JP6690155B2 - カム装置及びレンズ鏡筒 - Google Patents

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Description

本発明はカメラ等のレンズ鏡筒に設けられ、レンズ等の光学要素を光軸方向に移動するために用いて好適なカム装置及びレンズ鏡筒に関するものである。
カメラのレンズ鏡筒では、フォーカシングやズーミングを行なうためにレンズ等の光学要素を光軸方向、すなわちレンズ鏡筒軸方向に移動させる必要があり、そのためにカム装置が設けられる。このカム装置としては、特許文献1にも記載のように、光軸回りに回転されるカム環を利用したカム装置が用いられる。特許文献1のカム装置は、光軸方向に延長された案内溝を有する案内筒と、この案内筒に対して光軸回りに回転されかつ周面に所要形状のカム溝を有するカム筒と、案内筒に支持されて光軸方向に移動可能な移動枠とを備えている。移動枠は周面の複数箇所に外径方向に突出するカムピンを備えており、このカムピンが案内溝とカム溝に径方向に貫通した状態で係合されている。カムピンは案内溝とカム溝が交差する位置に係合されるので、カム筒が回転されてカム溝と案内溝との交差位置が光軸方向に変化されると、カムピンもこれに伴って光軸方向に移動され、移動枠が光軸方向に移動されることになる。
このようなカム装置では、移動枠の周面に設けた複数のカムピンの1つが他のカムピンに対して光軸方向にずれる等して複数のカムピンの光軸位置が一致しない状態になると、移動枠が光軸と垂直な面方向に対して傾倒される、いわゆるティルトが生じることになる。移動枠にレンズが支持されているような場合には、ティルトによりレンズの主面が光軸に対して傾くことになりピントぼけが発生する原因になる。特許文献1では、このようなティルトを補正するために、カムピンを偏心ピンとして構成しており、レンズ枠に対するカムピンのピン軸回り位置を変化調整することによってカム溝に対するカムピンの光軸方向の相対位置を変化させ、移動枠のティルトの調整を行なっている。
特開平2−113214号公報
特許文献1の技術は、カムピンはカム溝と案内溝にそれぞれ係合されているので、カムピンのピン軸回り位置を変化調整すると、カム溝に対するカムピンの相対位置が変化されてカム筒に対する光軸方向の位置が調整できるが、これと同時にカムピンの光軸回り方向の位置も変化されることになる。そのため、カムピンには案内筒に対して光軸回り方向の力が発生し、この力がカムピンを案内溝やカム溝の内縁に押圧する押圧力となり、この押圧力によってカムピンと案内溝やカム溝との間に摩擦力が発生し、カム動作に際して移動枠の円滑な移動が損なわれ、カム装置の品質低下を生じる要因になる。
本発明の目的は、レンズ鏡筒に適用したときに、カムピンの位置調整を可能にする一方で、位置調整を行なった際にも案内溝やカム溝に対する押圧力が生じることがなく、円滑なカム動作を確保した品質の高いカム装置及びレンズ鏡筒を提供するものである。
本発明は、一方向に延長された案内溝を有する案内筒と、案内溝と交差されるカム溝を有して案内筒に対して相対回動されるカム筒と、案内溝及びカム溝の交差位置において当該案内溝及びカム溝に係合されるカムピンを有する移動体とを含むカム装置であって、移動体は案内溝の延長方向に延長した移動規制部を備え、カムピンは移動規制部に沿って案内溝の延長方向にのみ相対移動するように構成したことを特徴としている。
本発明において、カムピンは柱状に形成され、その柱軸が案内溝の延長方向に垂直に向けられた状態で移動体に固定され、その側面において案内溝及びカム溝に係合される。その上で、カムピンは移動体に対して柱軸方向に螺合される固定ねじにより移動体に固定されており、カムピンを固定ねじに対して相対移動可能に構成される。
本発明におけるカムピンは、少なくとも固定ねじの軸部の外径よりも大きな内径を有する第1穴部を備える。また、カムピンは、固定ねじのねじ頭部の外径よりも大きな内径を有する第2穴部を備えることが好ましい。
本発明は、移動体はレンズ鏡筒に内装されたレンズ枠であり、案内筒はレンズ鏡筒の固定環であって案内溝は光軸方向に延長された直線状態とされ、カム筒はレンズ鏡筒の光軸回りに回転可能とされ、当該カム筒の回転によりレンズ枠を当該光軸方向に移動可能としたカム装置に適用される。
本発明は、レンズ鏡筒内に固定されて光軸方向に延長される案内溝を有する案内筒と、案内筒に対して光軸回りに回転操作され、案内溝と交差されるカム溝を有するカム筒と、レンズ鏡筒内において光軸方向に移動可能なレンズ枠とを備え、レンズ枠には案内溝及びカム溝の交差位置において当該案内溝及びカム溝に係合され、レンズ枠に対して固定ねじにより固定されたカムピンを有し、固定ねじの固定を解放したときにカムピンをレンズ枠に対して光軸方向に相対移動可能に構成したカム装置とすることが好ましい。
本発明のカム装置によれば、カムピンを位置調整してもカムピンが移動方向以外の方向に移動されることがなく、これによりカムピンの位置調整に際してもカムピンと案内溝との間に押圧力が発生することがなく、円滑なカム動作を可能にした高品質のカム装置が得られる。
