JP6687559B2 - 食品用組成物および食品 - Google Patents

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本発明は、食品の食感および物性を改善するための組成物、およびそれを含有する食品に関する。
従来から、食品の食感や風味、物性を改善する目的で、増粘多糖類や澱粉等を含有する組成物が様々な方法で食品に添加されていた。
スクシノグリカンは、糖類を原料にして微生物の発酵により生産される多糖類であり、既存添加物名簿に「アグロバクテリウムスクシノグリカン(簡略名:スクシノグリカン)」として収載されている食品添加物である。スクシノグリカンは、冷水に分散、膨潤し、低濃度で高粘度を発現する性質を有することから、主に増粘安定剤として利用されている。
特許文献1には、スクシノグリカンを含む冷凍の食品または飼料製品が開示されている。特許文献1によれば、スクシノグリカンを水溶液に添加すると、冷凍および解凍後に粘度が上昇し、ゲル様の粒子が出現することが見出されたことから、これを利用して、組成物の粘度を解凍前よりも高くして、組成物をさらに安定させることができる旨、記載されている。
特許文献2には、(A)スクシノグリカンと(B)グルコマンナンおよびガラクトマンナンからなる群から選択される1つ以上の親水コロイドとを含む組成物が開示されている。特許文献2によれば、高い粘度が望ましい組成物に、スクシノグリカンをガラクトマンナンと一緒に、またはグルコマンナンと一緒に使用すると、ゲルを形成することなく粘度の相乗的な上昇をもたらすことができ、なお所望の口当たりを提供する旨、記載されている。
特許文献3には、スクシノグリカンを含有する加工食品用離水抑制剤が記載されている。特許文献3によれば、スクシノグリカンを添加することにより、食感や風味に影響を及ぼさずに離水が抑制された加工食品が得られる旨、記載されている。
特表2016−525362号公報 特表2016−532442号公報 特開2016−131509号公報
特許文献1〜3によれば、スクシノグリカンを単独で、或いは、スクシノグリカンと他の増粘多糖類との組合せを含有する組成物が、食品における粘度の向上や、離水の抑制等に有効であると記載されている。その一方、スクシノグリカンを含有する組成物については、当該組成物を添加した食品の冷解凍後の食感および物性において、さらに改善の余地があると考えられた。
そこで、本発明は、食品に添加することで、冷凍および解凍後における食品の食感を改善し、さらに、歩留り低下を抑制することができる組成物、並びに、食感が改善され、歩留り低下を抑制した食品を提供することを目的とする。
本発明の食品用組成物は、以下の成分(A)〜(D):(A)スクシノグリカン、(B)もち米澱粉、(C)ガラクトマンナン、タマリンドシードガムおよびサイリウムシードガムからなる群から選択される少なくとも1つ、並びに、(D)グルコマンナンおよびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1つ、を含有し、成分(A):成分(B):成分(C):成分(D)の質量比は、1〜100部:10〜1500部:2〜300部:2〜400部の範囲である。
好適な態様では、前記ガラクトマンナンが、ローカストビーンガム、グァーガムおよびタラガムからなる群から選択される少なくとも1つである。
他の好適な態様では、前記成分(C)がグァーガムである。
他の好適な態様では、前記成分(D)がグルコマンナンである。
他の好適な態様では、本発明の食品用組成物は、食品の冷凍変性防止剤である。
本発明の食品は、上記の食品用組成物を含有する。
好適な態様では、本発明の食品は、タンパク質含有食品である。
他の好適な態様では、本発明の食品は、冷凍食品である。
本発明では、成分(A)〜(D)の組合せを含む組成物を食品に添加することにより、冷凍および解凍後における食品の食感を改善し、さらに、歩留り低下を抑制することができる。
