JP6699047B2 - 容器詰発泡性飲料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本願発明は、容器詰発泡性飲料及びその製造方法にかかり、特に香料を添加しない容器詰発泡性飲料及びその製造方法、並びに香味保持方法に関するものである。
容器詰発泡性飲料は、その味わいのみならず、飲用した時に発泡性ガスの刺激によって清涼感を得ることができる清涼飲料であって、従来から広く普及している。更に、果汁又は野菜汁を含有させることで、果汁等の風味を活かしながら炭酸ガスによる清涼感や爽快感を出すために、種々工夫された果汁含有容器詰発泡性飲料が提案されている。
容器詰発泡性飲料に含有される主な果汁として、柑橘系果汁が挙げられる。柑橘系果汁は多くの種類があり、果汁の原料となる果実種によって味や香りの強弱もまちまちであり、容器詰発泡性飲料に含有させる柑橘系果汁の種類によっては、苦味や酸味、果皮の青臭さといった不快な香味が目立ってしまうこともある。
更に、従来から柑橘系果汁を含有する容器詰発泡性飲料は、容器詰発泡性飲料の甘味、酸味、苦渋味及び炭酸ガスの刺激によって、柑橘系果汁特有の爽やかなトップの香り立ちが潰れてしまうといった課題が存在していた。
このため、従来の柑橘系果汁を含有する容器詰発泡性飲料は、苦味や酸味、果皮の青臭さといった不快な香味を糖類や酸味料でマスキングし、更にはトップの香り立ちを増強・保持するために香料を単独、或は香料と果皮オイルを組み合わせて添加することによって、前記の課題を解決し、柑橘系果汁特有の爽やかなトップの香り立ちを実現している。
しかしながら近年では、健康志向の高まりから、添加物を敬遠する消費者が増加している。香料もその例外ではなく、香料由来の強すぎる香りや不自然な香りを嫌う消費者が増えているのが現状である。
容器詰発泡性飲料において、香料を添加せずに柑橘系果汁特有のトップの香り立ちを引き立たせるためには、トップの香り立ちを潰さないように呈味や刺激を調整する必要がある。例えば、単純に柑橘系果汁の含有量を増やすだけでは、柑橘系果汁由来の甘味、酸味及び苦渋味が強まってしまい、トップの香り立ちは潰れてしまう。更には柑橘系果汁の種類によっては、苦渋味や酸味が強まることで、飲用に耐えられない風味となってしまう。
また、柑橘系果汁の含有量を増やさずに、トップの香りを立たせるために果皮エキス等を多量に添加すると、果皮エキスのオイル分が浮いてしまい、容器詰発泡性飲料としての品質が低下してしまう。
このように単純に柑橘系果汁の香味に係る香気成分量を増減するだけでは、香料等の添加物を用いずに容器詰発泡性飲料のトップの香り立ちを引き立たせるのは非常に困難であった。
更に、容器詰発泡性飲料全体の濃度感を強めるために糖類や炭酸ガスの添加量を増やすと、糖類や炭酸ガスよって甘味や刺激が強くなり、よりトップの香り立ちを感じることが困難となってしまう。
上記の課題から、香料を別途添加することなく、柑橘系果汁のトップの香り立ちを引き立たせつつも、果実感や果皮感といった果汁由来の香味の厚みを不快味を感じさせることなく保持するといった消費者ニーズを満たす容器詰発泡性飲料の開発が強く望まれていた。
現在までに容器詰発泡性飲料の香味について検討されたものとしては、例えば特許文献1には、「カロテノイドを含有する容器詰炭酸飲料の刺激感改善方法であって、前記容器詰炭酸飲料におけるヘスペリジンの含有量(ppm)[H]を前記容器詰炭酸飲料の450nmにおける吸光度Aで除した値[H]/Aが48〜98となるように、前記容器詰炭酸飲料に前記カロテノイド及び前記ヘスペリジンを含有させることを特徴とする容器詰炭酸飲料の刺激感改善方法。」に係る発明が開示されている。
特許文献1に係る発明は、前記構成を有することで、「カロテノイドを含有しながら炭酸の刺激感が強く、かつカロテノイドに由来する油っぽい味が抑制された、嗜好的に好ましい容器詰炭酸飲料。さらに、果実由来物及び/又は野菜由来物による果実感及び/又は野菜感に優れた容器詰炭酸飲料」を提供し得る。
しかし、特許文献1に係る発明は、カロテノイドを含有しながら炭酸の刺激感が強く、かつカロテノイドに由来する油っぽい味が抑制された容器詰発泡性飲料について検討された発明であり、香料を添加することなく、柑橘系果汁のトップの香り立ちを引き立たせながら、果実感や果皮感といった果汁由来の香味の厚みを保持した容器詰発泡性飲料を提供するという本願の課題解決を目的としたものではない。
また、特許文献2に係る発明は、「ナリルチンを含有する容器詰発泡性飲料の風味劣化抑制方法であって、前記容器詰発泡性飲料のナリルチン含有量(ppm)[N]が、6.5〜54の範囲とし、且つ前記ナリルチンの含有量[N]を、カロテノイドの含有量(ppm)で除した値[N]/[C]が13〜85の範囲となるように、前記ナリルチン及びカロテノイドを含有させることを特徴とする容器詰炭酸飲料の風味劣化抑制方法」が開示されているが、香料を添加することなく、柑橘系果汁のトップの香り立ちを引き立たせながら、果実感や果皮感といった果汁由来の香味の厚みを保持した容器詰発泡性飲料の提供を目的としたものではない。
更に、特許文献3に係る発明は、「カロテノイド及びヘスペリジンを含有する容器詰炭酸飲料であって、 果実由来物及び/又は野菜由来物を含有し、 前記容器詰炭酸飲料における前記ヘスペリジンの含有量(ppm)[H]を前記容器詰炭酸飲料の450nmにおける吸光度Aで除した値[H]/Aが48〜98であり、前記容器詰炭酸飲料における前記カロテノイドの含有量(ppm)[C]に対する前記ヘスペリジンの含有量(ppm)[H]の比[H]/[C]が176〜1000であり、かつ、前記ヘスペリジンの含有量[H]が43.5〜290ppmであることを特徴とする容器詰炭酸飲料。」が開示されているが、前述の課題を解決することは、やはり困難である。従って、これらの先行文献に示された発明は前述のような課題を解決し得るものではない。
