JP6693533B2 - X線装置、x線計測方法および構造物の製造方法 - Google Patents

X線装置、x線計測方法および構造物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、X線装置、X線計測方法および構造物の製造方法に関する。
従来から、基準被検体を用いて回転テーブルの回転に伴う振れ量を測定し、測定した振れ量に基づいてテーブルを移動させて、再現性のある回転振れを補正する断層撮影装置が知られている(たとえば特許文献1)。しかしながら、再現性のない誤差要因による影響を補正することができないという問題がある。
日本国特開2009−36660号公報
本発明の第1の態様によると、X線装置は、指標部材が設けられ、被測定物を載置する載置台と、前記被測定物および前記指標部材にX線を照射するX線源と、照射されたX線による前記被測定物の投影像および前記指標部材の投影像を検出するX線検出器と、前記載置台と、前記X線源と、前記X線検出器との少なくとも2つの部材を、所定の軸周りに回動させることで、前記被測定物に対して複数の異なる照射方向からX線を照射して、それぞれの照射方向毎に前記被測定物の投影像と前記指標部材の投影像とを取得する取得部と、前記X線検出器で検出された前記指標部材の投影像が、前記X線検出器で検出される領域のうち前記被測定物の観測領域の投影像と異なる位置で、前記X線検出器により検出されたときの投影像の所定の点の位置に基づき、補正処理を行う補正部と、を備え、前記補正処理は、前記載置台と前記X線検出器との相対位置を補正するための補正情報を求めることを含む
本発明の第2の態様によると、X線装置は、指標部材が設けられ、被測定物を載置する載置台と、前記被測定物および前記指標部材にX線を照射するX線源と、照射されたX線による前記被測定物の投影像および前記指標部材の投影像を検出するX線検出器と、前記載置台と、前記X線源と、前記X線検出器との少なくとも2つの部材を、所定の軸周りに回動させ、前記回動に伴って前記被測定物に対して複数の異なる照射方向からX線を照射して、前記被測定物の投影像と前記指標部材の投影像とを取得する取得部と、前記指標部材の載置台における位置情報と前記X線検出器と前記X線源との間の相対的な位置関係に基づいて、前記異なる照射方向に対応する、前記少なくとも2つの部材が所定の軸周りに回動したときのそれぞれの位置での前記指標部材の所定位置に対応する投影像を第1投影位置として算出する算出部と、前記複数の異なる照射方向のそれぞれにおける前記算出された前記第1投影位置と、前記回動に伴って取得された前記指標部材の所定位置に対応する投影像の、前記X線検出器の検出面に対する第2投影位置とのずれ量に基づいて補正処理を行う補正部と、を備え、前記補正処理は、前記載置台と前記X線検出器との相対位置を補正する補正情報を求めることを含む
本発明の第3の態様によると、X線装置は、指標部材が設けられ、被測定物を載置する載置台と、前記被測定物および前記指標部材にX線を照射するX線源と、照射されたX線による前記被測定物の投影像および前記指標部材の投影像を検出するX線検出器と、前記載置台と、前記X線源と、前記X線検出器との少なくとも2つの部材を、所定の位置に移動させ、前記移動に伴って前記被測定物に対して複数の異なる照射方向からX線を照射して、前記被測定物の投影像と前記指標部材の投影像とを取得する取得部と、前記指標部材の載置台における位置情報と前記X線検出器と前記X線源との間の相対的な位置関係に基づいて、前記異なる照射方向に対応する、前記少なくとも2つの部材が所定の位置に移動したときのそれぞれの位置での前記指標部材の所定位置に対応する投影像を第1投影位置として算出する算出部と、前記複数の異なる照射方向のそれぞれにおける前記算出された前記第1投影位置と、前記所定の位置ごとに取得された前記指標部材の所定位置に対応する投影像の、前記X線検出器の検出面に対する第2投影位置とのずれ量に基づいて補正処理を行う補正部と、を備え、前記補正処理は、前記載置台と前記X線検出器との相対位置を補正するための補正情報を求めることを含む
本発明の第4の態様によると、X線計測方法は、指標部材が設けられた載置台に被測定物を載置し、X線源から前記被測定物および前記指標部材にX線を照射し、照射されたX線による前記被測定物の投影像および前記指標部材の投影像を検出し、前記載置台と、前記X線源と、X線検出器との少なくとも2つの部材を、所定の軸周りに回動させ、前記回動に伴って前記被測定物に対して複数の異なる照射方向からX線を照射して、前記被測定物の投影像と前記指標部材の投影像とを取得し、前記指標部材の載置台における位置情報と前記X線検出器と前記X線源との間の相対的な位置関係に基づいて、前記異なる照射方向に対応する、前記少なくとも2つの部材が所定の軸周りに回動したときのそれぞれの位置での前記指標部材の所定位置に対応する投影像を第1投影位置として算出し、前記複数の異なる照射方向のそれぞれにおける前記算出された前記第1投影位置と、前記回動に伴って取得された前記指標部材の所定位置に対応する投影像の、前記X線検出器の検出面に対する第2投影位置とのずれ量に基づいて補正処理を行い、前記補正処理は、前記載置台と前記X線検出器との相対位置を補正するための補正情報を求めることを含む
本発明の第の態様によると、構造物の製造方法は、構造物の形状に関する設計情報を作成し、前記設計情報に基づいて前記構造物を作成し、作成された前記構造物の形状を、第の態様のX線装置を用いて計測して形状情報を取得し、前記取得された前記形状情報と前記設計情報とを比較する。
実施の形態によるX線装置の内部正面図である。 実施の形態によるX線装置の内部側面図である。 実施の形態によるX線装置の内部平面図である。 載置台とX線検出器との移動の一例を示す図である。 載置台上に載置された被測定物と指標部材との一例を示す図である。 図5に示すように載置台に被測定物と指標部材とが載置された状態で、載置台とX線検出器とが移動する場合を示す図である。 第2初期観測位置における指標部材のZX平面に平行な面での断面と、X線源の射出点Pと、X線検出器の検出面との位置関係を示す図である。 図8(a)は図6の観測位置における指標部材のZX平面に平行な面における断面と、X線源の射出点と、X線検出器の検出面との位置関係を示す図であり、図8(b)は、載置台を上部(Z方向+側)から見た場合の指標部材と、X線源の射出点と、X線検出器の検出面との位置関係を示す図であり、図8(c)はX線検出器の検出面を裏側(X線入射方向の反対側)から見た時の指標部材の投影像の位置を示す図である。 図9(a)は載置台の中心と載置台の公転軸とが偏芯を有する場合における指標部材の実際の公転軌道と、偏芯が無い場合の理想的な公転軌道のシミュレーション結果を示し、図9(b)は図9(a)に示す理想的な公転軌道に対する実際の公転軌道のHV座標系上でのH軸方向とV軸方向とのずれ量を示す図である。 図10(a)は載置台の公転移動中の位置決め誤差に周期的な誤差がある場合における実際の公転移動軌道と、周期的な位置決め誤差がない場合の理想的な公転移動軌道とのシミュレーション結果を示し、図10(b)は図10(a)に示す理想的な公転軌道に対する実際の公転軌道のHV座標系上でのH軸方向とV軸方向とのずれ量を示す図である。 図11(a)は載置台が水平面に対して傾きを有する場合における実際の公転軌道と、傾きが無い場合の理想的な公転軌道とのシミュレーション結果を示し、図11(b)は図11(a)に示す理想的な公転軌道に対する実際の公転軌道のHV座標系上でのH軸方向とV軸方向とのずれ量を示す図である。 RT座標系において、指標部材が載置された位置と、その位置からRT座標系上でΔr、Δtだけ変位させた場合の位置とを示す。 図13(a)、図13(b)は被測定物の一例を示す外観図である。 観測動作時におけるX線源と、載置台と、X線検出器との位置関係を示す図である。 図15(a)〜(c)は、第1初期観測位置における被測定物の観測点と指標部材とが、X線検出器の検出面上に投影される位置を示す図である。 図16(a)、図16(b)は、検出面に投影された観測点と指標部材とのHV座標系における位置関係を示す図である。 第1の実施の形態によるX線装置の動作を説明するフローチャートである。 第2の実施の形態によるX線装置の動作を説明するフローチャートである。 第3の実施の形態による構造物製造システムの構成を示すブロック図である。 第3の実施の形態による構造物製造システムの動作を説明するフローチャートである。 図21(a)〜(c)は変形例1における載置台の断面図である。 変形例5におけるX軸移動機構と載置台との斜視図である。
−第1の実施の形態−
図面を参照しながら、第1の実施の形態によるX線装置について説明する。X線装置は、被測定物にX線を照射して、被測定物を透過した透過X線を検出することにより、被測定物の内部情報(たとえば内部構造)等を非破壊で取得するX線CT(Computed
Tomography)検査装置である。被測定物が、たとえば機械部品や電子部品等の産業用部品が対象である場合には、X線装置は産業用部品を検査する産業用X線CT検査装置と呼ばれる。
図1〜図3は本実施の形態によるX線装置100の内部構造の一例を示す図であり、図1はX線装置100の内部正面図であり、図2はX線装置100の内部側面図、図3はX線装置100の内部平面図である。なお、説明の都合上、X軸、Y軸および鉛直方向に沿ったZ軸からなる座標系を図示の通りに設定する。
X線装置100は、筐体1と、架台2と、制御装置3とを備えている。筐体1は工場等の床面上にXY平面が実質的に水平となるように配置され、内部に架台2と、制御装置3とが収容される。筐体1はX線が外部に漏洩しないようにするために、材料として鉛を含む。
架台2には、X線源5と、載置部6と、X線検出器7と、X線検出器駆動ユニット8とが搭載されている。架台2は、矩形形状の基礎底盤22と、基礎底盤22上の四隅にそれぞれに設けられ、Z軸方向に沿って延伸する4つの支柱23と、支柱23の上部に設けられ、X線検出器駆動ユニット8を取り付けるための取付部材24とによって構成される。基礎底盤22の下部(Z軸−側)には、筐体1の外部から架台2に加わる振動を減衰させるため除振マウント25が取り付けられている。除振マウント25は、たとえば公知の空気バネやコイルバネ等が単独または組み合わせて構成される。なお、架台2は、X線検出器駆動ユニット8を4つの支柱23の上部にて支持するものに限定されず、X線検出器駆動ユニット8すなわちX線検出器7が安定して支持可能となるために必要な構造、形状を有することができる。
X線源5は、架台2の基礎底盤22に取り付けられ、基礎底盤22の中央部近傍から垂下する。X線源5は制御装置3により制御されて、図1に示す点Pを出射点として視野V−Vの範囲の円錐状に拡がる広角のX線(いわゆるコーンビーム)を出射する。この出射点Pは本X線源5のフォーカルスポットと一致する。なお、以後の説明では、出射点Pを通るZ軸に平行な軸を基準軸Lと呼ぶ。本実施の形態においては、基準軸Lが架台2の中心を通るようにX線源5が設けられている。なお、X線源5は、透過型X線源により構成されてもよいし、反射型X線源により構成されてもよい。
X線源5の構造体のZ軸+側端面は導電性を有する金属(たとえば、真鍮、タングステン合金、銅など)を材料として構成される。X線源5が透過型X線源により構成される場合には、Z軸+側端面はフィラメントからの電子が到達することによってX線を発生するための、たとえばタングステンを含む材料からなるターゲットである。また、X線源5がターゲットを外部から保護するためにベリリウム等の導電体の保護部材を有する場合には、この保護部材がX線源5のZ軸+側端面となる。X線源5は、たとえば約50eVの超軟X線、約0.1〜2keVの軟X線、約2〜20keVのX線および約20〜100keVの硬X線の少なくとも1種のX線を出射する。
載置部6は、被測定物Sを載置するための載置台61と、載置台61をX軸、Y軸およびZ軸方向にそれぞれ移動させるためのX軸移動機構62、Y軸移動機構63およびZ軸移動機構64を備えている(図3参照)。X軸移動機構62およびY軸移動機構63は、それぞれモータ、レール、スライダー等によって構成され、制御装置3による制御に従って、載置台61をX軸方向およびY軸方向に沿って移動させる。すなわち、載置台61は、XY平面上において、基準軸Lを中心として公転軌道を描くように平行移動することで回動ができる。Z軸移動機構64は、モータ、レール、スライダー等によって構成され、制御装置3による制御に従って載置台61をZ軸方向に移動させる。なお、載置台61については、詳細を後述する。また、載置台61には、後述する指標部材が設置されている。指標部材は金属などのX線に対して高い吸収係数を呈する材料で形成されている。また、指標部材は載置台61の中心部から外れた位置に設置されている。特に、被測定物Sを載置した時に、観測領域に設定される範囲から外れることの多い周縁部近傍に配置されることが好ましい。
