JP6688655B2 - 車両状態監視装置 - Google Patents
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Description
このような場合に乗員を支援するため、例えば自車両の周囲に存在する走行中の他車両、停止車両、歩行者、サイクリスト、建造物、地形などの各種リスク対象物の自車両に対する相対位置、相対速度等を各種センサ等によって逐次認識するとともに、車両の走行中に走行状況、周辺状況により逐次変動するリスク対象物のリスクポテンシャルの高低を、ドライバ等のユーザに伝達する技術が要望されている。
特許文献2には、車両走行のリスクを検出したときに、車両走行を制御するとともに、車両走行のリスクとその制御状態の少なくとも一方を視覚情報として表示すること、及び、運転者の主体度に応じて視覚情報の表示態様を異ならせることが記載されている。
特許文献3には、車両後方を撮像するとともに、移動物を検知し、その移動方向や速度に応じて、一定時間前に事前警告を行う運転支援装置において、移動物に枠画像を描画して移動方向に拡大するとともに、移動物が複数のカメラの撮像範囲の重畳領域内に入ったときに、移動物の侵入が予測される撮像画像に警告画像を表示することが記載されている。
特許文献4には、車載カメラによる撮影画像に案内画像を重畳させる運転支援装置において、車両の実際の舵角に応じた予想進路を示すガイド線である予想進路線のグラフィック画像を表示することが記載されている。
しかし、上述した従来技術を含む既存の技術においては、自動運転中における今後の車両挙動や予想軌跡、これらの根拠等をユーザが把握することができず、ユーザが自動運転に対して抱く不安感、不信感を払拭することは困難である。
また、従来技術においては、緊急時に自動運転から手動運転への引継ぎを行う際、自動運転制御システムが今後実行しようと予定していた運転動作等について、ユーザが認識することができず、ユーザは今後自らが行うべき運転操作について何ら事前情報がない状況から一切判断しなければならず、ユーザの負担が大きくなり、円滑な運転操作に支障が生じることも懸念される。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、自動運転時に今後とり得る車両軌跡及び車両挙動をユーザが把握可能とした車両状態監視装置を提供することである。
請求項1に係る発明は、自動運転制御を行う車両に設けられ車両の状態に関する情報をユーザに提示する車両状態監視装置であって、自車両周囲の環境を認識する環境認識手段と、前記環境認識手段の認識結果に基づいて所定以上のリスクポテンシャルを有するリスク対象物を抽出する周辺リスク認識手段と、前記自動運転制御における想定走行軌跡を示す画像を、前記周辺リスク認識手段が抽出した前記リスク対象物に関する情報及び前記リスクポテンシャルに関する情報の少なくとも一方とともに表示する表示手段とを備え、前記表示手段は、自動運転制御によって前記想定走行軌跡に沿って走行する場合に予定される運転動作を示す表示を、前記想定走行軌跡の表示とは別に、前記想定走行軌跡を示す画像において前記運転動作の実行が予定される箇所又はその近傍に、操舵動作を示すマークとして表示することを特徴とする車両状態監視装置である。
これによれば、自車両周囲のリスク対象物及び想定走行軌跡とともに、想定走行軌跡に沿って走行する場合に予定される運転動作を表示することによって、自動運転制御におい
て予定されている操舵、加減速等の運転動作が実行されるタイミングなどを、乗員に容易に理解させることができ、自車両が今後とり得る車両軌跡及び車両挙動を適切に把握させることができる。
このため、ユーザは、自動運転に対する不安感、不信感が軽減されるとともに、自動運転制御の妥当性及び手動運転への切替え要否を適切に判断することができる。
また、自動運転において予定されていた動作に基づいて、手動運転に切り替えた後の運転操作を円滑に行うことができる。
また、自動運転制御による運転動作が行われる位置を直感的に把握することができる。
