JP6694431B2 - 皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤 - Google Patents

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Description

皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤およびこれを用いる医療用機器に関する。
亜鉛は人体で2番目に多い金属であり、亜鉛の果たす重要性は、皮膚炎、拒食症、脱毛症および全体的成長障害を含む食事性欠乏症状などがあることが古くから知られている。
特許文献1では請求項1に、「創傷治癒促進活性を有する生理活性物質を、ゼラチン、ペクチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウムから選ばれる水溶性高分子の基質に配合することを特徴とする創傷治癒用フィルム製剤。」が記載されている。フイルム製剤に使用される粘着剤としてアルミニウム塩や難溶性の金属塩及び/又は難溶性の金属酸化物を混合する態様が記載され、金属塩及び/又は金属酸化物の例示に、炭酸亜鉛、酸化亜鉛等の記載がある(段落[0026])。
特許文献2では請求項1に、「カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基およびリン酸(塩)基の群から選ばれた少なくとも1種の酸性官能基を0.01〜5mmol/g含有する酸変性共役ジエン系ポリマーを含む皮膚接触用材料。」が記載されている。酸変性共役ジエン系ポリマーには、架橋剤として共有結合用架橋剤、イオン結合用架橋剤が含まれていてもよく、イオン架橋剤として、炭酸亜鉛、酸化亜鉛の記載(段落[0022])がある。
しかし、いずれの先行技術でもハイドロジンカイトを有効成分とする皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤の記載はない。
特開2004−161684号公報 特開2005−6995号公報
正札研一、宮崎香、化学と生物、Vol35、No12、1997年 Kruger et al., Journal of Orthopaedic Surgery and Research, 7:10(2012)
表皮をへて真皮に至る皮膚創傷または皮膚荒れのような深い傷、肌荒れの治療剤を提供する。
すなわち本発明は、以下を提供する。
(1)硫酸亜鉛、塩化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛、および酸化亜鉛からなる群から選択される少なくとも一つを含み、製薬学上許容される担体を含んでもよい皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤(以下本発明の治療剤ということがある)。
(2)前記炭酸亜鉛が、炭酸亜鉛、炭酸水酸化亜鉛、および炭酸水酸化亜鉛水和物からなる群から選択される少なくとも一つを含有する(1)に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤。
(3)上記(2)に記載の炭酸水酸化亜鉛水和物において、少なくとも一部のSO42−イオンが炭酸イオンと置換することによって、Sとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含有することを特徴とする(2)に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤。
(4)上記(2)に記載の炭酸水酸化亜鉛水和物において、少なくとも一部のClイオンが炭酸イオンと置換することによって、Clとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含有することを特徴とする上記(2)に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤。
(5)ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、少なくとも一部のSO 2−イオンが炭酸イオンと置換することによって、Sとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含有するハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、および少なくとも一部のClイオンが炭酸イオンと置換することによって、Clとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含有するハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物からなる群から選択される少なくとも一つのハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物の攪拌法による溶出試験後において、Zn2+イオン溶出量が0.1μg/m以上であり、pHが7.2以上〜8.3未満である皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤;
ここで、溶出試験とは、前記ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物のBET比表面積が10〜150m/g、前記ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物と生理食塩水の質量比が1:50、37℃における回転子を用いて500rpmでの攪拌時間が3時間である。
(6)ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物が下記式(1)で表され、かつZnとCOのモル比がZn/CO=2.5〜3.3である(2)ないし(5)のいずれか1に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤;
Zn4〜6(CO1〜3(OH)5〜6・nHO (1)
nは、0〜6である。
(7)前記ハイドロジンカイト、およびSとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含む炭酸水酸化亜鉛水和物が下記式(2)で表され、かつZnと((1−x)CO+x(SO))のモル比がZn/((1−x)CO+x(SO))=2.5〜3.3である(3)または(5)に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤;
Zn4〜6((1−x)CO+x(SO))1〜3(OH)5〜6・nHO (2)
nは、0〜6である。xは、0.005〜0.1である。
(8)前記ハイドロジンカイト、およびClとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含む炭酸水酸化亜鉛水和物が下記式(3)で表され、かつZnと((1−x)CO+xCl)のモル比がZn/((1−x)CO+xCl)=2.5〜3.3である(4)または(5)のいずれか1に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤;
Zn4〜6((1−x)CO+xCl)1〜3(OH)5〜6・nHO (3)
nは、0〜6である。xは、0.005〜0.1である。
(9)上記(6)ないし(8)のいずれか1に記載の組成式で示される、ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、少なくとも一部のSO 2−イオンが炭酸イオンと置換することによって、Sとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含有するハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、または少なくとも一部のClイオンが炭酸イオンと置換することによって、Clとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含有するハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物のXRD回折ピークにおいて、それぞれZn(CO(OH)・nHO、Zn((1−x)CO+xSO(OH)・nHO、またはZn((1−x)CO+xCl)(OH)・nHO;各化学式においてxは0.005〜0.1、nは0〜6である;の構造が支配的であり、その時a軸が13.3〜13.8、b軸が6.2〜6.4、c軸が5.25〜5.5、βが94.9〜97.5であることを特徴とする上記(3)ないし(8)のいずれか1に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤。
