JP2018144345A - 透湿防水シート - Google Patents

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Abstract

【課題】従来と同等以上の防水性と透湿性と通気性を有しながらも、赤外線反射性と強度が高く、且つ長期に亘って赤外線反射性を有する透湿防水シートを提供する。【解決手段】本発明の透湿防水シートは、樹脂フィルム10、アルミニウム箔20及び不織布40をこの順番で備えており、アルミニウム箔と樹脂フィルムとは、連通している貫通孔50を複数有しており、貫通孔の開口率は1.2%以上7.0%以下であり、アルミニウム箔は少なくとも前記樹脂フィルムに対向する面において、予め定められた表面積に存在する晶出物の総表面積の割合が2%以下であり、晶出物の1個当たりの平均表面積が2μm2以下であり、圧延方向に対して垂直な方向の表面粗さRzが40nm以下であり、かつ、表面粗さRaが10nm以下であり、不織布は、メルトブローン層44の両面にスパンボンド層42,42が積層されており、メルトブローン層は、密度が0.26g/cm3以上0.7g/cm3以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、透湿防水シートに関するものである。
従来、住宅の外壁用シートとして、防水性や透湿性を有するハウスラップ材(透湿防水シート)が使用されてきた。さらに近年では、夏季において室外からの輻射熱(赤外線)を反射して室内の温度上昇を抑えたり、冬季において室内の暖房等による熱放射を反射して室内の温度低下を抑えたりするために、ハウスラップ材にアルミニウム蒸着膜を設ける取り組みがなされている。例えば、例えば特許文献1や非特許文献1には、湿気が篭らないように、不織布と樹脂層の間に貫通孔を有するアルミ蒸着層を設けることで、防水性と透湿性と通気性と赤外線反射性を有する遮熱透湿防水シートおよびハウスラップ材が開示されている。
特開2010−434450号公報
http://www.tyvek.co.jp/construction/product/silver/
しかしながら、上記文献の技術では、数年以上の長期的な使用ではアルミニウム蒸着膜が劣化により消失してしまい、赤外線の反射効果が低下してしまう。また、住宅へハウスラップ材を施工しても外壁材で覆わない状態では、ハウスラップ材が風雨や直接の太陽光に晒されることで、2ヶ月を超える程度の期間でもアルミニウム蒸着膜が劣化してしまい、やはり赤外線の反射効果が低下してしまう。また、ハウスラップの施工に際して、施工者が不意に寄りかかる等により力をかけた場合、触れた場所でハウスラップ材が破れたり、つづり針(タック)を打った部位に負荷がかかってつづり針周囲で引き裂かれるおそれがあった。こうした場合、再度貼りなおしが必要となってしまう。そのため、規格で定められている強度の1.5倍以上の強度が要望されている。従って、本発明は、従来と同等以上の防水性と透湿性と通気性を有しながらも、赤外線反射性と強度が高く、且つ長期に亘って赤外線反射性を有する透湿防水シートを提供することを目的とする。
本発明の透湿防水シートは、樹脂フィルム、アルミニウム箔及び不織布をこの順番で備えており、前記アルミニウム箔と前記樹脂フィルムとは、連通している貫通孔を複数有しており、前記貫通孔の開口率は1.2%以上7.0%以下であり、前記アルミニウム箔は少なくとも前記樹脂フィルムに対向する面において、予め定められた表面積に存在する晶出物の総表面積の割合が2%以下であり、晶出物の1個当たりの平均表面積が2μm以下であり、圧延方向に対して垂直な方向の表面粗さRzが40nm以下であり、かつ、表面粗さRaが10nm以下であり、前記不織布は、メルトブローン層の両面にスパンボンド層が積層されており、前記メルトブローン層は、密度が0.26g/cm以上0.7g/cm以下である。ここで、貫通孔の開口率とは、アルミニウム箔表面を観察した場合のアルミニウム箔の表面積に対する貫通孔の開口面積の割合をいう。