これによれば、リスク対象物の周囲におけるリスクポテンシャル分布と、自車両の想定走行軌跡及び予定される運転動作との関係を、直感的かつ容易に理解することができる。
これによれば、加速又は減速が行われる位置及びタイミングに関する情報を提供することによって、乗員は自車両に予定される挙動を容易に予測することができる。
これによれば、自動運転制御の終了を事前に予告することによって、手動運転の運転者に運転開始準備に必要な時間を与えることができ、自動運転から手動運転への切替えを円滑に行うことができる。
図1は、本発明を適用した車両状態監視装置の実施例1が設けられる車両の構成を模式的に示すブロック図である。
実施例1の車両状態監視装置は、例えば、自動運転機能を有する乗用車等の自動車である車両1に設けられ、ユーザ(例えば手動運転時のドライバ)等のユーザ等に対して、自車両周辺のリスクに関する情報等を画像表示するものである。
ユーザは、自動運転時においては車両状態監視装置が提示する情報に基づいて、周辺リスクを監視するとともに自動運転制御における目標走行軌跡設定の妥当性を検証することができる。
上述した各ユニットは、例えば、CPU等の情報処理手段、RAMやROM等の記憶手段、入出力インターフェイス及びこれらを接続するバス等を有するユニットとして構成される。これらの各ユニットは、例えばCAN通信システム等の車載LANシステムを介して相互に通信が可能となっている。
エンジンとして、例えば、4ストロークガソリンエンジンが用いられる。
エンジン制御ユニット(ECU)10は、エンジンのスロットルバルブ開度、燃料噴射量及び噴射時期、点火時期等を制御することによって、エンジンの出力トルクを制御することが可能である。
車両1がドライバの運転操作に応じて運転される状態においては、エンジン制御ユニット10は、アクセルペダルの操作量等に基いて設定されるドライバ要求トルクに、エンジンの実際のトルクが近づくようエンジンの出力を制御する。
また、車両1が自動運転を行う場合には、エンジン制御ユニット10は、自動運転制御ユニット50からの指令に応じてエンジンの出力を制御する。
車両1が自動運転を行う場合には、トランスミッション制御ユニット20は、自動運転制御ユニット50からの指令に応じて、前後進等のレンジ切替や変速比の設定を行う。
変速機として、例えば、チェーン式、ベルト式、トロイダル式等のCVTや、複数のプラネタリギヤセットを有するステップAT、DCT、AMT等の各種自動変速機を用いることができる。
変速機は、バリエータ等の変速機構部のほか、例えばトルクコンバータ、乾式クラッチ、湿式クラッチ等の発進デバイスや、前進走行レンジと後退走行レンジとを切替える前後進切替機構等を有して構成されている。
前後進切替アクチュエータ21は、前後進切替機構に油圧を供給する油路を切り替える前後進切替バルブを駆動し、車両の前後進を切替えるものである。
前後進切替アクチュエータ21は、例えば、ソレノイド等の電動アクチュエータである。
レンジ検出センサ22は、変速機において現在選択されているレンジが前進用のものであるか、後退用のものであるかを判別するセンサ(スイッチ)である。
挙動制御ユニット30には、ハイドロリックコントロールユニット(HCU)31、車速センサ32等が接続されている。
車両1が自動運転を行う場合には、HCU31は、自動運転制御ユニット50からの制動指令に応じて、各車輪のホイルシリンダに制動力を発生させる。
車速センサ32は、各車輪のハブ部に設けられ、車輪の回転速度に比例する周波数の車速パルス信号を発生するものである。
車速パルス信号の周波数を検出し、所定の演算処理を施すことによって、車両の走行速度(車速)を算出することが可能である。
EPS制御ユニット40には、モータ41、舵角センサ42等が接続されている。
車両1が自動運転を行う場合には、モータ41は、自動運転制御ユニット50からの操舵指令に応じて、操舵系の舵角が所定の目標舵角に近づくように操舵系にトルクを付与して転舵を行わせる。
舵角センサ42は、車両の操舵系における現在の舵角を検出するものである。
舵角センサ42は、例えば、ステアリングシャフトの角度位置を検出する位置エンコーダを備えている。
