JP6694686B2 - 光学装置、内視鏡 - Google Patents

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本発明は、保持枠内に設けられた移動枠を磁力によって移動させる構成を具備する光学装置、内視鏡に関する。
内部に光学系を保持するとともに、保持枠内において光学系の光軸方向の前後に移動自在なことにより、被写体の焦点を切り替える移動枠を有する光学装置を具備する撮像装置が周知である。尚、撮像装置は、例えば、内視鏡の挿入部内に設けられる。
移動枠は、保持枠内においてモータ等を用いて移動自在な構成が周知であるが、この構成では、移動枠の移動構成が複雑になってしまうばかりか、移動枠の移動の際の応答速度が遅いといった問題があった。
このような問題に鑑み、磁力を用いて、移動枠を移動させる構成が周知である。特許文献1では、移動枠の外周面に磁石が設けられるとともに、保持枠の外周面における磁石に対向する位置にコイルが設けられ、コイルに電流が供給されることによって磁石と電磁コイルとの間に磁界が発生することにより、フレミングの左手の法則により移動枠を光軸方向に移動させるボイスコイルモータを用いた撮像装置の構成が開示されている。
また、保持枠の外周に、光軸方向の前後に同じ極性が向かい合うよう磁石がそれぞれ設けられたヨークが配置されるとともにヨークよりも保持枠側にコイルが配置され、コイルに電流が供給されることによって保持枠内に右ネジの法則により発生しヨークにより強められた磁界によって、移動枠に対する前後の磁石の相対的な磁力(引力)の大きさを変えて移動枠を光軸方向に移動させる駆動機構を用いた撮像装置も周知である。
特開平6−189518号公報
ところで、上述した磁力を用いた移動枠の移動構成においては、いずれも保持枠内において移動枠を光軸方向に移動自在にするため、移動枠の外周面と保持枠の内周面との間には、間隙が形成されている。
ここで、保持枠内において移動枠が光軸方向に移動する際、間隙により移動枠が保持枠内において揺動してしまい、即ち、ガタ付きが発生してしまい、光学性能が低下してしまうといった問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものあり、磁力を用いて移動枠を移動させる際のガタ付きを簡単な構成にて確実に防止することできる構成を具備する光学装置、内視鏡を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明の一態様における光学装置は、光学像を形成する光学系と、前記光学系の少なくとも一部を内部に保持する磁性体から構成された移動枠と、内部に前記光学系を保持するとともに、前記移動枠を前記光学系の光軸方向の前後に移動自在に保持する保持枠と、前記保持枠の外周に設けられた、前記光軸方向の前端及び後端に同じ極性が向かい合うよう磁石がそれぞれ設けられたヨークと、前記保持枠の径方向において前記ヨークよりも前記保持枠側に設けられたコイルとを有した駆動機構と、を具備し、前記ヨークは、前記コイルの外周を覆う枠部と、前記枠部の前記光軸方向の前端及び後端において、前記保持枠の外周面に突出することにより、前記枠部と前記保持枠の前記外周面との前記径方向の距離を縮める、前記枠部の周方向に部分的に形成されたヨーク凸部と、を有し、前記移動枠及び前記保持枠は、円筒状に形成されており、前記ヨーク凸部は、扇状に形成されており、該扇の中心角の角度は、180°以下である。
また、本発明の他態様における光学装置は、光学像を形成する光学系と、前記光学系の少なくとも一部を内部に保持するとともに外周面に磁石が設けられた移動枠と、内部に前記光学系を保持するとともに、前記移動枠を前記光学系の光軸方向の前後に移動自在に保持する保持枠と、前記保持枠の外周に前記磁石に対向して設けられた、前記光軸方向の前端に第1のヨークが設けられるとともに後端に第2のヨークが設けられた、前記移動枠を磁力によって前記光軸方向の前後に移動させるコイルと、を有し、前記移動枠及び前記保持枠は、円筒状に形成されており、前記第1のヨーク及び前記第2のヨークは、扇状に形成されており、該扇の中心角の角度は、180°以下である。
さらに、本発明の一態様における内視鏡は、請求項1〜のいずれか1項に記載の前記光学装置を有する内視鏡であって、前記移動枠が前記光軸方向に移動することにより、被写体の焦点を切り替える。
本発明によれば、磁力を用いて移動枠を移動させる際のガタ付きを簡単な構成にて確実に防止することできる構成を具備する光学装置、内視鏡を提供することができる。