本発明の実施形態1のカム装置を適用したレンズ鏡筒の一部の概略断面図。 図1のII部の拡大断面図。 図1のIII−III線断面図。 図1の要部(カム装置)の分解斜視図。 (a)はカムピンの基準位置状態の図2のV−V線拡大断面図、(b)は同図(a)のBA−BA線断面図。 (a)はカムピンの調整状態の図2のV−V線拡大断面図、(b)は同図(a)のBB−BB線断面図。 調整シリンダによるカムピンの位置調整を説明する拡大断面図。 (a)は実施形態1の第1変形例の拡大断面図、(b)はカムピンの位置調整を説明する拡大断面図。 実施形態1の第2変形例の拡大断面図。 (a)は第2変形例の溝付き固定ねじの斜視図、(b)は平面図、(c)は同図(b)のC−C線断面図。 実施形態1の第2変形例の位置調整を説明する拡大断面図。 実施形態1の第3変形例の他の位置調整を説明する拡大断面図。 実施形態2の拡大断面図。 (a)は実施形態2の第1変形例の拡大断面図、(b)はカムピンの位置調整を説明する拡大断面図。 実施形態2の第2変形例の拡大断面図。 実施形態2の第3変形例の拡大断面図。 実施形態3の拡大断面図。 実施形態3の位置調整を説明する拡大断面図。 実施形態3の第1変形例とその位置調整を説明する拡大断面図。 実施形態3の第2変形例の拡大断面図。 実施形態3の第2変形例の位置調整を説明する拡大断面図。 実施形態3の第3変形例とその位置調整を説明する拡大断面図。 実施形態4の拡大断面図。 実施形態4の第1変形例とその位置調整を説明する拡大断面図。 実施形態4の第2変形例の拡大断面図。 実施形態4の第3変形例の拡大断面図。 固定ねじを操作するドライバの変形例の斜視図。 変形例のドライバで固定ねじを操作する状態を示す断面図のその1。 変形例のドライバで固定ねじを操作する状態を示す断面図のその2。 調整シリンダの変形例の断面図。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態1のカム装置を適用したカメラのレンズ鏡筒LCを光軸Lxに沿って切断した一部の概略断面図である。カメラボディCBに装着されるレンズ鏡筒LCは内部に3つのレンズ群L1,L2,L3が内装されている。前記レンズ鏡筒LC内は円筒形状をした固定筒1を有し、この固定筒は本発明の案内筒として構成されている。この案内筒1の内部に本発明の移動体としてのレンズ枠3が内装されており、前記案内筒1に案内されて光軸Lxの方向に移動可能とされている。このレンズ枠3には前記3つのレンズ群のうち、フォーカスレンズとしてのレンズ群L2が支持されており、当該レンズ枠3の移動によりフォーカシングが行なわれる。
前記案内筒1の外周には円筒で構成されたカム筒2が同軸配置されている。このカム筒2は一端部に駆動機構Mが設けられており、この駆動機構Mによって案内筒1に対して光軸Lxを中心とした軸回り方向にのみ回転駆動される。この駆動機構Mは、例えば円形リング状の超音波モータで構成されており、カメラボディCBに設けられたオートフォーカス手段(図示せず)によって駆動され、この駆動により前記カム筒2を回転駆動し、さらにこのカム筒2の回転により前記レンズ枠3、すなわちフォーカスレンズL2を移動してオートフォーカスを行なうように構成されている。
図2は図1のII部の拡大図、図3は図1のIII−III線断面図、図4は本発明にかかるカム装置の要部の分解斜視図である。これらの図において、前記案内筒1には円周方向の3箇所に所要幅寸法の直線溝からなる案内溝11が光軸方向に延長され、かつ案内筒1の径方向に貫通した状態で形成されている。この案内溝11の光軸方向の長さは、前記レンズ枠3を光軸方向に移動させるのに必要とされる長さに設定されている。
前記カム筒2には、円周方向の3箇所にカム溝21が形成されている。これらのカム溝21は同一形状であり、光軸Lxの方向に対して傾斜された状態で延長された直線溝あるいは曲線溝として形成され、カム筒2の径方向に貫通した状態に形成されている。これらカム溝21の幅寸法は前記案内溝11の幅寸法とほぼ同じであり、またカム溝21の光軸方向の長さは前記案内溝21の光軸方向の長さにほぼ等しくされている。
前記レンズ枠3は短円筒に形成されており、内部に前記したフォーカスレンズL2が支持されている。また、レンズ枠3の外周面の円周方向の3箇所には、それぞれカムピン4が光軸Lxを中心とする放射方向に突出した状態で固定されている。これら3つのカムピン4は前記案内溝11とカム溝21の幅寸法にほぼ等しい直径の円柱状部材として形成されており、レンズ鏡筒LCの内径方向に向けられた端面(以下、内径側端面と称する)をレンズ枠3の外周面に密接した状態で固定ネジ5によりレンズ枠3に固定されている。
前記3つのカムピン4は、図2及び図3から分かるように、案内筒1の内径側から案内溝11を貫通され、さらにその外径側のカム筒2のカム溝21を貫通されており、各カムピン4は案内溝11とカム溝21が交差された箇所において両溝11,21に係合されている。この構成により、カム筒2を光軸回りに回転すると、カム溝21と案内溝11の交差箇所は案内溝11の延長方向、すなわち光軸Lxの方向に沿って移動され、交差箇所に係合されているカムピン4と、これと一体のレンズ枠3が光軸方向に移動されることになる。
