JP6687231B2 - 研磨工具及びその製造方法並びに研磨物の製造方法 - Google Patents

研磨工具及びその製造方法並びに研磨物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、硬脆材料のラッピング加工用研磨工具に関する。
半導体材料、光デバイス材料等の各種材料を得るために、サファイヤ、炭化ケイ素、石英等の硬脆材料をラッピング加工することが従来行われている。
ここでいうラッピング加工とは例えば、ラップ定盤といわれる円形の定盤と板状の被研磨材とを面で擦り合わせて板状体の厚さや平行度、平坦度、面粗さ等を調整するための加工であり、通常、ダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素等からなる固定砥石を用いたラッピング盤により行われる。その後、コロイダルシリカ等を用いたCMP等によりウエハー表面を研磨して、ウエハー表面を平坦で歪やキズのない鏡面状態に加工する(鏡面研磨工程)。
上述した従来のラッピング加工では得られる被研磨物の面粗度が大きく、その後のCMP工程に例えば数日間といった長い時間が必要となる。
このCMP工程の時間短縮を図るために、例えば、従来のラッピング加工とCMP工程との間に、表面平滑性を高めるためのラッピングの最終工程として、ダイヤモンドスラリーからなる遊離砥粒と、銅−錫合金を用いた研磨盤とを併用して研磨を行うことが行われている。上述した従来のラッピング工程をL1工程とするのに対し、このようなダイヤモンドスラリーによるラッピング工程をL2工程と呼ぶこともある。
しかしながら上記のL2工程では、ダイヤモンドスラリーが高価であり製造コストがかかること、遊離砥粒により研磨する形式であるため幾何精度を維持しにくく得られる板状体の研磨物の周辺部に所謂ダレが生じやすいこと、製造時間の短縮という点でも十分なものでないこと等といった問題がある。このために、上記のL2工程をダイヤモンドの固定砥粒を用いて行うことができれば、製造コストの低減や更なる時間短縮のみならず、幾何精度の向上、つまり歩留り向上に繋がると期待される。
特許文献1〜3には、硬脆材料の微細研削或いは研磨を目的として、ダイヤモンド等の固定砥粒を用いた研磨工具が記載されている。
また研磨工具に係るものではないが、特許文献4にはダイヤモンド砥粒、ろう材、および水素化チタンを含む混粒を糊状物質に付着させ、その後で焼結させる固定砥粒式ソーワイヤが記載されている。
特開平8−174428号公報 特開2012−178617号公報 特開2014−083611号公報 特開2010−131698号公報
しかしながら、ダイヤモンドの固定砥粒を硬脆材料のラッピングの最終工程に用いるためには、加工時間の短縮効果を十分得るために、砥粒保持力、特に自生発刃の促進と砥粒保持力との両立が必要であるところ、特許文献1〜3のような従来の固定砥粒型の研磨工具は、これらの観点で改善の余地があり、硬脆材料の研磨能力が十分でない。
また、特許文献4は水素化物を形成可能な金属を含むワイヤーソーは記載されているものの、研磨工具に水素化物を形成可能な金属を用いること、及びそれによりダイヤモンド固定砥粒を用いた研磨工具の加工能力を向上させることができることは、これまでに知られていなかった。
従って、本発明の課題は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る研磨工具を提供することにある。
本発明は、修正モース硬度8以上の硬脆材料のラッピング加工用研磨工具であって、ダイヤモンド粒子が金属マトリックスに分散されてなり、且つ、前記金属マトリックス中に水素化物の形成が可能な金属が含まれている、研磨工具を提供するものである。
また本発明は、前記の研磨工具の製造方法であって、ダイヤモンド粒子と、金属マトリックスを構成するか又はその原料である金属粉末と、金属水素化物とを混合する工程と、該工程により得られた混合粉を加圧成形する工程と、加圧成形された成形物を、非酸化性雰囲気下に焼成する工程とを有する、研磨工具の製造方法を提供するものである。
また本発明は、前記の研磨工具の製造方法であって、ダイヤモンド粒子と、金属マトリックスを構成するか又はその原料である金属粉末と、金属水素化物とを混合する工程と、該工程により得られた混合粉を加圧しながら非酸化性雰囲気下に焼成する工程とを有する、研磨工具の製造方法を提供するものである。
