JP6684638B2 - 建築用透湿防水シート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
建築物の外壁としては、意匠性の自由度が高く、風合いが良いことから、モルタル壁が用いられることがある。通気工法を採用した場合のモルタル壁の形成方法としては、通常、スペーサ部材に防水シートを固定し、その防水シートの屋外側にラス網を取り付け、ラス網にモルタルを塗り付ける方法が採用される。
従来、建築用の透湿防水シートとしては、不織布と通気性を有するフィルムとを備えるシートが知られている(特許文献1,2)。
しかし、不透明な透湿防水シートでは、釘やステープル等の固定具等を用いて柱等の下地材に固定する際に、透湿防水シートを通して下地材を視認することが困難である。そのため、固定具の打ち損じが生じ、透湿防水シートの施工性が低くなる。
これに対し、特許文献2には、透明性を有する透湿防水シートを用いて施工性を高めることが記載されている。しかし、特許文献2に記載の透湿防水シートでは、建築用としての強度及び耐久性が不足することがあった。
本発明は、ある程度の透明性を有し、しかも建築用として充分な強度及び耐久性を有する建築用透湿防水シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
本態様の建築用透湿防水シートにおける前記透明通気フィルム層は、前記透明通気フィルム層は、JIS L1099の4.1のA法(繊維製品の透湿度試験方法)に準拠して測定された透湿度が8400〜8700g/(m2・24h)であることが好ましい。
本態様の建築用透湿防水シートにおいては、前記透明通気フィルム層の一方の面に前記不織布層が積層され、前記透明通気フィルム層の他方の面に前記多孔性ポリオレフィンフィルム層が積層されていることが好ましい。
本態様の建築用透湿防水シートにおいては、前記透明通気フィルム層と前記不織布層とが接着剤を介して接着されていることが好ましい。
本発明の一態様の建築用透湿防水シートの製造方法は、波長550nmの全光線透過率が37.5%以上、且つ、孔径が0.1μm以上10μm以下の貫通孔が形成されている透明通気フィルム層の一方の面に、ポリエステル繊維を含む不織布層を接着し、前記透明通気フィルムの他方の面に、孔径が10μm超30mm以下の貫通孔が形成されている多孔性ポリオレフィンフィルム層を接着する。
本態様の建築用透湿防水シートの製造方法における前記透明通気フィルム層は、JIS L1099の4.1のA法(繊維製品の透湿度試験方法)に準拠して測定された透湿度が8400〜8700g/(m2・24h)であることが好ましい。
本態様の建築用透湿防水シートの製造方法においては、前記透明通気フィルム層と前記不織布層とを、接着剤で接着することが好ましい。
本態様の製造方法により製造される建築用透湿防水シートが、波長550nmの全光線透過率が40%以上、全光線反射率が60%以下である。
本発明の建築用透湿防水シートの製造方法によれば、上記建築用透湿防水シートを容易に製造できる。
図1に示すように、本実施形態の透湿防水シート1は、不織布層10と透明通気フィルム層20と多孔性ポリオレフィンフィルム層30とを備え、不織布層10と多孔性ポリオレフィンフィルム層30との間に透明通気フィルム層20が設けられている。
本実施形態の透湿防水シート1においては、不織布層10が屋外側に配置され、多孔性ポリオレフィンフィルム層30が柱等の躯体側(すなわち室内側)に配置される。
不織布層10におけるポリエステル繊維の含有割合は50質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であってもよい。不織布層10におけるポリエステル繊維の含有割合が前記下限値以上であれば、透湿防水シート1の耐久性をより向上させることができる。
ポリエステル繊維以外の繊維としては、例えば、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等を使用することができる。
透明通気フィルム層20の全光線透過率が前記下限値未満であると、透湿防水シート1の透明性が低くなり、下地材の視認性が低下する。透湿防水シート1の透明性をより高くする点では、透明通気フィルム層20の全光線透過率が40%以上であることが好ましく、60%以下であることが好ましい。全光線透過率が60%を超えるものは、入手しにくくなる。