前記アルミニウム箔と前記不織布との間に、網目状の接着剤層を有することが好ましい。網目状の接着剤層とは、多孔を有する接着剤層であって、より詳しくはアルミニウム箔と不織布との間を繋ぐ多数の孔を有している接着剤層のことである。
前記樹脂フィルムは厚さが8μm以上30μm以下、前記アルミニウム箔は厚さが5μm以上30μm以下、前記不織布は厚さが100μm以上300μm以下、であることが好ましい。
前記不織布におけるメルトブローン層の厚さは20μm以上60μm以下であることが好ましい。
前記樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、および二軸延伸ポリプロピレン(OPP)からなる群から選択される1種以上のフィルムより構成されていてもよい。
前記メルトブローン層は、構成する繊維が互いに融着していないことが好ましい。
前記網目状の接着剤層はポリオレフィン系接着剤であって、塗布量が5g/m以上12g/m以下であることが好ましい。
前記不織布は、ポリアミド(ナイロン)繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維及びアラミド繊維からなる群から選択される1種以上の繊維を含んでもよい。
透湿防水シートが上記の構成であることによって、従来と同等以上の防水性と透湿性と通気性を有しながらも、赤外線反射性と強度が高く、且つ長期に亘って赤外線反射性を有することができる。
実施形態に係る透湿防水シートの模式的な断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態)
実施形態に係る透湿防水シートは、図1に示すように樹脂フィルム10、アルミニウム箔20及び不織布40をこの順番で備えている。即ち、樹脂フィルム10、アルミニウム箔20及び不織布40がこの順番で積層されている。樹脂フィルム10とアルミニウム箔20との間には接着剤(不図示)が存しており、アルミニウム箔20と不織布40との間には接着剤層30が存している。
アルミニウム箔20と樹脂フィルム10とは、連通している貫通孔50,50を複数有していて、貫通孔50,50の開口率は1.2%以上7.0%以下の範囲である。
アルミニウム箔20少なくとも樹脂フィルム10に対向する面においては、予め定められた表面積に存在する晶出物の総表面積の割合が2%以下であって、前記晶出物の1個当たりの平均表面積が2μm以下であり、圧延方向に対して垂直な方向の表面粗さRzが40nm以下であり、かつ、表面粗さRaが10nm以下である。本実施形態のアルミニウム箔20は樹脂フィルム10に対向している面に前述の晶出物の表面積や表面粗さを備えているが、両面共に前述の晶出物の表面積や表面粗さを備えていてもよい。
不織布40は、メルトブローン層44の両面にスパンボンド層42,42が積層されていて、メルトブローン層44は、密度が0.26g/cm以上0.7g/cm以下である。メルトブローン層44の両面に配置されたスパンボンド層42,42は同じ種類同じ厚みであってもよいし、異なる種類や異なる厚みであってもよい。
アルミニウム箔20と不織布40との間の接着剤層30は、網目状の接着剤層を有することが好ましい。網目状の接着剤層とは、多孔を有する接着剤層であり、アルミニウム箔と不織布との間を繋ぐ多数の孔を有している。
<透湿防水シート>
本発明でいう透湿防水シートとは、建築物の透湿性と通気性とを備えた防水性のシートとして使用されるもの全般をいい、住宅、施設、コンクリート建築、木造等、種類に限定されるものではない。一般には、透湿防水シートは建築物の壁面や天井面、床面といった、建築物の室内と外気との間に使用される。さらに、透湿防水シートは、赤外線反射性を備えていることが好ましい。なお、一般に壁体内で使用される断熱材と透湿防水シートは別のものとして使用され、この場合には、室外から室内に向かって順に、外壁材、透湿防水シート、断熱材、内壁材となる様に施工される。
透湿防水シートにアルミニウム箔を用いることで、長時間風雨や太陽光に晒されたり、また施工後長期間の使用がなされたりしても、アルミニウム箔表面の酸化皮膜によってアルミニウム箔自身が守られ、アルミニウム箔が消失することがない。すなわち、耐侯性に優れる透湿防水シートを得ることができる。一方、特許文献1に開示されている透湿防水シートはアルミニウムを熱可塑性樹脂シートに蒸着しているため、経時的にアルミニウム蒸着膜は消滅してしまう。