また本発明は、修正モース硬度8以上の硬脆材料である被研磨物の表面に対して遊離砥粒を含む研磨液を供給しつつ請求項1に記載の研磨工具を摺接させて研磨する工程を備えた研磨物の製造方法であって、遊離砥粒として修正モース硬度が12以上であってダイヤモンド以外の砥粒を用い、研磨液として該遊離砥粒の濃度が2質量%以上40質量%以下であるものを用いる、研磨物の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、特に砥粒保持力が高いため、硬脆材料の加工能力が高く、短時間で表面平滑な研磨物が得られ、硬脆材料のラッピング加工用に好適な研磨工具が提供できる。
本発明の研磨工具をラッピングの最終工程に用いると、製造時間の短縮、製造コストの短縮、研磨物の幾何精度の向上による歩留り向上等を図ることが可能である。
また本発明の製造方法によれば、上記の研磨工具を効率よく製造することができる。
また本発明の研磨物の製造方法によれば、上記の研磨工具を用いて、表面平滑な硬脆材料の研磨物を短時間で得ることが可能である。
図1は、本発明の研磨工具を用いたラッピング工程で使用される両面加工機の一例を示す概略正面図である。 図2は、図1におけるX−X線矢視図である。 図3は、図1の両面加工機に用いる本発明の研磨工具の形状の一例である。 図4は、実施例1の研磨工具の断面のSEM写真である。 図5は、比較例1の研磨工具の断面のSEM写真である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明の研磨工具の研磨対象となる材料は、修正モース硬度8以上の硬脆材料である。本発明において、硬脆材料とは、ガラス、石英、セラミックス、各種半導体結晶材料等、非常に硬く脆いが、衝撃に弱く割れやすい素材をいう。
修正モース硬度とは、標準物質に対しての傷の付き方を元に硬度を数値化するものである。柔らかいものから順に1から15までの標準物質が指定されており、具体的な標準物質としては、修正モース硬度1が滑石、2が石膏、3が方解石、4が蛍石、5が燐灰石、6が正長石、7が溶融石英、8が石英、9がトパーズ、10がガーネット、11が溶融ジルコニア、12が溶融アルミナ、13が炭化ケイ素、14が炭化ホウ素、および15がダイヤモンドである。例えば、試料を標準物質4の蛍石で引っ掻いて試料に傷が付かず、標準物質5の燐灰石で引っ掻いて試料に傷が付いた場合はこの試料は4より硬く、5より柔らかいことを示し、修正モース硬度として「4.5」と表記される。また、標準物質4の蛍石で引っ掻いて試料にも蛍石にも傷が付いた場合は、試料は標準物質4と同じ硬さとなり、修正モース硬度として「4」と表記する。修正モース硬度の数値はあくまでも相対的なものであり、絶対値ではない。硬脆材料の修正モース硬度はモース硬度計を用いて常法により測定できる。
修正モース硬度8以上の硬脆材料の具体例としては、サファイヤ(修正モース硬度12)、石英(修正モース硬度8)、SiC(修正モース硬度13)、アルミナ(修正モース硬度12)等を挙げることできる。
本発明の効果が高く奏される観点から、硬脆材料の修正モース硬度は13以下であることが好ましい。
本発明の研磨工具は、ダイヤモンド粒子が金属マトリックスに分散されてなり、且つ、前記金属マトリックス中に水素化物の形成が可能な金属が含まれている。
砥粒であるダイヤモンド粒子についてまず説明する。
ダイヤモンド粒子の形状は限定されない。本発明では、ダイヤモンド粒子の粒径としては、平均粒径1μm以上であることが、研磨工具の加工能力を高める観点から好ましい。またダイヤモンド粒子の粒径としては、平均粒径が20μm以下であることが、被研磨物の面粗度向上の観点から好ましい。これらの観点から、ダイヤモンド粒子の粒径としては、平均粒径2μm以上16μm以下であることがより好ましく、平均粒径4μm以上12μm以下であることが更に好ましい。
ダイヤモンド粒子の平均粒径は、例えば、研磨工具を樹脂埋めした後ダイアモンドブレードにて切断し、走査型電子顕微鏡を用いて切断面を拡大(例えば倍率1000倍)にて観察し、200個の粒子についてフェレ径の測定を行い、その平均値を算出することによって求めることができる。
研磨工具は、ダイヤモンド粒子の含有量が0.1質量%未満である場合、本発明の研磨工具による加工時間の短縮効果が得られ難い場合があり、また研磨工具中のダイヤモンド粒子の含有量が10質量%超でも加工時間の短縮効果が得られ難い場合がある。この観点から、研磨工具中のダイヤモンド粒子の含有量は、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。研磨工具中のダイヤモンド粒子の含有量は、例えば、研磨工具中の金属マトリックスを酸で溶解し、残留したダイヤモンドの量を測定すればよい。
