JP6687348B2 - 食用油の劣化度を測定する装置、システム、プログラムおよび方法 - Google Patents

食用油の劣化度を測定する装置、システム、プログラムおよび方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6687348B2
JP6687348B2 JP2015170475A JP2015170475A JP6687348B2 JP 6687348 B2 JP6687348 B2 JP 6687348B2 JP 2015170475 A JP2015170475 A JP 2015170475A JP 2015170475 A JP2015170475 A JP 2015170475A JP 6687348 B2 JP6687348 B2 JP 6687348B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
value
edible oil
chromaticity
test piece
image data
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015170475A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017049030A (ja
Inventor
秀泰 境
秀泰 境
文男 唐澤
文男 唐澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
3M Innovative Properties Co
Original Assignee
3M Innovative Properties Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 3M Innovative Properties Co filed Critical 3M Innovative Properties Co
Priority to JP2015170475A priority Critical patent/JP6687348B2/ja
Publication of JP2017049030A publication Critical patent/JP2017049030A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6687348B2 publication Critical patent/JP6687348B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、食用油の劣化度を測定する装置、システム、プログラムおよび方法に関する。
フライ油などの食用油では、劣化に伴って遊離脂肪酸が生成される。この遊離脂肪酸の含有量(酸価値)を簡易的に測定して食用油の劣化度を判断するための試験紙として、遊離脂肪酸に対して呈色反応を起こす試薬付きの試験片が用いられている。
特許文献1には、油脂と反応し油脂の劣化の程度に応じて異なる呈色を生じる呈色体(試験紙)に光を照射し、呈色体による反射光を受光し、反射光の強度の情報と比較情報に基づき油脂の劣化の程度を判断し、その劣化の程度を表示する油脂劣化度測定装置が記載されている。
特許文献2には、内面に、内面の色とは異なり緑色、青色又は紫色に着色されたマークが設けられた容器本体に、マークを容器本体の開口部を通じて上方から見た場合に、マークが識別できなくなるまでフライ油を注ぐ工程と、フライ油の液面からマークまでの深さを測定する工程とを有するフライ油の劣化度評価方法が記載されている。
特許文献3には、試料容器に収容され試料を吸引し、反応容器に吐出する試料分注機構と、試薬容器に収容された試薬を吸引し、反応容器に吐出する試薬分注機構と、反応容器に照射された光を検出する複数の光度計と、試料分注機構及び試薬分注機構の動作を制御するとともに、各光度計について検量線の許容濃度範囲を設定し、設定した許容濃度範囲内での、各光度計が検出した光に基づいて算出した試料の濃度に従って、複数の光度計のうちのいずれかを選択し、選択した光度計が検出した光に基づく濃度を試料の濃度に決定するコントローラとを備える自動分析装置が記載されている。
特開2010−281610号公報 特開2009−025194号公報 特開2014−006160号公報
試験片を用いた食用油の劣化度の測定では、測定対象の食用油に浸された試験片の色と参照表(カラーチャート)の色とを比較することで、その食用油の酸価値が判定される。しかしながら、こうした色の比較を人間が行うと、判定結果が主観に依存し、測定者によって測定値にバラつきが生じるという不具合がある。
特許文献1の測定装置のように、試験片の色を自動的に読み出して比較し、結果を数値として表示すれば、食用油の劣化度を客観的に測定することが可能である。しかしながら、特許文献1の測定装置では、食用油に浸された試験紙を装置内部に設置する必要がある。このため、試験紙の設置部分が油分で汚れやすく、また、校正ができない仕様であるため、十分な測定精度を得ることが難しい。
また、フライ油などの食用油の品質を管理する際は、油の色も重要な要素であるため、酸価値だけでなくロビボンド値などの色度値も同時に測定できることが望ましい。しかしながら、色度値や酸価値などの客観的な測定を行うには、高価な専用の測定装置を使用しなければならず、その保守作業なども必要になる。このため、安価な汎用の装置を用いて、食用油の色度値と酸価値の両方を簡易に測定できることが好ましい。
そこで、本発明の目的は、測定対象の食用油の色度値と酸価値を、実用上十分な精度で汎用の装置により測定できるようにすることである。
本発明に係る装置は、試験片を撮像して画像データを取得する撮像部と、食用油の色度値および酸価値ならびに試験片の画像データの色値の間の対応関係を記憶する記憶部と、食用油に浸された試験片の画像データの色値に基づき、対応関係を参照して食用油の色度値を取得する色度値取得部と、食用油に浸された試験片の画像データの色値および取得された色度値に基づき、対応関係を参照して食用油の酸価値を取得する酸価値取得部と、取得された色度値および酸価値を出力する出力部とを有することを特徴とする。
上記の装置では、記憶部は、対応関係として、食用油の酸価値と試験片の画像データの色値との間の関係を示す検量線を、食用油の色度値に応じて複数記憶し、酸価値取得部は、取得された色度値に対応する検量線を参照して酸価値を取得することが好ましい。
上記の装置では、色度値取得部は、試験片の画像データのうち食用油と反応して変色する試薬を含まない余白部に対応する部分の色値に基づき、対応関係を参照して色度値を取得することが好ましい。
上記の装置は、食用油に浸される前の試験片の画像データのうち試薬を含む試薬部に対応する部分の色値に基づき、試薬が劣化しているか否かを判定する劣化判定部をさらに有し、出力部は、劣化判定部による判定結果を出力することが好ましい。
上記の装置は、食用油に浸される前の試験片の画像データのうち試薬部に対応する部分の色値を用いて、食用油に浸された試験片の画像データのうち試薬部に対応する部分の色値を補正する劣化補正部をさらに有し、酸価値取得部は、色値として、劣化補正部により補正された色値を使用することが好ましい。
