本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による無線通信システムの構成を示す概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態1による無線通信システム10は、無線基地局1,2と、端末装置3〜6とを備える。
無線基地局1,2は、有線ケーブル20を介してネットワーク30に接続される。また、無線基地局1は、有線ケーブル20を介して無線基地局2と接続されていてもよい。
無線基地局1,2の各々は、例えば、3つのチャネルCH1〜CH3のうちのいずれかを用いて端末装置3〜6との間で無線通信を行う。
無線基地局1,2の各々は、スリープ状態にあるとき、端末装置3〜6のいずれかから送信されたウェイクアップ信号を受信すると、ウェイクアップ信号によって指定されたチャネルでスリープ状態から起動状態へ移行する。
無線基地局1,2の各々は、スリープ状態から起動状態へ移行すると、後述する方法によって、無線通信に使用しているチャネルCH_useにおける負荷を検出する。そして、無線基地局1,2の各々は、後述する方法によって、その検出した負荷に基づいて、自己がどのような状態であるかを判定する。その後、無線基地局1,2の各々は、チャネルCH_useを示すチャネル情報と、自己の状態を示す状態情報とを含むビーコンフレームをブロードキャストする。
なお、無線基地局1,2の各々は、負荷の検出、自己の状態判定およびチャネル情報と状態情報とのブロードキャストを定期的に行う。
また、この発明の実施の形態においては、スリープ状態とは、無線通信を行うことができない状態を言い、起動状態とは、無線通信を行うことができる状態を言う。
端末装置3〜6は、無線基地局1の通信範囲および無線基地局2の通信範囲に存在する。
端末装置3〜6は、無線基地局1,2からビーコンフレームを定期的に受信する。端末装置3〜6は、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)方式によって無線基地局1または無線基地局2と無線通信を行う。
端末装置3〜6は、起動状態である無線基地局1に接続しており、かつ、無線基地局2がスリープ状態であるときに、無線基地局1からビーコンフレームを受信すると、ビーコンフレームに含まれるチャネル情報および状態情報を検出する。そして、端末装置3〜6は、その検出した状態情報に基づいて無線基地局1が過負荷状態であることを検知すると、チャネル情報によって示されるチャネルCH_use以外のチャネルCH_otherを示すチャネル情報CH_other_infoと無線基地局2をスリープ状態から起動状態へ移行させるためのウェイクアップID(=無線基地局2の識別情報)とを含むウェイクアップ信号を生成する。そして、端末装置3〜6は、その生成したウェイクアップ信号をブロードキャストする。即ち、端末装置3〜6は、無線基地局1が過負荷状態であることを検知すると、無線基地局1が使用しているチャネルCH_use以外のチャネルで起動するようにウェイクアップ信号を無線基地局2へ送信する。
その後、無線基地局2がスリープ状態から起動状態へ移行すると、端末装置3〜6の一部は、接続先を無線基地局1から無線基地局2へ切り替え、チャネルCH_otherで無線基地局2と無線通信を行う。
端末装置3〜6は、無線基地局1,2の両方が起動状態へ移行しているとき、無線基地局1,2からビーコンフレームを受信する毎に、その受信したビーコンフレームに含まれる状態情報に基づいて、後述する方法によって、負荷集約処理および負荷分散処理のいずれかを行う。
図2は、図1に示す無線基地局1の構成図である。図2を参照して、無線基地局1は、アンテナ11と、切替器12と、ウェイクアップ装置13と、メイン装置14と、電源15とを含む。
アンテナ11は、切替器12を介してウェイクアップ装置13またはメイン装置14に接続される。
切替器12は、アンテナ11と、ウェイクアップ装置13およびメイン装置14との間に接続される。
アンテナ11は、無線通信によって端末装置3〜6のいずれかからパケットを受信し、その受信したパケットを切替器12を介してウェイクアップ装置13またはメイン装置14へ出力する。また、アンテナ11は、メイン装置14から受けたパケットを無線通信によって端末装置3〜6のいずれかへ送信する。
切替器12は、メイン装置14からの制御信号CTLに応じて、アンテナ11をウェイクアップ装置13またはメイン装置14に接続する。
ウェイクアップ装置13は、例えば、100μWの電力を電源15から受け、その受けた電力によって駆動される。また、ウェイクアップ装置13は、メイン装置14がスリープ状態にあるとき、切替器12を介してアンテナ11に接続される。そして、ウェイクアップ装置13は、アンテナ11を介して端末装置3〜6のいずれかからウェイクアップ信号を受信すると、その受信したウェイクアップ信号に含まれるウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致するか否かを判定する。ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致すると判定したとき、起動信号を生成し、その生成した起動信号と、ウェイクアップ信号に含まれるチャネル情報CH_other_infoとをメイン装置14へ出力する。
一方、ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致しないとき、ウェイクアップ信号を破棄する。そして、ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップ信号の受信を待つ状態になる。
なお、ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップ信号等のパケットを受信する機能のみを有し、パケットを送信する機能を有しない。
メイン装置14は、例えば、7Wの電力を電源15から受け、その受けた電力によって駆動される。
メイン装置14は、起動状態であるとき、アンテナ11を介して端末装置3〜6のいずれかと無線通信を行い、有線ケーブル20を介して他の通信装置と通信を行う。
また、メイン装置14は、一定の期間T1、端末装置3〜6と無線通信を行わなかったとき、または無線基地局1に接続している端末装置が存在しないとき、起動状態からスリープ状態へ移行する。なお、一定の期間T1は、例えば、数十秒に設定される。
更に、メイン装置14は、スリープ状態にあるときに、ウェイクアップ装置13から起動信号を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。そして、メイン装置14は、起動信号によって指示されたチャネルCH_otherで端末装置3〜6と無線通信を行う。
更に、メイン装置14は、端末装置3〜6との無線通信に使用しているチャネルCH_useにおいて、無線基地局1に接続している端末装置の台数N(Nは正の整数)を無線基地局1の負荷として検出する。そして、メイン装置14は、その検出した台数Nに基づいて、後述する方法によって、無線基地局1の状態stateを判定する。その後、メイン装置14は、チャネルCH_useを示すチャネル情報CH_use_infoと、無線基地局1の状態stateを示す状態情報state_infoとを含むビーコンフレームBeaconを生成し、その生成したビーコンフレームBeaconをアンテナ11を介してブロードキャストする。
電源15は、100μWの電力をウェイクアップ装置13へ供給し、7Wの電力をメイン装置14へ供給する。
切替器12は、スイッチ121と、端子122,123とを含む。ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップ信号受信器131と、ウェイクアップ判定器132とを含む。メイン装置14は、無線通信モジュール141と、有線通信モジュール142と、ホストシステム143とを含む。
スイッチ121は、アンテナ11に接続される。端子122は、ウェイクアップ信号受信器131に接続される。端子123は、無線通信モジュール141に接続される。
スイッチ121は、メイン装置14のホストシステム143から制御信号CTLを受ける。そして、スイッチ121は、その制御信号CTLによってアンテナ11を端子122または端子123に接続する。
この場合、制御信号CTLは、L(論理ロー)レベルの信号、またはH(論理ハイ)レベルの信号からなる。そして、スイッチ121は、制御信号CTLがLレベルの信号からなる場合、アンテナ11を端子122に接続し、制御信号CTLがHレベルの信号からなる場合、アンテナ11を端子123に接続する。
ウェイクアップ信号受信器131は、パケットを受信する機能のみを有し、パケットを送信する機能を有しない。
ウェイクアップ信号受信器131は、無線通信帯域に含まれる周波数に設定されたチャネルCH1〜CH3を有する。そして、ウェイクアップ信号受信器131は、スイッチ121が端子122に接続されたとき、チャネルCH1〜CH3の全てまたはチャネルCH1〜CH3のうちのいずれかのチャネルでウェイクアップ信号を待ち受ける。
ウェイクアップ信号受信器131は、ウェイクアップ信号をアンテナ11を介して受信すると、その受信したウェイクアップ信号を復調し、その復調したウェイクアップ信号をウェイクアップ判定器132へ出力する。
ウェイクアップ判定器132は、無線基地局1のIDを予め保持している。ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップ信号をウェイクアップ信号受信器131から受ける。そして、ウェイクアップ判定器132は、その受けたウェイクアップ信号に含まれるウェイクアップIDおよびチャネル情報CH_other_infoを抽出する。
そうすると、ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致するか否かを判定する。ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致すると判定したとき、チャネル情報CH_other_infoによって指定されたチャネルCH_otherで起動することを指示する起動信号DRVを生成し、その生成した起動信号DRVをメイン装置14のホストシステム143へ出力する。一方、ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致しないと判定したとき、その抽出したウェイクアップIDを破棄する。
無線通信モジュール141は、端末装置3〜6との間のデータ通信に使用されるチャネルCH_useをホストシステム143から受ける。
無線通信モジュール141は、ホストシステム143からコマンド信号COM1を受けると、起動状態からスリープ状態へ移行し、ホストシステム143からコマンド信号COM2を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。なお、このスリープ状態は、無線通信モジュール141が動作を停止した状態である。
そして、無線通信モジュール141は、起動状態へ移行すると、無線基地局1が起動したことを端末装置3〜6へ通知するためのパケット(起動通知)を生成し、その生成したパケット(起動通知)をチャネルCH_useで端末装置3〜6へ送信する。
その後、無線通信モジュール141は、無線基地局1の状態stateを示す状態情報state_infoと、チャネルCH_useを示すチャネル情報CH_use_infoとをホストシステム143から受ける。そして、無線通信モジュール141は、チャネル情報CH_use_infoと状態情報state_infoとを含むビーコンフレームBeaconを定期的に生成し、その生成したビーコンフレームBeaconを定期的に送信する。その後、無線通信モジュール141は、端末装置3〜6のいずれかとの間で無線通信リンクを確立する。そして、無線通信モジュール141は、端末装置3〜6のいずれかと無線通信を行う。この場合、無線通信モジュール141は、端末装置3〜6のいずれかから受信したパケットからデータを取り出してホストシステム143へ出力し、ホストシステム143から受けたデータを含むパケットを生成して端末装置3〜6のいずれかへ送信する。