本発明では、砥粒であるダイヤモンド粒子を結合する結合材マトリックスとして、金属マトリックスを用いる。金属は脆いボンドを構成でき、自生発刃の促進が可能となる。研磨工具の結合材となる金属マトリックスを構成する金属としては、Cu−Sn系合金、Cu-P系合金、Ni-Sn系合金、Cu系合金、Ni系合金、Co系合金、Fe系合金が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、本発明の効果が高い観点から、Cu−Sn系合金が好ましい。ここでいうCu−Sn系合金とは、Cu とSuの合金であり、Cu及びSn以外にも他の副元素を1または2以上さらに含有していても良い。Cu−Sn系合金におけるCu及びSn以外の副元素としては、例えば、ニッケル、リン、コバルト、チタン、クロム、バナジウムなどを挙げることができる。これら副元素は、1種または2種以上含まれていても良い。また、Cu−Sn系合金には、不可避的な不純物が含まれていても良い。
Cu−Sn系合金としては、Sn含量が20質量%超であるものが好ましい。これはSn含量が20質量%超であるCu-Sn系合金は硬く且つ脆いという好ましい特性が高いためである。金属マトリックスの脆性が高いことは、ダイヤモンド粒子の自生発刃を良好に促進するため好ましい。また金属マトリックスの硬性が高いことは、硬脆材料を加工したときに、ダイヤモンド粒子の硬脆材料に対する食い込みを良好とすることができるため好ましい。従って、金属マトリックスとしてSn含量が20質量%超であるCu−Sn系合金からなるマトリックスを用いた場合、本発明の研磨工具を、より一層安定的に且つ効率的に硬脆材料を加工可能なものとすることができる。またCu−Sn系合金としては、Sn含量が60質量%以下であるものが、研磨工具が脆くなりすぎるのを抑制する観点から好ましい。これらの観点から、Cu−Sn系合金中のSn含量は、30質量%以上58質量%以下であることがより好ましく、45質量%以上55質量%以下であることが特に好ましい。
Cu−Sn系合金におけるCu含量は、40質量%以上80質量%未満であることが好ましく、45質量%以上55質量%以下であることがより好ましく、48質量%以上52質量%以下であることが特に好ましい。Cu−Sn系合金中のSn含量及びCu含量は、例えば、ICP発光分析装置により測定することができる。
本発明の研磨工具中、金属マトリックスを構成する金属の含有量は、70質量%以上であることが、ダイヤモンド粒子を保持する観点から好ましい。また、本発明の研磨工具中、金属マトリックスを構成する金属の含有量は、98質量%以下であることが、ダイヤモンドや水素化物を形成可能な金属を一定量確保する観点から好ましい。これらの観点から、研磨工具中、金属マトリックスを構成する金属の含有量は75質量%以上96質量%以下であることがより好ましく、80質量%以上92質量%以下であることが特に好ましい。なお、ここでいう金属マトリックスを構成する金属の含有量とは、金属マトリックスが上述した各種合金からなるときは、この合金の含有量であり、また当該合金が上記副元素を含む時には、その副元素を含む量である。但しここでいう金属マトリックスを構成する金属の含有量には、金属水素化物を構成する金属の含有量は含めないものとする。研磨工具中の金属マトリックスを構成する金属の含有量は、研磨工具を硝酸等の酸で溶解し、溶解物中のSn、Cu等の金属の濃度をICP発光分析装置等で定量する方法等によって測定すればよい。
本発明の研磨工具は、ニッケルを含有することが研磨工具の成形性を向上させる観点から好ましい。ニッケルは、本発明の研磨工具の金属マトリックスに分散しているか、或は、マトリックスを構成する金属と合金を形成していてもよい。成形性を高める観点及び本発明の効果を損なわない観点から、研磨工具中のニッケルの含有量は、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、2質量%以上6質量%以下であることがより好ましい。研磨工具中のニッケルの含有量は、研磨工具を硝酸等の酸で溶解し、溶解物中のNiの濃度をICP発光分析装置等で定量する方法等によって測定すればよい。
本発明の研磨工具は、水素化物の形成が可能な金属を含有するものである。水素化物の形成が可能な金属としては、大気中で取扱い容易なものが好ましく、水素化チタン(TiH)を形成可能な金属であるチタン(Ti)が挙げられるほか、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)が挙げられ、チタンが好ましい。このような金属は従来のダイヤモンド砥粒固定型研磨工具では用いられていなかった。本発明の発明者らは、ダイヤモンド固定砥粒型の研磨工具に用いる結合材マトリックスとして、自生発刃が可能であって、しかも砥粒の保持力が良い結合材マトリックスを鋭意研究したところ、金属マトリックス中に水素化物の形成が可能な金属を含有した結合材マトリックスは、このような特性を有することを見出した。