JP6692991B2 - 輻射冷暖房型建築物 - Google Patents

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Description

本発明は、室内を構成する壁面等からの輻射熱を制御することで人体の熱収支を最適化し暖房、冷房効果を得られるようにした輻射冷暖房型建築物に関する。
近年、電気、ガス、石油等のエネルギーコストの高騰を受けて、省エネルギーを謳う住宅建築が普及してきている。これらは、寒暖の差の大きい外気から室内気温を維持するため断熱材の性能向上や気密性向上の各種工法の出現によって、その目的は一定までは達せられつつある。このような省エネルギー住宅として、下記の先行する特許文献がある。ここでは、セントラル温調に用いられているエアコンに代えて、放熱ヒータを用い、冬季に放熱ヒータで床下の空間部を温風を用いることなく加温することで空気を温め、これを各室内に循環させるというものである。この技術ではエアコンを用いないために合計の循環空気量を少なくできるためにエネルギー的な損失を少なくできるとしている。エネルギーの損失が少なくなるように遮熱・断熱のための三層構造に形成された側壁内において、外壁層と中壁層との間に外気空気通路を設ける。外気がこの通路内を上昇し屋根裏から屋外に排出される。また、中壁層と内壁との間にも加温された空気の通路を設ける。放熱ヒータで加温された屋内を循環する循環空気が通過する循環通路を設け、この循環通路を通じて循環空気を室内に導き、導いた空気により室内を温めて、循環空気の温度が外壁に接する空気によって下がりづらくし、室内に導かれる循環空気の循環中の熱損失を防いでいる。一方、夏季においては前述の遮熱・断熱構造により、夜間の涼しい外気によって冷やされた室内温度は長時間適温状態に維持できることから、冷房機不要の省エネルギーを図ることができる、としている。
特許第5775234号
上記先行技術文献は、省エネルギー住宅の提案であり、側壁面の遮熱・断熱効果を利用した省エネルギー住宅の建築手法として、冬季の放熱ヒータの熱損失を防ぎ、夏季の冷房効果に一定の成果を挙げているものと評価できるが、一般的なセントラルヒーティングをエアコンを用いない代わりに各室内へ温調空気を導くための循環通路通過中の熱損失を遮熱・断熱によって低減させたにすぎず、室内を加温する仕組みはエアコンを用いない代わりに強い風を発生しない放熱ヒータに代えただけであって従来の技術の延長上にあるものである。
本発明は、室内を構成するすべての内壁面と床面と天井面とを加熱又は冷却し、それらの略全面から発生する輻射熱を制御することで、室内の人における人体の熱収支を最適化して暖房、冷房効果を得られるようにしたものである。略全面とは、面の50%以上95%以下程度である。50%未満だと十分な作用を得られず、95%以上とするのは建築技術上困難だからである。さらに好ましくは、面の70%以上95%以下程度が好ましい。
すなわち、部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを温度制御し、室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能な第一の輻射冷暖房型建築物を提供する。
さらに、部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを温度制御する温度制御ステップを有し、室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
さらに、部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを温度制御する温度制御ステップをコンピュータ読み取り実行可能に記述したコンピュータプログラムを提供する。
また、さらに、上記第一の輻射冷暖房型建築物を基本として、前記内壁面は、建築物内で隣接する部屋を仕切る仕切壁を含む第二の輻射冷暖房型建築物も提供する。またこのような構成を利用して室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
また、上記第一又は第二の輻射冷暖房型建築物を基本として、部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面との温度制御は、一又は二以上の冷暖房装置で行われる第三の輻射冷暖房型建築物も提供する。またこのような構成を利用して室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
また、上記第一から第三の輻射冷暖房型建築物を基本として、前記温度制御は、温調空気によってなされる第四の輻射冷暖房型建築物も提供する。またこのような構成を利用して室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
また、上記第三をベースとする第四の輻射冷暖房型建築物を基本として、建築物のすべての部屋の床面よりも下側に設けられた前記一又は二以上の冷暖房装置から排出される輻射熱量制御のための前記温調空気の排出空間である温調空気排出空間をさらに有する第五の輻射冷暖房型建築物も提供する。またこのような構成を利用して室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
また、上記第四又は第五の輻射冷暖房型建築物を基本として、前記部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを室内温度よりも低温に冷却する際の温調空気を前記建築物のすべての部屋の上側に供給する冷気供給機構をさらに有する第六の輻射冷暖房型建築物も提供する。またこのような構成を利用して室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
また、上記第五又は第五をベースとする第六の輻射冷暖房型建築物を基本として、前記部屋を構成するすべての内壁面のうち、建築物の外壁面の内側を構成する内壁面には、外側にさらに配される断熱材と、断熱材と内壁面との間に前記排出空間と空間的に連結された温調空気を行き渡らせる内壁面温調空気配置空間とをさらに有する第七の輻射冷暖房型建築物も提供する。またこのような構成を利用して室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
また、上記第五又は第五をベースとする第六又は第五をベースとする第七の輻射冷暖房型建築物を基本として、前記部屋を構成するすべての天井面のうち、建築物の屋根の内側を構成する天井面には、屋根側にさらに配される断熱材と、断熱材と天井面との間に前記排出空間と空間的に連結された温調空気を行き渡らせる屋根温調空気配置空間とをさらに有する第八の輻射冷暖房型建築物も提供する。またこのような構成を利用して室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
また、上記第七又は第八の輻射冷暖房型建築物を基本として、前記温調空気配置空間は、内外壁面の部材継ぎ目がコーキング処理されている第九の輻射冷暖房型建築物も提供する。またこのような構成を利用して室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
また、上記第一から第九の輻射冷暖房型建築物を基本として、さらにプラスティック製のサッシを利用した建具を備えた第十の輻射冷暖房型建築物も提供する。またこのような構成を利用して室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
また、上記第五又は第五をベースとする第六から第十の輻射冷暖房型建築物を基本として、前記温調空気排出空間には、さらに前記温調空気の湿度を調整するための湿度調整装置をさらに有する第十一の輻射冷暖房型建築物も提供する。またこのような構成を利用して室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
また、上記第十一の輻射冷暖房型建築物を基本として、前記湿度調整装置は、前記一又は二以上の冷暖房装置と一体である第十二の輻射冷暖房型建築物も提供する。またこのような構成を利用して室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
また、上記第一から第十二の輻射冷暖房型建築物を基本として、部屋を構成する壁面と、床面と、天井面のいずれか一以上の面に蓄熱部材が配置されている第十三の輻射冷暖房型建築物も提供する。またこのような構成を利用して室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
また、上記第四又は第四をベースとする第五から第十三の輻射冷暖房型建築物を基本として、前記温調空気と接する領域に調湿部材が配置されている第十四の輻射冷暖房型建築物も提供する。またこのような構成を利用して室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
また、上記第四又は第四をベースとする第五から第十四の輻射冷暖房型建築物を基本として、温調空気を室内に導入する温調空気導入部をさらに有する第十五の輻射冷暖房型建築物も提供する。またこのような構成を利用して室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
また、上記第一から第十五の輻射冷暖房型建築物を基本として、室内の気圧を調整する気圧調整装置をさらに有する第十六の輻射冷暖房型建築物も提供する。またこのような構成を利用して室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
また、上記第三をベースとする第四の輻射冷暖房型建築物を基本として、建築物の床面、壁面、天井面のいずれか一以上に隣接して設ける前記一又は二以上の冷暖房装置から排出される輻射熱量制御のための前記温調空気の排出空間である隣接温調空気排出空間をさらに有する第十七の輻射冷暖房型建築物も提供する。またこのような構成を利用して室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
また、上記第十七の輻射冷暖房型建築物を基本として、前記冷暖房装置は冷房装置と暖房装置に分けて設けられており、冷房装置は、天井面に隣接した温調空気の排出空間である隣接冷房温調空気排出空間に設けられ、暖房装置は、床面に隣接した床下の前記温調空気の排出空間である隣接床下温調空気排出空間に設けられる第十八の輻射冷暖房型建築物も提供する。またこのような構成を利用して室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする方法を提供する。
以上のような構成をとる本発明によって、室内を構成する壁面等からの輻射熱を制御することで人体の熱収支を最適化して、暖房、冷房効果を得られることができる。このため、省エネルギーで、居住者等に快適な体感温度を与えることが可能となる。
本件発明における輻射冷暖房型建築物と、建築物の外壁の内部にある部屋と、その部屋を構成する内壁面と床面と天井面と、を表す概念図。 実施形態1の輻射冷暖房型建築物の加熱機構及び冷却機構を説明する概念図。 実施形態1の輻射冷暖房型建築物において、加熱された内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量の増大によって室内の人を温めることを説明するための立断面図。 実施形態1の輻射冷暖房型建築物において、冷却された内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量の減少によって室内の人を冷やすことを説明するための立断面図。 実施形態2の輻射冷暖房型建築物において、前記内壁面は、建築物内で隣接する部屋を仕切る仕切壁を含むことを説明するための俯瞰図。 実施形態2の輻射冷暖房型建築物において、前記内壁面は、建築物内で隣接する部屋を仕切る仕切壁を含むことを説明するための平断面図。 実施形態3の輻射冷暖房型建築物において、前記加熱機構と前記冷却機構とは、一又は二以上の冷暖房装置であることを説明するための概念図。 実施形態3の輻射冷暖房型建築物において、加熱用又は冷却用の熱媒体として使用される物質を例示する一覧図。 実施形態5の輻射冷暖房型建築物の温調空気排出空間を示す概念図。 実施形態6の輻射冷暖房型建築物において、人を冷やす際の温調空気の流れを説明するための概念図。 実施形態7の輻射冷暖房型建築物において、建築物の外壁面の内側を構成する内壁面と断熱材との間に内壁面温調空気配置空間を有することを説明するための立断面図。 実施形態8の輻射冷暖房型建築物において、建築物の屋根の内側を構成する天井面と屋根側の桁上に配される断熱材との間に屋根温調空気配置空間を有することを説明するための立断面図。 実施形態8の輻射冷暖房型建築物において、建築物の屋根の内側を構成する水平である天井面と屋根の内側に勾配に沿って配される断熱材との間に屋根温調空気配置空間を有することを説明するための立断面図。 実施形態8の輻射冷暖房型建築物において、建築物の屋根の内側を構成する斜天面である天井面と屋根の内側に勾配に沿って配される断熱材との間に屋根温調空気配置空間を有することを説明するための立断面図。 