有線通信モジュール142は、有線ケーブル20を介して他の通信装置からデータを受信し、その受信したデータをホストシステム143へ出力する。
また、有線通信モジュール142は、ホストシステム143からデータを受け、その受けたデータを有線ケーブル20を介して他の通信装置へ送信する。
更に、有線通信モジュール142は、ホストシステム143からコマンド信号COM1を受けると、起動状態からスリープ状態へ移行し、ホストシステム143からコマンド信号COM2を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。なお、このスリープ状態とは、パケットを受信できない状態である。
ホストシステム143は、一定の期間T1、端末装置3〜6からのパケットを無線通信モジュール141を介して受けないとき、または無線基地局1の通信範囲内に端末装置が存在しないとき、コマンド信号COM1を生成し、その生成したコマンド信号COM1を無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力するとともに、Lレベルの制御信号CTLを生成して切替器12へ出力する。そして、ホストシステム143は、スリープ状態(=停止状態)へ移行する。
また、ホストシステム143は、ウェイクアップ判定器132から起動信号DRVを受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。そして、ホストシステム143は、コマンド信号COM2を生成し、その生成したコマンド信号COM2を無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力するとともに、Hレベルの制御信号CTLを生成して切替器12へ出力する。その後、ホストシステム143は、起動信号DRVによって指示されたチャネルCH_otherを無線通信モジュール141へ出力する。
更に、ホストシステム143は、無線基地局1に接続している端末装置の台数Nを無線基地局1の負荷として検出し、その検出した台数Nに基づいて、後述する方法によって無線基地局1の状態stateを判定する。そして、ホストシステム143は、その判定した状態stateを示す状態情報state_infoを生成して無線通信モジュール141へ出力する。
更に、ホストシステム143は、無線通信モジュール141からデータを受けると、その受けたデータを有線通信モジュール142へ出力する。
更に、ホストシステム143は、有線通信モジュール142からデータを受けると、その受けたデータを無線通信モジュール141へ出力する。
なお、図1に示す無線基地局2も、図2に示す無線基地局1と同じ構成からなる。
また、無線基地局1,2の各々は、切替器12を備えず、アンテナ11に代えて、ウェイクアップ信号受信器131に接続されたアンテナと、無線通信モジュール141に接続されたアンテナとを備えていてもよい。この場合、ホストシステム143は、制御信号CTLを出力しない。
図3は、図1に示す端末装置3の構成図である。図3を参照して、端末装置3は、アンテナ31と、無線通信モジュール32と、ウェイクアップ信号送信器33と、ホストシステム34とを含む。
無線通信モジュール32は、アンテナ31を介して無線基地局1から起動通知をチャネルCH_use1(チャネルCH_useの一種)で受信すると、チャネルCH_use1を用いて無線基地局1との間で無線通信リンクを確立し、無線基地局1との間で無線通信を行う。
この場合、無線通信モジュール32は、アンテナ31を介して無線基地局1からパケットを受信し、その受信したパケットを復調してデータを取り出し、その取り出したデータをホストシステム34へ出力する。また、無線通信モジュール32は、ホストシステム34からデータを受け、その受けたデータを含むパケットを生成し、その生成したパケットを無線LANによる変調方式によって変調し、その変調したパケットをチャネルCH_use1でアンテナ31を介して無線基地局1へ送信する。
また、無線通信モジュール32は、同様にして、チャネルCH_use2(チャネルCH_use1と異なるチャネルCH_useの一種)を用いて無線基地局2との間で無線通信リンクを確立するとともに無線基地局2との間で無線通信を行う。
更に、無線通信モジュール32は、無線基地局1または無線基地局2からビーコンフレームBeaconを受信し、その受信したビーコンフレームBeaconをホストシステム34へ出力する。
なお、無線通信モジュール32は、無線基地局1または無線基地局2がデータ通信に使用するチャネルCH_use1またはCH_use2が起動通知に含まれている場合、即座に自己の通信チャネルをチャネルCH_use1またはCH_use2に設定し、その設定したチャネルCH_use1またはCH_use2を用いて無線基地局1または無線基地局2との間で無線通信リンクを確立し、無線基地局1または無線基地局2との間で無線通信を行う。
ウェイクアップ信号送信器33は、チャネル情報CH_other_info、コマンド信号COM3およびESSID(またはBSSID)をホストシステム34から受けると、ESSID、BSSID、およびそれらのハッシュ値等のいずれかからなるウェイクアップIDを生成し、その生成したウェイクアップIDと、チャネル情報CH_other_infoとを含むウェイクアップ信号を生成する。なお、ウェイクアップIDは、端末装置3が起動させる無線基地局を示す情報である。
そして、ウェイクアップ信号送信器33は、ウェイクアップ信号を伝送レートの低い変調方式、例えば、オンオフキーイングおよび特許文献2に記載のフレーム長変調等の変調方式によって変調し、その変調したウェイクアップ信号をアンテナ31を介してチャネルCH1〜CH3の全てでブロードキャストする。
この伝送レートの低い変調方式は、伝送レートが数十kbps〜数百kbpsである変調方式であり、通常の無線LANに用いられる変調方式よりも伝送レートが低い。このように伝送レートが低い変調方式によってウェイクアップ信号を変調するのは、100μWという非常に低い電力で動作するウェイクアップ装置13によってウェイクアップ信号を復調できるようにするためである。
ホストシステム34は、無線通信モジュール32がアンテナ31を介して受信したビーコンフレームBeaconを無線通信モジュール32から受ける。そして、ホストシステム34は、その受けたビーコンフレームBeaconに含まれるESSIDまたはBSSIDと、チャネル情報CH_use_infoと、状態情報state_infoとを取り出す。
ホストシステム34は、その取り出したESSIDまたはBSSIDに基づいて、端末装置3が帰属する無線基地局1または無線基地局2を管理する。
また、ホストシステム34は、無線基地局1または無線基地局2からビーコンフレームBeaconを受信しないとき、無線基地局1または無線基地局2がスリープ状態であると判定する。
更に、ホストシステム34は、無線基地局1が起動状態であり、無線基地局2がスリープ状態であるときに、無線基地局1から受信した状態情報state_infoに基づいて、無線基地局1の状態が過負荷状態であるか否かを判定する。ホストシステム34は、無線基地局1の状態が過負荷状態であると判定したとき、チャネル情報CH_other_info、コマンド信号COM3およびESSID(またはBSSID)をウェイクアップ信号送信器33へ出力する。
更に、ホストシステム34は、無線通信モジュール32からデータを受けるとともに、データを生成して無線通信モジュール32へ出力する。
なお、図1に示す端末装置4〜6の各々も、図3に示す端末装置3と同じ構成からなる。
図4は、無線基地局1,2の状態を定義する例を示す図である。図4を参照して、無線基地局1,2の情報は、例えば、低負荷、中負荷、高負荷および過負荷からなる。
低負荷は、無線基地局1,2がスリープ状態への遷移を要求する状態であり、ビット値“00”からなる状態情報state_infoによって表される。
中負荷は、無線基地局1,2に接続可能な状態であり、ビット値“01”からなる状態情報state_infoによって表される。そして、中負荷は、より具体的には、無線基地局1,2がスリープ状態へ移行すると、困る端末装置が存在する状態である。
高負荷は、無線基地局1,2が接続を許容する状態であり、ビット値“10”からなる状態情報state_infoによって表される。
過負荷は、無線基地局1,2に接続できない状態であり、ビット値“11”からなる状態情報state_infoによって表される。即ち、過負荷は、無線基地局1,2が自己への接続を拒否する状態である。
図5は、状態情報と接続台数との対応表を示す図である。図5を参照して、対応表TBLは、状態情報state_infoと、接続台数Nとを含む。状態情報state_infoおよび接続台数Nは、相互に対応付けられる。
N≦1は、“00”からなる状態情報state_infoに対応付けられる。N=2〜4は、“01”からなる状態情報state_infoに対応付けられる。N=5〜7は、“10”からなる状態情報state_infoに対応付けられる。N≧8は、“11”からなる状態情報state_infoに対応付けられる。
無線基地局1,2のホストシステム143は、対応表TBLを予め保持している。そして、ホストシステム143は、無線基地局1(または無線基地局2)に接続している端末装置の台数Nを検出すると、対応表TBLを参照して、その検出した台数Nに基づいて無線基地局1(または無線基地局2)の状態を示す状態情報state_infoを検出する。つまり、ホストシステム143は、検出した台数N(=負荷)に応じて無線基地局1(または無線基地局2)の状態を決定する。
また、端末装置3〜6のホストシステム34は、ビーコンフレームBeaconに含まれる状態情報state_infoが“11”からなる場合、無線基地局1(または無線基地局2)の状態が過負荷状態であると判定し、チャネル情報CH_other_info、コマンド信号COM3およびESSID(またはBSSID)をウェイクアップ信号送信器33へ出力する。
図6は、図1に示す無線通信システム10において無線基地局を起動状態へ移行させる動作を説明するためのフローチャートである。
なお、図6においては、端末装置3が無線基地局1を起動状態へ移行させる場合を例にして無線基地局を起動状態へ移行させる動作を説明する。
図6を参照して、一連の動作が開始されると、無線基地局1のホストシステム143は、スリープ状態へ移行するか否かを判定する(ステップS1)。より具体的には、無線基地局1のホストシステム143は、一定の期間T1、端末装置3〜6との間で無線通信が行われていないとき、または無線基地局1に接続している端末装置が存在しないとき、スリープ状態へ移行すると判定する。また、無線基地局1のホストシステム143は、一定の期間T1内に、端末装置3〜6との間で無線通信が行われているとき、または無線基地局1に接続している端末装置が存在するとき、スリープ状態へ移行しないと判定する。
ステップS1において、スリープ状態へ移行すると判定されたとき、無線基地局1のホストシステム143は、コマンド信号COM1を生成して無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力するとともに、Lレベルの信号からなる制御信号CTLを生成して切替器12へ出力し、自己の動作を停止する。そして、無線基地局1の切替器12は、Lレベルの制御信号CTLに応じてアンテナ11を端子122に接続する。また、無線基地局1の無線通信モジュール141および有線通信モジュール142は、コマンド信号COM1に応じて、動作を停止する。即ち、ステップS1において、スリープ状態へ移行すると判定されたとき、メイン装置14が停止する(ステップS2)。