本発明で用いる水素化物の形成が可能な金属は、通常、研磨工具製造時における焼成に伴う金属水素化物の分解反応により得られたものである。本発明の効果は、金属マトリックスがSn含量20質量%超60質量%以下のCu-Sn系合金からなる場合に特に高いものである。本発明の研磨工具において水素化物の形成が可能な金属を含有させるためには、後述する本発明の研磨工具の製造方法のように、研磨工具を製造する際に用いる、金属マトリックスを構成するか又はその原料となる金属粉末中に金属水素化物を含有させればよい。水素化物の形成が可能な金属は、金属マトリックス中に略均一に分散していてもよいし、金属マトリックス中の一部、例えばダイヤモンド粒子周辺に偏在していていてもよい。本発明の研磨工具において、水素化物の形成が可能な金属の存在形態は限定されず、例えばメタルであってもよく、炭化物であってもよい。炭化物の形態は、ダイヤモンドと反応することによるとみられる。
本発明の研磨工具中、水素化物の形成が可能な金属は、1質量%以上含有されていることが、砥粒の保持力を高める観点から好ましい。また研磨工具中の水素化物の形成が可能な金属の含有量は、10質量%以下であることが、工具のプレス成形性の観点から好ましい。これらの観点から、研磨工具中の水素化物の形成が可能な金属な金属の含有量は1質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上8質量%以下であることが特に好ましい。研磨工具中の水素化物の形成が可能な金属の含有量は、研磨工具を適当な酸で溶解し、溶解物中のTi、Li、Na等の濃度をICP発光分析装置等で定量する方法等によって測定すればよい。ここでいう水素化物の形成が可能な金属の量とはメタル換算の量である。
本発明の研磨工具は、本発明の効果を損なわない限度において、ダイヤモンド、金属マトリックスを構成する金属及び水素化物の形成が可能な金属以外の任意の成分を含有してもよい。そのようなその他の任意の成分としては、例えばカーボン、タルク、hBN等が挙げられ、これらのその他任意の成分の合計量は、例えば研磨工具中、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
特に研削比を高める観点から本発明の研磨工具中のダイヤモンド以外のカーボン量が少ないことが好ましく、研磨工具中10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。カーボン量は少なければ少ないほど好ましく、カーボンを含有していないことが最も好ましい。研磨工具中のダイヤモンド以外のカーボン量は、例えば、赤外線吸収法を用いて測定することができる。
本発明の研磨工具の形状は、特に限定されず、従来のラッピング盤に使用されてきた研磨工具と同様の形状が採用される。ラッピング盤(回転定盤)に使用される研磨工具の形状としては、例えば、ラッピング盤のタイプにより異なり、例えば、ラッピング盤がすり合わせ面に小型のペレットを多数固定するペレット植設タイプの場合は、チップ状、セグメント状、立方体状、円柱状等が挙げられる。また例えばラッピング盤がすり合わせ面自体を研磨体で構成した総型タイプの場合は、円環状や円盤状等が挙げられる。本発明の研磨工具は、いずれのタイプのラッピング盤に用いられても良く、研磨工具の形状も上記のいずれであってもよい。
次いで本発明の研磨工具の好ましい製造方法について説明する。
本発明の製造方法は以下の(1)及び(2)の何れであってもよい。
(1)ダイヤモンド粒子と、金属マトリックスを構成するか又はその原料である金属粉末と金属水素化物とを混合する工程(以下A工程ともいう)と、該工程により得られた混合粉を成形加圧成形し、次いで、加圧成形された成形物を、非酸化性雰囲気下に焼成する工程(以下B1工程ともいう)とを有する、研磨工具の製造方法。
(2)上記A工程と、A成形物工程により得られた混合粉を加圧しながら非酸化性雰囲気下に焼成する工程(以下B2工程ともいう)とを有する、研磨工具の製造方法。
まずA工程について説明する。A工程で用いるダイヤモンドの好ましい粒径としては、上述した粒径が挙げられる。混合粉中のダイヤモンド粒子の好ましい配合量としては、上記で上げた研磨工具中の好ましいダイヤモンド粒子の含有量と同様の量を挙げられ、具体的には、混合粉中0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましい。
