JP2005006995A - 皮膚接触用材料、およびそれを用いた皮膚接触用テープ - Google Patents

皮膚接触用材料、およびそれを用いた皮膚接触用テープ Download PDF

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Abstract

【課題】廃棄処理に際して環境負荷が少なく、抗菌性、体液高吸収性を有する皮膚接触用材料および皮膚接触用テープを提供する。
【解決手段】カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基およびリン酸(塩)基の群から選ばれた少なくとも1種の酸性官能基を0.01〜5mmol/g含有する酸変性共役ジエン系ポリマーを含む皮膚接触用材料、この皮膚接触用材料をフィルムまたはシートの片面に積層した皮膚接触用テープ。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄処理に際して環境負荷が少なく、抗菌性、体液高吸収性を有する皮膚接触材料および皮膚接触用テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、皮膚および血液との接触部位には、各種の材料や二次加工部材が用途毎に使用されている。
例えば、下着、寝具、靴下、マスクでは綿繊維、羊毛繊維、あるいは化学繊維が使用されている。特に、綿繊維のものは吸湿性の点から、羊毛繊維のものは保温性の良さから、化学繊維のものは堅牢性と各種の付随的な機能付与から使用されている。
また、水仕事用あるいは手術用手袋、コンドームでは、塩化ビニールエマルジョンあるいは塩化ビニールゾル、天然ゴムラテックス、イソプレンラテツクス、ポリウレタンなどを型に塗布・乾燥・脱型したものが使用されている。
さらに、運動用あるいは医療用テープでは、塩化ビニル系樹脂やポリウレタン系の穴明きフィルムにアクリル系の粘着材を塗布したものが使用されている。
さらにまた、創傷被覆材として、近年、閉鎖ドレツシング療法用の各種ドレッシング材が実用化されている。閉鎖ドレッシング療法とは、従来の消毒とガーゼで乾燥させて放置する治癒方法に代わり、創傷部分を閉塞環境に置き、創傷部分から出てくる滲出液に含まれる細胞成長因子を創傷部位に出来るだけ留めて、組織、細胞、血管などの早期の再生を図るものである(非特許文献1)。
これらの閉鎖ドレッシング用創傷被覆材としては、ハイドロコロイドドレッシング材、アルギン酸ゲルドレッシング材、アテロコラーゲン系ドレッシング材などが登場してきている(非特許文献2)。
例えば、ハイドロコロイドドレッシング材としては、ポリイソブチレンのようなゴム状エラストマーおよびペクチン、ゼラチン、カルボキシルセルロースのような粉末混合物のような水溶性あるいは水膨潤性ハイドロコロイドブレンドの記載がなされている(特許文献1)。
【0003】
上記各種の皮膚接触材料用の抗菌には、銀イオンなどの抗菌剤を含む多数の先行技術が存在する。例えば、カルボキシル基を有する重合体が銀イオンと結合した抗菌性樹脂(特許文献2)、銀イオンを導入した抗菌性尿道カテーテルおよびその製造方法(特許文献3)、カルボン酸銀成分を有する重合体が架橋されてなる抗菌性樹脂(特許文献4)などが提案されている。
また、ハイドロコロイド型ドレッシング材として、各種の抗菌性物質、例えばビヒテン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ポピドンヨード、サルファーダイヤジン銀、硫酸フラジオマイシン、硫酸ゲンタマイシンなどを添加することが望ましい旨の記載がある(特許文献5)。
【0004】
上記皮膚接触材料のうち、塩化ビニル系樹脂は、燃焼による廃棄処理に際してダイオキシンなどの有毒物質の発生の可能性が指摘されている。また、同様にポリウレタンは、燃焼による廃棄処理に際して燃焼条件次第ではホスゲンの発生の可能性がある。
【0005】
また、上記記載の皮膚接触製品、例えば、下着、靴下、寝具、マスク、顔パック用フィルム、手袋、コンドーム、医療用テープ、創傷被覆材では、現状において、抗菌性を持つものは僅少である。そして、抗菌性を持つものは、上記銀イオンや各種の抗菌剤を基材中に混合混入したものである。しかし、混合混入したものは、洗濯などで脱落の可能性があり、また特に上記閉鎖ドレッシング材では使用部位である創傷部分は密閉湿潤環境であり、菌の増殖を招き、創感染による化膿など来し易い。そのために、抗菌性のニーズは大であるが、上記抗菌性物質の添加は、人によっては皮膚アレルギーなどに代表される何らかの生理活性作用を及ぼす可能性がある。
【0006】
さらに、傷被覆材としてのハイドロコロイドドレッシング材は、ゴム系接着剤とハイドロコロイドポリマー粒子との混合フィルムである。そして、ゴム接着剤としては、一般に天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリアクリレート、エチレン−プロピレン−非共役ジエンターポリマーなどの無極性ポリマーが提案されている。特に、これらの中では、低分子量のポリイソプレンあるいはスチレン・イソプレン・スチレンブロックポリマーが良いとされているが、低分子量であるために接着力は向上するが機械的な強度、特に凝集力は高分子量に比し劣る。また、ハイドロコロイドポリマー粒子としては、ガーゴム、ローストビンガム、ローカストビンガム、ペクチン、アルギナート、ゼラチン、キサンタン、カラヤゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどのアニオン基を持つポリマー、あるいはキトサンマエレート、キトサングルタレートなどのカチオン基を持つポリマーが提案されている。
上記組成物では、ゴム系の接着剤は皮膚との接着・粘着性機能を果たし、一方ハイドロコロイドポリマー粒子は水や体液の吸収機能を果たしている。
そのため、水や体液の吸収能力を増やすためにハイドロコロイド粒子の割合をあやした場合は皮膚との接着力が低下し、接着力・粘着力を向上させるためにゴムの割合を増やした場合は水や体液の吸収能力が低下する。