(10)上記(6)ないし(9)のいずれか1に記載の治療剤を生理食塩水に溶いて用いる場合、治療剤と生理食塩水の比が0.1g/L〜100g/L、治療剤が前記(1)ないし(3)式のいずれか1で表され、かつn=0(無水)とした時、治療剤全量に対する亜鉛濃度が、金属亜鉛として45質量%〜75質量%であり、かつ治療剤の生理食塩水溶液における亜鉛濃度が0.045g/L〜75g/Lである上記(6)ないし(9)のいずれか1に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤。
(11)前記炭酸水酸化亜鉛水和物が、亜鉛塩水溶液およびアルカリ水溶液の沈殿物生成反応によって生成される上記(1)ないし(10)のいずれか1に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤。
(12)上記(11)に記載の沈殿物生成反応において、Zn2+イオン、(CO2−イオン、およびOHイオンの反応が、pHが6.5以上〜9.5未満に制御された反応場で沈殿物を得る上記(11)に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤。
(13)上記(11)に記載の沈殿物生成反応において、Zn2+イオン、(CO2−イオン、(SO2−イオン、およびOHイオンの反応が、pHが7.0以上〜9.5未満に制御された反応場で沈殿物を得る上記(11)に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤。
(14)上記(11)に記載の前記沈殿物生成反応において、Zn2+イオン、(CO2−イオン、Clイオン、およびOHイオンの反応が、pHが7.0以上〜9.5未満に制御された反応場で沈殿物を得る上記(11)に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤。
(15)上記(12)に記載の沈殿物である炭酸水酸化亜鉛水和物が、(1)式で表されるハイドロジンカイトを含む(2)ないし(5)のいずれか1に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤;
Zn4〜6(CO1〜3(OH)5〜6・nHO (1)
M:亜鉛元素を示し、nは0〜6である。
(16)上記(13)に記載の沈殿物であるハイドロジンカイト、およびSとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含む炭酸水酸化亜鉛水和物が(2)式で表され、かつZnと((1−x)CO+x(SO))のモル比がZn/((1−x)CO+x(SO))=2.5〜3.3である上記(3)または(5)に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤;
Zn4〜6((1−x)CO+x(SO))1〜3(OH)5〜6・nHO (2)
nは、0〜6である。xは、0.005〜0.1である。
(17)上記(14)に記載の沈殿物であるハイドロジンカイト、およびClとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含む炭酸水酸化亜鉛水和物が(3)式で表され、かつZnと((1−x)CO+xCl)のモル比がZn/((1−x)CO+xCl)=2.5〜3.3である(4)または(5)に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤;
Zn4〜6((1−x)CO+xCl)1〜3(OH)5〜6・nHO (3)
nは、0〜6である。xは、0.005〜0.1である。
(18)前記皮膚創傷または皮膚荒れが、表皮をへて真皮に至る皮膚創傷または皮膚荒れである(1)ないし(17)のいずれか1に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤。
(19)皮膚創傷または皮膚荒れに適用される上記(1)ないし(18)のいずれか1に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤、および前記皮膚創傷または皮膚荒れを閉鎖環境に保持する創傷被覆材を有する、皮膚創傷または皮膚荒れ治療用医療機器。
(20)前記創傷被覆材が、ポリウレタンフイルム・ドレッシング材、ハイドロコロイド・ドレッシング材、ポリウレタンフォーム・ドレッシング材、アルギン酸塩被覆材、ハイドロジェル・ドレッシング材、ハイドロポリマー、セルロースフイルム、およびシルクフイルムからなる群から選択される少なくとも一つである(19)に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療用医療機器。
(21)上記(1)ないし(19)のいずれか1に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤が創傷被覆材に塗布、含有または付着される上記(19)または(20)に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療用医療機器。
(22)上記(1)ないし(18)のいずれか1に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤、および創傷被覆材を組み合わせて有する、皮膚創傷または皮膚荒れ治療用医療セット。
(23)アルカリ水溶液に、亜鉛塩水溶液を好ましくはpH7.0以上〜9.5未満で反応させて、生成する沈殿物を得る上記(1)ないし(18)のいずれか1に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤の製造方法。
(24)アルカリ水溶液に、亜鉛塩水溶液を反応させて、生成する沈殿物を、700℃以上の温度で熱処理して得られる酸化亜鉛を含む無機抗菌性組成物。
(25)上記(24)に記載の無機抗菌性組成物を含む上記(1)ないし(18)のいずれか1に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤。
(26)表面積あたりのZn2+イオン溶出量を指標としてハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物の化学構造を選択して有効成分とする皮膚創傷または皮膚荒れの治療方法。
(27)表面積あたりのZn2+イオン溶出量を指標としてハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物の化学構造を選択して医薬組成物に添加して前記医薬組成物の治療効果、特に皮膚治療効果を促進する方法。
(28)表面積あたりのZn2+イオン溶出量を指標としてハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物の化学構造を選択して化粧品に添加して前記化粧品による美容効果を促進する方法。
本発明の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤は、炎症を引き起こすことなく、皮膚の再生または毛根の再生が行えると考えられる。したがって本発明の治療剤は、表皮をへて真皮に達しない皮膚創傷または皮膚荒れの治療効果がある、表皮をへて真皮に至る皮膚創傷または皮膚荒れに治療効果がある、または、表皮をへて真皮に至る皮膚全層欠損の皮膚創傷または皮膚荒れに治療効果がある。
図1は、本発明の製剤例の製造方法によって得られたハイドロジンカイトのXRD(X−線回折法)のチャートである。 皮膚全層欠損に製剤例1の粉末を塗布し、塗布後に被覆材で被覆した様子を示す模式図である。 創傷作製時と経過後の再上皮化率を示す模式図である。 再上皮化率の測定方法を説明する図である。 創傷作製時と経過後の組織学的観察結果を示す皮膚断面の顕微鏡写真の図である。Aは、製剤例1を用いた実験例2に記載の創傷作製―2週間治療後の皮膚断面の染色顕微鏡写真であり、Bは、Aの拡大図である。 図6のAおよびBは、図5のコントロールとして、図5と同じタイミングで撮影された同じ倍率の正常皮膚の写真である。 創傷、熱傷の治癒過程を説明する模式図である。 ハイドロジンカイトの合成時のpHと、溶出試験後のpHとの関係を示すグラフである。 ハイドロジンカイトの合成時のpHと、溶出試験後のZn2+イオン溶出量との関係を示すグラフである。 本発明のイオウを含有する炭酸水酸化亜鉛水和物、および塩素を含有する炭酸水酸化亜鉛水和物の合成時のpHと、溶出試験後のpHとの関係を示すグラフである。 本発明のイオウを含有する炭酸水酸化亜鉛水和物、および塩素を含有する炭酸水酸化亜鉛水和物の合成時のpHと、溶出試験後のZn2+イオン溶出量との関係を示すグラフである。
1.本発明の治療剤
本発明の治療剤は、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛および酸化亜鉛からなる群から選択される少なくとも一つを含む治療剤である。