そして、ウェイクアップ装置13のウェイクアップ信号受信器131は、チャネルCH1〜CH3のいずれかでウェイクアップ信号を待ち受ける(ステップS3)。
その後、端末装置3のホストシステム34は、無線基地局1からビーコンフレームBeaconを受信しないことを検知する(ステップS4)。即ち、端末装置3のホストシステム34は、無線基地局1がスリープ状態であることを検知する。そして、端末装置3のホストシステム34は、無線通信を開始するか否かを判定する(ステップS5)。
ステップS5において、無線通信を開始すると判定されたとき、端末装置3のホストシステム34は、起動させたい無線基地局1のESSID(またはBSSID)とコマンド信号COM3とをウェイクアップ信号送信器33へ出力する。そして、端末装置3のウェイクアップ信号送信器33は、コマンド信号COM3を受けると、ESSID(またはBSSID)に基づいて、起動させたい無線基地局1を示すウェイクアップIDを生成し、その生成したウェイクアップIDを含むウェイクアップ信号を生成する(ステップS6)。
そして、端末装置3のウェイクアップ信号送信器33は、伝送レートの低い変調方式によってウェイクアップ信号を変調し、その変調したウェイクアップ信号をアンテナ31を介して全チャネルCH1〜CH3または事前に決定されたチャネルで無線基地局1へ送信する(ステップS7)。
そうすると、無線基地局1のウェイクアップ信号受信器131は、アンテナ11を介してウェイクアップ信号をチャネルCH1〜CH3のいずれかで受信し(ステップS8)、その受信したウェイクアップ信号を復調する。そして、無線基地局1のウェイクアップ信号受信器131は、その復調したウェイクアップ信号をウェイクアップ判定器132へ出力する。
無線基地局1のウェイクアップ判定器132は、復調されたウェイクアップ信号からウェイクアップIDを取り出し、その取り出したウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致するか否かを判定する(ステップS9)。
ステップS9において、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致しないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS3へ戻る。
一方、ステップS9において、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致すると判定されたとき、無線基地局1のウェイクアップ判定器132は、起動信号を生成してホストシステム143へ出力する。そして、無線基地局1のホストシステム143は、ウェイクアップ判定器132からの起動信号に応じてスリープ状態から起動状態へ移行し、コマンド信号COM2を生成して無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力する。そして、無線基地局1の無線通信モジュール141および有線通信モジュール142は、コマンドCOM2に応じてスリープ状態から起動状態へ移行する。このように、無線基地局1のメイン装置14は、ウェイクアップ装置13からの起動信号に応じて、スリープ状態から起動状態へ移行する(ステップS10)。
そうすると、無線基地局1の無線通信モジュール141は、チャネルCH_useを含む起動通知を生成し、その生成した起動通知をチャネルCH_useでアンテナ11を介して端末装置3へ送信する(ステップS11)。
そして、端末装置3の無線通信モジュール32は、アンテナ31を介してチャネルCH1〜CH3のいずれかで起動通知を受信し(ステップS12)、その受信した起動通知をホストシステム34へ出力する。その後、端末装置3のホストシステム34は、無線通信モジュール32からの起動通知に応じて、無線基地局1がスリープ状態から起動状態へ移行したことを検知するとともに、起動通知に含まれるチャネルCH_useを取り出す。そして、端末装置3のホストシステム34は、その取り出したチャネルCH_useを無線通信モジュール32へ出力する。
そうすると、無線基地局1の無線通信モジュール141は、端末装置3との間で無線通信リンクを確立するための無線通信をチャネルCH_useで開始し、端末装置3は、チャネルCH_useを用いて無線基地局1との間で無線通信リンクを確立し、無線通信を行う(ステップS13)。
なお、端末装置3の無線通信モジュール32は、ウェイクアップ信号を無線基地局1へ送信した後、起動通知を無線基地局1から受信しないとき、チャネルをスキャンしてビーコンフレームBeaconを受信することによって無線基地局1が起動したことを検知する。そして、ビーコンフレームBeaconは、チャネルCH_useを含むので、端末装置3の無線通信モジュール32は、チャネルCH_useを用いて無線基地局1との間で無線通信を行うことができる。
また、ステップS1において、スリープ状態へ移行しないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS13へ移行する。
そして、ステップS13の後、またはステップS5において、無線通信を開始しないと判定されたとき、一連の動作は、終了する。
なお、端末装置3が無線基地局2を起動状態へ移行させる動作、および端末装置4〜6が無線基地局1,2を起動状態へ移行させる動作も、図6に示すフローチャートに従って実行される。
図7は、2台の無線基地局1,2のいずれか一方が起動状態であるときの無線通信システム10における動作を説明するためのフローチャートである。
図7においては、無線基地局1が起動状態であり、無線基地局2がスリープ状態であることを前提とする。また、端末装置3〜6の全てが無線基地局1と接続していることを前提とする。
図7を参照して、一連の動作が開始されると、無線基地局1のホストシステム143は、無線基地局1に接続している端末装置の台数Nを無線基地局1の負荷として検出する。即ち、無線基地局1のホストシステム143は、負荷を検出する(ステップS21)。
そして、無線基地局1のホストシステム143は、対応表TBLを参照して、その検出した負荷に応じて無線基地局1の状態を決定する(ステップS22)。
その後、無線基地局1のホストシステム143は、無線基地局1の状態が過負荷状態であるか否かを判定する(ステップS23)。より具体的には、無線基地局1のホストシステム143は、決定した状態が“11”からなる状態情報state_infoによって表されているか否かを判定することによって、無線基地局1の状態が過負荷状態であるか否かを判定する。
ステップS23において、無線基地局1の状態が過負荷状態であると判定されたとき、無線基地局1のホストシステム143は、チャネルCH_useを示すチャネル情報CH_use_infoと、過負荷状態を示す状態情報state_infoとを無線通信モジュール141へ出力する。そして、無線基地局1の無線通信モジュール141は、チャネル情報CH_use_infoと状態情報state_infoとをホストシステム143から受け、その受けたチャネル情報CH_use_infoと状態情報state_infoとを含むビーコンフレームBeaconを生成し、その生成したビーコンフレームBeaconをチャネルCH_useでブロードキャストする(ステップS24)。
そうすると、端末装置STA(端末装置3〜6の少なくとも1つ)の無線通信モジュール32は、ビーコンフレームBeaconを受信し(ステップS25)、その受信したビーコンフレームBeaconをホストシステム34へ出力する。
端末装置STAのホストシステム34は、ビーコンフレームBeaconからチャネル情報CH_use_infoと状態情報state_infoとを取り出し、その取り出した状態情報state_infoに基づいて、過負荷状態を示す状態情報state_infoを受信したか否かを判定する(ステップS26)。
ステップS26において、過負荷状態を示す状態情報state_infoを受信したと判定されたとき、端末装置STAのホストシステム34は、チャネル情報CH_use_infoで示されるチャネルCH_use以外のチャネルCH_otherを示すチャネルCH_other_infoと、コマンド信号COM3と、無線基地局2のESSID(またはBSSID)とをウェイクアップ信号送信器33へ出力する。
端末装置STAのウェイクアップ信号送信器33は、チャネル情報CH_other_info、コマンド信号COM3およびESSID(またはBSSID)をホストシステム34から受け、その受けたESSID(またはBSSID)に基づいて、無線基地局2のウェイクアップIDを生成する。
そして、端末装置STAのウェイクアップ信号送信器33は、チャネル情報CH_other_infoと無線基地局2のウェイクアップIDとを含むウェイクアップ信号を生成し、その生成したウェイクアップ信号をアンテナ31を介して送信する(ステップS27)。
その後、端末装置STAのホストシステム34は、チャネルCH_otherで無線基地局2が起動したか否かを判定する(ステップS28)。
ステップS28において、チャネルCH_otherで無線基地局2が起動しなかったと判定されたとき、一連の動作は、ステップS27へ移行し、ステップS27,S28が繰り返し実行される。
そして、ステップS28において、チャネルCH_otherで無線基地局2が起動したと判定されたとき、端末装置STAの無線通信モジュール32は、チャネルCH_otherで無線基地局2と接続する(ステップS29)。即ち、端末装置STAの無線通信モジュール32は、チャネルCH_otherで無線基地局2と無線リンクを確立する。
そして、ステップS29の後、またはステップS23において、無線基地局1の状態が過負荷状態でないと判定されたとき、またはステップS26において、過負荷情報を示す状態情報state_infoを受信しなかったと判定されたとき、一連の動作は、終了する。
このように、端末装置3〜6の少なくとも1つは、無線基地局1の状態が過負荷状態であると判定したとき、無線基地局1と異なる無線基地局2をスリープ状態から起動状態へ移行させ、起動状態へ移行した無線基地局2に接続する。即ち、端末装置3〜6の少なくとも1つは、無線基地局1の状態が過負荷状態であると判定したとき、接続先を無線基地局1から無線基地局2へ切り替える。また、無線基地局2は、無線基地局1が使用しているチャネルCH_useと異なるチャネルCH_otherで起動する。
その結果、無線基地局1に接続されている端末装置の台数が減少するとともに、無線基地局1のネットワークと無線基地局2のネットワークとの間の干渉が抑制される。従って、干渉を低減し、かつ、無線基地局1の負荷を分散できる。
なお、無線基地局1がスリープ状態であり、無線基地局2が起動状態である場合も、図7に示すフローチャートに従って、無線基地局2に接続されている端末装置の台数が減少されるとともに、無線基地局1のネットワークと無線基地局2のネットワークとの間の干渉が抑制される。この場合、図7の説明における「無線基地局1」を「無線基地局2」に読み替え、「無線基地局2」を「無線基地局1」に読み替えればよい。
図8は、図7に示すフローチャートによって実行される負荷分散の概念図である。無線基地局1が起動状態であり、無線基地局2がスリープ状態である場合において、端末装置3〜6が無線基地局1に接続している。そして、無線基地局1は、チャネルCH_use(=例えば、CH1)で端末装置3〜6と無線通信を行っている(図8の(a)参照)。
このような状況において、無線基地局1は、自己に接続している端末装置の台数Nを負荷として検出し、自己の状態が過負荷状態であると判定する(ステップS21,S22,S23の“YES”参照)。