本発明の透湿防水シートは、アルミニウム箔が室外側、不織布が室内側になる様に施工されることで、防水性と透湿性と通気性と赤外線反射性が最大限発揮される。
<アルミニウム箔>
本発明の透湿防水シートに使用されるアルミニウム箔20は少なくとも樹脂フィルムに対向する面において、予め定められた表面積に存在する晶出物の総表面積の割合が2%以下であり、晶出物の1個当たりの平均表面積が2μm以下であり、圧延方向に対して垂直な方向の表面粗さRzが40nm以下であり、かつ、表面粗さRaが10nm以下である。両面共に、前述の特徴を備えていてもよい。
なお、晶出物とは、たとえば、Al−Fe系、Al−Fe−Mn系、Al−Mg−Si系、Al−Mn系等の種々の金属間化合物をいう。晶出物の表面に入射した赤外線の反射率は、アルミニウム自体の表面に入射した赤外線の反射率よりも低い。なお、ここでいうアルミニウム箔の表面とは、アルミニウム箔の外観において目視、顕微鏡等によって確認され得る領域をいう。厳密には、アルミニウム箔とアルミニウム箔の表面に存在する晶出物との表面には酸化皮膜が形成されているが、ここでいうアルミニウム箔の表面とは、これらの酸化皮膜を除いたアルミニウム箔の表面をいう。
アルミニウム箔の表面積に対する晶出物の総表面積の割合が2%を超えるほど晶出物がアルミニウム箔の表面に存在していると、アルミニウム箔の反射率は低下してしまう。晶出物の1個当たりの平均表面積が2μmよりも大きいと、アルミニウム箔の表面の反射率にムラが生じてしまう。
なお、アルミニウム箔の予め定められた表面積に存在する晶出物の総表面積の割合の下限値は0%である。また、晶出物は光学顕微鏡で観察されるので、晶出物の表面積の検出限界値は0.01μm程度であるので、晶出物の1個当たりの平均表面積の下限値は0.01μmである。
また、アルミニウム箔の表面に存在する晶出物は、アルミニウム箔本来の反射率を低下させるだけでなく、アルミニウム箔の表面に凹凸を生じさせる。アルミニウム箔を製造するプロセスの1つである冷間圧延において、晶出物はアルミニウムの素地よりも硬いため、アルミニウムが優先的に塑性変形を起こす。晶出物は、塑性変形しているアルミニウム箔の表面の上を転がり、一部の晶出物はアルミニウム箔の表面から欠落してアルミニウム箔の表面に凹凸を生じさせる。このため、晶出物の総表面積が大きいと、すなわち晶出物の量が多いと、アルミニウム箔の表面に凹凸を生じさせる度合いが大きくなる。さらに、晶出物の1個当たりの平均表面積が大きいと、晶出物がアルミニウム箔の表面から欠落したときに形成される凹部は大きくなる。これらの結果、アルミニウム箔の表面に入射した赤外線が、アルミニウム箔の表面に形成された凹凸部において乱反射するので、反射率が低下する。
さらに、アルミニウム箔において、圧延方向に対して垂直なTD方向の表面粗さRzが40nm以下であり、表面粗さRaが10nm以下であることによって、アルミニウム箔の表面の凹凸が低減するので、アルミニウム箔の表面の凹凸部で反射した赤外線が別の凹凸部に再び当たって反射線が減衰することを抑えることができる。
一般的にアルミニウム箔は冷間圧延によって製造される。この冷間圧延がアルミニウム箔に施されると、アルミニウム箔の表面に圧延ロールの転写筋が存在する。この圧延ロールの転写筋がアルミニウム箔の表面に凹凸を生じさせることになる。一定以上の大きさの転写筋からなる凹凸は、赤外線の反射角度に異方性をもたらす。このため、赤外線の反射率が低下する。この圧延ロールの転写筋に起因する表面粗さは、圧延方向に対して垂直な方向、すなわちTD方向の表面粗さRzの値として評価することができる。
また、アルミニウム箔が、TD方向の表面粗さRzを40nm以下に制御されていることにより、赤外線の反射率が高くなり、透湿防水シートとして使用した場合に夏季に室内に太陽の熱が伝わるのを抑制し、冬季に室内の暖房等による熱を室外へ逃がしてしまうのを抑えることができる。