実施形態9の輻射冷暖房型建築物において、前記温調空気配置空間は、内外壁面側の部材継ぎ目がコーキング処理されていることを説明するための立断面図。 実施形態10の輻射冷暖房型建築物において、さらにプラスティック製のサッシを利用した建具を備えたことを説明するための俯瞰図。 実施形態11の輻射冷暖房型建築物において、前記温調空気排出空間には、さらに前記温調空気の湿度を調整するための湿度調整装置をさらに有することを説明するための立断面図。 実施形態12の輻射冷暖房型建築物において、前記湿度調整装置は、前記一又は二以上の冷暖房装置と一体であることを説明するための立断面図。 実施形態13の輻射冷暖房型建築物において、蓄熱部材が配置された内壁面と床面と天井面からの輻射熱によって室内の人を温めることを説明するための立断面図。 実施形態13の輻射冷暖房型建築物において、室内の人の輻射熱を、蓄熱部材が配置された内壁面と床面と天井面によって吸熱して冷やすことを説明するための立断面図。 主な物質についての比熱の一覧表。 代表的なものについての熱伝達率の一覧表。 実施形態14の輻射冷暖房型建築物において、前記温調空気と接する領域に調湿部材が配置されていることを説明するための立断面図。 実施形態15の輻射冷暖房型建築物において、温調空気導入部を有する場合の主な空気の流れを説明するための概念図。 実施形態4の輻射冷暖房型建築物において、内壁面、床面、天井面の周囲を温調空気配置空間として、温調空気が滞留することを示す概念図。 実施形態8の輻射冷暖房型建築物において、断熱材と断熱材の間に潜熱蓄熱材を配置して断熱効果を高めることを示す断面図。 実施形態1の輻射冷暖房型建築物において、室内の人と内壁面と室内空気の間における熱収支を説明するための概念図。 実施形態17の輻射冷暖房型建築物において、隣接温調空気排出空間と温調空気の流れを説明するための概念図。 実施形態18の輻射冷暖房型建築物において、隣接冷房温調空気排出空間に排出された冷却された温調空気の主な空気の流れを説明するための概念図。 実施形態18の輻射冷暖房型建築物において、隣接床下温調空気排出空間に排出された暖房された温調空気の主な空気の流れを説明するための概念図。
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
実施形態1は、主に請求項1について説明する。
実施形態2は、主に請求項2について説明する。
実施形態3は、主に請求項3について説明する。
実施形態4は、主に請求項4について説明する。
実施形態5は、主に請求項5について説明する。
実施形態6は、主に請求項6について説明する。
実施形態7は、主に請求項7について説明する。
実施形態8は、主に請求項8について説明する。
実施形態9は、主に請求項9について説明する。
実施形態10は、主に請求項10について説明する。
実施形態11は、主に請求項11について説明する。
実施形態12は、主に請求項12について説明する。
実施形態13は、主に請求項13について説明する。
実施形態14は、主に請求項14について説明する。
実施形態15は、主に請求項15について説明する。
実施形態16は、主に請求項16について説明する。
実施形態17は、主に請求項17について説明する。
実施形態18は、主に請求項18について説明する。
<実施形態1>
<実施形態1の概要>
本実施形態の輻射冷暖房型建築物は、以下の構成を備えることを特徴とする。これにより、部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを温度制御し、室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御することで室内の人の体感温度を最適化可能とする。
<実施形態1の重要用語の説明:熱輻射>
本願明細書において「熱輻射」とは、熱放射ともいい、伝熱の一種で、熱が電磁波として運ばれる現象。または物体が熱を電磁波として放出する現象をいう。単に輻射ともいう。
熱を運ぶ過程には大きく分けて熱伝達、熱伝導、熱輻射があり、熱伝達は別の物体どうしが直接触れ合うことで熱を伝えることであり、流体の流れを媒介させることにより間接的に熱を伝える現象である移流(対流)も熱伝達に含む。例えばエアコンや、放熱機器によって室温を温めることで人を温める作用は空気を媒体とした熱伝達によるものである。また熱伝導は同じ物質内で熱を伝えることである。それに対し熱輻射では、輻射元の物体が電磁波を出し、輻射先の物体がそれを吸収することによって熱が運ばれる。なお、基本的には低温の物も、高温の物もその温度に応じた輻射熱を出しており、温度が高いほど輻射熱量は増大する。本願では、この熱輻射、特に室を構成する壁面、床面、天井面からの人に対する輻射熱量を制御することで人の体感を快適化するという目的を達成しようとするものである。
このように本実施形態では、熱輻射によって室内の人の体感温度を最適化するものであり、室内の空気そのものを加温又は冷却する必要はないので、エネルギー収支は非常に良好である。冷房時も同様であるので、ここでは、暖房時を例にしてその理由を説明する。暖房時には、輻射熱が人に対して壁面等から与えられ、室内の壁の近傍における空気によってその極一部が熱伝達によって奪われるように熱が移動する。壁の近傍以外では室内の空気はほとんど均一な温度になるので室内での空気の対流が少なく、したがって、内壁面等からの空気への熱伝達はわずかとなる。実際に壁面近傍の空気の温度は、壁面温度と同一温度にまで加温されているが、壁面から距離が開き、近傍を超えると一挙にその温度は低下する。空気自体が断熱材の働きをしているからである。つまり、大部分の壁面のエネルギーは、熱輻射に費やされる。しかも、輻射熱は、室内に存在する吸熱物質が吸熱しない限り、再び対向する壁面等に吸収され、再度熱輻射に費やされるので無駄な熱輻射が発生しないという利点がある。
なお、壁面に家具などが配置されている場合にはその家具の全体が内壁面と同等の温度となり、輻射熱源となり、同じく室内の人に対して輻射熱を与える役割を果たす。定常的な状態では家具は熱エネルギーを消費しないので家具が存在することによってエネルギー収支が極端に悪化することはない。
<実施形態1の重要用語の説明:熱収支>
室内の人が快適に過ごせる温度環境とは、室内の人における最適な熱収支を実現して、体温調節することである。図27は、この熱収支を説明するための概念図である。この図では、1方向のみの熱収支を例示しているが、これは図の煩雑さを避けるためであり、本当はすべての方向で熱収支が存在する。もともと人は摂食、代謝、排泄、呼吸、発汗などの生理現象や運動により、熱の生産と放散をして一定の体温(36℃〜37℃)を維持している。さらに、室内の人の体温に見合った一定の輻射熱(2701)も放散している。逆に、室内の人は、内壁面、天井面、床面(通常は人の体温よりも低温)からの表面温度に見合う輻射熱(2702)を受けている。また、周辺の空気(通常は人の体温よりも低温)に対しても伝達による熱(2703)の放散もしている。
熱収支のバランスが崩れ、最適値より下がれば人は「寒い」と感じ、最適値を上回れば人は「暑い」と感じる。従って、室内の人が快適に過ごせる熱収支は一定の最適値である。また、室内の人からの輻射熱も一定であることから、室内の人への内壁面からの輻射熱と周辺の空気への伝達による熱の放散の合計値は一定となる。換言すれば、室内空気の温度が低く体温との差が大きい場合は、周辺の空気への伝達による熱の放散は大きくなるので、その分内壁面を加熱して室内の人への内壁面からの輻射熱を大きくして、室内の人が快適に過ごせる最適な熱収支を実現する。本明細書では、このことを加熱された内壁面と床面と天井面からの輻射熱量の増大によって室内の人を温める、などと表現するものとする。室内空気の温度が高く体温との差が小さい場合は周辺の空気への伝達による熱の放散は小さくなるので、その分内壁面を冷却して室内の人への内壁面からの輻射熱を小さくして、室内の人が快適に過ごせる最適な熱収支を実現する。本明細書では、このことを冷却された内壁面と床面と天井面からの輻射熱量の減少によって室内の人を冷やす、などと表現するものとする。
<実施形態1の構成>
本実施形態は、内壁面と、床面と、天井面と、加熱機構と、冷却機構と、からなる輻射冷暖房型建築物である。図1は、本件発明における輻射冷暖房型建築物と、建築物(0100)の外壁の内部にある部屋と、その部屋を構成する内壁面(0101;0102;0103;0104)と床面(0106)と天井面(0105)と、を表す概念図である。ここでは、一の部屋のみを明示しているが、複数の部屋から構成される建築物であってよいし、むしろその方が一般的である。
<実施形態1の構成の説明>
<実施形態1 内壁面>
内壁面は、部屋の内面を構成する要素であって、床面と天井面とを除いた面である。図1で例示するように、部屋は通常4つの内壁面を有する。但し、部屋の形状によっては必ずしもこれに限るものではない。内壁面は、熱輻射可能であり、後述する加熱機構によって、室内温度よりも高温に加熱することにより、内壁面からの輻射熱量の増大によって室内の人を温めることを可能とする。また、後述する冷却機構によって、室内温度よりも低温に冷却することにより、内壁面からの輻射熱量の減少によって室内の人を冷やすことを可能とする。
<実施形態1 床面>
床面は、部屋の内面を構成する要素であって、床の表面である。図1で例示するように、部屋は通常一の床面を有する。但し、部屋の形状によっては必ずしもこれに限るものではない。床面は、熱輻射可能であり、後述する加熱機構によって、室内温度よりも高温に加熱することにより、床面からの輻射熱量の増大によって室内の人を温めることを可能とする。また、後述する冷却機構によって、室内温度よりも低温に冷却することにより、床面からの輻射熱量の減少によって室内の人を冷やすことを可能とする。
<実施形態1 天井面>
天井面は、部屋の内面を構成する要素であって、部屋内部の上側の面である。図1で例示するように、部屋は概念的には通常一の天井面を有するが、必ずしもこれに限るものではない。なお、天井面は、明るさの確保、収納、屋根裏からの塵埃の落下防止、開放感、装飾などといった機能を有し、具体的な天井面の形状は、平天井、勾配天井、船底天井、下がり天井などがある。天井面は、熱輻射可能であり、後述する加熱機構によって、室内温度よりも高温に加熱することにより、天井面からの輻射熱量の増大によって室内の人を温めることを可能とする。また、後述する冷却機構によって、室内温度よりも低温に冷却することにより、天井面からの輻射熱量の減少によって室内の人を冷やすことを可能とする。
<実施形態1 加熱機構>
加熱機構は、部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを室内温度よりも高温に加熱する機能を有する。図2は、部屋(0200)を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを、室内温度よりも高温に加熱するための加熱機構(0201)として、電熱ヒータを装着させた一例を表す俯瞰図を用いた概念図である。この図では、一の内壁面と天井面のみに電熱ヒータの装着を例示しているが、これは図の煩雑さを避けるためであり、本当はすべての内壁面と、床面と、天井面とに電熱ヒータを装着するものである。なお、この加熱機構としての電熱ヒータは、単なる例示に過ぎず、好適に選択されるべきものであり、この例に限定されるものではない。これらの電熱ヒータなどの加熱機構は、熱効率を悪化させないために、内壁面、天井面、床面の周囲に密接して備えられることが好ましく、また万遍なく備えられることが好ましい。
図3は、実施形態1の輻射冷暖房型建築物において、加熱された内壁面(0301;0304)と、床面(0302)と、天井面(0303)からの輻射熱(0306a;0306b;0306c;0306d)を説明するための立断面図を用いた概念図である。後述の図4に比して矢印の本数が多いことで、輻射熱量の増大によって室内の人(0305)を温めることを表現している。またこの図は立断面図であるため図示していないが、立体的に考えれば、部屋(0300)は図の手前と図の向こう側にも内壁面があり、そこからの輻射熱の増大によっても温めることになる。輻射熱であるので赤外領域の光などによって人体が直接温められることを示したものである。一般の空調は、空気を温めてその空気によって人を温めるものであるから、間に熱媒体としての空気が入ることで熱効率を悪化させており、本件発明の特徴点は、空気を介さないで室内の人を温める点にある。従って内壁面、天井面、床面は加熱機構からの熱を効率よく人体に輻射できる材料で構成されていることが好ましい。