そうすると、無線基地局1は、チャネルCH_use(=CH1)を示すチャネル情報CH_use_infoと、過負荷状態を示す状態情報state_infoとを含むビーコンフレームBeaconを生成してブロードキャストする(ステップS24参照)。そして、端末装置3〜6は、無線基地局1からビーコンフレームBeaconを受信し、その受信したビーコンフレームBeaconの状態情報state_infoに基づいてチャネルCH1が過負荷状態であることを検知する。即ち、無線基地局1は、チャネルCH1が過負荷状態であることを検知し、その情報を端末装置3〜6と共有する。
その後、端末装置3〜6のうち、例えば、端末装置6は、チャネルCH_use(=CH1)以外のチャネルCH_other(例えば、CH2)を示すチャネル情報CH_other_infoと無線基地局2のウェイクアップIDとを含むウェイクアップ信号を送信する(ステップS27参照)。即ち、端末装置6は、無線基地局2に対して、チャネルCH2でのウェイクアップを指示する。
そうすると、無線基地局2は、端末装置6からのウェイクアップ信号を受信し、ウェイクアップ信号に含まれるチャネル情報CH_other_infoとウェイクアップIDとに基づいてチャネルCH2でウェイクアップする(起動状態へ移行する)。
端末装置6は、無線基地局2がチャネルCH2でウェイクアップすると、チャネルCH2で無線基地局2と接続し(ステップS29参照)、接続先を無線基地局1から無線基地局2へ切り替える。
そして、無線基地局1は、チャネルCH1で端末装置3〜5と無線通信を行い、無線基地局2は、チャネルCH2で端末装置6と無線通信を行う(図8の(b)参照)。
従って、無線基地局1のネットワークと無線基地局2のネットワークとの干渉を低減し、無線基地局1の負荷を分散できる。
上記においては、チャネルCH_use(=CH1)を示すチャネル情報CH_use_infoと、過負荷状態を示す状態情報state_infoとを含むビーコンフレームBeaconを無線基地局1から受信した端末装置3〜6のうち、端末装置6が無線基地局2に対して、チャネルCH2でのウェイクアップを指示すると説明した。しかし、実際には、端末装置3〜6の全てがチャネルCH2でのウェイクアップを試行する。この場合、端末装置3〜6は、CSMA/CA方式によって、チャネルCH2を示すチャネル情報と、無線基地局2のウェイクアップIDとを含むウェイクアップ信号を送信する。従って、端末装置3〜6のうち、最も早くウェイクアップ信号を送信した端末装置(端末装置3〜6のいずれか)が無線基地局2に対してチャネルCH2でのウェイクアップを指示することになる。
図9は、負荷集約処理および負荷分散処理の動作を説明するためのフローチャートである。
なお、図9に示すフローチャートは、2台の無線基地局1,2の両方が起動状態であるときに実行される。また、端末装置3を例にして負荷集約処理および負荷分散処理の動作を説明する。
図9を参照して、一連の動作が開始されると、端末装置3のホストシステム34は、一定時間Toが経過したことを検知する(ステップS31)。なお、一定時間Toは、例えば、1分(60秒)である。
その後、端末装置3の無線通信モジュール32は、全てのチャネルCH1〜CH3におけるスキャン、即ち、バックグラウンドスキャンを行う(ステップS32)。
そして、端末装置3の無線通信モジュール32は、バックグラウンドスキャンを行ったときの受信信号強度RSSIを検出し、その検出した受信信号強度RSSIをホストシステム34へ出力する。
端末装置3のホストシステム34は、無線通信モジュール32から受けた受信信号強度RSSIが一定値(=例えば、−70dBm)以上であるか否かを判定する(ステップS33)。
ステップS33において、受信信号強度RSSIが一定値以上であると判定されたとき、端末装置3のホストシステム34は、接続AP(=現在、接続している無線基地局)から受信したビーコンフレームBeaconに含まれている状態情報state_infoを構成するビット値(=ST値)を判定する(ステップS34)。
ステップS34において、ST値が“00”であると判定されたとき、端末装置3のホストシステム34は、遷移AP(遷移先の無線基地局)から受信したビーコンフレームBeaconに含まれている状態情報state_infoを構成するビット値(=ST値)を更に判定する(ステップS35)。
ステップS35において、ST値が“00”であると判定されたとき、端末装置3のホストシステム34は、0〜1の一様乱数を発生し、その発生した乱数をrに格納する(ステップS36)。
そうすると、端末装置3のホストシステム34は、rが負荷集約確率PA以下であるか否かを判定する(ステップS37)。なお、負荷集約確率PAは、例えば、0.5に設定される。
ステップS37において、rが負荷集約確率PA以下であると判定されたとき、端末装置3は、遷移処理を行う(ステップS42)。即ち、端末装置3のホストシステム34は、現在、接続している無線基地局との接続を切り、遷移先の無線基地局に接続するように無線通信モジュール32を制御し、無線通信モジュール32は、ホストシステム34からの制御に従って、遷移先の無線基地局に接続する。
一方、ステップS35において、遷移APのST値が“01”であると判定されたとき、一連の動作は、ステップS42へ移行する。
一方、ステップS34において、接続APのST値が“10”または“11”であると判定されたとき、端末装置3のホストシステム34は、遷移APのST値を判定する(ステップS38)。
ステップS38において、遷移APのST値が“00”または“01”であると判定されたとき、端末装置3のホストシステム34は、接続APに接続されている端末装置の台数(=接続AP_U)と遷移APに接続されている端末装置の台数(=遷移AP_U)との差ΔUを演算し、その演算した差ΔUがしきい値Ud(=例えば、2)以上であるか否かを更に判定する(ステップS39)。
端末装置3のホストシステム34は、接続APおよび遷移APの両方から状態情報state_infoを受信する。また、接続APから受信された状態情報state_infoは、接続APに接続している端末装置の台数を示し、遷移APから受信された状態情報state_infoは、遷移APに接続している端末装置の台数を示す(対応表TBL参照)。従って、端末装置3のホストシステム34は、接続APに接続されている端末装置の台数(=接続AP_U)と遷移APに接続されている端末装置の台数(=遷移AP_U)との差ΔUを演算できる。
ステップS39において、差ΔUがしきい値Ud以上であると判定されたとき、端末装置3のホストシステム34は、0〜1の一様乱数を発生し、その発生した乱数をrに格納する(ステップS40)。
そして、端末装置3のホストシステム34は、rが負荷分散確率PB以下であるか否かを判定する(ステップS41)。なお、負荷分散確率PBは、例えば、0.3に設定される。
ステップS41において、rが負荷分散確率PB以下であると判定されたとき、端末装置3は、遷移処理を行う(ステップS42)。即ち、端末装置3のホストシステム34は、現在、接続している無線基地局との接続を切り、遷移先の無線基地局に接続するように無線通信モジュール32を制御し、無線通信モジュール32は、ホストシステム34からの制御に従って、遷移先の無線基地局に接続する。
ステップS42の後、端末装置3のホストシステム34は、一定時間Te、分散および集約機能を停止する(ステップS43)。なお、一定時間Teは、例えば、10分である。
そして、ステップS43の後、またはステップS33において、受信信号強度RSSIが一定値以上でないと判定されたとき、またはステップS34において、接続APのST値が“01”であると判定されたとき、またはステップS35において、遷移APのST値が“00”および“01”以外であると判定されたとき、またはステップS37において、rが負荷集約確率PA以下でないと判定されたとき、またはステップS38において、遷移APのST値が“00”および“01”以外であると判定されたとき、またはステップS39において、差ΔUがしきい値Ud以上でないと判定されたとき、またはステップS41において、rが負荷分散確率PB以下でないと判定されたとき、一連の動作は、終了する。
なお、図9に示すフローチャートは、定期的に実行される。即ち、図9に示すフローチャートは、一定時間To毎に実行される。
図10は、負荷集約処理の概念図である。無線基地局1,2の両方が起動状態であり、端末装置3が無線基地局1に接続されており、端末装置6が無線基地局2に接続されている(図10の(a)参照)。
このような状況において、例えば、端末装置3が図9に示すフローチャートを実行すると、端末装置3は、ステップS34において、接続AP(=無線基地局1)のST値を判定し、ST値が“00”であると判定する。
そして、端末装置3は、ステップS35において、遷移AP(=無線基地局2)のST値を判定し、ST値が“00”であると判定する。
その後、端末装置3は、0〜1の一様乱数を発生し、その発生した乱数をrに格納し(ステップS36参照)、rが負荷集約確率PA以下であると判定する(ステップS37参照)。
そうすると、端末装置3は、遷移処理を行い(ステップS42参照)、接続先を無線基地局1から無線基地局2へ切り替える。
また、端末装置3は、ステップS35において、遷移AP(=無線基地局2)のST値が“01”であると判定すると、遷移処理を行い(ステップS42参照)、接続先を無線基地局1から無線基地局2へ切り替える。
その結果、無線基地局1は、自己に接続されている端末装置が無いので、スリープ状態へ移行する。また、端末装置3,6が無線基地局2に接続されるので、負荷が無線基地局2に集約される(図10の(b)参照)。
従って、図9のステップS34→ステップS35→ステップS36→ステップS37→ステップS42からなる経路またはステップS34→ステップS35→ステップS42からなる経路は、負荷を集約する負荷集約処理を実行する経路である。
ステップS35において、遷移AP(=無線基地局2)のST値が“01”であると判定されると、負荷集約確率PAを用いずに遷移処理(ステップS42)を行うのは、遷移AP(=無線基地局2)の負荷が中負荷であり、遷移AP(=無線基地局2)に接続された端末装置が同時に負荷集約処理を実行する可能性が無いからである。
上記においては、端末装置3が負荷集約処理を実行する場合について説明したが、端末装置6が負荷集約処理を行ってもよい。即ち、端末装置3,6のいずれかが負荷集約処理を実行すればよい。端末装置3,6は、CSMA/CA方式によって無線基地局1または無線基地局2と無線通信を行うので、端末装置3,6が並行して負荷集約処理を実行しても、遷移処理(ステップS42)において、より早く遷移APとの通信を開始した端末装置(端末装置3,6のいずれか)が接続先を遷移APに切り替えることになるので、無線基地局1,2のいずれか一方に端末装置3,6が接続され、無線基地局1,2のいずれか他方には、端末装置が接続されていない状態を実現できる。
従って、負荷集約処理を実行することにより、無線基地局1,2のいずれか一方がスリープ状態へ移行するので、無線通信システム10における消費電力を低減できる。
図11は、負荷分散処理の概念図である。無線基地局1,2の両方が起動状態であり、端末装置3〜5が無線基地局1に接続されており、端末装置6が無線基地局2に接続されている(図11の(a)参照)。
このような状況において、例えば、端末装置5が図9に示すフローチャートを実行すると、端末装置5は、図9のステップS34において、接続AP(=無線基地局1)のST値を“10”または“11”と判定し、ステップS38において、遷移AP(=無線基地局2)のST値を“00”または“01”であると判定する。そして、端末装置5は、ステップS39において、接続AP(=無線基地局1)に接続されている端末装置の台数(=3台)と遷移AP(=無線基地局2)に接続されている端末装置の台数(=1台)との差ΔU(=2台)がUd(=2)以上であると判定する。即ち、端末装置5は、ステップS39において、差ΔU(=2台)が複数台であると判定する。その後、端末装置5は、0〜1の一様乱数を発生し、その発生した乱数をrに格納し(ステップS40参照)、rが負荷分散確率PB以下であると判定する(ステップS41参照)。