また、非極性のゴム系接着剤と極性を持つハイドロコロイド粒子の相溶性は悪く、ハイドロコロイド粒子が多くの水や体液を吸収した場合は、ゴム接着剤の凝集力を上回りフィルムが分離・崩壊、による体液漏れ、あるいはテープを剥がす際の皮膚へのテープ残りなどの現象が起きる。このように良好な皮膚接着・粘着性と高容量の体液の吸収性を両立させるのは困難である。
【0007】
また、創傷被覆材としてのアルギン酸塩被覆材は、海草昆布由来のアルギン酸ナトリウム塩あるいはカルシウム塩を繊維状にして不織布としたものである。しかし、これ自体は皮膚への接着作用が無いために絆創膏などの固定テープが必要であり、顔や指などの凹凸のある部位への貼り付けでは、密着が困難であり剥離し易い。
また、海草昆布からの抽出に際して、精製が不十分の場合には、海草昆布由来のものと見られる強い細胞毒性が見られる(非特許文献3)。
また、創傷被覆材として、コラーゲンを酵素処理してコラーゲン中に存在する抗原性を持つアテロペプチドを精製除去するとともに、低分子化したアテロコラーゲンを基材に塗布したものも実用化されている。しかし、アテロコラーゲン処理は非常にコストアップとなりさらにコラーゲン中に残存する発熱性物質パイロジェンが特定の人特に抵抗力の低下した病人にはアレルギー作用を引き起こす可能性がある。
【0008】
【非特許文献1】
Journal of Dermatological Science 10,241−245(1995)
【非特許文献2】
Market for Advanced Wound Care Technologies , Business Communications, Oct.2001
【特許文献1】
米国特許第3,339,549号明細書
【特許文献2】
特開平9−136808号公報
【特許文献3】
特開平2001−532号公報
【特許文献4】
特開平9−136808号公報
【特許文献5】
特許第3195420号公報
【非特許文献3】
機能材料 20(2)18(2000)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、廃棄処理に際して環境負荷が少なく、抗菌性、体液高吸収性を有する皮膚接触用材料およびこれを用いた皮膚接触用テープを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基およびリン酸(塩)基の群から選ばれた少なくとも1種の酸性官能基を0.01〜5mmol/g含有する酸変性共役ジエン系ポリマーを含む皮膚接触用材料に関する。
ここで、上記酸変性共役ジエン系ポリマーのpHは、4〜6.5が好ましい。
また、酸変性共役ジエン系ポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量は、3,000〜500,000が好ましい。
さらに、酸変性共役ジエン系ポリマーとしては、(I)共役ジエンおよび必要に応じてこれと共重合可能な他の単量体を(共)重合して、共役ジエン系(共)重合体を合成したのち、スルホン化して得られる(共)重合体、あるいは、(II)共役ジエンのスルホン化物および必要に応じて他の単量体を(共)重合して得られる(共)重合体からなる、スルホン化共役ジエン系(共)重合体が好ましい。
上記スルホン化共役ジエン系(共)重合体としては、スルホン酸変性ポリブタジエン、スルホン酸変性ポリイソプレン、スルホン酸変性スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スルホン酸変性スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スルホン酸変性スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、およびスルホン酸変性スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体の群から選ばれた少なくとも1種好ましい。
次に、本発明は、フィルムまたはシートの片面に、上記皮膚接触用材料を積層した皮膚接触用テープ関する。
ここで、皮膚接触用テープを構成する皮膚接触用材料層の厚さは10μm〜4mmが好ましい。
また、皮膚接触用テープを構成する皮膚接触用材料層は、発泡層またはスポンジ層であることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の皮膚接触用材料は、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基およびリン酸(塩)基の群から選ばれた少なくとも1種の酸性官能基を0.01〜5mmol/g、好ましくは0.1〜5mmol/g、より好ましくは0.2〜3mmol/g含有する酸変性共役ジエン系ポリマーを主体とする。
ここで、上記酸性官能基の含有量は、0.01〜5mmol/gであり、0.01mmol/g未満では、酸変性共役ジエン系ポリマーのpHを6.5以下とすることが困難であり、得られる皮膚接触用材料の抗菌性が劣る。一方、5mmol/gを超えると、当該ポリマーのpHが4未満となり、またポリマーが水溶性あるいは極度の親水性となり機械的な強度が不足する。
これらの酸変性共役ジエン系ポリマーは、上記酸性官能基を0.01〜5mmol/g有するため、該ポリマーのpHを、通常、4〜6.5、好ましくは5〜5.5とすることができ、皮膚環境を穏やかな酸性とすることで血液中のオキシヘモグロビンからの酸素の発生を促し(ボーア効果)、細胞を活性化させ創傷被覆部の皮膚の修復を速める。さらに、得られる皮膚接触用材料が抗菌性を有し、緑膿菌などの細菌由来の感染症を防ぐことが可能となる。
ここで、ポリマーのpHとは、ポリマーフィルムに水滴を滴下し、pHメーターの電極を押し当てて測定した測定した数値をいう。また、簡便法として、佐藤商事(株)販売のpHペンシルにて、対象物を水で濡らしpHペンシルで擦ることにより顕色にて概要の値を測定することも可能である。