炭酸亜鉛(zinc carbonate)は、塩基性炭酸亜鉛または炭酸・水酸化亜鉛の略語として使われる、亜鉛の炭酸塩である。化学式はZnCOだが、組成は安定しておらず工業分野では一般的に代表的な化学式2ZnCO・3Zn(OH)・HOで表される。一般には塩基性炭酸亜鉛を指す。天然には菱亜鉛鉱として存在する。炭酸亜鉛は;炭酸亜鉛、炭酸水酸化亜鉛、および・または炭酸水酸化亜鉛水和物であり、Zn4〜6(CO1〜3(OH)5〜6・nHO・・・式(1)で表され、nは、0〜6であり、化学式として、Zn(CO3(OH)で表されることもある。
本発明の治療剤は、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛、および酸化亜鉛からなる群から選択される少なくとも一つを含む治療剤であり、炭酸亜鉛は、炭酸亜鉛、炭酸水酸化亜鉛、および炭酸水酸化亜鉛水和物からなる群から選択される少なくとも一つを含有する治療剤である。
本発明の治療剤は、天然の、または市販の炭酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化亜鉛を用いてもよいし、合成してもよいし、これらの混合物であってもよい。酸化亜鉛は日本薬局方に医薬品として記載されている。
本発明の治療剤は、亜鉛塩水溶液からアルカリ沈殿法によって生成される沈殿物を得てこれを用いてもよい。好ましくは以下に述べる沈殿物生成反応において、Zn2+イオン、(CO2−イオン、およびOHイオンの反応が、pHが好ましくは6.5以上〜9.5未満、より好ましくは7.0以上〜9.5未満に制御された反応場で得られる沈殿物を本発明の治療剤として用いる。より好ましくは、下記式(1)で表されるハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物の治療剤である。
Zn4〜6(CO1〜3(OH)5〜6・nHO (1)
nは、0〜6である。
または、Zn2+イオン、(CO2−イオン、(SO2−イオン、およびOHイオンの反応が、pHが7.0以上〜9.5未満に制御された反応場で沈殿物を本発明の治療剤として用いる。より好ましくは、下記式(2)で表されるハイドロジンカイト、およびSとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含む炭酸水酸化亜鉛水和物の治療剤である。
Zn4〜6((1−x)CO+x(SO))1〜3(OH)5〜6・nHO (2)
nは、0〜6である。xは、0.005〜0.1である。
さらには、Zn2+イオン、(CO2−イオン、Clイオン、およびOHイオンの反応が、pHが7.0以上〜9.5未満に制御された反応場で沈殿物を得る本発明の治療剤として用いる。より好ましくは、下記式(3)で表されるハイドロジンカイト、およびClとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含む炭酸水酸化亜鉛水和物の治療剤である。
Zn4〜6((1−x)CO+xCl)1〜3(OH)5〜6・nHO (3)
nは、0〜6である。xは、0.005〜0.1である。
本発明の治療剤は、実施例で説明する攪拌法による溶出試験後において、Zn2+イオン溶出量が0.1μg/m2以上、pHが7.2以上〜8.3未満であるのが好ましく、Zn2+イオン溶出量が0.5μg/m2、pHが7.2以上〜8.3未満であるのがより好ましい。
(攪拌法による溶出試験)
本明細書で測定する、Zn2+イオン溶出量は、後に説明する実施例の製剤例2と同様の工程で製造時のpHを変化させて製造した各サンプルの表面積を予めBET法で測定しておく(BET比表面積計:カンタクローム・インスツルメンツ・ジャパン製 高精度・多検体ガス吸着量測定装置)。各サンプルを、生理食塩水中で攪拌した後のZn2+イオン濃度をICP発光分析装置(島津製作所製 ICPE−9000)により測定してZn2+イオン溶出量を得て、予め測定して得られている表面積で割った値である。各サンプルと生理食塩水の質量比は、1:50とし、37℃において回転子を用いて500rpmでの3時間攪拌の後に生理食塩水中に溶出したZn2+イオン量を測定する。
2.本発明の治療剤の製造方法
アルカリ沈殿法に用いる炭酸源として好ましくは、NaH(CO)水溶液に、同水溶液のpHが、好ましくは6.5以上〜9.5未満、より好ましくは7.0以上〜9.5未満を維持するように鉱化材としてNaOHを滴下することで、酸性である硝酸亜鉛などの亜鉛水溶液を滴下し沈殿物とし、10〜30時間攪拌後、吸引濾過または遠心分離による固液分離、蒸留水などによる洗浄を行った後、真空乾燥することでハイドロジンカイトを主成分とする炭酸水酸化亜鉛水和物が得られる。得られる炭酸水酸化亜鉛水和物の粒度は限定されず治療薬として用いる際には、公知の方法で適切な粒径とすることができる。
原料の炭酸源、亜鉛源、および鉱化材は上述したものに限定されるものではない。炭酸源には(NH)CO、NaCO、好ましくは、NaH(CO)水溶液が挙げられ、亜鉛源は硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛の中から選択され、鉱化材としてNH、またはNaOHの水溶液の使用が挙げられる。炭酸源と亜鉛源水溶液における炭酸と亜鉛との濃度比(モル比)は2: 5として反応させるのが好ましく、亜鉛源水溶液の濃度は0.1〜1Mの範囲であるのが好ましい。反応温度は40℃以下、好ましくは25℃で行う。得られるハイドロジンカイトを主成分とする炭酸水酸化亜鉛水和物は、亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液の沈殿物生成反応によって得られる反応物、および未反応物としての原料、副生物及び原料から混入する不純物の混合物である。
図1に本発明における製剤例の製造方法によって製剤例2に示したようなpH条件を変えて製造されたハイドロジンカイトのXRDチャートを示す。XRD装置はBruker Corporation製のD8 ADVANCEを用いた。
図1のpH7.0〜10.0の場合のチャートに示すように、ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物のXRD回折ピークにおいて、pH8.0の場合のチャートでピークをマークしたハイドロジンカイトのZn(CO(OH)・nHO[式(1)]の構造が支配的であり、その時a軸が13.6〜14.0、b軸が6.25〜6.4、c軸が5.3〜5.4、βが95.0〜97.5、であるのが好ましい。また、ハイドロジンカイトの構造において、SO42−イオンまたはClイオンが炭酸イオンと置換する場合はそれぞれ上記の式(2)または式(3)で表され、a軸が13.3〜13.8、b軸が6.2〜6.4、c軸が5.25〜5.5、βが94.9〜97.5、であるのが好ましい。XRD回折ピークにおける結晶がこの範囲であると皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤としての効果が高い。
また表1には製剤例3、4に記した製造方法によって製造されたSO 2−イオンが炭酸イオンと置換することなどによって、Sとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含む炭酸水酸化亜鉛水和物と、Clイオンが炭酸イオンと置換することなどによって、Clとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含む炭酸水酸化亜鉛水和物のXRD回折結果を、図1のXRDチャートで示したハイドロジンカイトのXRD回折結果とともに、合成時のpHと同定された鉱物相の関係として示す。
ハイドロジンカイトが主成分として得られる製造条件は用いる炭酸源、亜鉛源の種類や濃度によって変化するがpH条件を変化させて、それぞれの条件のpHを一定として製造すれば最適pH条件を見出すことができる。ここで、主成分とは混合物中で最も多い成分をいい、好ましくは80質量%以上、より好ましくは95質量%以上をいう。
3.酸化亜鉛の製造方法
上記のアルカリ沈殿法で得られた沈殿物を、700℃以上、好ましくは1000℃から1300℃の温度で熱処理して酸化亜鉛が得られる、得られた酸化亜鉛は、無機抗菌性組成物として、耐熱性・耐久性・安全性に優れるという特徴を有し、暗所でも効果を発現する安価な無機系抗菌剤として、抗菌効果が高い。本発明の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤に混合して使用することができる。酸化亜鉛は乾燥作用があり、抗菌性も有するため刺激が強い。そのため本発明のハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物に混合して使用する場合は、金属亜鉛量に換算して全金属亜鉛量の30質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下とする。
