JP6608087B1 - 炭酸飲料、および炭酸飲料の茶風味向上方法 - Google Patents

炭酸飲料、および炭酸飲料の茶風味向上方法 Download PDF

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Abstract

【課題】自然な感じの茶風味が得られる炭酸飲料を提供する。【解決手段】炭酸飲料は、リナロールを0.1ppm以上、10ppm未満含み、ガスボリュームが3.5v/v以上である、茶風味を有する容器詰め飲料である。【選択図】なし

Description

本発明は、炭酸飲料、および炭酸飲料の茶風味向上方法に関する。
近年、水のように喫飲される飲料として、水に香料や果汁エキスなどが配合された透明性の高い飲料の需要が高まり、注目されている。かかる飲料は、ニアウォーターとも呼ばれ、水のような外観と飲みやすさを維持するため、酸味料や甘味料等の配合が抑制されている。そのため、ニアウォーターの嗜好性を高めたり広げるためには制限が多くなるため、新たなニアウォーターの開発に際し、様々な検討・研究が盛んに行われている。
一方、リナロールは、植物の精油に含まれる成分であり、具体的には、柑橘類やお茶類に含まれる成分として広く知られ、多くの飲料に用いられている。例えば、特許文献1には、リナロール100〜5000ppbを含有し、茶風味を有する無色透明飲料が開示されている。特許文献1によれば、所定のリナロールと酸味料を含む無色透明飲料に、ベンズアルデヒド、サリチル酸メチル、およびβ−ダマセノンからなる群から選ばれる1種を添加することで、後口のキレを向上させることができる。
特許第6301562号公報
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1に開示される技術は、茶風味が得られるものの、糖度を低くすると、香りが際立ち、香りが単調に感じられる結果、人工感が生じて飲みにくくなるという問題があることが知見された。
そこで、かかる問題を解決する観点からさらに鋭意検討がなされた結果、所定量のリナロールを含む茶風味の飲料に対し、炭酸ガスを組み合わせることで、糖度を低くしたとしても、人工感が低減し、自然な茶風味が得られることが見出され、本発明が完成された。
本発明によれば、
リナロールを0.1ppm以上、10ppm未満と、ゲラニオールを0.05ppm以上、10ppm未満含み、
ガスボリュームが3.5v/v以上、6.5v/v以下であり、
420nmの吸光度が0.05以下であり、
高甘味度甘味料を含まず、無糖である、茶風味を有する容器詰め炭酸飲料が提供される。
本発明によれば、
炭酸飲料中のリナロールの濃度が0.1ppm以上、10ppm未満、ゲラニオールの濃度が0.05ppm以上、10ppm未満となるように調製する工程と、
ガスボリュームが3.5v/v以上、6.5v/v以下となるように炭酸飲料を調製する工程と、
当該炭酸飲料を容器詰めする工程と、
を含む、420nmの吸光度が0.05以下であり、高甘味度甘味料を含まず、無糖である炭酸飲料の茶風味向上方法が提供される。
本発明によれば、自然な感じの茶風味が得られる炭酸飲料が提供される。
以下、本発明の実施の形態について、詳細を説明する。
[炭酸飲料]
本実施形態の炭酸飲料は、0℃、1気圧におけるガスボリュームが3.5v/v以上であり、好ましくは3.6v/v以上であり、より好ましくは3.7v/v以上である。ガスボリュームを上記下限値以上とすることにより、茶風味が増強するとともに、人工感が低減し自然な感じの茶風味が得られ、また、飲料全体の風味のバランスを良好にし、おいしさも向上できる。
一方、炭酸飲料の嗜好性を保持する観点から、0℃、1気圧におけるガスボリュームの上限は、好ましくは6.5v/v以下であり、より好ましくは5.5v/v以下である。
炭酸飲料中のガスボリュームは公知の方法で測定することができる。例えば、市販の測定器(京都電子工業製ガスボリューム測定装置GVA−500B)を用いて測定することができる。