X線検出器7は、公知のシンチレーション物質を含むシンチレータ部、光電子増倍管、CCD等の受光部等によって構成され、X線源5から出射され、載置台61上に載置された被測定物Sを透過した透過X線を含むX線を受光する。X線検出器7は、受光したX線のエネルギーを光エネルギーに変換した後、当該光エネルギーを電気エネルギーに変換し、電気信号として出力する。なお、X線検出器7は、入射するX線のエネルギーを光エネルギーに変換することなく電気信号に変換して出力してもよい。また、X線検出器7は、複数の画素を有しており、それらの画素は2次元的に配列されている。これにより、X線源5から放射され、被測定物Sを通過したX線の2次元的な強度分布を一括して取得できる。従って、1回の撮影で被測定物Sの全体の投影像を取得することができる。
X線検出器駆動ユニット8は、X線検出器7を、基準軸Lを中心とする公転軌道上を移動させる。X線検出器駆動ユニット8は、架台2の取付部材24に取り付けられた回転機構81と、回転機構81により回転する円弧状ステージ82とを備える。回転機構81は、取付プレート811と、取付プレート811に取り付けられたモータ812と、モータ812により回転する第1ギア813と、第1ギア813と噛み合う第2ギア814と、中空の回転軸815とを有している。回転軸815が第2ギア814によって基準軸Lを中心として回転することにより、回転軸815の下部に固定された円弧状ステージ82は回転し、円弧状ステージ82上に移動可能に設けられたX線検出器7は基準軸Lを中心とした公転軌道MMに沿って回動する。なお、円弧状ステージ82上でのX線検出器7の移動範囲が基準軸Lと交差するように設定されている。それゆえ、X線検出器7が基準軸Lと交差する位置に位置決めされているような場合では、本X線検出器7は回転機構81により回転することもできる。
円弧状ステージ82は、X線の出射点である点Pを中心とする円弧状に所定の長さを有して形成されたプレートである。円弧状ステージ82には、ガイドレールやスライダー等が設けられ、上述したX線検出器7が円弧状ステージ82の円弧状軌道Wに沿ってモータ等によって移動可能に取り付けられる。これにより、円弧状ステージ82を回転機構81により回転させることで、X線検出器7の軌道が出射点Pを頂点とする円錐の側面に沿うように、所望の同一高度(Z軸+側の同一面上)を円運動するように調整可能となる。
上述した構成を備えることにより、基準軸Lを中心とした公転軌道MMとX線の出射点Pを中心とする円弧状軌道Wとにより、X線検出器7のX線の出射点Pを中心とする球面上の任意の場所に移動させることができるので、ユーザは所望する撮影位置、撮影角度にて被測定物Sを撮影することができる。また、載置台61をZ軸方向に移動させることにより、所望の拡大率にて被測定物Sを撮影することができる。
制御装置3は、マイクロプロセッサやその周辺回路等を有しており、不図示の記憶媒体(たとえばフラッシュメモリ等)に予め記憶されている制御プログラムを読み込んで実行することにより、X線装置100の各部を制御する。制御装置3は、X線制御部31と、移動制御部32と、画像生成部33と、画像再構成部34と、算出部35と、補正部36と、記憶部37とを備える。これらは、制御装置3が不図示の不揮発性メモリに格納されているプログラムを実行することにより、ソフトウェア的に実現されるが、これらをASIC等により構成しても構わない。
X線制御部31はX線源5の出力を制御し、移動制御部32は後述するラミノグラフィーを行うために、載置部6およびX線検出器駆動ユニット8の移動動作を制御する。画像生成部33はX線検出器7から出力された電気信号に基づいて被測定物SのX線投影画像データを生成し、画像再構成部34は投影方向の異なる被測定物SのX線投影画像データに基づいて、公知の画像再構成処理を施して再構成画像を生成する。再構成画像により、被測定物Sの内部構造(断面構造)である3次元データが生成される。この場合、再構成画像の生成方法としては、逆投影法、フィルタ補正逆投影法、逐次近似法等がある。
算出部35は、後述するラミノグラフィーを行う際に、X線検出器7および載置台61が公転軌道の各々の位置で、理想的な相対位置関係を有する場合における後述する指標部材を透過したX線のX線検出器7の検出面における投影位置を算出する。なお、公転軌道とは、載置台61とX線検出器7とが、基準軸Lに垂直な平面内において、基準軸Lを中心とする円周上を互いに同期して回動する際の軌道である。補正部36は、算出部35により算出された検出面上の位置であって、指標部材を透過したX線が投影されるべき検出面上での指標部材の投影像の位置と、実際の指標部材の公転軌道上の各々の位置で得られた、指標部材を透過したX線の検出面上での指標部材の投影像の位置とのずれ量に基づいて、載置台61の位置の補正および/または被測定物SのX線投影画像データの補正を行う。なお、以後の説明では、算出部35が算出した被測定物Sおよび/または指標部材の理想的な相対位置関係を有した時の投影位置を第1投影位置、実際に被測定物Sおよび/または指標部材が公転軌道上を移動して各々の位置で得られた投影位置を第2投影位置と呼ぶ。記憶部37は、不揮発性の記憶媒体であり、補正部36がずれ量を算出する際に用いる各種の情報を記憶する。
算出部35と補正部36と記憶部37とについては、詳細な説明を後に行う。
本実施の形態のX線装置100は、上述したように、基準軸Lを中心とした公転軌道上で載置台61を移動させるための機構(載置部6)と、基準軸Lを中心とした公転軌道MM上でX線検出器7を移動させるための機構(X線検出器駆動ユニット8)とを有する。載置台61の公転軌道上における移動とX線検出器7の公転軌道MM上における移動とは、制御装置3の移動制御部32により同期するように制御される。画像生成部33は、移動制御部32により載置台61とX線検出器7とが基準軸Lの回りに回動された状態で、被測定物Sの投影像を取得する。これにより、X線源5からのX線のうち基準軸Lに対して所定の傾きを有するX線による被測定物Sの断層画像に対応するX線投影画像データを得る公知のラミノグラフィーが行われる。なお、以下の説明では、ラミノグラフィーのための載置台61とX線検出器7との移動をラミノ駆動と呼ぶ。
図4にラミノ駆動の際の、載置台61とX線検出器7との移動を示す。図4では、ラミノ駆動により被測定物Sを観測するための位置として、90°おきに設けた4つの観測位置A、B、CおよびDを用いた場合を一例として示す。すなわち、載置台61とX線検出器7とを矢印AR1の方向に沿って同期して移動させ、載置台61とX線検出器7とが観測位置A、B、CおよびDに位置すると、被測定物Sの観測を行う。観測位置A、B、CおよびDにおける載置台61とX線検出器7を、それぞれ載置台61A、61B、61Cおよび61D、X線検出器7A、7B、7Cおよび7Dとして表す。
上述したように、X線検出器7は、X線検出器駆動ユニット8により基準軸Lを中心とする公転軌道MM上を移動するため、X線検出器7A、7B、7Cおよび7Dは公転軌道MM上に位置する。載置台61は、X軸移動機構62およびY軸移動機構63により基準軸Lを中心とする公転軌道MS上を移動するように制御されるため、載置台61A、61B、61Cおよび61Dは公転軌道MS上に位置させることができる。観測位置Aにおいては、X線源5からのX線VAは載置台61A上の被測定物Sを透過してX線検出器7Aに投影される。観測位置B、CおよびDにおいては、X線源5からのX線VB、VCおよびVDは載置台61B、61Cおよび61D上の被測定物Sを透過してX線検出器7B、7Cおよび7Dにそれぞれ投影される。なお、それぞれの観測位置毎にX線検出器7の上下方向であるV方向と、左右方向であるH方向とが変わるように、移動する。図6に示すように、X線検出器7は、公転軌道MS上を移動する際には、方位角θsrに応じて、V方向とH方向とが変わるように公転移動する。X線VA〜VDのそれぞれは、基準軸Lから所定の傾きθtdを有してX線源5から射出され、X線検出器7A〜7Dの検出面の中心(原点)に入射する。なお、以後の説明では、所定の傾きθtdをX線検出器7の傾動角と呼ぶ。傾動角が0°のときには、X線検出器7は基準軸L上に位置する。
一方、載置部6は、X線検出器7のそれぞれの位置A、B、C、Dに応じて、基準軸Lに対して垂直な平面であるXY平面と平行な平面内において、移動する。また、移動の際に、載置台61がX線源5に対して回転するような動作は起こさない。たとえば、図6に示すように、被測定物Sに対して、指標部材Mはどのような位置であってもX方向に離れた位置に配置されている状態で、基準軸Lに対して公転軌道上に位置するように制御している。したがって、本実施の形態では、載置部6に対してX線検出器7が相対的に回転移動成分が含まれるように移動している。
本実施の形態のX線装置100が行う観測動作について説明する。被測定物SのX線投影画像データを生成するために、載置台61には被測定物Sと指標部材M(図5参照)とが載置される。指標部材Mは、たとえば球形に形成され、ラミノ駆動に際して載置台61の公転軌道MSの各々の位置において、X線源5及びX線検出器7に対して理想的な相対位置関係からどの程度ずれた位置に位置決めされているかを算出するために用いられる。または、指標部材Mは、ラミノ駆動に際してX線検出器7の公転軌道MMの各々の位置においてX線源5および載置台61に対して理想的な相対位置関係からどの程度に位置決めされているかを算出するために用いられる。制御装置3は、指標部材MがX線検出器7の検出面に投影される投影位置に基づいて、上記ずれ量を算出し、算出したずれ量を補正するための処理を行う。
以下の説明は、ずれ量算出の考え方、補正量の算出、およびラミノ駆動時の動作、に分けて行う。
<ずれ量算出の考え方>
図5は載置台61上に載置された被測定物Sと指標部材Mとを示す図である。なお、説明を簡単にするために、被測定物Sの観測点が1つの場合を例に挙げる。X線源5の出射点Pから傾動角θtdのX線はX線検出器7の検出面71の中心710に投影される。被測定物Sは、傾動角θtdにて射出されるX線の経路LX1上に載置される。なお、検出面71の中心710に入射するX線が被測定物Sを透過する位置を観測点と呼ぶ。また、直線LX1が載置台61において被測定物Sの載置面と交差する点、すなわち被測定物Sの観測点をSOと表す。X線装置100において、ラミノ駆動により載置台61およびX線検出器7が移動を行っても、観測点SOの検出面71への投影位置は検出面71の中心710から変化しないように構成される。
指標部材Mは、載置台61上で図5に示すように載置された被測定物Sの観測点SOから所定の方向に所定の距離だけ離れた位置に載置される。すなわち、指標部材Mを透過するX線の経路は、被測定物Sの観測点SOを透過するX線の経路LX1とは異なる。これにより、X線検出器7の検出面71において、被測定物Sの投影像と指標部材Mの投影像とが重複しない。したがって、観測点SOを通るX線の経路LX1上に指標部材Mが無いので、指標部材Mが観測点SOに存在した時と比べて、観測点SOにおける被測定物Sの構造情報をコントラストよく取得できる。そのため、再構成時にも高精細な断層画像が形成でき、正確な検査が可能となる。
なお、被検物の検査領域が点ではなく、ある範囲に渡って検査対象となる場合、その検査対象範囲よりも離れた位置に指標部材Mが位置するように被測定物Sを配置することが好ましい。
特に、X線検出器7で検出された被測定物Sの投影像により再構成処理をする場合、指標部材Mによるビームハンドニング効果によりアーティファクトが生成されてしまう。そのアーティファクトにより被測定物Sの検査結果が誤ったものとなってしまう可能性がある。しかしながら、指標部材Mが無い場合には、複数の被測定物Sの投影像から再構成像を生成する場合、各投影像の位置関係がずれているかどうか保障できなくなる。もし、ずれていた場合で再構成を行ってしまうと、やはりアーティファクトが生成されてしまい、検査結果が誤ったものになってしまう。