これまで、実験動物に作成した創傷部位に対してZnSO、ZnClおよびZnOなどの亜鉛化合物を適用し、創傷治癒効果を評価する研究が数多く行われてきた。これらの化合物は、創傷部位にZn2+イオンを供給する物質である。しかし、Zn2+イオンによる創傷治癒効果には、Zn2+イオンの至適濃度が存在することが報告されている。500μmol/L以下であれば繊維芽細胞に対する毒性を示さないが、高レベル(15 mmol/L以上)の亜鉛イオンの存在は、皮膚の炎症性細胞浸潤を増加させ、再上皮化を著しく遅延させることが知られている。
また、生理食塩水を主成分とする体液のpHは約7.4〜7.5で維持されており、本発明品のハイドロジンカイトを主成分とする塩基性炭酸亜鉛などを生理食塩水に溶解させるとZn2+イオンの生成・溶出にみあったpHの変動が予想される。また、Zn2+イオンおよび/または(CO2−イオンを供給するpH環境、水分子のOHイオンを介して基質タンパクを分解するマトリックスメタプロテアーゼ(MMPs)酵素を効率よく活性化するためのOHイオン供給、の2点を見極めることで、さらなる治療の促進と痂皮などの治療を妨げる組織が形成されず、傷跡が残ることを抑制できるので患者のQOL(Quality of Life)の向上が期待できる。
創傷治癒過程では、細胞の活発な増殖と移動が起こることが知られている。組織内あるいは組織間を細胞が遊走する際には、既存の細胞外マトリックスを局所的に破壊する必要がある。また、創傷部位に組織を再構築するために、新しい細胞外マトリックスの形成も同時に行なわれる。これらの過程では、種々のタンパク質分解酵素が関与する。
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)と組織阻害性メタロプロテアーゼ(TIMPs)の活性バランスは、創傷治癒、組織修復、血管新生、浸潤、腫瘍形成および転移などの正常事象・病理学事象の両方に関与している。
MMPsは細胞外のコラーゲンを分解する酵素であり、結合組織と結合組織中に存在する細胞により合成される。MMPsは中心に亜鉛イオンを有しており、活性部位にはZn2+イオンの結合部位が存在する。表皮の再生は、表皮細胞が創縁や皮膚付属器(毛根、汗腺等)から遊走してくることで達成される。従って、亜鉛化合物からのZn2+イオンとMMPsが結合することで細胞外マトリックスの破壊が起こり、表皮細胞の遊走が促進される。
TIMPsは、繊維芽細胞、内皮細胞等により産生され、MMPsに対し阻害作用を持つ酵素である。MMPsとTIMPsは、1:1の複合体を形成することでMMPsのコラーゲン分解を抑制する。この機構により、MMPsによるI、IIおよびIII型コラーゲンのへリックス部位の特異的な切断を抑制することで創傷部位での繊維化を促進し、再生組織のコラーゲン量を増加させることができる。
以上より、本発明の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤は、創傷部位に亜鉛イオンを適切に供給することで細胞遊走を促進し、コラーゲン蓄積を増大し創傷治癒を促進することができると考えられる。
また亜鉛イオンおよび・または炭酸イオンを供給するpH環境を見極めることで、さらなる治療の促進と痂皮などの治癒を妨げる組織が形成されず、傷跡が残ることを抑制できるので患者のQOL(Quality of life)の向上が期待できる。
4.本発明の治療剤は、医薬組成物用の添加物、化粧品用の添加物として用いることができる。
(1)本発明の治療剤は、酸化亜鉛に比べて乾燥作用や抗菌性を有さず添加剤として有用である。攪拌法による溶出試験後において、表面積あたりのZn2+イオン溶出量が0.1μg/m以上であり、pHが7.2以上〜8.3未満であるハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、SO 2−イオンが炭酸イオンと置換することなどによって、Sとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含有するハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、またはClイオンが炭酸イオンと置換することなどによって、Clとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含有するハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物を有効成分として含有し、医薬組成物に用いる添加物または化粧品用の添加物に好適である。
(2)また、攪拌法による溶出試験後において、表面積あたりのZn2+イオン溶出量が0.1μg/m以上であり、pHが7.2以上〜8.3未満であるハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、SO 2−イオンが炭酸イオンと置換することなどによって、Sとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含有する炭酸水酸化亜鉛水和物、およびClイオンが炭酸イオンと置換することなどによって、Clとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含有する炭酸水酸化亜鉛水和物を有効成分として含有する化粧品に用いる添加物に好適である。
ここで、溶出試験とは、ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、SO 2−イオンが炭酸イオンと置換することなどによって、Sとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含有する炭酸水酸化亜鉛水和物、およびClイオンが炭酸イオンと置換することなどによって、Clとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含有する炭酸水酸化亜鉛水和物のBET比表面積が10〜150m/g、ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、SO 2−イオンが炭酸イオンと置換することなどによって、Sとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含有する炭酸水酸化亜鉛水和物、およびClイオンが炭酸イオンと置換することなどによって、Clとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含有する炭酸水酸化亜鉛水和物と生理食塩水の質量比が1:50、37℃ における回転子を用いて500rpmでの攪拌時間が3時間である。
5.皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤とその製薬学上許容される担体
本発明の治療剤は、皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤とすることができ、必要な場合は製薬学上許容される担体を含んでもよい。担体は、有機溶媒、無機溶媒、具体的には水、生理食塩水、アルコール、多価アルコール、またはこれらの混合物、が例示できる。この治療剤の形態としては、増粘剤等を加えてゲル状、ペースト状に加工して取り扱い性を向上させても良い。
担体として、例えば、α −オレフィンオリゴマー、パラフィンワックス、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素、パーシック油、オリーブ油、牛脂、ミンク油等の動植物油、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル等の合成エステル、ホオバ油、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、モクロウ、ミツロウ等の天然動植物ワックス、ステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、トリオレイン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ショ糖エステル、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油及びその誘導体が挙げられる。
パーフルオロポリエーテル等のフッ素系樹脂、エタノール、1 , 3 − ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジグリセリン等のアルコール類、カラギーナン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、コラーゲン、エラスチン、シルク、セルロース、ラクトフェリン等のタンパクおよびその加水分解物、無水ケイ酸、ナイロンパウダー、ポリアクリル酸アルキル、アルミナ、酸化鉄等の粉体を用いてもよい。
