JP6691090B2 - 窒化物半導体発光素子及び窒化物半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

窒化物半導体発光素子及び窒化物半導体発光素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、窒化物半導体発光素子及び窒化物半導体発光素子の製造方法に関する。
近年、紫外光を出力する発光ダイオードやレーザダイオード等の窒化物半導体発光素子が提供されており、発光強度を向上させた窒化物半導体発光素子の開発が進められている(特許文献1参照。)。
特許第4681684号公報
特許文献1に記載の窒化物半導体発光素子は、基板と、該基板上に形成されたAlNからなるAlN歪緩衝層と、該AlN歪緩衝層上に形成された超格子歪緩衝層と、該超格子歪緩衝層上に形成された窒化物半導体層とを備え、前記超格子歪緩衝層は、AlxGa1−xN(0≦x≦0.25)よりなり、且つ、Mgを含む第1の層と、AlNよりなり、意図的にMgを含んでいない第2の層とを交互に積層して超格子構造を形成したものであることを特徴とする。
AlGaN窒化物半導体発光素子では、AlNモル分率組成比の高いAlGaN領域とAlNモル分率の低いAlGaN領域とが存在することにより、発光波長の分布が広がり発光スペクトルの幅が広くなる虞がある。
上記課題を鑑み、本発明は、発光波長分布の広がりを抑制して発光スペクトルの幅を狭くすることができる窒化物半導体発光素子及び窒化物半導体発光素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決することを目的として、基板と、前記基板上に設けられAlGaNにより形成された超格子層と、前記超格子層上に設けられ、n型AlGaNにより形成されたn型クラッド層と、前記n型クラッド層上に設けられた活性層と、を備える窒化物半導体発光素子であって、前記超格子層は、前記基板側に位置して、第1のAl組成比を有するAlGaNにより形成された第1のAlGaN層と、前記第1のAlGaN層上に形成され、前記第1のAl組成比よりも小さい第2のAl組成比を有するAlGaNにより形成された第2のAlGaN層と、前記第2のAlGaN層上に形成され、前記第2のAl組成比よりも小さい第3のAl組成比を有するAlGaNにより形成された第3のAlGaN層と、を含む、窒化物半導体発光素子及び窒化物半導体発光素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、発光波長分布の広がりを抑制して発光スペクトルの幅を狭くすることができる窒化物半導体発光素子及び窒化物半導体発光素子の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の構成を概略的に示す断面図である。 図2は、基板の表面の状態を模式的に示す図である。 図3は、図1に示す発光素子の超格子層のAl組成比の一例を模式的に示すグラフである。 図4は、本発明の第1の実施の形態に係る実施例の発光素子の超格子層の構成と実施例の測定結果とを示す図である。 図5は、比較例及び実施例の発光素子の発光出力及びスペクトルの半値幅を示すグラフである。 図6は、本発明の第2の実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の構成を概略的に示す断面図である。 図7は、図6に示す発光素子の超格子層のAl組成比の一例を模式的に示すグラフである。 図8は、本発明の第2の実施の形態に係る実施例の発光素子の超格子層の構成と実施例の測定結果とを示す図である。 図9は、比較例及び実施例の発光素子の発光出力及びスペクトルの半値幅を示すグラフである。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態について、図1から図3を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。また、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の窒化物半導体発光素子の寸法比と一致するものではない。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の構成を概略的に示す断面図である。窒化物半導体発光素子1(以下、単に「発光素子1」ともいう。)は、紫外領域の波長の光を発する発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)である。本実施の形態では、特に、中心波長が280nm〜360nmの深紫外光を発する発光素子1を例に挙げて説明する。
図1に示すように、発光素子1は、基板10と、バッファ層20と、超格子層30と、n型クラッド層40と、多重量子井戸層を含む活性層50と、電子ブロック層60と、p型クラッド層70と、p型コンタクト層80と、n側電極90と、p側電極92とを含んで構成されている。