そうすると、端末装置5は、遷移処理を行い(ステップS42参照)、接続先を無線基地局1から無線基地局2へ切り替える。
その結果、端末装置3,4が無線基地局1に接続され、端末装置5,6が無線基地局2に接続され、無線基地局1の負荷が無線基地局2に分散される(図11の(b)参照)。
従って、ステップS38→ステップS39→ステップS40→ステップS41→ステップS42からなる経路は、負荷を分散する負荷分散処理を実行する経路である。
上記においては、端末装置5が負荷分散処理を行う場合について説明したが、端末装置3〜5のいずれかが負荷分散処理を実行すればよい。端末装置3〜5は、CSMA/CA方式によって無線基地局1または無線基地局2と無線通信を行うので、端末装置3〜5が並行して負荷分散処理を実行しても、遷移処理(ステップS42)において、より早く遷移APとの通信を開始した端末装置(端末装置3〜5のいずれか)が接続先を遷移APに切り替えることになるので、無線基地局1,2にそれぞれ2台の端末装置が接続された状態を実現できる。
従って、負荷分散処理を実行することによって、遷移AP(=無線基地局2)の負荷が過負荷になるのを防止して接続AP(=無線基地局1)の負荷を低減できる。
なお、差ΔUが“2”(=Ud)以上である場合に遷移処理を行う(ステップS39の“YES”→ステップS42)のは、差ΔUが“1”である場合、無線基地局1に接続された端末装置が負荷分散処理を実行すると、無線基地局1に接続された端末装置の台数と無線基地局2に接続された端末装置の台数が逆転するだけで、無線基地局2に接続された端末装置が、再度、負荷分散処理を実行し、負荷分散処理が繰り返される事態が生じるためである。
また、ステップS34において、接続APのST値が“01”であると判定されたとき、一連の動作が終了するのは、負荷分散処理を実行しなくても、接続APの負荷が過負荷にならず、接続APがスリープ状態への遷移を要求していないからである。
更に、ステップS35において、遷移APのST値が“00”および“01”以外であると判定されたとき、一連の動作が終了するのは、遷移APに負荷を集約すると、遷移APの負荷が高負荷または過負荷になるので、これを防止するためである。
更に、ステップS38において、遷移APのST値が“00”および“01”以外であると判定されたとき、一連の動作が終了するのは、遷移APに負荷を分散すると、遷移APの負荷が高負荷または過負荷になるので、これを防止するためである。
更に、ステップS43において、一定時間Te、分散および集約機能を停止するのは、遷移処理を行った後(ステップS42参照)、直ぐに、負荷分散処理または負荷集約処理を実行しても、無線基地局1,2に接続された端末装置の個数が変化していないことも想定され、その場合に、頻繁に負荷分散処理または負荷集約処理を実行することを防ぐためである。
上述したように、無線基地局1が起動状態であり、無線基地局2がスリープ状態であるときに、無線基地局1が無線通信に使用しているチャネルCH_useが過負荷状態であることを検知すると、チャネルCH_useが過負荷状態であることを無線基地局1および端末装置3〜6で共有し、端末装置3〜6のいずれかが、チャネルCH_use以外のチャネルCH_otherで無線基地局2を起動させ、接続先を無線基地局1から無線基地局2へ切り替える。
従って、無線通信の干渉を低減して負荷を分散できる。
また、無線基地局1,2の両方が起動状態であるとき、端末装置3〜6が負荷集約処理を実行するので、無線通信システム10の消費電力を低減できる。
更に、無線基地局1,2の両方が起動状態であるとき、無線基地局1,2は、相互に異なるチャネルで無線通信を行い、端末装置3〜6は、負荷分散処理を実行するので、無線通信の干渉を低減して無線基地局1または無線基地局2の負荷を低減できる。
上記においては、無線基地局1,2に接続されている端末装置の台数を負荷として検出すると説明したが、実施の形態1においては、これに限らず、チャネルのビジー率、一定時間内における送受信パケット数、一定時間内における送受信データの量、エラー率、干渉状態およびノイズレベルを負荷として検出してもよい。
この場合、無線基地局1,2のホストシステム143は、チャネルのビジー率、一定時間内における送受信パケット数、一定時間内における送受信データの量、エラー率、干渉状態およびノイズレベルを負荷として検出する。そして、無線基地局1,2のホストシステム143は、これらの各種の負荷に対して、対応表TBL(図5参照)と同じような対応表を保持しており、その保持している対応表を参照して、検出した負荷に応じて自己の負荷の状態を決定するとともに、その決定した負荷状態をビーコンフレームBeaconに含めてブロードキャストする。
チャネルのビジー率、一定時間内における送受信パケット数、一定時間内における送受信データの量、エラー率、干渉状態およびノイズレベルのいずれかを負荷として用いた場合も、図7に示すフローチャートおよび図9に示すフローチャートは、同様に実行される。
また、上記においては、無線通信システム10において使用可能なチャネル数は、3個(チャネルCH1〜CH3)であると説明したが、実施の形態1においては、これに限らず、無線通信システム10において使用可能なチャネル数は、4個以上であってもよく、一般的には、複数であればよい。チャネル数が複数であれば、複数の無線基地局の複数のネットワークに複数のチャネルを割り当てることにより、複数のネットワーク間で無線通信の干渉を抑制できるからである。
更に、上述した無線基地局1,2および端末装置3〜6の動作は、プログラムによって実行されてもよい。
この場合、無線基地局1,2および端末装置3〜6の各々は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。そして、無線基地局1,2の各々は、図7に示すステップS21〜ステップS24からなるプログラムAをROMに格納している。そして、図7に示す動作が開始されると、無線基地局1,2のCPUは、ROMからプログラムAを読み出して実行する。これによって、ステップS21〜ステップS24が順次実行される。従って、プログラムAは、無線基地局1,2の動作をコンピュータ(CPU)に実行させるためのプログラムである。
また、端末装置3〜6の各々は、図7に示すステップS25〜ステップS29からなるプログラムBをROMに格納している。そして、図7に示す動作が開始されると、端末装置3〜6のCPUは、ROMからプログラムBを読み出して実行する。これによって、ステップS25〜ステップS29が順次実行される。従って、プログラムBは、端末装置3〜6の動作をコンピュータ(CPU)に実行させるためのプログラムである。
更に、端末装置3〜6の各々は、図9に示すステップS31〜ステップS43からなるプログラムCをROMに格納している。そして、図9に示す動作が開始されると、端末装置3〜6のCPUは、ROMからプログラムCを読み出して実行する。これによって、ステップS31〜ステップS43が順次実行される。従って、プログラムCは、端末装置3〜6の動作をコンピュータ(CPU)に実行させるためのプログラムである。
上記においては、無線通信システム10は、2台の無線基地局と、4台の端末装置とを備えると説明したが、実施の形態1においては、これに限らず、無線基地局は、複数台であればよく、端末装置も、複数台であればよい。
[実施の形態2]
図12は、実施の形態2による無線通信システムの構成を示す概略図である。図12を参照して、実施の形態2による無線通信システム10Aは、図1に示す無線通信システム10の無線基地局1,2をそれぞれ無線基地局1A,2Aに代えたものであり、その他は、無線通信システム10と同じである。
無線基地局1A,2Aは、有線ケーブル20を介してネットワーク30に接続される。また、無線基地局1Aは、有線ケーブル20を介して無線基地局2Aと接続されていてもよい。
無線基地局1A,2Aの各々は、スリープ状態から起動状態へ移行すると、無線基地局1,2における方法と同じ方法によって、無線通信に使用しているチャネルCH_useにおける負荷を検出する。そして、無線基地局1Aは、その検出した負荷に基づいて、チャネルCH_useにおける負荷が過負荷状態であると判定すると、チャネルCH_use以外のチャネルCH_otherで起動するように無線基地局2Aへウェイクアップ信号を無線通信で送信する。また、無線基地局2Aは、その検出した負荷に基づいて、チャネルCH_useにおける負荷が過負荷状態であると判定すると、チャネルCH_use以外のチャネルCH_otherで起動するように無線基地局1Aへウェイクアップ信号を無線通信で送信する。
無線基地局1A,2Aは、その他、無線基地局1,2と同じ機能を果たす。
図13は、図12に示す無線基地局1Aの構成図である。図13を参照して、無線基地局1Aは、図2に示す無線基地局1のメイン装置14をメイン装置14Aに代えたものであり、その他は、無線基地局1と同じである。
メイン装置14Aは、図2に示すメイン装置14のホストシステム143をホストシステム143Aに代えたものであり、その他は、メイン装置14と同じである。
ホストシステム143Aは、ホストシステム143と同じ方法によってチャネルCH_useにおける負荷が過負荷状態であるか否かを判定する。そして、ホストシステム143Aは、チャネルCH_useにおける負荷が過負荷状態であると判定すると、無線基地局2AのウェイクアップIDを端末装置3〜6のホストシステム34と同じ方法によって生成する。そうすると、ホストシステム143Aは、チャネルCH_use以外のチャネルCH_otherを示すチャネル情報CH_other_infoと、無線基地局2AのウェイクアップIDとを含むウェイクアップ信号を生成し、その生成したウェイクアップ信号を無線通信モジュール141へ出力する。
なお、無線基地局1Aにおいては、無線通信モジュール141は、ホストシステム143Aから受けたウェイクアップ信号をフレーム長変調し、その変調したウェイクアップ信号をアンテナ11を介して無線基地局2Aへ送信する。
また、図12に示す無線基地局2Aも、図13に示す無線基地局1Aと同じ構成からなる。
図14は、2台の無線基地局1A,2Aのいずれか一方が起動状態であるときの無線通信システム10Aにおける動作を説明するためのフローチャートである。なお、図14においては、無線基地局1Aが起動状態であり、無線基地局2Aがスリープ状態であることを前提とする。
図14に示すフローチャートは、図7に示すフローチャートのステップS24をステップS51に代え、ステップS25〜ステップS27を削除したものであり、その他は、図7に示すフローチャートと同じである。
図14を参照して、一連の動作が開始されると、無線基地局1Aは、上述したステップS21〜ステップS23を順次実行する。
そして、ステップS23において、チャネルCH_useの状態が過負荷状態であると判定されると、無線基地局1Aは、チャネルCH_use以外のチャネルCH_otherを示すチャネル情報CH_other_infoと無線基地局2AのウェイクアップIDとを含むウェイクアップ信号をフレーム長変調して送信する(ステップS51)。
その後、端末装置STAは、上述したステップS28,S29を順次実行する。なお、図14に示すフローチャートにおいては、ステップS28において、無線基地局2AがチャネルCH_otherで起動していないと判定されると、一連の動作は、ステップS51へ移行する。無線基地局1Aは、無線基地局2Aから起動通知を受信するので、無線基地局2Aが起動したか否かを判定できる。
