JP6699328B2 - 積層ラバー及び積層ラバーの取付構造 - Google Patents

積層ラバー及び積層ラバーの取付構造 Download PDF

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Description

本発明は、大型貨物車量等の車両に採用されるトラニオン式懸架機構のリーフスプリングの端部と車軸との間に介装される積層ラバー及び積層ラバーの取付構造に関する。
大型車両では、リヤアクスルにおいて車軸を後前軸と後後軸の二軸とした所謂、後二軸車が多い。このような後二軸車においては、後前軸と後後軸を懸架する機構として、駆動力に優れ、悪路走破性の高いトラニオンサスペンションが広く知られている。
周知のようにトラニオンサスペンションでは、例えば、車両のシャーシフレームの下部にトラニオンベースが設置され、トラニオンベースにおいてシャーシフレームの外側へ突き出るスプリングシャフトの端に、前後方向に沿う左右一対のリーフスプリングの中央を支持するロアーサドルが回動自在に取付けられる。そして、リーフスプリングの各端部を二軸式後輪の前側と後側のアクスル(以下、「リヤアクスル」という)に設けたスプリングシート面にそれぞれ載せて構成される。
このように、二軸式後輪における前側及び後側のアクスルハウジングに座面を介してリーフスプリングを配置した構造では、リーフスプリングとリヤアクスルハウジングの間の摩擦力が高くなることによりスプリングシート面が摩耗したり、アクスルハウジングの震動がリーフスプリングを介して車体に伝達されやすくなるという問題がある。
これに対して、例えば、特許文献1、2に示すように、リーフスプリングとリヤアクスルハウジングの間に緩衝材を配置した構成が知られている。
特許文献1では、ゴム板と金属板が交互に積層されてなる積層体を緩衝材とし、この積層体を介してアクスルはリーフスプリングに取り付けられている。特許文献2では、低バネ部材を緩衝材とし、この低ばね部材を介してアクスルハウジングは、リーフスプリングに取り付けられている。こうして、リーフスプリングとアクスルハウジングの間の部材の摩耗や、車体へのアクスルハウジングの震動の伝達を防止している。
特開2008−49878号公報 特開平10−13872号公報
ところで、リヤアクスルには、エンジンを含むエンジン駆動系に接続され、車両前方から傾斜して延在するプロペラシャフトが接続され、リヤアクスルハウジング内のデフでプロペラシャフトの回転を90°変換して、左右の車軸に伝達する。プロペラシャフトは、一般的に、ユニバーサルジョイント等を介して分割されているが、リヤアクスルもプロペラシャフトの傾きに対応させて傾かせて(アクスル傾角)配置することで、プロペラシャフトを一直線状に配置して、効率良く等速運動させることが望まれる。
しかしながら、この種のトラニオンサスペンションを装着した車両にあっては、車種毎にホイルベースの長さやエンジンの搭載位置、種類が異なるため、プロペラシャフトの角度に応じデフの傾きが異なり、アクスル傾角が異なる。
一方、積層体は、ゴム板と金属板とからなる各層が傾いて撓むと積層体自体の耐久性が低くなるので、水平に取り付けて、荷重を鉛直方向で受けるように配置することが好ましい。
このため、特許文献1に示す構造において、傾斜したリヤアクスルに配置した積層体を、水平に配置されるリーフスプリング端部の真下で当てて好適に介装させるためには、リヤアクスルの傾きに追従して傾斜する積層体の傾きを解消して水平にする必要がある。
これに対して、積層体が取り付けられるリヤアクスルの上面(詳細にはリヤアクスルハウジングの上面)の傾きを、アクスル傾角に対応して変更した形状に形成して対応することが考えられる。しかしながら、リヤアクスルハウジングの形状を、プロペラシャフト毎に、その傾斜に対応させて調整した形状に形成するには、コストがかかるという問題がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、リーフスプリングに懸架されるアクスルが傾斜していても、その傾きに応じて、アクスルの形状を変更することなく、コストの低廉化を図りつつ、アクスルを好適にリーフスプリングに懸架させることができる積層ラバー及び積層ラバーの取付構造を提供することを目的とする。
本発明の積層ラバーの一つの態様は、サスペンションのリーフスプリングとアクスルとの間に介装される積層ラバーであって、
ゴム板と金属板とを交互に積層して形成される積層ラバー本体と、