発光素子1を構成する半導体には、例えば、AlGaIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)にて表される2元系、3元系若しくは4元系のIII族窒化物半導体を用いることができる。また、これらのIII族元素の一部は、ホウ素(B)、タリウム(Tl)等で置き換えても良く、また、Nの一部をリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等で置き換えても良い。
基板10は、発光素子1が発する深紫外光に対して透光性を有している。基板10は、例えば、サファイア(Al)を含むサファイア基板である。
図2は、基板10の表面の状態を模式的に示す図である。図2に示すように、基板10の上面10aは、基板10の底面に対して所定の大きさのオフ角θで傾斜するテラス幅Wの複数のテラス面Tを有して構成されている。一テラス面Tと隣接するテラス面Tとの間には、段差Sが存形成されている。換言すれば、基板10の上面10aの断面は、段差Sを有する鋸歯状の形状を有している。オフ角θは、テラス面Tと、段差Sの上端又は下端を結ぶ線分とのなす角として定義される。オフ角θは、好ましくは、0.6°から3°である。
バッファ層20は、基板10上に形成されている。バッファ層20は、AlN層を含んで構成されている。基板10及びバッファ層20は、下地構造部2を構成する。基板10がAlN基板またはAlGaN基板である場合、バッファ層20は必ずしも設けなくてもよい。
超格子層30は、バッファ層20上に形成されている。換言すれば、超格子層30は、バッファ層20とn型クラッド層40との間に形成されている。
超格子層30は、少なくとも2種類のAl組成比の異なるAlGaNにより形成された層を交互に積層して形成される。具体的には、超格子層30は、互いに異なるAl組成比を有するAlGaNにより形成された第1のAlGaN層32と第2のAlGaN層34とを交互に積層して形成される。換言すれば、第1のAlGaN層32及び第2のAlGaN層34は、それぞれAlGaNを含む超格子構成層である。超格子層を形成する各層の厚さは、概ね0.1nmから10nm程度である。
次に、図3を参照して、超格子層30の詳細について説明する。図3は、図1に示す発光素子1の超格子層30のAl組成比の一例を模式的に示すグラフである。なお、Al組成比には、別の表現として、「AlNモル分率」(%)を用いてもよい。図2の縦軸は、超格子層30のAl組成比(%)を示し、横軸は、超格子層30を構成する第1のAlGaN層32及び第2のAlGaN層34の位置を模式的に示している。図3内の符号「t」及び「t」は、それぞれ、第1のAlGaN層32、第2のAlGaN層34の厚さを示している。
第1のAlGaN層32は、バッファ層20上に形成されている。図3に示すように、第1のAlGaN層32は、第1のAl組成比pを有するAlGa1−pN(0<p≦1)に形成された層である。好ましくは、第1のAlGaN層32の第1のAl組成比pは、バッファ層20のAl組成比(約100%)と略等しい値を有している。すなわち、pは、好ましくは、99%以上であり、より好ましくは、100%である。また、第1のAlGaN層32は、好ましくは、30nm(ナノメートル)以下の厚さtを有している。
第2のAlGaN層34は、第1のAl組成比pよりも小さい第2のAl組成比qを有するAlGa1−qN(0<q<p)に形成された層である。また、第2のAlGaN層34は、第1のAlGaN層32の厚さt以上の厚さtを有している。また、第2のAlGaN層34の厚さtは、好ましくは、50nm(ナノメートル)以下である。
超格子層30は、複数の第1のAlGaN層32と、複数の第2のAlGaN層34とを、バッファ層20側からn型クラッド層40側に向かってこの順に交互にL(Lは自然数)層ずつ積層している。また、好ましくは、超格子層30の厚さ((t+t)xL)は、2000nm(すなわち、2μm(マイクロメートル))以下である。
n型クラッド層40は、超格子層30上に形成されている。n型クラッド層40は、n型のAlGaN(以下、単に「n型AlGaN」ともいう。)により形成された層であり、例えば、n型の不純物としてシリコン(Si)がドープされたAlGaNを含む層である。なお、n型の不純物としては、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、テルル(Te)、炭素(C)等を用いてもよい。なお、n型クラッド層40と超格子層30との間にアンドープのu−AlGa1−pN層(0≦p≦1)が設けられていてもよい。u−AlGa1−pN層24は、1.0μm以下の膜厚t(0≦t≦1.0)を有している。