その他、紫外線吸収剤、ビタミン類、尿素、海水乾燥物、抗炎症剤、アミノ酸類およびその誘導体、レシチン、着色剤、香料、防腐剤等、油分としては卵黄油、マカデミアナッツ油、綿実油、アボカド油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、トウモロコシ油、ピーナッツ油、牛脂、カルナバロウ。
またその他としてミツロウ、流動パラフィン、ラノリン、スクワラン、ステアリン酸、ラウリン酸エステル類、ミリスチン酸エステル類、イソステアリルアルコール、精製水、電気分解した水、エチルアルコール等が挙げられる。つまり、一般に化粧品、医薬部外品に共通して配合されるものは本発明の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤の担体に用いることが出来る。担体は用いなくても良い。
例えば、その他の本発明の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤に加えても良い成分として、実際に化粧品、医薬部外品に添加されるものに応じて取捨選択される。厳密に区別できるものではないが、保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ピロリドンカルボン酸およびその塩、コラーゲン、1,3−ブチレングリコール、ヒアルロン酸およびその塩、コンドロイチン硫酸およびその塩、キサンタンガム等が挙げられる。
酸化防止剤としては、アスコルビン酸、α − トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、パラヒドロキシアニソール等が挙げられる。界面活性剤としては、ステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ジエタノールアミン、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、大豆リゾリン脂質液、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。
防腐剤としては、フェノキシエタノール、エチルパラベン、ブチルパラベン、酸化亜鉛をはじめとする無機顔料等が挙げられる。
消炎剤としては、グリチルリチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等が挙げられる。
美白剤としては、胎盤抽出物、グルタチオン、ユキノシタ抽出物、アスコルビン酸誘導体、アルブチン等が挙げられる。
血行促進剤としては、γ − オリザノール、デキストラン硫酸ナトリウム等が挙げられる。
抗脂漏剤としては、硫黄、チアントール等が挙げられる。
増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。
pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、グリコール酸、水酸化ナトリウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
治療剤の濃度は、特に限定されないが、前記治療剤全量に対する亜鉛濃度が、金属亜鉛として0.000001g/L〜10g/Lが例示できる。前記治療剤中の固形分は炭酸水酸化亜鉛水和物またはハイドロジンカイトで(Zn(CO3(OH)・HOとして)好ましくは0.00000173g/L〜17.3g/Lである。より好ましくは0.000173g/L〜1.73g/Lである。濃度がこの範囲であると治療効果が高い。
治療剤を生理食塩水に溶いて用いる場合、治療剤と生理食塩水の比が0.1g/L〜100g/L、治療剤が前記(1)ないし(3)式で表され、かつn=0(無水)とした時、治療剤全量に対する亜鉛濃度が、金属亜鉛として45質量%〜75質量%であり、かつ治療剤の生理食塩水溶液における亜鉛濃度が0.045g/L〜75g/Lである皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤が好ましい。
6.皮膚創傷または皮膚荒れ治療用医療機器とそれに用いる創傷被覆材
本発明の治療剤は限定されないが、表皮をへて真皮に至る皮膚創傷または皮膚荒れの治癒に有効である。本発明の治療剤は、皮膚創傷または皮膚荒れに適用され、さらに創傷被覆材で前記皮膚創傷または皮膚荒れを閉鎖環境に保持する皮膚創傷または皮膚荒れ治療用医療機器とすることができる。ここで、「皮膚創傷または皮膚荒れに適用され」とは、皮膚創傷または皮膚荒れに直接塗布されてもよく、皮膚創傷または皮膚荒れの周辺の皮膚に適用されても良い。創傷被覆材は前記皮膚創傷または皮膚荒れを閉鎖環境に保持する医療機器である。また他の態様として、本発明の治療剤が創傷被覆材に塗布、含有または付着され、本発明の治療剤が塗布、含有または付着された創傷被覆材が前記皮膚創傷または皮膚荒れを閉鎖環境に保持する医療機器であってもよい。
本発明の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤、皮膚創傷または皮膚荒れ治療用医療機器(以下本発明の医療機器ということがある)は、限定されないが、表皮および真皮の(皮膚全層の)欠損である皮膚創傷または皮膚荒れを治療できる。図7に示す模式図を用いてこれを説明する。
図7のAは、皮膚の断面を示す模式図であり、表皮をへて真皮に至る皮膚創傷または皮膚荒れを1で示している。創傷が乾いている乾燥環境下では、創傷の内表面に本発明の治療剤を塗布し、かさぶたのような痂皮ができる場合、または通気性の良いバンソウコウなどで創傷の上面を保護する。創傷の内表面にはBに示すように創傷の治癒に伴い表皮細胞が生えてくる。さらに治癒が進むとCに示されるように線維芽細胞が傷を覆い創傷の上面には瘢痕組織が発達して治癒する。
Dに示される浸出液があり創傷が湿っている湿潤環境下では、後述する吸水性の創傷被覆材で創傷の上面部を覆い、創傷の表面に本発明の治療剤を塗布する。このような環境では、本発明の医療機器は、肉芽増生、上皮細胞の移動に最適の環境を提供できる。創傷の表面または内表面にはDに示すように創傷の治癒に伴い表皮細胞が生えてくる。さらに治癒が進むとEに示されるように線維芽細胞が傷を覆い創傷の上面には皮膚組織が発達して治癒する。
創傷被覆材
皮膚創傷または皮膚荒れの治癒には、乾燥環境下で治癒させる場合と、湿潤環境下で治癒させる場合とがある。乾燥環境下で治癒させる場合は創傷被覆材として何もしない場合もあるが、通常は傷口、皮膚荒れ部の保護のために通気性の良い創傷被覆材で覆う。ガーゼ、包帯、通気性のあるフイルム状創傷被覆材がある。
本発明の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤は、創傷被覆材で閉鎖環境とし、さらに適切な湿潤環境に保持できるので治療に有効である。無機系の材料である本発明の治療剤と有機系の材料である創傷被覆材とを組み合わせて、有機系・無機系の材料のハイブリッド化することで大きな相乗効果が得られる。
本発明の治療剤を使用する際に、生理食塩水などを溶媒として液剤とする場合と、創傷内に浸出液があり創傷が潤っている場合は粉体の剤形で使用することができる。必要な場合はその中間の増粘状態やゲル剤とすることもできる。本発明の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤は、創傷被覆材で閉鎖環境とし、さらに個々の創傷に適切な湿潤状態に維持できるよう剤形を液剤や、粉体に調整することができるので湿潤環境での治療に有効である。液剤や、粉体のいずれの剤形でも、本発明の治療剤を創傷被覆材と共に用いれば、痂皮などの治癒を妨げる組織が形成されず、傷跡が残ることを抑制できるので患者のQOL(Quality of life)が高い。
また、以下の創傷被覆材を用いて、湿潤環境を提供して創傷治癒を促進することができる。
1)ポリウレタンフイルム・ドレッシング材
商品名、テガダーム(3M社製)、オプサイトウンド(Smith & Nephew社製),I V3000(Smith & Nepnew社製)、バイオクルーシフ(Johnson & Johnson社製)などが例示できる。片面が粘着面を構成する透明なフイルムで、水蒸気や酸素が透過でき、中が蒸れないようになっているポリウレタンフイルム・ドレッシング材である。出血を伴わない創面、浅い褥瘡(発赤のみ)、あるいは水癒の保護、褥瘡の予防などに使われるが、後述するアルギン酸塩被覆材やハイドロジェルの密封用に有用である。
2)ハイドロコロイド・ドレッシング材