第1実施の形態の光学装置を含む撮像装置を具備する内視鏡の外観を示す図 図1の内視鏡における挿入部の先端部内に設けられた撮像装置を、移動枠が光軸方向の後方位置に移動した状態において示す部分断面図 図2の移動枠が光軸方向の前方位置に移動した状態を示す撮像装置の部分断面図 図2中のIV-IV線に沿う撮像装置の部分断面図 第2実施の形態における光学装置を含む撮像装置を、移動枠が光軸方向の後方位置に移動した状態において示す部分断面図 図5の移動枠が光軸方向の前方位置に移動した状態を示す撮像装置の部分断面図 図5中のVII-VII線に沿う撮像装置の部分断面図 図5中のVIII-VIII線に沿う撮像装置の部分断面図
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態の光学装置を含む撮像装置を具備する内視鏡の外観を示す図である。
図1に示すように、内視鏡1は、被検体内に挿入される挿入部2と、該挿入部2の基端側に連設された操作部3と、該操作部3から延出されたユニバーサルコード8と、該ユニバーサルコード8の延出端に設けられたコネクタ9とを具備して主要部が構成されている。尚、コネクタ9を介して、内視鏡1は、制御装置や照明装置等の外部装置と電気的に接続される。
操作部3に、挿入部2の湾曲部2wを上下方向に湾曲させる上下用湾曲操作ノブ4と、湾曲部2wを左右方向に湾曲させる左右用湾曲操作ノブ6とが設けられている。
また、操作部3に、上下用湾曲操作ノブ4の回動位置を固定する固定レバー5と、左右用湾曲操作ノブ6の回動位置を固定する固定ノブ7とが設けられている。
さらに、操作部3に、後述する撮像装置100における移動枠21(いずれも図2参照)を後述する光学系の光軸方向Lに沿って移動させるズームレバー10が設けられている。尚、移動枠21が光軸方向Lの前後に移動することにより、被写体の焦点が切り替わる。
挿入部2は、先端側から順に、先端部2sと湾曲部2wと可撓管部2kとを具備して構成されており光軸方向Lに沿って細長に形成されている。
湾曲部2wは、上下用湾曲操作ノブ4や左右用湾曲操作ノブ6の回動操作により、例えば上下左右の4方向に湾曲されることにより、先端部2s内に設けられた撮像装置100の観察方向を可変したり、被検体内における先端部2sの挿入性を向上させたりするものである。さらに、可撓管部2kは、湾曲部2wの基端側に連設されている。
湾曲部2wの先端側に連設された先端部2s内に、上述した撮像装置100が設けられている。
次に、撮像装置100の構成について、図2〜図4を用いて説明する。図2は、図1の内視鏡における挿入部の先端部内に設けられた撮像装置を、移動枠が光軸方向の後方位置に移動した状態において示す部分断面図、図3は、図2の移動枠が光軸方向の前方位置に移動した状態を示す撮像装置の部分断面図、図4は、図2中のIV-IV線に沿う撮像装置の部分断面図である。
図2、図3に示すように、撮像装置100は、固定レンズユニット15と、移動レンズユニット20と、駆動機構50と、撮像素子40とから主要部が構成されている。尚、以下の実施の形態においては、光学装置とは、撮像装置100から撮像素子40を除いたものを示す。
固定レンズユニット15は、光学像を形成する光学系である対物レンズ11と、非磁性体から構成された保持枠12と、円環形状を有する2つの位置規定部材13a、13bとから構成されている。
保持枠12は、光軸方向Lに沿って細長な円筒状に形成されているとともに、光軸方向Lの先端内に、光学絞り14が設けられた対物レンズ11を保持している。尚、対物レンズ11は、複数のレンズ群から構成されていてもよい。
また、保持枠12の内周面12nにおいて、対物レンズ11の光軸方向Lの後方(以下、単に後方と称す)に、光軸方向Lにおいて光学絞り14を挟むよう移動レンズユニット20の前方位置を規定する位置規定部材13aが固定され、撮像素子40よりも光軸方向の前方(以下、単に前方と称す)に、移動レンズユニット20の後方位置を規定する位置規定部材13bが固定されている。
移動レンズユニット20は、磁性体から構成された円筒状の移動枠21と、該移動枠21内に保持された光学像を形成する光学系である移動レンズ22とから構成されている。尚、移動レンズ22は、複数のレンズ群から構成されていても良い。
尚、移動レンズユニット20は、保持枠12内において、光軸方向Lの前後に移動自在となるよう設けられている。
具体的には、移動枠21は、該移動枠21の光軸方向Lの前端(以下、単に前端と称す)が位置規定部材13aに当接する位置と、光軸方向Lの後端(以下、単に後端と称す)が位置規定部材13bに当接する位置との間において、光軸方向Lの前後に移動自在となっている。尚、移動枠21の移動に伴い、内視鏡1における被写体の焦点は切り替えられる。
また、図2、図3に示すように、保持枠12の内周面12nと、移動枠21の外周面21gとの間には、移動枠21が光軸方向Lに移動自在となるよう、間隙が形成されている。
撮像素子40は、CCDまたはCMOS等のイメージセンサから構成されており、固定レンズユニット15の光軸方向Lの後方に固定された図示しない撮像素子保持枠に固定されている。
