JP6697335B2 - 光電変換素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換素子に関する。
光電変換素子として、安価で、高い光電変換効率が得られることから色素を用いた光電変換素子が注目されている。
このような色素を用いた光電変換素子として、光電変換セルと、光電変換セルから電流を取り出すための2つの外部接続端子とを備える色素増感太陽電池素子が知られている(下記特許文献1参照)。下記特許文献1には、光電変換セルが、透明導電層を有する透明導電性基板と、透明導電性基板に対向し、金属基板を有する対極と、透明導電性基板と対極とを接合する環状の封止部とを有し、2つの外部接続端子が透明導電性基板の透明導電層上であって環状の封止部の外側に設けられることが開示されている。さらに下記特許文献1には、上記2つの外部接続端子にコネクタを接続させることも開示されている。
特開2014−211951号公報
しかし、上記特許文献1に記載の光電変換素子は以下の課題を有していた。すなわち、上記特許文献1では、透明導電性基板上に、コネクタを接続させる2つの外部接続端子が設けられるため、透明導電性基板上に2つの外部接続端子のためのスペースが必要であり、この2つの外部接続端子用のスペースを確保するために、封止部の開口面積を小さくせざるを得なかった。このため、上記特許文献1に記載の光電変換素子は、開口率の低下防止の点で改善の余地を有していた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、開口率を向上させることができる光電変換素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、少なくとも1つの光電変換セルと、前記少なくとも1つの光電変換セルから電流を取り出すための第1外部接続端子と、前記少なくとも1つの光電変換セルから電流を取り出すための第2外部接続端子と、前記第1外部接続端子及び前記第2外部接続端子から電流を取り出すコネクタとを備え、前記光電変換セルが、第1導電性基板を有し、前記第1導電性基板が、透明基板、及び、前記透明基板上に設けられる第1透明導電部を有し、前記第2導電性基板が金属基板を有し、前記封止部が、樹脂を含む樹脂封止部を有し、前記コネクタが、コネクタ本体部と、前記コネクタ本体部に設けられ、前記第1外部接続端子に固定される第1コネクタ端子と、前記コネクタ本体部に設けられ、前記第2外部接続端子に固定される第2コネクタ端子とを有し、前記第1外部接続端子が、前記少なくとも1つの光電変換セルのうちの1つの光電変換セルの前記環状の封止部の外側であって前記第1導電性基板の前記第1透明導電部に設けられ、前記第2外部接続端子が、前記少なくとも1つの光電変換セルのうちの1つの光電変換セルの前記第2導電性基板の前記金属基板上に設けられている光電変換素子である。
この光電変換素子によれば、第1外部接続端子が、少なくとも1つの光電変換セルのうちの1つの光電変換セルの環状の封止部の外側であって第1導電性基板の第1透明導電部に設けられ、第2外部接続端子が、少なくとも1つの光電変換セルのうちの1つの光電変換セルの第2導電性基板の金属基板上に設けられ、コネクタの第1コネクタ端子が第1外部接続端子に接続され、第2コネクタ端子が第2外部接続端子に接続されている。すなわち、コネクタを介して光電変換セルから電流を取り出すために、第1導電性基板の第1透明導電部に設ける外部接続端子を第1外部接続端子のみとすることが可能となる。このため、第1導電性基板上であって環状の封止部の外側に、第2外部接続端子を設けるためのスペースを設ける必要がなくなる。その分、封止部の内側の開口面積を増加させることが可能となり、光電変換素子の開口率を向上させることが可能となる。
上記光電変換素子は、前記コネクタ本体部と前記第1導電性基板とを接着し、前記封止部の前記樹脂封止部よりも小さい線膨張係数を有する接着部をさらに備えることが好ましい。
この場合、光電変換素子が温度変化の大きな環境下に置かれると、封止部の樹脂封止部が伸縮して封止部の厚さが増大する。このとき、接着部が封止部の樹脂封止部の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有し、この接着部によってコネクタ本体部と第1導電性基板とが接着されている。このため、コネクタのコネクタ本体部が第1導電性基板から離れる方向に移動しようとしても、コネクタ本体部が第1導電性基板から離れる方向に移動することが接着部によって十分に抑制される。このため、コネクタ本体部の移動により第1コネクタ端子と第1外部接続端子との間、及び、第2コネクタ端子と第2外部接続端子との間に過大な応力が加わることが十分に抑制され、第1外部接続端子からの第1コネクタ端子の剥離、及び、第2外部接続端子からの第2コネクタ端子の剥離が十分に抑制される。その結果、本発明の光電変換素子によれば、温度変化の大きな環境下においても優れた耐久性を有することも可能となる。