A工程で用いる金属マトリックスを構成するか又はその原料である金属粉末における、金属マトリックスを構成する金属の例としては、上記で金属マトリックスを構成する金属の例として挙げたものと同様のものを挙げることができる。金属マトリックスを構成する金属の原料である金属粉末としては、金属マトリックスを構成する金属が例えばCu−Sn系合金である場合のCu粉、Sn粉或はその他の副材料の粉末を挙げることができる。本発明の製造方法では、金属マトリックスを構成するか又はその原料である金属粉末が、金属マトリックスを構成する金属を含有していることが好ましい。A工程で用いる混合粉中の金属マトリックスを構成するか又はその原料である金属粉末の好ましい配合量としては、研磨工具中の金属マトリックスを構成する金属の好ましい配合量と同様の量が挙げられ、具体的には、混合粉中70質量%以上98質量%以下が好ましく、80質量%以上92質量%以下がより好ましい。
研磨工具における金属マトリックスをCu−Sn系合金からなるものとする場合、本発明の製造方法において、混合粉における金属マトリックスを構成するか又はその原料である金属粉末の合計量におけるSn含量の好ましい範囲は、Cu−Sn系合金における好ましいSn含量として上記で挙げた範囲と同様であり、20質量%超60質量%以下が好ましく、45質量%以上55質量%以下がより好ましく、48質量%以上52質量%以下が特に好ましい。
例えば、本発明の研磨工具中の金属マトリックスをSn20質量%超60質量%以下含むCu-Sn系合金からなるものとする場合、A工程で用いる金属マトリックスを構成するか又はその原料である金属粉末としては、Sn量が20質量%超60質量%以下のCu−Sn系合金粉を用いるか、或はSn粉とCu粉とをSn量が20質量%超60質量%以下となるように混合した混合物を用いるか、或はCu−Sn系合金粉とSn粉及び/又はCu粉とをSn量が20質量%超60質量%以下となるように混合した混合物を用いればよい。本発明の研磨工具中の金属マトリックスをSn20質量%超、60質量%以下含むCu−Sn系合金からなるものとする場合の、A工程で用いる金属マトリックスを構成するか又はその原料である金属粉末の好ましい配合としては、Cu−Sn系合金粉(特にSn量が20質量%超60質量%以下のCu−Sn系合金粉)100質量部に対して、Sn粉及びCu粉の合計を20質量部以上98質量部以下とすることが、成形性等の観点から好ましく、25質量部以上92質量部以下とすることがより好ましい。
また、上述の理由から研磨工具にNiを含有させる場合、本発明の製造方法において、混合粉中にNi粉を1質量%以上10質量%以下含有させることが好ましく、2質量%以上6質量%以下含有させることがより好ましい。
A工程における金属水素化物としては、上述した水素化チタン(TiH)や水素化リチウム(LiH)等を挙げることができる。このような金属水素化物を、金属マトリックスを構成するか又はその原料である金属粉末と混合して焼成することで、金属マトリックスの脆さに基づく自生発刃能力を維持しつつ砥粒保持力が向上した本発明の研磨工具を容易に得ることができる。本発明の研磨工具の砥粒保持力をより高める観点から、A工程における混合粉中の金属水素化物の量は1質量%以上が好ましい。一方、金属水素化物の量を一定以下に抑制することは工具のプレス成形性の観点から好ましく、そのため、A工程における混合粉中の金属水素化物の量は10質量%以下が好ましい。これらの観点からA工程における混合粉中の金属水素化物の量は1質量%以上10質量%以下がより好ましく、3質量%以上8質量%以下が特に好ましい。
また、B1工程における加圧成形の成形法としては、金型プレス成型法、ラバープレス法(静水圧成形法)や抵抗焼結法が挙げられる。加圧成形時の加圧圧力としては、4000kgf/cm以上5000kgf/cm以下が好ましく、4200kgf/cm以上4800kgf/cm以下がより好ましい。
B1工程ではその後、加圧成形された成形物を、非酸化性雰囲気下に焼成する。非酸化性雰囲気で焼成することにより、ダイヤモンドや金属マトリックスの構成金属が酸化することを防止できる。非酸化性雰囲気としては、窒素希釈水素ガス、アンモニア分解ガスのような還元性雰囲気のほか、アルゴンガス、窒素ガス等の非活性雰囲気が挙げられる。焼成の保持温度としては合金化の観点から640℃以上が好ましく、また、焼結後の工具形状の観点から690℃以下が好ましい。これらの観点から焼成の保持温度は640℃以上690℃以下がより好ましく、645℃以上660℃以下が特に好ましい。また当該保持温度の保持時間は0.5時間以上8時間以下が好ましく、2時間以上7時間以下がより好ましい。
上記の(1)の方法は、研磨工具の生産能力が高く、量産が容易なために好ましいものの、上記(2)の方法のように、A工程により得られた混合粉を加圧成形後に焼成する代わりに、加圧しながら非酸化性雰囲気下に焼成する(B2工程)ことによっても本発明の研磨工具を製造することが可能である。B2工程における焼成はホットプレス法等により行うことができる。
