JP6693134B2 - リンカー配列を有する抗体及びそれを用いた測定法 - Google Patents
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Description
(1)ウサギ抗体のH鎖とL鎖が配列番号1に記載のペプチドリンカーを介して結合していることを特徴とする抗体。
(2)抗体がハプテンに対する抗体である、(1)に記載の抗体。
(3)ハプテンが甲状腺ホルモン又はステロイドホルモンである、(2)に記載の抗体。
(4)ハプテンがトリヨードサイロニン又はエストラジオールである、(2)又は(3)に記載の抗体。
(5)抗体が一本鎖抗体である、(1)〜(4)いずれかに記載の抗体。
(6)試料中の抗原と、標識化した抗原とを、(1)〜(5)いずれかに記載の抗体と競合的に反応させ、抗体に結合した又はしなかった標識化抗原を検出することを特徴とする、抗原の競合的測定法。
本発明の抗体は、ウサギ抗体のH鎖とL鎖が配列番号1に記載のペプチドリンカーを介して結合しているものである。ここで、ウサギ抗体のH鎖とL鎖は、H鎖C末端からペプチドリンカーを介してL鎖N末端に結合していてもよく、またL鎖C末端からペプチドリンカーを介してH鎖N末端に結合していてもよい。
本発明の抗体の作製は、ウサギ抗体のH鎖とL鎖とを配列番号1に記載のペプチドリンカーを介して化学的に結合させてもよく、また遺伝子工学的な手法を用いて結合させてもよく、特に限定されない。遺伝子工学的には、例えば、抗体生産細胞から目的とする抗体の遺伝子を抽出し、配列番号1に記載のペプチドリンカーを発現しうる遺伝子と共に、抗体のL鎖とH鎖とがペプチドリンカーを介して発現するように、発現ベクターへ組み込んだ後、発現細胞へ遺伝子導入を行うことで、目的の組換え抗体を作製することができる。
げられる。特に本発明ではCHO−K1細胞を用いることが好ましい。
本発明の抗体評価方法は、ELISA法、RIA法、蛍光偏光法等の検出方法を適宜採用することができる。例えば、本発明の抗体を固相に固定化して、抗原とアルカリホスファターゼ(ALP)等で標識した抗原を同時に反応させる、競合型の測定方法を用いて、抗体性能を評価することができる。また実施例で使用したAIA600II(東ソー社製)などのエンザイムイムノアッセイ装置を用いて抗体評価を行うこともできる。
(1) 組換え抗体の作製
組換え抗体の作製はトリヨードサイロニン結合牛血清アルブミン(T3−BSA)を免
疫したウサギ脾臓細胞を用いて、特許文献1に記載の方法で行った。
(1)で得たH鎖、L鎖のウサギモノクローナル抗体遺伝子を鋳型にして非特許文献2
に記載の遺伝子組み換え手法を用いて、配列番号1のリンカー配列を持つ抗T3ウサギ一
本鎖抗体を得た。
一本鎖抗体の精製はTOYOPEARL AF−rProtein A−650(東ソ
ー製)及び、TSKgel G3000SW(東ソー製)を用いて行った。
(3)の方法で精製した一本鎖抗体は、ペプシン消化による抗体断片化を行った後、2
−メルカプトエチルアミンにより還元し、一本鎖Fab’化抗体を得た。この一本鎖Fa
b’化抗体とフルオレセイン−5−マレイミド(東京化成工業)を反応させることで、フ
ルオレセイン標識一本鎖Fab’化抗体を得た。標識抗体の精製はTSKgel G30
00SW(東ソー製)を用いて行った。
(1)〜(4)の方法で得た、リンカー配列が配列番号1のフルオレセイン標識抗T3
一本鎖Fab’化抗体を、AIA600IIを用いて以下の方法で検量線を作成し評価し
た。
(5−1)水不溶性担体に抗フルオレセイン抗体を物理的に吸着させ固定化した。
(5−2)濃度既知のT3溶液とALP標識したT3溶液を抗フルオレセイン抗体固定化
担体と共に、容器中に分注した。
(5−3)(4)で得た、フルオレセイン標識抗T3一本鎖Fab’化抗体溶液を上述の
容器中に加え反応させた。
(5−4)未反応のALP標識T3をB/F分離後、4−MUPを分注し、継時的に蛍光
強度を測定することで、4−MUの生成速度を検出した。
実施例1の(1)、(4)、(5)の方法に従い、リンカー無しのフルオレッセイン標識抗T3一本鎖Fab’化抗体を作製し、AIA600IIを用いて、検量線を作成した。
実施例1の(1)〜(5)の方法に従い、リンカー配列が配列番号2のフルオレッセイン標識抗T3一本鎖Fab’化抗体を作製し、AIA600IIを用いて、検量線を作成した。