上記光電変換素子においては、前記接着部が、本体部と、前記本体部から張り出す張出し部とを有し、前記張出し部が、前記コネクタ本体部と前記第2導電性基板の前記金属基板とを接着していることが好ましい。
この場合、本発明の光電変換素子が温度変化の大きな環境下に置かれると、封止部が伸縮して封止部の厚さが変化する。このとき、接着部が封止部の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有し、この接着部の張出し部がコネクタ本体部と第2導電性基板の金属基板とを接着している。このため、例えば第2導電性基板の金属基板が第1導電性基板に近づく方向に移動しようとしても、金属基板が第1透明導電部に近づく方向に移動することが十分に抑制される。そのため、金属基板の移動により第2外部接続端子と第2コネクタ端子との間に過大な応力が加わることがより十分に抑制され、第2外部接続端子からの第2コネクタ端子の剥離が十分に抑制される。その結果、本発明の光電変換素子によれば、温度変化の大きな環境下においてもより優れた耐久性を有することが可能となる。
上記光電変換素子においては、前記第2導電性基板の前記金属基板がチタンを含み、前記第2外部接続端子が、金属と、樹脂と、カーボンとを含むことが好ましい。
この場合、第2外部接続端子が金属基板から剥離しにくくなる。
本発明によれば、開口率を向上させることができる光電変換素子が提供される。
本発明の光電変換素子の第1実施形態を示す平面図である。 図1のII−II線に沿った部分切断面端面図である。 図2の部分拡大図である。 図1の光電変換素子の第1導電性基板を示す平面図である。 図4の第1導電性基板に酸化物半導体層及び封止部を設けた状態を示す平面図である。 図1の光電変換素子の製造方法の一工程を示す平面図である。 本発明の光電変換素子の第2実施形態の一部を示す部分切断面端面図である。 本発明の光電変換素子の第3実施形態の一部を示す部分切断面端面図である。
以下、本発明の実施形態について図1〜図5を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の光電変換素子の一実施形態を示す平面図、図2は、図1のII−II線に沿った切断面端面図、図3は、図2の部分拡大図、図4は、図1の光電変換素子の第1導電性基板を示す平面図、図5は、図4の第1導電性基板に酸化物半導体層及び封止部を設けた状態を示す平面図である。
図1〜図5に示すように、光電変換素子100は、1つの光電変換セル50と、光電変換セル50から電流を取り出すための第1外部接続端子70aと、光電変換セル50から電流を取り出すための第2外部接続端子70bと、第1外部接続端子70a及び第2外部接続端子70bから電流を取り出すコネクタ60とを備えている。
図2に示すように、光電変換セル50は、第1導電性基板10と、第1導電性基板10に対向する第2導電性基板20と、第1導電性基板10上に設けられる酸化物半導体層13と、第1導電性基板10及び第2導電性基板20の間に設けられる電解質40と、第1導電性基板10及び第2導電性基板20を接合する環状の封止部30とを備えている。電解質40は、第1導電性基板10、第2導電性基板20及び封止部30によって形成されるセル空間に充填されている。
図2〜図4に示すように、第1導電性基板10は、透明基板11と、透明基板11の上に設けられる第1透明導電部としての透明導電層12とで構成されている。
図2に示すように、酸化物半導体層13は、封止部30の内側に配置されている。また酸化物半導体層13には色素が吸着されている。
図2に示すように、封止部30は第1導電性基板10上に設けられている。封止部30は、無機材料で構成される無機封止部30Bと、無機封止部30Bと第2導電性基板20とを連結し、樹脂を含む樹脂封止部30Aとで構成されている。図5に示すように、封止部30はその厚さ方向に沿って見た場合に四角環状をなしており、四角環状の封止部30は、4本の線状部30aと、2本の線状部30aを延長させて交差させてなる4つの交差部30bとを有しており、4つの交差部30bのうちの1つの交差部30cにおいて酸化物半導体層13と反対側の角部30dが切り欠かれている。
図2に示すように、第2導電性基板20は、基板と電極を兼ねる金属基板21と、金属基板21の第1導電性基板10側に設けられて電解質40の還元に寄与する導電性の触媒層22とを備えている。第2導電性基板20はその厚さ方向に沿って見た場合に四角形状をなしており、4つの角部のうち1つの角部が切り欠かれている(図1参照)。この角部が切り欠かれるとともに封止部30の4つの交差部30bのうち1つの交差部30cから角部が切り欠かれることによって第1導電性基板10の角部が露出されている。
第1外部接続端子70aは、光電変換セル50の環状の封止部30の外側であって第1導電性基板10の透明導電層12に設けられている。一方、第2外部接続端子70bは、光電変換セル50の第2導電性基板20の金属基板21上に設けられている。