【0012】
これらの酸変性共役ジエン系ポリマーの好適な分子量は、用途により異なり、皮膚接触用テープなどの当該ポリマーを接着剤として使用する用途においては、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、3,000〜500,000、好ましくは5,000〜500,000であり、さらに好ましくは10,000〜200,000である。3,000未満では、ポリマーとしての凝集力が不足し、一方、500,000を超えると、粘着力が無くなる。
また、医療用手袋、衣服、シーツなどの接着・粘着などの機能が不要で、機械的強度が必要な用途では、Mwが50,000〜3,000,000である。50,000未満では機械的な強度が不足し、一方、3,000,000を超えると、ポリマーは製造が困難で且つ脆くなる。
さらに、皮膚接触テープのように皮膚に対する接着性と機械的な強度や伸びを必要とする用途では、Mwが5,000〜100,000のものを皮膚接着層側に、300,000〜3,000,000の分子量のものを表面層側とした二層構造シートとすることも可能である。
【0013】
これらの酸変性共役ジエン系ポリマーのうち、極性の強さと製造方法の容易さの面から、スルホン酸(塩)基を含有する酸変性共役ジエン系ポリマー、具体的には、スルホン化共役ジエン系(共)重合体が好ましい。
【0014】
上記酸変性共役ジエン系ポリマーのうち、カルボン酸(塩)基含有酸変性共役ジエン系ポリマーとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、クロロプレン(2−クロロ−1,3−ブタジエン)などの共役ジエンに、必要に応じて、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、tert−ブトキシスチレンなどの芳香族ビニル化合物や、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物などの他のモノマーを加え、さらに、カルボン酸基含有単量体として、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラコン酸、けい皮酸などの不飽和カルボン酸類を共重合したポリマーを挙げることができる。
【0015】
また、リン酸(塩)基含有酸変性共役ジエン系ポリマーとしては、例えば、共重合体中の繰返し単位として、共役ジエン単位と、リン酸基を有する単量体単位とその他の重合性不飽和基を有する単量体単位を含有する共重合体が挙げられる。
ここで、リン酸基を有する単量体の例としては、リン酸エチレン(メタ)アクリレート、リン酸トリメチレン(メタ)アクリレート、リン酸テトラメチレン(メタ)アクリレート、リン酸プロピレン(メタ)アクリレート、リン酸ビス(エチレン(メタ)アクリレート)、リン酸ビス(トリメチレン(メタ)アクリレート)、リン酸ビス(テトラメチレン(メタ)アクリレート)、リン酸ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、リン酸トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、リン酸ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、リン酸ビス(ジエチレングリコール(メタ)アクリレート)、リン酸ビス(トリエチレングリコール(メタ)アクリレート)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート)などを挙げることができる。
【0016】
本発明に用いられるスルホン化共役ジエン系(共)重合体は、共役ジエン系単量体単位を必須の構成単位として含有し、スルホン酸基およびその塩から選ばれるすくなくとも1種の基(以下、これらの基をまとめて「スルホン酸基等」という。)を0.01〜5mmol/g含有し、かつポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算重量平均分子量が3,000〜500,000である(共)重合体からなる。
ここで、スルホン化共役ジエン系(共)重合体に含有されるスルホン酸の塩は、スルホン酸基を、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アンモニアなどの塩基性化合物で中和した基である。
【0017】
スルホン化共役ジエン系(共)重合単位としては、下記(I)および(II)に示すものを挙げることができる。
(I)共役ジエンおよび必要に応じてこれと共重合可能な他の単量体(以下、単に「他の単量体」という。)を(共)重合して、共役ジエン系(共)重合体を合成したのち、スルホン化して得られる(共)重合体(以下、「スルホン化(共)重合体(I)」という。)、
(II)共役ジエンのスルホン化物および必要に応じて他の単量体を(共)重合して得られる(共)重合体(以下、「スルホン化(共)重合体(II) 」という。)。
【0018】
スルホン化(共)重合体(I)は、例えば特開平2−227403号公報に記載されているような下記(a)および(b)の方法によって製造することができる。
(a) 共役ジエンおよび必要に応じて他の単量体を、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル重合開始剤あるいはn−ブチルリチウム、ナトリウムナフタレン、金属ナトリウムなどのアニオン重合開始剤の存在下、通常、−100〜150℃、好ましくは0〜130℃で、(共)重合を行い、共役ジエン系(共)重合体を合成する。
ここで使用される共役ジエンとしては、例えば1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエン、2,4−ヘプタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエンなどの鎖状または分岐状の脂肪族共役ジエンを挙げることができる。
