある。一方、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の湿潤ケーキを用いた場合、湿潤ケークの含水量の管理が困難であり、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の投入量を正確に制御することが困難な場合がある。ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーでは、粉体の飛散はなく、かつ、スラリー濃度の管理は容易なため、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の投入量の制御も容易である。
前記反応容器(a)、反応容器(b)、及び、3段目以降の反応容器は、供給された各原料を均一に混合できればよく、その他の要件は特にない。全て同一構造としても良いし、必要に応じて構造や容積などが異なるものを用いても良い。
工程(B)の後には、もう1回、工程(B)を実施してもよく(3段階)、もう2回、工程(B)を実施してもよく(4段階)、さらに、もう3回、工程(B)を実施してもよい(5段階)。
反応容器(b)から抜き出されたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーは、3段目を実施する場合、3段目の反応容器に送られる。
3段階目の工程(B)は、前記反応容器(b)とは別に設けた反応容器が使用される以外は、2段階目の工程(B)と同様に実施され、反応容器から複合オキシ水酸化物スラリーを連続的に抜き出す。
なお、3段階目の反応容器で得られるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物が平均粒子径、及び、タップ密度が所望の値を満たさない場合は、引き続き、4段階目以降の工程(B)を実施する。逆に、2段階目の反応容器(b)で得られるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の平均粒子径とタップ密度の両方が、所望の値を満たす場合、3段階目を実施する必要はない。
本発明の工程(A)と工程(B)からなる多段反応を行う新規なニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造方法を用いると、驚くべきことに、平均粒子径が5〜20μmで、かつ、タップ密度が1.5g/cm以上のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を連続法で製造可能となる。
以下、平均粒子径が5〜20μm、かつ、タップ密度が1.5g/cm以上のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造を例に、本発明をさらに詳細に説明する。しかし、本発明の主旨は、平均粒子径とタップ密度が独立に制御する点にあり、平均粒子径が5〜20μm、かつ、タップ密度が1.5g/cm以上以外のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造、例えば、平均粒子径が20〜30μ、かつ、タップ密度が1.5g/cm以上などにも適用可能であることは言うまでもない。
本発明では、工程が進むに従い、粒子径は殆ど変化しないが、タップ密度が増加するよう、各段の反応条件を設定することが可能である。
工程(A)では、平均粒子径が2〜19.5μmのニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を製造する条件で実施すればよい。これは、例えば、スラリー液pHを9.5〜10に設定することで可能である。この場合、平均粒子径が5〜20μmで、かつ、タップ密度は1.4g/cm以下となる。
工程(B)では、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の平均粒子径の変化は小さいが、タップ密度が増加する条件で実施することが必須である。例えば、前工程よりpHが低い値に制御し、その他の温度条件等は、前工程と同じとすることで、粒子径の変化は小さく、かつ、タップ密度が増加する。
タップ密度は、pHが低い程、高まる傾向にあるが、低すぎると粒子径が増大することがある。好ましくは、前工程よりpHが0.1以上低く、かつ、pHが8.5〜9.4である。さらに好ましくは、前工程よりpHが0.4以上低く、かつ、pHが8.9〜9.1である。
工程(B)は、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物のタップ密度が1.5g/cm以上となるまで、段数を重ねる。しかし、段数が多いと、経済性が悪化するため、タップ密度が1.5g/cm以上に出来れば、少ない方が好ましく、通常、5段以下とし、最も好ましくは、工程(A)と工程(B)からなる、2段階である。
工程(B)(工程(B)を何回か行う場合は、最終の工程(B))の反応容器から抜き出されたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーは、ろ過により水分を除き、次いで、洗浄、乾燥を行う。これらの方法には特に制限はなく、例えば、以下の方法が適用可能である。
ろ過に用いる装置とその条件は、従来知られている方法が適時適用可能である。例えば、フィルタープレス型のろ過器を用いて加圧ろ過を行っても良いし、ブフナロートやベルトフィルターを用いて減圧ろ過を行っても良い。
洗浄では、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物に付着、吸着した不純物を除去する。洗浄方法としては、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物ケークに水(例えば、純水、水道水、河川水等)を注ぎながらろ過を行い洗浄する方法が例示できる。通常、ろ過に引き続き、同一装置を用いて洗浄を行うことが可能である。
乾燥では、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の水分を除去する。乾燥方法としては、例えば、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を110〜150℃で2〜15時間で乾燥すること等が挙げられる。
本発明において、他の製造条件は特に制約はなく、従来公知の方法を適宜用いればよく、例えば、以下とすることができる。