特許第4860778号公報 特許第5128710号公報 特許第5296173号公報
本願発明は、香料を添加することなく、柑橘系果汁のトップの香り立ちを引き立たせながらも、果実感や果皮感といった果汁由来の香味の厚みを不快味を感じさせることなく保持した容器詰発泡性飲料及びその製造方法、並びに香味保持方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは、香料の添加を必要としない容器詰発泡性飲料ついて鋭意研究した結果、容器詰発泡性飲料中のヘスペリジン含有量[H]とナリルチン含有量[N]との総量([H]+[N])及び該容器詰発泡性飲料中の脂質含有量[L]に対するヘスペリジン含有量及びナリルチン含有量の総量([H]+[N])の比率(([H]+[N])/[L])を調整することにより香料を添加することなく、柑橘系果汁のトップの香り立ちを引き立たせながら、果実感や果皮感といった果汁由来の香味の厚みを保持した容器詰発泡性飲料が得られることを見出した。
以下具体的に本願発明の構成を説明する。
本願発明は以下のような構成からなる。
(1)果実由来物を含有する容器詰発泡飲料であって、
香料を実質的に含有せず、
飲料液中のヘスペリジン含有量[H]とナリルチン含有量[N]の合計
([H]+[N])が15〜350ppmであるとともに、脂質含有量[L]に対する前記ヘスペリジンとナリルチンの合計含有量の比率(([H]+[N])/[L])が
0.15〜0.78であることを特徴とする容器詰発泡性飲料。
(2)前記果実由来物の一部又は全部が日向夏及び/又は柚子由来であることを特徴とする(1)に記載の容器詰発泡性飲料。
(3)前記容器詰発泡性飲料中の糖酸比が16.0〜60.0であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の容器詰容器詰発泡性飲料。
(4)前記容器詰発泡性飲料中の脂質含有量(L)が60〜500ppmであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の容器詰容器詰発泡性飲料。
(5)前記容器詰発泡性飲料中の脂質含有量[L]に対するガスボリューム[G]の比率([L]/[G])が33.0〜235.0であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の容器詰発泡性飲料。
(6)香料を実質的に含有せず、果実由来物を含有する容器詰発泡飲料における日向夏及び/又は柚子由来の香味付与剤であって、前記容器詰発泡性飲料中のヘスペリジン含有量[H]とナリルチン含有量[N]の合計([H]+[N])が15〜350ppm、脂質含有量[L]に対するヘスペリジン含有量及びナリルチン含有量の総量([H]+[N])の比率(([H]+[N])/[L])が0.15〜0.78となるように用いられる香味付与剤。
(7)果実由来物を含有する容器詰発泡飲料であって、
香料を実質的に含有せず、
飲料液中のヘスペリジン含有量[H]とナリルチン含有量[N]の合計([H]+[N])が15〜350ppmに調整され、脂質含有量[L]ppmに対する前記ヘスペリジンとナリルチンの合計含有量の比率(([H]+[N])/[L])が
0.15〜0.78に調整されることを特徴とする容器詰発泡性飲料の製造方法。
(8)果実由来物を含有する容器詰発泡飲料であって、
香料を実質的に含有せず、
飲料液中のヘスペリジン含有量[H]とナリルチン含有量[N]の合計([H]+[N])が15〜350ppmに調整され、脂質含有量[L]に対する前記ヘスペリジンとナリルチンの合計含有量の比率(([H]+[N])/[L])が
0.15〜0.78に調整されることを特徴とする容器詰発泡性飲料の香味保持方法。
本願発明は前記の構成を具備することにより、香料を添加することなく、柑橘系果汁のトップの香り立ちを引き立たせながら、果実感や果皮感といった果汁由来の香味の厚みを保持した容器詰発泡性飲料及びその製造方法、並びに香味保持方法を得られることを見出した。
本願発明に係る容器詰発泡性飲料を実施する為の形態について、以下具体的に詳述するが、本願発明の技術的範囲から逸脱しない限りにおいて、以下に示す実施形態以外の公知手法を適宜選択することも可能である。
(容器詰発泡性飲料)
本願発明における容器詰発泡性飲料とは、発泡性ガスを含有する容器詰の形態の飲料であって、金属缶、PETボトル等の所定の飲料用容器に封入され、少なくとも柑橘系果実の果実由来物を含有し、pHが7.0未満である飲料をいう。また、本願発明に係る容器詰発泡性飲料においては、発泡性ガスが炭酸であることが好ましく、非アルコール性飲料であることがより好ましい。
(香料)
本願発明に係る容器詰発泡性飲料においては、果実に由来する自然な香味を付与し、その香味、特にトップの香り立ちを保持することを目的とするため、香料を実質的に含有しないことを特徴とする。なお、実質的に含有しないとは、原料果実由来物以外に、香料としての添加物を別途添加しないことをいう。本願発明において香料は、香味を付加する天然香料及び/又は合成香料を意味し、柑橘系果実の香気成分単体であるリモネン等の天然香料であっても原料となる果実由来物とは別に香味増強を目的とした香料は添加されない。
従来の柑橘系果汁を含有する容器詰発泡性飲料においては、特に柑橘系果実における脂溶性成分由来の香味を補うために香料を使用することがあり、使用する香料にも脂質が含有されている。
しかし、脂質を含有する香料(果皮オイルも含む)をトップの香りが引き立つのに十分な量添加することで、オイル浮きが生じ、容器詰発泡性飲料の品質が著しく低下してしまう。
(果実由来物)