これらの共役ジエンは、1種単独でまたは2種以上を使用することができる。また、他の単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどの重合性二重結合含有芳香族化合物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの重合性二重結合含有モノカルボン酸もしくはジカルボン酸または該ジカルボン酸の無水物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニルデンなどの重合性二重結合含有シアン化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルメチルエチルケトン、ビニルメチルエーテル、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、酢酸アリル、酢酸メタアリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタアクリル酸グリシジル、アクロレイン、アリルアルコールなどの上記以外の重合性二重結合含有化合物を挙げることができる。
他の単量体としては、重合性不飽和二重結合含有芳香族化合物が好ましく、特にスチレンが好ましい。これらの他の単量体は1種単独であるいは2種以上を使用することができる。上記他の単量体を使用する場合の共重合量は、全単量体の、通常、80重量%未満、好ましくは60重量%未満、特に好ましくは50重量%未満である。
(a)の方法により合成される共役ジエン系(共)重合体は、ブロック型でもランダム型でもよい。
(b)次に、共役ジエン系(共)重合体をスルホン化する。共役ジエン系(共)重合体のスルホン化は、該共役ジエン系(共)重合体中の不飽和二重結合を無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、亜硫酸水素ナトリウムなどのスルホン化剤を用いて行うが、好ましくは無水硫酸の単独使用のほか、さらに好ましくは無水硫酸と電子供与性化合物との錯体が使用される。
ここで、電子供与性化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;ピリジン、ピペラジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン類;ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィドなどのスルフィド類;アセトニトリル、エチルニトリル、プロピルニトリルなどのニトリル類などが挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミドおよびジオキサンが好ましい。上記無水硫酸と電子供与性化合物との錯体によるスルホン化方法は、まず、共役ジエン系(共)重合体を上記電子供与性化合物にそのまま溶解させるか、あるいは共役ジエン系(共)重合体を無水硫酸に不活性な溶媒に溶解させておき、別容器で反応させて得た上記錯体を適当量添加し反応させることにより行われる。
ここで、無水硫酸に不活性な溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、液体二酸化イオウなどが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独でまたは2種以上を使用することができる。上記スルホン化剤として無水硫酸または無水硫酸と電子供与性化合物との錯体を使用する場合は、共役ジエン系(共)重合体に無水硫酸が結合した中間体(共役ジエン系(共)重合体のスルホン酸エステル、以下「中間体」という)が生成する。この場合は、次いで中間体に水またはアルカリ金属化合物(好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ土類金属化合物(好ましくは水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、アンモニアなどの塩基性化合物を作用させることにより、二重結合が開裂してスルホン酸基などが結合した単結合になるか、あるいは二重結合は残ったまま、共役ジエン系(共)重合体中の水素原子がスルホン酸基などと置換することによって、スルホン化(共)重合体(I)が得られる。
【0019】
また、スルホン化(共)重合体(II) は、下記(c)および(d)の方法によって製造することができる。
(c) 共役ジエンのスルホン化物を合成する。ここで使用される共役ジエンとしては、例えば1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエン、2,4−ヘプタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエンなどの鎖状または分岐状の脂肪族共役ジエンを挙げることができる。これらの共役ジエンは、1種単独でまたは2種以上を使用することができる。共役ジエンのスルホン化は、日本化学会編集、新実験化学講座(14巻III 、1773頁)に示されているような条件で、すなわち共役ジエンをそのまま、あるいは適当な溶媒中に溶解させた状態で、スルホン化剤中に滴下することによって行うことができる。この場合に用いられるスルホン化剤としては、好ましくは無水硫酸の単独使用のほか、さらに好ましくは無水硫酸と電子供与性化合物との錯体が使用される。ここで使用する電子供与性化合物および溶媒は、上記スルホン化(共)重合体(I)の製造方法において例示した電子供与性化合物および溶媒と同様のものを挙げることができる。かくして、共役ジエンに無水硫酸が結合した環状中間体(共役ジエンの環状スルホン酸エステル、一般名称スルトン、以下「環状中間体」という)が生成する。この環状中間体にアルカリ金属化合物(好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ土類金属化合物(好ましくは水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、アンモニアなどの塩基性化合物を作用させ、スルホン酸塩基が結合した共役二重結合を有する単量体に変化させることによって、スルホン酸塩基を含有する共役ジエンのスルホン化物が得られる。また、上記環状中間体に水あるいはアルコールを加えたのち、脱水反応や脱アルコール反応を行なうことによって、スルホン酸基を含有する共役ジエンのスルホン化物が得られる。