なお、ガスボリュームは、標準状態(1気圧、0℃)において、炭酸飲料全体の体積に対して、炭酸飲料中に溶けている炭酸ガスの体積を表したものである。
[リナロール]
リナロールは、茶風味を呈するものであり、茶葉などに由来するものであってもよく、合成されたものであってもよい。
本実施形態の炭酸飲料は、リナロールを0.1ppm以上、10ppm未満含むものであり、好ましくは0.3ppm以上、9.5ppm以下であり、より好ましくは0.7ppm以上、9.0ppm以下である。
リナロール濃度を、上記下限値以上とすることにより、茶風味が感じられやすくなり、おいしさも向上できる。一方、リナロール濃度を、上記上限値以下とすることにより、自然な感じが得られやすくなる。
本実施形態の炭酸飲料は、リナロールを0.1ppm以上、10ppm未満含み、かつ、ガスボリュームを3.5v/v以上とすることにより、自然な感じの茶風味が得られる。かかるメカニズムの詳細は明らかではないが、まず、香料を加えた場合、糖度を低くすると、香りが際立ち、香りが単調に感じられる結果、人工感が生じて飲みにくくなることが本発明者により知見されている。そしてかかる知見の下、本実施形態の炭酸飲料においては、リナロールに由来する茶風味が炭酸ガスととともに口中で感じられることにより、香りが複雑化し、人工感が低減し、茶葉から抽出した自然な風味に近似した風味が得られると推測される。また、炭酸による酸味と刺激により、水っぽさが低減し、より茶風味が増すとともに、飲料全体の風味のバランスが良好となり、おいしさも向上できると考えられる。
なお、本実施形態の炭酸飲料中の香気成分の含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS、アジレント・テクノロジー社製、7890A GC/5975C MSD)を用いた固相マイクロ抽出法(SPME)法により定量することができる。
定量には絶対検量線法を用いる。なお、上記測定サンプルについて3サンプルずつ準備し、その定量結果の平均値を測定結果とすることができる。準備した測定サンプルを含む20mLバイアル瓶を、70℃で10分間の加熱処理を施した後、当該バイアル瓶の気相部分にSUPELCO社製のSPMEファイバー(DVB/CAR/PDMS)を挿入し、5分間、揮発成分を捕集する。このSPMEファイバーをGC/MSに設置し、300秒間焼成することにより、捕集した揮発成分を脱離することができる。
さらに、本実施形態の炭酸飲料は、以下の構成を備えることにより、一層自然な茶風味が得られるようになる。
[ゲラニオール]
本実施形態の炭酸飲料は、さらにゲラニオールを含むことが好ましい。これにより、自然な風味を保持しつつ、茶風味をより増強することができる。
ゲラニオールは、茶風味を呈するものであり、茶葉などに由来するものであってもよく、合成されたものであってもよい。
本実施形態の炭酸飲料は、ゲラニオールを好ましくは0.05ppm以上、10ppm未満含み、より好ましくは0.08ppm以上、7ppm以下であり、さらに好ましくは0.1ppm以上である。
ゲラニオール濃度を、上記下限値以上とすることにより、自然な風味を保持しつつ、茶風味をより増強することができる。一方、ゲラニオール濃度を、上記上限値以下とすることにより、自然な感じが得られやすくなる。
[糖類]
本実施形態の炭酸飲料は、無糖であることが好ましい。これにより、本実施形態の炭酸飲料による人工感の低減作用がより顕著に得られるようになる。
なお、健康増進法に基づく栄養表示基準においては、飲料100mlあたり0.5g未満であれば「無糖」と表示することができる。本明細書においても当該栄養表示基準と同様に、糖類の含有量が飲料100mlあたり0.5g未満を無糖という。
本実施形態の炭酸飲料の糖類の含有量は、好ましくは飲料100mlあたり0.5g未満であり、より好ましくは飲料100mL中0.0gである。
当該糖類は、果糖、ぶどう糖、ショ糖などの単糖類および二糖類をいう。
