(本開示の基礎となった知見)
上記のように、特許文献1に開示されている従来技術では、無人飛行体の落下位置を予測し、無人飛行体の落下を禁止する落下禁止領域を設定し、予測された落下位置が落下禁止領域以外となる経路を無人飛行体の飛行経路として設定している。
しかしながら、上記従来技術では、回避対象物が移動する場合に、事前に落下禁止領域を適切に設定するのが困難であった。
このような課題を解決するため、本開示の一態様に係る無人飛行体は、無人飛行体の鉛直方向の画像を撮影する撮影部と、前記画像に、前記無人飛行体の墜落する可能性のある領域を重畳し、重畳した前記領域内に存在する回避対象物を検出する画像処理部と、前記回避対象物を検出した場合、前記領域内から前記回避対象物が検出されなくなるように前記無人飛行体の飛行を制御する制御部と、前記制御部の制御結果に応じて前記領域を変更する決定部と、を備える。
本構成によれば、無人飛行体の鉛直方向の画像が撮影される。画像に、無人飛行体の墜落する可能性のある領域が重畳される。重畳された領域内に存在する回避対象物が検出される。回避対象物が検出された場合、領域内から回避対象物が検出されなくなるように無人飛行体の飛行が制御される。制御結果に応じて領域が変更される。
したがって、無人飛行体が墜落する可能性のある領域内から回避対象物が検出されなくなるように無人飛行体の飛行が制御されるので、回避対象物に対して無人飛行体が落下するのを防止することができる。また、制御結果に応じて領域が変更されるので、無人飛行体を効率的に飛行させることができる。
また、上記の無人飛行体において、前記無人飛行体の高度を測定する高度センサをさらに備え、前記制御部は、前記高度に基づいて前記無人飛行体の飛行を制御してもよい。
本構成によれば、無人飛行体の高度に基づいて無人飛行体の飛行が制御される。したがって、例えば、無人飛行体の高度が高くなるにつれて、領域が広くなるように変更されることにより、回避対象物に対して無人飛行体が落下するのを確実に防止することができる。また、例えば、無人飛行体の高度が低くなるにつれて、領域が狭くなるように変更されることにより、無人飛行体をより効率的に飛行させることができる。
また、上記の無人飛行体において、前記決定部は、前記無人飛行体の高度が下がるに従って、前記領域を狭くしてもよい。
本構成によれば、無人飛行体の高度が下がるのに従って、領域が狭くなるので、無人飛行体の高度が下がるのに伴い、領域に回避対象物が存在しないようにすることができる。
また、上記の無人飛行体において、前記画像処理部はさらに、前記領域の外側に存在する前記回避対象物を検出し、前記制御部は、検出された前記回避対象物の数が所定数より多い場合、前記無人飛行体の高度を下げるように前記無人飛行体の飛行を制御し、前記決定部は、前記無人飛行体の高度が下がるに従って、前記領域を狭くしてもよい。
本構成によれば、領域の外側に存在する回避対象物が検出される。検出された回避対象物の数が所定数より多い場合、無人飛行体の高度を下げるように無人飛行体の飛行が制御される。無人飛行体の高度が下がるに従って、領域が狭くなる。
したがって、領域の外側に所定数より多い回避対象物が存在する場合は、事前に無人飛行体の高度を下げるとともに、領域を狭くすることにより、回避対象物に対して無人飛行体が落下するのを未然に防止することができる。
また、上記の無人飛行体において、前記無人飛行体の周辺の風速を測定する風速センサをさらに備え、前記制御部は、前記風速に基づいて前記無人飛行体の飛行を制御してもよい。
本構成によれば、無人飛行体の周辺の風速に基づいて無人飛行体の飛行が制御される。したがって、無人飛行体の周辺の風の強弱に基づいて、領域の範囲を適切に変更することができる。
また、上記の無人飛行体において、前記無人飛行体の周辺の風向を測定する風向センサをさらに備え、前記制御部は、前記風向及び前記風速に基づいて前記無人飛行体の飛行を制御してもよい。
本構成によれば、無人飛行体の周辺の風向及び風速に基づいて無人飛行体の飛行が制御される。したがって、無人飛行体の周辺の風向及び風の強弱に基づいて、領域の位置及び範囲を適切に変更することができる。
また、上記の無人飛行体において、前記無人飛行体の飛行速度を測定する速度センサと、前記無人飛行体の現在位置を測定する位置測定部と、前記無人飛行体の現在位置の方位を測定する方位センサとをさらに備え、前記制御部は、前記飛行速度、前記現在位置及び前記方位に基づいて前記無人飛行体の飛行を制御してもよい。
本構成によれば、無人飛行体の飛行速度、無人飛行体の現在位置及び無人飛行体の現在位置の方位に基づいて無人飛行体の飛行が制御される。したがって、無人移動体の進行方向に対して、領域の範囲を適切に変更することができる。
また、上記の無人飛行体において、前記画像処理部はさらに、前記回避対象物が検出された場合、前記領域内に検出された前記回避対象物が予め設定された条件に合致するか否かを判断し、前記制御部は、前記条件に合致すると判断された場合、前記無人飛行体の飛行を制御しなくてもよい。
本構成によれば、回避対象物が検出された場合、領域内に検出された回避対象物が予め設定された条件に合致するか否かが判断される。条件に合致すると判断された場合、無人飛行体の飛行が制御されない。
したがって、例えば、領域内に検出された回避対象物が無人飛行体の操縦者である場合、領域内から操縦者が検出されなくなるように飛行させる飛行制御を行わないことにより、無人飛行体の操縦の妨げにならないように無人飛行体を飛行させることができる。
また、上記の無人飛行体において、前記無人飛行体を操縦する端末と通信する通信部をさらに備え、前記通信部は、前記回避対象物が検出された場合、前記無人飛行体の飛行を制御するか否かを前記端末に問い合わせ、前記制御部は、前記問い合わせに対する結果に応じて前記無人飛行体の飛行を制御するか否かを決定してもよい。
本構成によれば、通信部は、無人飛行体を操縦する端末と通信する。回避対象物が検出された場合、無人飛行体の飛行を制御するか否かが端末装置に問い合わされる。そして、問い合わせに対する結果に応じて無人飛行体の飛行を制御するか否かが決定される。
したがって、無人飛行体を操縦する操縦者に対して、領域内から回避対象物が検出されなくなるように飛行させる飛行制御を行うか否かが問い合わされるので、操縦者の意思に基づいて、飛行制御を行うか否かを決定することができる。
本開示の他の態様に係る飛行制御方法は、無人飛行体の飛行制御方法であって、前記無人飛行体の鉛直方向の画像を撮影し、前記画像に、前記無人飛行体の墜落する可能性のある領域を重畳し、重畳した前記領域内に存在する回避対象物を検出し、前記回避対象物を検出した場合、前記領域内から前記回避対象物が検出されなくなるように前記無人飛行体の飛行を制御し、前記制御結果に応じて前記領域を変更する。
本構成によれば、無人飛行体の鉛直方向の画像が撮影される。画像に、無人飛行体の墜落する可能性のある領域が重畳される。重畳された領域内に存在する回避対象物が検出される。回避対象物が検出された場合、領域内から回避対象物が検出されなくなるように無人飛行体の飛行が制御される。制御結果に応じて領域が変更される。
したがって、無人飛行体の墜落する可能性のある領域内から回避対象物が検出されなくなるように無人飛行体の飛行が制御されるので、回避対象物に対して無人飛行体が落下するのを防止することができる。また、制御結果に応じて領域が変更されるので、無人飛行体を効率的に飛行させることができる。
以下本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態では、地上を複数の人が歩行している上空付近を無人飛行体が飛行する場合について説明する。
さらに、本実施の形態では、無人飛行体が搭載するカメラで無人飛行体の鉛直方向を撮影した画像情報より人を検出して、無人飛行体を人の存在しない方向に移動させる動作について、図面を用いながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1における無人飛行体の動作を説明するための概念図である。
図1では、操縦者3が、操縦器2を用いて無人飛行体1を遠隔操縦する。地上には、操縦者3及び複数の人41〜43がいる。無人飛行体は一般的に、飛行中に故障等の不測の事態が発生すると、鉛直方向が地上に交わる点を中心とする所定半径の円の中に落下することが多い。そのため、無人飛行体1の下部にカメラを搭載し、無人飛行体1の直下の画像を撮影する。無人飛行体1が搭載するカメラによって撮影される撮影範囲501内には、無人飛行体1が墜落する可能性がある範囲502が含まれる。