また、撮像素子40は、対物レンズ11及び移動レンズ22を介して撮像した被写体の光学像を映像信号に変換するものである。
駆動機構50は、移動枠21を磁力によって光軸方向Lの前後に移動させるものであり、保持枠12の外周に周状に設けられており、リング状の磁石33、34が設けられたヨーク30と、コイル35とから構成されている。
コイル35は、光軸方向Lに沿って所定の長さを有するとともに、保持枠12の外周面12gに対して周状に巻回されて接着されている。
ヨーク30は、コイル35に発生する磁力を増幅するものであり、磁性体、例えばケイ素鋼から構成されており、コイル35よりも径方向Kの外側に、即ち、コイル35の外周に周状に接着されている。
また、ヨーク30の前端30aの一部に磁石33が接着されており、後端30bの一部に磁石34が接着されている。
磁石33、34は、同じ極性が光軸方向Lにおいて向かい合うよう、それぞれ前端30a、後端30bの一部に当接されて接着されている。
尚、図2、図3においては、磁石33、34は、N極同士が光軸方向Lにおいて向かい合うよう配置されている。即ち、磁石33が前方側にS極が着磁され、後方側にN極が着磁されており、磁石34が前方側にN極が着磁され、後方側にS極が着磁されている場合を例に挙げて示しているが、反対に、S極同士が光軸方向Lにおいて向かい合うよう配置されていても構わない。即ち、磁石33が前方側にN極が着磁され、後方側にS極が着磁されており、磁石34が前方側にS極が着磁され、後方側にN極が着磁されていても構わない。
また、図2〜図4に示すように、ヨーク30は、コイル35の外周を覆う枠部30wと、枠部30wの前端及び後端において、保持枠12の外周面12gに当接するよう径方向Kに突出することにより、枠部30wと外周面12gとの径方向Kの距離を縮める、枠部30wの周方向Rに部分的に形成されたヨーク凸部30t1、30t2とから構成されている。
具体的には、図4に示すように、ヨーク凸部30t1、30t2は、周方向Rに沿って扇状に形成されており、扇の中心角の角度が180°以下となるよう設定され同一方向に配置されている。
尚、図4においては、ヨーク凸部30t2は記載されていないが、ヨーク凸部30t1と同じ形状に形成されている。
また、本実施の形態においては、ヨーク凸部30t1、30t2は、図2〜図4中の径方向Kの下方K1において、図2〜図4の上方K2に向けてC字状となるよう配置されている場合を例に挙げて示している。
このように構成された駆動機構50は、磁石33の磁界B、D及び磁石34の磁界A、Cに対して、コイル35への通電方向を切り替える。
これにより駆動機構50は、コイル35に発生する磁界の向きが変わり、磁性体から構成された移動枠21を引き付ける磁石33及び磁石34の相対的な磁力の大きさを変えて、移動レンズユニット20を光軸方向Lの前後に移動させる。
具体的には、図2に示すように、コイル35に通電がされていない状態において、移動枠21の後端が位置規定部材13bに当接している状態においては、磁石34のN極、ヨーク凸部30t2、移動枠21、磁石34のS極に働く磁界Aと、磁石34のN極、移動枠21、磁石34のS極に働く磁界Cとにより、磁石34の引力により、移動枠21は、後端が位置規定部材13bに当接した後方位置で保持される。
尚、この際、磁石33のN極、ヨーク凸部30t1、移動枠21、磁石33のS極に働く磁界Bと、磁石33のN極、移動枠21、磁石33のS極に働く磁界Dも発生しているが、磁石33は、磁石34よりも光軸方向Lにおいて離れて位置していることから、磁界B、磁界Dの引力は磁界A、磁界Cの引力よりも弱いため、移動枠21は、磁石34の引力によって後方位置に固定されている。
また、ヨーク凸部30t1、30t2により、磁界AとCの磁力バランス及び、磁界BとDとの磁力のバランスが崩れていることから、ヨーク凸部30t1、30t2を介した磁力バランスが強い磁界A、Bにより、移動枠21は、図2〜図4において径方向Kの下方K1側に引き寄せられ、移動枠21の外周面21gは、保持枠12の下方K1側の内周面12nに押し付けられる。
尚、ヨーク凸部30t1、30t2が、周方向Rに沿って扇状に形成されている場合、扇の中心角の角度が180°以下となるよう設定されていると、移動枠21を確実に保持枠12の下方K1側の内周面12nに押し付けることができることは、シミュレーションの結果から分かっている。言い換えれば、ヨーク凸部30t1、30t2の扇の中心角の角度が180°よりも大きい場合は、保持枠12の内周面12nに対する移動枠21の押し付け方向が定まらなくなってしまうことがシミュレーションの結果から分かっている。
この図2に示す状態において、コイル35に対し電流の向きが一方向となるよう通電すると、コイル35に、右ネジの法則により磁石34の磁界A、Cと反対側の磁界G1が発生する。