(d)次に、上記のようにして得られた共役ジエンのスルホン化物および必要に応じて他の単量体を、ラジカル重合開始剤またはアニオン重合開始剤の存在下、通常、−100〜150℃、好ましくは0〜130℃で(共)重合を行うことにより、スルホン化(共)重合体(II) が製造される。ここで、共役ジエンのスルホン化物は、1種単独でまたは2種以上を使用することができる。また、共役ジエンのスルホン化物と共重合することができる他の単量体としては、スルホン化(共)重合体(I)の製造方法において例示したものと同様の他の単量体およびそれらのスルホン化物(例えばスチレンスルホン酸やその塩など)を挙げることができる。上記他の単量体の共重合割合は、得られる共重合体のスルホン酸基などの総含量が本発明の範囲内となるように決定されるが、通常、80重量%未満、好ましくは60重量%未満、特に好ましくは50重量%未満である。(d)の方法により合成されるスルホン化(共)重合体(II) は、ブロック型でもランダム型でもよい。本発明において、上記スルホン化(共)重合体(I)およびスルホン化(共)重合体(II)は、それぞれ1種単独でまたは2種以上を使用することができ、またスルホン化(共)重合体(I)とスルホン化(共)重合体(II)とを併用してもよい。
【0020】
上記スルホン化共役ジエン系(共)重合体としては、さらに好ましくは、スルホン酸変性ポリブタジエン、スルホン酸変性ポリイソプレン、スルホン酸変性スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スルホン酸変性スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スルホン酸変性スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、およびスルホン酸変性スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体の群から選ばれた少なくとも1種挙げられる。
【0021】
また、本発明の酸変性共役ジエン系ポリマーには、当該ポリマー成分中に、他の重合体を20重量%以下、好ましくは10重量%以下、配合することができる。
この他の重合体としては、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、デンプン系高吸水性樹脂、アルギン酸塩、無水マレイン酸/イソブチレン共重合体、ゼラチン、ペクチン、カラギナン、ポリビニルピロリドン、カラヤガム、グアーガム、ローストビンガム、デキストランなどの吸液性あるいは接着性ポリマーや、種々の天然もしくは合成粘稠またはゴム弾性物質、例えば、天然ゴム、シリコーンゴム、アクリロニトリルゴム、ポリウレタンゴム、ポリイソブチレン、液状のポリイソプレン、液状のポリブタジエンあるいは石油樹脂、ロジン、テルペン樹脂などのタツキファイヤーなどが挙げられる。
これらの他の重合体の配合量は、ポリマー成分中に20重量%以下であり、20重量%を超えると、ゴム弾性、皮膚との粘着・接着性、吸液性、ソフトさなどのバランスが低下する
【0022】
また、上記酸変性共役ジエン系ポリマーには、各種の架橋剤を添加することが可能である。これらの架橋剤としては、共有結合用架橋剤、イオン結合用架橋剤のいずれかあるいはその併用も可能である。
これらの具体的な共有結合架橋剤としては、硫黄または加熱により硫黄を制せさせる化合物と加硫促進剤の組み合わせ、有機過酸化物および有機過酸化物と多官能性モノマーの組み合わせの組み合わせた少なくとも1種などが使用可能である。
また、イオン架橋剤としては、安息香酸亜鉛、クエン酸亜鉛、炭酸亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、サリチル酸亜鉛、硫化亜鉛、亜硫酸亜鉛、安息香酸カルシウム水和物、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム4水和物、弗化カルシウム、グリセリン酸カルシウム2水和物、水酸化カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム1水和物、リン酸三カルシウム、亜リン酸カルシウム水和物、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム水和物、酒石酸カルシウム4水和物、チオシアン酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、リン酸アルミニウム水和物、水酸化アルミニウム、ミョウバン、焼きミョウバン、硫酸アルミニウム無水物、硫酸アルミニウム水和物、硝酸アルミニウム水和物、乳酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウム、キチン、キトサン、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリヒスチジンなどのカチオン性のポリアミノ酸、エチレンジアミンなどの多価アミンが使用可能である。
これらの架橋剤の添加は、酸変性共役ジエン系ポリマーの重合溶液、溶媒を除去したポリマー段階で添加する方法、いずれも可能である。
以上の架橋剤の配合量は、ポリマー成分に対し、0.01〜5重量%である。0.01重量%未満の場合は架橋効果が僅少であり、一方、5重量%を超えると、架橋による拘束で体液の吸収能力が低下する。