また室内の空気に対する熱伝達効率(熱伝導効率ではない。)は高い必要がない。熱伝達効率が高ければ空気を温めるために熱エネルギーが消費されてしまうからである。従って、熱伝達効率が低いものとして、非金属材料などが内壁面材料として、床面材料として、天井面材料として適している。また部屋を構成する面(代表的には壁面、天井面、床面を合わせた6面であるがこれに限定されない。部屋を上方から眺めた上面視では部屋は4以上の多角形でも、曲線を用いたものであってもよい。)の原則的には全てが熱輻射制御機能を有するように構成する。一面に熱輻射制御機能がなければ、他の面から発生する熱がその面によって奪われてしまい、効率的に人体を温めることができないからである。確かに輻射熱で人に温かさを感じさせるものは従来から存在した。例えば暖炉や、電熱線が露出した電気ストーブ、温風吹き出しをしない石油ストーブなどである。これらは確かに輻射熱で人に温かさを感じさせるが、室内の他の部分、例えば壁面、床面、天井面などは同等の熱輻射をしていないので電気ストーブ等から輻射される熱エネルギーの大部分は、人に対して熱を与えることなく他の物によって吸収されてしまう。このように単に輻射熱を利用しているのみでは本願発明の効果を得ることはできない。
避けられない窓やドアは加熱機構を一般には有さないので十分な断熱性を有するように設計する。なお、窓やドアにも加熱機構を持たせるように設計することもできる。窓であれば透明導電材料を用いた抵抗加熱を用いることができ、ドアなどに関しては電熱線や暖気を用いてドア面を加熱することができる。
<実施形態1 冷却機構>
冷却機構は、部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを室内温度よりも低温に冷却する機能を有する。図2は、部屋(図2:0200)を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを、室内温度よりも低温に冷却する冷却機構として、冷媒配管(図2:0202)を装着させた一例を表す俯瞰図を用いた概念図である。前述の加熱機構の説明と同様に、この図では、一の内壁面と天井面のみに冷媒配管の装着を例示しているが、これは図の煩雑さを避けるためであり、本当はすべての内壁面と、床面と、天井面とに冷媒配管の装着するものである。なお、この冷却機構としての冷媒配管は、単なる例示に過ぎず、好適に選択されるべきものであり、この例に限定されるものではない。これらの冷媒配管などの冷却機構は、熱効率を悪化させないために、内壁面、天井面、床面の周囲に密接して備えられることが好ましく、また万遍なく備えられることが好ましい。
図4は、実施形態1の輻射冷暖房型建築物において、冷却された内壁面(0401;0404)と、床面(0402)と、天井面(0403)からの輻射熱(0406a;0406b;0406c;0406d)を説明するための立断面図を用いた概念図である。前述の図3に比して矢印の本数が少ないことで、輻射熱量の減少によって室内の人を冷やすことを表現している。またこの図は立断面図であるため図示していないが、立体的に考えれば、部屋(0300)は図の手前と図の向こう側にも内壁面があり、そこからの輻射熱の減少によっても冷やすことになる。
加温の場合と同様に、窓やドアは冷却機構を一般には有さないので十分な断熱性を有するように設計する。なお、窓やドアにも冷却機構を持たせるように設計することもできる。窓であれば透明の冷媒配管を通すことができ、ドアなどに関しては冷媒配管や冷気を用いてドア面を冷却することができる。
<実施形態1のその他の説明>
<実施形態1 内壁面と外壁面との接続部材>
以上のように本件発明においては空気を介して暖房、冷房をすることよりも輻射熱を介して人体を直接的に温めたり、冷やしたりする効果を得ることとしているので室内での空気の対流が生じにくく、室内のどこに人が位置しているかにかかわらず均一な暖房、冷房効果を人が感じることができる。また、室内から熱輻射又は熱伝導、熱伝達によって室外に暖気が抜けたり、冷気が抜けないように、内壁面と外壁面との接続部材はできるだけ熱伝導、熱伝達の小さい材料で行う。接続部材として適しているのは木材やプラスティック素材、セラミック部材、紙部材などである。構造部材である屋内と屋外にわたって配置される配管部材や、窓枠部材、ドア枠部材、換気装置枠部材などもこれらの材料をできるだけ採用している物を利用すべきである。また窓は二重、又は三重ガラスのものが好ましい。さらに、窓枠に付属するロック機構(特にロック機構が軸回転を伴う場合には軸をプラスティック製のもので構成することが好ましい。)、ドアノブ部材、などもプラスティック、木材、セラミックス等のものが好ましい。
<実施形態1 効果の簡単な説明>
壁面等と室内の人との間で交換される熱エネルギーは、室内空気を温めることに費消されないことから、大部分が熱輻射に費やされるため、熱エネルギーの損失が極小で、エネルギー収支が非常に良好な冷暖房効果が得られる。
<実施形態2>
<実施形態2の概要>
実施形態2は、上記実施形態1を基本として、前記内壁面は隣接する部屋を仕切る仕切壁を含むことで、いずれの室内でも同様の暖房、冷房効果を享受できる。
<実施形態2の構成>
実施形態2の構成は、実施形態1の構成と基本的に同様である。相違点は、前記内壁面は、建築物内で隣接する部屋を仕切る仕切壁を含む、ことを特徴とする。
<実施形態2の構成の説明>
<実施形態2 仕切壁>
仕切壁は、実施形態2の輻射冷暖房型建築物において、前記内壁面の内、隣接する部屋を仕切る内壁面である。図5は、内壁面が仕切壁を含むことを説明するために俯瞰図を用いた概念図である。この例示の図では、建築物内の4つの部屋、すなわち部屋A(0501)と部屋B(0502)と部屋C(0503)と部屋D(0504)は、それぞれ隣接する2つの部屋を仕切る仕切壁を有しており、その両面は各々の部屋の内壁面である。例えば、部屋A(0501)と部屋B(0502)の仕切壁の両面は、部屋A(0501)側の内壁面(0501a)と部屋B(0502)側の内壁面(0502a)である。以下同様に、部屋A(0501)と部屋C(0503)の仕切壁の両面は、部屋A(0501)側の内壁面(0501b)と部屋C(0503)側の内壁面(0503b)となり、部屋B(0502)と部屋D(0504)の仕切壁の両面は、部屋B(0502)側の内壁面(0502b)と部屋D(0504)側の内壁面(0504b)となり、部屋C(0503)と部屋D(0504)の仕切壁の両面は、部屋C(0503)側の内壁面(0503a)と部屋D(0504)側の内壁面(0504a)となる。なお、仕切壁は同一のフロアにある隣接する部屋を仕切るものであり、上下に隣接する上のフロアと下のフロアの間は床面と天井面で構成される。このように各部屋の隣接領域においても輻射熱を発生し、又は吸熱するための内壁面を独立に配置することによっていずれの室内でも同様の暖房、冷房効果を人が享受することが可能となる。
図6は、実施形態2の輻射冷暖房型建築物において、前記内壁面は、建築物内で隣接する部屋を仕切る仕切壁を含むことを説明するために平断面図を用いた概念図である。図5の説明を補強するための図であることから、部屋及び仕切壁の両面の末尾二けたの番号は同じ番号で表示している。なお、隣接する部屋を仕切る仕切壁の間にできる隙間を配線(電力配線、通信配線、電話回線、ケーブルテレビ配線)空間などに利用することが考えられる。配線空間は一部メンテナンスのために壁面等に開閉口を設けて、もしくは天井裏や床下空間から配線空間内をメンテナンス可能とすることが好ましい。
<実施形態2 効果の簡単な説明>
輻射熱を発生又は吸熱する内壁面は、建築物内で隣接する部屋を仕切る仕切壁を含むことで、いずれの室内でも同様の暖房、冷房効果を享受できる。
<実施形態3>
<実施形態3の概要>
実施形態3は、上記実施形態1又は実施形態2を基本として、加熱機構と冷却機構とを一又は二以上の冷暖房装置とすることで、冷暖房の切り替えや温度調整が簡便となる。
<実施形態3の構成>
実施形態3の構成は、実施形態1の構成と基本的に同様である。相違点は、前記加熱機構と前記冷却機構とは、一又は二以上の冷暖房装置である、ことを特徴とする。
<実施形態3の構成の説明>
<実施形態3 一又は二以上の冷暖房装置>
一又は二以上の冷暖房装置は、実施形態3の輻射冷暖房型建築物において、前記加熱機構と前記冷却機構とが、一体となっている冷暖房装置であり、図7は、加熱用又は冷却用の熱媒体の流動経路である配管(0701)が同一であることを説明するために俯瞰図を用いた概念図である。部屋(0700)を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面との周囲に張り巡らせた一本の配管の中を、加熱用又は冷却用の熱媒体が流動する。この図において、実線は俯瞰したときに見える面における配管であり、点線は見えない面における配管である。適温に加熱又は冷却された熱媒体は、冷暖房装置(0704)に装着された排出口(0702)を介して、冷暖房装置から排出され、一本の配管の中を流動する間に、部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを加熱又は冷却する。そして冷暖房装置に装着された回収口(0703)を介して、冷暖房装置に吸引され、再び加熱又は冷却される。なお、この一又は二以上の冷暖房装置を熱交換器によって構成する場合には排熱は室外に排出するように構成する。さらに言えば、建築物の外側の外気に排出するように構成することが好ましい。この配管の内壁面に対する投影面積の割合としては30%以上が好ましい。構造を維持するために内壁面を占有する配管以外の構造部材があるので実質的には投影面積の割合は、窓やドアのない内壁面面積に対して80%程度までが上限となる。30%よりも割合が少ない場合には内壁面の温度分布が大きくなりエネルギー収支が悪化する。80%以上にしようとすると構造部材の配置が困難となり、設計上の煩雑性や構造の複雑性、建築物の強度の脆弱性が増すという問題が生じる。
<実施形態3のその他の説明>
<実施形態3 熱効率と素材>
なお、図中に拡大して熱媒体を通す循環経路の概念図0701Bを示した。このようにこの循環経路は、内壁面など加熱、冷却すべき面に対して広く接するように構成することが好ましい。循環経路から内壁面等に対して効率的に熱伝達、熱伝導させるためである。また、熱伝達、熱伝導させるために熱伝達率、熱伝導率が高くなる材質、構造を有することが好ましい。一例としては材料として熱伝達率、熱伝導率がともに高い金属製の配管を利用することが考えられる。また、この循環経路の内壁面等に対する設置は熱伝達率、熱伝導率の高い材料を用いて行うのが好ましい。例えば、金属粉末や、高熱伝達率のセラミックス材料を含有した接着剤などである。接着剤で接触面を全面的に内壁面に対して接着することが好ましい。さらに、内壁面に対する接着を確実にするために、接着剤の他に押し付けるための金具などを用いて押し付けるように構成することが考えられる。また室内側の材質は、室内の空気に対する熱伝達は低めに抑えて輻射熱に多くのエネルギーが費やされるように構成することも考えられる。そのために、室内側の内壁素材は、木材、合板材、布材、石膏ボードなどが適している。
<実施形態3 熱媒体>
図8は、実施形態3の輻射冷暖房型建築物において、加熱用又は冷却用の熱媒体として使用される物質を例示する一覧図である。なお、この一覧表は例示に過ぎず、熱媒体として用いられる物質は、必要に応じて選択、又は/及び、追加、又は/及び、好適に混合されてもよく、この例に限定されるものではない。
<実施形態3 効果の簡単な説明>
加熱機構と冷却機構とを一の冷暖房装置とすることで、冷暖房の切り替えや温度調整が簡便となる。
<実施形態4>
<実施形態4の概要>
実施形態4は、上記実施形態1から実施形態3までを基本として、熱媒体としての温調空気(暖気又は冷気)を、温調空気配置空間に滞留するように構成することで、熱媒体循環経路の配管を要しない且つ室内空気に熱をほとんど消耗しない省エネルギーな輻射冷暖房が可能となる。
<実施形態4の構成>
実施形態4の構成は、実施形態1の構成と基本的に同様である。相違点は、前記加熱と前記冷却とは所定の温度の温調空気によってなされる、ことを特徴とする。
<実施形態4の構成の説明>
<実施形態4 温調空気>
温調空気は、熱媒体としての暖気又は冷気である。前記加熱機構は所定の温度に加熱された温調空気によってなされるものとし、前記冷却機構は所定の温度に冷却された温調空気によってなされるものとする。ここにおいて、加熱機構と冷却機構は個別に設置されるものでもよいし、一又は二以上の冷暖房装置として共用されるものでもよい。温調空気は温度調節可能に加熱機構、冷却機構が構成されていることが好ましい。図25は、内壁面(2501;2502;2503;2504)、床面(2506)、天井面(2505)の周囲を温調空気配置空間(2507)として、温調空気が滞留するように構成されていることを示す概念図である。ただし、滞留空気は徐々に内壁面等にそって対流後再び加熱機構、冷却機構に戻入されるように構成する。例えば暖気は上昇する傾向があるので、その暖気の上昇力を徐々なる対流に利用する。また冷気は下降する傾向があるのでその冷気の下降力を徐々なる対流に利用する。従って、熱媒体の循環経路としての配管が不要となる。
<実施形態4のその他の説明>
<実施形態4 温調空気と室内滞留空気の総体積比>