前記積層ラバー本体の上部に設けられ、前記リーフスプリングが載置される上板部と、
前記積層ラバー本体の下部に設けられ、下面で当接する前記アクスルにボルトを介して取り付けられる下側取付板と、
を有し、
前記下側取付板の下面は、前記積層ラバー本体の下部が取り付けられる上面に対して傾斜して形成され、前記アクスルの傾斜に対応する傾斜面であり、
前記下側取付板には、前記ボルトが挿入されるボルト孔が形成され、
前記ボルト孔は、前記ボルトの頭部が掛合する座ぐりを有する構成を採る。
本発明の積層ラバーの取付構造の一つの態様は、
車体の前後方向に沿って配置されるとともに、前記車体のフレームに中央部で回動自在に枢着されるリーフスプリングと、
エンジンから伝達される駆動力により回転する軸部を保持するアクスルと、
上記構成の積層ラバーと、
を有し、
前記積層ラバーは、前記下側取付板で前記アクスルに前記ボルトを介して取り付けられるとともに、前記上板部に前記リーフスプリングを載置して、前記リーフスプリングと前記アクスルとの間に介装され、
前記リーフスプリングは、前記積層ラバーを介して前記アクスルを懸架する構成を採る。
本発明によれば、リーフスプリングに懸架されるアクスルが傾斜していても、その傾きに応じて、アクスルの形状を変更することなく、コストの低廉化を図りつつ、アクスルを好適にリーフスプリングに懸架させることができる。
同一実施の形態に係る積層ラバーの取付構造の説明に供する車両の一例を示す模式図 同車両のサスペンションの要部構成を示す側面図 本発明に係る一実施の形態の積層ラバーの構成を示す側面図 同一実施の形態に係る積層ラバーの平面図 同一実施の形態に係る積層ラバーの背面図 同一実施の形態に係る積層ラバーの傾角調整板部の断面図 図2において積層ラバーが取り付けられている状態を模式的に示す側面図 下側取付板の変形例を示す要部断面図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る一実施の形態の積層ラバーを用いたサスペンションを有する車両の模式図であり、図2は、同車両のサスペンションの要部構成を示す側面図である。
図1に示す車両1は、リヤアクスルにおいて車軸を後前軸4と後後軸6の二軸とした後二軸車である。車両1は、車体の左右に配設されるフレーム3と、このフレーム3の後部にそれぞれ設けられるリーフスプリング9(図2参照)を介して、後前軸4及び後後軸6を懸架して支持するサスペンション(ここではトラニオンサスペンション2)と、を有する。
図1に示す車両1では、フレーム3において、車両1の前部には、図示しないエンジン、変速機が配設され、これらエンジン、変速機に連結されるプロペラシャフト5が、車両のフレーム3の下方で、車両の前方から車両後方に導出されている。
プロペラシャフト5は、後前軸4を含むアクスルのアクスルハウジング42(図2)内のデファレンシャルギヤ機構(図示省略)に動力を伝達し、後前軸4を駆動輪として駆動する。なお、ここでは、後前軸4を含むアクスル40は、後前軸4、プロペラシャフト5からの駆動力を後前軸4に伝達するディファレンシャル機構、これらを収容するアクスルハウジング42等を有するものとする。なお、ここでは、後後軸6を含むアクスル60は、後後軸6、後前軸4のアクスルからの駆動力を後後軸6に伝達するディファレンシャル機構、これらを収容するアクスルハウジング62等を有するものとする。本実施の形態における後前軸4を含むアクスル40と後後軸6を含むアクスル60とを有するリヤアクスルでは、駆動軸としての後前軸4、後前軸4の従動軸としての後後軸6を有し、後後軸6は後前軸4が駆動する際に従動するものとしている。すなわち、後前軸4、4は、それぞれ、エンジンによる駆動力が伝達されるドライブアクスルとなっている。
後前軸4を含むアクスル40と後後軸6を含むアクスル60は、本発明の一実施の形態の積層ラバー100(図2参照)を用いたトラニオンサスペンション2により懸架される。
図2に示すように、トラニオンサスペンション2は、フレーム3の下面に固定されるトラニオンブラケット7を有し、トラニオンブラケット7を介してトラニオンシャフト8がフレーム3に固定される。このトラニオンシャフト8に、回動ベース部14を介して、車両の前後方向に沿って配置されるリーフスプリング9の中央部が回動自在に枢着される。
リーフスプリング9は、複数のバネ板片を重ねて形成されている。リーフスプリング9の前側端部及び後側端部と、アクスル40、60の取付面(アクスルハウジング42、62の上面)40a、60aとの間には、取付面40a、60aに取り付けられた積層ラバー100が介装される。リーフスプリング9は、積層ラバー100を介してアクスル40、60(アクスルハウジング42、62)を支える。