このことにより、磁石34と移動枠21との引力が打ち消され、移動レンズユニット20は、磁石33の磁界B、Dによる磁力に引き寄せられ、図3に示す移動枠21の前端が位置規定部材13aに当接する前方位置へと移動する。
この移動中においても、ヨーク凸部30t1により、磁界Bの引力は、磁界Dの引力よりも強いため、移動枠21の外周面21gは、保持枠12の下方K1側の内周面12nに押し付けられたままガタ付くことなく摺動移動する。
尚、図3に示す前方位置へ移動レンズユニット20が移動した後、コイル35に通電がされていない状態において、移動枠21の前端が位置規定部材13aに当接している状態においては、磁石33のN極、ヨーク凸部30t1、移動枠21、磁石33のS極に働く磁界Bと、磁石33のN極、移動枠21、磁石33のS極に働く磁界Dとにより、磁石33の引力により、移動枠21は、前端が位置規定部材13aに当接した前方位置で保持される。
尚、この際、磁石34のN極、ヨーク凸部30t2、移動枠21、磁石34のS極に働く磁界Aと、磁石34のN極、移動枠21、磁石34のS極に働く磁界Cも発生しているが、磁石34は、磁石33よりも光軸方向Lにおいて離れて位置していることから、磁界A、磁界Cの引力は磁界B、磁界Dの引力よりも弱いため、移動枠21は、磁石33の引力によって前方位置に固定されている。
また、この前方位置においても、ヨーク凸部30t1、30t2により、磁界AとCの磁力バランス及び、磁界BとDとの磁力のバランスが崩れていることから、ヨーク凸部30t1、30t2を介した磁力バランスが強い磁界A、Bにより、移動枠21は、図2〜図4において径方向Kの下方K1側に引き寄せられ、移動枠21の外周面21gは、保持枠12の下方K1側の内周面12nに押し付けられる。
この図3に示す状態において、コイル35に電流の向きが一方向とは反対の他方向となるよう通電すると、コイル35に、右ネジの法則により磁石33の磁界B、Dと反対側の磁界G2が発生する。
このことにより、磁石33と移動枠21との引力が打ち消され、移動レンズユニット20は、磁石34の磁界A、Cによる磁力に引き寄せられ、図2に示す移動枠21の後端が位置規定部材13bに当接する後方位置へと移動する。
この移動中においても、ヨーク凸部30t2により、磁界Aの引力は、磁界Cの引力よりも強く、ヨーク凸部30t1により、磁界Bの引力は、磁界Dの引力よりも強いため、移動枠21の外周面21gは、保持枠12の下方K1側の内周面12nに押し付けられたままガタ付くことなく摺動移動する。
このように、本実施の形態においては、ヨーク30は、コイル35の外周を覆う枠部30wと、枠部30wの前端及び後端において、保持枠12の外周面12gに当接するよう径方向Kに突出することにより、枠部30wと外周面12gとの径方向Kの距離を縮める、枠部30wの周方向Rに部分的に形成されたヨーク凸部30t1、30t2とから構成されており、ヨーク凸部30t1、30t2は、周方向Rに沿って扇状に形成されており、扇の中心角の角度が180°以下となるよう設定されていると示した。
このことによれば、駆動機構50を用いて移動レンズユニット20を、図2に示す後方位置に移動させる際や、図3に示す前方位置に移動させる際、加えて図2に示す後方位置並びに図3に示す前方位置においては、図2〜図4に示すように、扇状に形成されたヨーク凸部30t1、30t2により、磁界A、Bの引力は、磁界C、Dの引力よりも強く磁力のバランスが崩れるため、移動枠21の外周面21gは、保持枠12の下方K1側の内周面12nに押し付けられる。
即ち、移動枠21は、外周面21gが、保持枠12の下方K1側の内周面12nに押し付けられたままガタ付くことなく摺動移動する。
よって、ヨーク30の枠部30wの前端及び後端に、周方向Rに部分的に形成されたヨーク凸部30t1、30t2を設けるのみの簡単な構成により、移動枠21が移動する際のガタ付きを確実に防止することができる。
以上から、磁力を用いて移動枠21を移動させる際のガタ付きを簡単な構成にて確実に防止することできる構成を具備する光学装置、内視鏡1を提供することができる。
尚、上述した本実施の形態においては、ヨーク凸部30t1、30t2は、図2〜図4中の径方向Kの下方K1において、図2〜図4の上方K2に向けてC字状となるよう配置されている場合を例に挙げて示した。
これに限らず、ヨーク凸部30t1、30t2は、図2〜図4中の径方向Kの上方K2において、図2〜図4の下方K1に向けてC字状となるよう配置されていても良く、また、径方向Kの右方K3において、左方K4に向けてC字状となるよう配置されていても良く、さらには、径方向Kの左方K4において、右方K3に向けてC字状となるよう配置されていても良い。