なお、壁面、床面、天井面に沿って層流を構成するように温調空気を温めればよいので温調空気の総体積は、室内に滞留している空気の総体積よりも小さくなる。すなわち、室内を暖房し、冷房するために必要なエネルギーよりも少ないエネルギーで室内の人を温めたり、冷やしたりすることができ、省エネルギーでもある。つまり、今までと違って、温めなくともよい室内の空気にエネルギーを消耗する必要がなくなった分だけ省エネルギーとなる。室内の空気と人とは一般に熱伝達で温度交換する。従って、壁面、天井面、床面の輻射温度は、人が室内の空気から熱伝達でもらう熱量、ないしは熱伝達であげる熱量よりも大きな熱量が伝達できる程度の温度にすることで人に対する熱エネルギー収支が暖房効果又は冷房効果を与えることとなる。
<実施形態4 効果の簡単な説明>
熱媒体としての温調空気(暖気又は冷気)を、温調空気配置空間に滞留するように構成することで、熱媒体循環経路の配管を要しない且つ室内空気に熱を消耗しない省エネルギーな輻射冷暖房が可能となる。
<実施形態5>
<実施形態5の概要>
実施形態5は、上記実施形態3をベースとする実施形態4を基本として、温調空気排出空間をさらに有することによって、冷暖房装置から排出される温調空気の温度をばらつかせないで済むことから、万遍ない安定した冷暖房効果を得る。
<実施形態5の構成>
実施形態5の構成は、実施形態4の構成と基本的に同様である。相違点は、建築物の輻射冷暖房をされるすべての部屋の床面よりも下側に設けられた前記一又は二以上の冷暖房装置から排出される前記温調空気の排出空間である温調空気排出空間をさらに有する、ことを特徴とする。
<実施形態5の構成の説明>
<実施形態5 温調空気排出空間>
温調空気排出空間は、実施形態5の輻射冷暖房型建築物において、建築物の輻射冷暖房をされるすべての部屋の床面よりも下側に設けられた前記一又は二以上の冷暖房装置から排出される前記温調空気の排出空間である。図9は、温調空気排出空間(0903)をさらに有する場合の主な空気の流れを説明するために立断面図を用いた概念図である。ここでは、2つの部屋(0904;0905)から構成される建築物(0901)を例示している。またさらに、2つの部屋はそれぞれ天井面(0904a;0905a)と床面(0904b;0905b)と外壁側の内壁面(0904c;0905c)と仕切壁である内壁面(0904d;0905d)を有している。またさらに、外壁側の内壁面は、外壁にかけて窓(0904e;0905e)を有している。ここにおいて、一の冷暖房装置(0902)は、2つの部屋の床面よりも下側に設けられている。ここで排出される温められた、ないしは、冷やされた空気は冷暖房装置から強制排出されてもよいし、強制排出されなくともよい。つまり、ファンなどによって風力をつけられて排出されてもよいし、ファンなどを用いない自然加熱冷却であってもよい。
前記冷暖房装置の片側又は両側に設置されている加熱又は冷却された温調空気の排出口(0906a;0906b)から排出された温調空気は、床面の下で加熱又は冷却された温調空気排出空間(0903)に滞留し、さらに建築物の外壁側の内壁面(0904c;0905c)に沿って循環する上昇気流(0907)(特に加熱された空気又は、強制排出された空気)となり、またさらに天井面の上を覆い、上昇気流の来ない部屋の仕切壁である内壁面(0904d;0905d)に沿って下降気流(0908)となって循環する。そして冷暖房装置によって、再び加熱又は冷却される。このように、熱媒体である所定の温度に加熱又は冷却された温調空気を、床下、壁の中、天井裏に循環させることで、部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを加熱又は冷却し、空気を介さず直接に、加熱又は冷却された内壁面と床面と天井面からの輻射熱量の増大又は減少によって室内の人を温める又は室内の人を冷やすことで、家中どこでもほぼ一定で快適な体感温度を享受することが可能となる。なお、図9は、前記一の冷暖房装置で加熱又は冷却された温調空気の排出口が両側にある例を示しているが、排出口がどちらか片側にのみある場合であってもよい。その場合の温調空気の流れは、排出口を有する側は上昇気流を形成するが、それ以外の循環の流れは前述の両側に排出口のある例に限定されない。
温調空気の排出口が両側にある図9は実施形態5の輻射冷暖房型建築物の一例に過ぎないが、その例に限れば、さらに次のことが言える。外壁側の内壁面(0904c;0905c)に沿って循環する上昇気流は、温調空気排出空間で十分に加熱又は冷却されたばかりの温調空気であり、冷暖房のエネルギーは高い。対して、仕切壁である内壁面(0904d;0905d)に沿った下降気流(0908)は、冷暖房のエネルギーは低い。一方、仕切壁である内壁面はドアやふすまなどはあり得るが、外壁に備えられている窓(0904e;0905e)ほどは大きな面積は取られない。従って、仕切壁側は外壁側と比べて相対的に低エネルギーではあるが、相対的に大面積であるので、内壁面に与える冷暖房のエネルギーの総量は相補的となる。
なお、温調空気排出空間を採用することで冷暖房装置からの空気の温度にばらつきが生じても温調空気排出空間内の空気によって全体が一定の温度となるために建築物の壁面や床面、天井面を加熱したり、冷却したりする空気の温度をばらつかせないで済むという効果を有する。空気の温度がばらつくと空気の流れがばらつくことでも壁面や床面、天井面の加熱、冷却に影響が出る。さらに、温度のばらつきを小さくするために空気を流通させる部分はできるだけ広い方がよい。従って温調空気は壁面や床面、天井面に平行な層流を構成できるような構成であることが好ましい。つまり、管状の流路であるよりも層流である方が好ましい。
すなわち、ここで温調空気の循環は通路、流路のような管状の構造物を壁面の一部に這わせて行われるのでなく、管状の構造物を壁面に沿わせる場合には例えば図7に示すように壁面の全体を引き回すように構成する。また管状の構造物を利用しない場合には平行に対向する外壁と内壁との間の空間の全体、天井面及び床面に対して温調空気を流通させる。つまり、温調空気排出空間は直接床面に接し、また、外壁と内壁との間にできた板状空間に接する。この場合、温調空気排出空間からの温調空気は、板状空間を層状となって上昇したり、下降したりする。
例えば室内温度よりも高温の温調空気を利用する場合(暖房効果の利用)には、熱輻射、熱伝達等の結果、壁面等から室内の対象物(人など)への輻射熱の輻射に寄与した結果、相対的に低温になった温調空気は上昇後に下降してくる。この上昇と下降とを利用して温調空気が住宅全体を循環するように構成することが好ましい。また、温調空気排出空間の温調空気は、輻射冷暖房型建築物の外壁面に隣接して設けられる断熱壁面(断熱材から構成される壁面)と内壁面との間に層状の空間を設けて、この層状の空間に行き渡らせるように構成することも可能である。
<実施形態5のその他の説明>
<実施形態5 熱交換>
なお、この冷暖房装置が熱交換型の場合には、排熱はこの温調空気排出空間以外の場所に排出(流入する場合も同じ)されるように構成する。具体的には建築物の外に、冷暖房装置の室外機を設置して、外気に排出させることが好ましい。
<実施形態5 効果の簡単な説明>
温調空気排出空間によって、冷暖房装置から排出される温調空気の温度をばらつかせないで済むことから、万遍ない安定した冷暖房効果が得られる。
<実施形態6>
<実施形態6の概要>
実施形態6は、上記実施形態4又は実施形態5を基本として、冷房に用いる低温の温調空気をすべての部屋の上側に供給することで効率よく冷房効果を得る。
<実施形態6の構成>
実施形態6の構成は、実施形態5の構成と基本的に同様である。相違点は、前記部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを室内温度よりも低温に冷却する際の温調空気を前記建築物のすべての部屋の上側に供給する冷気供給機構をさらに有する、ことを特徴とする。
<実施形態6の構成の説明>
<実施形態6 冷気供給機構>
冷気供給機構は、実施形態6の輻射冷暖房型建築物において、前記冷却機構の排出口から排出される冷却された温調空気を、すべての部屋の上側に供給する配管とその入口又は中間又は出口に接続されたファンによって構成され、前記部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを室内温度よりも低温に冷却する際の温調空気を前記建築物のすべての部屋の上側に供給する機能を有する。また、この冷気供給機構の操作は、冷暖房装置の操作とは独立してON、OFFできるように切り替えする機能を有することが好ましい。例えば暖房のための温調空気が十分に高温のときは、わざわざファンによって上昇させなくとも自然に上昇する流速で十分な場合があり、その場合にはファンをOFFすることによって電気の節約ができるからである。また、ファンの回転数が調整できるように設計することもできる。適切な内壁面、床面、天井面の温度を保つために所定の温度の温調空気をどれくらいの流量で流通させるかには最適値があるためである。つまり、人が快適と感じる状態を保つために、外気温等との関係で最も効率が良い温調空気の温度と、その内壁面、天井、床面を流通する流速が決定される。これはコンピュータによって自動的に計算し、温調空気の温度とその際に最適な流量を得るためのファンの回転数として温調装置やファンを制御するように構成することができる。図10は、冷気供給機構をさらに有する場合の主な空気の流れを説明するために立断面図を用いた概念図である。2つの部屋(1004;1005)から構成される建築物(1000)を例示している。またさらに、2つの部屋はそれぞれ天井面(1004a;1005a)と床面(1004b;1005b)とを有している。ここにおいて、前記冷却機構(1001)は、2つの部屋の床面よりも下側に設けられている。また、冷気供給機構は前記冷却機構の排出口から排出される冷却された温調空気を、すべての部屋の上側に供給する配管(1003)とその入口又は中間又は出口に接続されたファン(1002)によって構成され、前記部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを室内温度よりも低温に冷却する際の温調空気を前記建築物のすべての部屋の上側に供給する機能を有する。なお、この図では、ファンは前記冷却機構の排出口に装着されており、配管の底部に直結された例であるが、これに限定されるものではない。天井面の上を覆う水平気流(1006a)と、すべての部屋の外側に沿った下降気流(1006b)と、床面の下を這う水平気流(1006c)と、になって循環する。そして冷却機構によって、再び冷却される。冷却機構が熱交換型のものである場合には冷却機構の排熱や吸熱が外気を介して行われる点はすでに述べた例と共通である。
熱媒体である所定の温度に冷却された温調空気を、床下、壁の中、天井裏に上げた後は循環させることで、部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを冷却し、冷却された内壁面と床面と天井面からの輻射熱量の減少によって室内の人を冷やすことで、家中どこでもほぼ一定で快適な体感温度を享受することが可能となる。
<実施形態6 冷気供給機構のその他の利用>
冷気供給機構の温調空気をすべての部屋の上側に供給する機能は、「冷房時」のみでなく、「暖房時」においても利用することができる。この冷気供給機構を作動させて、加熱された温調空気を強制的に上に引っ張り上げると、天井面にある温調空気は強制的に押し出されて床下へ戻ろうとする。これにより、空気循環が多くなり建物全体の温度ムラが低減できる。このように、配管とその入口又は中間又は出口に接続されたファンによって構成された冷気供給機構の仕組みは、暖気も含めた温調空気供給機構として用いることができる。
<実施形態6 効果の簡単な説明>
冷気供給機構によって、すべての部屋の上側に冷却された温調空気を供給することで効率よく冷房効果が得られる。
<実施形態7>
<実施形態7の概要>
実施形態7は、上記実施形態5又は実施形態5をベースとする実施形態6を基本として、断熱材と、断熱材と内壁面との間に温調空気を配することで、効率よく冷暖房効果を得る。
<実施形態7の構成>
実施形態7の構成は、実施形態5の構成と基本的に同様である。相違点は、前記部屋を構成するすべての内壁面のうち、建築物の外壁面の内側を構成する内壁面には、外側にさらに配される断熱材と、断熱材と内壁面との間に前記排出空間と空間的に連結された温調空気を行き渡らせる内壁面温調空気配置空間とをさらに有する、ことを特徴とする。
<実施形態7の構成の説明>
<実施形態7 断熱材>
断熱材は、建築物の外壁面の内側を構成する内壁面のさらに外側に配され、外気の温度変化による熱移動を極力小さくする。通常は厚さ6センチメートルから20センチメートル程度の板状の断熱材であり、断熱材種類は発泡系断熱材のポリスチレンフォーム、フェノールフォーム、ウレタンフォームや繊維系断熱材のセルロースファイバーなどが主に使用されるがこれに限定されない。なお、最もハイスペックな無暖房住宅などには外壁面に厚さ40センチメートルの断熱材を使用することもある。また、断熱材と断熱材の間(中間付近)に後述する潜熱蓄熱材を配置すると、外気温(又は/及び太陽熱によって熱せられた外壁面の温度)の変動による建物側への熱の移動(冬は室内側からの熱の移動)を中間に配置した潜熱蓄熱材が相変化することにより熱が伝わることを抑え、断熱効果が高まる。
<実施形態7 内壁面温調空気配置空間>