このように、トラニオンサスペンション2は、リーフスプリング9、積層ラバー100を介して、リヤアクスルの後前軸4と後後軸6、つまり、リヤアクスルのアクスル40、60を懸架する。トラニオンサスペンション2のリーフスプリング9が、積層ラバー100を介してアクスル40、60を懸架する構造は、積層ラバー100の取付構造に相当する。
なお、アクスル40、60の両アクスルハウジング42、62の両端部とトラニオンブラケット7は、それぞれ左右一対のトルクロッド(ロアロッドともいう)11を介して結合されている。トルクロッド11は、図示しないアッパロッドとともに、後前軸4及び後後軸6の前後方向の力をフレーム3に伝達し、リーフスプリング9がトラニオンシャフト8を中心に回動することによって、走行面に段差があっても好適に乗り越すことができる。
なお、図2に示すアクスル40、60は、プロペラシャフト5の傾斜に対応して、アクスル傾角が付けられており、アクスル40、60の取付面40a、60aも対応して勾配している。
図3は、本発明に係る一実施の形態の積層ラバーの構成を示す側面図であり、図4は、同一実施の形態に係る積層ラバーの平面図である。また、図5は、同一実施の形態に係る積層ラバーの背面図である。
図3〜図5に示す積層ラバー100は、リーフスプリング9(図2参照)とリヤアクスル(図2のアクスル40、60)との間に介装させて用いる。積層ラバー100は、リーフスプリング9とリヤアクスル(アクスル40、60)との間に介装させて、積層ラバー100自体の変形によって、リヤアクスルに対するリーフスプリング9の前後方向における移動を吸収する。これにより、リーフスプリング9とリヤアクスルの間の部材の摩耗や、車体へのリヤアクスルの震動の伝達、リヤアクスルに対してリーフスプリング9が接触移動することに起因する異音の発生等を防止する。
積層ラバー100は、複数のゴム板121と金属板122とを上下方向に交互に積層されて構成される積層本体(積層ラバー本体)120と、積層本体120の上面に取り付けられる上側取付部(上板部)130と、積層本体120の下面に取り付けられる下側取付板140とを有する。
積層本体120は、例えば、複数枚の金属板122毎にゴム板121が加硫接着されることにより形成される。
これにより、リヤアクスルに対してリーフスプリング9が前後方向に移動することにより積層本体120が菱形状に変形しても、リバウンドストッパボルトは斜めに傾斜して、積層本体120の動きを妨げずに積層本体120の上下方向の延びを防止できる。
ゴム板121は、側面視して下方に狭窄するように、その外周は、上面側から上面側に向かって小さくなるように形成されている。
積層本体120における最上段のゴム板121には、上側取付部130が加硫接着により一体的に設けられている。ここでは、上側取付部130は、上面及び側面をゴム132で被覆された金属材料131により構成される。
上側取付部130は、平面視した際に、積層本体120よりも、大きい外形を有する。上側取付部130は、リーフスプリング9(図2参照)の端部の下面に取り付けられる。上側取付部130は、リーフスプリングの端部の真下に配置して、リーフスプリングからの荷重を積層本体120に極力鉛直方向で受けさせるようにする。
下側取付板140は、積層ラバー100の最下層を形成するゴム板121aの下面に取り付けられる。すなわち、下側取付板140には、積層本体120が積層されて取付けられる。ここでは、下側取付板140は、積層本体120を構成する最下段のゴム板121aを加硫接着することにより積層本体120の下面に取付けられる。
下側取付板140は、リヤアクスルの取付面40a、60a(図2参照)、詳細には、リヤアクスルのアクスルハウジング42、62の上面に固定されることにより、当該上面に積層ラバー100を固定する。
下側取付板140は、リヤアクスルに取り付けられる際に、リヤアクスルの取付面(上面)40a、60aの傾斜、つまり、リヤアクスルのアクスル傾角を調整する傾角調整板として機能する。
下側取付板140は、その外形が積層ラバー100を構成する金属板122及びゴム板121の外形より大きく形成される。すなわち、下側取付板140は、最下段のゴム板121aの下方から外周縁が水平方向に張り出すようにフランジ状に形成されている。