商品名、デュオアクティブ(Convatec社製)、コムフィール(コロプラスト社製)、テガソーブ(3M社製)、アブソキュア(日東メディカル社製)などが例示できる。シート状であり、外側が防水層、内側が親水性コロイド粒子を含む粘着面を構成する。大きさ、形はさまざまであり、厚さは、ポリウレタンフォームを用いてクッション性を持たせた厚いもの(デュオアクティフ、CGF)や、非常に薄くしなやかなもの(デュオアクティブET社製)がある。通常はシート状のものが使われるが、ペースト状のもの(コムフィール・ペースト社製)、顆粒状のもの(デユオアクテイブ)、陥凹した創やポケツ卜形成をした褥瘡に使われる。外側の防水層により外気から遮断されるため、特に仙骨部褥瘡では尿便失禁などから創面を保護することができる。内側の親水性コロイド粒子は浸出液を吸収することで湿潤したゲルとなり、湿潤環境を提供する。なお、外気中の酸素を遮断する。創面のコロイド粒子がゲル化するため、創面に癒着することはない。新鮮外傷での使用では、薄いデュオアクティブ、がある。
3)ポリウレタンフォーム・ドレッシング材
商品名、ハイドロサイト(Smith& Nephew社製)がある。一番外側が水分を通さないポリウレタンフイルム、一番内側が非固着性の薄いポリウレタンで、これらに厚い親水性吸収フォームが挟まれる。中層は高い吸水性を持ち、浸出液を吸収し、かつ適度の水分を保持し創面の湿潤環境を保つ。このため、浸出液の多い創面に用いられる。浸出液の多い褥瘡にハイドロコロイドを使用するとすぐに溶けてしまい周囲の皮膚が過度に浸軟することがあるが、そういう場合は、ポリウレタンの方が使いやすい。またドレッシング材自体が溶けないため、創面にドレッシング材が残ることもなく取り扱いも非常に簡単である。
新鮮外傷では全ての皮膚欠損創に使えるが、指尖部損傷への適用が好ましい。指尖部は通常でもぶつかりやすい部位であり、指尖部損傷での創部への打撃は非常な痛みを伴う。しかしハイドロサイトで指尖部を覆うと、ドレッシング材自体に厚みとクッション性があり、ぶつかった際の衝撃が弱まり、好適である。基本的にドレッシング材そのものに固着性がないためバンソウコウなどでの固定が必要となるが、皮膚が極めて脆弱な老人で、「水で、濡らした障子紙を裂くように」皮膚が裂けてしまう場合は、バンソウコウの固定をせずに、包帯で巻くだけでも良い。
4)アルギン酸塩被覆材
商品名、カルトスタッ卜(Convatec社製)、ソーブサン(アルケア社製)、アルゴダーム(メディコン社製)、クラビオAG(クラレ社製)などがある。海草のコンブから抽出されたアルギン酸塩(ソーブサン、アルゴダームではカルシウム塩、カルトスタットではカルシウム塩とナトリウム塩の混合)を繊維状にして不織布にしたもの。アルギン酸は自重の15〜20倍の水分を吸収するが、浸出液などのナトリウムイオンを含む水分を吸収するとゲル化する。このゲルが創面の湿潤環境を保つ。また、極めて強力な止血効果を有する。これは、ゲル化する際にカルシウムイオンを放出することによるもの。通常はフイルムドレッシング材で密封して使用する。幾つかの製品があるがカルトスタットは線維が太く硬いためゲル化する率が低く崩れにくいが、ソーブサンは線維が細く柔らかいゲルになり、崩れやすいが、実際の使用では大きな差はない。挫傷などで創面をブラッシングした際の出血も、アルギン酸塩被覆材で対応できる。以上のような特性から、この被覆材は「出血を伴う皮膚欠損創」に好ましい。
5)ハイドロジェル・ドレッシング材
商品名、ジェリバーム(竹虎社製)、ニュージェル(Johnson & Johnson社製)、イントラサイト(Smith & Nephew社製)、グラニュゲル(Convatec社製)、クリアサイト(日本シグマックス社製)などがある。一見「透明な軟膏」のように見えるが、親水性ポリマー分子が架橋を作り、マトリックス構造をとり、その中に水分を含んでいる。ポリマーの種類が違ったり、増粘剤が加えられていたり、水分量が製品ごとに違っている。水分量も97%というものから60%程度のものまでさまざまある。通常は、フイルムドレッシングで密封して利用する。「乾燥気昧の開放創」、すなわち浸出液が少ない創面で有効である。また、深い陥凹となっている開放創にも利用できる。黒い痴皮が覆っている黒色期の褥瘡をこの被覆材で密封すると自己融解が早まり、デブリードマンしやすくなる。創周囲の皮膚が脆弱な場合、フイルムドレッシングでの密封が難しいが、この場合は、ジェルを直接ガーゼで、覆っても十分効果がある。
6)ハイドロポリマー
商品名、ティエール(Johnson& Johnson社製)がある。創にあたるハイドロポリマー吸収パッドは、浸出液を吸収して浸出液の方向に向かって膨らむ(体積が増加する)という性質を持つ。主成分は少量のアクリルポリマーを含む親水性ポリウレタンフォームである。浸出液があるとその方向に向かって膨化する。つまり、陥凹した創にこの被覆材を使うとその陥回した形に合わせて突出し創面に柔らかくフィットすることになる。術後の創離開、皮弁壊死などに伴う広範で深い皮膚軟部組織欠損創に適用できる。
7)シルクフイルム
シルクフィブロインは生糸として利用されてきたが、強度、生体適合性、生分解性に優れ、シルクを歯、骨、軟骨、眼組織、血管などの再生を促す足場材料として利用できる。シルクフイルム、不織布等を創傷被覆材として本発明の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤と組み合わせて用いれば、線維芽細胞の遊走と増殖に有効であると考えられる。閉鎖環境で湿潤環境とするにはポリウレタンフイルムをシルクフイルムの表面に貼ることができる。
以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
(製剤例1)
反応容器に0.08M炭酸水素ナトリウム水溶液を500mL調製し、これとは別に滴下反応溶液として0.1M硝酸亜鉛水溶液を1000mL用意した。pH調整液として30wt%水酸化ナトリウム水溶液を準備した。
ポンプを接続したpHコントローラを用いて、上記の炭酸水素ナトリウム溶液のpHを9.0に維持しながら攪拌を行った状態で、硝酸亜鉛水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液を滴下した。
硝酸亜鉛水溶液を全て滴下した後、反応液は16時間攪拌、養生した。
その後後、反応液を遠心分離によって固液分離し、得られた固体は水洗、遠心分離を3回繰り返した。このように洗浄した沈殿物を真空乾燥して式(1)に示す組成範囲を有するハイドロジンカイトを得た。
(製剤例2)
合成時のpHを6.0〜10とし、製剤例1と同様の工程で製造例1(pH9.0)を含む製造時のpHを変化させた各サンプルを製造した。pH6.5未満では、pHが低すぎたことによって、沈殿物の回収量が著しく低かった。
(製剤例3)
反応容器に0.08M炭酸水素ナトリウム水溶液を500mL調製し、これとは別に滴下反応溶液として0.1M硫酸亜鉛水溶液を1000mL用意した。pH調整液として30wt%水酸化ナトリウム水溶液を準備した。
ポンプを接続したpHコントローラを用いて、上記の炭酸水素ナトリウム溶液のpHを9.0に維持しながら攪拌を行った状態で、硫酸亜鉛水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液を滴下した。
硫酸亜鉛水溶液を全て滴下した後、反応液は16時間攪拌、養生した。
その後後、反応液を遠心分離によって固液分離し、得られた固体は水洗、遠心分離を3回繰り返した。このように洗浄した沈殿物を真空乾燥して式(2)に示す組成範囲を有するハイドロジンカイトを得た。
(製剤例4)
反応容器に0.08M炭酸水素ナトリウム水溶液を500mL調製し、これとは別に滴下反応溶液として0.1M塩化亜鉛水溶液を1000mL用意した。pH調整液として30wt%水酸化ナトリウム水溶液を準備した。
ポンプを接続したpHコントローラを用いて、上記の炭酸水素ナトリウム溶液のpHを9.0に維持しながら攪拌を行った状態で、塩化亜鉛水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液を滴下した。
塩化亜鉛水溶液を全て滴下した後、反応液は16時間攪拌、養生した。
その後後、反応液を遠心分離によって固液分離し、得られた固体は水洗、遠心分離を3回繰り返した。このように洗浄した沈殿物を真空乾燥して式(3)に示す組成範囲を有するハイドロジンカイトを得た。
(溶出試験)
製剤例2で得られた各乾燥粉0.6gに対し生理食塩水30gを用いて攪拌法による溶出試験を行い、Zn2+イオン溶出量とpHの測定を行った。溶出試験の方法は、ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物のBET比表面積が10〜150m/g、ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物と生理食塩水の質量比が1:50、回転子を用いて500rpmでの攪拌時間を3時間とし、溶出試験後のpHとZn2+イオン濃度とを測定した。結果を図8、図9および表2に示す。