一方、図3に示すように、コネクタ60は、コネクタ本体部61と、コネクタ本体部61に設けられる第1コネクタ端子62aと、コネクタ本体部61に設けられる第2コネクタ端子62bとを有している。第1コネクタ端子62aは、第1固定部80aによって第1外部接続端子70aに固定され、第2コネクタ端子62bは、第2固定部80bによって第2外部接続端子70bに固定されている。
また、第1導電性基板10上には接着部90が設けられている。そして、接着部90は、コネクタ本体部61と第1導電性基板10とを接着し、封止部30よりも小さい線膨張係数を有している。また、本実施形態では、接着部90は、本体部90aと、本体部90aから張り出す張出し部90bとを有し、張出し部90bが、コネクタ本体部61と第2導電性基板20の金属基板21とを接着している。
光電変換素子100によれば、第1外部接続端子70aが、光電変換セル50の環状の封止部30の外側であって光電変換セル50の第1導電性基板10の透明導電層12に設けられ、第2外部接続端子70bが、光電変換セル50の第2導電性基板20の金属基板21上に設けられ、コネクタ60の第1コネクタ端子62aが、第1固定部80aによって第1外部接続端子70aに固定され、第2コネクタ端子62bが、第2固定部80bによって第2外部接続端子70bに固定されている。すなわち、コネクタ60を介して光電変換セル50から電流を取り出すために、第1導電性基板10の透明導電層12に設ける外部接続端子を第1外部接続端子70aのみとすることが可能となる。このため、第1導電性基板10上であって環状の封止部30の外側に、第2外部接続端子70bを設けるためのスペースを設ける必要がなくなる。その分、封止部30の内側の開口面積を増加させることが可能となり、光電変換素子100の開口率を向上させることが可能となる。
また、光電変換素子100が温度変化の大きな環境下に置かれると、封止部30の樹脂封止部30Aが伸縮して封止部30の厚さが変化する。このとき、接着部90が封止部30の樹脂封止部30Aの線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有し、この接着部90によってコネクタ本体部61と第1導電性基板10とが接着されている。このため、コネクタ60のコネクタ本体部61が第1導電性基板10から離れる方向に移動しようとしても、コネクタ本体部61が第1導電性基板10から離れる方向に移動することが接着部90によって十分に抑制される。このため、コネクタ本体部61の移動により第1コネクタ端子62aと第1外部接続端子70aとの間、及び、第2コネクタ端子62bと第2外部接続端子70bとの間に過大な応力が加わることが十分に抑制され、第1外部接続端子70aからの第1コネクタ端子62aの剥離、及び、第2外部接続端子70bからの第2コネクタ端子62bの剥離が十分に抑制される。その結果、光電変換素子100によれば、温度変化の大きな環境下においても優れた耐久性を有することも可能となる。
また光電変換素子100においては、接着部90が、本体部90aと、本体部90aから張り出す張出し部90bとを有し、張出し部90bが、コネクタ本体部61と第2導電性基板20の金属基板21との間に設けられている。このため、光電変換素子100が温度変化の大きな環境下に置かれると、封止部30の樹脂封止部30Aが伸縮して封止部30の厚さが変化する。このとき、接着部90が封止部30の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有し、この接着部90の張出し部90bがコネクタ本体部61と第2導電性基板20の金属基板21とを接着している。このため、例えば第2導電性基板20の金属基板21が第1導電性基板10に近づく方向に移動しようとしても、金属基板21が透明導電層12に近づく方向に移動することが十分に抑制される。そのため、金属基板21の移動により第2外部接続端子70bと第2コネクタ端子62bとの間に過大な応力が加わることがより十分に抑制され、第2外部接続端子70bからの第2コネクタ端子62bの剥離が十分に抑制される。その結果、光電変換素子100によれば、温度変化の大きな環境下においてもより優れた耐久性を有することが可能となる。
さらに光電変換素子100においては、コネクタ60の第2コネクタ端子62bが第2導電性基板20の金属基板21上の第2外部接続端子70bに固定される一方、四角環状の封止部30における4つの交差部30bのうち1つの交差部30cにおいて酸化物半導体層13と反対側の角部30dが切り欠かれ、それによって露出した第1導電性基板10の透明導電層12上の第1外部接続端子70aに、コネクタ60の第1コネクタ端子62aが固定されている。ここで、図5に示すように、4つの交差部30cの対角線の長さw2は線状部30aの幅w1よりも長い。このため、4つの交差部30cのうちの1つの交差部30cにおいて酸化物半導体層13と反対側の角部30dが切り欠かれても、その交差部30cにおける封止幅が線状部30aの封止幅を過度に低下させることを防止できる。従って、環状の封止部30の封止幅を確保するために、封止部の内側開口の面積を狭める必要がなくなる。従って、光電変換素子100の開口率の低下を十分に防止することができる。