【0023】
また必要に応じて、酸変性共役ジエン系ポリマーには、他の酸化防止剤や充填剤を添加することも可能である。
例えば充填剤としては炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、硫酸バリウム、硫酸カオリン、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカなどの充填剤が使用可能である。
これらの酸化防止剤や充填剤の配合量は、ポリマー成分に対し、5〜20重量%の割合で配合するのが好ましい。
これらの酸化防止剤や充填剤は、架橋剤の添加に同時あるいは前後して添加するのが好ましい。
【0024】
上記酸変性共役ジエン系ポリマーを他の重合体や添加剤、充填剤と乾式混合するには、ニーダー、ミキシングロール、バンバリーミキサー、プラストミル、二軸混練機、ヘンシェルミキサー、押し出し混練機などの公知の装置を使用することが可能である。
【0025】
以上の皮膚接触用材料の用途としては、下着、靴下、寝具、マスク、手袋、コンドーム、腹膜透析チューブ、血液バッグ、輸血チューブ、カテーテル、人工透析膜、顔パック用フィルム、サージカルテープ、伸縮性粘着テープ、外科用ドレープ、排泄物収納パックの固定テープ、心電計電極、電気メス用対極板、経皮薬剤送達用、テーピングテープ、体圧分散パット、かつら固定テープ、減菌インジケーター、パップ剤絆創膏、医療用テープ、スポーツ用テープ、軽度創傷被覆用などの各種皮膚接触製品として使用することが可能である。これら製品においては、当該材料を単独で使用する以外に他の材料とのコンパウンド、複層化、他の材料例えば繊維製品などへの皮膚接触側へのコーティングなどにより使用することが可能である。
【0026】
本発明の皮膚接触用材料は、それ自体をシートまたはフィルムに成形して使用することも可能であるが、フィルムまたはシートなどの他の支持体の片面に、以上の皮膚接触用材料を積層して、皮膚接触用テープとして用いることも可能である。
支持体を構成するフィルムまたはシートは、薄くて伸びがあり機械的な強度があるものが好ましく、無孔あるいは多孔のフィルム(シート)であれば特に限定はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン系あるいはジエン系アイオノマー樹脂などのフィルムを使用することができる。また、これらのフィルムに、必要に応じて、可塑剤などを添加することも可能である。これらの支持体フィルム(シート)の厚さは、10〜200μm、より好ましくは20〜100μmである。10μm未満の場合は薄すぎて機械的な強度がなく、一方、200μmを超えると、厚すぎて適用部位への密着性が低下する。
【0027】
上記フィルムまたはシートは、例えば、公知のシート形成方法により作成することが可能であり、溶媒溶解物のキャスト成型法、押し出し成型、などが可能である。
また、これらの材料は、その用途により別の形状にすることも可能であり、型を用いた射出成型、溶媒溶解物の型への浸漬によるディップ成型など用途により使い分けすることが可能である。
【0028】
本発明の皮膚接触用テープは、皮膚に、直接、他の接着剤などを介さないで接触接着するシートあるいはフィルムである。係る皮膚接触用テープの具体的用途としては、包帯/ガーゼ/カテーテルなどの固定用のサージカルテープ、減長固定/関節などの固定用の伸縮性粘着テープ、外科用ドレープ、排泄物収納パックの固定テープ、心電計電極、電気メス用対極板、経皮薬剤送達用、テーピングテープ、体圧分散パット、かつら固定テープ、滅菌インジケーター、パップ剤、化粧用顔パック、創傷治療用などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本発明の皮膚接触用テープは、支持体となるフィルムまたはシートの上に、上記酸変性共役ジエン系ポリマーのコンパウンドを積層することにより得ることができる。これらの支持体フィルム(シート)の上に、上記酸変性共役ジエン系ポリマーあるいはそれを含むコンパウンドを積層する。積層の方法は特に限定されないが、塗布あるいは押し出し成型によるものが使用可能である。
これらの酸変性共役ジエン系ポリマーあるいはそれを含むコンパウンドの厚さは、用途により異なるが、サージカルテープ、伸縮性粘着テープ、外科用ドレープ、排泄物収納パックの固定テープ、心電計電極、電気メス用対極板、経皮薬剤送達用、テーピングテープ、体圧分散パット、かつら固定テープ、滅菌インジケーター、パップ剤、顔パック、軽度創傷被覆用などの体液の滲出が殆ど無いあるいは僅少の場合は、10μm〜1,000μmである。10μm未満場合は、貼付部位の動きに追随できないで皮膜が破れる可能性がある。一方、1,000μmを超えると、指や顔の凹凸部位の貼付密着性が低下する。
また、いわゆる床ずれなどの創傷被覆用などの体液の多い治療に使用される創傷被覆材の用途では、100μm〜4mm、好ましくは200μm〜2mmである。100μm未満では、体液の吸収が十分でなく、一方、4mmを超えると、傷口部位の密着性や接着性が低下して剥がれやすくなる。
さらに、経皮吸収用や顔パックなどのシートに何らかの液体や薬物を含有するケースでの場合は、50μm〜1mmであり、50μm未満では経皮吸収薬の含有容量体積として不足する恐れがあり、一方、1mmを超えると体積容量として充分大きく、これ以上にする意味は無い。
【0030】
なお、本発明に用いられる酸変性共役ジエン系ポリマーは、それ自体が接着性を持つために、製品とする場合は、その上にカバーフィルムにて覆い、支持体フィルム/酸変性共役ジエン系ポリマーあるいはその混合物/カバーフィルムとして出荷し、使用の際にカバーフィルムを剥がして患部に貼る。