以下、本発明に係る組成物およびそれを含有する食品について、詳細に説明する。なお、本明細書における「%」および「部」との記載は、特に言及する場合を除き、「質量%」および「質量部」をそれぞれ意味する。
本発明に係る組成物は、以下の成分(A)〜(D):
(A)スクシノグリカン、
(B)もち米澱粉、
(C)ガラクトマンナン、タマリンドシードガムおよびサイリウムシードガムからなる群から選択される少なくとも1つ、並びに、
(D)グルコマンナンおよびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1つ、
を少なくとも含有する。
〔成分(A)〕
スクシノグリカンは、グルコースおよびガラクトースからなる主鎖とグルコースからなる側鎖とで構成される多糖類であって、グルコースとガラクトースとを7:1のモル比で含有し、側鎖にピルビン酸基およびコハク酸基を有する。スクシノグリカンは、微生物であるアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)から産生される。スクシノグリカンの製造方法は、特許第3535335号公報、特開平2−79968号公報等に開示されている。スクシノグリカンとしては、その製造方法で製造されたもの、および、一般に入手可能なものを制限なく使用することができる。
〔成分(B)〕
もち米澱粉は、もち米から製造された澱粉であって、アミロースを含まず、アミロペクチンのみで構成されていることを特徴とする。もち米澱粉は、生澱粉(β澱粉)であってもよく、化学的または物理的に加工処理された加工澱粉であってもよい。もち米澱粉は、例えば、原料澱粉の水懸濁液を加熱等して糊液を調製し、乾燥して得られるα澱粉であってもよい。もち米澱粉の加工処理方法としては、例えば酸処理、エステル化処理、エーテル化処理、架橋処理、油脂加工処理、湿熱処理等が挙げられる。
もち米澱粉は、例えば、原料であるもち米からタンパク質を除去し、澱粉のみを抽出することにより製造すればよい。本組成物に使用されるもち米澱粉は、市場で入手可能なものを使用すればよく、そのようなもち米澱粉としては、例えば、商品名「モチール(登録商標)B」、「モチール(登録商標)アルファー」(いずれも上越スターチ株式会社製)等が挙げられる。
〔成分(C)〕
本組成物は、成分(C)として、ガラクトマンナン、タマリンドシードガムおよびサイリウムシードガムからなる群から選択される少なくとも1つを含有する。成分(C)は単独で用いてもよく、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
ガラクトマンナンは、マンノースからなる主鎖とガラクトースからなる側鎖とで構成される多糖類である。ガラクトマンナンを構成するマンノースとガラクトースのモル比は、例えば1.1:1以上5:1以下の範囲である。ガラクトマンナンは、そのマンノースとガラクトースの構成比率により、ローカストビーンガム、グァーガム、タラガム、カシアガム等と称される。
ローカストビーンガムは、マンノースとガラクトースとを4:1のモル比で含有するガラクトマンナンであり、カロブビーンガムとも称される。ローカストビーンガムは、例えば、マメ科イナゴマメ(Ceratonia siliqua L.)の種子の胚乳部分を分離および精製することにより得られる。
グァーガムは、マンノースとガラクトースとを2:1のモル比で含有するガラクトマンナンである。グァーガムは、例えば、マメ科グァー(Cyamopsis tetragonoloba L.)の種子の胚乳部分を分離および精製することにより得られる。
タラガムは、マンノースとガラクトースとを3:1のモル比で含有するガラクトマンナンである。タラガムは、例えば、マメ科タラ(Caesalpinia spinosa Kuntze)の種子の胚乳部分を分離および精製することにより得られる。
本組成物において成分(C)として用いるガラクトマンナンは、ローカストビーンガム、グァーガムおよびタラガムからなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