内壁面温調空気配置空間は、実施形態7の輻射冷暖房型建築物において、前記部屋を構成するすべての内壁面のうち、建築物の外壁面の内側を構成する内壁面と、断熱材と内壁面との間に前記温調空気排出空間と空間的に連結された温調空気を行き渡らせる空間である。図11は、内壁面温調空気配置空間(1106a;1106b)をさらに有することを説明するために立断面図を用いた概念図である。ここでは、建築物は外壁面(1101a;1101b:図中、黒色で塗りつぶされている部分)と床下構造物(1102)と屋根裏構造物(1103)と2つの部屋(1100a;1100b)とを有している。すべての内壁面のうち、建築物の外壁面の内側を構成する内壁面(1104a;1104b)(外壁面の内側にない内壁面1107a、1107bは含まない)と、外側にさらに配される断熱材(1105a;1105b)との間に前記温調空気排出空間と空間的に連結された内壁面温調空気配置空間を有しており、温調空気排出空間で十分に加熱された又は冷却された温調空気はこの内壁面温調空気配置空間を行き渡り、空間の一方を構成する内壁面を加熱又は冷却する。また空間の反対側を構成する断熱材の断熱効果によって、温調空気から外気への熱の移動を極力小さくする。
<実施形態7のその他の説明>
<実施形態7 断熱構造>
またさらに、外壁面を二重構造とし、最も外側の外壁面とその次の外壁面との間に外部通気層として、層状の空間を設け、外気が流通する層を設けてもよい。そうすることで、夏において日射熱が外壁材や壁体内を通って室内に伝わらないように通気層から熱気を排出できるため、いっそう断熱効果を高めることができる。また、各部屋は何らかの方法により地面に対して固定されたものである。この固定は図示しない床下構造物から支承構造、土台などによって部分的に支えられたり、外壁構造に対して部分的に内壁面が支えられたりする。あるいは外壁面によって支えられないで、床下構造物から立設される柱に部分的に固定される。あるいは床下構造物から立設される柱と柱の間に渡された接続梁に対して固定される。内壁面は原則的に外壁面と断熱距離が長い方が有利であるのでできるだけ外壁面との固定構造は少なくすることが好ましい。なお床下構造物から立設される柱も地面、ないしは床下構造物から断熱される方が好ましいので断熱性の高い、熱伝導率が低い材料を用いることが好ましい。例えば木材はこれに適している。また場合によりプラスティック製の柱を用いることも有効である。
<実施形態7 内壁面温調空気配置空間と連通領域>
内壁面温調空気配置空間の外壁側を構成する断熱材等によって、建物本体の断熱効果を高めて外気温の影響を極小化することも可能となる。そして、床下に加熱機構を配置し、さらに加熱された暖気を床下の温調空気排出空間に排出する場合には、温調空気排出空間は断熱材と内壁面の外側(室内と反対側)と、で構成される内壁面温調空気配置空間と、後述する屋根温調空気配置空間を含めて、すべての壁面で空間的に連通されるように構成する。従って温調空気排出空間のすべての上部端面は直に内壁面温調空気配置空間に連結される。ただし柱などの柱状部材、その他の建築必須部材がある部分は除かれる。また温調空気排出空間の上部の央部では、隣接する部屋を仕切る仕切壁どうしの間に形成される温調空気配置空間と空間的に連通される。従って連通領域は温調空気排出空間上部に幅のある線状に仕切壁の領域に形成される。以上で重要な点は、温調空気を管に通して内壁面を温めたり冷やしたりするのでなく、幅のある面状空間に温調空気を滞留させて内壁面を温めたり冷やしたりする点である。このように構成するのは、内壁面に部分的な温度分布ができるだけできないようにするためである。言い換えれば内壁面を面で温めたり冷やしたりするためである。なお、連通される領域は建築物に必須の構造部材がある場合にはその部分でのみ連通領域は途切れるがそれ以外では連通領域は内壁面に沿って連続的に構成される。
<実施形態7 効果の簡単な説明>
断熱材と、断熱材と内壁面との間に温調空気を配することで、効率よく冷暖房効果が得られる。
<実施形態8>
<実施形態8の概要>
実施形態8は、上記実施形態5又は実施形態5をベースとする実施形態6又は実施形態5をベースとする実施形態7を基本として、屋根側に配される断熱材と、断熱材と天井面との間に温調空気を配することで、効率よく冷暖房効果を得る。
<実施形態8の構成>
実施形態8の構成は、実施形態5の構成と基本的に同様である。相違点は、前記部屋を構成するすべての天井面のうち、建築物の屋根の内側を構成する天井面には、屋根側にさらに配される断熱材と、断熱材と天井面との間に前記排出空間と空間的に連結された温調空気を行き渡らせる屋根温調空気配置空間とをさらに有する、ことを特徴とする。
<実施形態8の構成の説明>
<実施形態8 断熱材>
断熱材は、建築物の屋根側にさらに配され、外気の温度変化による熱移動を極力小さくする。通常の断熱材でよいが、特に天井に用いる断熱材の素材としては厚さ30センチメートル程度のセルロースファイバーとすることが好ましい。これらを採用することで防音効果をも高めることができる。また、図26に示すように、断熱材(2601)と断熱材(2603)の間(中間付近)に後述する潜熱蓄熱材(2602)を配置すると、外気温(又は/及び太陽熱によって熱せられた屋根面や小屋裏空間の温度)の変動による建物側への熱の移動(冬は室内側からの熱の移動)を中間に配置した潜熱蓄熱材が相変化することにより熱が伝わることを抑え、断熱効果が高まる。
<実施形態8 屋根温調空気配置空間:屋根に密接しないで断熱材を配置する場合>
屋根温調空気配置空間は、図12に示すように、実施形態8の輻射冷暖房型建築物において、前記部屋を構成するすべての天井面のうち、建築物の屋根の内側を構成する天井面には、屋根側にさらに配される断熱材と、断熱材と天井面との間に前記排出空間と空間的に連結された温調空気を行き渡らせる空間である。この空間は前記温調空気排出空間と空間的に連結されている。
この図12の例では、2つの部屋(1200a;1200b)から構成される建築物を例示している。この建築物も外壁面(1201a;1201b)と建築物の外壁面の内側を構成する内壁面(1204a;1204b)と床下構造物(1202)と断熱材を含む屋根裏構造物(1203)もまた有している。
温調空気排出空間で十分に加熱された又は冷却された温調空気はこの屋根温調空気配置空間(1207)を行き渡り、空間の一方を構成する天井面を加熱又は冷却する。また、空間の反対側を構成する断熱材の断熱効果によって、温調空気から屋根裏空間(屋根を構成する屋根面と部屋を構成する天井面の裏側との空間:1208)への熱の移動を極力小さくする。
<実施形態8 屋根温調空気配置空間:屋根に密接した断熱材を配置する場合>
なお、屋根側にさらに配される断熱材は図12の場合に限定されるものではなく、屋根の内側に勾配に沿って密接して断熱材を配してもよい。その場合において、図13は、部屋の天井面が水平となっている場合の立断面図である。建築物は、屋根温調空気配置空間(1307)を、建築物の屋根(1305a;1305b)の内側の勾配に沿って配された断熱材(1303)と、水平となっている天井面(1306a;1306b)との間に有している。温調空気排出空間で十分に加熱された又は冷却された温調空気はこの屋根温調空気配置空間を行き渡り、空間の一方を構成する天井面を加熱又は冷却する。また、空間の反対側を構成する断熱材の断熱効果によって、温調空気から外気への熱の移動を極力小さくする。
<実施形態8 屋根温調空気配置空間:斜天面の場合>
同様に屋根の内側に勾配に沿って断熱材を配している場合において、図14は、部屋の天井面が斜天面となっている場合の立断面図である。建築物は、屋根温調空気配置空間(1407)を、建築物の屋根(1405a;1405b)の内側の勾配に沿って配された断熱材(1403)と、斜天面となっている天井面(1406a;1406b)との間に有している。温調空気排出空間で十分に加熱された又は冷却された温調空気はこの屋根温調空気配置空間を行き渡り、空間の一方を構成する天井面を加熱又は冷却する。また、空間の反対側を構成する断熱材の断熱効果によって、温調空気から外気への熱の移動を極力小さくする。
<実施形態8 効果の簡単な説明>
屋根側に配される断熱材と、断熱材と天井面との間に温調空気を配することで、効率よく冷暖房効果が得られる。
<実施形態9>
<実施形態9の概要>
実施形態9は、上記実施形態7又は実施形態8を基本として、内外壁面の部材継ぎ目がコーキング処理されていることで、無駄な熱移動を防ぎ、効率よく冷暖房効果を得る。
<実施形態9の構成>
実施形態9の構成は、実施形態7の構成と基本的に同様である。相違点は、前記温調空気配置空間は、内外壁面の部材継ぎ目がコーキング処理されている、ことを特徴とする。
<実施形態9の構成の説明>
<実施形態9 コーキング処理>
図15は、実施形態9の輻射冷暖房型建築物において、前記温調空気配置空間は、内外壁面の部材継ぎ目がコーキング処理されていることを説明するために立断面図を用いた概念図である。ここでは、建物の骨組みである2本の柱(1500a;1500b)と、それらの柱に固着された外壁面又は内壁面(1501;1502;1503;1504;1505;1506;1507;1508;1509)から構成される建築物を例示している。
ここにおいて、外壁面どうし又は内壁面どうしの接合部分には微かながらも隙間ができることが普通である。そのような部材継ぎ目における間隙部分にコーキング材(1510:斜線)を充填するコーキング処理によって、建物又は/及び部屋の防水性,気密性などの機能を高め、外気温の影響を極小化する。またさらに、柱に固着された内外壁面に加えて、梁に固着された天井面へのコーキング処理によって、一層の効果が得られる。外壁面のコーキング処理によって、建物の気密性能を1平方センチメートル/平方メートル以下とすることができる(気密性能は、建築物全体の隙間面積を床面積で割った値)。なお、間隙部分によっては、コーキング処理に加えて又は代えて、シールテープやパッキンが用いられてよい。
<実施形態9 効果の簡単な説明>
内外壁面側の部材継ぎ目がコーキング処理されていることで、無駄な熱移動を防ぎ、効率よく冷暖房効果が得られる。
<実施形態10>
<実施形態10の概要>
実施形態10は、上記実施形態1から実施形態9までを基本として、プラスティック製のサッシを利用することによって、建物の防水性,気密性などの機能を高め外気温の影響を極小化する。
<実施形態10の構成>
実施形態10の構成は、実施形態1の構成と基本的に同様である。相違点は、さらにプラスティック製のサッシを利用した建具を備えた、ことを特徴とする。
<実施形態10の構成の説明>
<実施形態10 プラスティック製のサッシ>
図16は、実施形態10の輻射冷暖房型建築物において、さらにプラスティック製のサッシを利用した建具を備えたことを説明するために俯瞰図である。ここでは、内壁面(1601;1602;1603)と床面(1604)とガラス戸(1600a;1600b;1600c;1600d)が配されており、室内の人がガラス戸越しに屋外を見ている俯瞰図である。
建築物の扉や窓である建具の接合部分であるサッシの材質は、プラスティック製のサッシの他にも、木製やスチール製やアルミニウム製などがある。本発明の輻射冷暖房型建築物においては、腐食に強いことや結露の防止や断熱性が高いことから、プラスティック製のサッシを採用することが好ましい。
<実施形態10 効果の簡単な説明>
ガラス戸など建具の接合部分にプラスティック製のサッシを採用することで、建物の防水性、気密性、遮音性などの機能が高まり、外気温の影響が極小化される。
<実施形態11>
<実施形態11の概要>
実施形態11は、上記実施形態5又は実施形態5をベースとする実施形態6から実施形態10までを基本として、前記温調空気排出空間に湿度調整装置を配することで、温調空気の湿度を調整する。
<実施形態11の構成>
実施形態11の構成は、実施形態5の構成と基本的に同様である。相違点は、前記温調空気排出空間には、さらに前記温調空気の湿度を調整するための湿度調整装置をさらに有する、ことを特徴とする。
<実施形態11の構成の説明>
<実施形態11 湿度調整装置>
図17は、実施形態11の輻射冷暖房型建築物において、前記温調空気排出空間には、さらに前記温調空気の湿度を調整するための湿度調整装置をさらに有することを説明するために立断面図を用いた概念図である。ここでは、2つの部屋(1704;1705)から構成される建築物(1701)を例示している。またさらに、2つの部屋はそれぞれ天井面(1704a;1705a)と床面(1704b;1705b)とを有している。ここで、一又は二以上の湿度調整装置(1709a;1709b)は、前記一の冷暖房装置(1702)から排出される前記温調空気の排出空間である温調空気排出空間にあり、前記一の冷暖房装置より温められて又は冷やされて排出された温調空気を、加湿又は除湿して好適な所定湿度に調整する。