ところで、自然法則に基づくと、入射した赤外線がある表面で反射する際、その表面に凹凸があれば、入射した箇所によって反射する角度は変化する。場合によってはある凹凸部で反射した赤外線は、たとえば、その凹凸部の隣に存在する凹凸部にさらに当たり(入射し)、複数回反射を起こす可能性が生まれる。1回の反射において反射光は減衰することは知られているが、複数回反射すると、その光はその分だけ反射率が低下する。そこで、上述のアルミニウム箔では、表面粗さRaが10nm以下に制御されている。
なお、上記の表面粗さRzとRaを得る方法としては、物理的な研磨、電解研磨、化学研磨等の研磨加工、あるいは、表面が鏡面状態である圧延ロールを用いた冷間圧延、等がある。表面が鏡面状態である圧延ロールを用いた冷間圧延を以下に詳述する。
具体的には、所定の組成のアルミニウムの溶湯を調製し、アルミニウムの溶湯を凝固させることにより鋳塊を製造する。得られた鋳塊に400〜630℃程度の温度で1〜20時間程度の均質化処理を施してもよい。その後、鋳塊に熱間圧延と冷間圧延を施すことによって所定の厚みのアルミニウム箔になるまで圧延する。なお、連続鋳造によって薄板のアルミニウムを製造する場合には、連続鋳造後、直接、冷間圧延によって所望の厚みのアルミニウム箔を得ることもできる。
その後、最終仕上げ冷間圧延工程において、表面粗さRaが40nm以下である圧延ロールを用いて、35%以上の圧下率で圧延することが好ましい。
最終仕上げ冷間圧延工程において表面粗さRaが40nm以下である圧延ロールを用いる理由は以下のとおりである。最終仕上げ冷間圧延工程で使用する圧延ロールの表面粗さは、最終仕上げ冷間圧延工程後に得られるアルミニウム箔の表面粗さに大きく影響する。表面粗さRaが40nmより大きい圧延ロールを用いてアルミニウム箔を圧延すると、得られたアルミニウム箔は圧延方向に対して垂直なTD方向の表面粗さRzが40nmよりも大きくなり、表面粗さRaも10nmよりも大きくなってしまう。最終仕上げ冷間圧延工程で使用する圧延ロールの表面粗さRaは、できるだけ小さいことが好ましく、より好ましくは30nm以下である。なお、圧延ロールの表面粗さRaはJIS B0601:2001で定義されている中心線平均粗さRaを指し、一方アルミニウム箔の表面粗さRaはJIS B0601:2001で定義されている中心線平均粗さRaを、面に対して適用できるように三次元に拡張して算出された値を指す。
アルミニウム箔の厚みは4μm以上200μm以下であることが好ましい。アルミニウム箔の厚みが4μm未満であると、アルミニウム箔として機械的強度を維持することができず、製造時のハンドリング等によってアルミニウム箔の表面にしわが生じる。アルミニウム箔の厚みが200μmを超えると、アルミニウム箔の重量が増大するだけでなく、成形等の加工に制限が加えられるので好ましくない。さらに好ましくは、アルミニウム箔の厚みは6μm以上200μm以下である。アルミニウム箔の厚みを上記範囲にするためには、一般的なアルミニウム箔の製造方法に従って鋳造と圧延を行えばよい。
なお、アルミニウム箔の組成は特に限定されないが、鉄(Fe)の含有量は0.001%質量以上0.5質量%以下であることが好ましい。鉄はアルミニウムへの固溶度が小さいため、アルミニウムの鋳造時にFeAl等の金属間化合物が晶出しやすくなる。これらの晶出物は、アルミニウム素地よりも赤外線の反射率が低く、アルミニウム箔としての赤外線反射率を低下させる原因になる。鉄の含有量が0.5質量%以上になると、添加している鉄が全て晶出した場合、Al‐Fe系金属間化合物としてのFeAlの晶出量が1.2質量%を超えて存在することになり、赤外線反射率が低くなる。このため、鉄の含有量を0.5質量%以下にする必要がある。また、鉄の含有量が0.001質量%未満であると、アルミニウム箔の強度が低下する。
また、アルミニウム箔のマンガン(Mn)の含有量は0.5質量%以下であることが好ましい。鉄と同様にマンガンもアルミニウムへの固溶度が小さいため、アルミニウムの鋳造時にAl‐Fe‐Mn系の化合物等が晶出しやすくなる。Al‐Fe‐Mn系の晶出物は、Al‐Fe系の晶出物よりも微細であるが、これらの晶出物は、アルミニウム素地よりも赤外線反射率が低く、アルミニウム箔としての赤外線反射率を低下させる原因になる。マンガンの含有量が0.5質量%以上になると、添加しているマンガンが全て晶出した場合、Al‐Fe‐Mn系金属間化合物が1.5質量%を超えて存在することになり、赤外線反射率が低くなる。このため、マンガンの含有量を0.5質量%以下にする必要がある。