次に、第1導電性基板10、第2導電性基板20、酸化物半導体層13、封止部30、電解質40、色素、第1外部接続端子70a、第2外部接続端子70b、コネクタ60、第1固定部80a、第2固定部80b及び接着部90について詳細に説明する。
<第1導電性基板>
第1導電性基板10は、透明基板11と、透明基板11の上に設けられる透明導電層12とで構成されている。
透明基板11を構成する材料は、例えば透明な材料であればよく、このような透明な材料としては、例えばホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラスなどのガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、及び、ポリエーテルスルフォン(PES)などの絶縁材料が挙げられる。透明基板11の厚さは、光電変換素子100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば50〜40000μmの範囲にすればよい。
透明導電層12を構成する材料としては、例えばスズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO)、及び、フッ素添加酸化スズ(FTO)などの導電性金属酸化物が挙げられる。透明導電層12は、単層でも、異なる導電性金属酸化物で構成される複数の層の積層体で構成されてもよい。透明導電層12が単層で構成される場合、透明導電層12は、高い耐熱性及び耐薬品性を有することから、FTOで構成されることが好ましい。透明導電層12の厚さは例えば0.01〜2μmの範囲にすればよい。
<第2導電性基板>
第2導電性基板20は、上述したように、基板と電極を兼ねる金属基板21と、導電性の触媒層22とを備える。
金属基板21は、例えばチタン、ニッケル、白金、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ステンレス等の耐食性の金属材料で構成される。金属基板21の厚さは、光電変換素子100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば0.005〜4mmとすればよい。
触媒層22は、白金、炭素系材料又は導電性高分子などから構成される。ここで、炭素系材料としては、カーボンナノチューブが好適に用いられる。なお、第2導電性基板20は、金属基板21が触媒機能を有する場合(例えばカーボンなどを含有する場合)には触媒層22を有していなくてもよい。
<酸化物半導体層>
酸化物半導体層13は、酸化物半導体粒子で構成されている。酸化物半導体粒子は、例えば酸化チタン(TiO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、酸化ニオブ(Nb)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化スズ(SnO)又はこれらの2種以上で構成される。
酸化物半導体層13の厚さは通常は、2〜40μmであり、好ましくは10〜30μmである。
<封止部>
封止部30は、上述したように、無機封止部30Bと、樹脂封止部30Aとで構成されている。
無機封止部30Bは、無機材料で構成されるものであれば特に制限されるものではなく、無機封止部30Bを構成する無機材料としては、例えばガラス、セラミックスなどが挙げられる。
樹脂封止部30Aは樹脂を含む材料で構成されていれば特に制限されるものではないが、樹脂封止部30Aを構成する樹脂としては、例えば変性ポリオレフィン樹脂、ビニルアルコール重合体などの熱可塑性樹脂、及び、紫外線硬化樹脂などが挙げられる。変性ポリオレフィン樹脂としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体およびエチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。これらの樹脂は単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
<電解質>