また、自動運転モードは、ユーザが手動運転を希望する場合、あるいは、自動運転の続行が困難である場合等に、ユーザからの所定の解除操作に応じて中止され、ドライバによる手動運転を行う手動運転モードへの復帰が可能となっている。
入出力装置51は、自動運転制御ユニット50からユーザへの警報や各種メッセージ等の情報を出力するとともに、ユーザからの各種操作の入力を受け付けるものである。
入出力装置51は、例えば、LCD等の画像表示装置、スピーカ等の音声出力装置、タッチパネル等の操作入力装置等を有して構成されている。
環境認識ユニット60は、ステレオカメラ制御ユニット70、レーザスキャナ制御ユニット80、後側方レーダ制御ユニット90、ナビゲーション装置100、路車間通信装置110、車車間通信装置120等からそれぞれ提供される情報に基づいて、自車両周辺の駐車車両、走行車両、建築物、地形、歩行者等の障害物や、自車両が走行する道路の車線形状等を認識するものである。
個々のステレオカメラ71は、例えば、レンズ等の撮像用光学系、CMOS等の固体撮像素子、駆動回路及び信号処理装置等からなるカメラユニットを、並列に例えば一対配列して構成されている。
ステレオカメラ制御ユニット70は、公知のステレオ画像処理技術を利用した画像処理結果に基づいて、ステレオカメラ71によって撮像された被写体の形状及び自車両に対する相対位置を認識する。
レーザスキャナ制御ユニット80は、レーザスキャナ81を制御するとともに、レーザスキャナ81の出力に基づいて車両周囲の車両や障害物等の各種物体を3D点群データとして認識するものである。
後側方レーダ91は、例えば、自車両の後側方から接近する他車両を検知可能となっている。
後側方レーダ91として、例えば、レーザレーダ、ミリ波レーダ等のレーダが用いられる。
ステレオカメラ71は、車両1の前部、後部、左右側部にそれぞれ設けられている。
レーザスキャナ81は、車両1の周囲に実質的に死角が生じないよう分布して複数設けられている
後側方レーダ91は、例えば、車両1の車体左右側部に配置され、検知範囲を車両後方側かつ車幅方向外側に向けて配置されている。
地図データは、道路、交差点、インターチェンジ等の道路情報を車線レベルで有する。
道路情報は、3次元の車線形状データのほか、各車線(レーン)の右左折可否や、一時停止位置、制限速度等の走行上の制約となる情報も含む。
ナビゲーション装置100は、後述するインストルメントパネル340に組み込まれたディスプレイ101を有する。
ディスプレイ101は、ナビゲーション装置100がドライバに対して出力する各種情報が表示される画像表示装置である。
ディスプレイ101は、タッチパネルを有して構成され、ドライバからの各種操作入力が行われる入力部としても機能する。
リスクポテンシャルの推定は、例えば、リスク対象物の種類、移動方向、移動速度等に基づいて行われる。
例えば、各種のリスク対象物の進行方向に対する方向(前方、後方、側方)ごとに、基本パターンとなるリスクポテンシャルの分布を予めマップ化して保持し、この基本パターンをもとに、リスクの高低や分布範囲を補正して個別のリスク対象物に係るリスク分布を設定する構成とすることができる。
リスク対象物の種類に応じた具体的なリスクポテンシャル分布の例については、後に詳しく説明する。
図3に示すように、車両は、フロントガラス310、フロントドアガラス320、サイドミラー330、インストルメントパネル340、ステアリングホイール350、Aピラー360、ルーフ370、ルームミラー380等を有する。
フロントガラス310は、実質的に横長の矩形状に形成され、前方が凸となる方向に湾曲した2次曲面ガラスである。
フロントガラス310は、上端部が下端部に対して車両後方側となるように後傾して配置されている。
フロントドアガラス320は、昇降式の本体部321、及び、本体部321の前部に設けられた固定式の三角窓部322を有する。
サイドミラー330は、左右フロントドアのアウタパネルから車幅方向外側に突出している。
ユーザ視界において、サイドミラー330は、例えば、フロントドアガラス320の本体部321の前端部近傍に見えるようになっている。
