JP6690188B2 - タイヤ加硫用ブラダおよび空気入りタイヤの加硫装置並びに加硫方法 - Google Patents

タイヤ加硫用ブラダおよび空気入りタイヤの加硫装置並びに加硫方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6690188B2
JP6690188B2 JP2015213205A JP2015213205A JP6690188B2 JP 6690188 B2 JP6690188 B2 JP 6690188B2 JP 2015213205 A JP2015213205 A JP 2015213205A JP 2015213205 A JP2015213205 A JP 2015213205A JP 6690188 B2 JP6690188 B2 JP 6690188B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tire
bladder
partition wall
inner peripheral
vulcanizing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015213205A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017081044A (ja
Inventor
佐藤 有二
有二 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yokohama Rubber Co Ltd filed Critical Yokohama Rubber Co Ltd
Priority to JP2015213205A priority Critical patent/JP6690188B2/ja
Publication of JP2017081044A publication Critical patent/JP2017081044A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6690188B2 publication Critical patent/JP6690188B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Tyre Moulding (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)

Description

本発明は、タイヤ加硫用ブラダおよび空気入りタイヤの加硫方法装置並びに加硫方法に関し、さらに詳しくは、ブラダの損傷を回避しつつ、加硫ブラダの上下温度差を効果的に小さくすることができるタイヤ加硫用ブラダおよび空気入りタイヤの加硫装置並びに加硫方法に関するものである。
タイヤモールド内部に設置されたグリーンタイヤに加硫ブラダを挿入し、この加硫ブラダにスチーム(加熱媒体)および窒素ガス(加圧媒体)を注入してグリーンタイヤを加硫する方法が知られている。このようにスチームと窒素ガスとを用いる加硫方法では、スチームに比して窒素ガスの比重が大きいため、膨張した加硫ブラダの中では、上方にスチームが圧縮された状態で存在し、その下方に窒素ガスが存在した状態になる。そのため、加硫中の加硫ブラダでは、上側の温度が下側に比して高くなって上下温度差が生じる。これに起因して加硫されたタイヤでは、加硫した際の上下方向で加硫程度のばらつきが大きくなるという問題がある。
加硫ブラダの上下温度差を解決するための対策は種々提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1で提案されている対策では、加硫装置を構成する中心機構に、ゴム製の環状遮蔽体を設けている。この環状遮蔽体は加硫ブラダの内部に配置された状態になり、グリーンタイヤを加硫する際に加硫ブラダの内部に注入された窒素ガスを、その上面に衝突させて加硫ブラダの上側に導く。これにより、窒素ガスを加硫ブラダの内部で下方に滞留し難くするとともに、スチームと混合し易くして加硫ブラダの上下温度差を小さくする。