無線基地局2Aが起動状態であり、無線基地局1Aがスリープ状態であるときも、無線通信システム10Aの動作は、図14に示すフローチャートに従って実行される。
このように、実施の形態2においては、無線基地局1A,2Aのうち、起動状態である無線基地局A(=無線基地局1A,2Aのいずれか一方)は、無線通信に使用しているチャネルCH_useの負荷が過負荷状態であると判定すると、チャネルCH_use以外のチャネルCH_otherで起動するようにウェイクアップ信号をスリープ状態である無線基地局B(=無線基地局1A,2Aのいずれか他方)へ送信する(ステップS51参照)。
そして、無線基地局Aに接続している端末装置STAは、無線基地局Bが起動すると、接続先を無線基地局Aから無線基地局Bへ切り替える(ステップS29参照)。
従って、実施の形態2においては、過負荷状態であることを検出した無線基地局がスリープ状態である無線基地局を起動させる。
その結果、過負荷状態であることを検出した無線基地局は、自己が過負荷状態であることを端末装置3〜6および他の無線基地局へ送信する必要が無く、負荷を迅速に分散できる。
なお、上述した無線基地局1A,2Aおよび端末装置3〜6の動作は、プログラムによって実行されてもよい。
この場合、無線基地局1A,2Aおよび端末装置3〜6の各々は、CPU、ROMおよびRAMを備える。そして、無線基地局1A,2Aの各々は、図14に示すステップS21〜ステップS23およびステップS51からなるプログラムDをROMに格納している。そして、図14に示す動作が開始されると、無線基地局1A(または無線基地局2A)のCPUは、ROMからプログラムDを読み出して実行する。これによって、ステップS21〜ステップS23およびステップS51が順次実行される。従って、プログラムDは、無線基地局1A,2Aの動作をコンピュータ(CPU)に実行させるためのプログラムである。
また、端末装置3〜6の各々は、図14に示すステップS28およびステップS29からなるプログラムEをROMに格納している。そして、図14に示す動作が開始されると、端末装置3〜6のCPUは、ROMからプログラムEを読み出して実行する。これによって、ステップS28およびステップS29が順次実行される。従って、プログラムEは、端末装置3〜6の動作をコンピュータ(CPU)に実行させるためのプログラムである。
実施の形態2におけるその他の説明は、実施の形態1と同じである。
[実施の形態3]
図15は、実施の形態3による無線通信システムの構成を示す概略図である。図15を参照して、実施の形態3による無線通信システム10Bは、図1に示す無線通信システム10に端末装置7を追加したものであり、その他は、無線通信システム10と同じである。
端末装置7は、無線通信システム10Bに新たに参加する。そして、端末装置7は、図3に示す端末装置3と同じ構成からなる。
端末装置7の無線通信モジュール32は、ホストシステム34から接続要求を受けると、チャネルCH1〜CH3の全てでスキャンする。そして、端末装置7の無線通信モジュール32は、無線基地局1(または無線基地局2)からビーコンフレームBeaconを受信すると、ビーコンフレームBeaconを受信したときの受信信号強度RSSIを検出する。その後、端末装置7の無線通信モジュール32は、受信信号強度RSSIとビーコンフレームBeaconとをホストシステム34へ出力する。
端末装置7のウェイクアップ信号送信器33は、ホストシステム34からの要求に応じて、無線基地局1または無線基地局2のウェイクアップを試行する。
端末装置7のホストシステム34は、無線基地局1または無線基地局2への接続要求を無線通信モジュール32へ出力する。そして、端末装置7のホストシステム34は、無線通信モジュール22から受信信号強度RSSIおよびビーコンフレームBeaconを受けると、ビーコンフレームBeaconからチャネル情報CH_use_infoおよび状態情報state_infoを取り出す。
その後、端末装置7のホストシステム34は、受信信号強度RSSIが一定値(=例えば、−70dBm)以上であり、状態情報state_infoを構成するST値が“00”または“01”であるとき、端末装置7を無線基地局1に接続するように無線通信モジュール32を制御する。
また、端末装置7のホストシステム34は、受信信号強度RSSIが一定値以上であり、状態情報state_infoを構成するST値が“10”または“11”であるとき、無線基地局1以外の無線基地局2のウェイクアップを試行するようにウェイクアップ信号送信器33を制御する。
更に、端末装置7のホストシステム34は、受信信号強度RSSIが一定値よりも小さいとき、無線基地局1以外の無線基地局2のウェイクアップを試行するようにウェイクアップ信号送信器33を制御する。
更に、端末装置7のホストシステム34は、接続要求を無線通信モジュール32へ出力した後、ビーコンフレームBeaconを無線通信モジュール32から受けないとき、無線基地局1または無線基地局2のウェイクアップを試行するようにウェイクアップ信号送信器33を制御する。
図16は、端末装置が新たに参加したときの無線通信システム10Bの動作を説明するフローチャートである。
図16を参照して、一連の動作が開始されると、端末装置7のホストシステム34は、接続要求を無線通信モジュール32に行い(ステップS61)、無線通信モジュール32は、チャネルCH1〜CH3の全てでスキャンする(ステップS62)。端末装置7の無線通信モジュール32は、スキャンの結果、無線基地局1からビーコンフレームBeaconを受信すると、ビーコンフレームBeaconを受信したときの受信信号強度RSSIを検出する。
そして、端末装置7の無線通信モジュール32は、受信信号強度RSSIとビーコンフレームBeaconをホストシステム34へ出力する。端末装置7のホストシステム34は、受信信号強度RSSIおよびビーコンフレームBeaconを無線通信モジュール32から受ける。
その後、端末装置7のホストシステム34は、ビーコンフレームBeaconを受けたか否かによって無線基地局を発見したか否かを判定する(ステップS63)。
ステップS63において、無線基地局を発見しなかったと判定されたとき、端末装置7のホストシステム34は、ウェイクアップを試行するようにウェイクアップ信号送信器33を制御する。端末装置7のウェイクアップ信号送信器33は、ホストシステム34からのウェイクアップの試行制御に応じて、ウェイクアップの試行回数がn以上であるか否かを判定する(ステップS64)。なお、nは、ウェイクアップの最大試行回数であり、例えば、3回である。
ステップS64において、ウェイクアップの試行回数がn以上でないと判定されたとき、端末装置7のウェイクアップ信号送信器33は、無線基地局1のESSID(またはBSSID)のハッシュ値を演算して無線基地局1のウェイクアップIDを生成し、その生成したウェイクアップIDを含むウェイクアップ信号を生成して送信する。また、端末装置7のウェイクアップ信号送信器33は、同様にして、無線基地局2のウェイクアップIDを生成し、その生成したウェイクアップIDを含むウェイクアップ信号を生成して送信する。即ち、端末装置7のウェイクアップ信号送信器33は、ウェイクアップを試行する(ステップS65)。その後、一連の動作は、ステップS62へ戻る。
一方、ステップS63において、無線基地局を発見したと判定されたとき、端末装置7のホストシステム34は、受信信号強度RSSIが一定値以上であるか否かを更に判定する(ステップS66)。
ステップS66において、受信信号強度RSSIが一定値以上であると判定されたとき、端末装置7のホストシステム34は、ビーコンフレームBeaconに含まれるチャネル情報CH_use_infoおよび状態情報state_infoを取り出し、状態情報state_infoを構成するST値(=無線基地局1のST値)が“00”または“01”であるか否かを更に判定する(ステップS67)。
ステップS67において、ST値が“00”または“01”でないと判定されたとき、端末装置7のホストシステム34は、チャネル情報CH_use_infoによって示されるチャネルCH_useを高負荷AP(=無線基地局1)のチャネルとして把握する(ステップS68)。
ステップS68の後、またはステップS66において受信信号強度RSSIが一定値以上でないと判定されたとき、端末装置7のホストシステム34は、ウェイクアップを試行するようにウェイクアップ信号送信器33を制御する。端末装置7のウェイクアップ信号送信器33は、ホストシステム34からのウェイクアップの試行制御に応じて、ウェイクアップの試行回数がn以上であるか否かを判定する(ステップS69)。
ステップS69において、ウェイクアップの試行回数がn以上でないと判定されたとき、端末装置7のホストシステム34は、チャネルCH_use以外のチャネルCH_otherをウェイクアップ後の運用チャネルとして決定し(ステップS70)、その決定したチャネルCH_otherをウェイクアップ信号送信器33へ出力する。
端末装置7のウェイクアップ信号送信器33は、チャネルCH_otherをホストシステム34から受けると、無線基地局2のウェイクアップIDを生成する。そして、端末装置7のウェイクアップ信号送信器33は、チャネルCH_otherと無線基地局2のウェイクアップIDとを含むウェイクアップ信号を生成して送信する。即ち、端末装置7のウェイクアップ信号送信器33は、ウェイクアップを試行する(ステップS71)。その後、一連の動作は、ステップS62へ戻る。
一方、ステップS69において、ウェイクアップの試行回数がn以上であると判定されたとき、端末装置7のホストシステム34は、無線基地局1のST値が“11”であるか否かを更に判定する(ステップS72)。
ステップS67において、ST値が“00”または“01”であると判定されたとき、またはステップS72において、ST値が“11”でないと判定されたとき、端末装置7のホストシステム34は、接続処理を行うように無線通信モジュール32を制御し、無線通信モジュール32は、接続処理を行う(ステップS73)。
そして、ステップS64において、ウェイクアップの試行回数がn以上であると判定されたとき、またはステップS72において、ST値が“11”であると判定されたとき、またはステップS73の後、一連の動作は、終了する。
一連の動作がステップS61、ステップS62、ステップS63の“YES”、ステップS66の“YES”およびステップS67の“YES”を経てステップS73へ至った場合、端末装置7は、ステップS73において、無線基地局1に接続する。
また、一連の動作がステップS61、ステップS62、ステップS63の“YES”、ステップS66の“NO”、ステップS69の“YES”およびステップS72の“NO”を経てステップS73へ至った場合も、端末装置は、ステップS73において、無線基地局1に接続する。
更に、一連の動作がステップS63の“NO”、ステップS64の“NO”、ステップS65、ステップS62およびステップS63の“YES”を経て、最終的にステップS73へ至った場合、端末装置7は、ステップS73において、新たに起動した無線基地局に接続する。
ステップS70、ステップS71、ステップS62およびステップS63の“YES”を経て、最終的にステップS73へ至った場合、端末装置7は、ステップS73において、チャネルを指定されて起動した無線基地局に接続する。
このように、新たに参加する端末装置7は、最初に発見した無線基地局からの受信信号強度RSSIが一定値以上であり、最初に発見した無線基地局が低負荷または中負荷であれば、その最初に発見した無線基地局に接続し、最初に発見した無線基地局が高負荷または過負荷であれば、新たに起動した周辺の無線基地局に接続する。
また、新たに参加する端末装置7は、受信信号強度RSSIが一定値よりも小さい無線基地局しか発見できない場合、ウェイクアップを試行するので、受信信号強度RSSIが一定値以上の新たに起動した無線基地局に接続可能である。