本発明においては、前記レンズ枠3に固定されているカムピン4と固定ねじ5の形態として後述するように複数の形態が存在する。この実施形態1では、図2〜4に示したように、前記固定ねじ5は、ねじ頭部51と、ねじ部(ねじ溝)53が形成されている軸部52とで構成されている。この固定ねじ5は図2に鎖線で示すドライバ(ねじ回し)Dによって螺合操作が可能な一般的なねじが用いられている。
前記カムピン4は円柱状に形成されるとともに、レンズ鏡筒LCの外径方向に向けられた端面(以下、外径側端面と称する)には、前記内径側端面に向けて円形のねじ逃げ穴42が開口され、さらにこのねじ逃げ穴42の底面には軸部挿通穴41が貫通されている。この軸部挿通穴41は前記固定ねじ5の軸部52、すなわちねじ部53の径寸法よりも大きな内径寸法であり、本発明における第1穴部である。また、前記ねじ逃げ穴42は前記カムピン4の外径側端面からその柱軸方向の所定深さまで円形に開口されている。このねじ逃げ穴42は前記軸部挿通穴41よりも大径で、さらに前記固定ねじ5のねじ頭部51の外径よりも大きな径寸法である。このねじ逃げ穴42は本発明における第2穴部である。前記第1穴部41と前記第2穴部42はカムピン4の柱軸方向に沿って並んで配設されている
一方、前記レンズ枠3の外周面の3箇所、すなわちカムピン4が固定される箇所には、レンズ鏡筒LCの内径方向に向けて凹設された浅溝31が形成されている。この浅溝31は、カムピン4の径寸法を短軸とし、カムピン4の径寸法よりも幾分長い寸法を長軸とする長円形状とされ、短軸をレンズ枠3の円周方向に向け、長軸を光軸方向に向けた状態で前記カムピン4の柱長よりも浅い溝として形成されている。前記カムピン4の内径側端部はこの浅溝31に内挿されており、カムピン4は浅溝31内でのみ移動可能とされているので、当該浅溝31は前記カムピン4が光軸方向にのみ移動できるようにした移動規制部となる。この浅溝31の底面には、長軸方向の中央位置にレンズ鏡筒LCの内径方向に向けてねじ穴32が穿孔されており、前記固定ねじ5のねじ部53が螺合可能とされている。
以上の実施形態1のカム装置では、カムピン4の内径側端面をレンズ枠3の浅溝31の内底面に当接させた状態で、レンズ鏡筒LCの外径方向からねじ逃げ穴42に固定ねじ5を内挿し、さらに軸部52(ねじ部53)を軸部挿通穴41を挿通させた上で、図2に示したようにドライバDを操作してねじ穴32に螺合させる。この螺合により、固定ねじ5のねじ頭部51の軸部側の面がねじ逃げ穴42の内底面部に当接され、カムピン4はねじ頭部51と浅溝31の底面との間に挟持された状態で固定される。
図5Aは、カムピン4がレンズ枠3に対して基準位置に固定された状態を示しており、(a)は図2のV−V線拡大断面図、(b)は同図(a)のBA−BA線断面図である。この基準位置では、カムピン4は固定ねじ5に対して同芯位置に固定されているので、カムピン4はレンズ枠3に対して光軸方向の所定位置に固定されている。この状態では、カムピン4の軸部挿通穴41は固定ねじ5の軸部52(ねじ部53)と同芯であり、ねじ逃げ穴42はねじ頭部51と同芯に位置されることになる。
ここで、レンズ枠3は案内筒1の内部に内装されているので、3つのカムピン4はそれぞれ案内筒1の案内溝11とカム筒2のカム溝21を径方向に貫通した状態で係合されている。そして、前記したようにカム筒2の回転によりカム溝21と案内溝11に係合している3つのカムピン4はそれぞれカム溝21に押されながら案内溝11に案内されて光軸方向に移動され、これと一体のレンズ枠3が光軸方向に移動される。このとき、3つのカムピン4のレンズ枠3に対して固定位置が適切でないと、レンズ枠3は光軸Lxに垂直な面に対して傾斜された姿勢となり、いわゆるティルト状態となる。
このティルトを調整してレンズ枠3を光軸Lxに垂直な面に沿った姿勢にする際には、少なくとも1つのカムピンの光軸方向の位置を調整する必要がある。図5Bは、カムピン4をレンズ枠3に対して位置調整した状態を示しており、(a)は図2のV−V線拡大断面図、(b)は同図(a)のBB−BB線断面図である。固定ねじ5の螺合による締結を緩めることで、ねじ頭部51によるカムピン4の挟持が解放され、カムピン4を浅溝31内で光軸方向に位置調整することが可能になる。図5Bは、カムピン4を同図の右方向に位置調整した状態を示している。この光軸方向の位置調整の調整寸法範囲は、カムピン4の軸部挿通穴41の内径寸法と軸部52(ねじ部53)の外径寸法との寸法差、あるいはカムピン4のねじ逃げ穴42の内径寸法とねじ頭部51の外径寸法との寸法差のうち、寸法差が小さい方である。この実施形態では、軸部挿通穴41と軸部52の寸法差を利用して位置調整を行なっている。
この位置調整では、図2に示したように、カム筒2の外周側からドライバDで固定ねじ5を操作することにより行なうことができる。したがって、実際にカメラでの結像状態を観察しながら、すなわちレンズ鏡筒LCによって対象物を結像させ、結像させた画像における合焦状態や収差等を観察しながら行なうことが可能であり、精度の高いティルト調整、すなわち位置調整が可能となる。また、この位置調整に際してカムピン4の光軸方向の位置を変化しても、浅溝31によってカムピン4の光軸回り方向の位置が保持されて同方向に移動されることがないので、案内溝11ないしは案内筒1に対して光軸回り方向の力が発生することはない。これにより、カムピン4と案内溝11の溝縁との間に摩擦力が発生することもなく、円滑なカム動作が確保でき、カム装置の信頼性が向上できる。