上記の装置は、撮像部により撮像された画像の全体または一部の画像データに基づき光源の色温度および露光条件を算出し、算出された色温度および露光条件に応じた補正を画像データの色値に対して行う撮影条件補正部をさらに有し、色度値取得部と酸価値取得部は、色値として、撮影条件補正部により補正された色値を使用することが好ましい。
上記の装置は、測定対象の食用油の種類の入力を受け付ける受付部をさらに有し、記憶部は、対応関係として、食用油の酸価値と試験片の画像データの色値との間の関係を示す検量線を、食用油の種類ごとに記憶し、酸価値取得部は、入力された種類の食用油に対応する検量線を参照して酸価値を取得することが好ましい。
本発明に係るシステムは、互いに通信可能な端末装置とサーバ装置を含むシステムであって、端末装置は、食用油に浸された試験片を撮像して画像データを取得する撮像部と、試験片の画像データをサーバ装置に送信し、食用油の色度値および酸価値のデータをサーバ装置から受信する端末通信部と、受信された色度値および酸価値を表示する表示部とを有し、サーバ装置は、食用油の色度値および酸価値ならびに試験片の画像データの色値の間の対応関係を記憶する記憶部と、端末装置から受信された画像データの色値に基づき、対応関係を参照して食用油の色度値を取得する色度値取得部と、端末装置から受信された画像データの色値および取得された色度値に基づき、対応関係を参照して食用油の酸価値を取得する酸価値取得部と、画像データを端末装置から受信し、取得された色度値および酸価値を端末装置に送信するサーバ通信部とを有することを特徴とする。
本発明に係るプログラムは、食用油の色度値および酸価値ならびに試験片の画像データの色値の間の対応関係を記憶する記憶部を有するコンピュータに、食用油に浸された試験片の画像データを取得し、画像データの色値に基づき、対応関係を参照して食用油の色度値を取得し、画像データの色値および取得された色度値に基づき、対応関係を参照して食用油の酸価値を取得し、取得された色度値および酸価値を出力する機能を実現させることを特徴とする。
本発明に係る方法は、試験片を食用油に浸すステップと、食用油に浸された試験片を撮像するステップと、食用油の色度値および酸価値ならびに試験片の画像データの色値の間の対応関係を記憶する記憶部を有するコンピュータが、撮像された試験片の画像データの色値に基づき、対応関係を参照して食用油の色度値を測定するステップと、コンピュータが、画像データの色値および取得された色度値に基づき、対応関係を参照して食用油の酸価値を測定するステップとを有することを特徴とする。
上記の方法の浸すステップでは、少なくとも一部が食用油吸収性の素材からなる試験片を食用油に浸すことが好ましい。
本発明によれば、測定対象の食用油の色度値と酸価値を、実用上十分な精度で汎用の装置により測定することができる。
端末装置1の概略構成図である。 試験片を用いた端末装置1による測定について説明するための図である。 色度値の検量線の例を示すグラフである。 酸価値の検量線の例を示すグラフである。 制御部14の機能ブロック図である。 試験片の画像23上の着目領域を示した図である。 光源補正および露光補正について説明するためのグラフである。 端末装置1の色度値測定の精度を示すグラフである。 端末装置1の酸価値測定の精度を示すグラフである。 試験片の暴露時間と画像データの色値との関係を示すグラフである。 端末装置1の動作例を示すフローチャートである。 通信システム2の概略構成図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。なお、本明細書においては、RGB表色系、L*a*b*表色系を例として取り上げるが、これらの表色系に限定されるものではなく、任意の表色系を採用可能である。また、本明細書におけるRGB形式の記載は広義のRGB形式を意味し、sRGB形式その他のRGB形式を含む。
図1は、端末装置1の概略構成図である。端末装置1は、撮像部11と、発光部12と、記憶部13と、制御部14と、操作部15と、表示部16とを有する。
端末装置1は、食用油の劣化度を測定する装置の一例であり、例えば、カメラが内蔵されたスマートフォンなどの携帯端末である。端末装置1は、測定対象の食用油に浸された試験片の画像を撮影し、その試験片が示す色に基づき、食用油の劣化度として色度値および酸価値(Acid Value)を測定して、それらを数値で表示する。端末装置1では、例えば、色度値としてロビボンド値を使用する。以下、ロビボンド値と酸価値のことを、それぞれ「LB値」、「AV値」ともいう。
撮像部11は、試験片の画像を撮影し、RAW(DNG)データ、JPEG(JFIF)データまたはRGBデータなどの形式で、画像データを取得する。発光部12は、撮像部11を構成するレンズに隣接して配置され、必要に応じて、撮像部11による撮像時に発光する。
記憶部13は、例えば半導体メモリであり、撮像部11が取得した画像データや、端末装置1の動作に必要なデータなどを記憶する。また、記憶部13は、測定対象の食用油の劣化度に応じた測定対象物の色情報(色値)を、参照情報として記憶する。この参照情報は、測定対象の食用油の色度値および酸価値ならびに試験片の画像データの色値の間の対応関係である。例えば、記憶部13は、食用油に浸された試験片の画像データの色値と食用油の色度値との間の関係を示す検量線、および、食用油に浸された試験片の画像データの色値と食用油の酸価値との間の関係を示す検量線を記憶する。なお、色情報(色値)や色度値は、特定の色空間に限定されるものではなく、どの色空間のものでもよく、また、多変量解析による固有ベクトルに基づく、最も判定しやすい特定の色空間でもよい。
制御部14は、CPU、RAM、ROMなどにより構成され、端末装置1の動作を制御する。制御部14は、撮像部11が撮影した試験片の画像データを解析するプログラムを働かせる演算機能に相当する。操作部15は、例えばタッチパネル、キーボタンなどにより構成され、ユーザの操作を受け付ける。表示部16は、例えば液晶ディスプレイであり、タッチパネルディスプレイとして操作部15と一体化されていてもよい。表示部16は、出力部の一例であり、制御部14による測定結果の色度値および酸価値を表示する。
図2は、試験片を用いた端末装置1による測定について説明するための図である。図2では、未使用状態の試験片21と、測定対象の食用油に浸された試験片22と、試験片22の画像23を表示した端末装置1を示している。
試験片21は、食用油に浸されるときの上端位置の目安となるマーク25、食用油と反応して変色する試薬を含む試薬部26、および試薬を含まない余白部27を有する。マーク25は、試験片21の上部に1つ設けられている。試験片21の基材としては特に限定されるものではないが、後述の食用油の色度値の取得の観点から、濾紙等の食用油吸収性の素材が好適である。試薬部26は、食用油の劣化によって生じた遊離脂肪酸に触れたときに呈色反応する酸塩基指示薬が塗布された領域であり、試験片21では、一例として、A帯、B帯、C帯およびD帯の4つの領域で構成される。A帯〜D帯は、測定対象物と反応していない状態では例えば同じ青色である。余白部27は、試験片21上のA帯〜D帯の間にある白色領域である。
試験片21が測定対象の食用油に浸されると、その劣化度に応じて、A帯〜D帯の色が例えば青色から黄色に変化する。その際、劣化度が低い場合にはD帯だけが変色するが、劣化度が高くなるにつれて、D帯、C帯、B帯、A帯の順により多くの領域が変色し、劣化度が最も高い場合には試薬部26のすべての領域が変色する。図2では、C帯とD帯の色が変化した試験片22を示している。