この加硫装置では、中心機構から延ばした環状遮蔽体を加硫ブラダの上端部を把持する上側クランプリングよりも外周側に突出させる。そのため、環状遮蔽体の中心機構からの外周側突出量が非常に大きくなり、相応の肉厚が必要になる。窒素ガスの下方での滞留防止効果を高めるには、できるだけ環状遮蔽体を外周側に突出させる必要があり、これに伴い、益々、環状遮蔽体の肉厚を厚くする必要がある。そうなると、加硫ブラダを収縮させた際に、環状遮蔽体と加硫ブラダとが干渉して、互いが損傷し易くなるという問題が生じる。
特許文献2で提案されている対策では、加硫ブラダの内面に複数のひだを分散して設けている。これらのひだは、加硫ブラダに注入されたスチームが凝縮することにより生した水分を保持する。それ故、スチームの凝縮水が加硫ブラダの内部で下方に溜まり難くなり、加硫ブラダの下側部分が過度に温度低下する不具合が回避される。
しかしながら、この対策では、加硫ブラダの内部で、後から注入された窒素ガスによってスチームが上方に押し込められて圧縮された状態になることを回避できない。そのため、加硫ブラダの上下温度差を小さくするには改善の余地がある。
特開2012−218299号公報 特開昭61−162306号公報
本発明の目的は、ブラダの損傷を回避しつつ、加硫ブラダの上下温度差を効果的に小さくすることができるタイヤ加硫用ブラダおよび空気入りタイヤの加硫装置並びに加硫方法を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明のタイヤ加硫用ブラダは、加硫装置の中心機構を構成する上側保持部、下側保持部により、一端の開口縁部、他端の開口縁部がそれぞれ保持される筒状のタイヤ加硫用ブラダにおいて、前記一端開口縁部と前記他端開口縁部との間にある筒状本体部の内周面に内周側に突出した隔壁膜を有し、グリーンタイヤを外挿した前記筒状本体部を膨張させて前記グリーンタイヤを加硫する状態で、前記隔壁膜の内周端が、前記グリーンタイヤのサイド部のタイヤ最大幅位置よりも内周側の位置になる設定にして、かつ、前記隔壁膜よりも上方領域と、前記隔壁膜よりも下方領域とを連通させる連通部を有し、前記隔壁膜が周方向に連続する環状であり、前記隔壁膜に形成されている貫通穴が前記連通部として機能する構成にしたことを特徴とする。
本発明の別のタイヤ加硫用ブラダは、加硫装置の中心機構を構成する上側保持部、下側保持部により、一端の開口縁部、他端の開口縁部がそれぞれ保持される筒状のタイヤ加硫用ブラダにおいて、前記一端開口縁部と前記他端開口縁部との間にある筒状本体部の内周面に内周側に突出した隔壁膜を有し、グリーンタイヤを外挿した前記筒状本体部を膨張させて前記グリーンタイヤを加硫する状態で、前記隔壁膜の内周端が、前記グリーンタイヤのサイド部のタイヤ最大幅位置よりも内周側の位置になる設定にして、かつ、前記隔壁膜よりも上方領域と、前記隔壁膜よりも下方領域とを連通させる連通部を有し、前記隔壁膜が周方向に連続する環状であり前記隔壁膜に形成されている貫通穴が前記連通部として機能する構成、または、前記隔壁膜が周方向に分断された複数の分断片であり周方向に隣り合う前記分断片のすき間が前記連通部として機能する構成のいずれかにして、前記隔壁膜の内周端が、前記グリーンタイヤを加硫する際に、前記中心機構を構成する隔壁膜保持部により保持された状態になることを特徴とする。