多重量子井戸層を含む活性層50は、n型クラッド層40上に形成されている。活性層50は、AlGa1−rNを含んで構成される多重量子井戸層のn型クラッド層40側の障壁層52a、及び後述する電子ブロック層60側の障壁層52cを含む3層の障壁層52a,52b,52cとAlGa1−sNを含んで構成される3層の井戸層54a,54b,54c(0≦r≦1、0≦s≦1、r>s)とを交互に積層した多重量子井戸層を含む層である。活性層50は、波長360nm以下の深紫外光を出力するためにバンドギャップが3.4eV以上となるように構成されている。なお、本実施の形態では、活性層50に障壁層52a,52b,52c及び井戸層54a,54b,54cを各3層ずつ設けたが、必ずしも3層に限定されるものではなく、2層以下でもよく、4層以上でもよい。
電子ブロック層60は、活性層50上に形成されている。電子ブロック層60は、p型のAlGaN(以下、単に「p型AlGaN」ともいう。)により形成されている。電子ブロック層60は、1nm〜10nm程度の厚さを有している。なお、電子ブロック層60は、AlNにより形成された層を含んでもよい。また、電子ブロック層60は、必ずしもp型の半導体層に限られず、アンドープの半導体層でもよい。
p型クラッド層70は、電子ブロック層60上に形成されている。p型クラッド層70は、p型AlGaNにより形成される層であり、例えば、p型の不純物としてマグネシウム(Mg)がドープされたAlGa1-tNクラッド層(0≦t≦1)である。なお、p型の不純物としては、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等を用いてもよい。p型クラッド層70は、300nm〜700nm程度の厚さを有し、例えば、400nm〜600nm程度の厚さを有する。
p型コンタクト層80は、p型クラッド層70上に形成されている。p型コンタクト層80は、例えば、Mg等の不純物が高濃度にドープされたp型のGaN層である。
n側電極90は、n型クラッド層40の一部の領域上に形成されている。n側電極90は、例えば、n型クラッド層40の上に順にチタン(Ti)/アルミニウム(Al)/Ti/金(Au)が順に積層された多層膜で形成される。
p側電極92は、p型コンタクト層80の上に形成されている。p側電極92は、例えば、p型コンタクト層80の上に順に積層されるニッケル(Ni)/金(Au)の多層膜で形成される。
(製造方法)
次に、発光素子1の製造方法について説明する。基板10上にバッファ層20、超格子層30、n型クラッド層40、活性層50、電子ブロック層60、p型クラッド層70を、この順に、例えば、温度を段階的に下げながら連続的に高温成長させて形成する。これら層の成長には、有機金属化学気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)、分子線エピタキシ法(Molecular Beam Epitaxy:MBE)、ハライド気相エピタキシ法(Halide Vapor Phase Epitaxy:NVPE)等の周知のエピタキシャル成長法を用いて形成することができる。
次に、p型クラッド層70の上にマスクを形成し、マスクが形成されていない露出領域の活性層50、電子ブロック層60、及びp型クラッド層70を除去する。活性層50、電子ブロック層60、及びp型クラッド層70の除去は、例えば、プラズマエッチングにより行うことができる。n型クラッド層40の露出面40a(図1参照)上にn側電極90を形成し、マスクを除去したp型コンタクト層80上にp側電極92を形成する。n側電極90及びp側電極92は、例えば、電子ビーム蒸着法やスパッタリング法などの周知の方法により形成することができる。
(実施例)
次に、図4及び図5を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る実施例について説明する。図4は、比較例及び実施例に係る発光素子の超格子層30のデータと、測定結果とを示す図である。図5は、比較例及び実施例に係る発光素子の半値幅を示すグラフである。なお、図4の「ループ数」は、第1のAlGaN層32又は第2のAlGaN層34の層の数L(「積層数L」ともいう)を示す。
図4に示すように、実施例1の発光素子1は、第1のAlGaN層32及び第2のAlGaN層34を交互に複数積層させた超格子層30を有しているのに対し、比較例の発光素子は、かかる超格子層30を有していない点で両者は相違している。
具体的に、図4に示すように、実施例1に係る発光素子1は、第1のAl組成比pとしてAl組成比100%を有するAlGaNにより形成された第1のAlGaN層32と、第2のAl組成比qとしてAl組成比37.7%を有するAlGaNにより形成された第2のAlGaN層34とを備えている。
また、実施例1に係る発光素子1は、第1のAlGaN層32及び第2のAlGaN層34を交互に30層ずつ積層している。また、第1のAlGaN層32の厚さtは、10nmであり、第2のAlGaN層34の厚さtは、30nmである。超格子層30の厚さは、約1200nm((10+30)x30)、すなわち、約1.2μmである。