さらに、固定ねじ5のねじ頭部51は、カムピン4に設けたねじ逃げ穴42に埋没状態にあるので、ねじ頭部51がカムピン4の外径側端面よりも外径方向に突出されることはなく、レンズ鏡筒LCの小径化を図る上で有利になる。また、固定ねじ5によりカムピン4を固定しているレンズ鏡筒LCの径方向の位置、すなわち固定ねじ5のねじ頭部51がカムピン4に当接されている位置は、ねじ逃げ穴42の内底面部であってカム筒2および案内筒1よりも内径方向の位置であるので、固定ねじ5を締結したときに生じる応力によってカムピン4に変形が生じるようなことがあっても、変形する部位はカムピン4の内径側端面に近い領域であり、カム溝21や案内溝11に係合する部位が変形されることは殆どなく、円滑なカム動作が確保できる。
ここで、カムピンをレンズ枠に固定する初期の固定作業に際しては、図6に図2と同様の拡大断面図に示す調整シリンダ6を利用してもよい。なお、以下において図1〜図5と同一部分には同一符号を付してある。この調整シリンダ6は、カムピン4のねじ逃げ穴42の内径寸法と固定ねじ5のねじ頭部51の外径寸法の寸法差の1/2の厚みの円筒部材で形成されている。カムピン4をレンズ枠3に固定する際にねじ逃げ穴42に調整シリンダ6を内挿しておき、この調整シリンダ6の内部に固定ねじ5を内挿し、ドライバDにより固定ねじ5を操作してねじ部53をレンズ枠3のねじ穴32に螺合させる。これにより、調整シリンダ6によってカムピン4と固定ねじ5は同芯位置に設定されてレンズ枠3に固定される。カムピン4をレンズ枠3に対して基準位置に設定するための作業が容易になり、固定作業にかかる作業時間を短縮する上で有利になる。カムピン4を固定した後は調整シリンダ6をカムピン4のねじ逃げ穴42から引き出せばよい。
また、初期固定作業を容易なものにするために、実施形態1の第1変形例ではボス付き固定ねじを採用している。図7(a)に図2と同様の拡大断面図を示すように、このボス付き固定ねじ5Aは、固定ねじ5Aの軸部52のねじ軸方向の一部、すなわちねじ頭部51とねじ部53との間にねじ部53の外径よりも径寸法が大きな円柱状のボス部54を一体に設けたものである。このボス部54の外径寸法は前記軸部挿通穴41の内径寸法に等しく形成されている。
このボス付き固定ねじ5Aでカムピン4の固定を行なうと、固定ねじ5Aをレンズ枠3のねじ穴32に螺合させると、ボス部54がカムピン4の軸部挿通穴41に内挿されて嵌合状態とされるため、カムピン4を固定ねじ5Aに対して同芯位置に固定することができる。すなわち、固定ねじ5Aでカムピン4を固定するだけで自動的にカムピン4をレンズ枠3の所定位置に固定することができる。これにより、カムピン4の初期固定作業が容易になり、作業時間を短縮する上で有利になる。
ボス付き固定ねじ5Aを用いた場合に位置調整を行なう際には、図7(b)に示すような調整ワッシャ7を利用する。調整ワッシャ7は外径寸法がねじ逃げ穴42の内径寸法に等しく、内径寸法がボス付き固定ねじ5Aのボス部54の外径寸法よりも大きく、さらに厚み寸法がボス部54のねじ軸方向の寸法よりも大きくされている。位置調整時には、ボス付き固定ねじ5Aをカムピン4から取り外し、ねじ逃げ穴42に調整ワッシャ7を内挿した上で改めてボス付き固定ねじ5Aでカムピン4を固定する。この固定を行なう途中では、調整ワッシャ7の内径寸法とボス部54の外径寸法との寸法差だけカムピン4の光軸方向の位置調整が可能であり、位置調整を行なうことができる。位置調整後はそのままボス付き固定ねじ5Aの締結を完了すれば、ボス付き固定ねじ5Aのねじ頭部51が調整ワッシャ7を介してレンズ枠3に対してカムピン4を固定することができる。
図8は実施形態1の第2変形例として、カムピン4の位置調整が不要なとき、あるいは位置調整が完了されたときにカムピン4の固定状態を安定化するための溝付き固定ねじ5Bを用いた図2と同様の拡大断面図である。この第2変形例ではカムピン4を図には表れない接着剤によって溝付き固定ねじ5Bに対して一体化することを可能にしている。
図9は溝付き固定ねじ5Bの詳細を示しており、(a)は溝付き固定ねじ5Bの斜視図、(b)はその平面図、(c)は図9(b)のC−C線断面図である。溝付き固定ねじ5Bは、軸部52のねじ軸方向の一部、ここではねじ頭部51から延びる軸部52とねじ部53との間に周面を内径方向に向けて凹設した環状の周面溝55が形成されている。ねじ頭部51には十字溝51aが形成されており、十字型のドライバDに嵌合される。前記周面溝55の内周面には円周方向の4箇所に径方向の径穴56aが開口されている。また、ねじ頭部51の頂面から前記径穴56aに至るまでねじ軸方向の軸穴56bが開口されている。これら径穴56aと軸穴56bは互いに連通されており、これらで連通穴56が構成されている。