また、本実施形態の炭酸飲料は、糖類以外の甘味料、例えばアスパルテームなどの高甘味度甘味料についても含有しないことが好ましい。
[ブリックス値]
本実施形態の炭酸飲料のブリックス値は、炭酸飲料の水らしさを得る観点から、好ましくは10°以下であり、より好ましくは6°以下であり、さらに好ましくは3°以下であり、もっとも好ましくは0°である。
なお、「ブリックス値」は、例えば、糖用屈折計示度「RX−5000α」株式会社アタゴ製を用い、液温20℃で測定することができる。
[外観]
炭酸飲料は、透明な飲料であることが好ましい。本実施形態において、透明とは、飲料中に浮遊物、沈殿物といった不溶物が観察されないことを意味する。具体的には、波長720nmにおける吸光度が、好ましくは0.05以下であり、より好ましくは0.01以下である。
すなわち、従来、透明な飲料を得ようとすると、果汁、酸味料および甘味料等の配合が制限されるため効果的に人工感を抑止することが困難であったのに対し、本実施形態の炭酸飲料においては、透明な炭酸飲料であるにもかかわらず、人工感を抑制し、自然な感じの茶風味を得ることができる。
なお、波長720nmにおける吸光度は、例えば、紫外可視分光光度計(UV−1600(株式会社島津製作所製))を用いて、光路長1cmの石英セルに飲料を入れて測定することができる。
さらに、炭酸飲料は、無色透明な飲料であることが好ましい。具体的には、波長420nmにおける吸光度が、好ましくは0.05以下であり、より好ましくは0.01以下である。
すなわち、本実施形態の炭酸飲料は、水のような外観と飲みやすさを維持しつつ、人工感を抑制し、自然な感じの茶風味を得ることができる。
なお、波長420nmにおける吸光度は、例えば、紫外可視分光光度計(UV−1600(株式会社島津製作所製))を用いて、光路長1cmの石英セルに飲料を入れて測定することができる。
[酸度]
本実施形態の炭酸飲料の酸度は、茶風味炭酸飲料の嗜好性を向上させる観点から、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以下であり、最も好ましくは0.00質量%である。
なお、「酸度」とは、炭酸飲料中に含まれている酸の量をクエン酸の相当量として換算した値、すなわち、クエン酸酸度(質量%)として表した数値を指す。
[その他]
本実施形態の炭酸飲料は、本発明の効果を損なわない範囲において、その他成分として、通常の飲料に用いられる香料(フレーバー)、甘味料、酸味料、果汁、酸化防止剤、塩類などのミネラル、苦味料、消泡剤、栄養強化剤、pH調整剤などを含んでもよい。
香料としては、天然香料または合成香料であって、例えば、茶フレーバー、フルーツフレーバー、植物フレーバー、またはこれらの混合物を用いることができる。
茶フレーバーは、飲料中に含有された際に茶類を想起させるフレーバーであればよく、特に限定されるものではない。
茶類としては、代表的には、ツバキ科カメリア属の植物を原材料として加工された茶製品があり、例えば、煎茶、深蒸し煎茶、玉露、かぶせ茶、番茶、玉緑茶、粉茶、芽茶、ほうじ茶、玄米茶、および抹茶などの不発酵茶、黄茶、白茶、ウーロン茶、紅茶、および黒茶(プーアール茶)などの発酵茶が挙げられる。さらに、これに限られず、麦茶、ドクダミ茶、まめ茶、甜茶、ゴボウ茶、そば茶、およびブレンド茶なども挙げることができる。なかでも、炭酸との相性が良く、自然な風味が得られ、おいしさを向上できる観点から紅茶であることが好ましい。
また、茶フレーバーとしては、上述のリナロール、ゲラニオールの他、例えば、(Z)−3−ヘキセノール、ジメチルスルフィド、β−ヨノン、3−メチル−2,4−ナノンジオン、フラネオール、メチオナール、インドール、ジャスモン酸メチル、リナロール、サリチル酸メチル、β−ダマセノン、フェネチルアルコール、ホトリエノール、2,4−ヘプタジエナール、および1−オクテン−3−オールなどの香気成分が挙げられる。
甘味料は、甘みを付与するために用いられる。
甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、砂糖(ショ糖やグラニュー糖を含む)、果糖、高果糖液糖、ぶどう糖、オリゴ糖、乳糖、はちみつ、水飴(麦芽糖)、糖アルコール、高甘味度甘味料等が挙げられる。
高甘味度甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、キシリトール、グリチルリチン酸二ナトリウム、サッカリン、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、スクラロース、ネオテーム、アラビノース、カンゾウ抽出物、キシロース、ステビア、タウマチン、ラカンカ抽出物、ラムノース及びリボースが挙げられる。
これら甘味料は、1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を用いてもよい。
酸味料は、酸味を付与し嗜好性を向上させるために用いられる。
酸味料としては、例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、コハク酸、氷酢酸、フマル酸、フィチン酸、リン酸及びそれらの塩等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
また、本実施形態の炭酸飲料は、自然な風味をより顕著に得る観点から、香料以外を実質的に含まないことが好ましい。すなわち、甘味料や酸味料などを含まず、水、香料からなる炭酸飲料であることが好ましい。
なお、炭酸飲料の製造上用いられる消泡剤が含まれていてもよい。消泡剤は、消泡の用途に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、シリコーンオイル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びグリセリン脂肪酸エステル及び/又はソルビタン脂肪酸エステルの油脂組成物等が挙げられる。
[容器詰め炭酸飲料]
容器としては、飲料を密封できる公知の容器を、適宜選択して用いることができる。例えば、ガラス、紙、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、アルミ、およびスチール等の単体もしくはこれらの複合材料又は積層材料からなる密封容器が挙げられる。また、容器の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶等が挙げられる。さらに飲料を外観から観察し、透明性、色などを確認できる観点から、容器の色としては、透明であることが好ましく、無色透明であることがより好ましい。また、取扱性、流通性、携帯性等の観点から、ペットボトルであることが好ましい。
[炭酸飲料の種類]
本実施形態の炭酸飲料は、茶風味を有する飲料であればよく、たとえば、サイダー飲料等の非着色飲料、ラムネ飲料、果汁入り飲料、着色炭酸飲料(たとえば、コーラ飲料やメロンソーダ等)、ノンアルコールビール飲料等の各種炭酸ガスを含む飲料、または、ビール、発泡酒、チューハイ、カクテル等のアルコール含有炭酸飲料とすることもできる。
なかでも茶風味を向上しつつ、自然な風味が得られやすくなる観点から、無糖紅茶炭酸飲料であることが好適である。
[茶風味向上方法]
本実施形態の容器詰め炭酸飲料の茶風味向上方法は、
飲料中の濃度が0.1ppm以上、10ppm未満となるようにリナロールを飲料水に配合する工程と、
ガスボリュームが3.5v/v以上となるように炭酸飲料を調製する工程と、
当該炭酸飲料を容器詰めする工程と、
を含む。
かかる炭酸飲料の茶風味向上方法によれば、炭酸飲料の茶風味を自然な感じとすることができる。なお、炭酸ガスの圧入、ガスボリュームの調製方法、および容器詰め方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明の参考形態の一例を示す。
<1>
リナロールを0.1ppm以上、10ppm未満含み、
ガスボリュームが3.5v/v以上である、茶風味を有する容器詰め炭酸飲料。
<2>