本実施の形態1では、無人飛行体1が、無人飛行体1が搭載するカメラで無人飛行体1の鉛直方向を撮影し、撮影された画像に、無人飛行体1が墜落する可能性のある領域を示す墜落可能性領域を重畳し、墜落可能性領域内に存在する移動可能な回避対象物を検出し、回避対象物が検出された場合、墜落可能性領域内から前記回避対象物が検出されなくなるように無人飛行体1の飛行を制御する。すなわち、カメラによって撮影された画像のうち範囲502に人が検出されると、範囲502に人が検出されなくなるように無人飛行体1の飛行を制御する。これにより、突然の故障等の不測の事態が発生し、無人飛行体1が墜落したとしても、人に対して無人飛行体1が落下するのを防止することが可能となる。
なお、操縦器2は、無人飛行体1を遠隔操縦するための専用端末であってもよいし、例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレット型コンピュータ又はノート型パーソナルコンピュータ等に無人飛行体1を遠隔操縦するための機能を備えてもよい。
図2は、本開示の実施の形態1における無人飛行体の外観図である。図3は、本開示の実施の形態1における無人飛行体の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、無人飛行体1は、本体A1と、無人飛行体1の推進力を発生させる駆動部108とを備える。駆動部108は、本体A1から四方へ延在する支持部A2の先端に取り付けられる。本体A1の上側には、高度センサ100、風速センサ101、風向センサ102、速度センサ103、傾きセンサ104、方位センサ105及び位置測定部106が取り付けられている。また、本体A1の下側には、図示しないがカメラ107が取り付けられている。さらに、本体A1の内部には、駆動部108、通信部109、制御部11、記憶部12及び電力供給部13が収納されている。
図3に示すように、無人飛行体1は、高度センサ100、風速センサ101、風向センサ102、速度センサ103、傾きセンサ104、方位センサ105、位置測定部106、カメラ107、駆動部108、通信部109、制御部11、記憶部12及び電力供給部13を備える。
高度センサ100は、例えば、気圧高度計又は電波高度計などの高度計であり、無人飛行体1の高度を測定する。
風速センサ101は、例えば、風杯型風速計、風車型風速計又は熱線式風速計などの風速計であり、無人飛行体1の周辺の風速を測定する。
風向センサ102は、例えば、ベーン式の風向計、風車型風速計と一体化している風向計又は風杯型風速計に併設された風向計であり、無人飛行体1の周辺の風向を測定する。
なお、本実施の形態1では、風速又は風向は無人飛行体1によって測定されるが、無人飛行体1の通信部109が、サーバ等の外部装置(図示しない)に対して、無人飛行体1の位置情報を送信し、サーバ等の外部装置(図示しない)から、無人飛行体1の位置情報に対応する風速又は風向に関する情報を受信してもよい。この構成により、無人飛行体1に搭載するセンサの数を減らすことができ、無人飛行体1の重量を軽くすることができ、また、製造コストを削減することができる。
速度センサ103は、例えば、対気速度計であり、無人飛行体1の飛行速度を測定する。
傾きセンサ104は、例えば、ジャイロセンサ又は加速度センサであり、無人飛行体1の傾きを測定する。
方位センサ105は、例えば、地磁気センサであり、無人飛行体1が飛行している飛行方向の方位を測定する。
位置測定部106は、例えば、GPS(Global Positioning System)であり、無人飛行体1の位置を測定する。無人飛行体1の位置は、緯度及び経度で表される。なお、GPSが高度を測定することが可能である場合、位置測定部106は、無人飛行体1の高度を測定してもよい。
カメラ(撮影部)107は、例えば、無人飛行体1の下面に搭載されており、無人飛行体1の鉛直方向(重力方向)の画像を撮影する。カメラ107は、無人飛行体1の鉛直方向を撮影できれば上記以外の他の構成にしてもよい。
駆動部108は、例えば、モータ又はプロペラであり、制御部11の制御により動作することにより、無人飛行体1の飛行動作を行う。無人飛行体1は、複数のプロペラを備えており、複数のプロペラのそれぞれの回転数を制御することにより、前方、後方、左方向、右方向、上方向及び下方向に移動する。
通信部109は、操縦器2から操縦指示などの情報を受信するとともに、操縦器2へ無人飛行体1に関する情報を送信する。
制御部11は、例えばCPU(中央演算処理装置)であり、無人飛行体1の動作を制御する。制御部11は、基本飛行制御部110、墜落可能性領域決定部111、画像処理部112、カメラ向き制御部113、墜落回避飛行制御部114及び中央制御部115を備える。
基本飛行制御部110は、記憶部12に記憶されている飛行基本プログラム120及び操縦器2から受信した操縦指示に基づき、無人飛行体1の飛行を制御する。
墜落可能性領域決定部111は、無人飛行体1の有する高度センサ100、風速センサ101、風向センサ102、速度センサ103、傾きセンサ104及び方位センサ105のセンシング結果を用いて、記憶部12に記憶されている墜落可能性領域決定プログラム122及び墜落可能性領域テーブル124に基づいて、墜落可能性領域52を決定する。墜落可能性領域52の決定の詳細については、後述する。
画像処理部112は、記憶部12に記憶されている画像処理プログラム121に従って、無人飛行体1の鉛直方向を撮影した画像に墜落可能性領域を重畳し、重畳した墜落可能性領域内に存在する人を画像認識により検出する。画像処理部112は、カメラ107によって撮影された画像に、無人飛行体1が墜落する可能性のある領域を示す墜落可能性領域を重畳する。また、画像処理部112は、重畳した墜落可能性領域内に存在する人を検出する。ここで、人は、回避対象物の一例である。
カメラ向き制御部113は、無人飛行体1の傾きを傾きセンサ104で検出した結果に基づいて、カメラ107が無人飛行体の鉛直方向を撮影できるように、カメラ107の向きを制御する。
墜落回避飛行制御部114は、画像処理部112によって、無人飛行体1の鉛直方向を撮影した画像に重畳した墜落可能性領域内に人が存在すると判断した場合に、記憶部12に記憶されている墜落回避プログラム123に基づき、墜落可能性領域に人が存在しなくなるように無人飛行体1の飛行を制御する。墜落回避飛行制御部114は、画像処理部112によって人が検出された場合、墜落可能性領域内から人が検出されなくなるように無人飛行体1の飛行を制御する。
また、墜落可能性領域決定部111は、無人飛行体1の飛行が制御された結果に応じて墜落可能性領域を変更する。なお、墜落可能性領域決定部111は、操縦器2又は墜落回避飛行制御部114によって無人飛行体1の飛行が制御された結果に応じて墜落可能性領域を変更する。
中央制御部115は、基本飛行制御部110、墜落可能性領域決定部111、画像処理部112、カメラ向き制御部113及び墜落回避飛行制御部114以外の無人飛行体1の動作全般について、制御を行う。
記憶部12は、飛行基本プログラム120、画像処理プログラム121、墜落可能性領域決定プログラム122、墜落回避プログラム123及び墜落可能性領域テーブル124を記憶する。
飛行基本プログラム120は、無人飛行体1に予め記憶されている飛行動作するためのプログラムである。無人飛行体1が、操縦器2からの操縦指示を受信すると、飛行基本プログラム120に基づき無人飛行体1の飛行動作が行われる。
画像処理プログラム121は、画像処理部112が、無人飛行体1の鉛直方向を撮影した画像に重畳した墜落可能性領域内に存在する人を画像認識により検出するためのプログラムである。
墜落可能性領域決定プログラム122は、墜落可能性領域決定部111が、無人飛行体1の有する高度センサ100、風速センサ101、風向センサ102、速度センサ103、傾きセンサ104及び方位センサ105のセンシング結果を用いて墜落可能性領域を決定するためのプログラムである。
墜落回避プログラム123は、画像処理部112によって墜落可能性領域内に人が検出された場合、墜落可能性領域内から人が検出されなくなるように無人飛行体1の飛行を制御するためのプログラムである。