続いて本発明の研磨工具による好ましい研磨物の製造方法の一実施態様について、図1ないし図3を参照して説明する。本発明の製造方法は、修正モース硬度8以上の硬脆材料である被研磨物の表面に本発明の研磨工具を摺接させて研磨する工程を備えた研磨物の製造方法である。
図1に、本発明の研磨工具を用いたラッピング工程で使用される加工機の一例を示す。図1に示す両面加工機1は、下定盤2と、該下定盤2の上方に配設される上定盤3と、該上定盤3に接して該上定盤3を支持する定盤支持部4とを具備して構成されている。
図1に示すように、上定盤3は、エアシリンダ11の出力ロッド11aの先端部にブラケット12を介して回転可能に取り付けられている。該上定盤3は該エアシリンダ11により昇降可能になされていると共に、下降時にはベース5側で図2に示す矢印D方向に回転するロータ13の溝に係合して同方向に回転するようになされている。また、上記上定盤3の下面には、本発明の研磨工具20が配設されている。これらの図に示す例では、定盤3は、ペレット植設タイプであり研磨工具20は例えば図3に示すような円柱状の小型のペレットであって図2に示すように、上定盤3の下面に所定間隔で多数固定されている。しかしながら、上述したように研磨工具の形状及び定盤への設置の態様はこれに限定されない。該上定盤3は、上記定盤支持部4にボルト(図示せず)によって緊結固定されており、該定盤支持部4と共に回転自在に設けられている。
図2に示すように、下定盤2は、上記ベース5上に矢印A方向に回転自在に設けられていて、その上面には、上記上定盤3と同様の態様で、本発明の研磨工具20が配設されている。また、該下定盤2には、中央の矢印B方向に回転する太陽歯車7と外周側の矢印C方向に回転する内歯歯車8とに噛み合って、公転しつつ自転する遊星歯車状のキャリア9が4機配設されていている。そして、各キャリア9に設けられた8個の穴内にそれぞれ板状体である硬脆材料からなる被研磨物10がセットされるようになっている。
上記上定盤3と上記下定盤2との間には、上定盤に設けられた穴、或はスラリー供給パイプ(いずれも図示せず)により冷却液又は遊離砥粒を含有する研磨液が所定の量で供給可能になっている。そして、上記エアシリンダ11によって上記上定盤3を下降させることにより、上記キャリア9と一体に動く上記被研磨物10は、上記下定盤2と上記上定盤3とに挟まれてラッピング研磨される。
本実施形態におけるラッピング工程の条件は、一般的には下記の通りである。即ち、加工圧力は、好ましくは0.05kgf/cm以上0.3kgf/cm以下であり、より好ましくは0.15kgf/cm以上0.25kgf/cmである。上記両面加工機の下定盤回転数は加工機サイズに依存するが、例えばHAMAI社製の9B機という両面加工機を用いた場合であれば、好ましくは10rpm以上30rpm以下であり、更に好ましくは15rpm以上25rpm以下である。
本発明の研磨工具20による硬脆材料の研磨は、乾式によるものであってもよく、或は、冷却液や遊離砥粒を含む研磨液を供給しながら行う湿式によるものであってもよい。遊離砥粒を含む研磨液を供給しながら、本発明の研磨工具20を被研磨物10に摺接させて研磨すると、研磨工具中のダイヤモンド粒子の自生発刃を良好に促して硬脆材料の安定的な加工がより一層容易になるため好ましい。本発明の研磨物の製造方法においては、研磨の主体はダイヤモンド固定砥粒を用いた本発明の研磨工具であり、遊離砥粒は研磨効率を向上させるための助剤である。遊離砥粒との併用は、特に、本発明の研磨工具の金属マトリックスがCu-Sn系合金からなる場合、研磨工具による加工レートの短縮の促進に高い効果を奏する。
遊離砥粒としては、ダイヤモンド以外のものであって、修正モース硬度が6以上のものが通常用いられ、修正モース硬度12以上のものが好ましい。遊離砥粒は自生発刃作用の観点から、炭化ケイ素(修正モース硬度13)、酸化アルミナ(修正モース硬度12)が好ましく、炭化ケイ素がより好ましい。遊離砥粒の平均粒径が小さい、特に、研磨工具のダイヤモンド粒子の平均粒径よりも小さいと、被研磨物に傷がつくことを防止しやすいため好ましい。また、遊離砥粒の平均粒径が一定の大きさ以上であることは加工の持続性の観点から好ましい。これらの観点から、遊離砥粒の平均粒径としては0.1μm以上20μm以下のものが好ましく、1μm以上8μm以下のものがより好ましく、2μm以上4μm以下のものが特に好ましい。この平均粒径はレーザー式粒度分布計により測定することができる。研磨液としては、通常、該遊離砥粒の濃度が40質量%以下のものが用いられる。