観測点SOのように観測領域がある箇所のみならず、観測領域がある面積を持った範囲である場合、X線検出器7で検出された指標部材Mの投影像が、X線検出器7で検出される領域のうち被測定物Sの観測領域の投影像から離れた位置でX線検出器7により検出されための被測定物Sの配置となるように、X線制御部31がユーザに促してもよい。この場合、予め不図示のユーザインターフェースにより、被測定物SのX線投影画像データ上に被測定物Sの観測領域をユーザに設定するように促し、ユーザが設定した観測領域の断層データまたは3次元データが再構成画像により形成されるように、載置部6及びX線検出器駆動ユニット8の移動動作を制御してもよい。また、被測定物SのX線投影画像データから公知のパターンマッチング技術で、被測定物Sの観測領域内に指標部材Mの投影像があるかどうかを判定する。その際、指標部材Mの投影像が被測定物Sの観測領域内に存在する場合であれば、被測定物Sを載置台61から移動するように警告を与えるか、または観測領域を別の領域に設定し直すことを勧めるように表示することが好ましい。それにより、再構成画像に指標部材Mによるビームハードニングなどの偽像の発生することを防ぐことができる。
図6は、図5に示すように載置台61に被測定物Sと指標部材Mとが載置された状態で、ラミノ駆動が行われた場合を示す。図6では、図4の場合と同様に、載置台61とX線検出器7とを矢印AR1の方向に沿ってラミノ駆動させた際の、載置台61とX線検出器7との位置関係を観測位置A、B、CおよびDごとに示す。
以下の説明では、図6に示すように、X線検出器7の検出面71上にHV座標系、載置台61上にRT座標系を設定する。HV座標系は、検出面710の中心を原点とする直交座標系である。V軸は検出面71の中心710から基準軸Lと交差するように設定された軸であり、H軸はV軸に直交する軸である。ラミノ駆動によりX線検出器7が図6の位置関係A、B、CおよびDの間で移動した場合であっても、V軸はそれぞれの位置において常に基準軸Lと交差する方向を維持する。一方、H軸の向きは、位置A、B、CおよびDのそれぞれにおいてXYZ座標系に対して変化する。以下の説明では、傾動角θtdが0°となるようにX線検出器7を配置したときに、基準軸LとX線検出器7の検出面71の中心710とが交わる点を天頂LQと呼ぶ。
RT座標系は、X線検出器7と同期して移動する載置台61の載置面上に設けられた直交座標系であり、載置台61に載置された被測定物Sの観測点SOを原点とする。R軸は、X線検出器7の検出面71に設定されたV軸と交差する方向に設定された軸である。換言すると、R軸は、HV座標系のV軸と基準軸Lとを含む平面と載置台61との交線である。R軸は、観測点SOを原点610とし、基準軸Lから離れる向きを+方向とするように設定される。T軸は、原点610にてR軸と直交する。RT座標系は、ラミノ駆動にともなって載置台61が移動する際に、基準軸Lを中心として回転する回転座標系である。
上記のように設定した座標系を用いて、載置部6およびX線検出器駆動ユニット8に誤差等の精度的な問題が無いと仮定した場合の、載置台61およびX線検出器7のラミノ駆動における理想的な公転軌道の算出について説明する。すなわち、載置台61およびX線検出器7の理想的な公転軌道とは、それぞれが、基準軸Lに垂直な平面内において、基準軸Lを中心とする円周上を、互いに同期して回動し、各々の公転軌道上の位置でX線源5、X線検出器7及び載置台6の相対位置関係が維持されている状態を指す。これらの理想的な公転軌道は、指標部材Mと、X線源5の出射点Pと、X線検出器7の検出面71との相対的な位置関係に基づいて、指標部材Mが検出面71に投影される位置(以下、第1投影位置と呼ぶ)を算出することにより行われる。
第1投影位置の算出は、次の(1)〜(3)の手順に従って行われる。なお、第1投影位置の算出は、実際の観測ではなく、X線検出器7と載置台61との相対的な位置関係が理想の位置関係の時に得られる観測を想定して算出するものである。
(1)被測定物Sの観測点SOに対する指標部材Mの相対位置を設定する。
(2)被測定物Sの観測点SOを透過するX線の経路LX1と、指標部材Mが載置台61の載置面と接する点M0を透過するX線の経路LX2とがなす角を算出する。
(3)経路LX1と計測LX2とのなす角をX線検出器7の検出面71上に設定したVH座標系の座標値に変換する。
以下、(1)〜(3)の手順のそれぞれについて、図6、図7、図8を用いながら説明する。
(1)被測定物Sに対する指標部材Mの相対位置を設定する。
指標部材Mの中心M1を通る基準軸Lに平行な直線と載置台61の載置面との交点をM0とする。載置台61に載置された被測定物Sの観測点SOと点M0との間の基準軸Lに垂直な面内における距離をrsとする。また、観測点SOと点M0とを結ぶ直線が、RT座標系上においてR軸に対してなす角を方位角θsrとする。距離rsと方位角θsrとは、X線検出器7の傾動角θtdを0°とした状態で、X線検出器7により得られるX線投影画像データを解析することにより取得される。すなわち、この状態においては、RT座標系の原点610、すなわち観測点SOと基準軸Lとが一致した位置(以後、第1初期観測位置と呼ぶ)にある。距離rsは、生成されたX線投影画像データ上におけるRT座標系の原点から指標部材Mの投影像の中心までの距離を投影倍率で除することにより算出される。方位角θsrは、X線投影画像データ上における指標部材Mの投影像の座標値に基づいて算出される。
被測定物Sの観測位置、すなわち観測点SOから指標部材Mの中心までの高さ(Z軸方向の距離)をzsとする。高さzsを算出する際には、上記方位角θsrがゼロとなる位置まで、X線検出器7と載置台61とを移動させる。たとえば、方位角θsrの状態から、X線検出器7と載置台61とをX線の出射点Pを中心に、方位角θsrがゼロとなる方向に角θsrだけ回転させればよい。この状態において、X線検出器7のX線源5の出射点Pと観測点SOとを通る直線と、X線源5の出射点Pと指標部材Mの中心M1とを通る直線とを共に含む平面内に基準軸Lが含まれる位置関係(以後、第2初期観測位置と呼ぶ)となる。したがって、指標部材Mの投影像において、指標部材Mの中心M1に相当する点は、V軸上に存在することになる。なお、X線検出器7の傾動角θtdは適当な値を選択すればよい。この場合、X線検出器7により得られるX線投影画像データを解析することにより、高さzsが算出される。
図7は、第2初期観測位置における指標部材MのZX平面に平行な面での断面と、X線源5の出射点Pと、X線検出器7の検出面71との位置関係を示す図である。なお、図7では、図示の都合により指標部材Sを省略する。以下、高さzsの算出方法を説明する。
図7に示すように、X線源5の出射点Pと被測定物Sの観測点SOとを結ぶ直線LX0に沿って、次の通り距離L1、L2およびL3を定義する。すなわち、X線源5の出射点PとX線検出器7の検出面71の中心710との距離L1、出射点Pから被測定物Sと観測点SOとの距離をL2とする。また、点M0から直線LX0に下ろした垂線の足をMPとして、観測点SOとMPとの距離をL3とする。さらに、出射点Pと観測点SOのZ軸方向における距離をZtとする。点M0の位置のX線検出器7の検出面71における投影倍率mrsは、以下の式(1)で表される。
L2=Zt/cos(θtd)
L3=rs×sin(θtd)
mrs=L1/(L2+L3) …(1)
X線装置100の設定投影倍率をMxとすると、Ztは以下の式(2)で表される。
Zt=(L1/Mx)×cos(θtd) …(2)
次に、X線検出器7の検出面71において、観測点SOに相当する点と、点M0に相当する点との距離V1iは、以下の式(3)により表される。
V1i=rs×cos(θtd)×mrs …(3)
次に、指標部材Mの中心M1と点M0との、検出面71に平行な方向における距離をδとする。また、X線検出器7の検出面71において、観測点SOに相当する点と指標部材Mの中心M1に相当する点との距離をV1とする。距離δは、以下の式(4)で表される。
δ=(V1i−V1)×mrs=rs×cos(θtd)−V1/mrs …(4)
上記δを用いて、高さzsは以下の式(5)により表される。
zs=δ/sin(θtd) …(5)
(2)被測定物Sの観測点SOを透過するX線の経路LX1と、点M0を透過するX線の経路LX2とがなす角を算出する。
図8を参照しながら、観測位置において観測点SOを透過するX線と点M0を透過するX線とがなす角の算出について説明する。図8(a)は図6に示す観測位置における、X線源5の出射点PとX線検出器7の検出面71との位置関係を示すZX断面図である。図8(b)は、図8(a)の状態を載置台61の上部(Z方向+側)から見た場合の、X線源の出射点Pと、X線検出器7の検出面71との位置関係を示す図である。図8(c)は、X線検出器7の検出面71を裏側から見た図である。なお、図8(a)、(b)、(c)においては、図示の都合上、被測定物Sを省略する。
経路LX2に関して、図8(a)の紙面上において、経路LX1と経路LX2とがなす角をθvとし、図8(b)の紙面上において、X線の経路LX1と経路LX2とがなす角をθhとする。
図8(a)の紙面上において、経路LX2がXY平面となす角をθsvとすると、経路LX1と経路LX2とがなす角θsvを以下の式(6)で表すことができる。

…(6)
したがって、角θvは、式(6)に基づいて、以下の式(7)で表すことができる。

…(7)
一方、図8(b)の紙面上において、経路LX1と経路LX2とがなす角θhは、以下の式(8)で表すことができる。

…(8)
(3)経路LX1と経路LX2とがなす角をX線検出器7の検出面71上に設定したVH座標系の座標値に変換する。
図8(a)、(c)に示すように、指標部材Mの中心M1に相当する点が検出面71に投影される位置は、X線の経路LX2が検出面71に入射する位置である。したがって、以下の式(9)により、角θvをHV座標系のV成分の座標値vrefに変換することができる。
vref=−L1×tanθv …(9)
図8(b)に示すように、指標部材Mの中心M1に相当する点が検出面71に投影される位置は、X線の経路LX2が検出面71に入射する位置である。したがって、以下の式(10)により算出された角θhをHV座標系のH成分の座標値hrefに変換することができる。
href=L1×(cosθsv/cosθv)×tanθh …(10)
このときの指標部材Mの中心M1に相当する点の検出面71における投影倍率msは、以下の式(11)により算出される。

…(11)
上述した手順(2)および(3)を、観測位置A、B、CおよびDのそれぞれについて行うことにより、公転軌道上の観測位置A、B、CおよびDのそれぞれにおける指標部材Mの投影像の理想的な座標値(href、vref)が得られる。これら複数の座標値(href、vref)を用いて軌跡を描いた場合に、この軌跡が理想的な公転軌道となる。
<補正量の算出>
上記の手順(1)〜(3)により算出した指標部材Mの第1投影位置とは別に、公転軌道上を移動する指標部材Mに実際にX線を照射して、X線検出器7の検出面71に投影された指標部材Mの位置である第2投影位置を観測する。第1投影位置と第2投影位置とのずれ量に基づいて、補正量を算出する。HV座標系において、指標部材Mの中心M1の第1投影位置における座標値は、上記の通り(href、vref)である。一方、第2投影位置における指標部材Mの中心の座標値を(hreal、vreal)とすると、HV座標系、すなわちX線検出器7の検出面71における第1投影位置と第2投影位置とのずれ量Δh、Δvは、次の式(12)で表される。
Δh=hreal−href
Δv=vreal−vref …(12)
上述したように、第1投影位置における指標部材Mの中心M1の軌跡が理想的な公転軌道なので、ずれ量Δh、Δvは、理想的な公転軌道と実際のラミノ駆動時の公転軌道MSとの誤差に対応する値を表す。
理想的な公転軌道と実際の公転軌道MSとに誤差が生ずる要因としては、次のことが考えられる。すなわち、載置部6が実際に移動する公転軌道MSにおいて、その中心と理想的な公転軌道の中心がずれていること(すなわち偏芯誤差)、実際の回転角度が理想的な公転軌道における回転角度とずれている(すなわち回転角度誤差)、実際の公転軌道MS面が理想的な公転軌道の軌道面に対して傾いていること(すなわち面振れ)、等よるものと考えられる。
図9に、理想的な公転軌道と実際のラミノ駆動時の公転軌道MSとの間に偏芯誤差がある場合における、理想的な公転軌道および実際の公転軌道MSのシミュレーション結果を示す。図9(a)に、理想的な公転軌道においての検出面71で想定される指標部材Mの中心M1の投影像の軌跡を実線C1で示し、実際の公転軌道MSにおいて検出面71での指標部材Mの中心M1の投影像の軌跡を破線C2で示す。上述のように、載置部6に対してX線検出器7には回転移動成分も含まれているので、指標部材Mの投影像の軌跡は楕円状となる。なお、このシミュレーションは、投影倍率Mxを20倍、距離rsを1mm、高さzsを0.5mm、偏芯誤差を0.2mmとして実行したものである。