墜落可能性領域テーブル124は、高度及び風速により決定される墜落可能性領域の広さを示すテーブルであり、事前に記憶部12に格納される。墜落可能性領域テーブル124は、墜落可能性領域を決定する際に、墜落可能性領域決定部111により、参照される。墜落可能性領域テーブル124は、墜落可能性領域の広さを高度と風速とに対応付けて格納している。
なお、墜落可能性領域テーブル124で決定される墜落可能性領域は、無人飛行体1の高度が高くなるほど広くなり、風速が速くなるほど広くなるように決定される。
無人飛行体1の高度が高くなるほど、墜落時間が長くなり、それに伴い、墜落中に風の影響を受ける時間が長くなる。そのため、無人飛行体1の高度が高くなるほど地上における墜落可能性領域は広くなる。また、無人飛行体1は、墜落時に風の影響をより大きく受ける。そのため、無人飛行体1の周辺の風速が速いほど、地上における墜落可能性領域は広くなる。
電力供給部13は、例えば、バッテリ又は有線給電であり、無人飛行体1の各構成要素に電力を供給する。
図4は、本開示の実施の形態1に係る操縦器の機能構成を示すブロック図である。
図4に示すように、操縦器2は、表示部20、操作指示入力部21、通信部22、制御部23及び電力供給部24を備える。
表示部20は、操縦器2を操作している操縦者3に情報を表示する。操作指示入力部21は、例えば、ボタン、レバー又はタッチパネルなどであり、操縦者3による無人飛行体1への操縦指示の入力を受け付ける。通信部22は、操縦者3により入力された操縦指示信号などを無人飛行体1に送信するとともに、無人飛行体1から情報を受信する。
制御部23は、例えば、CPUであり、操縦器2の各構成要素の動作を制御する。電力供給部24は、例えば、バッテリ又は有線給電であり、操縦器2の各構成要素に電力を供給する。
図5は、本実施の形態1における記憶部に記憶されている墜落可能性領域テーブルの一例を示す図である。
墜落可能性領域テーブル124の行は、無人飛行体1の高度を示しており、墜落可能性領域テーブル124の列は、無人飛行体1の周辺の風速を示している。墜落可能性領域テーブル124の値は、無人飛行体1の高度及び無人飛行体によって測定された風速に対応する墜落可能性領域を示している。
図5において、無人飛行体1の高度が5mを超える場合は、高度及び風速に応じて、墜落可能性領域が決定されるが、高度が0m〜5mの範囲内である場合は、画像全体が墜落可能性領域に決定される。これは、無人飛行体1の高度が低い場合、無人飛行体1の直下を含む狭い範囲しか撮影することができず、画像全体が墜落可能性領域となってしまうためである。
なお、本実施の形態1では、墜落可能性領域は、円形状であるが、他の形状であってもよい。例えば、墜落可能性領域は、風向きの方向が長軸方向となる楕円形状であってもよい。
図6は、本開示の実施の形態1における無人飛行体の鉛直方向を撮影した画像に墜落可能性領域を重畳した例を説明するための図である。画像全体51の中心が、無人飛行体1から延びる鉛直線と地表面とが交わる直下点53を示しており、直下点53を中心とした所定の半径の円内の領域が、墜落可能性領域52である。画像処理部112は、カメラ107によって撮影された画像に、無人飛行体1が墜落する可能性のある領域を示す墜落可能性領域を表す画像を重畳する。
次に、本開示の実施の形態1に係る無人飛行体1が、無人飛行体1が搭載するカメラ107で無人飛行体1の鉛直方向を撮影し、撮影画像全体51に重畳した墜落可能性領域52に存在する人を検出し、人が検出された場合に、墜落可能性領域52に人が検出されないように無人飛行体1を移動させる処理について説明する。
図7は、本開示の実施の形態1に係る無人飛行体の処理を説明するためのフローチャートである。以下に、無人飛行体1の処理の流れについて説明する。
操縦者3によって無人飛行体1が起動されると、図7に示す処理が開始される。
まず、無人飛行体1が起動されると、中央制御部115は、カメラ107を起動させ、無人飛行体1の鉛直方向の画像を撮影する(ステップS1)。
中央制御部115が、カメラ107により撮影を開始すると、墜落可能性領域決定部111は、記憶部12の墜落可能性領域テーブル124に基づき、高度0mに対応する墜落可能性領域を初期の墜落可能性領域として決定する(ステップS2)。本実施の形態1では、墜落可能性領域決定部111は、図5より、高度0mに対応する墜落可能性領域である画像全体を初期の墜落可能性領域として決定する。
次に、中央制御部115は、無人飛行体1が離陸したか否かを判断する(ステップS3)。本実施の形態1では、無人飛行体1の通信部109が、操縦器2からの操縦指示を受信し、基本飛行制御部110が、受信した操縦指示に基づき最初の飛行制御処理を行った場合、中央制御部115は、無人飛行体1が離陸したと判断する。
ステップS1及びステップS2の処理は、ステップS3の処理において無人飛行体1が最初の飛行制御処理を行う直前に実施してもよい。この構成により、無人飛行体1が起動されてから無人飛行体1が実際に飛行を開始するまでの待機時間のカメラ107への電力供給を削減することができるため、バッテリの消耗を抑制することができる。
本実施の形態1では、ステップS3の処理で無人飛行体1が離陸した時点から、ステップS8の処理で無人飛行体1が着陸する時点までの間の処理(ステップS5〜ステップS7の処理)は、操縦器2からの操縦指示に基づく無人飛行体1の飛行制御処理(図示しない)と並行して行われる。換言すると、無人飛行体1が操縦器2からの操縦指示に基づく飛行動作中の間、後述するステップS5〜ステップS7の処理が繰り返し行われる。
ここで、無人飛行体1が離陸していないと判断された場合(ステップS3でNO)、中央制御部115は、無人飛行体1の電源がオフされたか否かを判断する(ステップS4)。無人飛行体1の電源がオフされていないと判断された場合(ステップS4でNO)、ステップS3の処理に戻る。無人飛行体1の電源がオフされたと判断された場合(ステップS4でYES)、処理を終了する。
一方、無人飛行体1が離陸したと判断された場合(ステップS3でYES)、画像処理部112は、ステップS2で決定した初期の墜落可能性領域52内に人を検出したか否かを判断する(ステップS5)。具体的には、無人飛行体1の記憶部12の画像処理プログラム121に基づき、画像処理部112は、パターンマッチングによって、墜落可能性領域52に人が存在するか否かを判断する。
ステップS5の処理において処理対象となる撮影画像は上空から撮影された撮影画像である。そのため、画像処理部112は、撮影画像を、人の頭部又は人の顔でパターンマッチングすることにより、墜落可能性領域52に人が存在するか否かを判断する。ここで、パターンマッチングの際に利用するパターンデータは、サーバ等の外部装置から定期的に更新するようにし、パターンマッチングの精度を向上させるようにすることが好ましい。サーバ等の外部装置への通信は、操縦器2を介して通信してもよいし、外部装置との通信のために別途通信部を設けてもよい。もしくは、無人飛行体1は、取外し可能な記憶媒体を装着し、記憶媒体に記憶されたパターンデータを読み出してもよい。
なお、無人飛行体1の高度が高くなることで、撮影画像が、地上から離れた場所から撮影した画像となってしまい、人を検出することが困難になってしまうことが考えられる。そのため、中央制御部115は、高度に応じてカメラ107をズームしてもよい。この構成により、無人飛行体1の高度が上昇した場合においても、画像処理により人の存在を高い精度で検出することが可能となる。また、中央制御部115は、墜落可能性領域52が撮影画像に含まれるように、焦点距離を制御することが好ましい。この構成により、墜落可能性領域52がズームした撮影画像を超えることがないようにすることができ、墜落可能性領域52内に存在する人を検出することができる。
ステップS5の処理において、画像処理部112が墜落可能性領域52内に人を検出したと判断された場合(ステップS5でYES)、墜落回避飛行制御部114は、墜落可能性領域52内から人が検出されなくなるように無人飛行体1の飛行を制御する墜落回避飛行制御処理を行う(ステップS5)。墜落回避飛行制御部114は、故障等の不測の事態により無人飛行体1が突然人の上に墜落することを回避するために、無人飛行体1の飛行を制御することにより墜落可能性領域52を移動させる。