さらに、アルミニウム箔においてシリコン(Si)の含有量は0.001%質量%以上0.3質量%以下であることが好ましい。シリコンはアルミニウムへの固溶度が大きく晶出物を形成し難いため、アルミニウム箔において晶出物を生成させない程度の含有量であれば赤外線反射率を低下させることがない。また、シリコンを含むと固溶強化によってアルミニウム箔の機械的強度を向上させることができるので、厚みが薄い箔の圧延を容易にすることができる。シリコンの含有量が0.001質量%未満では、上述の効果を十分に得ることができない。シリコンの含有量が0.3質量%を超えると、粗大な晶出物が発生しやすくなり、反射特性が低下するだけでなく、結晶粒の微細化効果も損なわれるため、強度と加工性も低下する傾向にある。
なお、アルミニウム箔においてマグネシウム(Mg)の含有量は3質量%以下であることが好ましい。マグネシウムはアルミニウムへの固溶度が最大で18質量%と大きく、晶出物の発生が極めて少ないため、アルミニウム箔の反射特性に大きな影響をおよぼすことなく、アルミニウム箔の機械的強度を改善することができる。しかし、マグネシウムの含有量が3質量%を超えると、アルミニウム箔の機械的強度が高くなりすぎるので、アルミニウム箔の圧延性が低下する。アルミニウム箔の好ましい反射特性と機械的強度とを兼ね備えるためには、マグネシウムの含有量を2質量%以下にすることがさらに好ましい。
またアルミニウム箔は、上記の特性と効果に影響を与えない程度の含有量で、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、ビスマス(Bi)等の元素を含んでいてもよい。
アルミニウム箔には、一方の面には後述する樹脂フィルムが積層され、もう一方の面には後述する不織布が積層されている。
アルミニウム箔20と樹脂フィルム10とは、連通している貫通孔50を複数有し、前記貫通孔の開口率は1.2%以上7.0%以下である。即ち、アルミニウム箔20と樹脂フィルム10の両方が貫通孔を有していて、両方の貫通孔が連通している。ここでいう貫通孔50の開口率とは、樹脂フィルム10とアルミニウム箔20に設けられた貫通孔50であって、アルミニウム箔表面を観察した場合のアルミニウム箔の表面積に対する貫通孔の開口面積の割合をいう。
貫通孔の開口率が1.2%未満であると、透湿性が従来の透湿防水シートより劣るだけでなく、透湿防水シートとしての規格(JIS A6111)を満たさないおそれがある。また、貫通孔の開口率が7.0%を超えると、防風性が従来の透湿防水シートより劣るだけでなく、透湿防水シートとしての規格(JIS A6111)を満たさないおそれがある。
なお、アルミニウム箔20と樹脂フィルム10に設けられた連通している貫通孔50は、開口率が上記範囲であればよいが、例えば貫通孔1つあたりの孔の直径が0.2mm以上2.0mm以下であると好ましい。開口率が1.2%以上7.0%以下の範囲内で貫通孔1つあたりの孔の直径が、上記範囲内であることで、透湿防水シートとして均一に貫通孔が形成されていることになり、安定した品質を得られる。孔の直径が0.2 mm未満だと孔が塞がりやすく、2.0mmを超えると透湿防水シートとしての強度が低下するおそれがある。また、アルミニウム箔20と樹脂フィルム10に設けられた貫通孔50の孔の数量は、開口率が1.2%以上7.0%以下の範囲内で且つ貫通孔1つあたりの孔の直径が0.2mm以上2.0mm以下の範囲内で適宜設定できるが、好ましくは10万/m以上100万個/m以下であることが好ましい。貫通孔50の数量が10万/m未満だと透湿性が従来の透湿防水シートより劣るだけでなく、透湿防水シートとしての規格(JIS A6111)を満たさないおそれがある。貫通孔50の数量が100万/mを超えると、防風性が従来の透湿防水シートより劣るだけでなく、防風性が透湿防水シートとしての規格(JIS A6111)を満たさないおそれがある。