タマリンドシードガムは、グルコースからなる主鎖と、キシロースおよびガラクトースからなる側鎖とで構成される多糖類であって、グルコース、キシロースおよびガラクトースを4:1:1のモル比で含有する。タマリンドシードガムは、例えば、マメ科タマリンド(Tamarindus indica L.)の種子の胚乳部分を分離および精製することにより得られる。
サイリウムシードガムは、キシロースからなる主鎖(キシラン)と、アラビノース、キシロース、ガラクツロン酸およびラムノースからなる側鎖とで構成される多糖類である。サイリウムシードガムは、例えば、オオバコ科ブロンドサイリウム(Plantago ovata Forskal)または同種植物の種子の外皮を分離および精製することにより得られる。
成分(C)としては、グァーガム、タラガム、タマリンドシードガムおよびサイリウムシードガムが好ましく、グァーガムおよびタマリンドシードガムがより好ましく、グァーガムが特に好ましい。
〔成分(D)〕
本組成物は、成分(D)として、グルコマンナンまたはキサンタンガムを含有する。成分(D)は、グルコマンナンまたはキサンタンガムのいずれか一方を単独で用いてもよく、グルコマンナンおよびキサンタンガムの両者を組み合わせて用いてもよい。
グルコマンナンは、グルコースおよびマンノースで構成される直鎖状の多糖類であって、グルコースとマンノースとを2:3〜1:2のモル比で含有する。グルコマンナンは、例えば、サトイモ科コンニャク(Amorpho−phallus konjac)の根茎を乾燥、粉砕後、含水エタノール等で洗浄することにより得られる。
キサンタンガムは、グルコースからなる主鎖と、マンノースおよびグルクロン酸からなる側鎖とで構成された多糖類であって、グルコース、マンノースおよびグルクロン酸を2:2:1のモル比で含有する。キサンタンガムは、例えば、微生物であるキサントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)の培養液から分離して得られる。
本組成物に含まれる成分(C)および成分(D)の好適な組合せとしては、例えば、成分(C)がグァーガムであり、成分(D)がグルコマンナンまたはキサンタンガムである組合せ、並びに、成分(C)がタラガム、タマリンドシードガムおよびサイリウムシードガムからなる群から選択される少なくとも1つであり、成分(D)がグルコマンナンである組合せが挙げられる。
本組成物に含まれる成分(A)〜(D)の含有比率は、特に制限されない。食品の冷凍変性防止の目的で本組成物を使用する場合、成分(A):成分(B):成分(C):成分(D)の質量比が、例えば、1〜100部:10〜1500部:2〜300部:2〜400部の範囲にあればよく、2〜50部:50〜500部:5〜150部:5〜200部の範囲にあることが好ましい。
本組成物は、本発明の効果が低減しない限り、必要に応じて、成分(A)〜(D)以外の他の成分を含有してもよい。そのような他の成分としては、例えば、もち米澱粉以外の他の澱粉;カラギナンおよびジェランガム等の増粘剤;砂糖、水飴、デキストリン等の糖類;小麦粉等の穀物粉;イヌリン、セルロース等の食物繊維;グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル;酵素等が挙げられる。
本組成物に追加で使用可能なもち米澱粉以外の他の澱粉としては、例えば、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、トウモロコシ澱粉、コムギ澱粉、うるち米澱粉およびカンショ澱粉等が挙げられる。これらの澱粉は、生澱粉(β澱粉)であってもよく、加工処理された澱粉であってもよい。
本組成物は、粉末の形態であってもよいし、顆粒、粒状に造粒物した顆粒の形態であってもよい。また、本組成物を水に溶解または懸濁等させた液体の形態であってもよい。