これらの場合、保持枠12の内周面12nに対する移動枠21の外周面21gが押し付けられる方向が変化するだけで、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。尚、これらの場合においても、扇状のヨーク凸部30t1、30t2は、扇の中心角の角度が180°以下となるよう設定されていれば良い。
本実施例では撮像素子40に映像が結像する場合を示しているが、撮像素子40の変わりに、イメージファイバーに結像するようにしても良い。
(第2実施の形態)
図5は、本実施の形態における光学装置を含む撮像装置を、移動枠が光軸方向の後方位置に移動した状態において示す部分断面図、図6は、図5の移動枠が光軸方向の前方位置に移動した状態を示す撮像装置の部分断面図、図7は、図5中のVII-VII線に沿う撮像装置の部分断面図、図8は、図5中のVIII-VIII線に沿う撮像装置の部分断面図である。
この第2実施の形態の光学装置を含む撮像装置の構成は、上述した図1〜図4に示した第1実施の形態の撮像装置と比して、磁石が移動枠の外周面に設けられているとともに、ヨークがコイルの前端及び後端に対して周方向に部分的に設けられた、移動枠の移動に既知のボイスコイルモータを用いている点が異なる。
よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図5、図6に示すように、撮像装置200は、固定レンズユニット215と、移動レンズユニット220と、コイル235と、第1のヨーク231と、第2のヨーク232と、撮像素子40とから主要部が構成されている。
固定レンズユニット215は、光学像を形成する光学系である対物レンズ211と、非磁性体から構成された保持枠212と、円環形状を有する2つの位置規定部材213a、213bとから構成されている。
保持枠212は、光軸方向Lに沿って細長な円筒状に形成されているとともに、光軸方向Lの先端内に、光学絞り214が設けられた対物レンズ211を保持している。尚、対物レンズ211は、複数のレンズ群から構成されていてもよい。
また、保持枠212の内周面212nにおいて、対物レンズ211の後方に、光軸方向Lにおいて光学絞り214を挟むよう移動レンズユニット220の前方位置を規定する位置規定部材213aが固定され、撮像素子40よりも前方に、移動レンズユニット220の後方位置を規定する位置規定部材213bが固定されている。
移動レンズユニット220は、非磁性体から構成された円筒状の移動枠221と、該移動枠221内に保持された光学像を形成する光学系である移動レンズ222とから構成されている。尚、移動レンズ222は、複数のレンズ群から構成されていても良い。
尚、移動レンズユニット220は、ズームレバー10の操作に伴い、保持枠212内において、光軸方向Lの前後に移動自在となるよう設けられている。
具体的には、移動枠221は、該移動枠221の前端が位置規定部材213aに当接する位置と、後端が位置規定部材213bに当接する位置との間において、光軸方向Lの前後に移動自在となっている。尚、移動枠221の移動に伴い、内視鏡1における被写体の焦点は切り替えられる。
図5、図6、図8に示すように、移動枠221の外周面221gに、光軸方向Lの前端側(以下、単に前端側と称す)に第1の磁石260a〜260dが周方向Rに沿って周状に設けられており、光軸方向Lの後端側(以下、単に後端側と称す)に、第1の磁石260a〜260dに対して後方に離間して第2の磁石270a〜270d(磁石270b、270dは図示されず)が周方向Rに沿って周状に設けられている。
また、図8に示すように、第1の磁石260a〜260dは、外周面221gに対して、周方向Rにおいて、略90°間隔にて設けられている。尚、図示しないが、第2の磁石270a〜270dも、外周面221gに対して、周方向Rにおいて、略90°間隔にて設けられている。
第1の磁石260a〜260dは、図8に示すように、径方向Kにおいて、内周側にS極が着磁されており、外周側にN極が着磁されている。
また、第2の磁石270a〜270dは、図5、図6において第2の磁石270a、270cのみ図示するが、径方向Kにおいて、内周側にN極が着磁されており、外周側にS極が着磁されている。即ち、第1の磁石260a〜260dと、第2の磁石270a〜270dとでは着磁方向が反対となっている。
尚、第1の磁石260a〜260dと、第2の磁石270a〜270dとで着磁方向が反対となっていれば、第1の磁石260a〜260dは、内周側にN極が着磁されているとともに外周側にS極が着磁され、第2の磁石270a〜270dは、内周側にS極が着磁されているとともに外周側にN極が着磁されていても構わない。
尚、保持枠212の内周面212nと、移動枠221の外周面221gとの間には、移動枠221が光軸方向Lに移動自在となるよう、間隙が形成されている。