本願発明における果実由来物とは、果実を原料とする果汁及び/又は濃縮物であって、例えば、透明果汁、混濁果汁、濃縮透明果汁、濃縮混濁果汁及びピューレ等が挙げられる。果実由来物の原料となる果実の種類としては、柑橘系果実であることが好ましく、例えば、オレンジ、温州ミカン、レモン、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、ユズ、シークワーサー、タンジェリン、テンプルオレンジ、タンジェロ、カラマンシー等が挙げられる。更に、本願発明においては柑橘系果実を一部含有していれば、柑橘系以外の果実由来物を含有しても良く、例えば、メロン、ブドウ、イチゴ、キウイフルーツ、モモ、リンゴ、パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、プルーン、パパイヤ、パッションフルーツ、ウメ、ナシ、アンズ、ライチ、西洋ナシ、スモモ類等を選択することもできる。なお、上記の果実は単独又は2種以上を混合して使用することができる。
本願発明に係る容器詰発泡性飲料においては、上記柑橘系果実の果実由来物が、少なくともヘスペリジン及び/又はナリルチンを含有することが好ましい。([H]+[N])及び/又は(([H]+[N])/[L])を上述の範囲内に調整することが容易となり、上述した香料を添加しない容器詰発泡性飲料において、トップの香り立ちを保持する効果を得ることができるからである。
なお、本願発明に係る容器詰発泡性飲料おけるトップの香りとは、飲用時前半に感じる柑橘系果実の香りであって、口に含んだ後に、鼻に抜ける中盤から後半にかけて感じる香りとは異なるものである。
また、果実由来物により果実感が向上し、嗜好的に極めて好ましい容器詰発泡性飲料を得ることができる。更にヘスペリジン及びナリルチンを共に含有する果実由来物としては、柑橘系果実(オレンジ、温州ミカン、レモン、グレープフルーツ、日向夏、柚子、ライム、マンダリン、ユズ、シークワーサー、タンジェリン、テンプルオレンジ、タンジェロ、カラマンシー等)の果汁、混濁果汁、透明果汁、破砕物、磨砕物等が挙げられるが、本発明の効果を容易に得る観点から果実由来物の一部又は全部が雑柑類及び/又は香酸系柑橘類の果実由来物であることが好ましい。本願発明に係る容器詰発泡性飲料における雑柑類とは、夏ミカン・八朔・日向夏・不知火であって、香酸系柑橘類とは、柚子、かぼす、すだち、ライム、シークワーサー及びダイダイである。本願発明に係る容器詰発泡性飲料における果実由来物の含有量としては、ストレート果汁換算で0.1〜26.0質量%であることが好ましく、0.6〜25.1質量%であることがより好ましく、0.7〜24.0質量%であることが特に好ましく1.4〜23.0質量%であることが最も好ましい。この範囲とすることで容器詰発泡性飲料の収斂味(以下、苦渋味とも云う)が目立たず、トップの香り立ちが引き立つからである。
また、本願発明に係る容器詰発泡性飲料においては、果実由来物の一部又は全てが果実を果皮ごと搾汁した全果搾汁果汁であることが好ましく、全果搾汁果汁の配合割合としては、発泡性飲料全体に対して0.1〜16.0質量%がより好ましく、0.2〜4.0質量%が特に好ましい。
なお、本願発明に係る容器詰発泡性飲料においては、香料を添加することなく、トップの香りを引き立たせ、且つ果実感及び果皮感を向上させる観点から、雑柑類及び/又は香酸系柑橘類の果実由来物の中でも特に日向夏、柚子、夏みかん及びシークワーサーが好ましく、日向夏及び柚子が最も好ましい。
本願発明における果実由来物は、常法により得ることができ、例えば、搾汁、破砕、磨砕等の処理により、更に所望により裏ごしすることにより、得ることができる。搾汁する場合には、例えば、果実又は野菜(所望により洗浄し選別されたもの)を、クラッシャー等を用いて破砕し、リーマ等を用いて搾り取る方法、油圧プレス機、ローラー圧搾機やインライン搾汁機を用いて圧搾し搾汁する方法、パルパー・フィニッシャー等を用いて破砕し裏ごしする方法、並びにチューブヒーター等で加熱して殺菌及び酵素失活を行った後、エクストラクター等を用いて搾汁する方法が挙げられる。更に、これらの方法に従って圧搾(搾汁)されたものを、所望により、ジューサーやホモジナイザーにかける他、濃縮や殺菌を行っても良い。得られるものとしては、主に果汁、混濁果汁、透明果汁等が挙げられる。
破砕又は磨砕して果実由来物及び/又は野菜由来物を得る場合には、例えば、原料としての果実又は野菜に対して、温める、煮る、蒸す等の加熱処理や、十分な水洗い、水にさらす、薬品処理する等の非加熱処理を施してから、ラインミキサー、エマルダー、カッターミル、ディスパー、ジューサーミキサー、マイルダー、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー等の装置を使用して、破砕又は磨砕する。裏ごしは、パルパー・フィニッシャー等の裏ごし機を使用して行うことができる。
(ヘスペリジン)
本願発明におけるヘスペリジン[H]とは、フラボノイド化合物の一つであって、アグリコンがヘスペレチンであり、糖部分がβ−ルチノースである化合物である。このヘスペリジンは、柑橘類の果皮等に含まれており、様々な生理作用を有することが知られているが、一方で、香料を添加しない飲料における香味保持といった作用については現在までに報告されていない。
本願発明に係る容器詰発泡性飲料におけるヘスペリジンの含有量は、11〜271ppmであることが好ましく、12〜268ppmであることがより好ましく、28〜253ppmであることが特に好ましく、42〜147ppmであることが最も好ましい。この範囲とすることで容器詰発泡性飲料において適度な呈味を与え、且つトップの香り立ちを邪魔しないからである。