なお、アルミニウム箔20と樹脂フィルム10とが、連通している貫通孔50を複数有する積層体を用意する方法としては、例えばアルミニウム箔と樹脂フィルムとを貼り合わせた後にアルミニウム箔と樹脂フィルムとを針で刺すことによって貫通孔を形成する方法が好適に用いられる。また、アルミニウム箔と樹脂フィルムとが、後述する接着剤層を介して接着されている場合には、アルミニウム箔に接着剤を全面に塗工して樹脂フィルムと貼り合わせた後に針で刺すことによって貫通孔を形成する方法が好適に用いられる。樹脂フィルムとアルミニウム箔とが連通している貫通孔は、樹脂フィルムとアルミニウム箔とを積層した後に貫通孔を形成すること以外に、多孔状の樹脂フィルムと多数の微細な孔を有するアルミニウム箔とをスプレーラミによって積層することでも得られる。
また、針によってアルミニウム箔と樹脂フィルムに互いに貫通する貫通孔を形成する際に、樹脂フィルム側から刺すと、バリの発生を抑えることができ、その後の孔の潰れを防ぐことができる。
<樹脂フィルム>
本発明の透湿防水シートに使用される樹脂フィルム10は、特にその組成は限定されず、一般に市販されている樹脂製のフィルムを用いることができる。例えば、樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン(NY)および二軸延伸ポリプロピレン(OPP)からなる群から選択される1種以上のフィルムを用いることができる。これらの樹脂フィルムは透湿防水シートとして使用した場合の熱収縮率が最適であり、長期に亘って安定した品質を保つことができる。
また、樹脂フィルムの厚みは特に限定されないが、厚さが9.0μm以上30.0μm以下であることが好ましい。樹脂フィルムの厚みが9.0μm未満だと強度の低下が生じ、つづり針(タック)による施工に際して透湿防水シートが剥がれるおそれがあり、30.0μmを超えると透湿防水シートの重量が増加し、施工がしにくくなるおそれがある。
<不織布>
本発明の透湿防水シートに使用される不織布40は、一方の面がアルミニウム箔20に積層されている。不織布は、メルトブローン層44の両面にスパンボンド層42が積層されており、当該メルトブローン層は、密度が0.26g/cm以上0.7g/cm以下である。ここでいうメルトブローン層の密度とは、単位面積あたりのメルトブローン層の繊維の重量を示す。メルトブローン層の密度が0.26g/cm未満であると防風性が従来の透湿防水シートより劣るだけでなく、防風性が透湿防水シートとしての規格(JIS A6111)を満たさないおそれがある。メルトブローン層の密度が0.7g/cmを超えると透湿性が従来の透湿防水シートより劣るだけでなく、透湿性が透湿防水シートとしての規格(JIS A6111)を満たさないおそれがある。
なお、メルトブローン層の密度が上記範囲内である不織布としては特に限定されないが、例えば一般的に市販されている不織布を60度以上120度以下の熱カレンダー加工することによって得ることができる。
不織布の材質は限定されず、メルトブローン層の両面にスパンボンド層が積層されて且つメルトブローン層の密度が上記範囲内であればよく、一般に市販されている樹脂製のフィルムを用いることができる。好適には、不織布の材質が、ポリアミド(ナイロン)繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維及びアラミド繊維からなる群から選択される一種以上の不織布が挙げられる。さらには、ポリエステルの芯材にポリエチレンを被覆したような複合繊維も用いられる。或いは、パルプ、麻、綿、羊毛、ガラス繊維及び炭素繊維からなる層をさらに積層しても構わない。
不織布は、メルトブローン層の両面にスパンボンド層が積層されていればよく、スパンボンド層は複数の層となっていてもよい。具体的には、スパンボンド層−メルトブローン層−スパンボンド層(SMS)、スパンボンド層−メルトブローン層―メルトブローン層―スパンボンド層(SMMS)、スパンボンド層−メルトブローン層―メルトブローン層―メルトブローン層―スパンボンド層(SMMMS)からなる群から選択される不織布を用いることができる。より好ましくは、不織布はSMMMS(中間のメルトブローン層(M)が3層)であると、安定した性能が得られるため好ましい。