冷暖房装置の片側又は両側に設置されている加熱又は冷却された温調空気の排出口(1706a;1706b)から排出され、一又は二以上の湿度調整装置(1709a;1709b)により好適な所定湿度に調整された温調空気は、床面の下で加熱又は冷却された温調空気排出空間(1703)となり、床下、壁の中、天井裏に循環する。循環の間に、放熱又は吸熱して冷暖房効果をもたらすとともに、過大な又は過少な湿度を有する温調空気として温調空気排出空間に戻る。そして冷暖房装置及び湿度調整装置により再び加熱又は冷却され、さらに好適な所定湿度に調整される。なお、図17は、前記一の冷暖房装置で加熱又は冷却された温調空気の排出口が両側にあり、二の湿度調整装置がある例を示しているが、排出口がどちらか片側にのみある場合又は/及び一の湿度調整装置のみある場合であってもよい。その場合の温調空気の流れは、排出口を有する側は上昇気流(特に加熱された空気又は、強制排出された空気)を形成するが、それ以外の温調空気循環の流れは前述の両側に排出口があり、二の湿度調整装置がある例に限定されない。
温調空気の排出口が両側にあり、二の湿度調整装置がある図17は実施形態11の輻射冷暖房型建築物の一例に過ぎないが、その例に限れば、さらに次のことが言える。外壁面の内壁面(1707)に沿って循環する上昇気流は、温調空気排出空間で十分に加熱又は冷却されたばかりの温調空気であり、冷暖房のエネルギーは高い。対して、仕切壁である内壁面に沿った下降気流(1708)は、冷暖房のエネルギーは低い。温調空気は循環の間に吸湿又は減湿するとともに、温調空気の温度変化に伴って相対湿度も変化する。
<実施形態11 効果の簡単な説明>
前記温調空気排出空間に湿度調整装置を配することで温調空気の湿度を調整することが可能となる。
<実施形態12>
<実施形態12の概要>
実施形態12は、上記実施形態11を基本として、湿度調整装置と冷暖房装置とを一体とすることで、簡便な冷暖房の切り替えや温度調整及び湿度調整を可能とする。
<実施形態12の構成>
実施形態12の構成は、実施形態11の構成と基本的に同様である。相違点は、前記湿度調整装置は、前記一又は二以上の冷暖房装置と一体である、ことを特徴とする。
<実施形態12の構成の説明>
<実施形態12 湿度調整装置:図は冷房の例>
図18は、実施形態12の輻射冷暖房型建築物において、前記湿度調整装置は、前記一の冷暖房装置と一体であることを説明するために立断面図を用いた概念図である。なお、この図では、ファンは前記冷却機構の排出口に装着されており、配管の底部に直結された例であるが、これに限定されるものではない。また、ここでは、2つの部屋(1804;1805)から構成される建築物(1800)を例示している。またさらに、2つの部屋はそれぞれ天井面(1804a;1805a)と床面(1804b;1805b)とを有している。この例では、前記一の冷暖房装置は冷却機構であり、前記湿度調整装置と一体(1801)となっており、2つの部屋の床面よりも下側に設けられている。また、冷気供給機構は前記冷却機構の排出口から排出される冷却された温調空気を、すべての部屋の上側に供給する配管(1803)とその入口又は中間又は出口に接続されたファン(1802)によって構成されてもよい。前記部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを室内温度よりも低温に冷却する際の温調空気を前記建築物のすべての部屋の上側に供給する機能を有する。天井面の上を覆う水平気流(1806a)と、すべての部屋の外側に沿った下降気流(1806b)と、床面の下を這う水平気流(1806c)と、になって循環する。そして一体となった冷却機構及び湿度調整装置によって再び冷却及び湿度調整される。この図18は冷房の例であるが、暖房についても同様であることは言うまでもない。
所定の温度に冷却及び所定の湿度に湿度調整された温調空気を、床下、壁の中、天井裏に循環させることで、部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを冷却することで徐々に温度が高くなる。同様に、循環の間に徐々に過大な又は過少な湿度を有する温調空気となって元の温調空気排出空間に戻る。そして冷却機構及び湿度調整装置によって、再び冷却されるとともに所定湿度に調整される。
<実施形態12 効果の簡単な説明>
湿度調整装置と冷暖房装置とを一体とすることで、冷暖房の切り替えや温度調整及び湿度調整が簡便となる。
<実施形態13>
<実施形態13の概要>
実施形態13は、上記実施形態1から実施形態12までを基本として、蓄熱部材を配置することで冷暖房効果を長時間持続させることが可能となる。
<実施形態13の構成>
実施形態13の構成は、実施形態1の構成と基本的に同様である。相違点は、部屋を構成する内壁面と、床面と、天井面の内いずれか一以上の面には蓄熱部材が配置されている、ことを特徴とする。
<実施形態13の構成の説明>
<実施形態13 蓄熱部材>
図19は、実施形態13の輻射冷暖房型建築物において、部屋を構成する内壁面と、床面と、天井面の内いずれか一以上の面には蓄熱部材が配置されており、そのことにより、冷暖房効果が長時間持続されることを説明するために立断面図を用いた概念図である。この図19では特に暖房効果について説明する。実施形態13の建築物において、加熱された内壁面(1901;1904)と、床面(1902)と、天井面(1903)からの輻射熱(1906a;1906b;1906c;1906d)を説明するための立断面図を用いた概念図である。後述の図20に比して室内の人に向かう矢印の本数が多いことで、輻射熱量の増大によって室内の人を温めることを表現している。またこの図は立断面図であるため図示していないが、立体的に考えれば、部屋(1900)は図の手前と図の向こう側にも内壁面があり、そこからの輻射熱の増大によっても温めることになる。また室内の内壁面と床面と天井面の内いずれか一以上の面に直接又は間接に面して室外に蓄熱部材(1907;1908;1909;1910;図の手前と図の向こう側の内壁面の蓄熱部材は省略)を備えており、さらにその外側に加熱機構の熱媒体、例えば加熱されて温められた温調空気、の流動経路そのもの又は流動経路である配管が備えられる空間(1911)を有している。また、加熱機構(暖気である温調空気を含む)と蓄熱部材との間には熱伝達による熱の移動があり、矢印の向きは温度の高い方から低い方へ熱が移動する。ここにおいて、加熱機構と蓄熱部材との間の熱伝達は双方向であり、例えば、加熱機構のスィッチがONのときは加熱機構から蓄熱部材へ熱が移動し、加熱機構のスィッチがOFFのときは蓄熱部材から加熱機構へ熱が移動することを想定している。なお、加熱機構のスィッチがONのときに不測の停電が発生した場合は加熱機構のスィッチがOFFのときと同様に、蓄熱部材から加熱機構へ熱が移動する。
また外気温が急激に下がるような場合、例えば、急に雪が降ったり、あられが降ったりするような場合には外壁や断熱材があっても温調空気が急激に冷やされようとする。そのような場合には温調空気の低下に応じて可及的に蓄熱部材から温調空気に熱移動が起こり、温調空気の低下を未然に防止する働きをする。この点に関しては、冷房の場合にも全く熱の移動方向は逆であるが同じことが起こる。
図20は、実施形態13の輻射冷暖房型建築物において、部屋を構成する内壁面と、床面と、天井面の内いずれか一以上の面には蓄熱部材が配置されており、そのことにより、冷房効果が長時間持続されることを説明するために立断面図を用いた概念図である。実施形態13の建築物において、冷却された内壁面(2001;2004)と、床面(2002)と、天井面(2003)からの輻射熱(2006a;2006b;2006c;2006d)を説明するための立断面図を用いた概念図である。前述の図19に比して室内の人に向かう矢印の本数が少ないことで、輻射熱量の減少によって室内の人(2005)を冷やすことを表現している。またこの図は立断面図であるため図示していないが、立体的に考えれば、部屋(2000)は図の手前と図の向こう側にも内壁面があり、そこからの輻射熱の減少によっても冷やすことになる。また室内の内壁面と床面と天井面の内いずれか一以上の面に直接又は間接に面して室外に蓄熱部材(2007;2008;2009;2010;図の手前と図の向こう側の内壁面の蓄熱部材は省略)を備えており、さらにその外側に冷却機構の熱媒体、例えば冷却されて冷やされた温調空気、の流動経路そのもの又は流動経路である配管が備えられる空間(2011)を有している。また、冷却機構(冷気である温調空気を含む)と蓄熱部材との間には熱伝達による熱の移動があり、矢印の向きは温度の高い方から低い方へ熱が移動する。ここにおいて、冷却機構と蓄熱部材との間の熱伝達は双方向であり、例えば、冷却機構のスィッチがONのときは蓄熱部材から冷却機構へ熱が移動し、冷却機構のスィッチがOFFのときは冷却機構から蓄熱部材へ熱が移動することを想定している。
なお、冷却機構のスィッチがONのときに不測の停電が発生した場合は冷却機構のスィッチがOFFのときと同様に、冷却機構から蓄熱部材へ熱が移動する。
なお、19図と20図の例示は、部屋を構成する内壁面、天井面、床面の内いずれか一以上の面の外側に蓄熱部材を配置する場合であるが、蓄熱部材を配置方法はこの限りではない。例えば、内壁面、天井面、床面を構成する材料に直接付随する形で蓄熱部材が設置されているケースもあり、同様の効果を得る。
<実施形態13のその他の説明>
<実施形態13 蓄熱方式>
蓄熱部材は、相変化を伴わない顕熱を利用する蓄熱方式の場合、比熱の大きな材料として例えば、水、レンガ、セラミックスなどを用いることが考えられる。相変化の際の潜熱を利用する蓄熱方式では、相変化材料として例えば、水、パラフィン、有機化合物、無機塩水和物などを用いることが考えられる。ここで、潜熱を利用する蓄熱方式は物質の融解と凝固という相変化による潜熱を蓄熱するもので、物質の相変化の繰り返しによるだけなので長期間、何度でも繰り返し使用することができる。また、顕熱を利用する蓄熱方式よりも高密度の蓄熱が実現できる上、一定の温度(相変化温度)において潜熱を蓄熱することから、建築物の室内を快適な一定の温度に保つという目的に対して好ましい性質を有する。例えば、外気温が急激又は大きく下降した場合には蓄熱部材は液体から固体に相変化(凝固)することで外気温の冷熱を蓄熱部材の内に蓄熱することで、温調空気の温度を大きく変化させず略一定に保つことができる。逆に、外気温が急激又は大きく上昇した場合には蓄熱部材は固体から液体に相変化(融解)することで外気温の温熱を蓄熱部材の内に蓄熱することで、温調空気の温度を大きく変化させず略一定に保つことができる。なお、蓄熱方式としては、潜熱を利用する蓄熱方式や顕熱を利用する蓄熱方式に限られるものではなく、他にも化学反応利用型、熱電変換型、濃度差型、光化学型なども考えられ、より好適な蓄熱方式を採用するものとする。
<実施形態13 比熱>
図21は、主な物質についての比熱の一覧表を例示している。単位は、物質1グラムの温度を1度上昇させるのに必要な熱量(ジュール)で表している。ここにおいて、比熱の大きい物質ほど、温まり難く冷め難いことから顕熱を利用する蓄熱部材として好適であると言える。なお、この一覧表は例示に過ぎず、蓄熱部材として用いられる物質は、この一覧表以外からも必要に応じて選択、又は/及び、好適に混合されてもよく、この例に限定されるものではない。
<実施形態13 断熱材との併用>
蓄熱部材(潜熱蓄熱材)を外壁や天井(屋根)の断熱材と断熱材の間(中間付近)に配置する場合もある。このように、断熱材の中間に蓄熱部材(潜熱蓄熱材)を入れると、外気温(又は太陽熱によって外壁面や屋根面や小屋裏空間が熱せられる)の変動により建物側への熱の移動(冬は室内側からの熱の移動)を中間に配置した潜熱蓄熱材が相変化することにより熱が伝わることを抑える又は遅らせることで、外気温の影響を抑え、建物内の温度を一定に保つ効果が得られる。
<実施形態13 熱伝達率>
また、内壁面と床面と天井面からの室内空気への熱伝達率は、2つの物体の接触面を通過する熱の伝わりやすさを示し、熱伝達率が高ければ高いほど熱が伝わりやすいということになる。単位時間あたりに伝わる熱量W:ジュール/秒は、熱伝達率と接触面積と2つの物体の温度差に比例する。従って、単位はW/(m・K)が用いられる。図22は、代表的なものについての熱伝達率の一覧表を例示している。但し、同じ物体同士でも流速などによって変化するため、数値に幅がある。
また、内壁面と床面と天井面から室内の人への輻射熱を伝える赤外線は、内壁面と床面と天井面を構成する建材又は壁材によってその周波数が定まるが、例えば、内壁面、天井面、床面を構成する材料に直接付随する形で蓄熱部材が設置されている場合は、蓄熱部材からも輻射熱を伝える赤外線が発せられており、用いられる蓄熱部材によるまた別の周波数で構成される赤外線であることから、全体の赤外線の周波数の構成は複雑化し、室内の人に対する暖房効果はより重層なものになる。
<実施形態13 効果の簡単な説明>
蓄熱部材によって、冷暖房装置の冷暖房効果が長時間持続されることから、省エネ効果が得られる。
<実施形態14>
<実施形態14の概要>
実施形態14は、上記実施形態4又は実施形態4をベースとする実施形態5から実施形態13までを基本として、調湿部材を使用して、効率よく湿度調整効果を得る。
<実施形態14の構成>
実施形態14の構成は、実施形態4の構成と基本的に同様である。相違点は、前記温調空気と接する領域に調湿部材が配置されている、ことを特徴とする。
<実施形態14の構成の説明>
<実施形態14 調湿部材>