図9(a)に示すように、軌跡C1と軌跡C2とは共に楕円状であるが、軌跡C2は軌跡C1に比べ長径、短径が共に大きい。軌跡C1と軌跡C2とのずれ量は、ずれ量Δh、Δvに相当する。
図9(b)は、図9(a)に示す軌跡C1に対する軌跡C2のずれ量Δh、Δvを示す。図9(b)においては、ずれ量Δhを実線で示し、ずれ量Δvを破線で示す。縦軸はずれ量Δh、Δvの大きさ、横軸は観測位置Aから各観測位置までの角度を表す。図9(b)に示す通り、ずれ量ΔhとΔvとは共に正弦波状であるが、それぞれの位相と振幅とは互いに異なる。
図10に、実際の回転角度が理想的な公転軌道における回転角度とずれている場合、すなわち回転角度誤差がある場合における理想的な公転軌道と実際の公転軌道MSとのシミュレーション結果を示す。回転角度誤差は、公転周期が1周期毎に現れてしまう位置決め誤差が生じている場合を想定する。図10(a)に、理想的な公転軌道において検出面71で想定される指標部材Mの中心M1の投影像軌跡を実線C1で示し、実際の公転軌道MSにおいて検出面71での指標部材Mの中心M1の投影像軌跡を破線C3で示す。なお、このシミュレーションは、投影倍率Mxを20倍、距離rsを1mm、高さzsを0.5mm、角度変動を±0.3°として実行したものである。
図10(a)に示すように、軌跡C1と軌跡C3とは共に楕円状であるが、軌跡C3は軌跡C1に対して、短径の長さはほぼ同じであるのに対して、長径の長さが長い。軌跡C1と軌跡C3とのずれ量は、ずれ量Δh、Δvに相当する。
図10(b)は、図10(a)に示す軌跡C1に対する軌跡C3のずれ量Δh、Δvを示す。図10(b)においては、ずれ量Δhを実線で示し、ずれ量Δvを破線で示す。縦軸はずれ量Δh、Δvの大きさ、横軸は観測位置Aから各観測位置までの角度を示す。図10(b)に示す通り、ずれ量Δhは正弦波状であるが、ずれ量Δvは0で一定である。
図11に、実際の公転軌道MSの面が理想的な公転軌道の軌道面に対して傾いている場合、すなわち面振れがある場合における理想的な公転軌道と実際の公転軌道MSとのシミュレーション結果を示す。図11(a)に、理想的な公転軌道において検出面71で想定される指標部材Mの中心M1の投影像の軌跡を実線C1で示し、実際の公転軌道MSにおいて検出面71での指標部材Mの中心M1の投影像の軌跡を破線C4で示す。なお、このシミュレーションは、投影倍率Mxを20倍、距離rsを1mm、高さzsを0.5mm、傾き角度を0.3°として実行したものである。
図11(a)に示すように、軌跡C1と軌跡C4とは共に楕円状であるが、軌跡C4は軌跡C1に対して、長径の長さはほぼ同様であるのに対して、短径の長さが短い。軌跡C1と軌跡C4とずれ量は、ずれ量Δh、Δvに相当する。
図11(b)は、図11(a)に示す軌跡C1に対する軌跡C4のずれ量Δh、Δvを示す。図11(b)においては、ずれ量Δhを実線で示し、ずれ量Δvを破線で示す。縦軸はずれ量Δh、Δvの大きさ、横軸は観測位置Aから各観測位置までの角度を示す。図11(a)に示す通り、ずれ量Δvは正弦波状であるが、ずれ量Δhは0でほぼゼロである。
上記の通り、誤差の違いに応じて生ずるずれ量Δh、Δvに基づいて、これらのずれ量をなくす方向に載置台61および/またはX線検出器7の動作を補正する。これにより、上記の各種の誤差の要因(偏芯誤差、回転角度誤差、面振れ等)による影響を除去した投影画像データの生成が可能となる。
ずれ量Δh、Δvに基づく載置台61の補正は次のようにして行われる。すなわち、HV座標系における上記ずれ量Δh、ΔvをXY座標系の量に変換した変換値を算出し、その変換値に基づいて、載置台61の移動量を補正量することで、上記誤差要因による影響を補正することが可能となる。
まず、HV座標系でのずれ量Δh、Δvを、以下の式(13)に基づいて、RT座標系でのずれ量Δr、Δtに変換する。
Δr=−(Δv/ms)/cos(θtd+θv)
Δt=−(Δh/ms) …(13)
図12に、RT座標系における指標部材Mに関する点M0に相当する位置Q1と、RT座標系において位置Q1からずれ量Δr、Δtだけ変位させた場合の位置Q2とを示す。上述したように、RT座標系の中心とXY座標系の中心とは、共に観測点SOに相当し、RT座標系はXY座標系を角度θrsだけ回転させた関係となっている。
図12に示す位置Q1と位置Q2との関係から、RT座標系におけるずれ量Δr、Δtと、XY座標系におけるずれ量Δx、Δyとの関係は、以下の式(14)により表される。
Δx=Δr×cos(θsr)+Δt×sin(θsr)
Δy=−Δr×sin(θsr)+Δt×cos(θsr) …(14)
すなわち、上記の式(14)により、RT座標系におけるずれ量Δr、Δtは、XY座標系におけるずれ量Δx、Δyに変換される。
<ラミノ駆動時の動作>
本実施の形態のX線装置100は、上述したずれ量の算出、補正量の算出、および補正量の変換の各手順を全て、または選択的に用いることで、ラミノ観測を行う。なお、ラミノ観測は、上述した4つの観測位置A、B、CおよびDにて行われるものとして説明するが、観測位置の個数はこの例に限定されるものではなく、被測定物Sの形状や再構成画像の必要精度等に応じて、オペレータ等により任意の個数に設定可能である。
図13に、ラミノ観測に用いる被測定物Sの一例を示す。被測定物Sに対して、複数の観測点S100、S200およびS300において観測を行う場合について説明する(図13の例では3か所)。図13(a)は、載置台61に被測定物Sが載置されている様子を示す斜視図である。図13(b)は、被測定物Sの上部(Z軸+側)平面図である。各観測点S100、S200およびS300に対してそれぞれ所定角θrs1、θrs2およびθrs3の方向に所定距離rs1、rs2およびrs3だけ離れた位置に、指標部材M100、M200およびM300がそれぞれ載置される。
以下、ラミノ駆動時の動作として、被測定物Sの各観測点S100、S200およびS300に対する各指標部材M100、M200およびM300の各中心M101、M201およびM301の相対位置を算出するための初期観測動作と、被測定物Sの観測点S100、S200およびS300を実際に観測する実観測動作とに分けて説明を行う。
(1)初期観測動作
初期観測動作としては、観測点S100に対する指標部材M100の中心M101の所定角θrs1と所定距離rs1とを算出する第1初期観測動作と、観測点S100に対する指標部材M100の中心M101の高さzs1と指標部材M100の中心M101に相当する点の投影倍率を算出する第2初期観測動作とが含まれる。
なお、被測定物Sの観測のための投影倍率Mx1は予めオペレータ等の操作により設定され、この投影倍率Mx1に従って、載置台61のZ軸方向の位置調整が済んでいるものとする。また、以下では、X線装置100の観測点S100に対する観測動作を主に説明するが、他の観測点S200、S300のそれぞれに対してもX線装置100は同様の動作を行う。
第1初期観測動作のために、移動制御部32は、X線検出器駆動ユニット8に指令して、X線検出器7を天頂LQに移動させる。移動制御部32は、載置部6に指令して、X軸移動機構62および/またはY軸移動機構63により載置台61を移動させて、被測定物Sの観測点S100を基準軸L上に位置させる。すなわち載置台61とX線検出器7とは第1初期観測位置に移動する。
図14は初期観測動作時におけるX線源5と、載置台61と、X線検出器7との位置関係を示す図である。図14では、第1初期観測位置における載置台61をPm_ini1、X線検出器7をPd_ini1として示す。載置台61およびX線検出器7がそれぞれ第1初期観測位置Pm_ini1、Pd_ini1に位置する場合においては、被測定物Sの観測点S100とX線検出器7の検出面71の中心710とは共に基準軸L上に位置する。
載置台61およびX線検出器7がそれぞれ第1初期観測位置Pm_ini1、Pd_ini1へ移動すると、X線制御部31はX線源5からX線を射出させる。なお、X線の射出は載置台61およびX線検出器7が第1初期観測位置に移動する前に開始しても良い。画像生成部33は、X線検出器7から出力された電気信号に基づいて、被測定物Sおよび指標部材M100を透過したX線の投影像に相当するX線投影画像データを生成する。
図15に第1初期観測位置における被測定物Sの観測点S100と指標部材M100の中心M101との位置関係を示す。すなわち、図15は、被測定物Sと指標部材M100とを透過したX線によりX線検出器7の検出面71上に形成された透過像において、被測定物Sの観測点S100と指標部材M100の中心M101との位置関係を示す。図15(a)は、被測定物Sの観測点S100と指標部材M100の中心M101との位置関係を示す。観測点S101とX線検出器7の検出面71の中心とは共に基準軸L上に位置するので、投影像において観測点S100に相当する点は検出面71の中心、すなわちHV座標系の原点に位置する。また、投影像において指標部材M100の中心M101に相当する点は、HV座標系のV軸に対して角度θsr1をなすとともに、HV座標系の原点から距離rs11に位置する。距離rs11は、RT座標系における距離rs1に対応する。
算出部35は、生成された投影画像データに基づいて、角度θsr1および距離rs1を算出する。算出部35は、HV座標系における指標部材M100の中心M101に相当する座標値から角度θsr1を算出する。算出部35は、投影画像データ上における距離rs11を、投影倍率、すなわちX線源5から指標部材M100までの距離および検出面71までの距離の比率で除して、所定距離rs1を算出する。
X線装置100は、被測定物Sの他の観測点S200、S300と指標部材M200、M300とについても同様の処理を行う。図15(b)は観測点S200と指標部材M200の中心M201との位置関係を示し、図15(c)は観測点S300と指標部材M300の中心M301との位置関係を示す。観測点S200に対して第1初期観測位置に設定された状態で生成された投影画像データ(図15(b))を用いて、算出部35は角度θsr2と所定距離rs2とを算出する。観測点S300に対して第1初期観測位置に設定された状態で生成された投影画像データ(図15(c))を用いて、算出部35は角度θsr3と所定距離rs3とを算出する。
投影画像データに基づいて算出された角度θrsと所定距離rsとは記憶部37に記憶される。
X線装置100は、指標部材M100の中心M101の高さzs1および指標部材M100の中心M101に相当する点の投影倍率mrs1を算出するための第2初期観測動作を行う。移動制御部32は、X線検出器駆動ユニット8に指令して、X線検出器7を傾動角θtdの位置に移動させる。移動制御部32は、載置部6に指令して、X軸移動機構62および/またはY軸移動機構63により載置台61を観測位置Aに移動させる。また、移動制御部32は、さらにX線検出器駆動ユニット8に指令して、X線検出器7を観測位置Aから公転軌道MMに沿って所定角θrs1に相当する移動量で移動させる。これにより、X線源5の出射点Pと被測定物Sの観測点S100とを通る直線と、X線源5の出射点Pと指標部材Mの中心M101とを通る直線とを共に含む平面内に基準軸Lが含まれる位置関係となるようにする。
載置台61およびX線検出器の第2初期観測位置Pm_ini2、Pd_ini2への移動が行われると、X線制御部31はX線源5からX線を射出させる。画像生成部33は、X線検出器7から出力された電気信号に基づいて、被測定物Sおよび指標部材M100を透過したX線の投影像に対応する投影画像データを生成する。
図16(a)は、観測位置Aでの被測定物Sと指標部材M100との検出面71への投影像における、被測定物Sの中心S100と指標部材M100の中心M101との位置関係を、HV座標系上で示すものである。図16(a)において、観測点S100は検出面71の中心701に対応するので、図15(a)の場合と同様に、観測点S100の投影位置は検出面71の中心、すなわちHV座標系の原点に一致する。このため、指標部材M100の投影像において指標部材M100の中心M101に対応する点は、HV座標系の原点から距離rs1だけ離れ、かつ、V軸に対して角度θsr1をなす位置となる。