電解質40は、例えばヨウ化物イオン(ヨウ素イオン)/ポリヨウ化物イオンなどの酸化還元対と有機溶媒とを含んでいる。有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、バレロニトリル、ピバロニトリルなどを用いることができる。酸化還元対としては、ヨウ化物イオン/ポリヨウ化物イオン(例えばI/I )のほか、臭化物イオン(臭素イオン)/ポリ臭化物イオン、亜鉛錯体、鉄錯体、コバルト錯体などのレドックス対が挙げられる。なお、ヨウ化物イオン/ポリヨウ化物イオンは、ヨウ素(I)と、アニオンとしてのアイオダイド(I)を含む塩(イオン性液体や固体塩)とによって形成することができる。アニオンとしてアイオダイドを有するイオン性液体を用いる場合には、ヨウ素のみ添加すればよく、有機溶媒や、アニオンとしてアイオダイド以外のイオン性液体を用いる場合には、LiIやテトラブチルアンモニウムアイオダイドなどのアニオンとしてアイオダイド(I)を含む塩を添加すればよい。
また電解質40は、有機溶媒に代えて、イオン液体を用いてもよい。イオン液体としては、例えばピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩であって、室温付近で溶融状態にある常温溶融塩が用いられる。このような常温溶融塩としては、例えば、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、又は、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドが好適に用いられる。
また、電解質40は、上記有機溶媒に代えて、上記イオン液体と上記有機溶媒との混合物を用いてもよい。
また電解質40には添加剤を加えることができる。添加剤としては、LiI、4−t−ブチルピリジン、グアニジウムチオシアネート、1−メチルベンゾイミダゾール、1−ブチルベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
さらに電解質40としては、上記電解質にSiO、TiO、カーボンナノチューブなどのナノ粒子を混練してゲル様となった擬固体電解質であるナノコンポジットゲル電解質を用いてもよく、また、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などの有機系ゲル化剤を用いてゲル化した電解質を用いてもよい。
なお、電解質40は、ヨウ化物イオン/ポリヨウ化物イオン(例えばI/I )からなる酸化還元対を含み、ポリヨウ化物イオンの濃度が0.006mol/リットル以下であることが好ましい。この場合、電子を運ぶポリヨウ化物イオンの濃度が低いため、漏れ電流をより減少させることができる。このため、開放電圧をより増加させることができるため、光電変換特性をより向上させることができる。特に、ポリヨウ化物イオンの濃度は0.005mol/リットル以下であることが好ましく、0〜6×10−6mol/リットルであることがより好ましく、0〜6×10−8mol/リットルであることがさらに好ましい。この場合、光電変換素子100を第1導電性基板10の光入射側から見た場合に、電解質40の色を目立たなくすることができる。
<色素>
色素としては、例えばビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテニウム錯体、ポルフィリン、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素などの光増感色素や、ハロゲン化鉛系ペロブスカイト結晶などの有機−無機複合色素などが挙げられる。ハロゲン化鉛系ペロブスカイトとしては、例えばCHNHPbX(X=Cl、Br、I)が用いられる。ここで、色素として光増感色素を用いる場合には、光電変換素子100は色素増感光電変換素子となり、光電変換セル50は色素増感光電変換セルとなる。
上記色素の中でも、ビピリジン構造又はターピリジン構造を含む配位子を有するルテニウム錯体からなる光増感色素が好ましい。この場合、光電変換素子100の光電変換特性をより向上させることができる。
<第1外部接続端子>
第1外部接続端子70aは金属材料を含む。金属材料としては、例えば銀、銅およびインジウムなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いてもよい。
<第2外部接続端子>
第2外部接続端子70bは金属と樹脂とを含む。金属材料としては、第1外部接続端子70aに含まれる金属材料と同様の材料を用いることができる。
第2外部接続端子70bはさらに非金属の導電性材料をさらに含んでもよい。非金属の導電性材料としては、例えばカーボン、導電性高分子などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
但し、第2導電性基板20の金属基板21がチタンを含む場合には、第2外部接続端子70bが、金属及び樹脂に加えて、カーボンをさらに含むことが好ましい。この場合、第2外部接続端子70bが金属基板21から剥離しにくくなる。このため、光電変換素子100の耐久性がより優れたものとなる。
<コネクタ>
コネクタ60は、上述したようにコネクタ本体部61と、第1コネクタ端子62aと、第2コネクタ端子62bとを備える。