この第2変形例では、溝付き固定ねじ5Bは実施形態1と同様にしてカムピン4をレンズ枠3に固定することができる。その上で、カムピン3の位置調整が必要とされない状態のとき、すなわち前記したように位置調整が不要なとき、あるいは位置調整が完了されたときには、連通穴56のねじ頭部51側の開口から接着剤を注入する。注入された接着剤は連通穴56を通って周面溝55にまで送られ、さらに周面溝55からカムピン4の軸部挿通穴41にまで送られて充填される。また、カムピン4と浅溝31との間に隙間がある場合には、一部の接着剤は浅溝31にまで送られる。その後、接着剤が固化されることにより、溝付き固定ねじ5Bとカムピン4、ないしはレンズ枠3は接着剤によって接着されて一体化されるため、カムピン4がレンズ枠3に対して固定支持されることになる。これにより、経時使用によって固定ねじの締結が緩むことによるカムピン4の位置変動が防止できる。
この溝付き固定ねじ5Bを用いてカムピン4を固定する際には、図10に示すように調整シリンダ6を利用して位置調整を行なうことが可能である。この調整シリンダ6は、図6に示した調整シリンダ6と同じであり、カムピン4のねじ逃げ穴42に対してねじ頭部51を同芯位置に位置決めする。位置調整を行なった後に連通穴56から接着剤を注入し、溝付き固定ねじ5Bとカムピン4を一体化する。一体化した後に調整シリンダ6を取り外せばよい。
あるいは、図11に実施形態1の第3変形例を示すように、軸部52に周面溝55と連通穴56を有する溝付き固定ねじの軸部52の一部に、当該軸部52よりも大径のボス部54を形成したボス・溝付き固定ねじ5Cを用いてもよい。図示は省略するが、このボス部54をカムピン4の軸部挿通穴41に嵌合させることによってボス・溝付き固定ねじ5Cとカムピン4を同芯に位置決めすることができる。一方、カムピン4の位置調整を行なう場合には、図11に示した調整ワッシャ7をねじ頭部51とカムピン4との間に介装することにより、図7(b)に示したと同様にカムピン4の位置調整が可能となる。位置調整の完了後に、ボス・溝付き固定ねじ5Cの連通穴56から接着剤を注入してボス・溝付き固定ねじ5Cとカムピン4を一体化することは同じである。この場合には調整ワッシャ7も接着剤により一体化される。
以上の実施形態1及び各変形例は、いずれも固定ねじ5,5A,5Bのねじ頭部がカムピン4の外径側端面よりも外径側に露呈しないように、カムピン4に本発明の第2穴部としてのねじ逃げ穴42を開口し、固定ねじ5,5A,5Bのねじ頭部51をこのねじ逃げ穴42に内挿した構造を採用している。これにより、前記したようにレンズ鏡筒LCの径方向の寸法を小さくする上で有利である。
一方、径方向の寸法に制限を受けないレンズ鏡筒の場合には、カムピン4のねじ逃げ穴42、すなわち本発明の第2穴部を省略することができる。図12はその一例としての実施形態2の図2と同様の拡大断面図である。ここでは、カムピン4Aは本発明の第2穴部としてのねじ逃げ穴は開口されておらず、本発明の第1穴部のみ、すなわち軸部挿通穴41のみが開口されている。この軸部挿通穴41の内径寸法は固定ねじ5の軸部52(ねじ部53)の外径寸法よりも大きくされている。その他の構成は実施形態1と同じである。
実施形態2では、固定ねじで5カムピンを固定したときには、ねじ頭部51はカムピン4Aの外径側端面に当接された状態で当該カムピン4Aをレンズ枠3に挟持して固定することになる。また、カムピン4Aを位置調整する際には、軸部52(ねじ部53)の外径寸法と軸部挿通穴41の内径寸法の寸法差を利用して行なうことになる。位置調整の手順については実施形態1と全く同じである。この実施形態2は、固定ねじ5の軸部52の長さが長いので、実施形態1よりもカムピン4Aの固定の安定性を高める上で有利である。
実施形態2においても、図13(a)に第1変形例を示すように、ねじ頭部51と軸部52(ねじ部53)との間に軸部52よりも大径のボス部54を設けたボス付き固定ねじ5Aを利用することができる。ボス部54によってボス付き固定ねじ5Aとカムピン4Aとを同芯に位置決めすることができる。
この第1変形例においてカムピン4Aの位置調整を行なう場合には、図13(b)のように、ボス付き固定ねじ5Aのねじ頭部51とカムピン4Aの外径側端面との間に、実施形態1の第1変形例と同様に調整ワッシャ7を介装させるようにすればよい。
また、前記した実施形態1の第2および第3変形例と同様に、溝付き固定ねじ5B又はボス・溝付き固定ねじ5Cを利用することができる。図14は溝付き固定ねじ5Bを用いた実施形態2の第2変形例であり、溝付き固定ねじ5Bに設けられている連通穴56から接着剤を注入することにより、接着材を軸部52(ねじ部53)と軸部挿通穴41との間に充填させ、溝付き固定ねじ5Bとカムピン4Aを一体化することができる。
図15に実施形態2の第3変形例を示すように、ボス・溝付き固定ねじ5Cを用いることもでき、ボス部54を利用してボス・溝付き固定ねじ5Cとカムピン4Aとの位置決めができる。また、位置調整に際しては調整ワッシャ7を利用し、位置調整後は連通穴56から接着剤を注入することにより、ボス・溝付き固定ねじ5Cとカムピン4Aを一体化することができる。
ここで、実施形態1,2ではカムピン4,4Aは単一素材で形成されているので、カム溝21及び案内溝11と係合するカムピンでの係合摩擦力を低減するためにカムピン4,4Aを樹脂で形成した場合には、カムピン4,4Aを固定ねじ5,5A,5B,5Cによって固定したときに、この固定ねじの締結力によってカムピン4,4Aがねじ頭部51に当接された箇所において変形され易い。カムピンを金属等の剛性の高い材料で形成した場合には、カムピン4,4Aがカム溝21及び案内溝11と摺動接触したときに樹脂製のカム筒2及び案内溝1を磨耗させおそれがある。