インストルメントパネル340は、各種計器類、表示装置、スイッチ類、空調装置、助手席エアバッグ装置、膝部保護エアバッグ装置等が収容される筐体としても機能する。
インストルメントパネル340は、コンビネーションメータ341、マルチファンクションディスプレイ342、ナビゲーション装置100のディスプレイ101等が設けられる。
コンビネーションメータ341には、表示装置210が内蔵されている。
マルチファンクションディスプレイ342は、インストルメントパネル340の車幅方向中央部における上部に設けられた例えばLCD等の画像表示装置である。
ナビゲーション装置100のディスプレイ101は、インストルメントパネル340の車幅方向中央部における下部に設けられている。
ステアリングホイール350は、ドライバの前方に実質的に正対して設けられる。
コンビネーションメータ341は、ユーザ視界において、ステアリングホイール350の上半部における内径側から目視可能となっている。
Aピラー360の車室内側の面部は、樹脂製のピラートリムによってカバーされている。
ルーフ370の車室内側の面部は、樹脂製のルーフトリムによってカバーされている。
ルーフ370の車幅方向中央部における前端部には、前方撮影用のステレオカメラ71が収容されるステレオカメラ収容部371が設けられている。
ルームミラー380は、図示しないステーを介してフロントガラス310の車幅方向中央部における上端部近傍に設けられている。
表示装置210として、例えば、図3に示すようにインストルメントパネル340のコンビネーションメータ341に組み込まれたLCDを用いることができる。
図4は、表示装置における画像表示の一例を示す図である。
図4は、例えば、左側通行片側3車線の高速道路(高規格の自動車専用道)を走行中の状態を示している。
画像表示は、環境認識ユニット60が認識した車線形状(白線形状)を含む。
図4においては、左側から順に、左側走行車線LL、右側走行車線LR、追越車線LPが表示されている。
また、左側走行車線LLには、自車両OV(車両1の構成を有するもの)の前方側において、合流車線LMが左側より合流している。
右側通行車線LRにおける自車両OVの前方には、乗用車PC1が走行している。
左側通行車線LLにおける自車両OVの側方には、乗用車PC2が走行している。
追越車線LPにおける自車両OVの斜め前方側には、二輪車MC2が走行している。
この等高線表示は、リスク対象物の周囲において、リスクポテンシャルの大きさが同等であると推定される点を結ぶことによって、リスク対象物の周囲に環状の線(等高線C)を設定し、これを表示したものである。
このような等高線表示は、複数の異なったリスクポテンシャルの大きさについてそれぞれ設定される。
その結果、リスク対象物の周囲には、異なった大きさのリスクポテンシャルを示す複数の等高線Cが表示され、それぞれの等高線Cを滑らかな曲面で繋いだ形状は、実質的に上方が窄みかつ内部にリスク対象物(車両等)を収容する山型に表示される。
図5(a)は乗用車を側面から見た状態、図5(b)は正面から見た状態をそれぞれ示している。(後述する図6、図7において同じ)
リスク対象物である乗用車PCと重畳する領域は、自車両OVが進入した場合に確実に衝突することから、リスクポテンシャルは最大となる。その結果、等高線表示においてももっとも高く表示される。
ここでのリスクポテンシャルの大きさ(等高線の高さ)は、例えば、リスク対象物の走行速度、自車両に対する相対速度、大きさ(大きいほど車重が重いと推定される)の増加に応じて増加するように設定される。
リスクポテンシャルの高さ(等高線Cの高さ)は、乗用車PCからの距離の増加に応じて漸減するように設定される。
例えば、リスク対象物の走行速度、自車両に対する相対速度、大きさ(大きいほど車重が重いと推定される)の増加に応じて、リスクポテンシャルが広く分布するように設定される。
また、自車両が減速状態にある場合や、自車両前方に渋滞、停止車両などの障害物が存在する場合にも、今後自車両と追走中のリスク対象物との相対速度(速度差)が増大するものとして、リスクポテンシャルの分布範囲は広くなるように設定される。