また、SO 2−イオンが炭酸イオンと置換することなどによって、Sとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含有する炭酸水酸化亜鉛水和物、およびClイオンが炭酸イオンと置換することなどによって、Clとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含有する炭酸水酸化亜鉛水和物の上記と同様の条件で得られる溶出試験後のpHとZn2+イオン濃度とを測定し、結果を図10、図11および表3、および表4に示す。
比較として試薬級の亜鉛華(酸化亜鉛)を用いて溶出試験を行なった。Zn2+イオン溶出量は十分であったが、酸化亜鉛は乾燥作用があり、抗菌性も有するため皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤に用いると刺激が強い。水酸化亜鉛を用いて溶出試験を行った場合、溶出量は0.1μg/m未満と著しく低い値であった。
(実施例1)
約500gのSDラットに2%セデラック(キシラジン)を0.2mL/500gで筋肉注射により投与して鎮静させ、セボフルレン吸入麻酔薬を2%で全身麻酔を行った。ラット腹側部にキシロカイン(リドカイン+2%アドレナリン)を投与して局部麻酔した後、表皮〜皮下組織に至る直径10mmの全層欠損創を作成し、0.01gの上記製剤例1の粉末を、作成した全層欠損創に塗布し(図2左)、さらに医療用創傷被覆材であるデュオアクティブで被覆し(図2右)た。作製時の創傷を図3のAで示し、創傷被覆材で被覆後、2週間飼育した後の治癒状態を図3のBで示した。創傷部位の治癒状況と組織染色による皮膚形成状態を調べた。
創傷部位の再上皮化率は図3、図4に示す方法で測定し約96%であった。これに対して、製剤例1を用いず医療用創傷被覆材のみで覆った場合には約78%であった。このことから、本発明の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤の塗布は創傷治癒に対して極めて効果が高いと言える。
再生した皮膚組織をラットから切除し、ヘマトキシリン-エオシン(H-E)染色を行った。自家皮膚(図6)では毛根部位や繊維芽細胞が観察され、健全性が高い。これに対して製剤例1の粉末を塗布した場合では、図5に示すように、毛毬(毛根になる前段階)と旺盛な繊維芽細胞が観察され、炎症性細胞である多核白血球やリンパ球は観察されない。つまり、本発明の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤の塗布による治療は、炎症を引き起こすことなく皮膚の再生だけでなく、毛根の再生も行えると考えられる。このことから、本発明の治療剤は実施例で示す皮膚創傷のみならず重篤な肌荒れに起因する同様な傷に対しても治癒効果がある。
(実施例2)
実施例1と同様に全層欠損創を作成し、製剤例2の各粉末を、作製した全層欠損創にそれぞれ塗布し、さらに医療用創傷被覆材であるデュオアクティブで被覆する。再上皮化率が80〜90%の間であり、製造条件でpHが6.5以上〜9.5未満の範囲内で得られた本発明の治療剤が治癒効果に優れている。
(実施例3)
実施例1と同様に全層欠損創を作成し,製剤例3、4の各粉末を、作製した全層欠損創にそれぞれ塗布し,さらに医療用創傷被覆材であるデュオアクティブで被覆する。再上皮化率が80〜90%の間であり、製造条件でpHが6.5以上〜9.5未満の範囲内で得られた本発明の治療剤が治癒効果に優れている。
(実施例4)
製剤例1で得られた式(1)に示す組成範囲を有するハイドロジンカイト、および、このハイドロジンカイトを焼成温度1200℃で焼成した酸化亜鉛を混合して、製剤を得た。
(再上皮化率の測定方法)
図3に示すように、創傷作製時(図3のA)および治療後(図3のB)の皮膚を拡大して撮影した。創傷作製時の初期創傷部位を測定して実線で、治療後の写真に記入し、図4に示す初期創傷部位W0の面積を測定し、治療後の未治癒部位(Wt)の面積をImage J[ウエブで公開されているオープンソース;Wayne Rasband(NIH)]で測定して、測定した面積から下記式を用いて再上皮化率を%で算出する。図3および図4に示す実施例1の測定における再上皮化率は95.8%であった。
再上皮化率(%)=(W0−Wt)/W0 × 100%
(組織染色、ヘマトキシリン−エオシン(H-E)染色)
組織染色の方法は、創傷部位トリミング(切除)→ ホルマリンで固定 → 脱脂処理(キシレンに24時間浸漬する。) → 脱水処理する。
脱水処理は、70%エタノールに、12時間浸漬してエタノールを揮発除去し、80%エタノール、90%エタノール、および95.5%エタノールで、各30分ずつ脱水し、キシレンで2回洗浄する。
その後試料をパラフィンに包埋処理し → 切片を作成し → H-E染色を行った。細胞核をヘマトキシリンで青紫色に染色し、細胞質、膠原線維、筋線維をエオジンで赤色に染色した。 → 染色後の試料をプレパラートに封入し、顕微鏡観察した実施例1の結果を図5に示す。
比較のために正常皮膚を同様に処理して同様に染色して観察した結果を図6に示す。
下記表5に、溶出試験後のpHと実施例2で得られた2週間後の創傷治癒効果(再上皮化率、コラーゲンの再生、毛球の再生、肉芽の形成)を評価した結果を示す。コントロールは製剤例を用いず医療用創傷被覆材であるデュオアクティブで被覆しただけである。
下記表6、および表7に、溶出試験後のpHと実施例3、および4で得られた2週間後の創傷治癒効果(再上皮化率、コラーゲンの再生、毛球の再生、肉芽の形成)をそれぞれ評価した結果を示す。
表5〜7には比較として、コントロールの結果も合わせて示した。本発明品のハイドロジンカイトは、再生された組織においては、特にコラーゲンの外観において明らかに効果が認められる。
このように、本発明品は有機系の市販の創傷被覆材に対し、本発明の治療剤である無機系の材料を用いて、有機系・無機系の材料のハイブリッド化することで大きな相乗効果が得られ、創傷治癒能が大幅に向上するものと考えられる。
表5〜7の評価方法は、再上皮化率はコントロールを1とする上記測定方法による評価である。コラーゲンは、太いコラーゲン繊維が一方向に延びている様子を観察した。毛球について、毛球が確認できるかの観察結果である。肉芽形成は、毛細血管、繊維芽細胞で構成される組織が観察されるか否かの評価である。
コラーゲン:コラーゲンについては、健全な皮膚細胞と比較して、コラーゲン繊維の太さと配向性を評価した。
コラーゲン太さ:×:かなり細い
△:細い
○:やや劣る
◎:同程度
コラーゲン配向性:×:乱雑
△:かなり劣る
○:やや劣る
◎:同程度
毛球 :×:毛球の形成は認められない。
△:毛球の形成が認められる。
○:毛球が形成されている。
◎:毛球の形成が顕著に認められる。
肉芽形成:×:肉芽が認められない。
○:肉芽が認められる。
◎:肉芽が顕著に認められる。
本発明の治療剤は、表皮をへて真皮に至る皮膚創傷または皮膚荒れに治療効果がある。したがって、そのような重篤な創傷または肌荒ればかりではなく、大小の種々の傷または肌荒れに対して、治療効果があり、広く傷薬として用いることができる。
1・・・表皮をへて真皮に至る皮膚創傷または皮膚荒れ

Claims (13)

  1. ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、少なくとも一部のSO 2−イオンが炭酸イオンと置換することによって、Sとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含有するハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、および少なくとも一部のClイオンが炭酸イオンと置換することによって、Clとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含有するハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物からなる群から選択される少なくとも一つのハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、の攪拌法による溶出試験後において、Zn2+イオン溶出量が0.1μg/m以上7.33μg/m 以下であり、pHが7.2以上〜8.3未満である皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤;
    ここで、溶出試験とは、前記ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物のBET比表面積が10〜150m/g、前記ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物と生理食塩水の質量比が1:50、37℃における回転子を用いて500rpmでの攪拌時間が3時間である。