比較例1及び比較例2で得た、リンカー無しのFab’及びリンカー配列2のFab’の実検体測定時の相関性を図2に示す。
いた検体濃度測定
検体A及び、検体Aと同程度のT3濃度の検体(検体B)を、AIA600IIを用い
てリンカー無しFab’、リンカー配列1のFab’、リンカー配列2のFab’でそれ
ぞれ測定した。またその時の4−MUの生成速度の測定値(nmol/(L・s))の比
をとった結果を表1に示す。
は1に近くなると考えられる。リンカー無しFab’、リンカー配列1のFab’では、1に近い値を示したが、リンカー配列2のFab’では0.76と小さな値を示した。以上の結果から、検体A測定時に、リンカー配列2は抗原抗体反応の特異性に影響を与えるが、リンカー配列1は特異性にほとんど影響を与えないことが示唆された。
リンカー無しのFab’及びリンカー配列1のFab’の実検体測定時の相関性を図3に示す。グラフ横軸には、リンカー無しのFab’化抗体で検体中のT3濃度を測定したときの値を、縦軸にはリンカー配列1のFab’化抗体で同一検体中のT3濃度を測定したときの値をプロットした。結果から、リンカー配列1のFab’抗体を用いて検体中T3濃度を測定した値は、リンカー無しのFab’抗体を用いて濃度測定を行なった値と、いずれの検体においても、同等であり、リンカー配列1が抗原抗体反応の特異性にほとんど影響を与えていないことが示された。
(1) 組換え抗体の作製
組換え抗体の作製はエストラジオール結合牛血清アルブミン(E2−BSA)を免
疫したウサギ脾臓細胞を用いて、特許文献1に記載の方法で行った。
(2) 一本鎖抗体の作製
(1)で得たH鎖、L鎖のウサギモノクローナル抗体遺伝子を鋳型にして非特許文献2
に記載の遺伝子組み換え手法を用いて、配列番号1のリンカー配列を持つ抗E2ウサギ一
本鎖抗体を得た。
(3) 一本鎖抗体の精製
一本鎖抗体の精製はTOYOPEARL AF−rProtein A−650(東ソ
ー製)及び、TSKgel G3000SW(東ソー製)を用いて行った。
(4) AIA試薬形態での抗体性能の評価
(1)〜(3)の方法で得た、リンカー配列が配列番号1の抗E2抗体を、AIA600IIを用いて以下の方法で検量線を作成し評価した。
(4−1)水不溶性担体に抗ウサギ抗体を物理的に吸着させ固定化した。
(4−2)濃度既知のE2溶液とALP標識したE2溶液を抗ウサギ抗体固定化担体と共に、容器中に分注した。
(4−3)(3)で得た、抗E2抗体溶液を上述の容器中に加え反応させた。
(4−4)未反応のALP標識E2をB/F分離後、4−MUPを分注し、継時的に蛍光
強度を測定することで、4−MUの生成速度を検出した。
実施例4の(1)、(4)の方法に従い、リンカー無しの抗E2抗体を作製し、AIA600IIを用いて、検量線を作成した。
実施例5 検体測定時の相関性(抗E2抗体)
リンカー無しの抗E2抗体及びリンカー配列1の抗E2抗体の実検体測定時の相関性を図5に示す。グラフ横軸には、リンカー無しの抗E2抗体で検体中のE2濃度を測定したときの値を、縦軸にはリンカー配列1の抗E2抗体で同一検体中のE2濃度を測定したときの値をプロットした。結果から、リンカー配列1の抗E2抗体を用いて検体中E2濃度を測定した値は、リンカー無しの抗E2抗体を用いて濃度測定を行なった値と、いずれの検体においても、同等であり、リンカー配列1が抗原抗体反応の特異性にほとんど影響を与えていないことが示された。
Claims (6)
- ウサギ抗体のH鎖とL鎖が配列番号1に記載のペプチドリンカーを介して結合していることを特徴とする抗体。
- 抗体がハプテンに対する抗体である、請求項1に記載の抗体。
- ハプテンが甲状腺ホルモン又はステロイドホルモンである、請求項2に記載の抗体。
- ハプテンがトリヨードサイロニン又はエストラジオールである、請求項2又は3に記載の抗体。
- 抗体が一本鎖抗体である、請求項1〜4いずれかに記載の抗体。
- 試料中の抗原と、標識化した抗原とを、請求項1〜5いずれかに記載の抗体と競合的に反応させ、抗体に結合した又はしなかった標識化抗原を検出することを特徴とする、抗原の競合的測定法。
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JP2015018409 | 2015-02-02 |
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