端末装置1は、測定対象の食用油に浸された試験片22の画像23を撮像部11により撮影して、その画像データから試験片の色情報を非接触で取得する。その際、端末装置1は、試験片の画像のRGB表色系のデータを、L*a*b*表色系のデータに変換する。試験片21の試薬部26は、食用油中の遊離脂肪酸と反応して青色から黄色に変色し、また、食用油自体も、劣化により薄黄色から焦げ茶色に変色するが、これらの色の変化は、L*a*b*表色系の3軸のうちで、b*軸の値により最も的確に表される。そこで、端末装置1は、試験片の画像データの色値としてb*値を使用し、そのb*値をもとに、記憶部13に記憶されている検量線のデータを参照することで、試験片の色に対応するロビボンド値およびAV値を取得する。そして、端末装置1は、得られたロビボンド値およびAV値を測定値24として、表示部16に表示する。
このように、試験片21と、食用油に浸された試験片22を撮影し、その画像データを解析して、食用油の劣化度を数値で表示する端末装置1とにより、食用油の劣化度を測定するシステムが構成される。なお、表示部16は、測定値24とともに、測定値24が基準範囲内であるか否かを示す情報などを併せて表示してもよい。また、端末装置1からの色度値と酸価値の出力は、表示出力に限らず、例えば、印刷出力や外部装置へのデータ出力など、他の形態であってもよい。
図3は、色度値の検量線の例を示すグラフである。図3に示した検量線50は、ロビボンド比色計により測定された複数のフライ油(植物油)のロビボンド値と、それらのフライ油に浸された試験片22の余白部27の画像データから求められたb*値とをプロットして作成されたものである。図3のグラフの縦軸はロビボンド値(LB値)であり、横軸は補正された余白部27のb*値(cb*値という)である。cb*値は、各フライ油について、グレーのカラーチップと一緒に試験片22の画像を撮影し、そのグレーの色を基準として、撮影時の光源や撮像部11の自動露光の条件が同じになるように各画像データのb*値を補正して得られた値である。
試験片21がフライ油に浸されたときに、試験片21の余白部27は、試験片21の基材である濾紙がフライ油を吸収することにより、そのフライ油の色に応じて茶色く変色するが、図3のグラフから、そのときのcb*値とフライ油のロビボンド値との間には高い相関があることがわかる。図3の検量線50により、試験片21の画像データにおける余白部27のcb*値から、測定対象の食用油のロビボンド値(LB値)が求められる。記憶部13は、食用油に浸された試験片の画像データの色値と食用油の色度値との間の対応関係として、検量線50のデータを記憶する。
図4は、酸価値の検量線の例を示すグラフである。図4に示した検量線51,52は、公定法により測定された複数のフライ油の酸価値と、そのフライ油に浸された試験片22のC帯の画像データから求められたb*値とをプロットして作成されたものである。図4のグラフの縦軸は酸価値(AV値)であり、横軸は補正されたC帯のb*値(cb*値)である。cb*値は、各フライ油について、グレーのカラーチップと一緒に試験片22の画像を撮影し、そのグレーの色を基準として、撮影時の光源や撮像部11の自動露光の条件が同じになるように各画像データのb*値を補正して得られた値である。
なお、試薬部26の色はD帯から変化するため、検量線はD帯のcb*値について作成してもよいし、D帯とC帯またはD帯〜B帯など、複数の試薬部26について作成してもよい。ただし、実用上の多くの場合には、試薬部26の4つの領域うちでC帯のcb*値が、食用油の交換の目安となる酸価値2.5を含む酸価値0から5の範囲において、測定対象の食用油の酸価値と最も相関が高い。そこで、記憶部13は、食用油に浸された試験片の画像データの色値と食用油の酸価値との間の対応関係として、C帯のcb*値とAV値との対応関係を記憶する。
試験片22の色から食用油の酸価値を求める場合には、食用油の色が試験片22の色に影響する。そこで、酸価値の測定値の精度を向上させるために、記憶部13は、食用油の酸価値と試験片の画像データの色値との間の関係を示す検量線を、食用油の色度値に応じて複数記憶し、端末装置1は、測定対象の食用油の色によって検量線を使い分ける。図4では、一例として、色度値(LB値)に応じて2種類の検量線51,52を使い分ける場合の例を示している。このうち、検量線51は、LB値が70未満であり色が薄い食用油についての検量線であり、検量線52は、LB値が70以上であり色が濃い食用油についての検量線である。色度値に応じて3本以上の検量線を用意し、それらを使い分けてもよいが、実験の結果、2つの検量線51,52でも実用上は十分な精度が得られることが確かめられている。
発明者は、色が薄い食用油についての検量線51を次のように作成した。まず、キャノーラ油(日清オイリオ)とオレイン酸を用いて、酸価値が0.1から5.0の間で異なる複数の油を作成し、公定法を用いてこれらの油の酸価値を正確に測定した。そして、これらの油を160℃〜170℃に加熱して、その中に試験片21を浸し、得られた試験片22をグレーのカラーチップとともに端末装置1の撮像部11で撮影した。得られた画像データのC帯のcb*値と公定法により得られた酸価値とをプロットしたところ、図4に丸印で示す結果が得られた。LB値が70未満である色が薄い油については、これらの結果は、符号51で表される直線の式によく当てはまった。そこで、LB値が70未満の油については、その式を検量線51として採用した。
また、発明者は、色が濃い食用油についての検量線52を次のように作成した。まず、ファミリーレストランで実際に使用されているフライ油(植物油)を複数回収し、公定法を用いてこれらの油の酸価値を正確に測定した。そして、これらの油を160℃〜170℃に加熱して、その中に試験片21を浸し、得られた試験片22をグレーのカラーチップとともに端末装置1の撮像部11で撮影した。得られた画像データのC帯のcb*値と公定法により得られた酸価値とをプロットしたところ、図4に三角印で示す結果が得られた。LB値が70以上である色が濃い油については、これらの結果は、符号52で表される曲線の式によく当てはまった。そこで、LB値が70以上の油については、その式を検量線52として採用した。
食用油の酸価値の測定では、上記のように食用油の色度値によって検量線を使い分けることにより、測定値の精度を向上させることができる。端末装置1では、検量線51,52のデータが、食用油に浸された試験片の画像データの色値と食用油の酸価値との間の対応関係として、記憶部13に記憶される。
次に、色度値と酸価値を測定するための制御部14の各機能について説明する。
図5は、制御部14の機能ブロック図である。制御部14は、機能ブロックとして、画素選択部141と、変換部142と、撮影条件補正部143と、色度値取得部144と、酸価値取得部145と、劣化判定部146と、劣化補正部147とを有する。
画素選択部141は、撮像部11により取得された試験片の画像から、色情報を算出する画素を選択する。
図6は、試験片の画像23上の着目領域を示した図である。図6では、画素選択部141により選択される各着目領域の画素の集合を、それぞれ四角で示している。画像23は、例えば、約18%の反射率をもつ灰色(無彩色)のシート上に試験片22が置かれて撮影された画像である。画像23の横方向にx軸をとり、縦方向にy軸をとる。