ステップS6の処理は、記憶部12の墜落回避プログラム123に基づき、墜落回避飛行制御部114が行う。ステップS6の墜落回避飛行制御処理の詳細については、後述する。
一方、ステップS5の処理において画像処理部112が墜落可能性領域52内に人を検出していないと判断された場合(ステップS5でNO)、又は、ステップS6の墜落回避飛行制御処理が完了した場合、墜落可能性領域決定部111は、記憶部12の墜落可能性領域決定プログラム122に基づき、墜落可能性領域52を変更する墜落可能性領域変更処理を行う(ステップS7)。ステップS7の墜落可能性領域変更処理の詳細については、後述する。
次に、中央制御部115は、無人飛行体1が着陸したか否かを判断する(ステップS8)。具体的には、無人飛行体1の高度センサ100によって測定される無人飛行体1の高度が0mになった場合に、中央制御部115は、無人飛行体1が着陸したと判断する。
ステップS8の処理において無人飛行体1が着陸していないと判断された場合(ステップS8でNO)、ステップS5の処理に戻り、ステップS5の処理が行われる。
一方、ステップS8の処理において無人飛行体1が着陸したと判断された場合(ステップS8でYES)、ステップS2の処理に戻り、墜落可能性領域決定部111は、墜落可能性領域52を初期の墜落可能性領域に再決定する。この処理は、無人飛行体1の着陸後、再度、無人飛行体1が離陸することが考えられるため、その離陸に備えるための処理である。そして、ステップS3において、中央制御部115は、無人飛行体1が、再度、離陸したか否かを判断する。
以上の処理により、無人飛行体1が、無人飛行体1に搭載されたカメラ107で無人飛行体1の鉛直方向を撮影し、撮影した画像全体51に重畳した墜落可能性領域52内に人が検出されたか否かを判断し、人が検出されたと判断された場合に、墜落可能性領域52内に人が検出されないように無人飛行体1を移動させることができる。
(墜落回避飛行制御処理の詳細)
次に、図7のステップS6の墜落回避飛行制御処理である、墜落可能性領域52に存在する人を検出した場合における、墜落回避のための無人飛行体1の飛行制御処理について、詳細に説明する。
図8は、図7のステップS6の墜落回避飛行制御処理を説明するためのフローチャートである。図9は、無人飛行体の鉛直方向を撮影した画像を用いて、墜落回避飛行制御処理における無人飛行体が飛行する方向を決定する方法を説明するための図である。
図9において、画像全体51の中心が、無人飛行体1から延びる鉛直線と地表面とが交わる直下点53を表しており、直下点53を中心とした円内の領域が、墜落可能性領域52を表している。また、画像全体51には、人410〜413の頭部が存在している。図9では、墜落可能性領域52に人413が検出された状態を表している。
以下に図8のフローチャートについて、図9を用いて説明する。
本実施の形態1において、墜落可能性領域52内に人が検出されると、墜落回避のための無人飛行体1の墜落回避飛行制御処理が開始される。墜落回避飛行制御処理は、記憶部12における墜落回避プログラム123に基づき、制御部11の墜落回避飛行制御部114によって行われる。
まず、墜落回避飛行制御部114は、墜落可能性領域52内から人が検出されなくなるように、無人飛行体1を人が少ない方向に向かって飛行させるために、画像全体51を複数の領域に分割する(ステップS21)。本実施の形態1では、図9に示すように、無人飛行体1の直下点53を中心として、画像全体51を4つの分割領域510〜513に分割している。画像の分割方法は、例えば、方位センサ105を用いて、画像に方位を重畳させ、方位に基づき画像全体を分割することが可能である。すなわち、墜落回避飛行制御部114は、無人飛行体1の直下点53を中心として放射状に4つの分割領域に分割してもよい。なお、本実施の形態1では、墜落回避飛行制御部114は、画像全体51を4分割しているが、検出された人413を含む第1の領域と、第1の領域以外の第2の領域とに分割する構成であれば、他の構成であってもよい。
次に、墜落回避飛行制御部114は、複数の分割領域510〜513のうち墜落可能性領域52内で検出された人413を含まない分割領域を、無人飛行体1が墜落回避のために移動する方向の候補である回避候補エリアとして抽出する(ステップS22)。図9では、分割領域510,511,512が回避候補エリアとして抽出される。
次に、画像処理部112は、ステップS22の処理で抽出した回避候補エリア510,511,512のそれぞれに存在する人を検出する(ステップS23)。この検出処理は、墜落回避飛行制御部114が、画像処理部112に対して、処理を依頼することにより行われる。この画像認識により人を検出する処理は、墜落可能性領域内に存在する人を検出する図7のステップS5の処理と同様の処理である。
次に、墜落回避飛行制御部114は、ステップS23の処理における回避候補エリア内に存在する人の検出結果を基に、各回避候補エリアに存在する人の数を算出し、回避候補エリア内に存在する人の数が最も少ない回避候補エリアを無人飛行体1が墜落回避のために移動する方向の回避エリアに決定する(ステップS24)。図9の場合、回避候補エリア510,511,512で検出される人の数は、それぞれ、1人、0人、1人であるので、墜落回避飛行制御部114は、存在する人の数が最も少ない回避候補エリア511を回避エリアに決定する。
ステップS24の処理で回避エリアが決定されるので、決定された回避エリアに向けて無人飛行体1を移動させればよいが、無人飛行体1が操縦器2により操縦されている可能性がある。そのため、墜落回避飛行制御部114は、無人飛行体1を決定された回避エリアに移動させる前に、操縦器2による操縦指示を一時的に無効にする(ステップS25)。具体的には、墜落回避飛行制御部114は、基本飛行制御部110に対して、操縦器2から受信した操縦指示を行わないようにさせることで、操縦器2からの操縦指示を無効にさせる。ここで、操縦器2からの操縦指示を無効にする場合は、操縦者3に通知することが望ましい。操縦者3への通知がなかった場合は、操縦者3は、突然、無人飛行体1の操縦が効かなくなり、無人飛行体1が故障したと誤って判断してしまう可能性がある。そのため、操縦器2から送信した無人飛行体1の操縦指示を無効にする場合は、操縦者3に通知することが望ましい。
ステップS25の処理で操縦器2からの操縦指示を無効にすると、墜落回避飛行制御部114は、ステップS24の処理で決定した回避エリア511の方向に向かって移動するように無人飛行体1の飛行を制御する(ステップS26)。
なお、墜落回避飛行制御部114は、少なくとも、墜落可能性領域52の円の半径から、無人飛行体1の直下点53から検出された人413の位置までの距離を減算した距離だけ無人飛行体1を飛行させる必要がある。飛行距離は、事前に記憶されていてもよいし、移動する度に算出されてもよい。無人飛行体1の直下点53から検出された人413の位置までの距離は、墜落可能性領域52の半径が既知であるため、無人飛行体1の直下点53から検出された人413の位置までの相対位置により算出可能である。例えば、無人飛行体1の直下点53を中心とする墜落可能性領域52の半径が6.0mであり、墜落可能性領域52内で検出された人413の位置が、墜落可能性領域52の半径に対して無人飛行体1の直下点53から3分の2離れた位置である場合、無人飛行体1の直下点53から検出された人413の位置までの距離は、4.0mとなる。
事前に記憶されている飛行距離が用いられる場合、状況によっては、墜落回避のための飛行制御を行ったとしても、飛行距離が不十分であるために墜落可能性領域52に人が検出されないようにできないおそれがある。この場合は、再度、墜落回避のための飛行制御を行うことにより、墜落可能性領域52に人が検出されないようにすることができる。
ステップS26の処理で墜落回避のための飛行制御により墜落可能性領域52に人が存在しなくなると、墜落回避飛行制御部114は、ステップS25の処理で一時的に無効にしていた操縦器2からの操縦指示を有効にし(ステップS27)、処理を終了する。
以上の処理により、故障等の不測の事態により無人飛行体1が突然墜落したとしても、人の上に墜落することを回避することが可能である。