コネクタ本体部61は例えば絶縁材料で構成される。絶縁材料としては、ガラスなどの無機絶縁材料、および、樹脂などの有機絶縁材料が挙げられる。
コネクタ本体部61は、接着部90に対向する底部と、底部と反対側の頂部と、底部と頂部とを連結する側部とを備えている。
コネクタ本体部61は、差込口(図示せず)を有しているが、差込口に代えて、回路基板に装着されたコネクタの差込口に差し込むための凸部を有していてもよい。
第1コネクタ端子62a及び第2コネクタ端子62bは、図2ではコネクタ本体部61の底部から延びているが、第1コネクタ端子62a及び第2コネクタ端子62bはそれぞれ、コネクタ本体部61の側部から延びていてもよい。
<第1固定部>
第1固定部80aは、第1コネクタ端子62aを第1外部接続端子70aに固定させることができる材料で構成されていればよく、この材料は通常、金属及び樹脂を含む。金属としては、例えば銀および半田が挙げられる。樹脂としては、例えばポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂などが挙げられる。第1固定部80a中のカーボンの含有率は特に制限されるものではないが、第1外部接続端子70a中のカーボンの含有率よりも小さいことが好ましい。この場合、第1外部接続端子70aに対する第1固定部80aの接着性をより向上させることができ、コネクタ60をより強く第1外部接続端子70aに接着できる。
<第2固定部>
第2固定部80bは、第2コネクタ端子62bを第2外部接続端子70bに固定させることができる材料で構成されていればよく、この材料は通常、金属及び樹脂を含む。金属としては、例えば銀および半田が挙げられる。第2固定部80b中のカーボンの含有率は特に制限されるものではないが、第2外部接続端子70b中のカーボンの含有率よりも小さいことが好ましい。この場合、第2外部接続端子70bに対する第2固定部80bの接着性をより向上させることができ、コネクタ60をより強くより強く第2外部接続端子70bに接着できる。
<接着部>
接着部90は、封止部30の樹脂封止部30Aの線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有し、コネクタ60と第1導電性基板10とを接着させることが可能な材料で構成されていればよく、このような材料としては、樹脂封止部30Aに含まれる樹脂と同様の樹脂のほか、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ガラスなどの無機材料を用いることもできる。樹脂封止部30Aが熱可塑性樹脂で構成されている場合には、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂などの硬化樹脂や無機材料が好適に用いられる。
樹脂封止部30Aの線膨張係数に対する接着部90の線膨張係数の比Rは1より小さければ特に制限されるものではないが、0.1〜0.9であることが好ましく、0.3〜0.7であることがより好ましい。
次に、上述した光電変換素子100の製造方法について図4〜図6を参照しながら説明する。図6は、図1の光電変換素子の製造方法の一連の工程を示す平面図である。
まず図4に示すように、1つの透明基板11の上に、透明導電層12を形成してなる第1導電性基板10を用意する。
透明導電層12の形成方法としては、スパッタリング法、蒸着法、スプレー熱分解法及びCVD法などが用いられる。
次に、透明導電層12の上に、酸化物半導体層13を形成する。酸化物半導体層13は、酸化物半導体層形成用ペーストを印刷した後、焼成して形成すればよい。
酸化物半導体層形成用ペーストは、上述した酸化物半導体粒子のほか、ポリエチレングリコールなどの樹脂及び、テレピネオールなどの溶媒を含む。
酸化物半導体層形成用ペーストの印刷方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、又は、バーコート法などを用いることができる。
焼成温度は酸化物半導体粒子の材質により異なるが、通常は350〜600℃であり、焼成時間も、酸化物半導体粒子の材質により異なるが、通常は1〜5時間である。
次に、透明導電層12の上に、四角環状の無機封止部30Bを形成する。無機封止部30Bは、無機材料を含む無機封止部形成用ペーストを印刷した後、焼成して形成すればよい。但し、無機封止部30Bはその厚さ方向に沿って見た場合にその外側の角部が切り欠かれるように形成する。
無機封止部形成用ペーストは、上述した無機材料のほか、ポリエチレングリコールなどの樹脂及び、テレピネオールなどの溶媒を含む。
無機封止部形成用ペーストの印刷方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、又は、バーコート法などを用いることができる。
焼成温度は無機材料の材質により異なるが、通常は400〜600℃であり、焼成時間も、無機材料の材質により異なるが、通常は0.5〜5時間である。