また、本願発明に係る容器詰発泡性飲料においては、ヘスペリジン単体を配合しても良く、又はヘスペリジンを含有する組成物(例えば、柑橘類から精製されるモノグルコシルヘスペリジン等)を配合しても良いが、好ましくはヘスペリジンを含有する果汁由来物を配合することが好ましい。
なお、本願発明に係る容器詰発泡性飲料におけるヘスペリジンの含有量は、公知の高速液体クロマトグラフィー法により測定することができる。本願発明に係る容器詰発泡性飲料におけるヘスペリジンの含有量の具体的な測定方法は、後述する実施例に示す。
(ナリルチン)
本願発明におけるナリルチン[N]とは、フラボノイドの一種であり、アグリコンがナリンゲニンであり、糖部分がβ−ルチノースであるフラバノン配糖体である。主に柑橘系果実の果皮、及び果肉等に含まれ、同じフラバノン配糖体であるナリンギニンとは異なり、強い苦味は有さない。また、ナリルチンは、抗アレルギーの生理作用を有することが知られているが、一方で、香料を添加しない飲料における香味保持といった作用については現在までに報告されていない。
本願発明に係る容器詰発泡性飲料におけるナリルチンの含有量は、3〜76ppmであることが好ましく、4〜66ppmであることがより好ましく、8〜39ppmであることが特に好ましく、12〜38ppmであることが最も好ましい。この範囲とすることで容器詰発泡性飲料において適度な呈味を与え、且つトップの香り立ちを邪魔しないだからである。
また、本願発明に係る容器詰発泡性飲料においては、ナリルチン単体を配合しても良く、又はナリルチンを含有する組成物(例えば、柑橘類から生成されるナリルチン等)を配合しても良いが、好ましくはナリルチンを含有する果汁由来物を配合することが好ましい。
なお、本願発明に係る容器詰発泡性飲料におけるナリルチンの含有量は、公知の高速液体クロマトグラフィー法により測定することができる。本願発明に係る容器詰発泡性飲料におけるナリルチンの含有量の具体的な測定方法は、後述する実施例に示す。
(ヘスペリジン含有量及びナリルチン含有量の総量)
本願発明に係る容器詰発泡性飲料におけるヘスペリジン含有量及びナリルチン含有量の総量([H]+[N])は15〜350ppmであることを特徴とする。15ppmを下回ると容器詰発泡性におけるトップの香りは引き立つものの、香料を添加しない場合では果実感や果皮感といった呈味が弱く感じられ、十分ではない。350ppmを上回るとヘスペリジン及びナリニチン由来の呈味が強く、苦渋味を感じるようになり、飲用に適さない。更にはその苦渋味により柑橘系果汁のトップの香りを潰してしまうからである。かかる観点から、好ましくは16〜340ppmであり、より好ましくは17〜327ppmであり、特に好ましくは36〜186ppmであり、最も好ましくは54〜185ppmである。
なお、本願発明に係る容器詰発泡性飲料におけるヘスペリジン含有量及びナリルチン含有量は、公知の高速液体クロマトグラフィー法により測定することができる。本願発明に係る容器詰発泡性飲料におけるナリルチンの含有量の具体的な測定方法は、後述する実施例に示す。
(脂質含有量[L]に対するヘスペリジン含有量及びナリルチン含有量の総量([H]+[N])の比率)
本願発明に係る容器詰発泡性飲料における脂質含有量[L]に対するヘスペリジン含有量及びナリルチン含有量の総量([H]+[N])の比率(([H]+[N])/[L])は0.15〜0.78であることを特徴とする。0.15を下回ると容器詰発泡性飲料におけるトップの香りが弱く、感じにくくなってしまう。0.78を上回ると容器詰発泡性飲料におけるトップの香りが呈味によって潰れてしまい、感じにくくなってしまうからである。かかる観点から、好ましくは0.16〜0.71であり、より好ましくは0.21〜0.69であり、特に好ましくは0.21〜0.64であり、最も好ましくは0.21〜0.49である。
なお、
(脂質含有量)
本願発明に係る容器詰発泡性飲料における脂質含有量(L)は60〜500ppmであることを特徴とする。60ppmを下回ると脂質に含まれる柑橘系果実の香味成分が少なく、トップの香りが引き立たないからであり、500ppmを上回ると容器詰発泡性飲料において香味がべたついた印象となり、更にオイル浮きによる品質劣化も懸念されるからである。また、脂質が日向夏や柚子といった酸味を感じやすい果実由来である場合、苦渋味を伴う場合がある。かかる観点から、好ましくは70〜490ppmであり、より好ましくは102〜421ppmであり、特に好ましくは121〜375ppmであり、最も好ましくは150〜372ppmである。
また、本願発明に係る容器詰発泡性飲料における脂質含有量は、香料を添加しないことから、香料に含まれる脂質は含まれない。香料を添加する発泡性飲料の場合は、香りの増強のために香料の添加量を決定することから、オイル浮き等の品質を優先して脂質含有量を調整することが困難だからである。更に、本願発明に係る容器詰発泡性飲料における脂質含有量は柑橘系果実由来の脂質であることが好ましい。
なお、脂質含有量は、当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。例えば、酸分解法,ソックスレー抽出法、クロロホルム・メタノール混液抽出法等が挙げられる。具体的な測定方法は、後述する実施例に示す。
(脂質含有量[L]に対するガスボリューム[G]の比率)
本願発明に係る容器詰発泡性飲料における脂質含有量[L]に対するガスボリューム[G]の比率([L]/[G])は33.0〜235.0であることを特徴とする。33.0を下回ると炭酸の刺激を強く感じやすく、柑橘系果実の香味が弱く感じられてしまい、235.0を上回ると炭酸の刺激が弱く、柑橘系果汁の香味と炭酸の刺激から成る清涼感と喉越しの良さを損なってしまうからである。かかる観点から、好ましくは34.8〜218.2であり、より好ましくは35.0〜163.3であり、特に好ましくは48.4〜138.9であり、最も好ましくは51.0〜100.0である。