本組成物は、例えば、冷凍および解凍を行った食品の食感を改善し、冷解凍前後の歩留りの低下を抑制する冷凍変性防止剤として使用することができる。本組成物を冷凍変性防止剤として添加した食品は、冷凍および解凍を行った食品の食感を改善できるとともに、本組成物を添加しない場合に比して、冷解凍前後の歩留りを大幅に向上することができる。
本組成物は、特にタンパク質含有食品に対する冷凍変性防止効果に優れる。タンパク質含有食品では、冷凍保存(例えば−18℃以下での保存)中にタンパク質が変性することにより、解凍後の食品では舌触りが劣り食感が低下していた。また、タンパク質の変性による解凍時の離水により、歩留りが低下していた。本組成物をタンパク質含有食品に添加すると、本組成物に含まれる成分(A)〜(D)の相互作用により、タンパク質の冷凍変性が抑制されるため、解凍後の食品になめらかな舌触りの好ましい食感を与えるとともに、冷解凍前後の歩留りの低下を抑えるものと考えられる。
本組成物が添加される食品としては、食品添加物が添加される加工食品であれば特に制限されないが、タンパク質含有食品が好ましい。タンパク質含有食品は、タンパク質を含有する食品原料から製造される食品を意味し、そのような食品原料としては、例えば、卵、乳、大豆、水産物(魚類、貝類、エビ、カニ、タコ、イカ等)、肉類(牛肉、豚肉、鶏肉等)、穀粉(小麦粉等)が挙げられる。
卵を原料として製造される卵加工品としては、例えば、出汁巻き玉子、玉子焼、錦糸卵、オムレツ、茶碗蒸し、プリン等が挙げられる。乳を原料として製造される乳製品としては、例えば、チーズ、クリーム、ヨーグルト、バター、アイスクリーム等が挙げられる。大豆を原料として製造される大豆加工品としては、豆腐、湯葉、豆乳等が挙げられる。水産物を原料として製造される水産加工品としては、例えば、蒲鉾、ちくわ、薩摩揚げ、はんぺん、つみれ、魚肉ソーセージ等が挙げられる。肉類を原料として製造される食肉加工品としては、例えば、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、チキンナゲット、ミートボール、餃子、シュウマイ、ロールキャベツの具等が挙げられる。穀粉を原料として製造される穀粉加工品としては、例えば、中華麺、パスタ、うどん、パン、ピザの生地、餃子の皮、春巻の皮等の小麦粉加工品が挙げられる。
中でも、卵加工品または乳製品の冷凍変性防止剤として本組成物を使用することは、本組成物の好ましい使用態様の一つである。本組成物を乳製品の冷凍変性防止剤として使用する際は、成分(D)がグルコマンナンであることが好ましい。
本組成物を食品に添加する場合の添加量は、本組成物の効果が得られる範囲内で、食品の種類等に応じて適宜選択すればよい。本組成物の食品中の添加量は、例えば、食品の総量に対して0.2%以上20%以下であればよく、食品の総量に対して0.5%以上5%以下が好ましい。本組成物の添加量が少なすぎると、本組成物の効果が十分発揮されないおそれがある。また、本組成物の添加量が多すぎると、粘度が増加し、或いは、本組成物が食品中に均一に配合されず、食感や風味等が低下するおそれがある。
本組成物を食品に添加する場合の各成分の添加量も同様に、本組成物の効果が得られる範囲内で、食品の種類等に応じて適宜選択すればよい。例えば、本組成物を添加した食品において、それぞれ食品の総量に対して、成分(A)の添加量が0.01%以上1.0%以下、好ましくは0.02%以上0.5%以下、成分(B)の添加量が0.1%以上15%以下、好ましくは0.5%以上5%以下、成分(C)の添加量が0.02%以上3.0%以下、好ましくは0.05%以上1.5%以下、成分(D)の添加量が0.02%以上4.0%以下、好ましくは0.05%以上2.0%以下の範囲とすればよい。いずれかの成分の添加量が少なすぎる場合、本組成物の組合せの効果が得られないおそれがある。また、いずれかの成分の添加量が多すぎる場合、食品の風味や食感を損なうおそれがある。