更に、新たに参加する端末装置7は、最初に発見した無線基地局が高負荷または過負荷であれば、ウェイクアップ後のチャネルCH_otherを指定して別の無線基地局のウェイクアップを試行するので、無線通信の干渉を低減して高負荷または過負荷の無線基地局の負荷を分散できる。
上述した端末装置7の動作は、プログラムによって実行されてもよい。この場合、端末装置7は、CPU、ROMおよびRAMを備える。そして、端末装置7は、図16に示すステップS61〜ステップS73からなるプログラムFをROMに格納している。そして、図16に示す動作が開始されると、端末装置7のCPUは、ROMからプログラムFを読み出して実行する。これによって、ステップS61〜ステップS73が順次実行される。従って、プログラムFは、端末装置7の動作をコンピュータ(CPU)に実行させるためのプログラムである。
実施の形態3におけるその他の説明は、実施の形態1における説明と同じである。
[実施の形態4]
図17は、実施の形態4による無線通信システムの構成を示す概略図である。図17を参照して、実施の形態4による無線通信システム10Cは、無線基地局100,101と、端末装置110,111とを備える。
無線基地局100および端末装置110は、家120内に配置される。無線基地局101および端繭装置111は、家130内に配置される。
無線基地局100は、無線基地局101の通信範囲内に配置され、無線基地局101は、無線基地局100の通信範囲内に配置される。
無線基地局100は、送信対象のデータを暗号して端末装置110と無線通信を行う。
また、無線基地局100は、自己のネットワーク内における無線通信と無線基地局101のネットワーク内における無線通信との間に干渉または衝突を検出すると、チャネルの変更依頼または送信タイミングの調整依頼をフレーム長変調によって無線基地局101へ送信する。
無線基地局101は、送信対象のデータを暗号して端末装置111と無線通信を行う。
また、無線基地局101は、自己のネットワーク内における無線通信と無線基地局100のネットワーク内における無線通信との間に干渉または衝突を検出すると、チャネルの変更依頼または送信タイミングの調整依頼をフレーム長変調によって無線基地局100へ送信する。
端末装置110は、送信対象のデータを暗号して無線基地局100と無線通信を行う。
端末装置111は、送信対象のデータを暗号して無線基地局101と無線通信を行う。
なお、図17においては、図示されていないが、無線基地局100,101は、有線ケーブル20を介してネットワーク30に接続されている。
図18は、図17に示す無線基地局100の構成図である。図18を参照して、無線基地局100は、図2に示す無線基地局1のメイン装置14をメイン装置14Bに代えたものであり、その他は、無線基地局1と同じである。
なお、実施の形態4においては、ウェイクアップ信号受信器131は、チャネルの変更依頼または送信タイミングの調整依頼を表わすフレーム長FLを有するパケットを受信し、その受信したパケットの受信電波に基づいて、上述した方法によって、フレーム長FLを検出する。そして、ウェイクアップ信号受信器131は、その検出したフレーム長FLをウェイクアップ判定器132へ出力する。
ウェイクアップ判定器132は、チャネルの変更依頼または送信タイミングの調整依頼を表わすフレーム長として、例えば、700μsのフレーム長を保持する。ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップ信号受信器131からフレーム長FLを受けると、その受けたフレーム長FLが700μsに一致するか否かを判定する。
ウェイクアップ判定器132は、フレーム長FLが700μsに一致すると判定されたとき、チャネルの変更依頼を示す信号ASK1または送信タイミングの調整依頼を示す信号ASK2を生成してホストシステム143Bへ出力する。一方、ウェイクアップ判定器132は、フレーム長FLが700μsに一致しないとき、フレーム長FLがチャネルの変更依頼または送信タイミングの調整依頼を表わさないと判定し、信号ASK1または信号ASK2をホストシステム143Bへ出力しない。
メイン装置14Bは、図2に示すメイン装置14の無線通信モジュール141を無線通信モジュール141Aに代え、ホストシステム143をホストシステム143Bに代えたものであり、その他は、メイン装置14と同じである。
ホストシステム143Bは、端末装置110と無線通信を行っているときに、端末装置110から送信されたデータの誤り率を検出し、その検出した誤り率がしきい値以上であるとき、無線基地局100のネットワークと無線基地局101のネットワークとの間で干渉が生じていると判定する。
また、ホストシステム143Bは、無線基地局100のネットワーク内で使用されるチャネルと無線基地局101のネットワーク内で使用されるチャネルとが同一である場合、無線基地局100のネットワークと無線基地局101のネットワークとの間で衝突が生じていると判定する。なお、ホストシステム143Bは、無線基地局101から受信したビーコンフレームBeaconに含まれるチャネルを無線基地局101のネットワーク内で使用されるチャネルとして検出する。従って、ホストシステム143Bは、無線基地局100のネットワークと無線基地局101のネットワークとの間で衝突が生じているか否かを判定できる。なお、ホストシステム143Bは、ビーコンフレームBeaconに含まれるチャネルに限らず、Probe Requestに含まれるチャネルを検出して無線基地局100のネットワークと無線基地局101のネットワークとの間で衝突が生じているか否かを判定してもよく、ホストシステム143Bは、データの誤り率がしきい値よりも低いことを検出して無線基地局100のネットワークと無線基地局101のネットワークとの間で衝突が生じているか否かを判定してもよい。一般的には、ホストシステム143Bは、ネットワーク間の衝突が生じているか否かを判定できる方法であれば、どのような方法を用いて、無線基地局100のネットワークと無線基地局101のネットワークとの間で衝突が生じているか否かを判定してもよい。
そして、ホストシステム143Bは、無線基地局100のネットワークと無線基地局101のネットワークとの間で干渉または衝突が生じていると判定したとき、チャネルの変更依頼または送信タイミングの調整依頼を表わすフレーム長FL(=700μs)を無線通信モジュール141Aへ出力する。
ホストシステム143Bは、ウェイクアップ判定器132から信号ASK1を受けたとき、現在、使用しているチャネルと異なるチャネルを無線通信モジュール141Aへ出力し、ウェイクアップ判定器132から信号ASK2を受けたとき、送信タイミングの変更指示を無線通信モジュール141Aへ出力する。
ホストシステム143Bは、その他、ホストシステム143と同じ機能を果たす。
無線通信モジュール141Aは、チャネルの変更依頼または送信タイミングの調整依頼を表わすフレーム長FLをホストシステム143Bから受けると、ペイロードを調整してフレーム長FLを有するパケットを生成するとともに、その生成したパケットを暗号し、その暗号したパケットをアンテナ11を介して送信する。
無線通信モジュール141Aは、ホストシステム143Bからチャネルを受けると、その受けたチャネルを用いて端末装置110と無線通信を行う。また、無線通信モジュール141Aは、送信タイミングの変更指示をホストシステム143Bから受けると、送信タイミングを変更してパケットを端末装置110へ送信する。
無線通信モジュール141Aは、その他、無線通信モジュール141と同じ機能を果たす。
なお、図17に示す無線基地局101も、図18に示す無線基地局100と同じ構成からなる。
図19は、図17に示す端末装置110の構成図である。図19を参照して、端末装置110は、図3に示す端末装置3のウェイクアップ信号送信器33を削除し、無線通信モジュール32を無線通信モジュール32Aに代えたものであり、その他は、端末装置3と同じである。
無線通信モジュール32Aは、アンテナ31を介して無線基地局1からパケットを受信し、その受信したパケットを復号するとともに復調してデータを取り出し、その取り出したデータをホストシステム34へ出力する。また、無線通信モジュール32Aは、ホストシステム34からデータを受け、その受けたデータを含むパケットを生成する。そして、無線通信モジュール32Aは、その生成したパケットを無線LANによる変調方式によって変調し、その変調したパケットを暗号し、その暗号したパケットをアンテナ31を介して無線基地局1へ送信する。
図20は、図17に示す無線通信システム10Cの動作を説明するためのフローチャートである。なお、無線基地局100,101の両方が起動状態であることを前提として無線通信システム10Cの動作を説明する。
図20を参照して、一連の動作が開始されると、無線基地局100は、自己のネットワーク内で送信対象のデータを暗号して端末装置110と無線通信を開始し、無線基地局101は、自己のネットワーク内で送信対象のデータを暗号して端末装置111と無線通信を開始する(ステップS81)。
そして、無線基地局100は、上述した方法によって、無線基地局100のネットワーク内における無線通信と無線基地局101のネットワーク内における無線通信との間で干渉または衝突が発生したか否かを判定する(ステップS82)。
ステップS82において、干渉または衝突が発生したと判定されたとき、無線基地局100は、ペイロードを調整して、チャネルの変更依頼または送信タイミングの調整依頼を表わすフレーム長FLを有するパケットを生成して送信する(ステップS83)。
そして、無線基地局101は、パケットを受信し、上述した方法によって、パケットのフレーム長を検出する(ステップS84)。
その後、無線基地局101は、その検出したフレーム長がチャネルの変更依頼または送信タイミングの調整依頼を表わすか否かを判定する(ステップS85)。
ステップS85において、フレーム長がチャネルの変更依頼または送信タイミングの調整依頼を表わすと判定されたとき、無線基地局101は、チャネルまたは送信タイミングを変更して端末装置111と無線通信を行う(ステップS86)。
そして、ステップS82において、干渉または衝突が発生していないと判定されたとき、またはステップS85において、フレーム長がチャネルの変更依頼または送信タイミングの調整依頼を表わさないと判定されたとき、またはステップS86の後、一連の動作は、終了する。
なお、図19に示すフローチャートにおいては、無線基地局101がステップS81,S82,S83を実行し、無線基地局100がステップS84〜ステップS86を実行するようにしてもよい。
このように、実施の形態4においては、無線基地局100,101のいずれか一方が無線通信の干渉または衝突の発生を検出すると、無線基地局100,101のいずれか他方がチャネルまたは送信タイミングを変更して無線通信を行う。
従って、無線基地局100,101は、無線通信の干渉または衝突を回避して自己のネットワーク内で無線通信を行うことができる。
そして、無線通信の干渉または衝突を回避して無線通信を行うと、無線基地局100,101の各々のネットワークにおける負荷が減少する。その結果、チャネルまたは送信タイミングを変更して無線通信を行うことは、負荷を分散することに相当する。よって、図20に示すフローチャートに従って無線通信を行うことによって、負荷を分散できる。
また、無線通信システム10Cは、使用可能なチャネル数が少ない場合に有効である。無線通信の干渉または衝突が発生した場合、無線基地局100,101がチャネルの変更依頼を行うからである。