本発明のさらに別のタイヤ加硫用ブラダは、加硫装置の中心機構を構成する上側保持部、下側保持部により、一端の開口縁部、他端の開口縁部がそれぞれ保持される筒状のタイヤ加硫用ブラダにおいて、前記一端開口縁部と前記他端開口縁部との間にある筒状本体部の内周面に内周側に突出した隔壁膜を有し、グリーンタイヤを外挿した前記筒状本体部を膨張させて前記グリーンタイヤを加硫する状態で、前記隔壁膜の内周端が、前記グリーンタイヤのサイド部のタイヤ最大幅位置よりも内周側の位置になる設定にして、かつ、前記隔壁膜よりも上方領域と、前記隔壁膜よりも下方領域とを連通させる連通部を有し、前記隔壁膜が周方向に分断された複数の分断片が周方向に沿って水平に配列されて前記筒状本体部の上下方向中央部のみに配置されて構成され、周方向に隣り合う前記分断片のすき間が前記連通部として機能する構成にしたことを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤの加硫装置は、上記のタイヤ加硫用ブラダと、このタイヤ加硫用ブラダを保持する中心機構と、前記タイヤ加硫用ブラダの内部の前記隔壁膜よりも下方領域に向けて加熱媒体を注入する加熱媒体用注入口と、前記隔壁膜よりも上方領域に向けて、前記加熱媒体よりも比重の大きい加圧媒体を注入する加圧媒体用注入口とを備えたことを特徴する。
本発明の空気入りタイヤの加硫方法は、加硫装置の中心機構を構成する上側保持部、下側保持部により、一端の開口縁部、他端の開口縁部がそれぞれ保持される筒状のタイヤ加硫用ブラダが、前記一端開口縁部と前記他端開口縁部との間にある筒状本体部の内周面に内周側に突出した隔壁膜を有し、グリーンタイヤを外挿した前記筒状本体部を膨張させて前記グリーンタイヤを加硫する状態で、前記隔壁膜の内周端が、前記グリーンタイヤのサイド部のタイヤ最大幅位置よりも内周側の位置になる設定にして、かつ、前記隔壁膜よりも上方領域と、前記隔壁膜よりも下方領域とを連通させる連通部を有し、前記タイヤ加硫用ブラダの筒状本体部にグリーンタイヤを外挿して、このブラダの内部に、加熱媒体を注入し、次いで前記加熱媒体よりも比重の大きい加圧媒体を注入することにより、前記ブラダを所定の内圧にして膨張させた状態でタイヤモールドの中で前記グリーンタイヤを加硫する空気入りタイヤの加硫方法であって、前記ブラダの内部の前記隔壁膜よりも下方領域に向けて前記加熱媒体を注入し、前記隔壁膜よりも上方領域に向けて前記加圧媒体を注入し、注入した前記加圧媒体により前記隔壁膜を振動させて、この振動により前記加熱媒体および前記加圧媒体を撹拌することを特徴とする。
本発明によれば、タイヤ加硫用ブラダを構成する筒状本体部を膨張させて外挿したグリーンタイヤを加硫する状態で、前記隔壁膜の内周端が、前記グリーンタイヤのサイド部のタイヤ最大幅位置よりも内周側の位置になっている。そのため、前記隔壁膜よりも下方領域に向って前記加熱媒体を注入し、上方領域に向って前記加圧媒体を注入することで、相対的に比重の小さい前記加熱媒体が前記隔壁膜によって上方領域側に移動し難くなり、前記加圧媒体が下方領域側に移動し難くなる。そして、前記連通部を通じて前記加熱媒体と前記加圧媒体とが徐々に混ざり合うことで、前記ブラダの上下温度差を効果的に小さくすることが可能になる。これに伴って、加硫したタイヤの加硫程度のばらつきが上下で小さくなるので、タイヤ品質の向上にもつながる。
また、前記隔壁膜は、前記ブラダの内周面に内周側に突出して設けられている。しかも、前記隔壁膜の内周端が、加硫するグリーンタイヤのサイド部のタイヤ最大幅位置よりも内周側の位置であればよいので、前記ブラダの内周面からの前記隔壁膜の突出量をそれ程大きくする必要がなく、これに伴い、膜厚を厚くする必要もない。それ故、前記ブラダを収縮した際、前記隔壁膜が実質的に邪魔になることはなく、前記隔壁膜に起因して前記ブラダが損傷し易くなることもない。