下側取付板140は、アクスル傾角に対応した角度で傾斜して形成され、且つ、リヤアクスルに当接してアクスル傾角を調整する下面である傾斜面144を有する。傾斜面144は、積層本体120の下部(最下段のゴム板121aの下面)が取り付けられる上面146に対して傾斜して形成される。すなわち、傾斜面144は、積層本体120の下面に対して傾斜する。ここでは、傾斜面144は、積層ラバー100が車両に取り付けられた際に、車両の前後方向に沿う方向で後方に向かって下る勾配で傾斜する。すなわち、下側取付板140は、一辺部側から他辺部側に向かって(車両の前後方向)漸次厚みが厚くなり、表裏面の一方の面(ここでは、上面146)に対して他方向の面(傾斜面144に相当)が傾斜するように形成される。
この下側取付板140において、金属板122及びゴム板121の外形を越えた部分、つまり、フランジ部分には、その下側取付板140をリヤアクスルに止着するための取付ボルト150(図6参照)が挿通されるボルトの挿通孔(ボルト孔)142を有する。挿通孔142は、下側取付板140において、積層本体120を包囲するように複数形成される。そして、この挿通孔142に上方から挿入された取付ボルト150をアクスルに形成された雌ねじ部(図示省略)に螺合することにより、下側取付板140はアクスル(図2のアクスル40、60参照)に取付けられる。
図6は、同一実施の形態に係る積層ラバー100の下側取付板140の断面図である。
挿通孔142は、取付ボルト150の軸部152が挿通される挿通孔本体1421と、挿通孔本体1421の上部で、挿通孔本体1421に連続する座ぐり部(spot facing)1422と、を有する。
挿通孔本体1421は、取付ボルト150の軸部152が挿通されて、傾斜面144から突出されてアクスルに固定されればどのように穿孔されてもよい。ここでは、取付ボルト150の軸部152が遊挿される内径で、且つ、傾斜面144に対して垂直に延在するように穿設される。
座ぐり部1422は、下側取付板140のフランジ状部分の上面146に、上方に開口する凹状に形成されており、挿通孔本体1421の外径よりも外径が大きい。座ぐり部1422は、挿通孔142の周辺の上面をへこませて、まわりに縁を有するように形成される。
座ぐり部1422は、傾斜面144に対応して傾斜する底面1425を有する。本実施の形態では、座ぐり部1422の底面1425は、挿通孔本体1421の外側で連続する環状で、且つ、傾斜面144と平行に形成されている。
このように挿通孔142は、図6に示すように、下側取付板140において、傾斜面144に対して垂直(垂線L1上)に形成されており、水平に配置される上面に垂直な線(L2)と比較して傾斜している。
図7は、図2において積層ラバーが取り付けられている状態を模式的に示す側面図である。積層ラバー100は、トラニオンサスペンション2を介してリヤアクスルを懸架する取付構造10において、リーフスプリング9とアクスル40の間、リーフスプリング9とアクスル60の間のいずれにも同様に介装されているが、図7では、アクスル40に取り付けられた積層ラバー100の取付構造について示している。
リヤアクスル(ここでは、アクスル40)に積層ラバー100を取り付ける際に、リヤアクスルの取付面(図2に示すアクスル40、60の取付面40a、60a)に積層ラバー100の下側取付板140を載置する。アクスル40では、取付ボルト150が螺合される雌ねじ部48が、取付面40aにおいて下側取付板140の挿通孔142に対応する位置で、且つ、取付面40aに対して垂直に形成されている。この雌ねじ部48に挿通孔142を合わせて、取付ボルト150を、挿通孔142に挿通して止着する。この止着作業時では、取付ボルト150を、図6に示す挿通孔142に、上方から挿入すると、取付ボルト150は、傾斜面144に対応して傾斜する挿通孔142にガイドされて、上面146に対して傾斜しつつ、アクスル40の雌ねじ部48に案内される。取付ボルト150を締め付けると、取付ボルト150の頭部154が座ぐり部1422の底面1425に掛止しつつ、取付ボルト150の軸部152がアクスル40の雌ねじ部48に螺合して、積層ラバー100はアクスル40に止着される。
このように積層ラバー100とアクスル40とは、傾斜面144と取付面40aとを面接触で圧接させ、且つ、取付ボルト150のボルトの頭部154の底面が座ぐり部1422の底面1425に面接触で圧接させることで、互いに止着される。