図16(b)は、第2初期観測位置での被測定物Sと指標部材M100との検出面71への投影像における、被測定物Sの中心S100と指標部材M100の中心M101との位置関係を、HV座標系上で示すものである。すなわち、図16(b)は、第2初期観測位置Pm_ini2、Pd_ini2にて生成された投影画像データを示す。図16(b)において、図16(a)の場合と同様に、観測点S100は検出面71の中心710に対応する。第2初期観測位置Pm_ini2、Pd_ini2においては、X線検出器7は公転軌道MMに沿って角度θrs1に相当する移動量で移動されている。このため、指標部材M100の投影像は、VH座標系において、図16(a)に示す位置から変位して、V軸上であって原点から距離rs12の位置に移動する。これにより、算出部35は、V軸上での原点からの距離rs12を用いて、指標部材M1の高さzs1を算出する。
算出部35は、第2初期観測位置Pm_ini2、Pd_ini2における、X線源5から指標部材M100の中心M101までの距離およびX線源5から検出面71までの距離に基づいて、式(1)を用いて投影倍率ms1を算出する。算出部35は、生成された投影画像データと、算出された投影倍率mrs1とに基づいて、上述した式(4)、(5)を用いて高さzs1を算出する。なお、このとき、式(4)のV1は距離rs12に置き換えて用いられる。
X線装置100は、被測定物Sの他の観測点S200、S300と指標部材M200、M300とについても上記と同様の動作を行い、各観測点S201、S301における指標部材M200、M300のそれぞれの中心M201、M301の高さzs2、zs3を算出する。また、中心M201、M301に相当する点の投影倍率mrs2、mrs3を算出する。算出された各観測点S100、S200およびS300のそれぞれの中心M101、M201およびM301の高さzs1〜zs3と、中心M101、M201およびM301の投影倍率mrs1〜mrs3とは、記憶部37に記憶される。
(2)実観測動作
初期観測動作が終了すると、移動制御部32は、X線検出器駆動ユニット8に指令して、X線検出器7を観測位置Aに移動させる。移動制御部32は、載置部6に指令して、X軸移動機構62および/またはY軸移動機構63により載置台61を観測位置Aに移動させる。観測位置Aへの移動が行われると、X線制御部31はX線源5に対してX線を照射させる。なお、X線を予め照射した状態でX線検出器7を観測位置Aに移動させてもよい。X線検出器7は、X線源5から射出され、被測定物Sおよび指標部材Mを透過したX線を検出し、被測定物Sおよび指標部材Mの投影像に基づく電気信号を出力する。画像生成部33は、X線検出器7から出力された電気信号を用いて、X線投影画像データを生成する。
算出部35は、初期観測動作にて得られた指標部材M1の距離rs12、高さzs12に基づき、上述した式(9)、(10)を用いて、指標部材M1の第1投影位置での座標値(href、vref)を算出する。補正部36は、算出部35により算出された指標部材Mの第1投影位置と、生成されたX線投影画像データの指標部材M1の第2投影位置とに基づき、上述した式(12)を用いて、HV座標系におけるずれ量Δh、Δvを算出する。
補正部36は、上述した式(13)、(14)を用いて、HV座標系におけるずれ量Δh、ΔvをXY座標系におけるずれ量Δx、Δyに変換する。移動制御部32は、補正部36により算出されたずれ量Δx、Δyを載置台61の移動量として載置部6に出力する。載置部6は、X軸移動機構62および/またはY軸移動機構63により、載置台61をずれ量Δx、Δyに相当する距離だけ移動させる。これにより、載置台61の理想的な公転軌道からのずれ量を、載置台61を移動させることにより補正する。
画像生成部33は、載置台61のずれ量が補正された状態においてX線検出器7から出力された電気信号を用いて、被測定物SのX線投影画像データを生成し、記憶部37に記憶する。これにより、載置台61およびX線検出器駆動ユニット8に精度的な問題が無いことを想定した場合に生成されるべきX線投影画像データを得ることができる。
X線装置100は、上記の動作を各観測位置B、C、Dにおいても行い、各観測位置B、C、Dで載置台61のずれ量が補正された状態でX線投影画像データを取得する。
X線装置100は、被測定物Sの他の観測点S200、S300と指標部材M200、M300とについても、各観測位置A、B、C、Dごとに、同様の処理を行う。
なお、実観測動作の際に、各観測位置にて指標部材Mの投影像を用いてずれ量Δh、Δvを算出するものとして説明したが、これに限定されない。たとえば、90°ごとに観測位置A、B、C、Dが設定されている場合、たとえば180°ごとの観測位置A、Cにおいて、ずれ量Δh、Δvを算出して補正を行っても良い。
画像再構成部34は、各観測点S100、S200、S300についての各観測位置で生成されたX線投影画像データに対して、公知の画像再構成処理を施して再構成画像を生成する。再構成画像により、被測定物Sの内部構造(断面構造)である3次元データが生成される。
図17フローチャートを参照して、制御装置3が行う動作について説明する。図17に示す処理は制御装置3でプログラムを実行して行われる。このプログラムは、メモリ(不図示)に格納されており、制御装置3により起動され、実行される。
ステップS1では、移動制御部32は、載置台61およびX線検出器7を第1初期観測位置に移動させてステップS2へ進む。ステップS2では、X線制御部31はX線源5にX線を射出させ、X線検出器7は検出した投影像を電気信号として出力し、画像生成部33はX線検出器7から出力された電気信号を用いて、X線投影画像データを生成する。算出部35は、このX線投影画像データを用いて、被測定物Sの観測点に対する指標部材Mの距離rsと方位角θsrとを算出し、記憶部37に記憶してステップS3へ進む。
ステップS3では、移動制御部32は、載置台61およびX線検出器7を第2初期観測位置に移動させてステップS4へ進む。ステップS4では、X線制御部31はX線源5にX線を射出させ、X線検出器7は検出した投影像を電気信号として出力し、画像生成部33はX線検出器7から出力された電気信号を用いて、X線投影画像データを生成する。算出部35は、このX線投影画像データを用いて、被測定物Sの観測点に対する指標部材Mの高さzsおよび投影倍率mrsを算出し、記憶部37に記憶してステップS5へ進む。
ステップS5では、被測定物Sの全ての観測点について、指標部材Mの距離rs、高さzsおよび投影倍率mrsの算出が行われたか否かについて判定する。全ての観測点について処理が行われた場合には、ステップS5が肯定判定されてステップS6へ進む。全ての観測点について処理が行われていない場合には、ステップ5が否定判定されてステップS1へ戻り、別の観測点について処理が行われる。以上のステップS1〜ステップS5の処理が初期観測動作での処理である。
ステップS6では、被測定物Sの複数の観測点のうちの1つの観測点が選択されてステップS7へ進む。ステップS7では、移動制御部32は、選択された観測点を観測するために、載置台61およびX線検出器7を観測位置に移動させてステップS8へ進む。ステップS8では、算出部35により算出された指標部材Mの距離rs、高さzsおよび投影倍率mrsを用いて、式(9)、(10)により、指標部材M1の第1投影位置での座標値(href、vref)を算出してステップS9へ進む。
ステップS9では、補正部36は、X線検出器7から出力された電気信号を用いて画像生成部33により生成されたX線投影画像データを用いて、指標部材M1の第2投影位置での座標値(hreal、vreal)を算出してステップS10へ進む。ステップS10では、補正部36は、第1投影位置と第2投影位置とに基づき、式(12)を用いて、HV座標系におけるずれ量Δh、Δvを算出してステップS11へ進む。ステップS11では、補正部36は、算出されたずれ量Δh、Δvを式(13)、(14)を用いてXY座標系におけるずれ量Δx、Δyに換算し、ステップS12へ進む。ステップS12では、移動制御部32は、補正部36により算出されたずれ量Δx、Δyと移動量として載置部6に出力し、載置台61を移動させステップS13へ進む。
ステップS13では、画像生成部33は、X線検出器7から出力された電気信号を用いてX線投影画像データを生成し、記憶部37に記憶してステップS14へ進む。ステップS14では、全ての観測位置について処理が終了したか否かを判定する。全ての観測位置で処理が行われた場合には、ステップS14が肯定判定されてステップS15へ進む。全ての観測位置で処理が行われていない場合には、ステップS14が否定判定されてステップS7へ戻り、別の観測位置に対する処理が行われる。
ステップS15では、被測定物Sの全ての観測点について処理が行われたか否かを判定する。全ての観測点に対して処理が行われた場合には、ステップS15が肯定判定されてステップS16へ進む。全ての観測点に対して処理が行われていない場合には、ステップS15が否定判定されてステップS6へ戻り、別の観測点について処理が行われる。上述したステップS6〜ステップS15までの処理が実観測動作での処理である。ステップS16では、画像再構成部34は、生成されたX線投影画像データを用いて再構成画像を生成して処理を終了する。
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)X線装置100は、載置台61と、X線源5と、X線検出器7と、画像生成部33と、算出部35と、補正部36とを備える。載置台61には、指標部材Mが設けられる。X線源5は、被測定物Sおよび指標部材MにX線を照射する。X線検出器7は、照射されたX線による被測定物Sの投影像および指標部材Mの投影像を検出する。画像生成部33は、載置台61とX線検出器7とを基準軸Lの周りに回動させ、回動に伴って被測定物Sに対して複数の異なる照射方向からX線を照射して、被測定物Sの投影像と指標部材Mの投影像とを取得する。算出部35は、指標部材Mの載置台61における位置情報とX線検出器7とX線源5との間の相対的な位置関係に基づいて、異なる照射方向に対応する、載置台61とX線検出器7とが基準軸Lの周りに回動したときのそれぞれの位置での指標部材Mの投影像の第1投影位置を算出する。補正部36は、複数の異なる照射方向のそれぞれにおける算出された第1投影位置と、回動に伴って取得された指標部材Mの投影像の、X線検出器7の検出面71に対する第2投影位置とのずれ量Δh、Δvに基づいて補正処理を行う。したがって、検出面71における指標部材Mの投影像の位置に基づいてずれ量Δh、Δvを算出するので、載置台61やX線検出器7における実際の公転軌道MS、MMの理想的な公転軌道に対するずれ量の算出精度を高めることができる。第1投影位置と第2投影位置とが再現性の無い誤差要因の影響を受けている場合であっても、算出したずれ量Δx、Δyに再現性の無い誤差要因の影響が加味され、補正の精度を向上させることができる。これにより、各観測位置で生成されるX線投影画像データに生じる誤差の影響を低減させ、高精度の再構成画像を生成することができる。
(2)補正部36は、載置台61とX線検出器7とが、算出部35が第1投影位置を算出する際の基準軸L1周りに回動するときに取得される被測定物Sの投影像となるように、補正処理を行う。したがって、載置台61を理想的な回転軌跡の位置に移動させることにより、各観測位置において種々の誤差要因による影響が低減された状態で被測定物SにX線を照射させることができる。これにより、各観測位置ごとに生成されるX線投影画像データ上での誤差の発生を抑制し、精度の高い再構成画像を生成できる。
(3)補正部36は、ずれ量Δx、Δyに基づいて載置台61を移動させて、載置台61とX線検出器7との相対的な位置関係を補正する。したがって、被測定物SのX線検出器7の検出面71への投影像の位置を、誤差の影響が低減された状態で投影されるべき位置に補正することができる。これにより、各観測位置で生成されるX線投影画像データでの誤差の発生を抑制することができる。
(4)補正部36は、ずれ量Δx、Δyに基づいて移動制御部32に載置台61をXY平面内で移動させる。したがって、載置台61の可動方向に沿って移動させることで、被測定物Sを透過するX線の位置のずれを補正することができる。
(5)補正部36は、X線検出器7の検出面71における第1投影位置と第2投影位置との差分をずれ量Δh、Δvとして算出する。したがって、検出面71における指標部材Mの投影像の位置に基づいてずれ量Δh、Δvを算出するので、載置台61やX線検出器7における実際の公転軌道MS、MMの理想的な公転軌道に対するずれ量の算出精度を高めることができる。