研磨液における遊離砥粒の濃度は特に20質量%以下に低いものを用いることが製造コストの低減や破棄コストの低減の観点から好ましい。また研磨液における遊離砥粒の濃度は2質量%以上であることが研磨工具中のダイヤモンド粒子の自生発刃を良好に促す観点から好ましい。これらの観点から、研磨液中の遊離砥粒の濃度は5質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。研磨液の供給流量は、加工機サイズに依存するが、例えばHAMAI社製の9B機という両面加工機を用いた場合であれば、好ましくは1000cc/min以上10000cc/min以下であり、更に好ましくは3000cc/min以上5000cc/min以下である。
研磨液における遊離砥粒の分散媒としては、水及び水と有機溶媒との混合物等を特に制限なく用いることができる。有機溶媒としては、水性のものが好ましく、例えば、ソリューブル系やエマルジョン系等の各種の水溶性研削用油剤(クーラント)を用いることができる。
本実施形態の研磨工具を用いた研磨は、例えば従来ダイヤモンドスラリー及びCu−Sn系合金を用いたラップ定盤を用いたラッピングの最終工程(L2工程)の一部又は全部を代替することにより、硬脆材料の加工時間を大幅に短縮し、製造コストを低減し、得られる硬脆材料の被研磨物の幾何精度を向上させて歩留りを向上させることができる。
本発明の研磨工具を用いて製造される硬脆材料の研磨物としては、半導体デバイスや光デバイスに用いられる各種の基板や光学レンズが挙げられる。例えば、硬脆材料がサファイヤである場合は、窒化ガリウム(GaN)に代表される窒化物系化合物半導体のエピタキシャル成長用基板、Siを成膜したSOS基板、液晶プロジェクタ用偏光子保持板、カバーガラス等を挙げることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」及び「部」はそれぞれ「質量%」及び「質量部」を意味する。
〔実施例1〕
(1)研磨工具の製造
金属マトリックスを構成するか又はその原料である金属粉末としてCu−Sn粉72部、Sn粉10部及びCu粉10部と、砥粒として平均粒径9μmのダイヤモンド粒子3部と、Ni粉3部と、TiH 5部とを混合して混合粉を得た。Cu−Sn粉はCuとSnとを質量比1:1でアトマイズして得られた合金粉であった。得られた混合粉を加圧成形した。加圧成形は、原料の密度が6.0g/cmとなるように、直径7mm×高さ10mmの円柱状の金型に型込めした後、4600kgf/cmの圧力でプレスして行った。その後、加圧成形された成形物を、非酸化性雰囲気下に焼成した。非酸化性雰囲気としては、窒素希釈水素ガス(水素濃度:30容量%)を用いた。焼成時の保持温度は645℃、当該温度の保持時間は3時間であった。以上の工程により、実施例1の研磨工具を得た。得られた研磨工具は、Cu量50%Sn量50%のCu−Sn系合金粉を89質量%含有していることをICP発光分析装置により確認した。また、TiHに由来するTiは研磨工具中においてTiCの形態で検出された。
得られた研磨工具をダイヤモンドブレードにより切断し、得られた断面に金をスパッタ蒸着させた。次に、断面を加速電圧:2.5kV、倍率5000倍の条件で走査型電子顕微鏡(HITACHI社製S-4700)で撮影した。
(2)研磨による評価
実施例1の研磨工具を、図1及び図2に示す両面加工機1(HAMAI社製9B機)を用いて、上記上定盤3と上記下定盤2に設けられたクーラント穴から、遊離砥粒を含む研磨液を供給しつつ研磨工具20を被研磨物10に摺接させて研磨した。以下の条件によるラッピング工程に供し60分間研磨を行った。被削物の加工レートを表1に示す。ここで言う加工レートとは、1分間当たりの被削材の除去量を表す。
<研磨条件>
被研磨物10:円板状のサファイヤウエハー(厚み1mm、直径50mm)
加工圧力:0.18kgf/cm
両面加工機の上下定盤回転数:20rpm
遊離砥粒:炭化ケイ素(修正モース硬度13)、平均粒径4μm
研磨液中の遊離砥粒の濃度:10質量%
研磨液の供給流量:5000cc/min
研磨液中の分散媒:水溶性研削用油剤(八千代マイクロサイエンス株式会社製「ダイヤカットW」)を水で容量比10倍に希釈したもの
〔比較例1〕
実施例1の「(1)研磨工具の製造」において、TiH2を添加していない以外は、実施例1と同様にして比較例1の研磨工具を製造した。比較例1の研磨工具の断面のSEM写真を、実施例1と同一条件で得た。得られたSEM写真を図5として示す。また、得られた比較例1の研磨工具を、実施例1の「(2)研磨による評価」と同様の評価に供した。その結果を表1に示す。
〔比較例2〕