図23は、実施形態14の輻射冷暖房型建築物において、前記温調空気と接する領域に調湿部材が配置されていることを説明するために立断面図を用いた概念図である。ここでは、2つの部屋(2302;2303)から構成される建築物(2301)を例示している。またさらに、2つの部屋はそれぞれ天井面(2302a;2303a)と床面(2302b;2303b)とを有している。ここにおいて、2つの部屋の床面の下には床下温調空気配置空間(2304)と、床下温調空気配置空間と接する領域に調湿部材(2305)をさらに有している。調湿部材は、床下温調空気配置空間内の温調空気が過大な湿度を有するときは湿気を吸収し、又は過少な湿度しか有しないときは湿気を排出して、好適な所定の湿度に調整する効能を有する建築部材である。なお、本発明の輻射冷暖房型建築物は床下基礎断熱工法が採用されており、床下は断熱された空間であるので、床下の温調空気配置空間の温度変化に伴って相対湿度も変化する。調湿部材はその変化をやわらげる機能を有する。なお、調湿部材の配置される領域は、温調空気と接する領域において必要に応じて選択される。例えば、屋根裏構造面や外壁面と内壁面の間や内壁面どうしの間などの温調空気配置空間に接する領域に調湿部材を配置することも考えられる。
調湿部材として用いられる素材として、その表面が微細な孔を多数有する多孔質構造でその孔に湿気を吸着するもの、例えばゼオライト、セピオライト、コレマナイト、シラス(マグマセラミック)、シリカゲルなどの石系や木炭、竹炭などの炭系が用いられることが多い。これらは周囲の湿度の変化に応じて湿気を吸ったり放出したりと、言わば"呼吸"をくり返すことで半永久的に調湿効能を失わない。また、湿気を吸着させるだけでなく、有害なホルムアルデヒドや悪臭のなどの有機ガスを吸着するので空気清浄機能、タバコの臭いやアンモニア臭など消臭機能、などの副次効果も期待できる。
<実施形態14 効果の簡単な説明>
温調空気と接する領域に配された調湿部材によって、効率よく湿度調整効果が得られる。
<実施形態15>
<実施形態15の概要>
実施形態15は、上記実施形態4又は実施形態4をベースとする実施形態5から実施形態14までを基本として、温調空気を室内に導入することで温調空気と室内の空気との換気効果を得る。
<実施形態15の構成>
実施形態15の構成は、実施形態4の構成と基本的に同様である。相違点は、温調空気を室内に導入する温調空気導入部をさらに有する、ことを特徴とする。
<実施形態15の構成の説明>
<実施形態15 温調空気導入部>
図24は、実施形態15の輻射冷暖房型建築物において、温調空気を室内に導入する温調空気導入部をさらに有する場合の主な空気の流れを説明するために立断面図を用いた概念図である。ここでは、2つの部屋(2402;2403)から構成される建築物(2401)を例示している。またさらに、2つの部屋はそれぞれ温調空気導入部(2407a;2407b)から温調空気を室内に導入し、導入された温調空気を室外排出口(2408a;2408b)から排出している。この図では一例として、温められ、冷やされた温調空気は床下温調空気配置空間(2403)、外壁面と内壁面の間の温調空気配置空間(2404a;2404b)、屋根温調空気配置空間(2405)、内壁面どうしの間の温調空気配置空間(2406)にそって流通している。この図で例示するように、温調空気配置空間内の温調空気はその一部を室内に導入するように構成してもよく、室内に導入された空気は再度温調空気配置空間に室外排出口から戻入されたり、輻射冷暖房型建築物の外に排出されたりするように構成してもよい(なお、この図では主に温められた空気の流れを想定している)。また、これは一例に過ぎず、この例に限るものではない。その一つとして例えば、温調空気の一部ではなく、温調空気の全部が室内を通過し、室内の人に快適な室温を提供した後に、順次室外の温調空気配置空間に室外排出口から戻入されるように構成することも考えられる。なお、発明の特性からこの室内に導入される温調空気は室内で対流を起こさない程度の風速である必要がある。具体的にはプロペラ型の測定器では風速測定限界以下程度の風速である必要がある。
なお、室内を通過する場合でも流通する温調空気は室内に流入前に壁面等を温めたり、冷やしたりするのに用いられなければならない。例えば室内の人を温める場合には、壁面の温度は室温よりも高温でなければならないからである。従って、壁面等を温めたのちに温度が低下した空気を室内に流入させることとなる。なお、室内への流入は室内の空気に対流を起こさせないものでなければならないので強制吹込みはできるだけしないで空気の自然対流で流入させるように構成することが好ましい。なお、室内の人を冷やす場合には、温める場合と逆の関係が成り立つように構成しなければならない。
<実施形態15のその他の説明>
<実施形態15 熱交換>
また、室外排出口から排出される温調空気は輻射冷暖房型建築物の外に排出されるように構成してもよい。この場合には外から新鮮な空気を温調空気配置空間に導入するように構成してもよく、排出される空気と導入される空気の熱を交換する熱交換器を設置してもよい。
<実施形態15 効果の簡単な説明>
温調空気が室内に導入されることで温調空気と室内の空気との換気効果が得られる。
<実施形態16>
<実施形態16の概要>
実施形態16は、上記実施形態1から実施形態15までを基本として、室内の気圧を調整する気圧調整装置をさらに有して、室内を外気と別に圧力制御することで人の健康に資する構成とすることができる。
<実施形態16の構成>
実施形態16の構成は、実施形態1の構成と基本的に同様である。相違点は、室内の気圧を調整する気圧調整装置をさらに有する、ことを特徴とする。
<実施形態16の構成の説明>
<実施形態16 気圧調整装置>
本件発明の輻射冷暖房型建築物は、室内の気密性を高めるために内壁面の部材継ぎ目にコーキング処理をするとともに、建物全体の気密性を高めるために外壁面にもコーキング処理をする。なお、間隙部分によっては、コーキング処理に加えて又は代えて、シールテープやパッキンが用いられてよい。さらに、室内の気密性を上げるために内壁面には気密シートによる気密処理をすることも考えられる。気密シートは、室内から見て内壁面の外側に配置するのが好ましい。また前述のとおり室内に貫通する配管類がある場合には配管と内壁面との隙間はコーキング処理をする。同様に外壁面を貫通する配管類がある場合にも配管と外壁面との隙間はコーキング処理をする。これにより、気密性能を1平方センチメートル/平方メートル以下とする。ここで気密性能は、床面積で建築物全体の隙間面積を除した値である。
このような気密性を持たせた上で、室内を外気と別に圧力制御することで人の健康に資する構成とすることができる。具体的には室内圧を制御できるコンプレッサを設けて外気が低圧となる場合には外気に対してより高い圧力に建築物の室内を加圧する。外気圧を測定する外気圧測定装置と室内気圧測定装置を設け、さらに室内設定圧を保持し、測定された外気圧が室内設定圧を下回る場合にはコンプレッサを駆動して室内圧を設定圧に維持するような気圧調整装置を有するように構成する。なお、気圧調整装置としてはコンプレッサの代わりに送風ファンを用いることも考えられる。これは気圧病対策として有効である室内を加圧するためには、例えば換気扇は開閉可能扉付きのものにする。なお、加圧する空間は温調空気排出空間とし、温調空気を室内に導入する前述の構成とすれば室内が温調空気によって加圧され、目的を達成できる。ただし、この例に限定される必要はなく、空圧的に連続している部屋のいずれかに対して加圧する構成を採用することもできる。また、空圧的に連続している温調空気配置空間全体や温調空気を室内に導入する構成の室内を設定圧に維持するだけでなく、ある特定の一以上の室内に限って設定圧に維持することも考えられる。
<実施形態16 効果の簡単な説明>
気圧調整装置により、室内気圧を室内設定圧以上に維持することで、気圧病対策として有効である。
<実施形態17>
<実施形態17の概要>
実施形態17は、上記実施形態3をベースとする実施形態4を基本として、建築物の床面、壁面、天井面のいずれか一以上に隣接して設ける隣接温調空気排出空間をさらに有するように構成することで、床下空間の高さが冷暖房装置設置に十分でない場合も含めて、輻射冷暖房型建築物とすることができる。
<実施形態17の構成>
実施形態17の構成は、実施形態4の構成と基本的に同様である。相違点は、建築物の床面、壁面、天井面のいずれか一以上に隣接して設ける前記一又は二以上の冷暖房装置から排出される輻射熱量制御のための前記温調空気の排出空間である隣接温調空気排出空間をさらに有する、ことを特徴とする。
<実施形態17の構成の説明>
<実施形態17 隣接温調空気排出空間>
隣接温調空気排出空間は、実施形態17の輻射冷暖房型建築物において、建築物の床面、壁面、天井面のいずれか一以上に隣接して設けられた前記一又は二以上の冷暖房装置から排出される前記温調空気の排出空間である。図28は、隣接温調空気排出空間(2807)をさらに有する場合の主な空気の流れを説明するために立断面図を用いた概念図である。ここでは、2つの部屋(2800a;2800b)から構成される建築物(2802)を例示している。またさらに、2つの部屋はそれぞれ天井面(2806a;2806b)と床面(2809a;2809b)と外壁側の内壁面(2804a;2804b)と仕切壁である内壁面(2810a;2810b)を有している。ここにおいて、前記一の冷暖房装置(2811)は、2つの部屋の天井面よりも上側に設けられている。ここで排出される温められた、ないしは、冷やされた空気は冷暖房装置から強制排出されてもよいし、強制排出されなくともよい。つまり、ファンなどによって風力をつけられて排出されてもよいし、ファンなどを用いない自然加熱冷却であってもよい。
前記一の冷暖房装置の片側又は両側に設置されている加熱又は冷却された温調空気の排出口(2812)から排出された温調空気は、天井面の上で加熱又は冷却された温調空気排出空間(2807)における水平気流となり、さらに建築物の外壁側の内壁面又は仕切壁である内壁面に沿って循環する下降気流となる。またさらに床面の下にある温調空気は強制的に押し出されて水平気流として循環し、下降気流の来ない外壁側の内壁面又は仕切壁である内壁面に沿って循環する上昇気流となる。そして前記一の冷暖房装置によって、再び加熱又は冷却される。このように、熱媒体である所定の温度に加熱又は冷却された温調空気を、床下、壁の中、天井裏に循環させることで、部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを加熱又は冷却し、空気を介さず直接に、加熱又は冷却された内壁面と床面と天井面からの輻射熱量の増大又は減少によって室内の人を温める又は室内の人を冷やすことで、家中どこでもほぼ一定で快適な体感温度を享受することが可能となる。なお、図28は、前記一の冷暖房装置が天井面に隣接されているが、建築物の床面、壁面、天井面のいずれか一以上に隣接して設けることとしてもよく、この例に限定されるものではない。またさらに、図28は、前記一の冷暖房装置で加熱又は冷却された温調空気の排出口が部屋の仕切壁のある中央に向かう片側のみにあり、仕切壁の間にある配管とその入口又は中間又は出口に接続されたファンによって構成された、暖気又は冷気である温調空気を強制的に床面下に送り込む温調空気の供給機構の仕組みを備える例を示しているが、温調空気の供給機構の仕組みを備えることは必須ではなく、この例に限定されるものではない。また、排出口についても、排出口が外壁側に向かって片側にのみある場合であってもよいし、排出口が両側にあってもよい。それらの場合の温調空気の流れはこの例に限定されるものではない。
なお、温調空気排出空間を採用することで冷暖房装置からの空気の温度にばらつきが生じても温調空気排出空間内の空気によって全体が一定の温度となるために建築物の壁面や床面、天井面を加熱したり、冷却したりする空気の温度をばらつかせないで済むという効果を有する。空気の温度がばらつくと空気の流れがばらつくことでも壁面や床面、天井面の加熱、冷却に影響が出る。さらに、温度のばらつきを小さくするために空気を流通させる部分はできるだけ広い方がよい。従って温調空気は壁面や床面、天井面に平行な層流を構成できるような構成であることが好ましい。つまり、管状の流路であるよりも層流である方が好ましい。
すなわち、ここで温調空気の循環は通路、流路のような管状の構造物を壁面の一部に這わせて行われるのでなく、管状の構造物を壁面に沿わせる場合には例えば図7に示すように壁面の全体を引き回すように構成する。また管状の構造物を利用しない場合には平行に対向する外壁と内壁との間の空間の全体、天井面及び床面に対して温調空気を流通させる。つまり、温調空気排出空間は直接天井面に接し、また、外壁と内壁との間にできた板状空間に接する。この場合、温調空気排出空間からの温調空気は、板状空間を層状となって上昇したり、下降したりする。
<実施形態17 効果の簡単な説明>
冷暖房装置を設置するための床下空間の高さが十分に確保できない場合、例えばマンションの一角をリノベーションするような場合でも、冷暖房装置を設置するための空間の高さが十分に確保できる余地があれば、輻射冷暖房型建築物が実現できる。
<実施形態18>
<実施形態18の概要>