(6)補正部36は、X線検出器7の検出面71におけるVH座標系で表される第1投影位置と第2投影位置とのずれ量Δh、Δvを、載置台61の載置面におけるRT座標系でのずれ量に変換し、XY座標系におけるずれ量Δx、Δyを算出し、ずれ量Δx、Δyを用いて載置台61を移動させる。したがって、検出面71上で投影されるべき位置に基づいて載置台61を移動させるためのずれ量Δx、Δyを算出するので、ずれ量Δx、Δyを高い精度で算出できる。第1投影位置と第2投影位置とが再現性の無い誤差要因の影響を受けている場合であっても、算出したずれ量Δx、Δyに再現性の無い誤差要因の影響が加味され、補正の精度を向上させることができる。これにより、載置台61の移動後に生成されたX線投影画像データでの誤差の発生を抑制することができる。
(7)記憶部37は、載置台61に所定の距離ごとに設けられた複数の指標部材Mのそれぞれに対する位置を示す情報、すなわち距離rs、高さzsを、指標部材Sごとに記憶する。したがって、複数の被測定物Sを連続して測定するときに、複数の指標部材Mを載置台61に載置した状態のまま被測定物Sを連続して測定することができるので、観測動作に要する処理時間を短縮できる。
(8)補正部36は、記憶部37に記憶された位置を示す情報である距離rs、高さrzに基づいてずれ量Δh、Δvを算出する。したがって、各観測位置において、指標部材Mのずれ量Δh、Δvの算出を容易にし、ずれ量Δx、Δyの補正を行うことができる。
(9)載置台61に載置された被測定物Sの観測点SOは、回動に応じて被測定物Sの投影像を取得する際に、複数の異なる照射方向のそれぞれにおいて、X線検出器7の検出面71上に投影される位置が変化しない。これにより、X線検出器7の検出面71に投影される被測定物Sと指標部材Mとの投影像により、観測点SOと指標部材Mとの間の相対的な距離rs、相対的な高さzsを算出することができる。
(10)画像再構成部34は、補正部36により補正処理が行われた後、被測定物Sの投影像を用いて被測定物Sの画像を再構成する。したがって、ずれ量が補正された状態で取得された投影画像データに基づいて被測定物Sの再構成画像を生成することにより、高精度の画像を取得することができる。
(11)指標部材Mを透過するX線の経路と、被測定物Sを透過するX線の経路とは互いに異なる。したがって、指標部材Mの投影像と被測定物Sの投影像とが重複することを防ぎ、第1投影位置の算出精度を向上させることができる。
(12)位置の情報として載置台61での被測定物Sと指標部材Mとの間の距離rsおよび高さrzを用いる。これにより、指標部材Mの第1投影位置を容易に算出することができる。
−第2の実施の形態−
図面を参照して、第2の実施の形態について説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、第1投影位置と第2投影位置とのずれ量を、画像処理も用いて補正する点が第1の実施の形態と異なる。
補正部36は、第1の実施の形態の場合と同様にして、式(12)を用いて、HV座標系における第1投影位置と第2投影位置とのずれ量Δh、Δvを算出する。補正部36は、ずれ量Δh、Δvが所定の閾値未満の場合には、ずれ量Δh、Δvに基づいて、被測定物Sの投影画像を補正する。この場合、補正部36は、画像生成部33により生成されたX線投影画像データのうち被測定物Sの投影像に対して、ずれ量Δh、Δvを補正量として用いて投影位置を変位させる。具体的には、ずれ量Δh、Δvのシフト量として、画像データを構成する画素を全て平行移動させる。なお、所定の閾値は、画像処理により補正が可能なずれ量を表し、予め試験等を行って得られた値である。この所定の閾値は、予め所定の記憶媒体(不図示)に記憶されている。
補正部36は、ずれ量Δh、Δvが所定の閾値以上の場合には、第1の実施の形態の場合と同様にして、ずれ量Δh、Δvに基づいて載置台61を移動させる。ずれ量Δh、Δvが所定の閾値以上の場合には、画像処理ではずれによる影響を除去しきれないことが考えられるからである。また、このようにずれ量が大きい状態における被測定物Sの投影画像には多くの誤差が含まれていることが考えられ、このような投影画像データに対して画像処理を行っても有効な補正が期待できないためである。
なお、補正部36は、ずれ量Δh、Δvが所定の閾値以上の場合には、載置台61の移動によりずれ量の補正を行うものとしたが、載置台61の移動と投影画像データの補正とを共に行っても良い。この場合、補正部36は、ずれ量Δh、Δvが所定の閾値以下の所定値になるように載置台61を移動させる。この状態で画像生成部33により生成された投影画像データに対して、補正部36が画像処理を行って、ずれによる影響を補正する。
図18フローチャートを参照して、制御装置3が行う動作について説明する。図18に示す処理は制御装置3でプログラムを実行して行われる。このプログラムは、メモリ(不図示)に格納されており、制御装置3により起動され、実行される。
ステップS51(第1初期観測位置への移動)〜S60(ずれ量算出)までの各処理は、図17のフローチャートに示すステップS1(第1初期観測位置への移動)〜S10(ずれ量算出)までの各処理と同様である。
ステップS61では、補正部36は、算出したずれ量Δh、Δvが所定の閾値以上か否かを判定する。ずれ量Δh、Δvが所定の閾値以上の場合には、ステップS61が肯定判定されてステップS62へ進む。ずれ量Δh、Δvが所定の閾値未満の場合には、ステップS61が否定判定されてステップS68へ進む。ステップS68では、補正部36は、ステップS59で生成されたX線投影画像データに対して、ずれ量Δh、Δvを画像処理により補正してステップS69へ進む。ステップS69では、画像処理により補正されたX線投影画像データを記憶部37に記録してステップS65へ進む。
ステップS62(ずれ量Δh、ΔvをXY座標系のずれ量に換算)〜ステップS67(再構成画像)までの各処理は、図16のステップS11(ずれ量Δh、ΔvをXY座標系のずれ量に換算)〜ステップS16(再構成画像)までの各処理と同様である。
上述した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態により得られる作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
補正部36は、相対的な位置関係と回動に伴って取得された被測定物Sの投影像であるX線投影画像データとの少なくとも一方に補正処理を行う。すなわち、補正部36は、ずれ量Δh、Δvが閾値を超える場合に載置台61の位置に補正を行い、ずれ量Δh、Δvが閾値を超えない場合に被測定物Sの投影像に対してずれ量の補正を行う。したがって、X線投影画像データに対して補正可能なずれ量Δh、Δvを上回るほどの誤差の影響を受けている場合であっても、載置台61の位置を移動させて補正を行うことができる。したがって、ずれ量Δh、Δvの大きさによらず、高精度なX線投影画像データの生成および再構成画像の生成が可能になる。
−第3の実施の形態−
図面を参照して、実施の形態による構造物製造システムを説明する。本実施の形態の構造物製造システムは、たとえば回路基板を備える電子部品等の成型品を作成する。
図19は、本実施の形態による構造物製造システム400の構成の一例を示すブロック図である。構造物製造システム400は、第1〜第2の何れかの実施の形態または変形例にて説明したX線装置100と、設計装置410と、成形装置420と、制御システム430と、リペア装置440とを備える。
設計装置410は、構造物の形状に関する設計情報を作成する際にユーザが用いる装置であって、設計情報を作成して記憶する設計処理を行う。設計情報は、構造物の各位置の座標を示す情報である。設計情報は成形装置420および後述する制御システム430に出力される。成形装置420は設計装置410により作成された設計情報を用いて構造物を作成、成形する成形処理を行う。この場合、成形装置420は、3Dプリンター技術で代表される積層加工、鋳造加工、鍛造加工および切削加工のうち少なくとも1つを行うものについても本発明の一態様に含まれる。
X線装置100は、成形装置420により成形された構造物の形状を測定する測定処理を行う。X線装置100は、構造物を測定した測定結果である構造物の座標を示す情報(以後、形状情報と呼ぶ)を制御システム430に出力する。制御システム430は、座標記憶部431と、検査部432とを備える。座標記憶部431は、上述した設計装置410により作成された設計情報を記憶する。
検査部432は、成形装置420により成形された構造物が設計装置410により作成された設計情報に従って成形されたか否かを判定する。換言すると、検査部432は、成形された構造物が良品か否かを判定する。この場合、検査部432は、座標記憶部431に記憶された設計情報を読み出して、設計情報とX線装置100から入力した形状情報とを比較する検査処理を行う。検査部432は、検査処理としてたとえば設計情報が示す座標と対応する形状情報が示す座標とを比較し、検査処理の結果、設計情報の座標と形状情報の座標とが一致している場合には設計情報に従って成形された良品であると判定する。設計情報の座標と対応する形状情報の座標とが一致していない場合には、検査部432は、座標の差分が所定範囲内であるか否かを判定し、所定範囲内であれば修復可能な不良品と判定する。
修復可能な不良品と判定した場合には、検査部432は、不良部位と修復量とを示すリペア情報をリペア装置440へ出力する。不良部位は設計情報の座標と一致していない形状情報の座標であり、修復量は不良部位における設計情報の座標と形状情報の座標との差分である。リペア装置440は、入力したリペア情報に基づいて、構造物の不良部位を再加工するリペア処理を行う。リペア装置440は、リペア処理にて成形装置420が行う成形処理と同様の処理を再度行う。
図20に示すフローチャートを参照しながら、構造物製造システム400が行う処理について説明する。
ステップS111では、設計装置410はユーザによって構造物の設計を行う際に用いられ、設計処理により構造物の形状に関する設計情報を作成し記憶してステップS112へ進む。なお、設計装置410で作成された設計情報のみに限定されず、既に設計情報がある場合には、その設計情報を入力することで、設計情報を取得するものについても本発明の一態様に含まれる。ステップS112では、成形装置420は成形処理により、設計情報に基づいて構造物を作成、成形してステップS113へ進む。ステップS113においては、X線装置100は測定処理を行って、構造物の形状を計測し、形状情報を出力してステップS114へ進む。
ステップS114では、検査部432は、設計装置410により作成された設計情報とX線装置100により測定され、出力された形状情報とを比較する検査処理を行って、ステップS115へ進む。ステップS115では、検査処理の結果に基づいて、検査部432は成形装置420により成形された構造物が良品か否かを判定する。構造物が良品である場合、すなわち設計情報の座標と形状情報の座標とが一致する場合には、ステップS115が肯定判定されて処理を終了する。構造物が良品ではない場合、すなわち設計情報の座標と形状情報の座標とが一致しない場合や設計情報には無い座標が検出された場合には、ステップS115が否定判定されてステップS116へ進む。
ステップS116では、検査部432は構造物の不良部位が修復可能か否かを判定する。不良部位が修復可能ではない場合、すなわち不良部位における設計情報の座標と形状情報の座標との差分が所定範囲を超えている場合には、ステップ116が否定判定されて処理を終了する。不良部位が修復可能な場合、すなわち不良部位における設計情報の座標と形状情報の座標との差分が所定範囲内の場合には、ステップS116が肯定判定されてステップS117へ進む。この場合、検査部432はリペア装置440にリペア情報を出力する。ステップS117においては、リペア装置440は、入力したリペア情報に基づいて、構造物に対してリペア処理を行ってステップS113へ戻る。なお、上述したように、リペア装置440は、リペア処理にて成形装置420が行う成形処理と同様の処理を再度行う。
上述した第3の実施の形態による構造物製造システムによれば、以下の作用効果が得られる。
(1)構造物製造システム400のX線装置100は、設計装置410の設計処理に基づいて成形装置420により作成された構造物の形状情報を取得する測定処理を行い、制御システム430の検査部432は、測定処理にて取得された形状情報と設計処理にて作成された設計情報とを比較する検査処理を行う。従って、構造物の欠陥の検査や構造物の内部の情報を非破壊検査によって取得し、構造物が設計情報の通りに作成された良品であるか否かを判定できるので、構造物の品質管理に寄与する。
(2)リペア装置440は、検査処理の比較結果に基づいて、構造物に対して成形処理を再度行うリペア処理を行うようにした。従って、構造物の不良部分が修復可能な場合には、再度成形処理と同様の処理を構造物に対して施すことができるので、設計情報に近い高品質の構造物の製造に寄与する。