例えば、リスク対象物の走行速度、自車両に対する相対速度、大きさ(大きいほど車重が重いと推定される)の増加に応じて、リスクポテンシャルが広く分布するように設定される。
また、先行するリスク対象物のブレーキランプ点灯が検出された場合、リスク対象物の減速が検出された場合、路車間通信などにより前方に渋滞、停止車両などの障害物が存在する場合にも、今後自車両と追走中のリスク対象物との相対速度(速度差)が増大するものとして、リスクポテンシャルの分布範囲は広くなるように設定される。
例えば、周囲の交通量が多く、多数のリスク対象物が存在する場合には、リスク対象物となる車両が車線変更する可能性が高いものと考慮して、リスクポテンシャルの分布範囲は広くなるように設定される。
また、リスク対象物が走行中の車線の前方に渋滞、停止車両等が存在する場合や、リスク対象物となる車両のターンシグナルランプの点滅が検出された場合にも、リスクポテンシャルの分布範囲は広くなるように設定される。
図5に示す乗用車の場合と対比した場合、トラック等の大型車、重量車の場合には、運動エネルギが大きく衝突時の危険性がより大きいことから、リスクポテンシャルの最大値は大きく設定される。
また、制動時に発生し得る最大の減速度も乗用車より小さく制動距離が長くなると推定されることから、車速が同程度の場合には、トラックTの前方におけるリスクポテンシャルの分布範囲は、乗用車PCの場合よりも広く設定される。
さらに、リスク対象物(トラック)からの距離に応じたリスクポテンシャルの変化率は、乗用車PCの場合よりも小さく設定される。これは、リスク対象物からの距離が同等である場合に、リスクポテンシャルが乗用車PCよりも大きいことを意味する。
また、トラックT等の大型車の場合には、乗用車PCに対して急激な車線変更、進路変更を行いにくいと推定されるため、トラックTの側方におけるリスクポテンシャルの分布範囲は、乗用車PCの場合よりも狭く設定される。
さらに、リスク対象物(トラック)からの距離に応じたリスクポテンシャルの変化率は、乗用車PCの場合よりも大きく設定される。これは、リスク対象物からの距離が同等である場合に、リスクポテンシャルが乗用車PCよりも小さいことを意味する。
図5に示す乗用車の場合と対比した場合、自動二輪車の場合には、乗用車PCに対して急激な車線変更、進路変更が行われる可能性が高く、かつ、路面の不整等の外乱によって転倒するリスクも推定されるため、自動二輪車MCの側方におけるリスクポテンシャルの分布範囲は、乗用車PCの場合よりも広く設定される。
また、リスク対象物からの横方向距離に応じたリスクポテンシャルの変化率は、乗用車PCの場合よりも小さく設定されている。
図8(a)は、自車両の接近方向に対して直交する水平方向(側方)から見た状態を示し、図8(b)は自車両側から見た図を示す。
歩行者PEの場合には、それ自体の移動速度は車両等に対して小さいため、リスクポテンシャルの推定においては、歩行者PE自体の移動によるものよりは、自車両が歩行者の位置に向かって進行する場合の衝突リスクが支配的となる。
このため、図8に示すように、リスクポテンシャルの分布範囲は、歩行者PEから見て自車両が接近する側の方位において集中的に広くなり、その他の方位においては狭くなる。
また、例えば建造物や、駐車車両、地形等の静止しているリスク対象物に起因するリスクポテンシャルの分布範囲も、これと同様の傾向を示す。
これは、センターレーン側の車両は、例えば対向車線から逸脱した対向車両に対する回避動作をとったり、対向車両と衝突事故を起こすリスクが比較的高いと考えられるからである。
想定走行軌跡は、極力リスクポテンシャルが低い領域を選択して設定され、例えばリスクポテンシャルの分布範囲が重畳する程度に近接する複数のリスク対象物の間を走行しなければならない場合には、等高線表示の谷間に沿って設定される。
また、図9においては、自動運転制御により今後実行されることが予定される運動動作を示すマーク類も表示されている。(図10、11において同じ)
なお、実際に表示装置210に表示される表示画像は、図4と同様の俯瞰画像であるが、理解を容易とするため、図9においては平面視で図示している。(図10において同じ)