また、不織布におけるメルトブローン層の厚さは20μm以上60μm以下であることが好ましい。メルトブローン層の厚さとは、メルトブローン層が複数の層である場合には全てのメルトブローン層の厚さの合計をいう。上述のメルトブローン層の密度の範囲内においてメルトブローン層の厚さが20μm未満であると、防風性が低くなるおそれがあり、60μmを超えると透湿性が低くなるおそれがある。一方で、スパンボンド層の厚さは、特に限定されず、不織布全体の厚みである100μm以上300μm以下の範囲内で、メルトブローン層の厚みに従って適宜調整したものを用いることができる。例えば、スパンボンド層の厚さは1層あたり40μm以上140μm以下の範囲であることが好ましい。なお、スパンボンド層の厚みは、メルトブローン層の一方の面ともう一方の面とで、それぞれの厚さが異なっていてもよい。また、スパンボンド層の密度は、特に制限されないが、0.1g/cm以上0.8g/cm以下であることが好ましい。
また、不織布は、メルトブローン層の密度が上述の範囲内であればよく、不織布全体としての目付量は特に限定されないが、例えば目付量30g/m以上120g/m以下の不織布を用いると、耐水圧が最小でも100cm w.c.であるため、不織布単体でも透湿防水シートの規格であるJISA6111に定める100cmw.c.以上の規定値を満たすことができる。より好ましくは、不織布の目付量が50g/m以上80g/m以下であることで、透湿性と強度と耐水圧のバランスがよいためより好ましい。
さらに、スパンボンド層に用いられる繊維は1.5デニール以上4デニール以下、メルトブローン層に用いられる繊維は0.1デニール以上0.3デニール以下であるとより好ましい。
なお、メルトブローン層の繊維径を細くすることで耐水圧性がより高まるため好ましい。
また、メルトブローン層は、構成する繊維が互いに融着していないことが好ましい。繊維が互いに融着していると透湿性およびつづり針強度が低下するおそれがある。
<接着剤>
樹脂フィルム10とアルミニウム箔20との間には、接着剤を備えていてもよい。樹脂フィルムが接着性を備えているものであれば、アルミニウム箔と樹脂フィルムは直接接着することができるが、樹脂フィルムとアルミニウム箔とを接着剤によって接着しても透湿防水シートとして好適に使用することができる。アルミニウム箔と樹脂フィルムとを接着剤によって接着する場合には、アルミニウム箔と樹脂フィルムとで互いに貫通する貫通孔が、接着剤においても貫通していることが好ましい。
接着剤としては、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリエステルポリオール系接着剤、ポリエステルポリウレタンポリオール系接着剤、ポリエチレン系接着剤、粘着剤、ホットメルト剤等を用いることができる。樹脂フィルム10とアルミニウム箔20とを接着する方法は特に限定されず、例えばドライラミネート法、押し出しラミネート法、ウエットラミネート法、ヒートラミネート法、ロールコーティングに続くプレスによる貼り合わせ、スプレーラミ等の公知の方法を採用することができる。
<接着剤層>
アルミニウム箔20と不織布40との間には、接着剤層30を備えていることが好ましい。
不織布の表面に接着性を備えているものであれば、アルミニウム箔と不織布とで直接接着することができるが、アルミニウム箔と不織布とが接着剤層によって接着されていても透湿防水シートとして好適に使用することができる。アルミニウム箔と不織布とを接着剤層によって接着する場合には、不織布の通気性が確保されるために、当該接着剤層が網目状に形成されていることが好ましい。即ち、不織布の表面に接着剤層を形成した場合、平面視において接着剤層が網目状になっていることが好ましい。また、アルミニウム箔と不織布とを接着する場合の接着剤の量及び種類は、5g/m以上12g/m以下のポリオレフィン系接着剤であることが好ましい。接着剤の量が5g/m未満であると、アルミニウム箔と不織布が剥離しやすくなるおそれがあり、接着剤の量が12g/mを超えると、不織布の目地が詰まり、防風性が従来の透湿防水シートより低下するだけでなく、防風性が透湿防水シートとしての規格(JIS A6111)を満たさないおそれがある。