透明通気フィルム層20の貫通孔の孔径が前記下限値未満であると、透湿性が低くなり、前記上限値を超えると、防水性が低くなる。透明通気フィルム層20における貫通孔の孔径は0.5〜8μmであることが好ましい。なお、本発明において、貫通孔の孔径は平均値である。
透明通気フィルム層20は、例えば、延伸性がないため破断点になりやすい無機粒子(炭酸カルシウム等)を含有させた樹脂フィルムを延伸させ、無機粒子の存在位置で微小な亀裂を生させて貫通孔を形成することにより製造できる。樹脂フィルムに含有させる無機粒子は、レーザ回折・散乱法により測定した体積平均粒子径が5μm以下であることが好ましい。
多孔性ポリオレフィンフィルム層30としては特に限定されないが、透明性及び価格の点から、多孔性ポリエチレンフィルム又は多孔性ポリプロピレンフィルムが好ましく、多孔性ポリエチレンフィルムがより好ましい。
多孔性ポリオレフィンフィルム層30は、例えば、ポリオレフィンフィルムに多数の切り込みを形成した後、切り込み形成方向に対して直交方向に延伸することにより、ポリオレフィンフィルムを開口させる方法が挙げられる。
多孔性ポリオレフィンフィルム層30を作製する際に使用するポリオレフィンフィルムは、未延伸のものでもよいし、一軸延伸したものでもよい。一軸延伸したフィルムを用いる場合には、延伸方向に沿って切り込みを形成する。
また、多孔性ポリオレフィンフィルム層30を作製する際に使用するポリオレフィンフィルムは、単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。
多孔性ポリオレフィンフィルム層30の孔径が前記下限値以下であると、透湿性が低くなることがあり、前記上限値を超えると、フィルムが破断するおそれが生じる。また、多孔性ポリオレフィンフィルム層30の孔径は0.5μm〜5mmであることが好ましい。
具体的に、透湿防水シート1は、JIS A1324(カップ法)により測定された透湿抵抗が0.19(m2・s・Pa)/μg以下であることが好ましい。透湿防水シート1の透湿抵抗が前記上限値以下であれば、充分な透湿性を有し、前記上限値以下であれば、充分な防水性を確保できる。
また、透湿防水シート1は、JIS L1092に規定の静水圧法により測定された防水性(水圧)が10kPa以上であることが好ましい。前記水圧が前記下限値以上であれば、透湿防水シート1は充分な防水性を有する。
また、透湿防水シート1は、全光線透過率は40%以上であることが好ましく、42%以上であることがより好ましく、60%以下であることがさらに好ましい。全光線反射率は60%以下であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、57%以下であることがさらに好ましい。透湿防水シート1の全光線透過率が前記下限値以上であれば、充分な透明性を有し、固定具の打ち損じをより防止できる。しかし、透湿防水シート1の全光線透過率が前記上限値を超えると、孔が少なくなる傾向にあり、透湿性が低下することがある。
また、透湿防水シート1の厚さは200〜320μmであることが好ましく、240〜280μmであることがより好ましい。透湿防水シート1の厚さが前記下限値以上であれば、充分な耐久性を確保でき、前記上限値以下であれば、充分な透明性を確保できる。
透明通気フィルム層20に不織布層10を接着する方法としては、接着剤を用いて接着する方法、熱溶着する方法が挙げられるが、接着性が高いことから、接着剤を用いて接着する方法が好ましい。
接着剤としては特に制限されず、ポリオレフィン系接着剤、ゴム系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤等を使用できる。これら接着剤のなかでも、不織布層10と透明通気フィルム層20との接着強度が高いことから、ポリオレフィン系接着剤が好ましい。
また、接着剤はホットメルト型接着剤であってもよいし、溶剤型接着剤であってもよいが、第1接着工程を簡便にできる点では、ホットメルト型接着剤が好ましい。
上記のことから、不織布層10と透明通気フィルム層20とを高い接着強度で簡便に接着できる点で、ポリオレフィン系ホットメルト型接着剤が好ましい。接着剤を用いた接着方法としては、スプレーラミネート法、押出ラミネート法が好ましい。
接着剤の目付量は5〜12g/m2であることが好ましく、3〜10g/m2であることがより好ましい。接着剤の目付量が前記下限値以上であれば、不織布層10と透明通気フィルム層20との接着強度がより高くなる。しかし、接着剤の目付量を前記上限値より多くしても、接着強度は頭打ちになるため、無駄が多くなる傾向にある。