本組成物の添加方法としては、食品の調製中に、均一に添加される方法であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、本組成物を、食品の主原料、副原料、調味料等に混合して、食品中に添加することができる。本組成物を添加する際は、直接粉体として添加してもよいし、水溶液やペーストの形態にしてから添加してもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[試験例1:出汁巻き玉子の冷凍変性防止]
本組成物の冷凍変性防止効果を確認するため、本組成物を含有する出汁巻き玉子を製造し、得られた出汁巻き玉子を用いて、冷解凍試験、官能試験および歩留り測定試験を行った。
(実施例1)
〔冷凍変性防止剤の調製〕
スクシノグリカン(商品名「サクリノグリカンJ」、DSP五協フード&ケミカル株式会社製)、もち米澱粉(商品名「モチールB」、上越スターチ株式会社製)、ローカストビーンガム(商品名「オルノーL1」、オルガノフードテック株式会社製)、キサンタンガム(商品名「オルノーX2」、オルガノフードテック株式会社製)を、1:20:3:3の質量比で混合し、実施例1の組成物を調製した。
〔出汁巻き玉子の製造〕
冷蔵庫内で冷却した出汁30部に実施例1の組成物を加え、分散させた。このとき、出汁巻き玉子の総量に対する成分(A)〜(D)の各含有量が、それぞれ下記表1に記載の値となるよう、実施例1の組成物を添加した。実施例1の組成物を添加した出汁に、液卵70部を加え、泡立たない程度に混合した。中火に熱した玉子焼き器に、得られた卵液を流し入れて加熱凝固させることにより、縦4.5cm、横7.5cm、厚さ2.8cm程度の出汁巻き玉子を製造した。
〔冷解凍試験〕
得られた出汁巻き玉子を室温で十分放冷した後、−20℃の冷凍庫に入れ、冷凍させた。冷凍庫に入れてから48時間経過した後、出汁巻き玉子を冷凍庫から取り出し、ビニール袋に入った状態で流水による解凍を十分な時間をかけて行い、完全に解凍させた。この冷解凍試験後の出汁巻き玉子を、後述する官能試験および歩留り測定試験の試験サンプルとして用いた。
〔官能試験〕
上記で得られた試験サンプルについて、官能試験を行った。官能試験では、8人の健康な成人により、各実施例および各比較例の出汁巻き玉子約10グラムを口に含み、それぞれの食感を5段階の評価基準(1:悪い(スポンジ状食感)、2:やや悪い(ややスポンジ状食感)、3:やや良い(ややなめらかな食感)、4:良い(なめらかな食感)、5:非常に良い(非常になめらかな食感))に基づいて評価した。実施例1の試験サンプルの評価結果の平均スコアは、4.5であった。
〔歩留り測定試験〕
上記で得られた試験サンプルについて、冷凍歩留り、加圧歩留りおよび製品歩留りをそれぞれ測定した。冷凍歩留りは、冷解凍前後の試験サンプルの重量変化率であり、冷解凍試験前後において重量を測定し、下記の計算式
冷凍歩留り(%)=(冷凍後の重量/冷凍前の重量)×100
により、冷凍歩留りを算出した。
加圧歩留りでは、冷解凍試験後の試験サンプルに対して圧力を付与し、その前後の重量を測定する。加圧歩留り試験により、解凍後の試験サンプルが保持している水分量を計測することで、試験サンプルの保水力を評価することができる。加圧歩留りは、まず、冷解凍試験後の試験サンプルを幅2cm、長さ4.5cm、厚さ2.8cmにカットして、その重量を測定した。カットされた試験サンプルの上下をろ紙で挟み、試験片の上に400gの重石を載せた。重石を載せてから3分間経過後、重石を外し、ろ紙を取り除いて、試験サンプルの重量を測定した。次いで、下記の計算式
加圧歩留り(%)=(重石を載せた後の重量/重石を載せる前の重量)×100
により、加圧歩留りを算出した。
冷凍歩留りおよび加圧歩留りから、試験サンプルの最終的な製品歩留りを、
製品歩留り(%)=(冷凍歩留り(%)×加圧歩留り(%))/100
の計算式により算出した。その結果、実施例1の試験サンプルの製品歩留りは、88.1%であった。
(実施例2〜10、参照例、比較例1〜7)