無糖である、<1>に記載の炭酸飲料。
<3>
ゲラニオールを、0.05ppm以上、10ppm未満含む、<1>または<2>に記載の炭酸飲料。
<4>
ブリックス値が10°以下である、<1>乃至<3>のいずれか一つに記載の炭酸飲料。
<5>
香料以外を実質的に含まない、<1>乃至<4>のいずれか一つに記載の炭酸飲料。
<6>
720nmの吸光度が0.05以下である、<1>乃至<5>のいずれか一つに記載の炭酸飲料。
<7>
420nmの吸光度が0.05以下である、<1>乃至<6>のいずれか一つに記載の炭酸飲料。
<8>
飲料中の濃度が0.1ppm以上、10ppm未満となるようにリナロールを飲料水に配合する工程と、
ガスボリュームが3.5v/v以上となるように炭酸飲料を調製する工程と、
当該炭酸飲料を容器詰めする工程と、
を含む、炭酸飲料の茶風味向上方法。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実験1:糖類の有無と炭酸ガスボリュームの違いによる風味の検証]
<実施例1〜2、比較例1〜3>
純水に対し、紅茶風味を呈するフレーバーを添加し、混合した。さらに、炭酸ガスボリューム(0℃、1気圧)が表1に示す値となるように各炭酸飲料を調製し、500mlペットボトルに充填し、容器詰め飲料を得た。いずれの炭酸飲料も、リナロール7.8ppm、ゲラニオール0.6ppm含むものであった。
<対照例1>
純水に対し、糖類(果糖ぶどう糖液糖、55g/L)、酸味料(クエン酸、0.85g/L、クエン酸三ナトリウム、0.4g/L)を配合し、炭酸ガスを圧入しなかった以外は、上記実施例1と同様にして、飲料を得た。得られた飲料は、リナロール7.8ppm、ゲラニオール0.6ppm含むものであった。
上記で得られた各飲料について、以下の測定および評価を行った。結果を表1に示す。
<測定>
・香気成分の分析:ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS、アジレント・テクノロジー社製、7890A GC/5975C MSD)を用いた固相マイクロ抽出法(SPME)法により定量した。
定量には絶対検量線法を用いた。なお、上記測定サンプルについて3サンプルずつ準備し、その定量結果の平均値を測定結果とした。
準備した測定サンプルを含む20mLバイアル瓶を、70℃で10分間の加熱処理を施した後、当該バイアル瓶の気相部分にSUPELCO社製のSPMEファイバー(DVB/CAR/PDMS)を挿入し、5分間、揮発成分を捕集した。このSPMEファイバーをGC/MSに設置し、300秒間焼成することにより、捕集した揮発成分を脱離した。
GC/MSの分析条件は以下の通りとした。
カラム:アジレント・テクノロジー社製、DB−WAX 0.25mm×30m×0.25μm
オーブン温度:40℃で5分、その後3℃/分の速度で180℃まで昇温。
キャリアガス:ヘリウム
注入口温度:230℃
注入方法:スプリットレス
・炭酸ガスボリューム(ガスvol):京都電子工業株式会社製「GVA−500B」を用いた。操作は20℃の室温で行った。
・ブリックス値(°):糖用屈折計示度「RX−5000α」株式会社アタゴ製を用いてブリックス値を測定した。飲料の液温は20℃とした。
・吸光度(波長720nm):飲料を光路長1cmのセルに入れて、市販の分光光度計で測定した値とした。なお、吸光度測定は、20℃の温度条件下、石英セルを用いて実施した。
・吸光度(波長420nm):飲料を光路長1cmのセルに入れて、市販の分光光度計で測定した値とした。なお、吸光度測定は、20℃の温度条件下、石英セルを用いて実施した。
<評価>
・官能評価:実施例および比較例の飲料(4℃)それぞれを、熟練した5名のパネラーが試飲し、以下の評価基準に従い、「おいしさ」、「紅茶風味」、「自然な感じがする」それぞれについて、7段階(1〜7点)評価を実施し、その平均点を求めた。また、評価する際は、対照例1の飲料を対照品(基準値4点)として評価を実施した。なお、評価は、数値が大きいほど良好な結果であることを表す。