透明通気フィルム層20に多孔性ポリオレフィンフィルム層30を接着する方法としては、熱圧着する方法が挙げられる。透明通気フィルム層20を構成する樹脂が、多孔性ポリオレフィンフィルム層30を構成するポリオレフィンと同種である場合には、特に熱圧着が好ましい。熱圧着は簡便であり、低コストで透湿防水シート1を製造できるという利点を有する。
熱圧着方法としては、例えば、加熱した一対のロールの間に、不織布層10を接着した透明通気フィルム層20及び多孔性ポリオレフィンフィルム層30を通す方法、加熱したプレス機を用いて、不織布層10を接着した透明通気フィルム層20と多孔性ポリオレフィンフィルム層30とを圧着する方法が挙げられる。
また、不織布層10と透明通気フィルム層20と多孔性ポリオレフィンフィルム層30とを備える透湿防水シート1は、建築用として充分な強度及び耐久性を有する。
下記の不織布層、透明通気フィルム層及び多孔性ポリオレフィンフィルム層を備える透湿防水シートを作製した。
・不織布層:ポリエチレンテレフタレート不織布、目付量20g/m2、厚み100μm
・透明通気フィルム層:ポリエチレン製、全光線透過率50%、孔径3μm、透湿度8500g/(m2・24h)、目付量は、20g/m2、厚み30μm
・多孔性ポリオレフィンフィルム層:ポリエチレン製、孔径3mm、開口率57%、目付量24g/m2、厚み80μm
不織布層及び透明通気フィルム層を下記のものに変更した以外は実施例1と同様に透湿防水シートを作製した。
・不織布層10:ポリエチレンテレフタレート不織布、目付量45g/m2、厚み200μm
・透明通気フィルム層20:ポリエチレン製、全光線透過率35%、孔径3μm、透湿度1000g/(m2・24h)、目付量は、27g/m2、厚み30μm
これに対し、比較例1の透湿防水シートの全光線透過率は39%であり、全光線反射率は65%以下であった。この透湿防水シート1を柱等の下地材に固定する際には、透湿防水シート1を通して下地材を視認し難くかった。なお、比較例1の透湿防水シートは、透湿抵抗が0.19(m2・s・Pa)/μg以下、防水性(水圧)が10kPa以上の基準を充分満たしていた。
10 不織布層
20 透明通気フィルム層
30 多孔性ポリオレフィンフィルム層
Claims (5)
- ポリエステル繊維を含む不織布層と、透明通気フィルム層と、多孔性ポリオレフィンフィルム層とを備え、前記透明通気フィルム層の一方の面に前記不織布層が積層され、前記透明通気フィルム層の他方の面に前記多孔性ポリオレフィンフィルム層が積層され、波長550nmの全光線透過率が40%以上60%以下、全光線反射率が60%以下である建築用透湿防水シートであって、
前記透明通気フィルム層は、波長550nmの全光線透過率が37.5%以上、且つ、孔径が0.1μm以上10μm以下の貫通孔が形成され、JIS L1099の4.1のA法(繊維製品の透湿度試験方法)に準拠して測定された透湿度が8400〜8700g/(m 2 ・24h)であるフィルムであり、
前記多孔性ポリオレフィンフィルム層は、孔径が10μm超30mm以下の貫通孔が形成されているポリオレフィンフィルムである、建築用透湿防水シート。 - 前記透明通気フィルム層と前記不織布層とが接着剤を介して接着されている、請求項1に記載の建築用透湿防水シート。
- 波長550nmの全光線透過率が37.5%以上、且つ、孔径が0.1μm以上10μm以下の貫通孔が形成されている、JIS L1099の4.1のA法(繊維製品の透湿度試験方法)に準拠して測定された透湿度が8400〜8700g/(m 2 ・24h)である透明通気フィルム層の一方の面に、ポリエステル繊維を含む不織布層を接着し、
前記透明通気フィルムの他方の面に、孔径が10μm超30mm以下の貫通孔が形成されている多孔性ポリオレフィンフィルム層を接着する、建築用透湿防水シートの製造方法。 - 前記透明通気フィルム層と前記不織布層とを、接着剤で接着する、請求項3に記載の建築用透湿防水シートの製造方法。
- 前記建築用透湿防水シートが、波長550nmの全光線透過率が40%以上60%以下、全光線反射率が60%以下である、請求項3〜4のいずれか一項に記載の建築用透湿防水シートの製造方法。
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