本発明のタイヤ加硫用ブラダおよび空気入りタイヤの加硫装置を縦断面視で例示する説明図である。 図1のブラダ内部を平面視で例示する説明図である。 図2の隔壁膜の変形例を示す説明図である。 図2の隔壁膜の別の変形例を示す説明図である。 加熱媒体と加圧媒体が注入された図1のブラダの内部を例示する説明図である。 タイヤ加硫用ブラダおよび空気入りタイヤの加硫装置の別の実施形態を縦断面視で例示する説明図である。 図6のブラダ内部を平面視で例示する説明図である。 実施例におけるブラダ内部の圧力と、上側タイヤサイドの内側表面と下側タイヤサイドの内側表面の温度変化を例示するグラフ図である。 従来例におけるブラダ内部の圧力と、上側タイヤサイドの内側表面と下側タイヤサイドの内側表面の温度変化を例示するグラフ図である。
以下、本発明のタイヤ加硫用ブラダおよび空気入りタイヤの加硫装置並びに加硫方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
図1に例示する本発明の空気入りタイヤの加硫装置1(以下、加硫装置1という)は、図1、図2に例示するように本発明のタイヤ加硫用ブラダ2(以下、ブラダ2という)を備えている。ブラダ2は、ゴム製の筒状体であり、環状の一端開口縁部2aと環状の他端開口縁部2bとの間に筒状本体部2cを有している。ブラダ2の詳細については後述する。
加硫装置1には加硫するグリーンタイヤに対応するタイヤモールド10が設置される。この実施形態では、タイヤモールド10は周方向に複数に分割された環状のセクタ10aと、環状の上側サイドプレート10b、環状の下側サイドプレート10cで構成されている。図1は、タイヤモールド10が閉型してブラダ2が膨張している状態を示している。
加硫装置1はさらに、ブラダ2を保持する中心機構4と、ブラダ2の内部に加熱媒体M1を注入する加熱媒体用注入口6(以下、注入口6という)と、加圧媒体M2を注入する加圧媒体用注入口7(以下、注入口7という)とを備えている。加熱媒体M1としてはスチーム等が用いられる。加圧媒体M2は加熱媒体M1よりも比重が大きく、具体的には窒素ガス等の不活性ガスが用いられる。
中心機構4を構成するセンターポスト4aは上下に延在してブラダ2を挿通している。センターポスト4aには上下に間隔をあけて、円盤状の上側クランプ保持部5a、下側クランプ保持部5bが取り付けられている。ブラダ2の一端開口縁部2a、他端開口縁部2bはそれぞれ、上側クランプ保持部5a、下側クランプ保持部5bにより保持されている。
注入口6および注入口7は、センターポスト4aの外周側の位置に設けられている。注入口6は注入口7よりも下方に位置している。注入口6および注入口7は周方向に間隔をあけて複数設けることが好ましい。また、注入口6と注入口7の周方向位置は、互いに同じにすることも、周方向にずらすこともできる。
注入口6、注入口7はそれぞれ、下方に延びる加熱媒体供給ライン8(以下、供給ライン8という)、加圧媒体供給ライン9(以下、供給ライン9という)に接続されている。尚、中心機構4には、加硫ブラダ2の内部の流体を外部に排出する排出口および排出ラインも設けられている。
ブラダ2は、筒状本体部2cの内周面に内周側に突出した隔壁膜3を有している。図1に例示するように、タイヤモールド10の中でグリーンタイヤGを外挿した筒状本体部2cを膨張させてグリーンタイヤGを加硫する状態において、隔壁膜3の内周端3aはグリーンタイヤGのサイド部のタイヤ最大幅位置(図1の二点鎖線で示す位置)よりも内周側の位置になるように設定されている。
隔壁膜3は、筒状本体部2cと一体的に成形されたゴム部分であり、その膜厚は概ね一定である。隔壁膜3の膜厚は例えば、1mm以上、かつ、筒状本体部2cの肉厚以下であり、さらに好ましくは1mm以上4mm以下にする。隔壁膜3の膜厚が1mm未満では破損し易くなり、筒状本体部2cの肉厚よりも厚いと剛性が過大になってブラダ2を収縮し難くなる。
ブラダ2の内部は、隔壁膜3によって隔壁膜3よりも上方領域UAと下方領域DAとに区分される。上方領域UAと下方領域DAとは連通部3bを通じて連通している。この実施形態では、隔壁膜3が周方向に連続する環状になっていて、この環状の隔壁膜3の内周端3aを外周端とする中空部分(中心機構4の外周面と隔壁膜3の内周端3aとのすき間)が連通部3bになっている。