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の第1〜第3の実施形態のX線装置100と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
指標部材Mを載置台61上に載置するものに代えて、指標部材Mを載置台61に埋め込む構成としても良い。図21に載置台61の断面図を示す。図21(a)は、載置台61を形成する材料とは異なる材料、すなわち密度の異なる材料で製造された指標部材Mが、載置台61に埋め込まれた例を示す。この場合、載置台61を透過するX線と、指標部材Mを透過するX線とでX線の減衰量が異なるので、X線検出器7上で指標部材Mの投影像が検出される。
図21(b)は、載置台61の一部の厚みを他の部分と異ならせることにより指標部材Mを形成した例を示す。この場合、指標部材MをX線が透過する距離と載置台61の他の部分をX線が透過する距離とが異なるためにX線の減衰量が異なる。これにより、X線検出器7上で指標部材Mの投影像が検出される。なお、図21(b)に示す例では、載置台61の他の部分よりも薄くすることにより指標部材Mを形成したが、載置台61の他の部分よりも厚くすることにより指標部材Mを形成しても良い。また、図21(c)に示す例のように、載置台61の一部の領域を中空にすることにより指標部材Mを形成しても良い。また、載置台61の他の部分と厚みを異ならせるとともに、密度の異なる材料を用いて指標部材Mを形成しても良い。
指標部材Mを図20に示すように構成することにより、観測ごとに指標部材Mを載置台61上に載置する必要が無くなり、作業効率が向上する。さらに、載置台61の移動中に指標部材Mの位置がずれる虞が無く、ずれ量Δh、Δvの算出精度を向上し高画質の再構成画像の生成に寄与する。
(変形例2)
ずれ量Δh、Δvを補正するために、載置台61をX方向およびY方向に加えてZ方向に移動させても良い。載置台61がZ方向に移動することによって、X線源5の出射点Pから射出され被測定物Sを透過するX線の経路と基準軸Lとがなす角が傾動角θtdから変化する。これにより、X線検出器7の検出面71における被測定物Sの投影像の位置を変化させてずれ量Δh、Δvを補正することができる。この場合、投影倍率が小さい場合に載置台61を移動して補正を行うことにより、載置台61をZ方向へ移動させることに伴い投影倍率に大きな変化が生じることを抑制できる。
(変形例3)
載置台61を移動させることによりずれ量Δh、Δvを補正するものに限定されない。例えば、移動制御部32は、X線検出器7を移動させることにより、ずれ量Δh、Δvを補正しても良い。この場合、補正部36は、ずれ量Δh、Δvを基準軸Lに対するXY平面に平行な面でのずれ角と、Z軸方向でのずれ角とに換算する。移動制御部32は、このずれ角に従って、X線検出器7を移動させれば良い。
また、移動制御部32は、X線検出器7と載置台61とを移動させてずれ量Δh、Δvを補正しても良い。この場合、補正部36は上述したようにずれ量Δh、Δvをずれ角に換算する。移動制御部32は、換算された基準軸Lに対するXY平面に平行な面でのずれ角に従ってX線検出器7を移動させ、Z軸方向でのずれ角に従って載置台61をZ方向へ移動させれば良い。
(変形例4)
ラミノ駆動の際に載置台61が公転軌道MS上を移動するものに代えて、X線源5とX線検出器7とが公転軌道上を移動しても良い。この場合、X線装置100は、載置台61を移動させるためのX軸移動機構62とY軸移動機構63とに代えて、X線源5をXY平面上で移動させるための機構を有する。移動制御部32は、投影倍率に応じてZ軸移動機構64により載置台61をZ方向に移動させる。ずれ量Δh、Δvを補正する際には、移動制御部32が換算されたずれ量Δx、Δyを移動量としてX線源5を移動させれば良い。または変形例3のように、X線検出器7を移動させて補正を行っても良い。なお、Z軸移動機構64を有していない場合には、X線装置100はX線源5をXY平面に加えて、Z方向にも移動させるための機構を有するようにすれば良い。
(変形例5)
X軸移動機構62やY軸移動機構63が温度に起因する変形を抑制するための構造を有しても良い。図22(a)に載置台61とX軸移動機構62との斜視図を示す。X軸移動機構62は、基台620と、第1案内軸621と、第2案内軸622と、案内可動子623a、623b(総称する場合は、符号623を付与する)と、端部制限部材624a〜624d(総称する場合は、符号624を付与する)と、弾性部材625a〜625d(総称する場合は、符号625を付与する)と、補正部材626a、626b(総称する場合は、符号626を付与する)と、連結部材627と、基準ピン628とを有する。なお、図22では、図示の都合上、モータおよびリードスクリューを省略して示す。
基台620は中央部に開口OPを有する平板部材であり、X軸移動機構62に各構成部材を取り付けるための基板である。開口OPは、X線源5から射出されたX線が通過するために設けられる。第1案内軸621および第2案内軸622はX方向に沿って延在する。第1案内軸621は基台620のZ軸+側の面上におけるY軸+側端部の近傍に取り付けられ、第2案内軸622は基台620のZ軸+側の面上におけるY軸−側端部の近傍に取り付けられる。
なお、図22では、載置台61をX軸方向に移動させるためのモータおよびリードスクリューは図示を省略した。
第1案内軸621および第2案内軸622は、それぞれの中央部付近、すなわち第1案内軸621、第2案内軸622の全長のうちの一部の範囲にて基台620にネジで締結される。図22では、第1案内軸621および第2案内軸622がそれぞれ2本のネジにより基台620に締結された例を示している。第1案内軸621のX軸+側の端部は、端部制限部材624aと弾性部材625aとによりZ軸−方向、すなわち基台620に押し付けられ、X軸−側の端部は、端部制限部材624bと弾性部材625bとにより基台620に押し付けられる。第1案内軸621は、X軸+側および−側の端部近傍にて、それぞれ基準ピン628によりY軸方向+側と−側とから挟まれる。
第2案内軸622についても、第1案内軸621と同様に、X軸+側の端部は端部制限部材624cおよび弾性部材625cとにより、X軸−側の端部は端部制限部材624dおよび弾性部材625dとにより基台620に押し付けられる。第2案内軸622は、X軸+側および−側の端部近傍にて、それぞれ基準ピン628によりY軸方向+側と−側とから挟まれる。
端部制限部材624は、YZ平面に平行な面における断面が、第1案内軸621、第2案内軸622の断面形状に応じて、コの字(U字)形状となるように、中央部を切り欠いて形成される。端部制限部材624の切欠きは、Y軸方向については第1案内軸621、第2案内軸622をY軸方向+側と−側とから密着して挟むことができる大きさを有する。端部制限部材624の切欠きのZ軸方向の長さは、第1案内軸621、第2案内部軸622のZ軸方向の断面よりも大きい。すなわち、端部制限部材624を基台620にネジにより締結した場合、端部制限部材624と、第1案内軸621、第2案内軸622との間には、Y方向については空隙がなく、Z方向には空隙が生じる。これにより、第1案内軸621、第2案内軸622は、端部制限部材624と基準ピン628とによりY軸方向への位置ずれに対して制限を加える。
弾性部材625は、たとえば板バネ、コイルバネやゴムなどであり、端部制限部材624と、第1案内軸621、第2案内軸622との間のZ方向の空隙に挟み込まれる。上述したように、弾性部材625は端部制限部材624と第1案内軸621、第2案内軸622との間のZ方向の空隙に設けられることにより、第1案内軸621、第2案内軸622は、端部制限部材624と弾性部材625とによりZ軸−方向への力を受け、基台620に密着する。
第1案内軸621、第2案内軸622と、基台620とは通常、異なる材料により構成される。たとえば、第1案内軸621、第2案内軸622はステンレス鋼により構成され、基台620はアルミニウム合金で構成される。X軸移動機構62の周辺の温度が変化した場合、ステンレス鋼とアルミニウム合金との熱膨張係数の違いにより、両者の長さに差が生ずる。しかし、上記の通り、第1案内軸621、第2案内軸622のそれぞれの端部は、弾性部材を介して基台620に押し付けられているものの、ネジにより基台620に締結されてはいない。従って、温度による第1案内軸621、第2案内軸622の長さの変化により、基台620が変形することを抑制できる。また上記の通り、第1案内軸621、第2案内軸622は、それぞれ中央部付近でのみ基台620にネジで締結されている。従って、温度変化により基台620に働く曲げモーメントを小さな値に抑制することができる。
また、基台620のZ軸−側の平面には、第1案内軸621および第2案内軸622の基台620へのネジ締結領域に対向する領域に補正部材626a、626bがネジにて締結される。補正部材626は、第1案内軸621および第2案内軸622と同様の熱膨張係数を有する材料により構成されている。これにより、上記の基台620に対する曲げモーメントを相殺することができる。
案内可動子623は、ボールベアリングを介して第1案内軸621、第2案内軸622に移動可能に配置される。案内可動子623aの上部には、載置台61のY軸+側の取付部612がネジにより締結される。案内可動子623bの上部には連結部材627がネジにより締結される。連結部材627の上部627aは、載置台61のY軸−側の取付部613にネジで締結された板バネ614に形成された切欠き部に係合する。
載置台61に取り付けられたナットに係合するリードスクリューを基台620に取り付けられたモータにより回転させることで、載置台61は、第1案内軸621、第2案内軸622に案内されてX軸方向に移動する。なお、上記のナット、リードスクリュー、モータは図示を省略する。
図22(b)は連結部材627の断面図を示す。連結部材627は、上部(Z軸+側)、すなわち載置台61と連結する側に凸部627aを有する。凸部627aは、軸部627bと、軸部627bの上部(Z軸+側)に設けられ軸部627bよりも径が大きい頭部627cとを有する。凸部627aは、載置台61の取付部613に設けられた穴613aを通して、取付部613の上部に突出する。板バネ614は、凸部627aが突出する位置に対応する位置にU字形の切欠き部614aを有する。切欠き部614aの長軸はY軸方向に沿って伸び、X方向の長さは軸部627aの径よりも大きく頭部627cよりも小さい。すなわち、板バネ614が取付部613に締結された際には、板バネ614の切欠き部614aの上部(Z軸+側)に凸部627aの頭部627cが突出する。すなわち、載置台61は案内可動子623aには固定されずに支持されている。
上記の構成を有することにより、載置台61は、Z軸−側への力を受けつつ、板バネ614が有する切欠き部614aの形状によりY軸方向への移動の自由度を有する。たとえば、第2案内軸622がZ方向の位置が第1案内軸621よりも高い場合を想定する。このとき、板バネ614と頭部627cとにZ軸−方向に力を受けている載置台61は、連結部627から見ると、切欠き部614aの形状に沿ってY軸方向に沿って移動する。これにより、たとえば温度変化の影響により、第1案内軸621と第2案内軸622とのZ軸方向における位置が変化した場合であっても、載置台61に変形が生じることを防ぐことができる。
X軸移動機構62が以上で説明した構成を有することにより、温度変化に起因した載置台61がX軸方向へ移動する際の誤差の発生を抑制することができる。X線を照射して被測定物Sを観測、測定する際には、載置台61付近は高熱に曝されることになるが、X軸移動機構62の温度変化による変形が抑制されるので、載置台61のX軸方向への移動精度の低下を抑制することができる。さらに、Y軸移動機構63も同様の構成を有することにより、温度変化に伴う載置台61のY軸方向へ移動精度の低下を抑制できる。これにより、載置台61の移動精度の低下を抑制し、さらに、補正部36によりずれ量の補正を行うので、被測定物Sの観測精度を向上させ、高画質の再構成画像を生成することができる。
(変形例6)
補正部36は、式(12)を用いて算出されるHV座標系でのずれ量Δh、Δvを多次多項式で表すようにしても良い。この場合、多次多項式の係数を記憶部37に記憶すれば良い。これにより、ずれ量を容量の小さなデータとして記憶することができる。なお、耐次多項式の係数は、記憶部37とは異なる記憶媒体に記憶されても良い。
(変形例7)