上述した無線基地局100,101の動作は、プログラムによって実行されてもよい。この場合、無線基地局100,101の各々は、CPU、ROMおよびRAMを備える。そして、無線基地局100は、図19に示すステップS81,S82,S83からなるプログラムGをROMに格納している。そして、無線基地局100のCPUは、ROMからプログラムGを読み出して実行する。これによって、ステップS81,S82,S83が順次実行される。従って、プログラムGは、無線基地局100の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
また、無線基地局101は、図19に示すステップS84〜S86からなるプログラムHをROMに格納している。そして、無線基地局101のCPUは、ROMからプログラムHを読み出して実行する。これによって、ステップS84〜S89が順次実行される。従って、プログラムHは、無線基地局101の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
上記においては、負荷を分散するためにウェイクアップ後のチャネル情報をウェイクアップ信号に含めると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、負荷を分散するために送信タイミングまたはタイムスロットをウェイクアップ信号に含めてもよい。この場合、ウェイクアップ後のチャネルは、無線基地局1(または無線基地局1A)のネットワークと無線基地局2(または無線基地局2A)のネットワークとの間で同じであっても、送信タイミングまたはタイムスロットが無線基地局1(または無線基地局1A)のネットワークと無線基地局2(または無線基地局2A)のネットワークとの間で異なるので、無線基地局1(または無線基地局1A)のネットワークと無線基地局2(または無線基地局2A)のネットワークとの間で干渉を低減できる。
従って、この発明の実施の形態においては、チャネル、送信タイミングおよびタイムスロットを無線通信資源として捉えれば、無線基地局1,2(または無線基地局1A,2A)は、相互に異なる無線通信資源で起動し、相互に異なる無線通信資源を用いて端末装置3〜6(または端末装置3〜7)と無線通信を行えばよい。
また、上述した実施の形態1においては、無線基地局1が、自己の使用チャネルCH_useが過負荷状態であることを検出して端末装置3〜6へ送信し、端末装置3〜6のいずれかが、チャネルCH_use以外のチャネルCH_otherで起動するように無線基地局2へウェイクアップ信号を送信するとともに、無線基地局2が起動すると、接続先を無線基地局1から無線基地局2へ切り替えることについて説明した。また、実施の形態2においては、無線基地局1Aが、自己の使用チャネルCH_useが過負荷状態であることを検出すると、チャネルCH_use以外のチャネルCH_otherで起動するように無線基地局2Aへウェイクアップ信号を送信し、端末装置3〜6のいずれかが、無線基地局2Aが起動すると、接続先を無線基地局1Aから無線基地局2Aへ切り替えることについて説明した。更に、実施の形態3においては、新たに参加する端末装置7が、発見した無線基地局の使用チャネルCH_useが過負荷状態であるとき、チャネルCH_use以外のチャネルCH_otherで起動するように、発見した無線基地局以外の無線基地局のウェイクアップを試行し、発見した無線基地局以外の無線基地局が起動すると、その起動した無線基地局に接続することについて説明した。
更に、実施の形態4においては、無線基地局100,101の一方が無線通信の干渉または衝突を検知すると、チャネルの変更依頼または送信タイミングの調整依頼を送信することについて説明した。
上述した実施の形態1〜実施の形態3における開示内容に基づけば、端末装置3〜7は、自己が接続している無線基地局1,1Aが過負荷状態であることを検知すると、無線基地局1,1Aとの間で使用されているチャネルCH_use以外のチャネルCH_otherで起動するようにウェイクアップ信号を無線基地局1,1Aと異なる無線基地局2,2Aへ送信する。即ち、端末装置3〜7は、チャネルCH_use以外のチャネルCH_otherで起動するように無線基地局1,1Aと異なる無線基地局2,2Aを制御する。また、実施の形態4における開示内容に基づけば、無線基地局100,101の一方は、チャネルを変更して無線通信を行うように、または送信タイミングを調整して無線通信を行うように無線基地局100,101の他方を制御する。
従って、この発明の実施の形態による無線装置は、第1の無線基地局が無線通信に使用している第1の無線通信資源における負荷が、無線通信特性がしきい値よりも低くなる負荷状態であるとき、第1の無線基地局と異なる第2の無線基地局が第1の無線通信資源と異なる第2の無線通信資源で起動または無線通信を行うように前記第2の無線基地局を制御する制御手段を備え、第1および第2の無線通信資源の各々は、チャネル、送信タイミングおよびタイムスロットのいずれかからなっていればよい。そして、無線通信特性は、例えば、データの誤り率からなり、データの誤り率がしきい値よりも低くなった状態は、第1の無線通信資源における負荷が負荷状態であることに相当する。
また、上述した実施の形態1〜実施の形態3における開示内容に基づけば、端末装置3〜7は、過負荷状態である無線基地局1,1Aと異なる無線基地局2,2Aが起動すると、接続先を無線基地局1,1Aから無線基地局2,2Aに切り替える。
従って、この発明の実施の形態による端末装置は、第1の無線基地局と無線通信を行っているときに、第1の無線基地局が無線通信に使用している第1の無線通信資源における負荷が第1の無線基地局への新たな接続を第1の無線基地局によって拒否される状態である過負荷状態になり、かつ、第1の無線基地局と異なる第2の無線基地局が第1の無線通信資源と異なる第2の無線通信資源で起動すると、当該端末装置の接続先を第1の無線基地局から第2の無線基地局へ切り替える切替手段を備え、第1および第2の無線通信資源の各々は、チャネル、送信タイミングおよびタイムスロットのいずれかからなっていればよい。
この発明の実施の形態による端末装置が上記の構成からなる結果、端末装置は、第1の無線基地局から第2の無線基地局へ接続先を切り替え、第1の無線基地局における第1の無線通信資源と異なる第2の無線通信資源を用いて第2の無線基地局と無線通信を行う。
従って、無線通信の干渉を低減して無線基地局の負荷を分散できる。
また、実施の形態1における開示内容に基づけば、無線基地局1は、チャネル情報CH_useと過負荷状態(=“11”)を示す状態情報state_info(=過負荷情報)とを含むビーコンフレームBeaconをブローキャストする。
従って、この発明の実施の形態による無線基地局は、無線通信に使用している無線通信資源における負荷を検出する負荷検出手段と、検出された負荷に基づいて、当該無線基地局の状態が、当該無線基地局への新たな接続を拒否する状態である過負荷状態であるか否かを判定する判定手段と、判定手段によって当該無線基地局の状態が過負荷状態であると判定されると、過負荷状態であることを示す過負荷情報と前記無線通信資源を示す資源情報とを含む制御パケットをブロードキャストする送信手段とを備え、無線通信資源は、チャネル、送信タイミングおよびタイムスロットのいずれかからなっていればよい。
無線基地局が過負荷状態であることを示す過負荷情報と無線通信資源を示す資源情報とを含む制御パケットをブロードキャストすると、端末装置は、制御パケットを受信し、制御パケットに含まれる過負荷情報に基づいて無線基地局が過負荷状態であることを検知し、制御パケットに含まれる無線通信資源と異なる無線通信資源で他の無線基地局を起動させ、その起動した他の無線基地局に接続する。その結果、無線通信の干渉を低減して無線基地局の負荷を分散できる。
更に、実施の形態2における開示内容に基づけば、無線基地局1Aは、自己のチャネルCH_useが過負荷状態であると判定すると、チャネルCH_use以外のチャネルCH_otherで起動するようにウェイクアップ信号を無線基地局2Aへ送信する。
従って、この発明の実施の形態による無線基地局は、無線通信に使用している第1の無線通信資源における負荷を検出する負荷検出手段と、検出された負荷に基づいて、当該無線基地局の状態が、当該無線基地局への新たな接続を拒否する状態である過負荷状態であるか否かを判定する判定手段と、判定手段によって当該無線基地局の状態が過負荷状態であると判定されると、第1の無線通信資源と異なる第2の無線通信資源で起動するように要求する起動要求を無線通信によって他の無線基地局へ送信する送信手段とを備え、第1および第2の無線通信資源の各々は、チャネル、送信タイミングおよびタイムスロットのいずれかからなっていればよい。
無線基地局が第1の無線通信資源と異なる第2の無線通信資源で起動するように要求する起動要求を他の無線基地局へ送信すると、他の無線基地局は、第2の無線通信資源で起動し、端末装置は、その起動した他の無線基地局に接続し、第2の無線通信資源を用いて他の無線基地局と無線通信を行う。従って、無線通信の干渉を低減して無線基地局の負荷を分散できる。
上述した端末装置および無線基地局の構成を、アドホック無線ネットワークを構成する無線装置にも適用することによって、アドホック無線ネットワークにおいて、相互に異なる無線通信資源を用いて無線通信を行う複数の経路を確立可能である。その結果、アドホック無線ネットワークにおいても、無線通信の干渉を低減して無線装置の負荷を分散できる。
従って、上述した端末装置および無線基地局の構成を一般的な無線装置の構成に拡張できる。
よって、この発明の実施の形態による無線装置は、第1の無線装置が無線通信に使用している第1の無線通信資源における負荷が、無線通信特性がしきい値よりも低くなる負荷状態であるとき、第1の無線装置と異なる第2の無線装置が第1の無線通信資源と異なる第2の無線通信資源で起動または無線通信を行うように前記第2の無線装置を制御する制御手段を備え、第1および第2の無線通信資源の各々は、チャネル、送信タイミングおよびタイムスロットのいずれかからなっていればよい。
また、この発明の実施の形態による無線装置は、第1の無線装置と無線通信を行っているときに、第1の無線装置が無線通信に使用している第1の無線通信資源における負荷が第1の無線装置への新たな接続を第1の無線装置によって拒否される状態である過負荷状態になり、かつ、第1の無線装置と異なる第2の無線装置が第1の無線通信資源と異なる第2の無線通信資源で起動すると、当該無線装置の接続先を第1の無線装置から第2の無線装置へ切り替える切替手段を備え、第1および第2の無線通信資源の各々は、チャネル、送信タイミングおよびタイムスロットのいずれかからなっていればよい。
更に、この発明の実施の形態による無線装置は、無線通信に使用している無線通信資源における負荷を検出する負荷検出手段と、検出された負荷に基づいて、当該無線装置の状態が、当該無線装置への新たな接続を拒否する状態である過負荷状態であるか否かを判定する判定手段と、判定手段によって当該無線装置の状態が過負荷状態であると判定されると、過負荷状態であることを示す過負荷情報と無線通信資源を示す資源情報とを含む制御パケットをブロードキャストする送信手段とを備え、無線通信資源は、チャネル、送信タイミングおよびタイムスロットのいずれかからなっていればよい。
更に、この発明の実施の形態による無線装置は、無線通信に使用している第1の無線通信資源における負荷を検出する負荷検出手段と、検出された負荷に基づいて、当該無線装置の状態が、当該無線装置への新たな接続を拒否する状態である過負荷状態であるか否かを判定する判定手段と、判定手段によって当該無線装置の状態が過負荷状態であると判定されると、第1の無線通信資源と異なる第2の無線通信資源で起動するように要求する起動要求を無線通信によって他の無線装置へ送信する送信手段とを備え、第1および第2の無線通信資源の各々は、チャネル、送信タイミングおよびタイムスロットのいずれかからなっていればよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。