実施形態3では、図16に図2と同様の拡大断面図を示すように、樹脂で形成した外層環43と、金属で形成した内層環44とで二層に形成したカムピン4Bを有しており、外層環43の周面においてカム溝21及び案内溝11に係合させ、内層環44において固定ねじ5を用いてレンズ枠3に固定している。
前記外層環43は樹脂材で形成されており、実施形態1,2のカムピンと同じ外径寸法を有し、本発明の第2穴部としてのねじ逃げ穴42と、これよりも小径の内層環挿通穴45が設けられている。前記内層環挿通穴45は実施形態1,2の軸部挿通穴41よりも内径寸法が拡大されている。また、外層環43はねじ軸方向の寸法がカム溝21と案内溝11に係合されるのに必要とされるだけの寸法とされている。
前記内層環44は剛性の高い金属材で形成されており、内径寸法は実施形態1,2の軸部挿通穴41と同じ寸法であり、外径寸法は前記外層環43の内層環挿通穴45の内径寸法に等しい円筒状に形成されている。また、その外径側端部には外径寸法が前記外層環43のねじ逃げ穴42の内径寸法にほぼ等しいフランジ44aが一体に形成されている。この内層環44は外層環43のねじ逃げ穴42と内層環挿通穴45に圧入状態に内挿されており、これにより内層環44と外層環43は一体化されている。フランジ44aは外層環43のねじ逃げ穴42に嵌合されており、内層環44に対して外層環43が脱落することを防止している。また、内層環44の内径側端面は外層環43よりもレンズ鏡筒LCの内径方向に突出されている。
このカムピン4Bでは、内層環44の内径側端面がレンズ枠3の浅溝31の底面に当接され、固定ねじ5のねじ頭部51は内層環44の外径側端面に当接されて浅溝31との間に内層環44が挟持された状態で固定される。また、カムピン4Bの位置調整に際しては、固定ねじ5を緩めて内層環44に対する固定を解放することにより、軸部52(ねじ部53)と内層環44の軸部挿通穴41との径方向の寸法差によって可能となる。
カムピン4Bは、金属製の内層環44において固定ねじ5で締結されて固定されるので、内層環44の剛性によりカムピン4Bの変形が防止される。一方、カムピン4Bは樹脂製の外層環43においてカム溝21と案内溝11に係合されるので、外層環43での潤滑性によって係合時の摩擦力が低減され、円滑なカム動作が確保できる。
この固定ねじ5を用いてカムピン4Bを固定する際には、図17に示すように、円筒状の調整シリンダ6を外層環43のねじ逃げ穴42に内挿した状態で固定ねじ5による締結を行なえばよい。これにより、ねじ逃げ穴42に対してねじ頭部51を同芯位置に位置決めし、さらに固定ねじ5に対してカムピン4Bを同芯位置に固定することができる。固定後は調整シリンダ6を取り外せばよい。
実施形態3においても、図18に第1変形例を示すように、実施形態1の第1変形例と同様に、ねじ頭部51と軸部52の一部に軸部52よりも大径のボス部54を設けたボス付き固定ねじ5Aを利用することができる。同図には表れないがボス部54を内層環44の軸部挿通穴41に内挿することによってボス付き固定ねじ5Aと内層環43を同芯に位置決めし、さらにはカムピン4Bを同芯に位置決めすることができる。
この第1変形例においてカムピン4Bの位置調整を行なう場合には、図18のように、ボス付き固定ねじ5Aのねじ頭部51とカムピン4Cの内層環44の外径側端面との間に、実施形態1の第1変形例と同様に調整ワッシャ7を介装させるようにすればよい。
また、実施形態1の第2変形例と同様に、溝付き固定ねじ5Bを利用することができる。図19は溝付き固定ねじ5Bを用いた実施形態3の第2変形例であり、溝付き固定ねじ5Bに設けられている連通穴56から接着剤を注入することにより、溝付き固定ねじ5Bと内層環44を一体化することができ、さらには溝付き固定ねじ5Bとカムピン4Bの全体を一体化することができる。
この第2変形例においても、図20に示すように、円筒状の調整シリンダ6を外層環43のねじ逃げ穴42に内挿した状態で溝付き固定ねじ5Bによる締結を行なえばよい。これにより、ねじ逃げ穴42に対してねじ頭部51を同芯位置に位置決めし、溝付き固定ねじ5Bに対して内層環44、さらにはカムピン4Cを同芯位置に固定することができる。固定後は調整シリンダ6を取り外せばよい。
実施形態3の第3変形例として、図21に示すように、実施形態1の第3変形例と同様に、ボス・溝付き付き固定ねじ5Cを利用することができる。同図には表れないがボス・溝付き固定ねじ5Cのボス部54を内層環44の軸部挿通穴41に内挿することによってボス・溝付き固定ねじ5Cと内層環43を同芯に位置決めし、さらにはカムピン4Bを同芯に位置決めすることができる。
カムピン4Bの位置調整を行なう場合には、図21のように、ボス・溝付き固定ねじ5Cのねじ頭部51とカムピン4Cの内層環44の外径側端面との間に、実施形態1の第1変形例と同様に調整ワッシャ7を介装させるようにすればよい。また、位置調整後には、ボス・溝付き固定ねじ5Cの連通穴56から接着剤を注入することにより、ボス・溝付き固定ねじ5Cと内層環44を一体化することができ、さらにはボス・溝付き固定ねじ5Cとカムピン4Bの全体を一体化することができる。