  2. 前記ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物が下記式(1)で表され、かつZnとCOのモル比がZn/CO=2.5〜3.3である請求項1に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤;
    Zn4〜6(CO1〜3(OH)5〜6・nHO (1)
    nは、0〜6である。
  3. 前記ハイドロジンカイト、およびSとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含む炭酸水酸化亜鉛水和物が下記式(2)で表され、かつZnと((1−x)CO+x(SO))のモル比がZn/((1−x)CO+x(SO))=2.5〜3.3である請求項1に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤;
    Zn4〜6((1−x)CO+x(SO))1〜3(OH)5〜6・nHO (2)
    nは、0〜6である。xは、0.005〜0.1である。
  4. 前記ハイドロジンカイト、およびClとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含む炭酸水酸化亜鉛水和物が下記式(3)で表され、かつZnと((1−x)CO+xCl)のモル比がZn/((1−x)CO+xCl)=2.5〜3.3である請求項1に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤;
    Zn4〜6((1−x)CO+xCl)1〜3(OH)5〜6・nHO (3)
    nは、0〜6である。xは、0.005〜0.1である。
  5. 請求項2ないし4のいずれか1項に記載の組成式で示される、前記ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、少なくとも一部のSO 2−イオンが炭酸イオンと置換することによって、Sとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含有する炭酸水酸化亜鉛水和物、または少なくとも一部のClイオンが炭酸イオンと置換することによって、Clとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含有する炭酸水酸化亜鉛水和物のXRD回折ピークにおいて、それぞれZn(CO(OH)・nHO、Zn((1−x)CO+xSO(OH)・nHO、またはZn((1−x)CO+xCl)(OH)・nHO;各化学式においてxは0.005〜0.1、nは0〜6である;の構造が支配的であり、その時a軸が13.3〜13.8、b軸が6.2〜6.4、c軸が5.25〜5.5、βが94.9〜97.5であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤。
  6. 請求項2ないし5のいずれか1項に記載の治療剤を生理食塩水に溶いて用いる場合、治療剤と生理食塩水の比が0.1g/L〜100g/L、治療剤が前記(1)ないし(3)式のいずれか1で表され、かつn=0(無水)とした時、治療剤全量に対する亜鉛濃度が、金属亜鉛として45質量%〜75質量%であり、かつ治療剤の生理食塩水溶液における亜鉛濃度が0.045g/L〜75g/Lである請求項2ないし5のいずれか1項に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤。
  7. 前記皮膚創傷または皮膚荒れが、表皮をへて真皮に至る皮膚創傷または皮膚荒れである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤。
  8. 皮膚創傷または皮膚荒れに適用される請求項1ないし7のいずれか1項に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤、および前記皮膚創傷または皮膚荒れを閉鎖環境に保持する創傷被覆材を有する、皮膚創傷または皮膚荒れ治療用医療機器。
  9. 前記創傷被覆材が、ポリウレタンフイルム・ドレッシング材、ハイドロコロイド・ドレッシング材、ポリウレタンフォーム・ドレッシング材、アルギン酸塩被覆材、ハイドロジェル・ドレッシング材、ハイドロポリマー、セルロースフイルム、およびシルクフイルムからなる群から選択される少なくとも一つである請求項8に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療用医療機器。
  10. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療剤が創傷被覆材に塗布、含有または付着される請求項8または9に記載の皮膚創傷または皮膚荒れ治療用医療機器。
  11. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の皮膚の創傷または皮膚荒れ治療剤、および創傷被覆材を組み合わせて有する、皮膚の創傷または皮膚荒れ治療用医療セット。
  12. 攪拌法による溶出試験後において、表面積あたりのZn2+イオン溶出量が0.1μg/m以上7.33μg/m 以下であり、pHが7.2以上〜8.3未満である;ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、少なくとも一部のSO 2−イオンが炭酸イオンと置換することによって、Sとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含有するハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、または少なくとも一部のClイオンが炭酸イオンと置換することによって、Clとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含有するハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物を有効成分として含有する、医薬組成物に用いる添加物:
    ここで、溶出試験とは、前記ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、前記Sとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含有するハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、または前記Clとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含有するハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物のBET比表面積が10〜150m/g、各ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物と生理食塩水の質量比が1:50、37℃における回転子を用いて500rpmでの攪拌時間が3時間である。
  13. 攪拌法による溶出試験後において、表面積あたりのZn2+イオン溶出量が0.1μg/m以上7.33μg/m 以下であり、pHが7.2以上〜8.3未満である;ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、少なくとも一部のSO 2−イオンが炭酸イオンと置換することによって、Sとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含有するハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、または少なくとも一部のClイオンが炭酸イオンと置換することによって、Clとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含有するハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物を有効成分として含有する、化粧品に用いる添加物:
    ここで、溶出試験とは、前記ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物、前記Sとして0.1質量%以上、1.5質量%未満のイオウを含有する炭酸水酸化亜鉛水和物、または前記Clとして0.05質量%以上、1質量%未満の塩素を含有する炭酸水酸化亜鉛水和物のBET比表面積が10〜150m/g、各ハイドロジンカイトを含む炭酸水酸化亜鉛水和物と生理食塩水の質量比が1:50、37℃における回転子を用いて500rpmでの攪拌時間が3時間である。
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