画素選択部141は、例えば、ユーザが操作部15を介して試験片22を指定する操作に応じて、A帯〜D帯を含む矩形領域を検出する。具体的には、画像23が表示されたタッチパネル上のC帯をユーザがタッチするか、または、ユーザが画像23を画面内で移動させ、画面に表示されたターゲットマークをC帯に重ね合わせる、といった操作により、画素選択部141は、C帯の位置を認識した上で、同系色の範囲を識別することでC帯の矩形領域を検出し、そして、C帯の座標を基準に他の領域(A帯、B帯、D帯)を検出する。あるいは、画素選択部141は、試験片22のうちA帯〜D帯以外の領域の白色と、背景の灰色との濃淡差から、A帯〜D帯を含む矩形領域を検出してもよい。あるいは、画素選択部141は、A帯〜D帯を含む試験片22の特徴を抽出して画像認識することにより、その矩形領域あるいはユーザの指示に基づき利用する部分のみ、例えばC帯のみを検出してもよい。
矩形領域を検出すると、画素選択部141は、試験片上の相対値な位置関係から、C帯の中心点(Cx,Cy)を、食用油の酸価値を求めるための着目領域の中心画素として選択する。また、画素選択部141は、B帯とC帯の間にある余白部27の点(Yx,Yy)を、食用油の色度値を求めるための着目領域の中心画素として選択する。また、画素選択部141は、試験片の上側のマーク25よりさらに上側にある、食用油に浸されていない白色部分の点(Wx,Wy)と、背景の灰色シート上の点(Gx,Gy)を、光源の色温度と撮影時の露光条件を補正するための着目領域の中心画素として選択する。測定誤差を減らすために、画素選択部141は、上記の各点を中心とするx,y方向に±2画素の5×5画素、±3画素の7×7画素、または±4画素の9×9画素などの複数の画素を選択するとよい。
変換部142は、撮像部11により撮影された画像データの色値を、L*a*b*表色系の色値に変換する。撮像部11により撮影された画像データの色値は、通常、RGB表色系のデータであるから、変換部142は、例えば、RGB表色系のデータをL*a*b*表色系のデータに変換する。なお、撮像部11により取得された画像データがRAWデータである場合には、変換部142は、例えば、撮像部11を製造したメーカが提供する変換テーブルを用いてRAWデータをRGB値に変換し、さらにL*a*b*値に変換する。
撮影条件補正部143は、撮像部11により撮像された画像の全体または一部の画像データに基づき光源の色温度(基準光源であるD65(色温度:6504k)等からの差)を算出し、その色温度に応じた補正を画像データの色値に対して行う。また、撮影条件補正部143は、撮像部11により撮像された画像の全体または一部の画像データに基づき光源の露光条件を算出し、その露光条件に応じた補正を画像データの色値に対して行う。
図7は、光源補正および露光補正について説明するためのグラフである。図7では、均一で異なる濃さの5つの無彩色(灰色)のシート上に同じ試験片を置いて撮影したときのsR値、sG値およびsB値をプロットしている。横軸は、試験片を識別するためのサンプル番号Nであり、大きい数値ほど明るいシートに対応している。縦軸は、sR値、sG値またはsB値である。グラフDr,Dg,Dbは、それぞれD帯のsR値、sG値およびsB値の変化に相当し、グラフaveR,aveG,aveBは、それぞれ画像全体の平均のsR値、sG値およびsB値の変化に相当する。
例えば、D65相当の蛍光灯に代えて白熱電灯の照明光源の下で試験片の画像を撮影すると、その光源の影響を受けて、A帯〜D帯のRGB値や、画像全体の平均のRGB値が変化する。また、図7のグラフに示した値は、均一で異なる濃さの無彩色を背景として同一の試験片を撮影したときのものであるが、試験片がなければ自動露出機構が働き、本来はすべての画像が同じ明るさ(反射率が約18%)になるはずである。しかしながら、灰色の背景の中にほぼ白色の試験片が置かれていると、その分が誤差を与えるため、画像内の試験片の明るさが変化し、試験片の明るさに影響する。
そこで、例えば、図7に示した関係を記憶部13に予め記憶させておき、撮影条件補正部143は、図7の関係を用いて、光源および自動露出機構によるRGB値の変化を打ち消す補正を行う。その際は、撮影条件補正部143は、灰色のシート上に試験片が置かれて撮影された画像全体の平均のRGB値、図6の点(Gx,Gy)の部分のRGB値(シートの色を示す値)、および図6の点(Wx,Wy)の部分のRGB値(試験片の白色を示す値)の少なくともいずれか1つを取得する。そして、撮影条件補正部143は、取得した画像全体の平均のRGB値、シートのRGB値および試験片の白色を示すRGB値の少なくともいずれか1つについて、図7のグラフからのずれを算出し、そのずれを打ち消す量だけ、画像データのRGB値を補正する。
なお、背景がこのような均一のものではない場合でも、撮影条件補正部143は、いわゆる被写体の全平均反射率は18%前後の無彩色であるという仮定に基づいて補正してもよく、また、背景色と光源が既知であれば、それに基づいて補正することもできる。また、撮像時の照明の色温度が撮像情報として記録されていれば、撮影条件補正部143は、それを抽出して利用してもよい。試験片の撮影時に標準背景を使用し、さらに撮影条件補正部143が光源や撮像部11の自動露光の補正を行うことにより、色度値と酸価値の測定精度を向上させることが可能である。
なお、撮影条件補正部143は、変換部142により変換されたL*a*b*値に対して補正処理を行ってもよい。RGB値とL*a*b*値は1対1に対応することから、RGB値に対して補正することは、L*a*b*値に対して補正することと同義である。
色度値取得部144は、食用油に浸された試験片22の画像データの色値に基づき、記憶部13に記憶されている対応関係を参照して、食用油の色度値を取得する。その際、色度値取得部144は、試験片22の画像データのうち余白部27に対応する部分のb*値に基づき、図3に示した検量線50を参照して色度値を取得する。色度値取得部144は、b*値として、撮影条件補正部143により補正された値(cb*値)を使用するとよい。色度値取得部144により取得された色度値(LB値)は、表示部16に表示される。
酸価値取得部145は、食用油に浸された試験片22の画像データの色値、および色度値取得部144により取得された色度値に基づき、記憶部13に記憶されている対応関係を参照して、食用油の酸価値を取得する。その際、酸価値取得部145は、試験片22の画像データのうちC帯に対応する部分のb*値に基づき、取得された色度値に応じて、図4に示した検量線51,52のいずれかを参照して酸価値を取得する。例えば、酸価値取得部145は、色度値(LB値)が70未満であれば検量線51を使用し、色度値(LB値)が70以上であれば検量線52を使用する。酸価値取得部145は、b*値として、撮影条件補正部143により補正された値(cb*値)を使用するとよい。酸価値取得部145により取得された酸価値(AV値)は、表示部16に表示される。
図8は、端末装置1の色度値測定の精度を示すグラフである。このグラフは、複数のフライ油について、端末装置1により色度値(LB値)を測定するとともに、ロビボンド比色計により実際のLB値を測定して、両者の差(ΔLB)をプロットしたものである。図8の横軸は、フライ油の実際のLB値であり、縦軸は、端末装置1により測定されたLB値から実際のLB値を引いた値を示す。実用上許容されるLB値の誤差は±20程度であり、この範囲内に95.1%の測定値が入っていることから、端末装置1による色度値測定は、実用上十分な精度であることが確かめられた。