出汁巻き玉子の総量に対する成分(A)〜(D)の各含有量が下記表1および表2に記載の値となるように、成分(A)〜(D)の各使用量および出汁に添加する組成物の添加量を調整すること以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜10および比較例1〜7の組成物を調製し、出汁巻き玉子の試験サンプルを製造した。また、参照例では成分(A)〜(D)のいずれも添加しないこと以外は実施例1と同様にして、出汁巻き玉子の試験サンプルを製造した。得られた各試験サンプルにつき、実施例1と同様に、冷解凍試験を行った後、官能試験および歩留り測定試験を行った。
なお、各実施例および比較例において、グルコマンナンは清水化学株式会社製、商品名「レオレックスOne」を、グァーガムはオルガノフードテック株式会社製、商品名「オルノーG1」を、タラガムは扶桑化学株式会社製、商品名「スピノガム」を、タマリンドシードガムはDSP五協フード&ケミカル株式会社製、商品名「グリロイド3S」を、サイリウムシードガムは三栄薬品貿易株式会社製、商品名「殺菌サイリウムハスク末」を、それぞれ使用した。
表1および表2に、実施例1〜10、参照例および比較例1〜7のそれぞれについて、組成物の組成、官能試験の結果、および歩留り測定試験の結果を示す。
Figure 0006687559
Figure 0006687559
本発明の成分(A)〜(D)の組合せを含む組成物を用いて出汁巻き玉子を調製し、冷解凍試験、官能試験および歩留り測定試験を行った結果、本発明の組成物を含む出汁巻き玉子は、比較例1〜7の出汁巻き玉子に比較して、食感改善効果および歩留り向上効果のいずれにおいても格段に向上することが明らかとなった。例えば、成分(A)〜(D)の組合せを含む実施例1の組成物と、成分(B)を含まないこと以外は実施例1と同じ組成を有する比較例4の組成物とを比較すると、官能試験では、比較例4の3.0に対して実施例1の4.5と1.5ポイントも改善し、製品歩留りでは、比較例4の83.1%に対して実施例1の88.1%と5.0%も向上した。また、成分(A)〜(D)の組合せを含む実施例7の組成物と、成分(A)を含まないこと以外は実施例7と同じ組成を有する比較例7の組成物とを比較すると、官能試験では、比較例7の2.8に対して実施例7の5.0と2.2ポイントも改善し、製品歩留りでは、比較例7の84.9%に対して実施例7の88.7%と3.8%も向上した。
[試験例2:乳由来タンパク質の冷凍変性防止]
乳由来タンパク質について本組成物の冷凍変性防止効果を確認するため、本組成物を含有する乳由来タンパク質含有ゲルを製造し、得られた乳由来タンパク質含有ゲルを用いて、冷解凍試験、官能試験および歩留り測定試験を行った。
(実施例11)
〔冷凍変性防止剤の調製〕
スクシノグリカン(商品名「サクリノグリカンJ」、DSP五協フード&ケミカル株式会社製)、もち米澱粉(商品名「モチールB」、上越スターチ株式会社製)、ローカストビーンガム(商品名「オルノーL1」、オルガノフードテック株式会社製)、グルコマンナン(商品名「レオレックスOne」、清水化学株式会社製)を、1:20:3:4の質量比で混合し、実施例11の組成物を調製した。
〔乳由来タンパク質含有ゲルの製造〕
乳由来タンパク質(商品名「ラクトアルブミンE」、オルガノフードテック株式会社製)および実施例11の組成物を水に加え、分散させた。なお、本試験で用いられた乳由来タンパク質は、牛乳の乳清由来のタンパク質であり、液体卵白の代替品として用いられる。このとき、分散液の総量に対する成分(A)〜(D)の各含有量が、それぞれ下記表1に記載の値となるよう、実施例11の組成物を添加した。分散液を塩化ビニル製ケーシング(内容量160ml)に充てんし、75℃にて45分間加熱することで、実施例11の組成物を含む乳由来タンパク質含有ゲルを製造した。
〔冷解凍試験〕