実施形態18は、上記実施形態17を基本として、前記冷暖房装置は冷房装置と暖房装置に分けて設けられており、冷房装置は、天井面に隣接した温調空気の排出空間である隣接冷房温調空気排出空間に設けられ、暖房装置は、床面に隣接した床下の前記温調空気の排出空間である隣接床下温調空気排出空間に設けられる。また、暑い日には冷房装置を稼働させ、寒い日には暖房装置を稼働させることとする。冷房装置から排出される冷気は、重くて下降気流となりやすい性質、及び暖房装置から排出される暖気は、軽くて上昇気流となりやすい性質を利用して、送風ファンなどの無駄な電力消費を省くことができる。
<実施形態18の構成>
実施形態18の構成は、実施形態17の構成と基本的に同様である。相違点は、前記冷暖房装置は冷房装置と暖房装置に分けて設けられており、冷房装置は、天井面に隣接した温調空気の排出空間である隣接冷房温調空気排出空間に設けられ、暖房装置は、床面に隣接した床下の前記温調空気の排出空間である隣接床下温調空気排出空間に設けられる、ことを特徴とする。
<実施形態18の構成の説明>
<実施形態18 隣接冷房温調空気排出空間>
隣接冷房温調空気排出空間は、天井面に隣接した温調空気排出空間であり、隣接冷房温調空気排出空間に設けられた冷房装置から冷却された温調空気が排出される。図29は、隣接冷房温調空気排出空間(2909)に排出された冷却された温調空気の主な空気の流れを説明するために立断面図を用いた概念図である。ここでは、2つの部屋(2904;2905)から構成される建築物(2901)を例示している。またさらに、2つの部屋はそれぞれ天井面(2904a;2905a)と床面(2904b;2905b)と外壁側の内壁面(2904c;2905c)と仕切壁である内壁面(2904d;2905d)を有している。ここにおいて、前記冷房装置(2911)は、両側に排出口(2912a;2912b)を有している例であり、冷却されて排出された冷たくて重い温調空気は2つの部屋の天井面の上に隣接する隣接冷房温調空気排出空間に滞留し、さらに建築物の外壁側の内壁面(2904c;2905c)に沿って循環する下降気流(2907)となり、またさらに床面の下の温調空気配置空間(2903)を這う、なお、この床面の下の温調空気配置空間に設けられた両側に排出口(2906a;2906b)を有している暖房装置(2902)は稼働していない。このようにして、冷房装置によって冷却された冷たい温調空気は、部屋の天井面、内壁面、床面を冷やすことで徐々に冷却力を失って軽くなり、下降気流の来ない部屋の仕切壁である内壁面に沿って上昇気流(2908)となって循環する。そして冷房装置によって、再び冷却される。排出口が片側のみの場合はこのような対称的な温調空気の流れになるとは限らないが、冷却された重い温調空気が下降気流となり、冷却力を失った軽い温調空気が上昇気流となることは同じである。
<実施形態18 隣接床下温調空気排出空間>
隣接床下温調空気排出空間は、床下に隣接した温調空気排出空間であり、隣接床下温調空気排出空間に設けられた暖房装置から加熱された温調空気が排出される。図30は、隣接床下温調空気排出空間(3003)に排出された暖房された温調空気の主な空気の流れを説明するために立断面図を用いた概念図である。ここでは、2つの部屋(3004;3005)から構成される建築物(3001)を例示している。またさらに、2つの部屋はそれぞれ天井面(3004a;3005a)と床面(3004b;3005b)と外壁側の内壁面(3004c;3005c)と仕切壁である内壁面(3004d;3005d)を有している。ここにおいて、前記暖房装置(3002)は、両側に排出口(3006a;3006b)を有している例であり、加熱されて排出された温かくて軽い温調空気は2つの部屋の床下に隣接する隣接床下温調空気排出空間に滞留し、さらに建築物の外壁側の内壁面(3004c;3005c)に沿って循環する上昇気流(3007)となり、またさらに天井面の上の温調空気配置空間(3009)を覆う。なお、この天井面の上の温調空気配置空間に設けられた両側に排出口(3012a;3012b)を有している冷房装置(3011)は稼働していない。このようにして、暖房装置によって加熱されて温められた温調空気は、部屋の床面、内壁面、天井面を温めることで徐々に暖房力を失って重くなり、上昇気流の来ない部屋の仕切壁である内壁面に沿って下降気流(3008)となって循環する。そして暖房装置によって、再び加熱される。排出口が片側のみの場合はこのような対称的な温調空気の流れになるとは限らないが、加熱された軽い温調空気が上昇気流となり、暖房力を失った重い温調空気が下降気流となることは同じである。
<実施形態18 効果の簡単な説明>
冷房装置を天井面に隣接した隣接冷房温調空気排出空間に設け、暖房装置を床面に隣接した隣接床下温調空気排出空間に設けることで、温調空気の循環がされやすくなるため、送風ファンなどの設置を省け、省エネルギー化できる。
<その他の実施形態1>
<その他の実施形態1 電気料金の安い時間帯での蓄熱>
さらに暖気や冷気を電気料金などが安い夜間の時間帯に作りだし、潜熱蓄熱材に蓄積することで省エネルギー型の建築物とすることが考えられる。但し、冷暖房装置がヒートポンプ型エアコンの場合、夏は夜間の外気温が低い時間帯に冷気をつくる方が、夜間の電気料金の安さに加えて特段に効率が良いものの、逆に冬は日中の外気温が高い時間帯に暖気をつくる方が、昼間の電気料金の高さ以上に効率が良い。また、潜熱蓄熱材は床下の温調空気排出空間の上面、すなわち床面に接続して配置することが好ましい。さらに屋根と天井面との間の屋根温調空気配置空間に暖気や冷気の対流空間に潜熱蓄熱材を配置することも考えられる。これらの二つの空間は比較的広い空間なので潜熱蓄熱材を配置する十分なスペースを確保できるからである。
<その他の実施形態1 温調空気配置空間の配置>
なお、床下の温調空気排出空間や、屋根温調空気配置空間へは人が手を入れたりするように構成することが考えられる。床下の温調空気排出空間は床下に降りる半地下室又は地下室から覗けたり、扉を開けて入れたり、手を入れられたりすると加熱機構等、潜熱蓄熱材等のメンテナンスが容易となる。またこれらの出し入れ構造は、加熱機構、冷却機構などの役割を果たす冷暖房装置をそのまま出し入れできるような空間配置であると、冷暖房装置の故障時に装置毎入れ替えられるので便利である。
<その他の効果>
<その他の効果:結露予防効果>
本件発明の輻射冷暖房型建築物は、熱媒体である所定の温度に加熱又は冷却された温調空気を、床下、壁の中、天井裏に循環させることで、湿気が溜まり難い。加えて、壁の内側と外側において、温度差が無くなり、室内結露を予防する効果がある。このことから、輻射冷暖房型建築物は傷みが少なく、建物として長持ちするというばかりでなく、人の健康面から見ても病気の原因となるカビの発生を予防できる、という効果がある。
<その他の効果:防音効果>
本件発明の輻射冷暖房型建築物は、外壁の気密性及び断熱性を高めることで、外気温の影響を極小化する効果ばかりでなく、外の音が入ってこなくなり、部屋の中が静かに保たれるという防音効果も高めることができる。
<その他の効果:温調空気配置空間の利用>
本件発明の輻射冷暖房型建築物は、さらにこの温調空気配置空間を配線空間などに利用することができることから、電気配線(例えばコンセントの電力線、電話のケーブル、インターネット通信用配線、住宅内LAN配線、住宅のインターフォン配線、住宅内外の監視カメラ・モニター用配線、テレビ信号用配線)や、各種配管(水道水、都市ガス、プロパンガス、温水・冷水、)のメンテナンスや新設などが、容易である。
<その他の効果:生き物に優しい>
さらに、この発明の輻射冷暖房型建築物では、温度の変化に敏感な生き物を飼育することにも応用できる。輻射熱で冷暖房するので生き物にも優しく、例えば水槽で飼育する熱帯魚なども輻射熱で温められるので水槽の温調機器が不要となる。
<その他の効果:ホコリの抑制>
さらに、本件発明の輻射冷暖房型建築物では、室内の空気を温めたり、冷やしたりを冷暖房装置等を利用してする必要がないので、冷暖房装置を室内冷暖房用に設けない建築物を実現可能であり、したがって、室内の空気流の発生を最小に抑えることができる。このためホコリなどで病状が悪化する喘息等の疾病をかかえる人や、花粉症などの人にも暮らしやすい住宅を提供することができる。また、ホコリが舞い上がり、いろいろな場所に堆積することも少なくなるので、室内の清掃の手間を少なくできる、というメリットも有する。
0901:輻射冷暖房型建築物
0902:冷暖房装置
0903:温調空気排出空間
0904,0905:部屋
0904a,0905a:天井面
0904b,0905b:床面
0906a,0906b:温調空気の排出口
0907:上昇気流、0908:下降気流

Claims (18)

  1. 部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面との全面(内壁面と外壁面との接続部材及び屋内と屋外にわたって配置される構造部材は除く)を温度制御し、室内の人に対する内壁面と、床面と、天井面からの輻射熱量を制御すると共に、
    前記内壁面は、加熱機構によって、室内温度よりも高温に加熱することにより、内壁面からの輻射熱量の増大によって室内の人を温め、冷却機構によって、室内温度よりも低温に冷却することにより、内壁面からの輻射熱量の減少によって室内の人を冷やすことで室内の人の体感温度を最適化可能な輻射冷暖房型建築物。
  2. 前記内壁面は、建築物内で隣接する部屋を仕切る仕切壁を含む請求項1に記載の輻射冷暖房型建築物。
  3. 部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面との温度制御は、一又は二以上の冷暖房装置で行われる請求項1又は請求項2に記載の輻射冷暖房型建築物。
  4. 前記温度制御は、温調空気によってなされる請求項1から請求項3のいずれか一に記載の輻射冷暖房型建築物。
  5. 建築物のすべての部屋の床面よりも下側に設けられた前記一又は二以上の冷暖房装置から排出される輻射熱量制御のための前記温調空気の排出空間である温調空気排出空間をさらに有する請求項3に従属する請求項4に記載の輻射冷暖房型建築物。
  6. 前記部屋を構成するすべての内壁面と、床面と、天井面とを室内温度よりも低温に冷却する際の温調空気を前記建築物のすべての部屋の上側に供給する冷気供給機構をさらに有する請求項4又は請求項5のいずれか一に記載の輻射冷暖房型建築物。
  7. 前記部屋を構成するすべての内壁面のうち、建築物の外壁面の内側を構成する内壁面には、外側にさらに配される断熱材と、断熱材と内壁面との間に前記排出空間と空間的に連結された温調空気を行き渡らせる内壁面温調空気配置空間とをさらに有する請求項5又は請求項5に従属する請求項6に記載の輻射冷暖房型建築物。
  8. 前記部屋を構成するすべての天井面のうち、建築物の屋根の内側を構成する天井面には、屋根側にさらに配される断熱材と、断熱材と天井面との間に前記排出空間と空間的に連結された温調空気を行き渡らせる屋根温調空気配置空間とをさらに有する請求項5、請求項5に従属する請求項6又は請求項5に従属する請求項7に記載の輻射冷暖房型建築物。
  9. 前記温調空気配置空間は、内外壁面の部材継ぎ目がコーキング処理されている請求項7又は請求項8に記載の輻射冷暖房型建築物。
  10. さらにプラスティック製のサッシを利用した建具を備えた請求項1から請求項9のいずれか一に記載の輻射冷暖房型建築物。
  11. 前記温調空気排出空間には、さらに前記温調空気の湿度を調整するための湿度調整装置をさらに有する請求項5、請求項5に従属する請求項6から請求項10のいずれか一に記載の輻射冷暖房型建築物。
  12. 前記湿度調整装置は、前記一又は二以上の冷暖房装置と一体である請求項11に記載の輻射冷暖房型建築物。
  13. 部屋を構成する壁面と、床面と、天井面のいずれか一以上に蓄熱部材が配置されている請求項1から請求項12のいずれか一に記載の輻射冷暖房型建築物。
  14. 前記温調空気と接する領域に調湿部材が配置されている請求項4、請求項4に従属する請求項5から請求項13のいずれか一に記載の輻射冷暖房型建築物。
  15. 温調空気を室内に導入する温調空気導入部をさらに有する請求項4から請求項4に従属する請求項5から請求項14のいずれか一に記載の輻射冷暖房型建築物。
  16. 室内の気圧を調整する気圧調整装置をさらに有する請求項1から請求項15のいずれか一に記載の輻射冷暖房型建築物。
  17. 建築物の床面、壁面、天井面のいずれか一以上に隣接して設ける前記一又は二以上の冷暖房装置から排出される輻射熱量制御のための前記温調空気の排出空間である隣接温調空気排出空間をさらに有する請求項3に従属する請求項4に記載の輻射冷暖房型建築物。
  18. 前記冷暖房装置は冷房装置と暖房装置に分けて設けられており、冷房装置は、天井面に隣接した温調空気の排出空間である隣接冷房温調空気排出空間に設けられ、暖房装置は、床面に隣接した床下の前記温調空気の排出空間である隣接床下温調空気排出空間に設けられる請求項17に記載の輻射冷暖房型建築物。
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