図9は、端末装置1の酸価値測定の精度を示すグラフである。このグラフは、複数のフライ油について、端末装置1により酸価値(AV値)を測定するとともに、公定法により実際のAV値を測定して、両者の差(ΔAV)をプロットしたものである。図9の横軸は、フライ油の実際のAV値であり、縦軸は、端末装置1により測定されたAV値から実際のAV値を引いた値を示す。実用上許容されるAV値の誤差は±0.5程度であり、この範囲内に88.1%の測定値が入っていることから、端末装置1による酸価値測定は、実用上十分な精度であることが確かめられた。
劣化判定部146は、食用油に浸される前の試験片の画像データのうち試薬部26に対応する部分の色値に基づき、試薬が劣化しているか否かを判定する。
試験片21の試薬部26は、空気中の二酸化炭素および水分とも徐々に反応するため、密閉保管をしないと、時間の経過とともに劣化(酸化)する。劣化した試験片21でフライ油を測定すると、劣化した分だけ色が余計に変化するため、測定値が正しい酸価値からずれることがある。厚生労働省の指針(「弁当及びそうざいの衛生規範について」昭和54年6月29日 環食第161号 厚生省環境衛生局食品衛生課長通知)では、AV値が2.5以上の場合に油を交換すると定められているので、劣化した試験片21を使用すると、例えば、まだ交換時期になっていないフライ油であるにもかかわらず、2.5以上の誤ったAV値が出力されて油を無駄に交換するという場合も起こり得る。このため、試験片21が正しく測定できるものであるか否かを確認することは重要である。
図10は、試験片の暴露時間と画像データの色値との関係を示すグラフである。試薬部26のA帯〜D帯の色は、劣化の度合いによって青色から黄色に変化するので、試薬部26の画像データのうち例えばC帯の色値を用いることで、試験片の劣化(酸化)度合いを確かめることができる。劣化の度合いは温度、湿度および暴露時間によるが、図10では、温度を25.8℃に、湿度を44.0%に固定した場合の、食用油に浸される前の試験片21の暴露時間と、C帯の画像データのb*値との関係を示す。図10のグラフの横軸は、暴露時間t(単位:時間)であり、縦軸は、撮影条件補正部143による補正後のC帯のb*値(cb*値)である。図10のグラフから、暴露時間tとC帯の色値(cb*値)の間には高い相関関係があることがわかる。
酸価値の許容範囲が「実際の酸価値±0.5」であることから、酸価値に換算して0.5以上劣化している試験片21は使用に適さないと考えられる。酸価値で0.5に相当する程度だけ暴露などにより試験片が劣化するのに要する時間は、温度25.8℃および湿度44.0%の条件下では10.8時間である。図10のグラフから、10.8時間でC帯のcb*値は、約10だけ上昇するため、使用前にC帯のcb*値が約10以上上昇している試験片21では、正しい酸価値(AV値)を測定できないことがわかる。そこで、端末装置1は、図10のグラフにおいて、試験片21が10.8時間暴露されたときのcb*値(−17程度)をしきい値Thとして、劣化判定部146による判定に使用する。
以上の考察に基づき、劣化判定部146は、例えば、撮像部11により撮影された使用前の試験片の画像データのうち、C帯のb*値を取得し、その値としきい値Thとの大小を判定する。その際、使用前の試験片の画像も、使用後の試験片と同様に、基準のカラーチップとともに撮影し、画像データのb*値としては、撮影条件補正部143による補正後のcb*値を用いることが好ましい。劣化判定部146は、C帯のcb*値がしきい値Th未満である場合には、対象の試験片21は使用可能(Good)であると判定し、C帯のcb*値がしきい値Th以上である場合には、対象の試験片21は使用不可(NG)であると判定する。劣化判定部146による判定結果(GoodまたはNG)は、表示部16に表示される。
このように、食用油に浸される前の試験片を撮像部11により撮影し、劣化判定部146により、その画像中のC帯の画像データを解析することで、試験片がどの程度劣化しているか、および正しく測定できる試験片であるのかどうかを判定することができる。劣化判定部146により使用可能であると判定された試験片21を使用すれば、正しい酸価値を測定することができ、食用油の品質管理を正しく行うことが可能になる。
劣化補正部147は、食用油に浸される前の試験片21の画像データのうち試薬部26に対応する部分の色値を用いて、食用油に浸された試験片22の画像データのうち試薬部26に対応する部分の色値を補正する。使用前の試験片の画像データに含まれるC帯のcb*値と、図10のグラフのY切片cb0との差が劣化(酸化)度合いを示すことから、劣化補正部147は、使用後の試験片のC帯のcb*値に対して、この差に相当する量の補正を行う。具体的には、劣化補正部147は、撮像部11により基準のカラーチップとともに撮影され、撮影条件補正部143により補正された使用前の試験片のC帯のcb*値を取得し、その値と図10のグラフのY切片cb0との差を求める。そして、劣化補正部147は、食用油に浸された試験片22の画像のデータに含まれるC帯のcb*値からこの差と同じ値を差し引くことで、試験片の劣化度合いによる影響を補正する。この場合、酸価値取得部145は、cb*値として、劣化補正部147により補正された値を使用する。
発明者は、劣化補正部147による補正の効果を確かめるために、新油のキャノーラ油(日清オイリオ)にオレイン酸を加えて、酸価値1.88、2.44、2.88の3つのフライ油を作成した。そして、各フライ油について、公定法により実際の酸価値を求めるとともに、端末装置1によりAV値を54回ずつ測定した。公定法によるAV値と端末装置1によるAV値との誤差をΔAVとし、誤差は正規分布に従うとの仮定の下で、統計的手法を用いて、AV値が許容範囲の±0.5以内になる測定精度を求めたところ、表1に示す結果が得られた。
Figure 0006687348
表1の結果からわかるように、食用油に浸される前の試験片の画像データを用いて、試験片の劣化度に応じた補正を画像データに加えた上で酸価値の計算を行えば、試験片を2回撮影する手間は生じるが、AV値の測定精度を向上させることが可能である。
図11は、端末装置1の動作例を示すフローチャートである。図11の各ステップの処理は、記憶部13に記憶されているプログラムに基づいて、制御部14により、端末装置1の各要素と協働して実行される。
まず、食用油に浸される前(使用前)の試験片をユーザが撮像部11により撮像することで、制御部14は、使用前の試験片の画像データを取得する(ステップS1)。すると、変換部142は、ステップS1で得られ、画素選択部141により選択された画像データのRGB値をL*a*b*値に変換する(ステップS2)。そして、撮影条件補正部143は、ステップS2で得られたb*値に対して光源および自動露光の補正を行って、cb*値を取得する(ステップS3)。
ここで、劣化判定部146は、ステップS3で得られたcb*値が試験片の劣化判定用のしきい値Th未満であるか否かを判定する(ステップS4)。cb*値がしきい値Th以上である場合(ステップS4でNo)には、劣化判定部146は、撮影された試験片は使用不可であると判定し、処理はステップS1に戻る。その際、劣化判定部146は、判定結果を表示部16に表示させる。