図9に示す例においては、自車両OVは3車線のうち中央に配置された右側通行車線LRを走行している。
右側通行車線LRにおける自車両OVの前方には、乗用車PCaが走行している。
左側通行車線LLにおける乗用車PCaの斜め前方には、トラックTが走行している。
追越車線LPにおける乗用車PCa及びトラックTよりも前方には、他の乗用車PCbが走行している。
各車両の周囲には、リスクポテンシャルが等高線Cによって表示される。
ここで、通過点P1〜P5を、例えばベジェ曲線等によって単純に補間した場合には、補間線IL(実際には表示されない)のように、ラインとしては滑らかであっても、車線内を惰行する挙動を示すなど、車両の走行軌跡としては不適切な箇所がみられる。
そこで、自動運転制御ユニット50は、自車両OVの車線内横位置が極力中央に近付くよう、車線形状に適合させる補正を施して想定走行軌跡APとする。
また、想定走行軌跡APが曲線路を通過する場合には、自動運転制御ユニット50は、想定走行軌跡APの曲率が道路の曲率に近付くよう設定する。
ユーザは、想定走行軌跡APが各車両(リスク対象物)の周囲のリスクポテンシャル分布を示す等高線C表示に対してどのような位置関係にあるのか、一目瞭然に理解することができ、図9に示すようにリスクポテンシャルが及ぶ範囲を避けて想定走行軌跡APが設定されている場合は、この想定走行軌跡APが安全かつ妥当なものであると評価することができる。
一方、想定走行軌跡APがリスクポテンシャルの存在する箇所を通過する場合には、ユーザは、リスク対象物などの監視を行い、危険と判断した場合には直ちに手動運転に切り替えて運転操作を引き継ぎ、回避動作を行う。
この場合にも、リスク対象物及びリスクポテンシャル分布と自車両との位置関係を容易に把握できることから、ユーザ(ドライバ)は、危険回避のためにとるべき運転操作を容易に判断することができる。
周辺リスク認識ユニット200は、表示装置210に表示される画像を生成する際、表示画像内に今後予定される運転動作を示す表示を含むようにする。
表示の対象となる運転動作として、例えば、加速、減速(ブレーキング)、転舵などがあげられる。
表示画像内における運転動作を示す表示は、想定走行軌跡APにおいて当該運転動作の実行が予定される箇所又はその近傍に配置される。
通過点P1の近傍に、右方向への転舵動作を示す右転舵マークMsrが表示される。
通過点P1とP2との中間領域の近傍に、左方向への転舵動作を示す左転舵マークMslが表示される。
通過点P2の近傍に、操舵系を中立状態(直進状態)とすることを示すステア中立マークMscが表示される。
実施例1において、ステア中立マークMscは、例えば、ステアリングホイールの模式図を用いたマーク(アイコン)として表示され、ステアリングホイールが中立位置であることを示すよう表示されている。
また、右転舵マークMsr及び左転舵マークMslは、ステアリングホイールの模式図を右、左にそれぞれ回動させた表示となっている。
ここで、右転舵マークMsr及び左転舵マークMslは、ステアリングホイールの図柄の表示角度によって、転舵方向及び想定される舵角の大小を表すようになっている。
また、右転舵マークMsr及び左転舵マークMslは、例えば表示色や、マーク自体の動きによって、転舵速度を表す構成とすることができる。
例えば、転舵速度が速い場合には、各転舵マークが比較的高速で回動するように表示することができる。また、各転舵マークを赤色、燈色、黄色等の注意喚起に適した色で表示してもよい。
通過点P3の手前(通過点P2側)の領域の近傍に、左転舵マークMslが表示される。
通過点P3とP4との中間領域の近傍に、右転舵マークMsrが表示される。
通過点P4の近傍に、ステア中立マークMscが表示される。
通過点P4の前方(自車両OVから離れた側)には、自車両OVの加速動作を示す加速マークMacが表示される。
加速マークMacは、想定走行軌跡APにおける加速が行われる範囲にわたって延びて表示される。
加速マークMacは、例えば、色や輝度、図柄、点滅等を用いて、想定される加速度の大小を表す構成とすることができる。