図3に例示するように、隔壁膜3は周方向に分断された複数の分断片3Aにより構成することもできる。図4に例示するように、隔壁膜3を構成する分断片3Aを針状に形成することもできる。分断片3Aの数は適宜、決定することができる。図3、図4に例示する隔壁膜3では、周方向に隣り合う分断片3Aどうしのすき間が連通部3bとして機能する。また、隔壁膜3の内周端3aを外周端とする中空部分(中心機構4の外周面と隔壁膜3の内周端3aとのすき間)も連通部3bとして機能する。
本発明の空気入りタイヤの加硫方法によって、グリーンタイヤGを加硫するには、図1に例示するように、タイヤモールド10の内部に横置きで配置したグリーンタイヤGをブラダ2の筒状本体部2cに外挿した状態にする。そして、タイヤモールド10を閉型した状態で、供給ライン8を通じて加熱媒体M1としてスチームを供給して、注入口6からブラダ2の内部の下方領域DAに向けて注入する。これにより、ブラダ2を膨張させつつ加熱する。加熱媒体M1の注入温度は例えば200℃程度であり、注入圧力は1.4MPa程度である。
次いで、供給ライン9を通じて加圧媒体M2として窒素ガスを供給して、注入口7からブラダ2の内部の上方領域UAに向けて注入する。これにより、ブラダ2をさらに膨張させる。加圧媒体M2の注入温度は加圧媒体M1よりも低温(例えば40℃程度)であり、注入圧力は加熱媒体M1よりも高圧(例えば2.1MPa程度)である。
注入口6、注入口7からの加熱媒体M1、加圧媒体M2の注入方向は水平方向に対して適宜の向きに設定されるが、例えば、0°以上45°以下の傾斜角度で外周側に向かって上向きに設定される。
このように注入した加熱媒体M1および加圧媒体M2によって加硫ブラダ2を所定の内圧Pにして膨張させた状態にする。この加硫ブラダ2により、グリーンタイヤGの内周面は押圧され、これに伴い、グリーンタイヤGはタイヤモールド10に押圧されつつ加熱されて加硫が行われる。
予め設定された加硫時間が経過した後は、排気口から排気ラインを通じてブラダ2の内部に存在している加熱媒体M1や加圧媒体M2を外部に排出する。上側サイドプレート10bは上方移動させ、それぞれのセクタ10aは拡径方向に移動させてタイヤモールド10を開型する。次いで、加硫したタイヤを上方移動させて収縮したブラダ2から抜き出して加硫装置1から取り出す。
本発明は、内周端3aがグリーンタイヤGのサイド部のタイヤ最大幅位置よりも内周側の位置になる隔壁膜3を備えたブラダ2を使用しているので、図5に例示するように、相対的に比重の小さい加熱媒体M1は、隔壁膜3に邪魔されて、下方領域DA側から上方領域UA側に向って直ちに移動することができない。一方、相対的に比重の大きい加圧媒体M2は、隔壁膜3に邪魔されて、上方領域UA側から下方領域DA側に向って直ちに移動することができない。加熱媒体M1と加圧媒体M2とは、連通部3bを通じて徐々に混ざり合うことでブラダ2の内部での温度差が是正される。即ち、従来のように相対的に軽い加熱媒体M1がブラダ2の内部の上方に偏在することがなくなる。
このような加熱媒体M1および加圧媒体M2の挙動によって、ブラダ2の上下温度差を効果的に小さくすることが可能になる。これに伴って、加硫したタイヤの加硫程度のばらつきが上下で小さくなるので、タイヤ品質の向上にもつながる。
隔壁膜3は、ブラダ2の内周面に内周側に突出して設けられていて、しかも、内周端3aが、加硫するグリーンタイヤGのサイド部のタイヤ最大幅位置よりも内周側の位置であればよいので、ブラダ2の内周面からの突出量をそれ程大きくする必要がない。それ故、隔壁膜3の膜厚をそれ程厚くする必要がない。したがって、ブラダ2を収縮した際に、隔壁膜3が実質的に邪魔になることはなく、隔壁膜3に起因してブラダ2が損傷し易くなることもない。