コイル235は、第1のコイル236と第2のコイル237とから構成されており、保持枠212の外周面212gにおいて、光軸方向Lにおける第1の磁石260a〜260d及び第2の磁石270a〜270dの可動範囲に、通電に伴い移動枠221に対して磁力により駆動力を発生する第1のコイル236、第2のコイル237が周状に巻回されて接着されている。つまり、第1のコイル236、第2のコイル237は、間に保持枠212を介在した状態で、第1の磁石260a〜260d及び第2の磁石270a〜270dに対向して設けられている。
尚、外周面212gにおいて、第1のコイル236は、第2のコイル237よりも先端側に巻回されている。また、第1のコイル236と第2のコイル237は逆向きに巻回されており、第1のコイル236に通電される電流の向きと、第2のコイル237に通電される電流の向きとは反対になっている。
このことにより、第1のコイル236、第2のコイル237にそれぞれ向きの異なる電流が通電されると、第1の磁石260a〜260d及び第2の磁石270a〜270dの着磁方向が反対となっていることにより、第1の磁石260a〜260d及び第2の磁石270a〜270dに対して発生する駆動力は、フレミングの左手の法則により同一方向に作用する。
そして、第1のコイル236、第2のコイル237に流す電流の向きを切り替えることで、図5、図6に示すように、移動枠221は、保持枠212内において前方または後方に移動する。
尚、第1の磁石260a〜260d、第2の磁石270a〜270dが、外周面212gにおいて周方向Rに略90°間隔にて均等に4つ設けられているのは、周状の第1のコイル236、第2のコイル237から第1の磁石260a〜260d、第2の磁石270a〜270dに付与される磁力を、外周面212gの全周方向、即ち、径方向Kを構成する複数方向において均等にするためである。
よって、このことを考慮すれば、磁石は、外周面212gにおいて周方向Rに略120°間隔にて均等に前後にそれぞれ3つ設けられていても構わないし、均等に5個以上設けられていても構わないし、周状に構成されていても構わない。
尚、第1のコイル236、第2のコイル237、第1の磁石260a〜260d、第2の磁石270a〜270dを用いた移動枠221の光軸方向Lへの移動構成は、通常のボイスコイルモータを用いた移動構成と同じであり、周知であるため、その詳しい説明は省略する。
第1のヨーク231は、磁性体、例えばケイ素鋼から構成されており、コイル235の前端235a、即ち、第1のコイル236の前端に接着されている。
また、第2のヨーク232は、磁性体、例えばケイ素鋼から構成されており、コイル235の後端235b、即ち、第2のコイル237の後端に接着されている。
第1のヨーク231及び第2のヨーク232は、図5〜図7に示すように、第1のコイル236の前端、第2のコイル237の後端に対して、それぞれ周方向Rに部分的に被覆されている。
具体的には、図7に示すように、第1のヨーク231及び第2のヨーク232は、周方向Rに沿って扇状に形成されており、扇の中心角の角度が180°以下となるよう設定されている。
尚、図7においては、第2のヨーク232は記載されていないが、第1のヨーク231と同じ形状に形成されている。
また、本実施の形態においては、第1のヨーク231及び第2のヨーク232は、図5〜図7中の径方向Kの下方K1において、図5〜図7の上方K2に向けてC字状となるよう配置されている場合を例に挙げて示している。
このように構成された撮像装置200のボイスコイルモータは、図5に示すように、コイル235に通電がされていない状態において、移動枠221の後端が位置規定部材213bに当接している状態においては、第2の磁石270cのN極、第2のヨーク232、第2の磁石270cのS極に働く磁界Eにより、第2の磁石270cの引力により、移動枠221は、後端が位置規定部材213bに当接した後方位置で保持される。
尚、この際、第1の磁石260cのN極、第1のヨーク231、第1の磁石260cのS極に働く磁界Fも発生しているが、第1の磁石260cと第1のヨーク231との距離は第2の磁石270cと第2のヨーク232との距離よりも離れて位置していることから、磁界Fの引力は磁界Eの引力よりも弱いため、移動枠221は、第2の磁石270cの引力によって後方位置に固定されている。
また、第1のヨーク231、第2のヨーク232を介した磁界E、Fの強い引力により、移動枠221は、図5〜図7において径方向Kの下方K1側に引き寄せられ、移動枠221の外周面221gは、保持枠212の下方K1側の内周面212nに押し付けられる。