また、本願発明に係る容器詰発泡性飲料は、炭酸ガスのガスボリュームが2.0〜3.5であることが好ましく、2.2〜3.0であることがより好ましく、2.3〜2.9であることが特に好ましく、2.4〜2.8であることが最も好ましい。炭酸ガスのガスボリュームがこの範囲にあることで、炭酸の刺激感が適度なものとなり、本願発明に係る容器詰発泡性飲料が有する効果を更に効果的に発揮させることができる。また、炭酸ガスのガスボリュームが前期範囲にあることで、炭酸ガスの清涼感と、それによる喉越しの良さを得ることができる。
また、上記所定範囲のガスボリュームの炭酸ガスを含有することで、本願発明に係る容器詰発泡性飲料は、トップの香り、甘味、酸味、苦渋味を適度に感じることができる。例えば、ガスボリュームが0(無炭酸)であった場合は、柑橘系果汁由来の甘味、酸味及び苦渋味を極めて強く感じてしまい、飲用自体が困難となってしまう。
なお、本明細書における炭酸ガスのガスボリュームとは、20℃において、炭酸飲料中に溶解している炭酸ガスの体積を炭酸飲料の体積で除したものをいい、具体的な測定方法は後述する実施例に示す。
(糖酸比)
本願発明に係る容器詰発泡性飲料における糖酸比は糖酸比とは、酸度に対する糖度の比率、即ち(糖度/酸度)を意味し、16.0〜60.0であることを特徴とする。19.0を下回ると容器詰発泡性飲料における酸味を強く感じてしまい、甘味と酸味のバランスが崩れてしまい、嗜好的に適さないからである。また60.0を上回ると容器詰発泡性飲料における甘味を強く感じてしまい、甘味と酸味のバランスが崩れ、嗜好的に適さないからである。かかる観点から、20.2〜50.2が好ましく、28.0〜43.2がより好ましく、32.5〜41.0が特に好ましい。
特に、酸度を0.20〜0.28としながら、糖酸比を上記範囲とすることで、本願発明に係る容器詰発泡性飲料は好適な甘味と酸味のバランスとなる。
本願発明に係る容器詰発泡性飲料における糖度(Bx)は4.50〜12.50であることが好ましい。この範囲とすることで、容器詰発泡性飲料における甘味や甘さ由来の濃度感を適度に感じることができるからである。より好ましくは5.05〜11.55であり、特に好ましくは7.00〜10.15であり、最も好ましくは7.80〜9.85である。糖度の調整は、原料果実由来物の選択や配合割合の変更、水分の添加、糖類の添加量の変更など、種々の方法で可能であり、例えば糖及び/又は糖度の高い果実を添加することにより調整したり、糖類を配合するといった方法が挙げられる。
なお、糖度は当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができ、例えば、光学屈折率計による測定方法が挙げられる。
また、本願発明に係る容器詰発泡性飲料における酸度(Ac)は0.15〜0.35であることが好ましい。この範囲とすることで、容器詰発泡性飲料における酸味や酸味由来のすっきり感を適度に感じることができるからである。より好ましくは0.18〜0.30であり、特に好ましくは0.20〜0.28であり、最も好ましくは0.22〜0.26である。
本願発明に係る容器詰発泡性飲料における酸度は、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液を用いた電位差滴定法により算出されるクエン酸換算での濃度(%)を意味するものであり、主に果汁の種類と含有量、酸味料の種類と添加量等によって調整することができる。
なお、酸度の測定方法としては、市販の自動滴定装置を用い、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液を使用した電位差滴定法に基づいて、クエン酸換算で算出した。
本願発明に係る容器詰発泡性飲料は、水や、公知の飲料に含まれる材料(成分)、例えば、ビタミン類、甘味付与剤、酸味料、香料、ミネラル分、機能性成分等を、本願発明による効果を損なわない範囲で配合してもよい。
水は、飲用に適した水であればよく、例えば、純水、硬水、軟水、イオン交換水等のほか、これらの水を脱気処理した脱気水等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンK及びビタミンB群等の配合が挙げられる。
甘味付与剤としては、糖類又は甘味料を使用することができ、糖類としては、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖等が挙げられる。甘味料としては、例えば、砂糖、異性化糖、キシリトール、パラチノース、エリスリトール、D−プシコース等のほか、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ステビア抽出物、サッカリン、スクラロース等の高甘味度甘味料が挙げられる。また、ソルビトール等の糖アルコールを含んでいてもよいし、シュガーレスバルク甘味料、バルク砂糖甘味料等を含んでいてもよい。
なお、これらの糖類は、目的に応じて単独で又は複数を組み合わせて使用することが出来る。
酸味料としては、例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、アジピン酸、グルコン酸、
コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、又はそれらの塩類が挙げられ、中でも、
クエン酸、クエン酸三ナトリウム、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸等が好ましく、
クエン酸が特に好ましい。
なお、これらの酸味料は、目的に応じて単独で又は複数を組み合わせて使用することが出来る。