なお、本実施の形態1では、図8のステップS24の処理において、回避候補エリア内に存在する人の数が最も少ない回避候補エリアは1つであったが、実際には回避候補エリア内に存在する人の数が最も少ない回避候補エリアが複数存在する場合も考えられる。その場合は、墜落回避飛行制御部114は、存在する人の数が最も少ない複数の回避候補エリアの中から1つを選択する必要がある。存在する人の数が最も少ない複数の回避候補エリアの中から1つを選択する方法について、以下に説明する。
図10は、存在する人の数が最も少ない複数の回避候補エリアの中から1つを選択する第1の選択処理を説明するための図であり、図11は、存在する人の数が最も少ない複数の回避候補エリアの中から1つを選択する第2の選択処理を説明するための図であり、図12は、存在する人の数が最も少ない複数の回避候補エリアの中から1つを選択する第3の選択処理を説明するための図である。
図10〜図12では、無人飛行体1の鉛直方向を撮影した画像において、検出された人の数が最も少ない回避候補エリアとして、複数の回避候補エリア510,511,512が抽出された場合に、複数の回避候補エリア510,511,512の中から1つを選択する選択処理の例をそれぞれ示している。図10〜図12において、図9と同一の符号は同じ構成要素を示す。
図10〜図12は、それぞれ、無人飛行体1の鉛直方向を撮影した画像において、墜落可能性領域52内に人413が検出された後、複数の回避候補エリア510,511,512で検出された人の数がいずれも0人であった場合に、無人飛行体1をどの方向に移動させるのかを示している。
図10に示す第1の選択処理では、墜落回避飛行制御部114は、検出された人の数が最も少ない複数の回避候補エリア510,511,512の中から、風向き7の方向に存在する回避候補エリア512を回避エリアに決定し、無人飛行体1を回避エリア512の方向61に向かって移動させる。この構成により、無人飛行体1は風向きと同じ方向に進むように制御されるため、墜落回避による飛行にかかる飛行負荷を少なくすることができる。
図11に示す第2の選択処理では、墜落回避飛行制御部114は、検出された人の数が最も少ない複数の回避候補エリア510,511,512の中から、無人飛行体1の直下点53を基点に、墜落可能性領域52内で検出された人413の位置に対向する位置に存在する回避候補エリア511を回避エリアに決定し、無人飛行体1を回避エリア511の方向62に向かって移動させる。すなわち、墜落回避飛行制御部114は、墜落可能性領域52内で検出された人413の位置から無人飛行体1の直下点53に向かう方向62に向かって無人飛行体1を移動させる。この構成により、最も短い時間で、墜落可能性領域52内から人が検出されないようにすることができる。
図12に示す第3の選択処理では、墜落回避飛行制御部114は、検出された人の数が最も少ない複数の回避候補エリア510,511,512の中から、無人飛行体1が向かう予定の目的地8に最も近い回避候補エリア510を回避エリアに決定し、無人飛行体1を回避エリア510の方向63に向かって移動させる。この構成により、無人飛行体1は目的地がある方向と同じ方向に進むように制御されるため、目的地までの飛行距離を短縮することができる。
図10〜図12のそれぞれは、検出された人の数が最も少ない複数の回避候補エリアが存在する場合に、複数の回避候補エリアの中から1つの回避候補エリアを選択する方法として説明したが、墜落可能性領域52に人が検出された場合における、無人飛行体1が人の上に墜落するのを回避するための無人飛行体1の移動制御処理とすることも可能である。
なお、本実施の形態1では、墜落可能性領域52に存在する人が検出された場合に、無人飛行体1が人の上に墜落するのを回避するための無人飛行体1の飛行制御処理を行っているが、墜落可能性領域52で検出された人が操縦者3である場合は、無人飛行体1が人の上に墜落するのを回避するための飛行制御処理を行わなくてもよい。操縦者3は、無人飛行体1を目視しながら操縦している。そのため、たとえ、無人飛行体1が墜落したとしても、操縦者3が回避することにより、無人飛行体1が操縦者3の上に墜落するのを回避することができる。また、操縦者3が、無人飛行体1を目視しながら操縦しているにもかかわらず、墜落可能性領域52に存在する操縦者3を検出して無人飛行体1が自動的に移動されると、操縦の妨げになる。
そのため、中央制御部115は、画像処理部112によって人が検出された場合、墜落可能性領域内に検出された人が予め設定された条件に合致するか否かを判断してもよい。ここで、人は、回避対象物の一例であり、予め設定された条件は、例えば操縦者であることである。墜落回避飛行制御部114は、中央制御部115によって墜落可能性領域内に検出された人が予め設定された条件に合致すると判断された場合、無人飛行体の飛行を制御しない。すなわち、墜落回避飛行制御部114は、中央制御部115によって墜落可能性領域内に検出された人が操縦者であると判断された場合、無人飛行体の飛行を制御しない。
別の構成として、墜落可能性領域52で検出された人が操縦者3である場合は、無人飛行体1が、操縦者3の操縦器2に、墜落可能性領域52で操縦者3を検出した旨を通知してもよいし、通知後、さらに、墜落回避のための飛行制御処理を行うか否かを操縦者3に問い合わせてもよいし、操縦者3が、墜落可能性領域52で検出された人が操縦者3であった場合に墜落回避のための飛行制御処理を行うか否かを事前に選択してもよい。
なお、例えば、操縦器2は、操縦者3の位置情報を無人飛行体1に通知し、無人飛行体1は、墜落可能性領域52で検出された人の位置が操縦器2から通知された操縦者3の位置と一致するか否かを判断することにより、墜落可能性領域52で検出された人が操縦者3であるか否かを判断してもよい。別の構成として、無人飛行体1は、操縦者3の顔画像を予め記憶しておき、墜落可能性領域52で検出された人の顔画像と、予め記憶している操縦者3の顔画像とを照合することにより、墜落可能性領域52で検出された人が操縦者3であるか否かを判断してもよい。
以上、墜落可能性領域52で検出された人が操縦者3である場合の処理について述べたが、墜落可能性領域52で検出された人が操縦者3だけでなく、無人飛行体1の飛行を目視している関係者、例えば、ヴィジュアル・オブザーバと呼ばれる、操縦者3の視認を補助する役割の人についても、墜落可能性領域52で検出された人が操縦者3である場合の処理と同様の処理を行ってもよい。
なお、本実施の形態1では、墜落可能性領域52に存在する人が検出された場合に、墜落回避のために無人飛行体1の飛行を制御しているが、墜落可能性領域52に存在する人が検出された場合に、操縦者3に通知し、操縦者3の操縦により、墜落可能性領域52から人が検出されないように無人飛行体1を飛行させてもよい。本構成により、操縦者3の意図により、墜落回避のための飛行制御を行うことが可能となる。
また、撮影された画像に、墜落可能性領域52の外縁部分に隣接する注意喚起領域をさらに重畳し、注意喚起領域に存在する人が検出された場合に、操縦者3に通知し、操縦者3の操縦により、注意喚起領域から人が検出されないように無人飛行体1を飛行させてもよい。この構成により、注意喚起領域内に存在する人が検出された場合は、操縦者3の意図により、墜落回避のための飛行制御を行うことができる。また、墜落可能性領域52に存在する人が検出された場合は、無人飛行体1が自律的に墜落回避のための飛行制御を行うことができる。
また、別の構成として、墜落可能性領域52に存在する人が検出された場合に、墜落回避のための無人飛行体1の飛行を制御するか否かを操縦者3に問い合わせ、問い合わせの応答結果に基づいて、墜落回避のための無人飛行体1の飛行を制御するか否かを決定してもよい。すなわち、通信部109は、無人飛行体1を操縦する操縦者3が携帯する端末装置(操縦器2)と通信し、画像処理部112によって人が検出された場合、墜落回避飛行制御部114によって無人飛行体1の飛行を制御するか否かを端末装置に問い合わせてもよい。そして、墜落回避飛行制御部114は、墜落回避飛行制御部114によって無人飛行体1の飛行を制御するか否かを示す回答結果を端末装置から受信した場合、回答結果に応じて無人飛行体1の飛行を制御するか否かを決定してもよい。なお、人は、回避対象物の一例である。本構成により、操縦者3の意図により、墜落回避のための飛行制御を行うことが可能となる。
(墜落可能性領域変更処理の詳細)