一方、cb*値がしきい値Th未満である場合(ステップS4でYes)には、劣化判定部146は、撮影された試験片は使用可能であると判定し、処理はステップS4に進む。その際、劣化判定部146は、判定結果を表示部16に表示させる。
次に、食用油に浸された後(使用後)の試験片をユーザが撮像部11により撮像することで、制御部14は、使用後の試験片の画像データを取得する(ステップS5)。すると、変換部142は、ステップS5で得られ、画素選択部141により選択された画像データのRGB値をL*a*b*値に変換する(ステップS6)。そして、撮影条件補正部143は、ステップS6で得られたb*値に対して光源および自動露光の補正を行って、cb*値を取得する(ステップS7)。
ここで、劣化補正部147は、ステップS7で得られたcb*値に対し、ステップS3で得られたcb*値を差し引く劣化補正を行う(ステップS8)。また、色度値取得部144は、記憶部13に記憶されている検量線50のデータを参照して、ステップS8で得られたcb*値から、測定対象の食用油のLB値を取得する(ステップS9)。そして、酸価値取得部145は、ステップS9で得られたLB値が70未満であるか否かを判定する(ステップS10)。
LB値が70未満である場合(ステップS10でYes)には、酸価値取得部145は、記憶部13に記憶されている淡色用の検量線51のデータを参照して、ステップS8で得られたcb*値から、測定対象の食用油のAV値を取得する(ステップS11)。一方、LB値が70以上である場合(ステップS10でNo)には、酸価値取得部145は、記憶部13に記憶されている濃色用の検量線52のデータを参照して、ステップS8で得られたcb*値から、測定対象の食用油のAV値を取得する(ステップS12)。そして、制御部14は、ステップS9で得られたLB値と、ステップS11またはS12で得られたAV値を表示部16に表示させる(ステップS13)。以上で、端末装置1の動作は終了する。
なお、上記の説明では、酸価値取得部145は2つの検量線51,52を使用したが、食用油の種類によって油の色が違うことがあるので、究極的には、油の種類ごとに検量線を用意してもよい。この場合には、記憶部13は、食用油の酸価値と試験片の画像データの色値との間の関係を示す検量線を、食用油の種類ごとに記憶する。そして、操作部15は、測定対象の食用油の種類の入力を受け付ける受付部として機能し、酸価値取得部145は、入力された種類の食用油に対応する検量線を参照して酸価値を取得する。
以上説明してきたように、端末装置1によれば、専用の分析装置ではなく、汎用の携帯端末を用いて、食用油の劣化度を測定することができ、色表を利用した目視判定より客観性が高い結果が得られる。フライ油として使用される食用油の種類は多種多様であるが、油の劣化による遊離脂肪酸の発生はすべての油に共通である。したがって、どのフライ油についても、遊離脂肪酸の発生度合い(劣化度合い=酸化度合い)を色値として取得し、各種の補正を行い、検量線50〜52を用いて色度値(LB値)および酸価値(AV値)を求めることにより、劣化度を高い精度で客観的に把握することができる。また、端末装置1では、油と接触した試験片の画像データをカメラによって非接触で得るため、試験片の油分により装置が汚れることはなく、正しい酸価値を測定することが可能である。必要なハードウェアがすべて組み込まれているハンドヘルド機器であれば、制御部14の機能を実現するプログラムをインストールするだけで端末装置1を実現できるため、専用機器の製造のための投資が必要なく、安価に食用油の劣化度を測定することが可能である。
なお、端末装置1では、色度値および酸価値の他に、例えば、pHの測定や、特定の無機物または有機物の定量なども、上記と同様の方法で可能である。
図12は、通信システム2の概略構成図である。通信システム2は、食用油の劣化度を測定するためのシステムであり、互いに通信可能な端末装置3およびサーバ装置4を含む。これらの各装置は、有線または無線の通信ネットワーク6を介して互いに接続されている。通信ネットワーク6には、例えばインターネットが含まれる。
端末装置3は、撮像部31と、発光部32と、記憶部33と、制御部34と、端末通信部35と、表示部36とを有する。撮像部31は、測定対象物の画像を撮影し、RAW(DNG)データ、JPEG(JFIF)データまたはRGBデータなどの形式で、試験片の画像データを取得する。発光部32は、必要に応じて、撮像部31による撮像時に発光する。記憶部33は、撮像部31が取得した画像データ、端末装置3の動作に必要なデータなどを記憶する。制御部34は、CPU、RAM、ROMなどにより構成され、端末装置3の動作を制御する。端末通信部35は、撮像部31により撮像された画像データをサーバ装置4に送信し、サーバ装置4から画像データの測定結果を受信する。表示部36は、サーバ装置4から受信された測定結果を表示する。
サーバ装置4は、サーバ通信部41と、記憶部42と、制御部43とを有する。サーバ通信部41は、画像データを端末装置3から受信し、その画像データの測定結果を端末装置3に送信する。記憶部42は、端末装置3から受信された画像データ、撮像情報、サーバ装置4の動作に必要なデータなどを記憶する。特に、記憶部42は、測定対象の食用油の色度値および酸価値ならびに試験片の画像データの色値の間の対応関係を記憶する。制御部43は、CPU、RAM、ROMなどにより構成され、端末装置1の制御部14と同様の機能を有する。すなわち、制御部43は、端末装置3から受信された試験片の画像データの色値に基づき、記憶部42内の対応関係を参照して食用油の色度値を取得し、画像データの色値および取得された色度値に基づき、記憶部42内の対応関係を参照して食用油の酸価値を取得する。そして、制御部43は、取得された色度値および酸価値を測定結果として、サーバ通信部41を介して端末装置3に送信させる。
このように、試験片の画像撮影および測定結果の表示と、色度値および酸価値の測定とをそれぞれ別の装置で行ってもよい。サーバ装置4としてより高速かつ高容量のものを使用すれば、複雑な画像処理によって精度の高い分析を行うことができ、別のデータベースとの協業も楽になる。なお、通信システム2にさらに別個の表示装置を含めて、端末装置3とは別の装置で、サーバ装置4による判定結果を表示してもよい。
通信システム2は、例えば、複数の店舗を運営しているチェーンレストランなどの本部に測定結果を集約したい場合に利用可能である。この場合、端末装置3を各店舗が所有し、サーバ装置4を本部に設置すれば、各店舗で撮影された試験片の画像データを本部に転送し、本部のサーバ装置4で画像解析を行うことで、各店舗のフライ油の管理状況を簡単に把握および管理することが可能である。
端末装置1,3およびサーバ装置4の制御部14,34,43の各機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムは、磁気記録媒体、光記録媒体などのコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録された形で提供してもよい。
1 端末装置
11 撮像部
12 発光部
13 記憶部
14 制御部
141 画素選択部
142 変換部
143 撮影条件補正部
144 色度値取得部
145 酸価値取得部
146 劣化判定部
147 劣化補正部
15 操作部
16 表示部
2 通信システム
3 端末装置
4 サーバ装置