すなわち、トラニオンサスペンション2のリーフスプリング9とアクスル40、60との間に介装される積層ラバー100である。積層ラバー100は、ゴム板121と金属板122とを交互に積層して形成される積層本体(積層ラバー本体)120と、積層本体120の上部に設けられ、リーフスプリング9が載置される上側取付部(上板部)130と、積層本体120の下部に設けられ、下面で当接するアクスル40、60に取付ボルト150を介して取り付けられる下側取付板140と、を有する。下側取付板140の下面は、積層本体120の下部が取り付けられる上面146に対して傾斜して形成され、アクスル40、60の傾斜に対応する傾斜面144である。下側取付板140には、取付ボルト150が挿入される挿通孔(ボルト孔)142が形成され、挿通孔142は、取付ボルト150の頭部154が掛合する座ぐり部1422を有する。なお、座ぐり部1422の底面1425は、傾斜面144と平行であってもよい。
本実施の形態の積層ラバー100によれば、傾斜するアクスル40の取付面40aに積層ラバー100を取り付けても、下側取付板140の傾斜面144により、プロペラシャフト5等の連結される駆動軸の傾きによって傾くアクスル40の傾きを打ち消して、下側取付板140の上面146は、略水平(H.L.と平行)になる。これにより、上面146に垂直に設けられた積層本体120は、リーフスプリング9の端部の直下で、傾くことなく水平に配置される。
よって、積層ラバー100を、水平に配置されるリーフスプリング9の直下で、リーフスプリング9からの荷重UFを、積層本体の上面に対して垂直方向で受けることができる。したがって、アクスル40がプロペラシャフト5(図1参照)に傾きにより傾斜していても、上側取付部130に載置して連結するリーフスプリング9の端部を介してアクスル40を好適に支持できる。なお、アクスル60は、アクスル40と同様に積層ラバー100を介して支持されるので、アクスル40と同様に好適に支持される。
なお、本実施の形態では、傾斜面144を有する下側取付板140は、積層ラバー100に一体的に設けた構成としたが、これに限らず、傾斜面144を備える部位を積層本体120から着脱自在に設けても良い。この一例を図8に示す。
図8は、下側取付板の変形例を示す要部断面図である。図8に示す下側取付板140Aは、下側取付板140と同様に、積層ラバーにおいて、積層本体120の下部に設けられる。なお、下側取付基板140Aにおいて下側取付基板140と同名称の構成要素は、同様の機能を有するので、その機能の説明は省略する。
下側取付板140Aは、積層本体120に固定された上面部140Bと、傾斜面144を有し、上面部140Bが載置される下面部140Cとを有する。
挿通孔142Aは、ボルト150が挿入され、上面部140Bと下面部140Cのそれぞれを貫通して設けられる上挿通孔1421B、下挿通孔1421Cにより構成される挿通孔本体1421Aと、座ぐり部1422Aと、を有する。
上面部140Bは、ここでは上面146と下面とがフラットで平行な板状に形成され、上面部146で積層本体120に加硫接着等により一体的に固定されている。上面部140Bでは、上挿通孔1421Bは、積層本体120の周囲に穿孔され、上挿通孔1421Bの上部には、上面146に凹状に形成された座ぐり部1422Aが連続して設けられている。
挿通孔142Aは、下側取付板140Aにおいて、傾斜面144に対して垂直(垂線L1上)に形成されており、且つ、水平に配置される上面に垂直な線(L2)と比較して傾斜している。座ぐり部1422Aの底面1425は、傾斜面144と平行な面であり、その機能は、下側取付板140のものと同様であるので説明は省略する。
下面部140Cの傾斜面144は、上部に位置する上面部140Bの上面に対して傾斜する。また、傾斜面144は、上面部140Bの下面に密着する下面部140Cの上面に対しても傾斜する。このように下側取付板140Aを複数の板状部材である上面部140B、下面部140Cで構成される。上面部140Bを積層本体120に固定し、下面部140Cをアクスルハウジングと上面部140Bとの間に介装して、ボルト150を介してアクスルハウジングに固定される。これにより、アクスルの傾斜に伴い、取り付け位置が傾斜していても、積層本体120は水平に配置される。よって、積層本体120を、水平方向に好適に変位させることができる。
下側取付板140Aの構成によれば、下面部140Cとして、上面部140Bが載置される上面に対して傾斜する傾斜面144の勾配が異なる複数の下面部140Cを用意して、アクスルの傾斜に応じて適宜組み合わせることができる。すなわち、アクスルが水平に対して傾斜する傾斜角度に応じた勾配の傾斜面144を有する下面部140Cを用いることで、アクスルに積層本体120を水平に配置できる。