金属塩水溶液中のニッケル、マンガンの全金属の合計濃度(金属濃度)は任意であるが、金属濃度は生産性に影響を及ぼすため、1.0mol/L以上が好ましく、2.0mol/L以上がさらに好ましい。
苛性アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等の水溶液があげられ、例えば、固形状水酸化ナトリウム等を水溶させたものや食塩電解から生成した水酸化ナトリウム水溶液等を濃度調製したもの等を用いることができる。
金属塩水溶液及び酸化剤を混合するときの混合温度は特に限定するものではないが、金属塩水溶液の酸化反応が進みやすくなり、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物がより析出しやすくなるため、50℃以上が好ましく、60℃以上がさらに好ましい。
本発明は、リチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物前駆体に適したニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の製造を目的としており、平均粒子径(D50)は5〜20μm、かつ、タップ密度が1.5g/cm以上のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を製造する目的で実施される。しかし、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の用途によって、上記範囲以外の粒子径、タップ密度が望まれる場合も本発明が好ましく適用可能であることは勿論である。
本発明の多段階製造方法を用いることにより、リチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物の前駆体として好適な、平均粒子径(D50)は5〜20μmで、かつ、タップ密度が1.5g/cm以上のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を連続法で製造可能となる。
実施例1のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の平均粒子径の推移である。 比較例1のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の平均粒子径の推移である。 比較例2のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の平均粒子径の推移である。 比較例3のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の平均粒子径の推移である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
<粒度分布、平均粒子径の測定>
得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを粒度分布測定装置(商品名:マイクロトラックHRA、HONEWELL製)に投入し、レーザー回折法で体積分布の測定を行なった。得られた体積分布から平均粒子径(μm)を求めた。
<タップ密度の測定>
得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物2gを10mLのガラス製メスシリンダーに充填し、これを200回タッピングした。重量およびタッピング後の体積から、タップ密度(g/cm)を算出した。
実施例1
硫酸ニッケル及び硫酸マンガンを純水に溶解し、0.5mol/Lの硫酸ニッケル及び1.5mol/Lの硫酸マンガンを含む水溶液を得て、これを金属塩水溶液とした(金属塩水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/Lであった)。
工程(A)を開始するにあたり、まず、内容積10Lの反応容器(a)に純水をオーバーフローレベルまで投入後、撹拌機で撹拌しながら70℃まで昇温、維持した。なお、当該反応容器は液量6Lを超えるとオーバーフローにより液が排出される構造である。
前記金属塩水溶液を0.36L/Hの一定流量で反応容器(a)に添加し、同時に、酸化剤として空気を供給速度1.4NL/minの一定流量で反応容器(a)中にバブリングした。金属塩水溶液及び空気供給の際、pHが9.75となるように、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液(苛性ソーダ水溶液)を添加し、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを製造し、オーバーフロー方式で連続的に反応容器(a)から排出した。
この時、水酸化ナトリウム水溶液は平均0.23L/Hであり、平均滞在時間(反応容器液体積/供給速度合計)=10Hであった。
反応容器(a)から排出されたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを分取し、粒度分布を測定し平均粒子径を求めた。平均粒子径は製造開始から増加し、ほぼ、8バッチ(反応経過時間÷平均滞在時間)経過後から平均粒子径は頭打ちとなり、6〜8μmで推移した。
さらに、反応容器(a)から排出されたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーをろ過、洗浄後、115℃で5時間乾燥し、得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物(Ni0.25Mn0.75OOH)のタップ密度を測定した結果、0.8g/cmと低い値であった。
前記工程(A)で得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを、反応容器(b)のオーバーフローレベルまで仕込み、撹拌しながら、温度を70℃に維持し、以下に示す通り、工程(B)を開始した。
前記金属塩水溶液を0.15L/Hの一定流量で反応容器(b)に添加し、同時に、酸化剤として空気を供給速度1.4NL/minの一定流量で反応容器(b)中にバブリングした。金属塩水溶液及び空気供給の際、pHが9.0となるように、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液(苛性ソーダ水溶液)を添加し、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを製造し、オーバーフロー方式で連続的に反応容器から排出した。