次に、環状の封止部形成体を準備する。封止部形成体は、例えば封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに1つの四角形状の開口を形成することによって得ることができる。
そして、この封止部形成体を無機封止部30Bに接着させる。このとき、封止部形成体の無機封止部30Bへの接着は、例えば封止部形成体を加熱溶融させることによって行うことができる。
こうして構造体が得られる(図5参照)。
次に、構造体の酸化物半導体層13の表面に色素を吸着させる。このためには、作用極を、色素を含有する溶液の中に浸漬させ、その色素を酸化物半導体層13に吸着させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な色素を洗い流し、乾燥させることで、色素を酸化物半導体層13に吸着させればよい。但し、色素を含有する溶液を酸化物半導体層13に塗布した後、乾燥させることによって色素を酸化物半導体層13に吸着させてもよい。
次に、電解質40を準備する。
次に、酸化物半導体層13の上に電解質40を配置する。電解質40は、例えばスクリーン印刷等の印刷法によって配置することが可能である。
次に、第2導電性基板20を形成するための四角形状の第2導電性基板形成体を用意する。そして、この第2導電性基板形成体における4つの角部のうち封止部30の交差部30cと接合しない角部を特定し、この角部を切除する。こうして第2導電性基板20が得られる。ここで、第2導電性基板形成体の角部の切除は、例えばレーザ加工法やワイヤー加工法を用いて行うことができる。レーザ加工法を用いて第2導電性基板形成体の角部の切除を行う場合には、レーザ光源としては、例えばパルスレーザ光源が用いられる。
上記レーザ光の波長は、1000nm以上であればよく、好ましくは1000〜20
00nmであり、より好ましくは1000〜1200nmである。
上記レーザ光のパルス幅は、特に限定されるものではないが、通常は150ns以下
であり、好ましくは100ns以下である。但し、レーザ光のパルス幅は、5ns以上であることが好ましい。
上記レーザ光の単位走査距離当たりの照射エネルギーは、0.01〜0.3J/mmとすることが好ましく、0.06〜0.09J/mmとすることがより好ましい。
1箇所あたりの切除回数は、1回であっても複数回であってもよいが、1回であること
が生産効率の点から好ましい。
次に、この第2導電性基板20を、上記構造体のうち封止部30の開口を塞ぐように配置した後、封止部30と貼り合わせる。このとき、第2導電性基板20の封止部30への貼合せは、例えば減圧下で行う。
次に、第1導電性基板10の透明導電層12上であって封止部30の外側に第1外部接続端子70aを形成する。一方、第2導電性基板20の金属基板21の上に第2外部接続端子70bを形成する。
次に、コネクタ60を用意する。
そして、コネクタ60の第1コネクタ端子62aを第1固定部80aによって第1外部接続端子70aに固定する。一方、コネクタ60の第2コネクタ端子62bを第2固定部80bによって第2外部接続端子70bに固定する。
最後に、コネクタ60と第1導電性基板10とを接着部90によって接着させる。例えば接着部90が紫外線硬化樹脂で構成される場合には、接着は、コネクタ60と第1導電性基板10とに接触するように接着部90の原料として紫外線硬化性樹脂を配置させた後、原料に紫外線を照射させることによって原料を硬化させればよい。
以上のようにして光電変換素子100が得られる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では接着部90が本体部90aと張出し部90bとで構成されているが、図7に示す光電変換素子200のように、接着部90は張出し部90bを有していなくてもよい。すなわち接着部90が本体部90aのみで構成されていてもよい。
また上記実施形態では、光電変換素子100がコネクタ60と第1導電性基板10とを接着する接着部90を有しているが、図8に示す光電変換素子300のように、光電変換素子は必ずしも接着部90を有していなくてもよい。
また上記実施形態では、第1導電性基板10が透明基板11を有し、透明基板11上に透明導電層12を介して酸化物半導体層13が設けられているが、酸化物半導体層13が第2導電性基板20の金属基板21上に設けられてもよい。但し、この場合、触媒層22は第1導電性基板10の透明導電層12上に設けられることになる。
さらに上記実施形態では、封止部30が、無機封止部30Bと、樹脂封止部30Aとで構成されているが、封止部30は樹脂封止部30Aのみで構成されてもよい。
さらにまた上記実施形態では、封止部30が四角環状になっているが、封止部30は環状であればよく、四角環状を除く多角環状でもよく、円環状でもよい。