ブラダ2の内部に注入した加圧媒体M2を隔壁膜3に衝突させて隔壁膜3を振動させることもできる。この場合、隔壁膜3の振動によって、ブラダ2の内部の加熱媒体M1および加圧媒体M2を撹拌することができるので、ブラダ2の上下温度差を小さくするには益々有利になる。
図6、図7に例示する加硫装置1の実施形態は、先の実施形態に対して、中心機構4に円盤状の隔壁膜保持部5cを追加して備えている。そして、隔壁膜3の内周端3aが隔壁膜保持部5cにより保持される構成になっている。隔壁膜3には連通部3bとして機能する貫通穴が形成されている。その他の構成は先の実施形態と実質的に同じである。
連通部3bとして機能する貫通穴は、周方向に等間隔で複数設けることが好ましい。この貫通穴(連通部3b)の開口面積の合計は、例えば、隔壁膜3の面積の80%以上120%程度にする。
先の実施形態では、グリーンタイヤGを加硫する際に、隔壁膜3の内周端3aは自由端のままの状態になっていたが、この実施形態では、隔壁膜3の内周端3aは隔壁膜保持部5により保持される。そのため、隔壁膜3の膜厚を薄くしてもブラダ2の内周面から垂れ下がることなく内周側に突出させることができる。それ故、隔壁膜3の膜厚を最小限にすることが可能になる。隔壁膜3の内周端3aを自由端のままの状態にする場合には、内周端3aが、加硫するグリーンタイヤGのサイド部のタイヤ最大幅位置よりも例えば3mm〜20mm内周側の位置になるように設定する。
この実施形態の加硫装置1により、グリーンタイヤGを加硫する方法は、基本的に先の実施形態と同様の手順で行う。この実施形態においても、先の実施形態と同様に、ブラダ2の上下温度差を効果的に小さくすることが可能になる。また、ブラダ2を収縮した際に、隔壁膜3が実質的に邪魔になることはなく、隔壁膜3に起因してブラダ2が損傷し易くなることもない。尚、隔壁膜保持部5cの外径は、上側保持部5aや下側保持部5bの外径と同等またはそれ以下にする。
図1に例示した加硫装置と同様の装置に、図4に例示したブラダと同様のブラダを用いた場合(実施例)と、図4に例示したブラダから隔壁膜を無くした通常のブラダを用いた場合(従来例)とで同じ加硫条件で同じ仕様のグリーンタイヤを加硫した。加硫条件は、1.4MPa、200℃のスチームをブラダの内部に注入した後、2.1MPa、40℃の窒素ガスを注入し、ブラダの内圧を2.1MPaにした。この加硫中のグリーンタイヤの上側タイヤサイドの内側表面と下側タイヤサイドの内側表面の温度変化を測定し、図8に実施例の結果、図9に従来例の結果を示す。
実施例で使用したブラダの隔壁膜は、周方向に等間隔で配置された300本の針状の分断片により構成されていて、分断片の膜厚は1mm、ブラダの内周面から内周側への突出寸法は70mm、周方向寸法は3mmであった。隔壁膜の内周端は、加硫するグリーンタイヤのサイド部のタイヤ最大幅位置よりも5mm程度内周側の位置であった。
実施例、従来例ではそれぞれ、加硫終了時の上側タイヤサイドの内側表面と下側タイヤサイドの内側表面との温度差は1℃、10℃であった。この結果から、実施例は従来例に比して、ブラダの上下温度差を効果的に小さくすることができることが分かる。また、実施例ではブラダを収縮する際に隔壁膜が支障を及ぼすことがないことが確認できた。
1 加硫装置
2 タイヤ加硫用ブラダ
2a 一端開口縁部
2b 他端開口縁部
2c 筒状本体部
3 隔壁膜
3A 分断片
3a 内周端
3b 連通部
4 中心機構
4a センターポスト
5a 上側保持部
5b 下側保持部
5c 隔壁膜保持部
6 加熱媒体用注入口
7 加圧媒体用注入口
8 加熱媒体供給ライン
9 加圧媒体供給ライン
10 タイヤモールド
10a セクタ
10b 上側サイドプレート
10c 下側サイドプレート
G グリーンタイヤ
M1 加熱媒体
M2 加圧媒体
UA ブラダの上方領域
DA ブラダの下方領域