尚、第1のヨーク231、第2のヨーク232が、周方向Rに沿って扇状に形成されている場合、扇の中心角の角度が180°以下となるよう設定されていると、移動枠221を確実に保持枠212の下方K1側の内周面212nに押し付けることができることは、シミュレーションの結果から分かっている。言い換えれば、第1のヨーク231、第2のヨーク232の扇の中心角の角度が180°よりも大きい場合は、保持枠212の内周面212nに対する移動枠221の押し付け方向が定まらなくなってしまうことがシミュレーションの結果から分かっている。
この図5に示す状態において、コイル235に対し電流の向きが一方向となるよう通電すると、図6に示す移動枠221の前端が位置規定部材213aに当接する前方位置へと移動する。
この移動中においても、第1のヨーク231、第2のヨーク232により、磁界E、Fの引力により、移動枠221の外周面221gは、保持枠212の下方K1側の内周面212nに押し付けられたままガタ付くことなく摺動移動する。
尚、図6に示す前方位置へ移動レンズユニット220が移動した後、コイル235に通電がされていない状態において、移動枠221の前端が位置規定部材213aに当接している状態においては、第1の磁石260cのN極、第1のヨーク231、第1の磁石260cのS極に働く磁界Fにより、第1の磁石260cの引力により、移動枠221は、前端が位置規定部材213aに当接した前方位置で保持される。
尚、この際、第2の磁石270cのN極、第2のヨーク232、第2の磁石270cのS極に働く磁界Eも発生しているが、第2の磁石270cと第2のヨーク232との距離は、第1の磁石260cと第1のヨーク231との距離よりも離れて位置していることから、磁界Eの引力は磁界Fの引力よりも弱いため、移動枠221は、第1の磁石260cの引力によって前方位置に固定されている。
また、この前方位置においても、第1のヨーク231、第2のヨーク232を介した磁界F、Eの強い引力により、移動枠221は、図5〜図7において径方向Kの下方K1側に引き寄せられ、移動枠221の外周面221gは、保持枠212の下方K1側の内周面212nに押し付けられる。
この図6に示す状態において、コイル235に電流の向きが一方向とは反対の他方向となるよう通電すると、図5に示す移動枠221の後端が位置規定部材213bに当接する後方位置へと移動する。
この移動中においても、第1のヨーク231、第2のヨーク232により、磁界F、Eにより、移動枠221の外周面221gは、保持枠212の下方K1側の内周面212nに押し付けられたままガタ付くことなく摺動移動する。
このように、本実施の形態においては、第1のヨーク231、第2のヨーク232は、コイル235の前端及び後端において、周方向Rに沿って扇状に部分的に形成されており、扇の中心角の角度が180°以下となるよう設定されていると示した。
このことによれば、移動レンズユニット220を、図5に示す後方位置に移動させる際や、図6に示す前方位置に移動させる際、加えて図5に示す後方位置並びに図6に示す前方位置においては、図5〜図7に示すように、扇状に形成された第1のヨーク231、第2のヨーク232により、磁界E、Fの引力により、移動枠221の外周面221gは、保持枠212の下方K1側の内周面212nに押し付けられる。
即ち、移動枠221は、外周面221gが、保持枠212の下方K1側の内周面212nに押し付けられたままガタ付くことなく摺動移動する。
よって、コイル235の前端及び後端に、周方向に部分的に形成された第1のヨーク231、第2のヨーク232を設けるのみの簡単な構成により、移動枠221が移動する際のガタ付きを確実に防止することができる。
以上から、磁力を用いて移動枠221を移動させる際のガタ付きを簡単な構成にて確実に防止することできる構成を具備する撮像装置200、内視鏡1を提供することができる。
尚、上述した本実施の形態においても、第1のヨーク231、第2のヨーク232は、図5〜図7中の径方向Kの下方K1において、図5〜図7の上方K2に向けてC字状となるよう配置されている場合を例に挙げて示した。
これに限らず、第1のヨーク231、第2のヨーク232は、図5〜図7中の径方向Kの上方K2において、図5〜図7の下方K1に向けてC字状となるよう配置されていても良く、また、図8において径方向Kの右方K3において、左方K4に向けてC字状となるよう配置されていても良く、さらには、径方向Kの左方K4において、右方K3に向けてC字状となるよう配置されていても良い。
これらの場合、保持枠212の内周面212nに対する移動枠221の外周面221gが押し付けられる方向が変化するだけで、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
尚、これらの場合においても、第1のヨーク231、第2のヨーク232は、扇の中心角の角度が180°以下となるよう設定されていれば良い。