載置台61やX線検出器7を基準軸Lの回りに回動させるものに限定されない。すなわち、X線装置100は、載置台61やX線検出器7を公転軌道MSやMMに沿って移動させるものではなく、公転軌道MSやMM上の複数の異なる所定位置に移動させ、異なる所定位置ごとにX線投影画像データを生成してもよい。この場合であっても、X線装置100は、異なる複数の方向から被測定物SのX線投影画像データを取得できるので、取得したX線投影画像データに基づいて再構成画像を生成できる。
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
3…制御装置、5…X線源、6…載置部、7…X線検出器、
31…X線制御部、32…移動制御部、33…画像生成部、
34…画像再構成部、35…算出部、36…補正部、37…記憶部、
61…載置台、62…X軸移動機構、63…Y軸移動機構、64…Z軸移動機構、
100…X線装置、400…構造物製造システム、410…設計装置、
420…成形装置、430…制御システム、432…検査部、440…リペア装置

Claims (32)

  1. 指標部材が設けられ、被測定物を載置する載置台と、
    前記被測定物および前記指標部材にX線を照射するX線源と、
    照射されたX線による前記被測定物の投影像および前記指標部材の投影像を検出するX線検出器と、
    前記載置台と、前記X線源と、前記X線検出器との少なくとも2つの部材を、所定の軸周りに回動させることで、前記被測定物に対して複数の異なる照射方向からX線を照射して、それぞれの照射方向毎に前記被測定物の投影像と前記指標部材の投影像とを取得する取得部と、
    前記X線検出器で検出された前記指標部材の投影像が、前記X線検出器で検出される領域のうち前記被測定物の観測領域の投影像と異なる位置で、前記X線検出器により検出されたときの投影像の所定の点の位置に基づき、補正処理を行う補正部と、を備え、前記補正処理は、前記載置台と前記X線検出器との相対位置を補正するための補正情報を求めることを含むX線装置。
  2. 請求項1に記載のX線装置において、
    さらに、前記取得部で取得された、それぞれの照射方向毎の前記被測定物の投影像に基づき、再構成像を出力する再構成部を有し、
    前記再構成部による再構成処理を行う前に、前記補正部により補正処理を行うX線装置。
  3. 請求項1に記載のX線装置において、
    検査結果を出力する検査処理部を有し、
    前記補正部は、前記検査処理部で検査処理を行う前に、前記補正部により補正処理を行うX線装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載のX線装置において、
    前記補正部は、前記X線検出器で検出された前記指標部材の投影像が、前記X線検出器で検出される領域のうち前記被測定物の観測領域の投影像と異なる位置で、前記X線検出器により検出されたときの前記指標部材の投影像の所定の点の位置に基づいて、前記載置台を移動させることで補正処理をするX線装置。
  5. 請求項1乃至3の何れか一項に記載のX線装置において、
    前記補正部は、前記X線検出器で検出された前記指標部材の投影像が、前記X線検出器で検出されたる領域のうち前記被測定物の観測領域の投影像と異なる位置で、前記X線検出器により検出されたときの前記指標部材の投影像の所定の点の位置に基づいて、前記X線検出器により検出された前記被測定物の投影像の位置を移動させることで補正処理をするX線装置。
  6. 請求項1乃至5の何れか一項に記載のX線装置において、
    前記投影像の所定の点の位置は、前記指標部材の中心の位置に対応するX線装置。
  7. 請求項6に記載のX線装置において、
    前記指標部材は球であるX線装置。
  8. 指標部材が設けられ、被測定物を載置する載置台と、
    前記被測定物および前記指標部材にX線を照射するX線源と、
    照射されたX線による前記被測定物の投影像および前記指標部材の投影像を検出するX線検出器と、
    前記載置台と、前記X線源と、前記X線検出器との少なくとも2つの部材を、所定の軸周りに回動させ、前記回動に伴って前記被測定物に対して複数の異なる照射方向からX線を照射して、前記被測定物の投影像と前記指標部材の投影像とを取得する取得部と、
    前記指標部材の載置台における位置情報と前記X線検出器と前記X線源との間の相対的な位置関係に基づいて、前記異なる照射方向に対応する、前記少なくとも2つの部材が所定の軸周りに回動したときのそれぞれの位置での前記指標部材の所定位置に対応する投影像を第1投影位置として算出する算出部と、
    前記複数の異なる照射方向のそれぞれにおける前記算出された前記第1投影位置と、前記回動に伴って取得された前記指標部材の所定位置に対応する投影像の、前記X線検出器の検出面に対する第2投影位置とのずれ量に基づいて補正処理を行う補正部と、を備え、前記補正処理は、前記載置台と前記X線検出器との相対位置を補正する補正情報を求めることを含むX線装置。
  9. 請求項8に記載のX線装置において、
    前記投影像の所定位置は、前記指標部材の中心であるX線装置。
  10. 請求項8または9に記載のX線装置において、
    前記指標部材は球であるX線装置。
  11. 請求項8乃至10の何れか一項に記載のX線装置において、
    前記補正部は、前記少なくとも2つの部材が、前記算出部が前記第1投影位置を算出する際の前記所定の軸周りに回動するときに取得される前記被測定物の投影像となるように、前記補正処理を行うX線装置。
  12. 請求項11に記載のX線装置において、
    前記補正部は、前記補正情報に基づいて、前記載置台と前記X線検出器との少なくとも一方を移動させて前記相対的な位置関係を補正するX線装置。
  13. 請求項12に記載のX線装置において、
    前記所定の軸と交差する面内に前記載置台を移動させる移動部を有し、
    前記補正部は、前記補正情報に基づいて前記移動部に前記載置台を移動させるX線装置。
  14. 請求項13に記載のX線装置において、
    前記移動部は、前記載置台を前記所定の軸に沿う方向にさらに移動させ、
    前記補正部は、前記補正情報に基づいて、前記移動部に前記載置台を移動させるX線装置。
  15. 請求項13または14に記載のX線装置において、
    前記移動部は、前記載置台を前記所定の軸と交差する面内で所定の位置に移動させるX線装置。
  16. 請求項8乃至15の何れか一項に記載のX線装置において、
    前記補正部は、前記X線検出器の検出面における前記第1投影位置と前記第2投影位置との差分を前記ずれ量として算出するX線装置。
  17. 請求項13乃至15の何れか一項に記載のX線装置において、
    前記補正部は、前記X線検出器の検出面における第1直交座標系で表される前記第1投影位置と前記第2投影位置との前記ずれ量を、前記載置台の載置面における第2直交座標系に変換して変換ずれ量を算出し、前記変換ずれ量を用いて前記載置台を移動させるX線装置。
  18. 請求項12乃至17のいずれか一項に記載のX線装置において、
    前記補正部は、前記回動に伴って取得された前記被測定物の投影像に補正処理を行うX線装置。
  19. 請求項18に記載のX線装置において、
    前記補正部は、前記ずれ量が所定の大きさを超える場合に、前記載置台と前記X線検出器との少なくとも一方に補正を行い、前記ずれ量が前記所定の大きさを超えない場合に前記被測定物の投影像に対して前記ずれ量の補正を行うX線装置。
  20. 請求項8乃至19の何れか一項に記載のX線装置において、
    前記載置台に所定の距離ごとに設けられた複数の前記指標部材のそれぞれに対する前記位置情報を、前記指標部材ごとに記憶する記憶部をさらに備えるX線装置。
  21. 請求項20に記載のX線装置において、
    前記補正部は、前記記憶部に記憶された前記位置情報に基づいて前記ずれ量を算出するX線装置。
  22. 請求項17に記載のX線装置において、
    前記第1直交座標系での前記第1投影位置と前記第2投影位置との前記ずれ量を多次多項式で表したときの係数を記憶する記憶部をさらに備えるX線装置。
  23. 請求項8乃至22の何れか一項に記載のX線装置において、
    前記載置台に載置された前記被測定物の基準位置は、前記回動に応じて前記被測定物の投影像を取得する際に、前記複数の異なる照射方向のそれぞれにおいて、前記X線検出器の検出面上に投影される位置が変化しないX線装置。
  24. 請求項8乃至22の何れか一項に記載のX線装置において、
    前記補正部により前記補正処理が行われた後、前記被測定物の投影像を用いて前記被測定物の画像を再構成する処理部をさらに備えるX線装置。
  25. 請求項8乃至24の何れか一項に記載のX線装置において、
    前記指標部材は、前記載置台のうち厚さまたは密度の異なる一部の領域として設けられるX線装置。
  26. 請求項8乃至25の何れか一項に記載のX線装置において、
    前記指標部材を透過するX線の経路と、前記被測定物を透過するX線の経路とは互いに異なるX線装置。
  27. 請求項8乃至26の何れか一項に記載のX線装置において、
    前記位置情報は、前記載置台での前記被測定物と前記指標部材との間の相対距離および相対高さであるX線装置。
  28. 指標部材が設けられ、被測定物を載置する載置台と、
    前記被測定物および前記指標部材にX線を照射するX線源と、
    照射されたX線による前記被測定物の投影像および前記指標部材の投影像を検出するX線検出器と、
    前記載置台と、前記X線源と、前記X線検出器との少なくとも2つの部材を、所定の位置に移動させ、前記移動に伴って前記被測定物に対して複数の異なる照射方向からX線を照射して、前記被測定物の投影像と前記指標部材の投影像とを取得する取得部と、
    前記指標部材の載置台における位置情報と前記X線検出器と前記X線源との間の相対的な位置関係に基づいて、前記異なる照射方向に対応する、前記少なくとも2つの部材が所定の位置に移動したときのそれぞれの位置での前記指標部材の所定位置に対応する投影像を第1投影位置として算出する算出部と、
    前記複数の異なる照射方向のそれぞれにおける前記算出された前記第1投影位置と、前記所定の位置ごとに取得された前記指標部材の所定位置に対応する投影像の、前記X線検出器の検出面に対する第2投影位置とのずれ量に基づいて補正処理を行う補正部と、を備え、前記補正処理は、前記載置台と前記X線検出器との相対位置を補正するための補正情報を求めることを含むX線装置。
  29. 指標部材が設けられた載置台に被測定物を載置し、
    X線源から前記被測定物および前記指標部材にX線を照射し、
    照射されたX線による前記被測定物の投影像および前記指標部材の投影像を検出し、
    前記載置台と、前記X線源と、X線検出器との少なくとも2つの部材を、所定の軸周りに回動させ、前記回動に伴って前記被測定物に対して複数の異なる照射方向からX線を照射して、前記被測定物の投影像と前記指標部材の投影像とを取得し、
    前記指標部材の載置台における位置情報と前記X線検出器と前記X線源との間の相対的な位置関係に基づいて、前記異なる照射方向に対応する、前記少なくとも2つの部材が所定の軸周りに回動したときのそれぞれの位置での前記指標部材の所定位置に対応する投影像を第1投影位置として算出し、
    前記複数の異なる照射方向のそれぞれにおける前記算出された前記第1投影位置と、前記回動に伴って取得された前記指標部材の所定位置に対応する投影像の、前記X線検出器の検出面に対する第2投影位置とのずれ量に基づいて補正処理を行い、前記補正処理は、前記載置台と前記X線検出器との相対位置を補正するための補正情報を求めることを含むX線計測方法。
  30. 構造物の形状に関する設計情報を作成し、
    前記設計情報に基づいて前記構造物を作成し、
    作成された前記構造物の形状を、請求項8乃至27の何れか一項に記載のX線装置を用いて計測して形状情報を取得し、
    前記取得された前記形状情報と前記設計情報とを比較する構造物の製造方法。
  31. 請求項30に記載の構造物の製造方法において、
    前記形状情報と前記設計情報との比較結果に基づいて実行され、前記構造物の再加工を行う構造物の製造方法。
  32. 請求項31に記載の構造物の製造方法において、
    前記構造物の再加工は、前記設計情報に基づいて前記構造物の作成を再度行う構造物の製造方法。
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