乳由来タンパク質含有ゲルの入ったケーシングを、流水にて30分間冷却した。次いで、5℃の冷蔵庫に90分間以上保管した後、−20℃の冷凍庫に入れ、冷凍させた。冷凍庫に入れてから48時間経過した後、乳由来タンパク質含有ゲルの入ったケーシングを冷凍庫から取り出し、流水による解凍を十分な時間をかけて行い、完全に解凍させた。この冷解凍試験後の乳由来タンパク質含有ゲルを、後述する官能試験および冷解凍前後の歩留り測定試験の試験サンプルとして用いた。
〔官能試験〕
上記で得られた試験サンプルについて、試験例1と同様にして、官能試験を行った。実施例11の試験サンプルの評価結果の平均スコアは、4.0であった。
〔歩留り測定試験〕
上記で得られた試験サンプルについて、下記の方法により加圧歩留りを測定した。冷解凍試験後の試験サンプルを幅4.8cm、長さ3cm、厚さ1cmにカットして、その重量を測定した。カットされた試験サンプルの上下をろ紙で挟み、試験片の上に10kgの重石を載せた。重石を載せてから10秒間経過後、重石を外し、ろ紙を取り除いて、試験サンプルの重量を測定した。次いで、下記の計算式
加圧歩留り(%)=(重石を載せた後の重量/重石を載せる前の重量)×100
により、加圧歩留りを算出した。実施例11の試験サンプルの加圧歩留りは、82.3%であった。
(実施例12〜13、比較例8〜10)
乳由来タンパク質含有ゲルの総量に対する成分(A)〜(D)の各含有量が下記表3に記載の値となるように、成分(A)〜(D)の各使用量および分散液に添加する組成物の添加量を調整すること以外は、実施例11と同様にして、実施例12〜13および比較例8〜10の組成物を調製し、乳由来タンパク質含有ゲルの試験サンプルを製造した。得られた各試験サンプルにつき、実施例11と同様に、冷解凍試験を行った後、官能試験および歩留り測定試験を行った。
表3に、実施例11〜13および比較例8〜10のそれぞれについて、組成物の組成、官能試験の結果、および歩留り測定試験の結果を示す。
Figure 0006687559
本発明の成分(A)〜(D)の組合せを含む組成物を用いて乳由来タンパク質含有ゲルを調製し、冷解凍試験、官能試験および歩留り測定試験を行った結果、本発明の組成物を含む乳由来タンパク質含有ゲルは、比較例8〜10の乳由来タンパク質含有ゲルに比較して、食感改善効果および歩留り向上効果のいずれにおいても格段に向上することが明らかとなった。

Claims (8)

  1. 以下の成分(A)〜(D):
    (A)スクシノグリカン、
    (B)もち米澱粉、
    (C)ガラクトマンナン、タマリンドシードガムおよびサイリウムシードガムからなる群から選択される少なくとも1つ、並びに、
    (D)グルコマンナンおよびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1つ、
    を含有し、
    成分(A):成分(B):成分(C):成分(D)の質量比は、1〜100部:10〜1500部:2〜300部:2〜400部の範囲であ、食品用組成物。
  2. 前記ガラクトマンナンが、ローカストビーンガム、グァーガムおよびタラガムからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の食品用組成物。
  3. 前記成分(C)がグァーガムである、請求項1に記載の食品用組成物。
  4. 前記成分(D)がグルコマンナンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の食品用組成物。
  5. 食品の冷凍変性防止剤である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の食品用組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の食品用組成物を含有する食品。
  7. タンパク質含有食品である、請求項6に記載の食品。
  8. 冷凍食品である、請求項6または7に記載の食品。
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