発光素子の半値幅に関する結果を、図4及び図5を参照して説明する。半値幅(nm)とは、発光出力(任意単位、当社比)の極大値の1/2の発光出力に対応する2点間の波長の間隔をいう。なお、発光出力は、種々の公知の方法で測定することが可能であるが、本実施例では、一例として、上述したn側電極90及びp側電極92の間に電流を流し、発光素子1の下側に設置した光検出器により測定した。
図4及び図5に示すように、比較例の発光素子では、中心波長(発光出力の極大値に対応する波長、単位はnm)308.8nmで、半値幅が22.26nmであったのに対し、実施例1の発光素子1では、中心波長316.8nmで、半値幅が19.06nmであった。このように、実施例1の発光素子1の半値幅は、比較例の発光素子の半値幅よりも約14%低減した。
以上のように、本発明により、発光素子1の発光波長分布の広がりが抑制され、半値幅、すなわち、発光スペクトルの幅を狭くできることが明らかになった。
また、上述した所定の大きさのオフ角θの表面を有する基板10上で結晶成長させることにより、結晶性の高い発光素子1が得られる。本発明によると、このような結晶性が高く発光出力に優れた発光素子1において、さらに発光素子1の発光波長分布の広がりを抑制することが可能となる。
なお、図4に示すように、比較例では、0.49の発光出力が得られたのに対し、実施例1では、0.57の発光出力が得られた。このように、実施例1では、比較例の1.16倍以上の発光出力が得られた。ここで、上記の発光出力の値は、発光素子に20mAの電流を印加したときに得られる出力値である。以上のように、本発明により、発光素子1の発光出力も上昇することが明らかになった。
[第2の実施の形態]
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の構成を概略的に示す断面図である。図7は、図6に示す発光素子の超格子層のAl組成比の一例を模式的に示すグラフである。第2の実施の形態に係る発光素子1は、後述する第3のAlGaN層36を備える点で、第1の実施の形態に係る発光素子1と相違する。以下、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略するとともに、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
図6に示すように、発光素子1の超格子層30は、第2のAlGaN層上に形成された第3のAlGaN層36をさらに備える。また、図7に示すように、第3のAlGaN層36は、第2のAl組成比qよりも小さい第3のAl組成比zを有するAlGa1−zN(0<z<q)により形成されている。また、第3のAlGaN層36は、50nm(ナノメートル)以下の厚さtを有している。
第1のAlGaN層32と、第2のAlGaN層34と、第3のAlGaN層36とは、この順にL層ずつ繰り返されて積層されている。すなわち、超格子層30は、複数の第1のAlGaN層32と、複数の第2のAlGaN層34と、複数の第3のAlGaN層36とを、バッファ層20側からn型クラッド層40側に向かってこの順にL層ずつ繰り返して積層している。なお、第3のAlGaN層36は、AlGaNを含む超格子構成層である。
(実施例)
次に、図8及び図9を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る実施例を説明する。図8は、本発明の第2の実施の形態に係る実施例の発光素子の超格子層の構成と実施例の測定結果とを示す図である。図9は、比較例及び実施例の発光素子の発光出力及びスペクトルの半値幅を示すグラフである。なお、比較例として用いた発光素子は、第1の実施の形態で用いた発光素子と同様の構成を有するため、ここでの説明は省略する。
実施例2に係る発光素子1は、第1のAl組成比pとしてAl組成比100%を有するAlGaNにより形成された第1のAlGaN層32と、第2のAl組成比qとしてAl組成比48.1%を有するAlGaNにより形成された第2のAlGaN層34と、第3のAl組成比zとしてAl組成比37.7%を有するAlGaNにより形成された第3のAlGaN層36とを備えている。また、実施例2に係る発光素子1は、第1のAlGaN層32、第2のAlGaN層34及び第3のAlGaN層36をこの順に41層ずつ繰り返して積層している。また、第1のAlGaN層32の厚さtは、10nmであり、第2のAlGaN層34の厚さtは、20nmであり、第3のAlGaN層36の厚さtは、10nmである。超格子層30の厚さは、約1640nm((10+20+10)x41)、すなわち、約1.64μmである。
実施例3に係る発光素子1は、実施例2に係る発光素子1と同様のAl組成比及び厚さを有する第1のAlGaN層32と、第2のAlGaN層34と、第3のAlGaN層36とを備えている。また、実施例3に係る発光素子1は、第1のAlGaN層32、第2のAlGaN層34及び第3のAlGaN層36をこの順に30層ずつ繰り返して積層している。超格子層30の厚さは、約1200nm((10+20+10)x30)、すなわち、約1.2μmである。