この時、水酸化ナトリウム水溶液は平均0.10L/Hであり、平均滞在時間(反応容器液体積/供給速度合計)=24Hであった。
反応容器(b)から排出されたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを分取し、粒度分布を測定し、平均粒子径を求めた。平均粒子径は製造開始から安定で、6〜8μmで推移した。
さらに、反応容器(b)から排出されたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーをろ過、洗浄後、115℃で5時間乾燥し、得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物(Ni0.25Mn0.75OOH)のタップ密度を測定した結果、1.8g/cmと高い値であった。
従って、実施例1で得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物は、リチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物の前駆体として好ましいものであった。
比較例1
工程(A)のpHを9.0とし、工程(B)を実施しなかった以外は、実施例1と同様にニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を製造した。
得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物は、平均粒子径が23〜25μmであり、リチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物の前駆体として好ましいものは得られなかった。
比較例2
工程(A)のpHを9.5とし、工程(B)を実施しなかった以外は、実施例1と同様にニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を製造した。
得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物は、タップ密度が1.1g/cmであり、リチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物の前駆体として好ましいものは得られなかった。
比較例3
工程(B)を実施しなかった以外は実施例1と同様にニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を製造した。
得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物は、タップ密度が0.8g/cmであり、リチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物の前駆体として好ましいものは得られなかった。
実施例1及び比較例1〜3の結果を表1に示した。
Figure 0006699402
本発明の多段階製造方法で得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物は、リチウム二次電池の正極活物質などに用いられるリチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物の原料に最適であり、そのリチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物を電池用正極として使用した高性能なリチウム二次電池を構成することが可能となる。

Claims (3)

  1. 工程(A)と工程(B)の少なくとも2段階でニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物が製造され、工程(A)に次いで、工程(B)を、少なくとも1段実施することを特徴とする、化学組成式がNi0.25+αMn0.75−αOOH(但し、−0.025≦α≦0.025である)で表されるニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の多段階製造方法。
    工程(A):ニッケルを含む金属塩水溶液、マンガンを含む金属塩水溶液、苛性アルカリ水溶液及び酸化剤、又は、ニッケル及びマンガンを含む金属塩水溶液、苛性アルカリ水溶液並びに酸化剤を反応容器(a)に連続的に供給し、混合し、かつ、スラリー液のpHが9.5〜10で、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を製造する工程。
    工程(B):工程(A)で得たニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物を反応容器(b)に供給し、かつ、反応容器(b)にニッケルを含む金属塩水溶液、マンガンを含む金属塩水溶液、苛性アルカリ水溶液及び酸化剤、又は、ニッケル及びマンガンを含む金属塩水溶液、苛性アルカリ水溶液並びに酸化剤を連続的に供給、混合し、かつ、スラリー液のpHが8.9〜9.1で、ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを得て、かつ、該ニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物スラリーを反応容器(b)から連続的に抜き出す工程。
  2. 工程(A)で得られたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物が、平均粒子径が5〜20μmで、かつ、タップ密度が1.4g/cm以下であり、工程(B)で抜き出されたニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物のタップ密度が1.5g/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の多段階製造方法。
  3. 酸化剤が酸素含有ガスであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のニッケル−マンガン複合オキシ水酸化物の多段階製造方法。
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