実施形態3の二層構造のカムピン4Bは、実施形態4として図22のように、ねじ逃げ穴が存在しないカムピン4Cとして構成することもできる。すなわち、このカムピン4Cは、金属で形成した内層環44を樹脂で形成した外層環43よりも軸方向に長く形成したものである。したがって、内層環44の外径側端面は外層環43の外径側端面よりもレンズ鏡筒LCの外径側に位置され、内層環44のフランジ44aはカム筒2よりも外径側に位置されている。
実施形態4では、固定ねじ5のねじ頭部51はカム筒2の外径側位置において内層環44の外径側端面に当接された状態でカムピン4Cをレンズ枠3に固定することになる。この実施形態4では、外層環43にねじ逃げ穴が存在していないので、内層環44とともに単純な円筒状に形成でき、カムピン4Cの製造は容易である。
実施形態4の第1変形例として、図23に示すように、軸部52(ねじ部53)よりも大径のボス部54を設けたボス付き固定ねじ5Aを利用することができる。同図には表れないがボス部54を内層環44の軸部挿通穴41に内挿することによってボス付き固定ねじ5Aと内層環43を同芯に位置決めし、さらにはカムピン4Cを同芯に位置決めすることができる。また、カムピン4Cの位置調整を行なうために、図23に示すように、調整ワッシャ7を利用することができる。
実施形態4の第2変形例として、図24に示すように、溝付き固定ねじ5Bを利用することができる。溝付き固定ねじ5Bに設けられている連通穴56から接着剤を注入することにより、溝付き固定ねじ5Bと内層環44を一体化することができ、さらには溝付き固定ねじ5Bとカムピン4Cの全体を一体化することができる。
実施形態4の第3変形例として、図25に示すように、ボス・溝付き付き固定ねじ5Cを利用することができる。同図には表れないがボス・溝付き固定ねじ5Cのボス部54を内層環44の軸部挿通穴41に内挿することによってボス・溝付き固定ねじ5Cと内層環43を同芯に位置決めし、さらにはカムピン4Cを同芯に位置決めすることができる。
カムピン4Cの位置調整を行なう場合には、図25のように、ボス・溝付き固定ねじ5Cのねじ頭部51とカムピン4Cの内層環44の外径側端面との間に調整ワッシャ7を介装させるようにすればよい。また、位置調整後には、ボス・溝付き固定ねじ5Cの連通穴56から接着剤を注入することにより、ボス・溝付き固定ねじ5Cと内層環44を一体化することができ、さらにはカムピン4Cの全体を一体化することができる。
一方、溝付き固定ねじ5Bあるいはボス・溝付き固定ねじ5Cを操作するためのドライバとして、図26に示すドライバD1を採用してもよい。このドライバD1は、固定ねじ5B,5Cの頭部51の十字溝51aに嵌合される十字部Daと、この十字部Daの中心において軸方向に立設された小径円柱状の軸部Dbを有している。この軸部DbはドライバD1とは別体に形成し、十字部Daの中心に軸方向に設けた穴内に圧入し、あるいは治具等により着脱できるように構成してもよい。ここでは後者の構成を採用している。
このドライバD1を用いることにより、図27及び図28に示すように、溝付き固定ねじ5Bあるいはボス・溝付き固定ねじ5Cを操作する際には、軸部Dbは各固定ねじ5B,5Cの軸穴56bに内挿され、十字部Daはねじ頭部51の十字溝51aに嵌合される。したがって、軸部Dbと軸穴56bとの嵌合によってドライバD1が固定ねじ5B,5Cから外れ難くなり、ドライバD1による固定ねじ5B,5Cの確実な操作が可能になる。また、十字部Daは十字溝51aに嵌合され、ドライバD1の回転力を固定ねじ5B,5Cに伝達して固定ねじ5B,5Cの螺合を可能とする。
このドライバD1を用いて固定ねじ5B,5Cを操作する際に、固定ねじ5B,5Cとカムピン4とを同芯位置に設定するために、図29のように、ドライバD1の軸部に嵌合される調整シリンダ6Aを使用することが可能である。この調整シリンダ6AはドライバD1の軸部に着脱可能な円筒状に形成され、その先端がねじ逃げ穴42に内挿されるような径寸法に形成されている。したがって、ドライバD1で固定ねじ5B,5Cを操作する際には、調整シリンダ6Aによる同芯位置の設定を自動的に行うことができ、ドライバD1を固定ねじ5B,5Cから取り外せば調整シリンダ6Aも自動的に取り外すことができ、固定ねじ5B,5Cの取付と同芯調整を同時にかつ自動的に行うことができる。
このドライバD1は、前記した本発明の各実施形態のうち、溝付き固定ねじ5Bあるいはボス・溝付き固定ねじ5Cを用いる実施形態のいずれについても適用することができる。
本発明は、以上の例示した組み合わせ構造に限られるものではなく、さらなる組み合わせによるカム装置として構成することが可能である。すなわち、カムピンについては、ねじ逃げ穴を有するカムピン、あるいはねじ逃げ穴を有していないカムピン、さらに二層構造カムピンを含むカムピンのいずれかが選択できる。また、固定ねじについては、通常のねじ構造の固定ねじ、ボス付き固定ねじ、溝付き固定ねじ、ボス・溝付き固定ねじのいずれかが選択できる。これらのカムピンと固定ねじを適宜選択して組み合わせることにより、それぞれのカムピンと固定ねじが有する機能を組み合わせた効果が得られることになる。