図10に示す例では、図9に対して乗用車PCaと乗用車PCbとの間隔が小さく、この間隔内は、両者のリスクポテンシャルが重畳されることによって比較的危険な領域となっている。
この場合、通過点P1〜P4までは図9と同様にリスクポテンシャルが十分に低い(実質的に存在しない)領域のみを通過して走行できるが、通過点P4からP5に到達するには、危険な領域を通過しなければならない。
図10に示す場合においては、表示装置210は、リスクポテンシャルが所定の閾値以上となる領域を含む通過点P4以遠の領域については、想定走行軌跡APの表示を行なわないようになっている。
減速マークMbrは、想定走行軌跡APにおける減速が行われる範囲にわたって延びて表示される。
減速マークMbrは、例えば、色や輝度、図柄、点滅等を用いて、想定される減速度の大小を表す構成とすることができる。
(1)自車両周囲のリスク対象物及び想定走行軌跡APとともに、想定走行軌跡APに沿って走行する場合に予定される運転動作を示すマークを表示することによって、自動運転制御において予定されている操舵、加減速等のタイミングなどを乗員に容易に理解させることができ、自車両が今後とり得る車両軌跡及び車両挙動を把握させることができる。
このため、ユーザは、自動運転に対する不安感が軽減されるとともに、自動運転制御の妥当性及び手動運転への切替え要否を適切に判断することができる。
また、自動運転において予定されていた動作に基づいて、手動運転に切り替えた後の運転操作を円滑に行うことができる。
(2)リスク対象物の周囲にリスクポテンシャルの分布を、運転動作を示すマークや想定走行軌跡AP等と重畳して等高線Cで表示することによって、リスク対象物の周囲におけるリスクポテンシャル分布と、自車両の想定走行軌跡及び予定される運転動作との関係を直感的に理解することができる。
(3)運転動作を示すマークが、加速マークMac、制動マークMbr、左操舵マークMsl、右操舵マークMsr、ステア中立マークMsc等を含むことによって、加速、減速、操舵が行われる位置及びタイミングに関する情報を提供するができ、乗員は自車両に予定される挙動を容易に予測することができる。
(4)運転動作を示すマークを、想定走行軌跡APの表示における当該動作が行われる箇所又はその近傍に表示することによって、自動運転制御による運転動作が行われる位置を直感的に把握することができる。
(5)自動運転制御の終了に先立ち、運転モード切替マークMcを表示することによって、自動運転制御の終了を事前に予告し、手動運転の運転者に運転開始準備に必要な時間を与えることができ、自動運転から手動運転への切替えを円滑に行うことができる。
実施例2において、上述した実施例1と実質的に共通する箇所については同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
実施例2の車両状態監視装置においては、インストルメントパネル310に組み込まれた表示装置210に代えて、フロントガラス310にヘッドアップディスプレイ(HUD)としての機能を付与することによって表示を行っている。
このような機能は、例えば、インストルメントパネル340に内蔵されたプロジェクタによって、フロントガラス310に画像を投影することによって実現可能である。
一方、リスク対象物の周囲におけるリスクポテンシャルの等高線C表示や、想定走行軌跡AP、各種運転動作表示(各マーク)等は、HUDによる虚像として、実像に重畳表示される。
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)車両状態監視装置の構成や、車両の構成は、上述した実施例に限定されず適宜変更することが可能である。また、実施例において車両は乗用車であるが、本発明は貨物車等の商用車、トラック、バス、自動二輪車、その他各種特殊車両などにも適用することが可能である。
(2)実施例1において、車両はエンジンを走行用動力源とするものであったが、本発明はこれに限らず、電動モータや、エンジンと電動モータとを組み合わせたハイブリッドシステムを走行用動力源として用いることも可能である。