また、上述した本実施の形態においては、磁石は、第1の磁石260、第2の磁石270の2群から構成され、コイル235は第1のコイル236、第2のコイル237の2つから構成されていると示したが、1群の磁石と1つのコイルによる構成においても本実施の形態は適用可能である。
また、上述した第1、第2実施の形態においては、移動枠21、221、保持枠12、212は、円筒状から構成されていると示したが、これに限らず、断面が矩形状からなる筒から構成されていても良い。
さらに、上述した第1、第2実施の形態においては、撮像装置100、200は、内視鏡1に設けられていると示したが、これに限らず、カメラ等に設けられる場合であっても適用可能である。
1…内視鏡
11…対物レンズ(光学系)
12…保持枠
12g…保持枠の外周面
21…移動枠
22…移動レンズ(光学系)
30…ヨーク
30a…ヨークの前端
30b…ヨークの後端
30t1…ヨーク凸部
30t2…ヨーク凸部
30w…枠部
33…磁石
34…磁石
35…コイル
40…撮像素子
50…駆動機構
100…撮像装置
211…対物レンズ(光学系)
212…保持枠
212g…保持枠の外周面
221…移動枠
221g…移動枠の外周面
222…移動レンズ(光学系)
231…第1のヨーク
232…第2のヨーク
235…コイル
235a…コイルの前端
235b…コイルの後端
236…第1のコイル
237…第2のコイル
260a〜260d…第1の磁石(磁石)
270a〜270d…第2の磁石(磁石)
K…径方向
L…光軸方向
R…周方向

Claims (8)

  1. 光学像を形成する光学系と、
    前記光学系の少なくとも一部を内部に保持する磁性体から構成された移動枠と、
    内部に前記光学系を保持するとともに、前記移動枠を前記光学系の光軸方向の前後に移動自在に保持する保持枠と、
    前記保持枠の外周に設けられた、前記光軸方向の前端及び後端に同じ極性が向かい合うよう磁石がそれぞれ設けられたヨークと、前記保持枠の径方向において前記ヨークよりも前記保持枠側に設けられたコイルとを有した駆動機構と、
    を具備し、
    前記ヨークは、
    前記コイルの外周を覆う枠部と、
    前記枠部の前記光軸方向の前端及び後端において、前記保持枠の外周面に突出することにより、前記枠部と前記保持枠の前記外周面との前記径方向の距離を縮める、前記枠部の周方向に部分的に形成されたヨーク凸部と、
    を有し、
    前記移動枠及び前記保持枠は、円筒状に形成されており、
    前記ヨーク凸部は、扇状に形成されており、該扇の中心角の角度は、180°以下であることを特徴とする光学装置。
  2. 前記光軸方向の前後に並んだ前記ヨーク凸部が同一側に配されていることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
  3. 前記磁石は、前記ヨークの前記前端及び後端に一部が接触することを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
  4. 光学像を形成する光学系と、
    前記光学系の少なくとも一部を内部に保持するとともに外周面に磁石が設けられた移動枠と、
    内部に前記光学系を保持するとともに、前記移動枠を前記光学系の光軸方向の前後に移動自在に保持する保持枠と、
    前記保持枠の外周に前記磁石に対向して設けられた、前記光軸方向の前端に第1のヨークが設けられるとともに後端に第2のヨークが設けられた、前記移動枠を磁力によって前記光軸方向の前後に移動させるコイルと、
    を有し、
    前記移動枠及び前記保持枠は、円筒状に形成されており、
    前記第1のヨーク及び前記第2のヨークは、扇状に形成されており、該扇の中心角の角度は、180°以下であることを特徴とする光学装置。
  5. 前記第1のヨーク及び前記第2のヨークは、前記コイルの前記前端及び前記後端に対し、前記保持枠の周方向に部分的に被覆されていることを特徴とする請求項4に記載の光学装置。
  6. 前記磁石は、前記移動枠の前記外周面において前記光軸方向に沿って並ぶ第1の磁石及び第2の磁石から構成されており、
    前記コイルは、前記保持枠の外周面において前記光軸方向に沿って並ぶ第1のコイル及び第2のコイルから構成されていることを特徴とする請求項4に記載の光学装置。
  7. 前記第1のヨーク及び前記第2のヨークが同一側に配されていることを特徴とする請求項に記載の光学装置。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の前記光学装置を有する内視鏡であって、
    前記移動枠が前記光軸方向に移動することにより、被写体の焦点を切り替えることを特徴とする内視鏡。
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