図8及び図9に示すように、実施例2の発光素子1では、中心波長310.4nmで、半値幅が18.28nmであった。また、実施例3の発光素子1では、中心波長318.4nmで、半値幅が21.44nmであった。このように、実施例2の発光素子1の半値幅は、比較例の発光素子の半値幅よりも約18%低減した。また、実施例3の発光素子1の半値幅は、比較例の発光素子の半値幅よりも約4%低減した。
以上のようにしても、発光素子1の発光波長分布の広がりが抑制され、半値幅、すなわち、発光スペクトルの幅を狭くできることが明らかになった。
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る発光素子1は、バッファ層20上に位置して、例えば、少なくとも2種類のAl組成比の異なるAlGaNにより形成された層を含む超格子層30を有している。これにより、発光素子1の発光波長分布の広がりが抑制され、発光スペクトルの幅を狭くすることが可能となる。
(実施形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[1]基板(10)と、前記基板(10)上に設けられAlGaNにより形成された超格子層(30)と、前記超格子層(30)上に設けられ、n型AlGaNにより形成されたn型クラッド層(40)と、前記n型クラッド層(40)上に設けられた活性層(50)と、を備える窒化物半導体発光素子(1)であって、前記超格子層(30)は、前記基板(10)側に位置して、第1のAl組成比を有するAlGaNにより形成された第1のAlGaN層(32)と、前記第1のAlGaN層(32)上に形成され、前記第1のAl組成比よりも小さい第2のAl組成比を有するAlGaNにより形成された第2のAlGaN層(34)と、前記第2のAlGaN層(34)上に形成され、前記第2のAl組成比よりも小さい第3のAl組成比を有するAlGaNにより形成された第3のAlGaN層(36)と、を含む窒化物半導体発光素子(1)。
[2]前記基板(10)と前記超格子層(30)との間に位置してAlNにより形成されたバッファ層(20)をさらに備え、、前記第1のAlGaN層(32)のAl組成比は、前記基板(10)と前記第1のAlGaN層(32)との間に設けられたバッファ層(20)を形成するAlNのAl組成比と略等しい値である、前記[1]に記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[3]前記第2のAlGaN層(34)は、前記第1のAlGaN層(32)の厚さ以上の厚さを有する、前記[2]に記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[4]前記第1のAlGaN層(32)は、30ナノメートル以下の厚さを有する、前記[2]又は[3]のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[5]前記第2のAlGaN層(34)は、50ナノメートル以下の厚さを有する、前記[2]から[4]のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[6]前記超格子層(30)は、複数の前記第1のAlGaN層(32)と、複数の前記第2のAlGaN層(34)と、複数の前記第3のAlGaN層(36)とを、前記基板(10)側から前記n型クラッド層(40)側に向かってこの順にL層ずつ繰り返して積層している、前記[2]から[5]のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[7]前記第3のAlGaN層(36)は、50ナノメートル以下の厚さを有する、前記[2]から[6]のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[8]前記超格子層(30)は、2マイクロメートル以下の厚さを有する、前記[1]から[7]のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[9]前記基板(10)は、所定のオフ角で傾斜するテラス面を有して構成されている、前記[1]から[8]のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[10]前記テラス面(T)と該テラス面(T)に隣接するテラス面(T)との間に段差(S)が形成されている、前記[9]に記載の窒化物半導体発光素子。
[11]前記オフ角は、0.6°以上3°以下の角度である、前記[9]又は[10]に記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[12]基板(10)上にAlGaNにより形成された超格子層と、n型クラッド層(40)と、活性層(50)と、この順に形成する工程を備える窒化物半導体発光素子(1)の製造方法であって前記工程は、前記基板(10)側に位置して、第1のAl組成比を有するAlGaNにより形成された第1のAlGaN層(32)と、前記第1のAlGaN層(32)上に形成され、前記第1のAl組成比よりも小さい第2のAl組成比を有するAlGaNにより形成された第2のAlGaN層(34)と、前記第2のAlGaN層(34)上に形成され、前記第2のAl組成比よりも小さい第3のAl組成比を有するAlGaNにより形成された第3のAlGaN層(36)と、をこの順に形成する、窒化物半導体発光素子(1)の製造方法。