次に、図7のステップS7の墜落可能性領域変更処理である、無人飛行体1の墜落可能性領域52を変更する変更処理について、詳細に説明する。
図13は、図7のステップS7の無人飛行体の墜落可能性領域変更処理を説明するためのフローチャートである。
無人飛行体1の墜落可能性領域変更処理は、墜落可能性領域決定プログラム122に基づき、墜落可能性領域決定部111により行われる。
まず、墜落可能性領域決定部111は、高度センサ100を用いて、無人飛行体1の高度を測定する(ステップS41)。
次に、墜落可能性領域決定部111は、風速センサ101を用いて、無人飛行体1の周辺の風速を測定する(ステップS42)。
次に、墜落可能性領域決定部111は、ステップS41の処理で測定した高度、及び、ステップS42の処理で測定した風速に対応する墜落可能性領域を記憶部12の墜落可能性領域テーブル124から抽出し、抽出した墜落可能性領域を現在の墜落可能性領域に決定する(ステップS43)。
次に、墜落可能性領域決定部111は、画像処理部112に依頼し、ステップS43の処理で決定した墜落可能性領域をカメラ107によって撮影された画像に重畳させる(ステップS44)。
以上の処理により、無人飛行体1の高度及び風速に基づき、墜落可能性領域を変更することができる。
もし、墜落可能性領域が固定であれば、状況によっては、固定した墜落可能性領域が十分な広さでなかったり、もしくは、固定した墜落可能性領域が必要以上の広さであったりする可能性がある。
例えば、墜落可能性領域が狭く設定されている場合、無人飛行体1が高度の高い場所から墜落すると、墜落中の風の影響により設定されている墜落可能性領域を超えて無人飛行体1が墜落してしまうおそれがある。この場合、墜落可能性領域外にいる人の上に無人飛行体1が落下してしまう可能性がある。そのため、無人飛行体1が高度の高い場所を飛行する場合に、墜落可能性領域が狭く設定されているのは、無人飛行体1を安全に飛行させる上で好ましくない。
一方、墜落可能性領域が広く設定されている場合、無人飛行体1が高度の低い場所を飛行しているにもかからず、墜落可能性領域が広く設定されているため無人飛行体1が墜落する可能性が0%に近い位置に存在する人まで検出してしまい、必要以上に墜落回避するための処理を行うおそれがある。このように、無人飛行体1が高度の低い場所を飛行する場合、無人飛行体1が墜落する可能性が0%に近い位置に存在する人を検出して、必要以上に墜落回避するための処理を行ってしまい、目的どおりに無人飛行体1を飛行させることができない可能性がある。そのため、無人飛行体1が高度の低い場所を飛行する場合に、墜落可能性領域が広く設定されているのは、無人飛行体1を効率よく飛行させる上で好ましくない。
これに対し、本開示の無人飛行体であれば、高度及び風速に基づき墜落可能性領域が動的に変更されるので、無人飛行体1が人の上に墜落するのを防止することができ、かつ、無人飛行体1を効率よく飛行させることができる。
なお、本実施の形態1では、高度及び風速の両方を用いて墜落可能性領域を変更しているが、構成を簡単化するために、高度及び風速のいずれか一方を用いて墜落可能性領域を変更してもよい。すなわち、墜落可能性領域決定部111は、高度センサ100によって測定された高度に基づき、墜落可能性領域を変更してもよい。この場合、墜落可能性領域テーブル124は、高度のみに対応付けた墜落可能性領域を格納する。また、墜落可能性領域決定部111は、風速センサ101によって測定された風速に基づき、墜落可能性領域を変更してもよい。この場合、墜落可能性領域テーブル124は、風速のみに対応付けた墜落可能性領域を格納する。ただし、より正確に墜落可能性領域を変更する方法としては、高度及び風速の両方を用いて墜落可能性領域を変更することが望ましい。
また、墜落可能性領域決定部111は、風向センサ102によって測定された風向及び風速センサ101によって測定された風速に基づき、墜落可能性領域を変更してもよい。この場合、墜落可能性領域テーブル124は、風向及び風速に対応付けた墜落可能性領域を格納する。また、墜落可能性領域決定部111は、速度センサ103によって測定された飛行速度及び方位センサ105によって測定された方位に基づき、墜落可能性領域を変更してもよい。この場合、墜落可能性領域テーブル124は、飛行速度及び方位に対応付けた墜落可能性領域を格納する。
なお、本実施の形態1における無人飛行体1は、墜落可能性領域テーブル124を予め記憶部12に記憶しているが、所定のプログラムを予め記憶しておき、測定された高度及び風速の値に対して所定のプログラムを適用して、墜落可能性領域を算出してもよい。
なお、本実施の形態1では、操縦者3が操縦器2により、リアルタイムで無人飛行体1を操縦しているが、無人飛行体1に事前に飛行ルート情報を設定しておき、無人飛行体1が飛行ルート情報に従って、自律飛行する場合であっても本実施の形態を適用可能である。
なお、本実施の形態1では、無人飛行体1が画像処理又は墜落可能性領域変更処理を行っているが、無人飛行体1が、撮影した画像を操縦器2又はサーバ等の外部装置(図示しない)に送信して、操縦器2又は外部装置において画像処理又は墜落可能性領域変更処理を行ってもよい。
無人飛行体1に高度な処理を実行させることはコストアップにつながるおそれがある。また、無人飛行体1は、風又は障害物の影響により、墜落する可能性があるため、墜落により故障するおそれがある。そのため、高度な処理能力が求められる処理は、操縦器2又はサーバ等の外部装置で行ってもよい。
ただし、操縦器2又はサーバ等の外部装置との通信が断絶した場合に、墜落可能性領域内に存在する人を検出することができず、墜落回避のための飛行制御ができなくなるおそれがあるため、無人飛行体1の内部で処理を実行させる方が好ましい。
また、本実施の形態では、回避対象物は、例えば人であるが、本開示は特にこれに限定されず、回避対象物は、動物又は自動車などであってもよい。
(効果)
以上、本開示の実施の形態1における無人飛行体によれば、無人飛行体1が、当該無人飛行体1の鉛直方向を撮影した画像に、無人飛行体1が墜落する可能性のある墜落可能性領域52を重畳し、当該墜落可能性領域52内に存在する人が検出されると、当該墜落可能性領域52から人が検出されなくなるように無人飛行体1を移動させる。この構成により、無人飛行体1の飛行を禁止する飛行禁止エリアを事前に設定することが困難な人の頭上に、無人飛行体1が故障等の不測の事態により墜落することを回避することが可能となる。
また、無人飛行体1によって測定された高度及び風速に基づき、墜落可能性領域52が動的に変更されるので、無人飛行体1の状況に応じて墜落可能性領域52の広さを変更することが可能となり、安全、かつ、効率よく無人飛行体1を飛行させることが可能となる。
(実施の形態2)
本実施の形態2では、墜落可能性領域に存在する人が検出された際に墜落回避する方法として、高度を下げるように無人飛行体の飛行を制御して墜落可能性領域を狭めることにより、墜落可能性領域から人が検出されなくなるように無人飛行体の飛行を制御する例について説明する。
図14は、本開示の実施の形態2における無人飛行体の機能構成を示すブロック図である。図3と同様の要素には、同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
図14に示す無人飛行体1Bは、図3に示す無人飛行体1に対して、墜落回避飛行制御部114B及び墜落回避プログラム123Bの構成が異なる。
墜落回避飛行制御部114Bは、画像処理部112によって人が検出された場合、無人飛行体1Bの高度を下げるように無人飛行体1Bの飛行を制御する。なお、人は、回避対象物の一例である。墜落回避飛行制御部114Bは、墜落回避プログラム123Bに従って、処理を行う。
墜落可能性領域決定部111は、無人飛行体1Bの高度が下がるに従って、墜落可能性領域を狭くする。
図15は、本実施の形態2に係る無人飛行体の処理を説明するためのフローチャートである。本実施の形態2に係る無人飛行体1Bは、撮影画像に重畳した墜落可能性領域内に存在する人を検出し、墜落可能性領域内に存在する人が検出された場合に、墜落可能性領域から人が検出されなくなるように無人飛行体1Bの飛行を制御する。なお、図15に示すステップS51〜ステップS55及びステップS57〜ステップS58の処理は、図7に示すステップS1〜ステップS5及びステップS7〜ステップS8の処理と同じであるので、詳細な説明は省略する。