Claims (8)

  1. 加硫装置の中心機構を構成する上側保持部、下側保持部により、一端の開口縁部、他端の開口縁部がそれぞれ保持される筒状のタイヤ加硫用ブラダにおいて、
    前記一端開口縁部と前記他端開口縁部との間にある筒状本体部の内周面に内周側に突出した隔壁膜を有し、グリーンタイヤを外挿した前記筒状本体部を膨張させて前記グリーンタイヤを加硫する状態で、前記隔壁膜の内周端が、前記グリーンタイヤのサイド部のタイヤ最大幅位置よりも内周側の位置になる設定にして、かつ、前記隔壁膜よりも上方領域と、前記隔壁膜よりも下方領域とを連通させる連通部を有し、前記隔壁膜が周方向に連続する環状であり、前記隔壁膜に形成されている貫通穴が前記連通部として機能する構成にしたことを特徴とするタイヤ加硫用ブラダ。
  2. 加硫装置の中心機構を構成する上側保持部、下側保持部により、一端の開口縁部、他端の開口縁部がそれぞれ保持される筒状のタイヤ加硫用ブラダにおいて、
    前記一端開口縁部と前記他端開口縁部との間にある筒状本体部の内周面に内周側に突出した隔壁膜を有し、グリーンタイヤを外挿した前記筒状本体部を膨張させて前記グリーンタイヤを加硫する状態で、前記隔壁膜の内周端が、前記グリーンタイヤのサイド部のタイヤ最大幅位置よりも内周側の位置になる設定にして、かつ、前記隔壁膜よりも上方領域と、前記隔壁膜よりも下方領域とを連通させる連通部を有し、前記隔壁膜が周方向に連続する環状であり前記隔壁膜に形成されている貫通穴が前記連通部として機能する構成、または、前記隔壁膜が周方向に分断された複数の分断片であり周方向に隣り合う前記分断片のすき間が前記連通部として機能する構成のいずれかにして、前記隔壁膜の内周端が、前記グリーンタイヤを加硫する際に、前記中心機構を構成する隔壁膜保持部により保持された状態になることを特徴とするタイヤ加硫用ブラダ。
  3. 加硫装置の中心機構を構成する上側保持部、下側保持部により、一端の開口縁部、他端の開口縁部がそれぞれ保持される筒状のタイヤ加硫用ブラダにおいて、
    前記一端開口縁部と前記他端開口縁部との間にある筒状本体部の内周面に内周側に突出した隔壁膜を有し、グリーンタイヤを外挿した前記筒状本体部を膨張させて前記グリーンタイヤを加硫する状態で、前記隔壁膜の内周端が、前記グリーンタイヤのサイド部のタイヤ最大幅位置よりも内周側の位置になる設定にして、かつ、前記隔壁膜よりも上方領域と、前記隔壁膜よりも下方領域とを連通させる連通部を有し、前記隔壁膜が周方向に分断された複数の分断片が周方向に沿って水平に配列されて前記筒状本体部の上下方向中央部のみに配置されて構成され、周方向に隣り合う前記分断片のすき間が前記連通部として機能する構成にしたことを特徴とするタイヤ加硫用ブラダ。
  4. 前記隔壁膜の内周端が、前記グリーンタイヤを加硫する際に、自由端のままの状態になる請求項1または3に記載のタイヤ加硫用ブラダ。
  5. 前記隔壁膜の膜厚が1mm以上、かつ、前記筒状本体部の肉厚以下である請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ加硫用ブラダ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ加硫用ブラダと、このタイヤ加硫用ブラダを保持する中心機構と、前記タイヤ加硫用ブラダの内部の前記隔壁膜よりも下方領域に向けて加熱媒体を注入する加熱媒体用注入口と、前記隔壁膜よりも上方領域に向けて前記加熱媒体よりも比重の大きい加圧媒体を注入する加圧媒体用注入口とを備えたことを特徴する空気入りタイヤの加硫装置。
  7. 加硫装置の中心機構を構成する上側保持部、下側保持部により、一端の開口縁部、他端の開口縁部がそれぞれ保持される筒状のタイヤ加硫用ブラダが、前記一端開口縁部と前記他端開口縁部との間にある筒状本体部の内周面に内周側に突出した隔壁膜を有し、グリーンタイヤを外挿した前記筒状本体部を膨張させて前記グリーンタイヤを加硫する状態で、前記隔壁膜の内周端が、前記グリーンタイヤのサイド部のタイヤ最大幅位置よりも内周側の位置になる設定にして、かつ、前記隔壁膜よりも上方領域と、前記隔壁膜よりも下方領域とを連通させる連通部を有し、
    前記タイヤ加硫用ブラダの筒状本体部にグリーンタイヤを外挿して、このブラダの内部に、加熱媒体を注入し、次いで前記加熱媒体よりも比重の大きい加圧媒体を注入することにより、前記ブラダを所定の内圧にして膨張させた状態でタイヤモールドの中で前記グリーンタイヤを加硫する空気入りタイヤの加硫方法であって、
    前記ブラダの内部の前記隔壁膜よりも下方領域に向けて前記加熱媒体を注入し、前記隔壁膜よりも上方領域に向けて前記加圧媒体を注入し、注入した前記加圧媒体により前記隔壁膜を振動させて、この振動により前記加熱媒体および前記加圧媒体を撹拌することを特徴とする空気入りタイヤの加硫方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ加硫用ブラダの筒状本体部にグリーンタイヤを外挿して、このブラダの内部に、加熱媒体を注入し、次いで前記加熱媒体よりも比重の大きい加圧媒体を注入することにより、前記ブラダを所定の内圧にして膨張させた状態でタイヤモールドの中で前記グリーンタイヤを加硫する空気入りタイヤの加硫方法であって、
    前記ブラダの内部の前記隔壁膜よりも下方領域に向けて前記加熱媒体を注入し、前記隔壁膜よりも上方領域に向けて前記加圧媒体を注入し、注入した前記加圧媒体により前記隔壁膜を振動させて、この振動により前記加熱媒体および前記加圧媒体を撹拌することを特徴とする空気入りタイヤの加硫方法。
JP2015213205A 2015-10-29 2015-10-29 タイヤ加硫用ブラダおよび空気入りタイヤの加硫装置並びに加硫方法 Active JP6690188B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015213205A JP6690188B2 (ja) 2015-10-29 2015-10-29 タイヤ加硫用ブラダおよび空気入りタイヤの加硫装置並びに加硫方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015213205A JP6690188B2 (ja) 2015-10-29 2015-10-29 タイヤ加硫用ブラダおよび空気入りタイヤの加硫装置並びに加硫方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017081044A JP2017081044A (ja) 2017-05-18
JP6690188B2 true JP6690188B2 (ja) 2020-04-28