なお、下側取付板140Aにおける異なる傾斜面144の勾配は、車種毎にホイルベースの長さやエンジンの搭載位置、種類が異なることによるプロペラシャフト5(図1参照)の傾きの複数の角度に対応して形成することが望ましい。これにより、サスペンションが懸架支持するアクスルが傾斜していても、アクスルの傾斜に適宜対応して積層本体120は水平に配置される。すなわち、積層ラバーは、傾斜するアクスル(アクスルハウジング)の傾きに応じて、下面部140Cを変更するだけで、アクスルハウジングの形状を変更することなく、リーフスプリング9とともに、好適にアクスルを支持することができる。
また、下側取付板140は、表裏面の一方が他方に対して傾斜した傾斜面である複数の板を積層して形成するようにしてもよい。複数の板を組み合わせて用いることによって、アクスルの傾斜に対応した傾斜面を形成し、これにより、リーフスプリング9の両端部の真下で、積層本体を水平に配置するようにしてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
本発明に係る積層ラバー及び積層ラバーの取付構造は、リーフスプリングに懸架されるアクスルが傾斜していても、その傾きに応じて、アクスルの形状を変更することなく、コストの低廉化を図りつつ、アクスルを好適にリーフスプリングに懸架させることができる効果を有し、トラニオンサスペンションに有用である。
1 車両
2 トラニオンサスペンション
3 フレーム
4 後前軸
5 プロペラシャフト
6 後後軸
7 トラニオンブラケット
8 トラニオンシャフト
9 リーフスプリング
11 トルクロッド
14 回動ベース部
40、60 アクスル
42、62 アクスルハウジング
48 雌ねじ部
100 積層ラバー
120 積層本体
121、121a ゴム板
122、122a 金属板
130 上側取付部
140、140A 下側取付板
140B 上面部
140C 下面部
142、142A 挿通孔
144 傾斜面
146 上面
150 取付ボルト
152 軸部
154 頭部
40a、60a 取付面
1421、1421A 挿通孔本体
1421B 上挿通孔
1421C 下挿通孔
1422、1422A 座ぐり部
1425 底面

Claims (4)

  1. サスペンションのリーフスプリングとアクスルとの間に介装される積層ラバーであって、
    ゴム板と金属板とを交互に積層して形成される積層ラバー本体と、
    前記積層ラバー本体の上部に設けられ、前記リーフスプリングが載置される上板部と、
    前記積層ラバー本体の下部に設けられ、下面で当接する前記アクスルにボルトを介して取り付けられる下側取付板と、
    を有し、
    前記下側取付板の下面は、前記積層ラバー本体の下部が取り付けられる上面に対して傾斜して形成され、前記アクスルの傾斜に対応する傾斜面であり、
    前記下側取付板には、前記ボルトが挿入されるボルト孔が形成され、
    前記ボルト孔は、前記ボルトの頭部が掛合する座ぐりを有する、
    ことを特徴とする積層ラバー。
  2. 前記座ぐりの底面は、前記傾斜面と平行である、
    ことを特徴とする請求項1記載の積層ラバー。
  3. 前記下側取付板は、前記積層ラバー本体に固定された前記上面を有する上面部と、
    前記傾斜面を有し、前記上面部が載置される下面部と、
    を有し、
    前記ボルト孔は前記上面部及び前記下面部を挿通するよう設けられ、
    前記座ぐりは、前記上面部に設けられている、
    ことを特徴とする請求項1または2記載の積層ラバー。
  4. 車体の前後方向に沿って配置されるとともに、前記車体のフレームに中央部で回動自在に枢着されるリーフスプリングと、
    エンジンから伝達される駆動力により回転する軸部を保持するアクスルと、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の積層ラバーと、
    を有し、
    前記積層ラバーは、前記下側取付板で前記アクスルに前記ボルトを介して取り付けられるとともに、前記上板部に前記リーフスプリングを載置して、前記リーフスプリングと前記アクスルとの間に介装され、
    前記リーフスプリングは、前記積層ラバーを介して前記アクスルを懸架する、
    ことを特徴とする積層ラバーの取付構造。
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