図15に示すフローチャートでは、ステップS56の墜落回避飛行制御処理が図7に示すステップS6の墜落回避飛行制御処理と異なる。
図16は、図15のステップS56の墜落回避飛行制御処理を説明するためのフローチャートである。図17は、墜落可能性領域に存在する人が検出された時点において、無人飛行体の鉛直方向を撮影した画像及び墜落可能性領域を示す図であり、図18は、無人飛行体が墜落回避のための飛行制御を行った時点において、無人飛行体の鉛直方向を撮影した画像及び墜落可能性領域を示す図である。
以下に図16のフローチャートについて、図17及び図18を用いて説明する。
実施の形態2において、墜落可能性領域52B1内に人が検出されると、墜落回避のための無人飛行体1Bの墜落回避飛行制御処理が開始される。墜落回避飛行制御処理は、記憶部12における墜落回避プログラム123Bに基づき、制御部11の墜落回避飛行制御部114Bによって行われる。
まず、墜落回避飛行制御部114Bは、無人飛行体1Bの直下点53Bと、画像処理部112により墜落可能性領域52B1内に検出された人411Bの位置との間の距離を算出する(ステップS71)。無人飛行体1Bの直下点53Bから検出された人411Bの位置までの距離は、墜落可能性領域52B1の半径が既知であるため、無人飛行体1Bの直下点53Bから検出された人411Bの位置までの相対位置により算出可能である。
本実施の形態2では、図17に示すように、例えば、無人飛行体1Bが高度20mの位置を飛行し、無人飛行体1Bの周辺の風速が5.0m/sであり、墜落可能性領域52B1内に検出された人411Bの位置は、墜落可能性領域52B1の半径に対して無人飛行体1Bの直下点53Bから4分の3離れた位置にある。この場合、墜落可能性領域52B1は、図5に示す墜落可能性領域テーブル124より、無人飛行体1Bの直下点53Bを中心とする半径6.0mの円となる。したがって、墜落可能性領域52B1内で検出された人411Bの位置は、無人飛行体1Bの直下点53Bから半径の4分の3離れた位置であるので、無人飛行体1Bの直下点53Bから検出された人411Bの位置までの距離は、4.5mとなる。
次に、墜落回避飛行制御部114Bは、算出した無人飛行体1Bの直下点53Bから検出された人411Bの位置までの距離より短い半径を有する墜落可能性領域を墜落可能性領域テーブル124から抽出する(ステップS72)。本実施の形態2では、無人飛行体1Bの直下点53Bから検出された人411Bの位置までの距離は、4.5mであるので、墜落回避飛行制御部114Bは、半径が4.5mより短くなる墜落可能性領域を墜落可能性領域テーブル124から抽出する。本実施の形態2では、風速は5.0m/sであるので、高度5〜15mに対応する半径4.0mの円が条件に合致する墜落可能性領域となる。
次に、墜落回避飛行制御部114Bは、抽出した墜落可能性領域に対応する高度を決定する(ステップS73)。本実施の形態2では、半径が4.0mである墜落可能性領域が抽出されたので、その墜落可能性領域に対応する5〜15mの範囲内の高度を無人飛行体1Bの飛行高度に決定する。本実施の形態2では、墜落回避飛行制御部114Bは、5〜15mの範囲の中間である高度10mを無人飛行体1Bの飛行高度に決定する。
ステップS73の処理で飛行高度が決定されるので、決定された飛行高度になるように無人飛行体1Bを移動させればよいが、無人飛行体1Bが操縦器2により操縦されている可能性がある。そのため、墜落回避飛行制御部114Bは、無人飛行体1Bを決定した飛行高度に移動させる前に、操縦器2による操縦指示を一時的に無効にする(ステップS74)。なお、操縦指示を無効にする具体的な処理の説明については、図8のステップS25で説明しているため、省略する。
ステップS74の処理で操縦器2からの操縦指示を一時的に無効にした後、墜落回避飛行制御部114Bは、ステップS73の処理で決定した飛行高度に向かって下降するように無人飛行体1の飛行を制御する(ステップS75)。図18は、ステップS73の処理で決定した飛行高度に向かって無人飛行体1Bを飛行させた後に撮影され画像を示しており、無人飛行体1Bの高度を下げたことにより墜落可能性領域が狭くなり、墜落可能性領域52B2内に人が存在しなくなっている。
ステップS75の処理の後、墜落回避飛行制御部114Bは、無効にしていた操縦器2からの操縦指示を有効にし(ステップS76)、処理を終了する。
以上の処理により、故障等の不測の事態により無人飛行体1Bが突然墜落したとしても、人の上に墜落することを回避することが可能である。
なお、ステップS72の処理において、無人飛行体1Bの直下点53Bから検出された人411Bの位置までの距離より短い半径を有する複数の墜落可能性領域が存在する場合は、墜落回避飛行制御部114Bは、複数の墜落可能性領域の中から1つを選択する。選択方法としては、例えば、高度が最も高くなる墜落可能性領域を選択する。この構成によれば、墜落回避のための飛行距離を最も短くすることができる。
別の構成として、墜落回避飛行制御部114Bは、撮影画像全体に対して人の存在を検出して、検出した人の数により複数の墜落可能性領域の中から1つを選択してもよい。この構成にすれば、検出した人の数に応じて、墜落可能性領域を調整することができる。
この構成において、例えば、墜落回避飛行制御部114Bは、画像全体において検出された人の数が所定の数より多い場合は、複数の墜落可能性領域の中から高度が最も低い墜落可能性領域を選択し、画像全体において検出された人の数が所定の数より少ない場合は、複数の墜落可能性領域の中から高度が最も高い墜落可能性領域を選択する。この構成によれば、画像全体に存在する人が所定の数より多いときは、低い高度で無人飛行体1Bを飛行させることで、人の上に無人飛行体1Bが墜落するのを防止することができる。また、画像全体に存在する人が所定の数より少ないときは、高い高度で無人飛行体1Bを飛行させることで、必要最小限の移動で人の上に無人飛行体1Bが墜落するのを防止することができるとともに、当初の無人飛行体1Bの高度に近い高度で無人飛行体1Bを飛行させることができる。
なお、本実施の形態2においては、墜落可能性領域内に人が検出された場合、無人飛行体1Bの高度を下げ、墜落可能性領域を狭める例を説明しているが、墜落可能性領域内に人が検出されていない場合であったとしても、墜落可能性領域外の所定の領域内に人が検出された場合は、無人飛行体1Bの高度を下げ、墜落可能性領域を狭める処理を事前に行うことが望ましい。
すなわち、画像処理部112は、画像の外縁部分と墜落可能性領域の外縁部分との間の領域内に存在する人を検出してもよい。ここで、人は、回避対象物の一例である。墜落回避飛行制御部114Bは、画像処理部112によって検出された人の数が所定数より多い場合、無人飛行体1Bの高度を下げるように無人飛行体1Bの飛行を制御する。墜落可能性領域決定部111は、無人飛行体1Bの高度が下がるに従って、墜落可能性領域を狭くする。無人飛行体1Bの高度が高くなるにつれて、無人飛行体1Bが鳥等に衝突したり、突然の突風などにより墜落可能性領域を超えて墜落したりする可能性が高くなる。そのため、本構成のように、墜落可能性領域内に人が検出されていない場合であったとしても、画像の外縁部分と墜落可能性領域の外縁部分との間の領域内に存在する人が検出された場合は、事前に無人飛行体1Bの高度を下げ、墜落可能性領域を狭めることで、人の上に無人飛行体1Bが墜落するのを防止することができる。
なお、図5の墜落可能性領域テーブル124において、高度が0〜5mの範囲では、画像全体が墜落可能性領域となっている。そのため、本実施の形態2のステップS72の処理において、算出した無人飛行体1Bの直下点53Bから検出された人411Bの位置までの距離より短い半径を有する墜落可能性領域を抽出する際、墜落回避飛行制御部114Bは、高度が0〜5mの範囲に対応する墜落可能性領域を抽出しないようにしている。しかしながら、高度が0〜5mである場合は、墜落可能性領域が最も狭いため、0〜5mの範囲の高度に対応する墜落可能性領域は抽出されることが望ましい。
(実施の形態3)
本実施の形態3では、墜落可能性領域を変更する処理において、無人飛行体の移動方向及び移動速度を考慮して墜落可能性領域を変更することにより、より適切に墜落可能性領域を決定する例について説明する。