実施形態では、レンズ枠に設けられた3つのカムピンの全てに本発明を適用しているが、レンズ枠が光軸に対して傾倒されたティルトを調整するためには少なくとも1つのカムピンについて本発明を適用すればよいので、3つのカムピンのうち1つのカムピンについてのみ本発明を適用した構成としてもよい。
本発明のカム装置は実施形態に示したレンズ鏡筒のカム装置に限られるものではなく、移動体に設けたカムピンを案内筒とカム筒とでカム動作させる構成のカム装置であれば本発明を適用することが可能である。また、本発明をレンズ鏡筒に適用したときには、レンズ鏡筒内でレンズ枠あるいはその他の光学部品を光軸方向に移動させるカム装置として適用できる。例えば、ズーミングを行なうためのズーミングレンズを光軸方向に移動させるカム装置としても適用できる。
1 案内筒
2 カム筒
3 レンズ枠(移動体)
4,4A,4B カムピン
5,5A〜5C 固定ねじ
6 調整シリンダ
7 調整ワッシャ
11 案内溝
21 カム溝
31 浅溝
32 ねじ穴
41 軸部挿通穴(第1穴部)
42 ねじ逃げ穴(第2穴部)
43 外層環
44 内層環
51 ねじ頭部
52 軸部
53 ねじ部
54 ボス部
55 周面溝
56 連通穴
D,D1 ドライバ

Claims (18)

  1. 一方向に延長された案内溝を有する案内筒と、前記案内溝と交差されるカム溝を有して前記案内筒に対して相対回動されるカム筒と、前記案内溝及びカム溝の交差位置において当該案内溝及びカム溝に係合されるカムピンを有する移動体とを含むカム装置であって、前記移動体は前記案内溝の延長方向に延長した移動規制部を備え、前記カムピンは前記移動規制部に沿って案内溝の延長方向にのみ相対移動することを特徴とするカム装置。
  2. 前記案内溝は前記案内筒の筒軸方向に延長され、前記カム溝は当該筒軸方向に交差される請求項1に記載のカム装置。
  3. 前記カムピンは柱状に形成され、その柱軸が前記案内溝の延長方向に垂直に向けられた状態で前記移動体に固定され、その側面において前記案内溝及びカム溝に係合されている請求項2に記載のカム装置。
  4. カムピンは前記移動体に対して前記柱軸方向に螺合される固定ねじにより当該移動体に固定されており、カムピンを当該固定ねじに対して相対移動可能に構成した請求項3に記載のカム装置。
  5. 前記カムピンは、少なくとも前記固定ねじの軸部の外径よりも大きな内径を有する第1穴部を備える請求項4に記載のカム装置。
  6. 前記カムピンは、前記固定ねじのねじ頭部の外径よりも大きな内径を有する第2穴部を備える請求項4又は5に記載のカム装置。
  7. 前記ねじ頭部の外周面と前記第2穴部の内周面との間に介装可能な円筒状の調整シリンダを着脱可能に構成した請求項6に記載のカム装置。
  8. 前記固定ねじは、前記軸部の一部に前記第1穴部に嵌合されるボス部を備える請求項5、請求項5を引用する請求項6、又は当該請求項6を引用する請求項7のいずれかに記載のカム装置。
  9. 前記ねじ頭部と前記カムピンとの間にねじ軸方向に介在され、ねじ軸方向の長さが前記ボス部よりも長い調整ワッシャを備える請求項8に記載のカム装置。
  10. 前記固定ねじは、ねじ頭部の頂面から軸部の周面にまで連通された連通穴を備える請求項4ないし9のいずれかに記載のカム装置。
  11. 前記固定ねじのねじ頭部は前記カムピンのねじ軸方向の内部に配置される請求項6ないし10のいずれかに記載のカム装置。
  12. 前記固定ねじのねじ頭部は前記カムピンのねじ軸方向の外部に配置される請求項6ないし10のいずれかに記載のカム装置。
  13. 前記カムピンは前記案内溝及びカム溝に接触される外周側の外層環と、前記固定ねじのねじ頭部が当接される内周側の内層環とで構成され、外層環は内層環よりも潤滑性が高い材料で構成され、内層環は外層環よりも剛性が高い材料で構成される請求項4ないし12のいずれかに記載のカム装置。
  14. 前記カムピンは前記移動体の周方向の複数箇所に配設され、少なくとも1つのカムピンを移動可能に構成した請求項1ないし13のいずれかに記載のカム装置。
  15. 前記案内筒はレンズ鏡筒であり、前記移動体は当該レンズ鏡筒内で移動される光学要素である請求項1ないし14のいずれかに記載のカム装置
  16. 前記移動体はレンズ鏡筒に内装されたレンズ枠であり、前記案内筒はレンズ鏡筒の固定環であって前記案内溝は光軸方向に延長された直線状態とされ、前記カム筒はレンズ鏡筒の光軸回りに回転可能とされ、当該カム筒の回転により前記レンズ枠を当該光軸方向に移動可能とした請求項15に記載のカム装置。
  17. レンズ鏡筒内に固定されて光軸方向に延長される案内溝を有する案内筒と、前記案内筒に対して前記光軸回りに回転操作され、前記案内溝と交差されるカム溝を有するカム筒と、前記レンズ鏡筒内において前記光軸方向に移動可能なレンズ枠とを備え、前記レンズ枠には前記案内溝及びカム溝の交差位置において当該案内溝及びカム溝に係合され、前記レンズ枠に対して固定ねじにより固定されたカムピンを有し、前記固定ねじの固定を解放したときに前記カムピンを前記レンズ枠に対して前記光軸方向にのみ相対移動可能に構成したことを特徴とするカム装置。
  18. 請求項1〜17のいずれかに記載のカム装置を備えるレンズ鏡筒。
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