当該ポリマーは、ポリマー自体が皮膚への接着性と吸液性を持つために液を吸っても非常に厚いポリマー層の場合もポリマーどうしの分離に伴う崩壊がなく、皮膚に接着し、また吸液に伴う膨張で皮膚の凹凸に対応して、さらに密着し、当該テープにより創傷部を密封された空間においては、当該材料のpHを4〜6.5の酸性雰囲気に置くことにより、オキシヘモグロビン由来の酸素リッチの雰囲気となり速やかな皮膚組織の再生が行われ、細菌が増殖し難く、さらに皮膚から当該積層体を剥がす際にも皮膚残りしない材料とすることが可能である。
【0031】
また、本発明の皮膚接触用材料や皮膚接触用テープを構成する皮膚接触用材料層は、発泡またはスポンジ化していることが好ましい。皮膚接触用材料や皮膚接触用材料層を発泡層またはスポンジン層とすることにより、クッション性、柔軟性や吸液性が増加する。例えば、寝具、医療用テープ、創傷被覆材などでも、皮膚接触用材料を発泡またはスポンジン化させることにより、柔軟で器官に追随性の良好な材料を得ることが可能である。また、顔パック用フィルム、医療用テープ、創傷被覆材では、体液や皮膚細胞増殖成分を発泡部分に大量に含むことが可能となりより、これらの体液を大量に含んでもシートの破断などの起きない吸液容量の大きいシートあるいはテープとすることが可能となる。
【0032】
これらの発泡またはスポンジ化の仕方は、通常の方法により行うことが可能であり、その方法としては加熱などにより所定の粘度にした樹脂を機械的な攪拌により発泡させる機械的発泡、樹脂に混合した分解性発泡剤を加熱して分解ガスを発生させてそのガスで発泡体を作る方法、樹脂の外部加熱と高圧押し出しの開放圧力により樹脂に含ませた揮発性液体を膨張させ発泡体を作る方法、水や溶剤に溶ける可溶性材料を樹脂に混合成型の後、可溶物を溶解抽出してスポンジ化する方法、エマルジョンミセルでの感熱ゲル化、樹脂粒子を融点以下・ガラス転移温度(Tg)以上の温度で熱結合させる方法などの方法が可能である。
これらの内で水や炭酸ガスを発泡対象物に対して0.1〜1.0重量%程度を分有させた組成物を作り開放圧力で水や炭酸ガスを膨張させて発泡体を作る方法では発泡剤が水や炭酸ガスのために残留物の皮膚へのアレルギーの恐れが無い点で好ましい。
これらの発泡倍率は、1.2〜10倍であり、より好ましくは1.2倍から5倍である。1.2倍未満の場合は吸液性の向上が顕著でなく、一方、10倍を超える場合は機械的な強度が低下し崩壊や基材からの剥離が生じやすくなる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例中、部および%は重量基準である。
pHの測定は、東亜ディケーケー(株)[旧:東亜電波工業(株)]製
ガラス電極式水素イオン濃度計HM−26Sを測定器として、東亜ディケーケー(株)製のpH複合電極GTS−5311Cを電極とした測定に拠った。
吸液量の測定の測定は、精密天秤により重量を測定した。
破断強度の測定は、引っ張り試験機により測定した。
抗菌性の測定は、振とう接触法による菌数を測定した。
【0034】
実施例1
<スチレン/イソプレン/スチレントリブロックポリマーのイソプレン部分の直接スルホン化>
(1)ガラス製反応容器にジオキサン100gを入れ、これに無水硫酸11.8gを内温25℃に保ちながら添加し、2時間攪拌して、無水硫酸−ジオキサン錯体を得た。
(2)ガラス製反応容器にスチレン/イソプレン/スチレントリブロックポリマー(10/80/10重量比、Mw=100,000)100gのテトラヒドロフラン(THF)溶液(濃度=15%)を入れ、この中に上記(1)で得られた無水硫酸−ジオキサン錯体全量を、内温25℃に保ちながら添加し、さらに2時間攪拌を続けた。
(3)水1,200g、水酸化ナトリウム2g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1gをフラスコに入れ、内温を40℃に保った。この中に、(2)で得られたジエンポリマースルホン化物溶液全量を40℃の内温を保ちながら1時間で滴下した。滴下後、40℃で2時間攪拌した後、減圧蒸留により、水を残しつつ溶剤を除去し、濃度15%の共役ジエン系ポリマーのスルホン化物を得た。さらに、これを50℃で15時間真空乾燥して固形共役ジエン系ポリマーのスルホン化物を得た。このスルホン化物のスルホン酸含量は1.2mmol/gであった。
【0035】
実施例2
<スチレン/イソプレン/スチレントリブロックポリマーの無水酢酸と硫酸によるスチレン部分のスルホン化>
(1)窒素雰囲気下のガラス製反応容器に1,2−ジクロロエタン300g、無水酢酸44gを入れ、氷浴で冷却した。この反応容器に濃硫酸32gを30分かけて滴下した。氷浴を外して2時間攪拌し、酢酸硫酸溶液を得た。
(2)ガラス製反応容器にスチレン/イソプレン/スチレントリブロックポリマー(10/80/10重量比、Mw=100,000)352gの1,2−ジクロロエタン溶液(濃度=4%)を入れ、この中に上記(1)で得られた酢酸硫酸溶液全量を、内温40℃に保ちながら添加し、さらに2時間攪拌を続けた。2−プロパノール80gを加えて反応を停止させ、室温まで冷却した。
(3)室温で攪拌したメタノール1,800g中に(2)で得られたジエンポリマースルホン化物溶液全量を30分で滴下し、ポリマーを析出させた。析出ポリマーをろ別し、これを水8,000gで洗浄後、さらにメタノール4,000gで洗浄し、25℃で16時間送風乾燥後、50℃で15時間真空乾燥して固形共役ジエン系ポリマーのスルホン化物を得た。このスルホン化物のスルホン酸含量は0.8mmol/gであった。
【0036】
実施例3
<水素添加型スチレン/ブタジエン/スチレントリブロックポリマーの無水プロピオン酸と硫酸によるスチレン部分のスルホン化>
(1)窒素雰囲気下のガラス製反応容器に水素添加型スチレン/ブタジエン/スチレントリブロックポリマー(8/84/8重量比、Mw=50,000、JSR(株)製「ダイナロン」)300gのシクロヘキサン溶液(濃度=5%)を入れ、攪拌しながら50℃に昇温した。攪拌を続けながら、無水プロピオン酸120gを添加、5分後、濃硫酸60gを30分間かけて滴下した。内温50℃に保ちながら、さらに1時間攪拌を続けた。2−プロパノール60gを加えて反応を停止させ、室温まで冷却した。