1…窒化物半導体発光素子(発光素子)
2…下地構造部
10…基板
10a…上面
20…バッファ層
30…超格子層
32…第1のAlGaN層
34…第2のAlGaN層
36…第3のAlGaN層
40…n型クラッド層
40a…露出面
50…活性層
52a,52b,52c…障壁層
54a,54b,54c…井戸層
60…電子ブロック層
70…型クラッド層
80…p型コンタクト層
90…n側電極
92…p側電極
L…積層数
p…第1のAl組成比
q…第2のAl組成比
z…第3のAl組成比
S…段差
T…テラス面
W…テラス幅
θ…オフ角

Claims (12)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられAlGaNにより形成された超格子層と、
    前記超格子層上に設けられ、n型AlGaNにより形成されたn型クラッド層と、
    前記n型クラッド層上に設けられた活性層と、
    を備える窒化物半導体発光素子であって、
    前記超格子層は、
    前記基板側に位置して、第1のAl組成比を有するAlGaNにより形成された第1のAlGaN層と、
    前記第1のAlGaN層上に形成され、前記第1のAl組成比よりも小さい第2のAl組成比を有するAlGaNにより形成された第2のAlGaN層と、
    前記第2のAlGaN層上に形成され、前記第2のAl組成比よりも小さい第3のAl組成比を有するAlGaNにより形成された第3のAlGaN層と、を含む、
    窒化物半導体発光素子。
  2. 前記基板と前記超格子層との間に位置してAlNにより形成されたバッファ層をさらに備え
    前記第1のAlGaN層のAl組成比は、前記基板と前記第1のAlGaN層との間に設けられたバッファ層を形成するAlNのAl組成比と略等しい値である、
    請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  3. 前記第2のAlGaN層は、前記第1のAlGaN層の厚さ以上の厚さを有する、
    請求項2に記載の窒化物半導体発光素子。
  4. 前記第1のAlGaN層は、30ナノメートル以下の厚さを有する、
    請求項2又は3に記載の窒化物半導体発光素子。
  5. 前記第2のAlGaN層は、50ナノメートル以下の厚さを有する、
    請求項2から4のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
  6. 前記超格子層は、複数の前記第1のAlGaN層と、複数の前記第2のAlGaN層と、複数の前記第3のAlGaN層とを、前記バッファ層側から前記n型クラッド層側に向かってこの順にL層ずつ繰り返して積層している、
    請求項2から5のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
  7. 前記第3のAlGaN層は、50ナノメートル以下の厚さを有する、
    請求項2から6のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
  8. 前記超格子層は、2マイクロメートル以下の厚さを有する、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
  9. 前記基板は、所定のオフ角で傾斜するテラス面を有して構成されている、
    請求項1から8のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
  10. 前記テラス面と該テラス面に隣接するテラス面との間に段差が形成されている、
    請求項9に記載の窒化物半導体発光素子。
  11. 前記オフ角は、0.6°以上3°以下の角度である、
    請求項9又は10に記載の窒化物半導体発光素子。
  12. 板上にAlGaNにより形成された超格子層と、n型クラッド層と、活性層と、この順に形成する工程を備える窒化物半導体発光素子の製造方法であって
    前記工程は、前記基板側に位置して、第1のAl組成比を有するAlGaNにより形成された第1のAlGaN層と、前記第1のAlGaN層上に形成され、前記第1のAl組成比よりも小さい第2のAl組成比を有するAlGaNにより形成された第2のAlGaN層と、前記第2のAlGaN層上に形成され、前記第2のAl組成比よりも小さい第3のAl組成比を有するAlGaNにより形成された第3のAlGaN層と、をこの順に形成する、
    窒化物半導体発光素子の製造方法。
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