Cu−Sn粉として、CuとSnとを質量比77:23でアトマイズして得られた合金粉を用い、Sn粉の量を23部とし、Cu粉の量を77部とし、TiHを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2の研磨工具を得た。得られた研磨工具を、実施例1の「(2)研磨による評価」と同様の評価に供した。その結果を表1に示す。
図4と図5との比較から明らかな通り、図5の比較例1の研磨工具断面を撮影した写真では、ダイヤモンド粒子が白く光って見える。これは、比較例1では、ダイヤモンド粒子の表面が露出していることを示している。一方、図4の実施例1の研磨工具の断面を撮影した写真では、そのような部分が見当たらず、ダイヤモンド粒子に該当する突起物は、金属マトリックスに被覆されている。このことから比較例1では、ダイヤモンド粒子と周囲の金属マトリックスとの濡れ性が悪く、ダイヤモンド粒子が露出して観察されるのに対し、実施例1の研磨工具では、水素化物を形成可能な金属を用いたことにより、ダイヤモンド粒子の金属マトリックスに対する濡れ性が向上し、金属マトリックス中のダイヤモンド粒子の保持力が向上したことが判る。なお、上述したように図4及び図5は断面写真であるが、いずれも研磨工具中の空隙に面した部分を撮影した写真であるため、ダイヤモンド粒子の表面状態の違いが明確に示されている。
そして、上記表1の結果、特に実施例1及び比較例1との比較から、水素化物を形成可能な金属を含有する研磨工具は加工能力が大きく向上し、硬脆材料の加工時間を大幅に短縮できることが判る。このように本発明の研磨工具は硬脆材料の加工能力が高く、硬脆材料の安定加工が可能であり、ラッピングの最終工程(L2工程)の一部又は全部を代替することにより、硬脆材料の加工時間を大幅に短縮し、製造コストを低減し、得られる硬脆材料の研磨物の幾何精度を向・BR>繧ウせて歩留りを向上させることができる。
〔実施例2〕 本実施例では、〔実施例1〕の「(1)研磨工具の製造」で製造した研磨工具をSiCの加工に用いた。被研磨物10として、円板状のSiCウエハー(厚み1mm、直径50mm)を用いた。また加工圧力を、0.20Kgf/cmとした。また研磨液中の遊離砥粒の濃度を5質量%とした。それらの点以外は、実施例1と同条件で同じ方法の研摩を行った。その結果、加工レート1.12μm/分であった。
1 両面加工機
2 下定盤
3 上定盤
4 定盤支持部
5 ベース
9 キャリア
10 板状の被研磨物
20 研磨工具

Claims (7)

  1. 修正モース硬度8以上の硬脆材料である被研磨物の表面に対して遊離砥粒を含む研磨液を供給しつつ研磨工具を摺接させて研磨する工程を備えた研磨物の製造方法であって、
    前記研摩工具は、ダイヤモンド粒子が金属マトリックスに分散されてなり、且つ、前記金属マトリックス中に水素化物の形成が可能な金属が含まれており、ニッケルを1質量%以上10質量%以下含有し、前記ダイヤモンド粒子の平均粒径が1μm以上20μm以下であり、
    遊離砥粒として、修正モース硬度が12以上且つ平均粒径が0.1μm以上20μm以下であってダイヤモンド以外の砥粒を用い、研磨液として該遊離砥粒の濃度が2質量%以上40質量%以下であるものを用いる、研磨物の製造方法。
  2. 前記金属マトリックスが、Snを20質量%超、60質量%以下含むCu−Sn系合金からなる、請求項1に記載の研磨物の製造方法
  3. 前記研磨工具が、ダイヤモンド粒子を0.1質量%以上10.0質量%以下含有する、請求項1又はに記載の研磨物の製造方法
  4. 前記研磨工具が、前記金属マトリックスを構成する金属を70質量%以上98質量%以下含有する、請求項1〜の何れか1項に記載の研磨物の製造方法
  5. 前記研磨工具が、前記水素化物の形成が可能な金属を1質量%以上10質量%以下含有する、請求項1〜の何れか1項に記載の研磨物の製造方法
  6. 前記研摩工具は、
    ダイヤモンド粒子と、金属マトリックスを構成するか又はその原料である金属粉末と、金属水素化物とを混合する工程と、該工程により得られた混合粉を加圧成形する工程と、加圧成形された成形物を、非酸化性雰囲気下に焼成する工程を有する研摩工具の製造方法により製造されたものである、請求項1〜5の何れか1項に記載の研磨物の製造方法。
  7. 前記研摩工具は、
    ダイヤモンド粒子と、金属マトリックスを構成するか又はその原料である金属粉末と、金属水素化物とを混合する工程と、該工程により得られた混合粉を加圧しながら非酸化性雰囲気下に焼成する工程とを有する研磨工具の製造方法により製造されたものである、請求項1〜5の何れか1項に記載の研磨物の製造方法。
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