(3)自車両周辺の環境認識を行うセンサの種類や配置は、上述した実施例には限定されず、適宜変更することが可能である。例えば、実施例におけるセンサ類と併用あるいは代用して、ミリ波レーザ、レーザレーダ、単眼カメラ、超音波ソナー等の各種センサを用いることが可能である。
また、車両自体に搭載されているセンサ類などと併用あるいは代用して、路車間通信や車車間通信によって得た情報や、GPS等の測位手段及びナビゲーション装置等が有する地図データを用いて環境認識を行ってもよい。
(4)表示装置における画像表示は、例えば、図3に示すように自車両及び道路等を俯瞰した状態の二次元(2D)画像として表示することが可能であるが、これに限らず、例えば3D表示を行ったり、上方から見た平面図を表示する構成としてもよい。
(5)表示装置における運転動作の表示態様は一例であって、適宜変更することが可能である。
20 トランスミッション制御ユニット 21 前後進切替アクチュエータ
22 レンジ検出センサ 30 挙動制御ユニット
31 ハイドロリックコントロールユニット(HCU)
32 車速センサ
40 電動パワーステアリング(EPS)制御ユニット
41 モータ 42 舵角センサ
50 自動運転制御ユニット 51 入出力装置
60 環境認識ユニット 70 カメラ制御ユニット
71 カメラ
80 レーザスキャナ制御ユニット
81 レーザスキャナ 90 後側方レーダ制御ユニット
91 後側方レーダ 100 ナビゲーション装置
101 ディスプレイ
110 路車間通信装置 120 車車間通信装置
200 周辺リスク認識ユニット 210 表示装置
310 フロントガラス 320 フロントドアガラス
321 本体部 322 三角窓部
330 ドアミラー 340 インストルメントパネル
341 コンビネーションメータ
342 マルチファンクションディスプレイ
350 ステアリングホイール 360 Aピラー
370 ルーフ 371 ステレオカメラ収容部
380 ルームミラー
OV 自車両 PC 乗用車
MC 自動二輪車 T トラック
PE 歩行者
LR 右側走行車線 LL 左側走行車線
LP 追い越し車線 LM 合流車線
AP 想定走行軌跡 IL 補間線
P1〜P5 通過点
Mac 加速マーク Mbr 制動マーク
Msc ステア中立マーク Msr 右転舵マーク
Msl 左転舵マーク Mc 運転モード切替マーク
Claims (4)
- 自動運転制御を行う車両に設けられ車両の状態に関する情報をユーザに提示する車両状態監視装置であって、
自車両周囲の環境を認識する環境認識手段と、
前記環境認識手段の認識結果に基づいて所定以上のリスクポテンシャルを有するリスク対象物を抽出する周辺リスク認識手段と、
前記自動運転制御における想定走行軌跡を示す画像を、前記周辺リスク認識手段が抽出した前記リスク対象物に関する情報及び前記リスクポテンシャルに関する情報の少なくとも一方とともに表示する表示手段とを備え、
前記表示手段は、自動運転制御によって前記想定走行軌跡に沿って走行する場合に予定される運転動作を示す表示を、前記想定走行軌跡の表示とは別に、前記想定走行軌跡を示す画像において前記運転動作の実行が予定される箇所又はその近傍に、操舵動作を示すマークとして表示すること
を特徴とする車両状態監視装置。 - 前記周辺リスク認識手段は、前記リスク対象物の周囲におけるリスクポテンシャル分布を推定する機能を有し、
前記表示手段は、前記リスク対象物の周囲におけるリスクポテンシャル分布を示す画像を、該リスク対象物と重畳して表示すること
を特徴とする請求項1に記載の車両状態監視装置。 - 前記運転動作を示す表示は、車両の加速又は減速を示す表示を含むこと
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両状態監視装置。 - 前記表示手段は、前記自動運転制御の終了が予測される場合には、手動運転への引き継ぎを促す表示を表示すること
を特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の車両状態監視装置。
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