Claims (10)

  1. 試験片を撮像して画像データを取得する撮像部と、
    試験片の画像データの色値と食用油の色度値との間の関係を示す色度値検量線、及び、食用油の色度値に対応して、試験片の画像データの色値と食用油の酸価値との間の関係を示す複数の酸価値検量線、を記憶する記憶部と、
    食用油に浸された試験片の画像データの色値に基づき、前記色度値検量線を参照して食用油の色度値を取得する色度値取得部と、
    食用油に浸された試験片の前記画像データの色値と、前記色度値取得部によって取得された前記色度値と、に基づき、前記色度値に対応する一つの酸価値検量線を参照して、食用油の酸価値を取得する酸価値取得部と、
    前記色度値取得部によって取得された前記色度値と前記酸価値取得部によって取得された前記酸価値を出力する出力部と、
    を有することを特徴とする装置。
  2. 前記色度値取得部は、試験片の画像データのうち食用油と反応して変色する試薬を含まない余白部に対応する部分の色値に基づき、前記色度値検量線を参照して前記色度値を取得する、請求項に記載の装置。
  3. 食用油に浸される前の試験片の画像データのうち前記試薬を含む試薬部に対応する部分の色値に基づき、前記試薬が劣化しているか否かを判定する劣化判定部をさらに有し、
    前記出力部は、前記劣化判定部による判定結果を出力する、請求項に記載の装置。
  4. 食用油に浸される前の試験片の画像データのうち前記試薬部に対応する部分の色値を用いて、食用油に浸された試験片の画像データのうち前記試薬部に対応する部分の色値を補正する劣化補正部をさらに有し、
    前記酸価値取得部は、前記色値として、前記劣化補正部により補正された色値を使用する、請求項に記載の装置。
  5. 前記撮像部により撮像された画像の全体または一部の画像データに基づき光源の色温度および露光条件を算出し、算出された色温度および露光条件に応じた補正を前記画像データの色値に対して行う撮影条件補正部をさらに有し、
    前記色度値取得部と前記酸価値取得部は、前記色値として、前記撮影条件補正部により補正された色値を使用する、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
  6. 測定対象の食用油の種類の入力を受け付ける受付部をさらに有し、
    前記記憶部は、前記複数の酸価値検量線を、食用油の種類ごとに記憶し、
    前記酸価値取得部は、入力された種類の食用油に対応する複数の酸価値検量線を参照して前記酸価値を取得する、請求項1に記載の装置。
  7. 互いに通信可能な端末装置とサーバ装置を含むシステムであって、
    前記端末装置は、
    食用油に浸された試験片を撮像して画像データを取得する撮像部と、
    試験片の画像データを前記サーバ装置に送信し、食用油の色度値および酸価値のデータを前記サーバ装置から受信する端末通信部と、
    受信された前記色度値および前記酸価値を表示する表示部と、
    を有し、
    前記サーバ装置は、
    試験片の画像データの色値と食用油の色度値との間の関係を示す色度値検量線、及び、食用油の色度値に対応して、試験片の画像データの色値と食用油の酸価値との間の関係を示す複数の酸価値検量線、を記憶する記憶部と、
    前記端末装置から受信された画像データの色値に基づき、前記色度値検量線を参照して食用油の色度値を取得する色度値取得部と、
    前記端末装置から受信された前記画像データの色値と、前記色度値取得部によって取得された前記色度値と、に基づき、前記色度値に対応する一つの酸価値検量線を参照して、食用油の酸価値を取得する酸価値取得部と、
    前記画像データを前記端末装置から受信し、取得された前記色度値および前記酸価値を前記端末装置に送信するサーバ通信部と、
    を有する、
    ことを特徴とするシステム。
  8. 試験片の画像データの色値と食用油の色度値との間の関係を示す色度値検量線、及び、食用油の色度値に対応して、試験片の画像データの色値と食用油の酸価値との間の関係を示す複数の酸価値検量線、を記憶する記憶部を有するコンピュータに、
    食用油に浸された試験片の画像データを取得し、
    前記画像データの色値に基づき、前記色度値検量線を参照して食用油の色度値を取得し、
    前記画像データの色値取得された前記色度値に基づき、前記色度値に対応する一つの酸価値検量線を参照して食用油の酸価値を取得し、
    取得された前記色度値および前記酸価値を出力する、
    機能を実現させることを特徴とするプログラム。
  9. 試験片を食用油に浸すステップと、
    食用油に浸された試験片を撮像するステップと、
    試験片の画像データの色値と食用油の色度値との間の関係を示す色度値検量線、及び、食用油の色度値に対応して、試験片の画像データの色値と食用油の酸価値との間の関係を示す複数の酸価値検量線、を記憶する記憶部を有するコンピュータが、撮像された試験片の画像データの色値に基づき、前記色度値検量線を参照して食用油の色度値を測定するステップと、
    前記コンピュータが、前記画像データの色値と測定された前記色度値に基づき、前記色度値に対応する一つの酸価値検量線を参照して食用油の酸価値を測定するステップと、
    を有することを特徴とする方法。
  10. 前記浸すステップでは、少なくとも一部が食用油吸収性の素材からなる試験片を食用油に浸す、請求項に記載の方法。
JP2015170475A 2015-08-31 2015-08-31 食用油の劣化度を測定する装置、システム、プログラムおよび方法 Active JP6687348B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015170475A JP6687348B2 (ja) 2015-08-31 2015-08-31 食用油の劣化度を測定する装置、システム、プログラムおよび方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015170475A JP6687348B2 (ja) 2015-08-31 2015-08-31 食用油の劣化度を測定する装置、システム、プログラムおよび方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017049030A JP2017049030A (ja) 2017-03-09
JP6687348B2 true JP6687348B2 (ja) 2020-04-22