ミネラル分としては、例えば、カルシウム、カリウム、クロム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、セレン、ケイ素、モリブデン及び亜鉛等が挙げられる。
機能性成分としては、例えば、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、グルコサミン、ヒアルロン酸、プラセンタ、牡蠣エキス、キトサン、プロポリス、ローヤルゼリー、トコフェロール、ポリフェノール、梅エキス、アロエ、乳酸菌、霊芝、アガリクス、カテキン類、ルチン、水素等が挙げられる。これらの成分を得る原料には、茶抽出物及び/又はソバ抽出物、或は成分単体が含まれていてもよい。
また、本願発明に係る容器詰発泡性飲料は、その他、各種エステル類、乳化剤、保存料、調味料、ガム、油、pH調整剤、品質安定剤等を含有してもよい。
本願発明に係る容器詰発泡性飲料のpHは、2.0〜5.0であることが好ましく、3.0〜3.9であることがより好ましく、3.2〜3.6であることが特に好ましい。容器詰発泡性飲料のpHが上記範囲内にあると、ほどよい酸味が得られ、柑橘系果実由来物の香味と相まって嗜好的に好ましい容器詰発泡性飲料となる。
本願発明に係る容器詰発泡性飲料において使用する容器としては、通常用いられる飲料用容器であればよいが、炭酸ガスのガス圧を考慮すると、金属缶、PETボトル等のプラスチック製ボトル、瓶などの所定の強度を有する容器であるのが好ましい。また、開栓後も炭酸ガスを効果的に保持するために、当該容器は再栓可能な蓋を備えていることが好ましい。
本願発明に係る容器詰発泡性飲料は、容器詰発泡性飲料中のヘスペリジン含有量及びナリルチン含有量[H+N]と、資質含有量[L]に対するナリルチン含有量及びヘスペリジン含有量の比率(([N]+[H])/[L])とが所定の範囲内となるようにヘスペリジン及び/又ナリルチンを含有する果実由来物を配合する以外、従来公知の方法により製造することができる。例えば、飲料調整液には、必要に応じてpHの調整及び/又は加熱殺菌をしてから冷却した後、炭酸ガスをガス封入(カーボネーション)し、容器に充填して、殺菌する工程により製造することができる。なお、炭酸飲料の製法には、プレミックス法とポストミックス法とがあるが、いずれを採用してもよい。
以下、前記実施形態に基づき、本願発明の実施例を説明するが、本願発明の技術的範囲を逸脱しない限りにおいて、適宜形態の変更を行うことができる。
<試験例>
下記の各原料を使用し、試作品サンプルを作成した。
なお、表1に記載の果汁量(質量%)はストレート換算した値を示している。
(果汁由来物)
市販の日向夏全果搾汁果汁(Bx10.0、[H]=1400ppm、[N]=400ppm、[L]=2800ppm、宮崎県農協果汁社製)、日向夏ピューレ(Bx9.0、[H]=900ppm、[N]=270ppm、[L]=1400ppm、宮崎県農協果汁社製)、日向夏混濁果汁(Bx10.0、[H]=520ppm、[N]=120ppm、[L]=1450ppm、宮崎県農協果汁社製)、オレンジ果汁(Bx11.0、[H]=100ppm、[N]=90ppm、[L]=900ppm、ガニール社製)、ゆず混濁果汁(Bx7.0、[H]=100ppm、[N]=80ppm、[L]=1400ppm、日本果汁社製)、果糖ぶどう液糖(Bx=75.0、昭和産業社製)を用意し、表1に記載の配合割合(質量%)となるように混合し、更に容器詰発泡性飲料におけるpHが2.0〜4.0となるように酸味料を添加した後、95℃、30秒間の殺菌を行い、その後5℃まで冷却した。得られた飲料原液に対して、炭酸ガスボリュームが表1に示す値になるよう、純水と無添加炭酸水とによって規定量にメスアップした後、洗浄殺菌済みのPETボトルに充填した。その後、コールドスポットで65℃10分が確保できる後殺菌を行い、実施例1〜17及び比較例1〜5の容器詰発泡性飲料を得た。
なお、比較例5はオレンジ果汁のみを使用し、比較例6はオレンジ果汁にオレンジ香料(小川香料製)を1000ppm添加し、比較例7は炭酸水を使用せず、純水のみでメスアップした。
表1に従い作成した実施例1〜17及び比較例1〜7の容器詰発泡性飲料について、以下のとおり分析・測定を行った。
<ヘスペリジン含有量[H]及びナリルチン含有量[N]>
各容器詰発泡性飲料50mLを200mLの耐圧ビンに入れ、発泡がなくなるまで超音波処理を行い、さらに減圧下で発泡が収まるまで超音波処理を行い、各サンプルの前処理とした。
前処理を行った各サンプル100μLをメタノールで10倍希釈し、400G、5分間の遠心処理を行った。得られた上清をさらにメタノールで10倍希釈した後、0.45μmのフィルターでろ過し、測定用のサンプルとした。得られた測定用サンプルを、高速液体クロマトグラフ質量分析装置(Waters社製,Acquity TQ Detector)を用い、以下の条件により高速液体クロマトグラフィー質量分析に供した。得られた結果を表1に示した。
[液体クロマトグラフィー条件]
カラム:Waters Acquity UPLC BEH C18 1.7μm 2.1×100mm
カラム温度:40℃
注入量:2.0μL
移動相A:0.1%ギ酸水溶液
移動相B:アセトニトリル
グラジエント条件(B%):10%(0min)→30%(4min)→80%(6min)→80%(7min)→10%(7.1min)→10%(10min)
[質量分析条件]
ヘスペリジン:
イオン化方式:エレクトロスプレーイオン化(ESI)法
ポラリティ:ES−
検出:MRM (m/z 609 > 301)
以下の条件は一例であり、装置によって検出感度が最高となるように設定した。
キャピラリ電圧:3kV
コーン電圧:40V
コリジョン電圧:25V
ソース温度:130℃
デソルベーション温度:350℃
コーンガス流量:50L/hr
デソルベーションガス流量:800L/hr