Family

ID=58710374

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015213205A Active JP6690188B2 (ja) 2015-10-29 2015-10-29 タイヤ加硫用ブラダおよび空気入りタイヤの加硫装置並びに加硫方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6690188B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017081044A (ja) 2017-05-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5143536B2 (ja) 騒音性能を向上させるタイヤの成型方法
JP4437330B2 (ja) タイヤ加硫装置
CN109689321B (zh) 轮胎硫化装置
CN104010800B (zh) 用于硫化轮胎的方法和设备
CN109263096B (zh) 轮胎硫化成型方法
JP6690188B2 (ja) タイヤ加硫用ブラダおよび空気入りタイヤの加硫装置並びに加硫方法
JP4998987B2 (ja) タイヤ加硫成型装置及び加硫成型方法
JP2005324509A (ja) 空気入りタイヤの加硫方法
JP6617437B2 (ja) タイヤ加硫用ブラダの製造方法および装置
JP6651779B2 (ja) タイヤ加硫装置
CN109689328B (zh) 轮胎硫化装置以及轮胎的制造方法
JP6690187B2 (ja) 空気入りタイヤの加硫方法
JP2015205492A (ja) 空気入りタイヤの製造方法および製造装置
JP2014210351A (ja) タイヤ製造装置
JP5711522B2 (ja) 加硫治具および加硫装置
JP5929488B2 (ja) 空気入りタイヤの加硫装置および加硫方法
JP2009208400A (ja) タイヤの製造方法及び製造装置
JP2013086281A (ja) タイヤの製造方法および製造装置
JP6464597B2 (ja) 空気入りタイヤの加硫装置
JP5974680B2 (ja) タイヤの製造方法およびタイヤ加硫ブラダのプレシェーピング装置
JP6696148B2 (ja) 空気入りタイヤの加硫方法
JP2019209570A (ja) 空気入りタイヤの製造方法
JP6919204B2 (ja) タイヤ加硫システムおよびタイヤ加硫方法
JP2012218299A (ja) 空気入りタイヤの加硫装置
JP2008126495A (ja) タイヤ加硫用ブラダー及びそれを用いたタイヤ加硫方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181018

RD07 Notification of extinguishment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7427

Effective date: 20190731

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190920

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191029

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191218

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200310

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200323

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6690188

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250