Family

ID=58280929

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015170475A Active JP6687348B2 (ja) 2015-08-31 2015-08-31 食用油の劣化度を測定する装置、システム、プログラムおよび方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6687348B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018205208A (ja) * 2017-06-07 2018-12-27 富士通株式会社 試験値出力プログラム、試験値出力方法及び試験値出力装置
JP2019052887A (ja) * 2017-09-13 2019-04-04 株式会社 オルタステクノロジー 呈色画像を利用した特性値測定装置、方法、およびプログラム
KR20200025042A (ko) * 2018-08-29 2020-03-10 주식회사 핏펫 비색표를 이용한 소변 검사를 제공하는 컴퓨터 프로그램 및 단말기
JP7242476B2 (ja) * 2018-08-30 2023-03-20 株式会社J-オイルミルズ 油脂劣化度測定装置、油脂劣化度測定方法及び油脂劣化度測定プログラム
TWI700489B (zh) * 2018-10-29 2020-08-01 林修安 即時廢棄物品質檢測裝置以及廢棄物回收裝置與方法
CN113614513A (zh) * 2019-03-29 2021-11-05 出光兴产株式会社 润滑油劣化判定系统和润滑油劣化判定方法
CN110780064B (zh) * 2019-11-15 2020-10-16 中国农业科学院农业质量标准与检测技术研究所 利用移动终端对目标成分进行检测的方法及系统
JPWO2022113755A1 (ja) * 2020-11-25 2022-06-02
WO2022163435A1 (ja) * 2021-02-01 2022-08-04 株式会社J-オイルミルズ 学習装置、予測装置、学習方法、プログラム、及び、学習システム
CA3213612A1 (en) * 2021-03-25 2022-09-29 J-Oil Mills, Inc. Determination device, learning device, determination system, determination method, learning method, and program

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102007406B (zh) * 2008-03-04 2013-08-21 3M创新有限公司 利用组合光学询问方法和装置监测炸油质量
US8325345B2 (en) * 2008-03-04 2012-12-04 3M Innovative Properties Company Methods and devices for monitoring of frying oil quality
JP5843232B2 (ja) * 2011-10-05 2016-01-13 株式会社テクノメデイカ 定性分析装置
US9506855B2 (en) * 2012-02-03 2016-11-29 University Of Cincinnati Method and system for analyzing a colorimetric assay
US9372178B2 (en) * 2013-03-20 2016-06-21 Eleni Kalogianni Apparatuses and methods for the measurement of liquid properties and particularly frying oil quality
JP2015127682A (ja) * 2013-12-27 2015-07-09 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 分析装置、システムおよびプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017049030A (ja) 2017-03-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6687348B2 (ja) 食用油の劣化度を測定する装置、システム、プログラムおよび方法
JP6673833B2 (ja) 分析装置
US11802839B2 (en) Quantifying color changes in chemical test pads induced by different concentrations of analytes under different lighting conditions
US9506855B2 (en) Method and system for analyzing a colorimetric assay
CN112074725B (zh) 基于精确比色法的检测试纸读取器系统
KR101624583B1 (ko) 소변 검사 방법 및 관련 장치
TW201928879A (zh) 基於顏色形成反應執行分析量測的方法及裝置
US20230084800A1 (en) Method of evaluating the quality of a color reference card
JP7127288B2 (ja) 呈色反応観察補助システム、呈色反応観察補助方法及びプログラム
JP2019095328A (ja) 呈色反応検出システム、呈色反応検出方法及びプログラム
WO2015198401A1 (ja) ファスナエレメントの検査条件設定方法とファスナエレメント検査方法
TW202215033A (zh) 測定體液樣品中分析物濃度之方法
JP2019052887A (ja) 呈色画像を利用した特性値測定装置、方法、およびプログラム
KR102399939B1 (ko) 검출 방법 및 검출 패드
JP2006337181A (ja) 色校正方法及び色校正用チャート
CN116420067A (zh) 控制具有相机的移动装置的自动曝光设置的方法
CN110849808A (zh) 比色测量分析移动平台设备
KR20140135921A (ko) 소변 검사용 소변 스트랩
US11836949B2 (en) Method for evaluating a color indicator
JP2023184299A (ja) 酸価測定装置、酸価測定プログラム
EP3794934A1 (en) Detection of nutrient deficiency in plants
KR20200128839A (ko) 휴대단말을 이용한 채액 속의 타겟 검출방법
KR20200128841A (ko) 채액에서 타겟 물질을 검출하는 방법 및 검출 패드

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180802

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190626

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190716

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190926

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200303

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200402

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6687348

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250