コリジョンガス流量:0.20mL/min
[質量分析条件]
ナリルチン:
イオン化方式:エレクトロスプレーイオン化(ESI)法
ポラリティ:ES−
検出:MRM (m/z 609 > 301)
以下の条件は一例であり、装置によって検出感度が最高となるように設定した。
キャピラリ電圧:3kV
コーン電圧:50V
コリジョン電圧:30V
ソース温度:130℃
デソルベーション温度:350℃
コーンガス流量:50L/hr
デソルベーションガス流量:800L/hr
コリジョンガス流量:0.20mL/min
なお、前記方法で分析・測定したヘスペリジン含有量及びナリルチン含有量を足し合わせることで総量([H]+[N])とした。
<脂質含有量[L]>
脂質含有量はソックスレー抽出法により、電熱式脂肪抽出装置(フォス・ジャパン Soxtec 2050)にて測定した。各試料を200mlビーカーにはかり取り、7%硫酸銅溶液約10mlを加えてかき混ぜ、次いで1%水酸化ナトリウム溶液を微酸性〜中性になるまで滴下し、静置して水酸化銅の沈殿を生成させた。沈殿をろ紙(No5A、ADVANTEC社製)でろ過し、乾燥後、ろ紙、内容物及び脱脂綿を円筒ろ紙に入れた。受け器のフラスコにエーテル約80mlを入れ、円筒ろ紙と共に電熱式脂肪抽出装置(フォス・ジャパン Soxtec 2050)にセットし、抽出後、フラスコのエーテルが完全に蒸発したことを確認してから105℃の乾燥器で一晩放置した。加熱後デシケーター内に移し、室温になるまで放冷し、室温に達した後、秤量した。
<脂質含有量に対するヘスペリジン含有量及びナリルチン含有量の総量の比率([H]+[N]/[L])>
脂質含有量[L]に対するヘスペリジン含有量[H]及びナリルチン含有量[N]の比率、即ち(ヘスペリジン含有量+ナリルチン含有量/脂質含有量)により算出した。
<ガスボリューム[G]>
JAS法に基づく検査方法に準拠し、以下のようにして炭酸ガス量を測定した。容器詰発泡性飲料を恒温水槽に30分以上入れて静置して20℃に調整した後、サンプルを静かに取り出し、ガス内圧計を取り付けて、針先でキャップを開孔し、一度活栓を開いてガス抜き(所謂スニフト)し、直ちに活栓を閉じてから激しく振とうし、ゲージの指針が一定の位置に達したときの値(MPa)を読み取り記録した。
<Bx>
光学屈折率計(アタゴ社製、Digital Refractometers、RX5000α−Bev)を用いて、糖度を測定した。
<酸度>
空気をバブリングし、ガスを抜いた後、自動滴定装置(平沼産業株式会社製、COM−1750)を用い、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液を使用した電位差滴定法に基づいて、クエン酸換算で算出した。
<糖酸比>
酸度に対する糖度の比率、即ち(糖度/酸度)により算出した。
<[L]/[G]>
ガスボリューム[G]に対する脂質含有量[L]の比率、即ち(脂質含有量/ガスボリューム)により算出した。
<pH>
堀場製作所F−52型・卓上pHメーターにて品温20度にて測定した。
表1に従い作成した実施例1〜17及び比較例1〜7の試料について、下記のとおり官能評価を行った。
<官能評価>
実施例1〜17及び比較例1〜7の試料について、官能評価試験を行った。かかる官能評価試験は、訓練された7人のパネラーにより、5℃に冷却保管されたサンプル30gを試飲することにより行った。次に示す基準で、果実感、果皮感、トップの香り、収斂味(苦渋味)、炭酸感及び甘味と渋味のバランスの6項目に関し、5段階にて評価した。最も多かった評価を採用し、表1に示す。
なお、官能評価はまず「1.果実感:柑橘系果実らしい風味」、「2.果皮感:果皮のすっとしたやや青い味わい」及び「3.トップの香り:飲用してすぐに感じる柑橘系果実の香り」の評価合計を総合評価とした(1〜3総合評価)。
更に、上記3つの評価に加え「4.収斂味(苦渋味):飲用中期から後半に舌に残る苦渋味」、「5.炭酸感:炭酸による刺激の強さ」及び「6.甘味と酸味のバランス:」の評価合計も総合評価として記載した(1〜6総合評価)。

1.果実感:柑橘系果実らしい風味
5:果実感が強く、極めて良好
4:比較例5よりも果実感がやや強く、良好
3:果実感は香料を添加した比較例5と同程度
2:比較例5よりも果実感がやや弱く、あまりよくない
1:果実感が弱く、問題あり

2.果皮感:果皮のすっとしたやや青い味わい
5:果皮感が強く、極めて良好
4:比較例5よりも果皮感がやや強く、良好
3:果皮感は香料を添加した比較例5と同程度
2:比較例5よりも果皮感がやや弱く、あまりよくない
1:果皮感が弱く、問題あり

3.トップの香り:飲用してすぐに感じる柑橘系果実の香り
5:トップの香りが強く、極めて良好
4:比較例5よりもトップの香りがやや強く、良好
3:トップの香りは香料を添加した比較例5と同程度
2:比較例5よりもトップの香りがやや弱く、あまりよくない
1:トップの香りが弱く、問題あり

1〜3総合評価:
◎:上記官能評価の合計が13〜15であり、極めて良好
○:上記官能評価の合計が9〜12であり、良好
△:上記官能評価の合計が6〜8であり、やや問題あり
×:上記官能評価の合計が3〜5であり、問題あり


4.収斂味(苦渋味):飲用中期から後半に舌に残る苦渋味
5:収斂味をほとんど感じず、極めて良好
4:比較例5よりも収斂味が弱く、良好
3:収斂味は香料を添加した比較例5と同程度
2:比較例5よりも収斂味が強く、あまりよくない
1:収斂味が強く、問題あり

5.炭酸感:炭酸による刺激の強さ
5:炭酸感を強く感じ、極めて良好
4:比較例5よりも炭酸感が強く、良好
3:炭酸感は香料を添加した比較例5と同程度
2:比較例5よりも炭酸感が弱く、あまりよくない
1:炭酸感が弱く、問題あり

6.甘味と酸味のバランス:
5:甘味と酸味のバランスが最適であり、極めて良好
4:比較例5よりも甘味と酸味のバランスが良く、良好
3:甘味と酸味のバランスは香料を添加した比較例5と同程度
2:比較例5よりも甘味と酸味のバランスが悪く、あまりよくない
1:甘味と酸味のバランスが悪く、問題あり

1〜6総合評価:
◎:上記官能評価の合計が25〜30であり、極めて良好
○:上記官能評価の合計が18〜24であり、良好
△:上記官能評価の合計が12〜17であり、やや問題あり
×:上記官能評価の合計が6〜11であり、問題あり
Figure 0006699047
香料を添加せず、果実由来物を含有し、ヘスペリジン含有量[H]とナリルチン含有量[N]との総量([H]+[N])が15〜350ppmであり、且つ脂質含有量[L]に対するヘスペリジン含有量及びナリルチン含有量の総量([H]+[N])の比率(([H]+[N])/[L])が0.15〜0.78である実施例1〜17は、柑橘系果汁のトップの香り立ち及び果実感や果皮感といった柑橘系果汁由来の香味の厚みを感じることができ、良好であった。
また、ヘスペリジン含有量[H]とナリルチン含有量[N]との総量([H]+[N])が15〜350ppmであって、脂質含有量[L]に対するヘスペリジン含有量及びナリルチン含有量の総量([H]+[N])の比率(([H]+[N])/[L])が0.15〜0.78である実施例1〜11は、柑橘系果汁のトップの香り立ちが引き立ち、且つ果実感や果皮感といった柑橘系果汁由来の香味の厚みを保持していた。
また、実施例1〜11は糖酸比が20.2〜50.2であり、脂質含有量[L]が70〜490ppmであり、ガスボリューム[G]に対する脂質含有量[L]の比率([L]/[G])が34.8〜218.2であることで、柑橘系果汁由来の収斂味(苦渋味)が弱く、炭酸感及び甘味と酸味のバランスが良好であり、より好ましい評価となった。
とりわけ、ヘスペリジン含有量[H]とナリルチン含有量[N]との総量([H]+[N])が78ppmであり、脂質含有量[L]に対するヘスペリジン含有量及びナリルチン含有量の総量([H]+[N])の比率(([H]+[N])/[L])が0.43である実施例1は、香料を添加していないにも関わらず、柑橘系果汁のトップの香り立ちが強く引き立っており、果実感や果皮感といった果汁由来の香味の厚みも十分に保持しており、極めて良好であった。
更に、実施例1は糖酸比が34.4であり、脂質含有量[L]が180ppmであり、ガスボリューム[G]に対する脂質含有量[L]の比率([L]/[G])が69.2であることで、柑橘系果汁由来の収斂味(苦渋味)をほとんど感じることなく、炭酸感及び甘味と酸味のバランスが極めて良好となり、特に好ましい評価となった。
本願発明は、香料を添加することなく、柑橘系果汁のトップの香り立ちを引き立たせながら、果実感や果皮感といった果汁由来の香味の厚みを保持した容器詰発泡性飲料及びその製造方法、並びに香味保持方法に利用することができる。

Claims (8)

  1. 果実由来物を含有する容器詰発泡飲料であって、
    香料を実質的に含有せず、
    飲料液中のヘスペリジン含有量[H]とナリルチン含有量[N]の合計([H]+[N])が54〜185ppmであるとともに、脂質含有量[L]に対する前記ヘスペリジンとナリルチンの合計含有量の比率(([H]+[N])/[L])が0.15〜0.78であることを特徴とする容器詰発泡性飲料。
  2. 前記果実由来物の一部又は全部が日向夏及び/又は柚子由来であることを特徴とする請求項1に記載の容器詰発泡性飲料。
  3. 前記容器詰発泡性飲料中の糖酸比が16.0〜60.0であることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器詰容器詰発泡性飲料。
  4. 前記容器詰発泡性飲料中の脂質含有量(L)が60〜500ppmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の容器詰容器詰発泡性飲料。
  5. 前記容器詰発泡性飲料中の脂質含有量[L]に対するガスボリューム[G]の比率([L]/[G])が33.0〜235.0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の容器詰発泡性飲料。
  6. 香料を実質的に含有せず、果実由来物を含有する容器詰発泡飲料における日向夏及び/又は柚子由来の香味付与剤であって、前記容器詰発泡性飲料中のヘスペリジン含有量[H]とナリルチン含有量[N]の合計([H]+[N])が54〜185ppm、脂質含有量[L]に対するヘスペリジン含有量及びナリルチン含有量の総量([H]+[N])の比率(([H]+[N])/[L])が0.15〜0.78となるように用いられる香味付与剤。
  7. 果実由来物を含有する容器詰発泡飲料であって、
    香料を実質的に含有せず、
    飲料液中のヘスペリジン含有量[H]とナリルチン含有量[N]の合計([H]+[N])が54〜185ppmに調整され、脂質含有量[L]ppmに対する前記ヘスペリジンとナリルチンの合計含有量の比率(([H]+[N])/[L])が0.15〜0.78に調整されることを特徴とする容器詰発泡性飲料の製造方法。
  8. 果実由来物を含有する容器詰発泡飲料であって、
    香料を実質的に含有せず、
    飲料液中のヘスペリジン含有量[H]とナリルチン含有量[N]の合計([H]+[N])が54〜185ppmに調整され、脂質含有量[L]に対する前記ヘスペリジンとナリルチンの合計含有量の比率(([H]+[N])/[L])が0.15〜0.78に調整されることを特徴とする容器詰発泡性飲料の香味保持方法。
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