(2)参考例2の(3)と同様に析出、洗浄し、固形ポリマースルホン化物を得た。このスルホン化物のスルホン酸含量は0.2mmol/gであった。
【0037】
pH測定
実施例1〜3で作成されたスルホン化共役ジエン系ポリマーに水滴を滴下し、上記pH測定装置の電極を水滴の付着したポリマーに押し当て、pH値を測定した。その結果は表1のとおりである。
【0038】
実施例4〜6<中実シートの作成>
実施例1、2、3で得られたポリマー100gそれぞれを、プレス金型を170℃に加熱プレスして厚さ1mmのシートを作成した。
【0039】
実施例7〜9<スポンジシートの作成>
実施例1、2、3で得られたポリマー100g単独と、これらのポリマーにJSR(株)製の水溶性樹脂ダイナフローの未中和物の乾燥パウダー100gをプラストミルにて混合したものそれぞれを、プレス金型を170℃に加熱プレスし厚さ1mmのシートを作成した。ダイナフロー混合系シート3種類について60℃に加温された温水中に48時間浸漬し、水溶性樹脂を溶解除去した。さらにこれを50℃にて48時間真空乾燥して重量を測定したそれぞれ105g、108g、107gのスポンジ状のシートを得た。
【0040】
吸液量の測定
実施例4〜8で得られた6種類のシートを生理食塩水中に浸漬して、10、24、48、96時間後の吸液量を測定した。その結果は、表2のとおりである。
【0041】
破断強度の測定
また、実施例4〜9で得られた6種類のシートに関し、上記48時間吸収液後のシートの破断強度(Tensile Strength at Break)を、JIS K6251に準拠して測定した。その結果は、表3のとおりである。
【0042】
比較例1<ダイナロン1320Pのシート化>
実施例4と同様にして、JSR(株)製のダイナロン1320Pを同様条件で厚さ1mmのシートを作成した。
【0043】
抗菌性試験
実施例1で得られたポリマー(スルホン化物)および比較例1で用いられたダイナロンについて、以下の抗菌性の試験を実施した。結果を表4に示す。
まず、以下のようにして菌液を調製した。菌株として緑膿菌の1種であるPseudomonas Aeruginosa IFO 3445を用い、上記菌株をトリプティーケースソイ液体培地で二代継代培養した。その後継代培養した液体培地を生理食塩水で希釈し菌液が約2×10個/mlとなるように調製した。
上記pH測定で使用された実施例1のpH4.5の材料と比較例1にて用意されダイナロンをジメチルスルホキシドン(DMSO)の5%水溶液で溶解し、濃度1.0mg/mlの水溶液を調製した。さらに、該水溶液を蒸留水で10倍に希釈して試験液を調製した。
上記試験液20mlに対して上記の菌数1mlを加え、攪拌しながら20℃にて静置した。両液の混合から6時間後の反応液をサンプリングし、トリプティーケースソイ寒天培地を用いて、37℃で24時間培養した。そして寒天培地上に発育したコロニー数を数えて、上記反応液の菌数(個/ml)を測定した。
【0044】
【表1】
Figure 2005006995
【0045】
【表2】
Figure 2005006995
【0046】
【表3】
Figure 2005006995
【0047】
【表4】
Figure 2005006995
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、廃棄処理に際して環境負荷が少なく、抗菌性、体液高吸収性を有する皮膚接触材料および皮膚接触用テープを提供することができる。

Claims (9)

  1. カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基およびリン酸(塩)基の群から選ばれた少なくとも1種の酸性官能基を0.01〜5mmol/g含有する酸変性共役ジエン系ポリマーを含む皮膚接触用材料。
  2. 酸変性共役ジエン系ポリマーのpHが4〜6.5である請求項1に記載の皮膚接触用材料。
  3. 酸変性共役ジエン系ポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量が3,000〜500,000である請求項1または2記載の皮膚接触用材料。
  4. 酸変性共役ジエン系ポリマーが、(I)共役ジエンおよび必要に応じてこれと共重合可能な他の単量体を(共)重合して、共役ジエン系(共)重合体を合成したのち、スルホン化して得られる(共)重合体、あるいは、(II)共役ジエンのスルホン化物および必要に応じて他の単量体を(共)重合して得られる(共)重合体からなる、スルホン化共役ジエン系(共)重合体である請求項1〜3いずれかに記載の皮膚接触用材料。
  5. スルホン化共役ジエン系(共)重合体が、スルホン酸変性ポリブタジエン、スルホン酸変性ポリイソプレン、スルホン酸変性スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スルホン酸変性スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スルホン酸変性スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、およびはスルホン酸変性スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体の群から選ばれた少なくとも1種である請求項4記載の皮膚接触用材料。
  6. ポリマー成分中に、酸変性共役ジエン系ポリマー以外の他の重合体を20重量%以下含有する請求項1〜5いずれかに記載の皮膚接触用材料。
  7. フィルムまたはシートの片面に、請求項1〜6いずれかに記載の皮膚接触用材料を積層した皮膚接触用テープ。
  8. 皮膚接触用材料層の厚さが、10μm〜4mmである請求項7記載の皮膚接触用テープ。
  9. 皮膚接触用材料層が発泡層またはスポンジ層である請求項7または8記載の皮膚接触用テープ。
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