図19は、本開示の実施の形態3における無人飛行体の機能構成を示すブロック図である。図3と同様の要素には、同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
図19に示す無人飛行体1Cは、図3に示す無人飛行体1に対して、墜落可能性領域決定部111C及び墜落可能性領域決定プログラム122Cの構成が異なる。
墜落可能性領域決定部111Cは、墜落可能性領域決定プログラム122Cに従って、処理を行う。
図20は、本実施の形態3に係る無人飛行体の処理を説明するためのフローチャートである。本実施の形態3に係る無人飛行体1Cは、撮影画像に重畳した墜落可能性領域内に存在する人を検出し、墜落可能性領域内に存在する人が検出された場合に、墜落可能性領域から人が検出されなくなるように無人飛行体1Cの飛行を制御する。なお、図20に示すステップS81〜ステップS86及びステップS88の処理は、図7に示すステップS1〜ステップS6及びステップS8の処理と同じであるので、詳細な説明は省略する。
図20に示すフローチャートでは、ステップS87の墜落可能性領域変更処理が図7に示すステップS7の墜落可能性領域変更処理と異なる。
図21は、図20のステップS87の墜落可能性領域変更処理を説明するためのフローチャートである。以下に図21のフローチャートについて説明する。
まず、墜落可能性領域決定部111Cは、速度センサ103を用いて、無人飛行体1Cの速度を測定する(ステップS101)。
次に、墜落可能性領域決定部111Cは、カメラ107によって撮影された画像上における無人飛行体1Cの移動方向を決定する(ステップS102)。具体的には、墜落可能性領域決定部111Cは、位置測定部106を用いて、無人飛行体1Cの位置情報を複数回測定し、測定した複数の位置情報の変化に基づき、無人飛行体1Cの飛行方向を決定する。次に、墜落可能性領域決定部111Cは、方位センサ105を用いて、方位を測定し、カメラ107によって撮影された画像に、測定した方位を重畳する。そして、墜落可能性領域決定部111Cは、方位を重畳した画像に、決定した無人飛行体1Cの飛行方向を重畳することで、画像上における無人飛行体1Cの移動方向を決定する。
次に、墜落可能性領域決定部111Cは、高度センサ100を用いて、無人飛行体1Cの高度を測定する(ステップS103)。
次に、墜落可能性領域決定部111Cは、ステップS103の処理で測定した高度に基づいて、無人飛行体1Cが地上に落下した場合に要する落下時間を算出する(ステップS104)。なお、落下時間は、自由落下の法則に基づき、算出可能である。
次に、墜落可能性領域決定部111Cは、ステップS104の処理で算出した落下時間が経過する間に、無人飛行体1Cが進む距離(以後、落下時間進行距離と呼ぶ)を算出する(ステップS105)。なお、落下時間進行距離は、ステップS101の処理で測定した無人飛行体1Cの速度と、ステップS104の処理で算出した落下時間とを乗算することにより、算出可能である。
次に、墜落可能性領域決定部111Cは、無人飛行体1Cの直下点から、ステップS102の処理で決定した無人飛行体1Cの移動方向に、ステップS105の処理で算出した落下時間進行距離だけ離れた落下予測地点を決定する(ステップS106)。
次に、墜落可能性領域決定部111Cは、無人飛行体1Cの直下点を中心とした墜落可能性領域の中心点を無人飛行体1Cの直下点から落下予測地点に平行移動させた移動後墜落可能性領域を決定する(ステップS107)。
次に、墜落可能性領域決定部111Cは、画像処理部112に依頼して、ステップS107で決定した移動後墜落可能性領域を、カメラ107によって撮影された画像に重畳する。
図22は、本開示の実施の形態3における墜落可能性領域変更処理において移動後墜落可能性領域を重畳した撮影画像の一例を示す図である。
図22において、撮影画像51Cの中心が、無人飛行体1Cの直下点53Cを示している。墜落可能性領域決定部111Cは、無人飛行体1Cの直下点53Cから、無人飛行体1Cの移動方向55Cに、落下時間進行距離だけ離れた落下予測地点54Cを決定する。そして、墜落可能性領域決定部111Cは、無人飛行体1Cの直下点53Cを中心とした墜落可能性領域56Cの中心点を無人飛行体1Cの直下点53Cから落下予測地点54Cに平行移動させた移動後墜落可能性領域52Cを決定する。墜落可能性領域決定部111Cは、決定した移動後墜落可能性領域52Cを撮影画像51Cに重畳する。
以上の処理を行うことで、墜落可能性領域を変更する処理において、無人飛行体の移動方向及び移動速度を考慮して、墜落可能性領域を変更することが可能であり、より適切に墜落可能性領域を決定することができ、無人飛行体が人の上に墜落する可能性をより低くすることができる。
なお、ステップS107の処理において、無人飛行体1Cの直下点を中心とした墜落可能性領域を無人飛行体1Cの直下点から落下予測地点まで平行移動した領域を移動後墜落可能性領域として決定しているが、無人飛行体1Cの移動速度と移動方向とを考慮して、移動後墜落可能性領域を決定する構成であれば、他の構成であってもよい。
なお、本実施の形態3では、無人飛行体1Cの移動速度と移動方向とにより移動後墜落可能性領域を決定する構成について説明しているが、無人飛行体1Cが測定する高度又は風速を用いずに、無人飛行体1Cの移動速度及び移動方向のみを用いて移動後墜落可能性領域を決定してもよい。例えば、無人飛行体1Cが所定の高度で飛行する場合又は無人飛行体1Cが風速の影響を受けにくい環境を飛行する場合は、必ずしも、無人飛行体1Cの高度又は風速に基づき、移動後墜落可能性領域を変更する必要はない。この場合は、無人飛行体1Cの移動速度及び移動方向のみを考慮して、移動後墜落可能性領域を決定すればよい。
なお、本実施の形態3では、無人飛行体1Cの移動速度及び移動方向により移動後墜落可能性領域を決定する構成について説明しているが、同様に、無人飛行体1Cの周辺の風速と風向とにより、移動後墜落可能性領域を決定することもできる。この構成の場合、本実施の形態3における無人飛行体1Cの移動速度に相当するのが、無人飛行体1Cの周辺の風速であり、本実施の形態3における無人飛行体1Cの移動方向に相当するのが、無人飛行体1Cの周辺の風の向きである。この構成により、無人飛行体1Cの周辺の風速と風向とを考慮して移動後墜落可能性領域を決定することが可能であり、より適切に移動後墜落可能性領域を決定することができ、無人飛行体1Cが人の上に墜落する可能性をより低くすることができる。
(他の実施の形態)
以上のように、本開示の技術の例示として、実施の形態1〜3を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、実施の形態1〜3で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
以上、本開示の一つ又は複数の態様に係る無人飛行体及び無人飛行体の飛行制御方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されてもよく、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
本開示の実施の形態1〜3に係る無人飛行体の機能の一部又は全ては典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
また、本開示の実施の形態1〜3に係る無人飛行体の機能の一部又は全ては、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現されてもよい。
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。
また、上記図7、図8、図13、図15、図16、図20及び図21に示すフローチャートにおいて、各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、同様の効果が得られる範囲で上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
さらに、本開示の主旨を逸脱しない限り、本開示の各実施の形態に対して当業者が思いつく範囲内の変更を施した各種変形例も本開示に含まれる。