また、上記実施形態では、第1外部接続端子70aが、四角形状の第1導電性基板10の角部に設けられているが、第1外部接続端子70aは、第1導電性基板10の第1透明導電部上であって環状の封止部30の外側に設けられていればよく、四角形状の第1導電性基板10の角部と角部との間に設けられてもよい。
また上記実施形態では、光電変換素子100が1つの光電変換セル50を有しているが、光電変換素子は、光電変換セル50を複数備えていてもよい。この場合、例えば複数の光電変換セル50のうち1つの光電変換セル50の第1導電性基板10の第1透明導電部に第1外部接続端子70aが固定され、複数の光電変換セル50のうち別の1つの光電変換セル50の第2導電性基板20の金属基板21に第2外部接続端子70bが固定される。
10…第1導電性基板
11…透明基板
12…透明導電層(第1透明導電部)
20…第2導電性基板
21…金属基板
30…封止部
30A…樹脂封止部
50…光電変換セル
60…コネクタ
61…コネクタ本体部
62a…第1コネクタ端子
62b…第2コネクタ端子
70a…第1外部接続端子
70b…第2外部接続端子
90…接着部
100,200…光電変換素子

Claims (4)

  1. 少なくとも1つの光電変換セルと、
    前記少なくとも1つの光電変換セルから電流を取り出すための第1外部接続端子と、
    前記少なくとも1つの光電変換セルから電流を取り出すための第2外部接続端子と、
    前記第1外部接続端子及び前記第2外部接続端子から電流を取り出すコネクタとを備え、
    前記光電変換セルが、
    第1導電性基板と、
    前記第1導電性基板に対向する第2導電性基板と、
    前記第1導電性基板と前記第2導電性基板とを接合する環状の封止部とを有し、
    前記第1導電性基板が、透明基板、及び、前記透明基板上に設けられる第1透明導電部を有し、
    前記第2導電性基板が金属基板を有し、
    前記封止部が、樹脂を含む樹脂封止部を有し、
    前記コネクタが、
    コネクタ本体部と、
    前記コネクタ本体部に設けられ、前記第1外部接続端子に固定される第1コネクタ端子と、
    前記コネクタ本体部に設けられ、前記第2外部接続端子に固定される第2コネクタ端子とを有し、
    前記第1外部接続端子が、前記少なくとも1つの光電変換セルのうちの1つの光電変換セルの前記環状の封止部の外側であって前記第1導電性基板の前記第1透明導電部に設けられ、
    前記第2外部接続端子が、前記少なくとも1つの光電変換セルのうちの1つの光電変換セルの前記第2導電性基板の前記金属基板上に設けられ、前記コネクタ本体部と前記第1導電性基板とを接着し、前記封止部の前記樹脂封止部よりも小さい線膨張係数を有する接着部をさらに備える光電変換素子。
  2. 前記接着部が、
    本体部と、
    前記本体部から張り出す張出し部とを有し、
    前記張出し部が、前記コネクタ本体部と前記第2導電性基板の前記金属基板とを接着している、請求項に記載の光電変換素子。
  3. 前記第2導電性基板の前記金属基板がチタンを含み、
    前記第2外部接続端子が、金属と、樹脂と、カーボンとを含む、請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 少なくとも1つの光電変換セルと、
    前記少なくとも1つの光電変換セルから電流を取り出すための第1外部接続端子と、
    前記少なくとも1つの光電変換セルから電流を取り出すための第2外部接続端子と、
    前記第1外部接続端子及び前記第2外部接続端子から電流を取り出すコネクタとを備え、
    前記光電変換セルが、
    第1導電性基板と、
    前記第1導電性基板に対向する第2導電性基板と、
    前記第1導電性基板と前記第2導電性基板とを接合する環状の封止部とを有し、
    前記第1導電性基板が、透明基板、及び、前記透明基板上に設けられる第1透明導電部を有し、
    前記第2導電性基板が金属基板を有し、
    前記封止部が、樹脂を含む樹脂封止部を有し、
    前記コネクタが、
    コネクタ本体部と、
    前記コネクタ本体部に設けられ、前記第1外部接続端子に固定される第1コネクタ端子と、
    前記コネクタ本体部に設けられ、前記第2外部接続端子に固定される第2コネクタ端子とを有し、
    前記第1外部接続端子が、前記少なくとも1つの光電変換セルのうちの1つの光電変換セルの前記環状の封止部の外側であって前記第1導電性基板の前記第1透明導電部に設けられ、
    前記第2外部接続端子が、前記少なくとも1つの光電変換セルのうちの1つの光電変換セルの前記第2導電性基板の前記金属基板上に設けられ、前記第2導電性基板の前記金属基板がチタンを含み、前記第2外部接続端子が、金属と、樹脂と、カーボンとを含む光電変換素子。
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