・評価基準
「紅茶風味」
7点・・・対照品よりも非常に強い
6点・・・対照品よりも強い
5点・・・対照品よりもわずかに強い
4点・・・対照品と同等の強さ
3点・・・対照品よりもわずかに弱い
2点・・・対照品よりも弱い
1点・・・対照品よりも非常に弱いか全く感じない
「自然な感じがする」
7点・・・対照品よりも非常に自然な感じがする
6点・・・対照品よりも自然な感じがする
5点・・・対照品よりもわずかに自然な感じがする
4点・・・対照品と同等の自然な感じ
3点・・・対照品よりもわずかに自然な感じがしない
2点・・・対照品よりも自然な感じがしない
1点・・・対照品よりも非常に自然な感じがしないか全く自然な感じがしない
「おいしさ」
7点・・・対照品よりも非常によい
6点・・・対照品よりもよい
5点・・・対照品よりもわずかによい
4点・・・対照品と同等程度
3点・・・対照品よりもわずかに劣る
2点・・・対照品よりも劣る
1点・・・対照品よりも非常に劣る
Figure 0006608087
[実験2:リナロール濃度とゲラニオール濃度の違いによる風味の検証]
<実施例3〜13、比較例4〜9、対照例2>
リナロール濃度(ppm)とゲラニオール濃度(ppm)が表2,3に示す数値となるように、純水に対し、リナロールおよびゲラニオールを添加し、混合した。さらに、炭酸ガスボリューム(0℃、1気圧)が4.0v/vとなるように各炭酸飲料を調製し、500mlペットボトルに充填し、容器詰め飲料を得た。
上記で得られた各飲料について、対照例2を対照品(基準)とした以外は、実験1と同様にして評価を行った。結果を表2,3に示す。
Figure 0006608087
Figure 0006608087
[実験3:リナロール及びゲラニオール以外の香気成分による風味への影響の検証]
<実施例14,15>
サリチル酸メチル濃度が0.04ppmとなるように、純水に対し、サリチル酸メチルを添加した以外は、実施例4,5と同様にして、各炭酸飲料を得た。
<対照例3>
純水に対し、リナロール、ゲラニオール、およびサリチル酸メチルを添加しなかった以外は、上記実施例14と同様にして、炭酸飲料を得た。
上記で得られた各飲料について、対照例3を対照品(基準)とした以外は、実験1と同様にして評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 0006608087
表4より、茶の特徴香の一つであるサリチル酸メチルを添加しても、リナロールを0.1ppm以上、10ppm未満含み、ガスボリュームを3.5v/v以上とすることにより、自然な感じが得られる茶風味の炭酸飲料が得られることが確認された。

Claims (5)

  1. リナロールを0.1ppm以上、10ppm未満と、ゲラニオールを0.05ppm以上、10ppm未満含み、
    ガスボリュームが3.5v/v以上、6.5v/v以下であり、
    420nmの吸光度が0.05以下であり、
    高甘味度甘味料を含まず、無糖である、茶風味を有する容器詰め炭酸飲料。
  2. ブリックス値が10°以下である、請求項1に記載の炭酸飲料。
  3. 水、炭酸ガス、香料からなる、請求項1または2に記載の炭酸飲料。
  4. 720nmの吸光度が0.05以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の炭酸飲料。
  5. 炭酸飲料中のリナロールの濃度が0.1ppm以上、10ppm未満、ゲラニオールの濃度が0.05ppm以上、10ppm未満となるように調製する工程と、
    ガスボリュームが3.5v/v以上、6.5v/v以下となるように炭酸飲料を調製する工程と、
    当該炭酸飲料を容器詰めする工程と、
    を含む、420nmの吸光度が0.05以下であり、高甘味度甘味料を含まず、無糖である炭酸飲料の茶風味向上方法。
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