接着剤層に用いられる接着剤としては、ポリエチレン、ウレタン系接着剤、粘着剤、ホットメルト剤等を用いることができる。
接着剤層を形成する方法は、ホットメルト接着剤をスプレーラミにより不織布とアルミニウム箔との間に噴射により塗工して貼り合わせる方法を好ましく挙げることができる。これによりアルミニウム箔と不織布とが、網目状の接着剤により接着され、通気性を保てるため好ましい。
(実施例1)
100mm×40mmの大きさで厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、ユニチカ製)に、100mm×40mmの大きさで厚さ7μmのアルミニウム箔(商品名「ラクサル(登録商標)」、予め定められた表面領域に存在する晶出物の総表面積の割合が2%以下で、晶出物の1個当たりの平均表面積が2μm以下で、圧延方向と垂直な方向の表面粗さRzが40nm以下で、 表面粗さRaが10nm以下である光沢面を有する)を、光沢面側をポリエチレンテレフタレートフィルムに対向させて、ウレタン系接着剤を用いて接着した。
この接着されたPETフィルム/アルミニウム箔に対して、鉄製の針を用いて貫通孔を形成した。貫通孔の設定値は1つの孔あたりの直径が平均0.62mm、貫通孔の数量が444,444個/mとした。実績としての開口率は3.6%であった。なお、開口率の確認にはNikon製実態顕微鏡SMZ1500で表面観察を行い、得られた6.4mm×8.4mmの短形の視野における表面観察画像より、孔部分とそれ以外の部分を2直化して、視野内に存在する全ての孔の表面積を測定した。個々の孔の表面積の測定値と、視野の表面積とから、視野の表面積に対する全ての孔の総表面積の割合を算出し、それを開口率とした。表面観察画像は試料からランダムに4点採取し、それぞれの視野ごとに算出した孔の総表面積の割合について、4点の平均を求めた。
さらにアルミニウム箔の、PETフィルムが貼られた面とは反対の面に不織布を貼り合わせた。具体的には、不織布は100mm×40mmの大きさで坪量が75g/mであるポリプロピレン製の約499μm厚の市販のSMMMS(坪量比は、順にS41%、M6%、M6%、M6% S41%)を80度の温度で熱カレンダー加工してメルトブローン層の密度が0.35g/cmとなったものを用いた。それから、接着剤であるホットメルト樹脂をスプレーラミによって網目状にアルミニウム箔に塗工して、不織布とPETフィルム/アルミニウム箔とを貼り合わせて、透湿防水シートを得た。熱カレンダー加工後の不織布の厚さは159μmであり、メルトブローン層の厚みは39μmであった。
得られた透湿防水シートを自社製カップ法を用いて透湿度を測定した。その結果、透湿性は0.17m・s・Pa/μgであり、JIS A6111における規格の範囲である0.19以下を満たしていた。
さらに、施工における物理的な負荷を想定してつづり針保持強さと、引張強さを測定した。つづり針保持強さの測定法は、JIS A6111 7.4b)に基づく方法とし、引張強さの測定法は、JIS L1096 8.14 a) A法 (ストリップ法)とした。この結果、つづり針保持強さは58Nであり、JIS A6111における規格の範囲である27N以上を満たしていた。また、引張強さは151Nであり、JIS A6111における規格の範囲である100N以上を満たしていた。
次いで防水性をJIS L1092 A法 (静水圧法)により評価した。この結果、防水性は15.9kPaであり、JIS A6111における規格の範囲である10kPa以上を満たしていた。
また、防風性をJIS P8117の方法により評価した。この結果、防風性は15.5秒であり、JIS A6111における規格の範囲である10秒以上を満たしていた。
次いで、赤外反射率の測定を行った。測定法としては、日本分光株式会社製紫外可視分光光度計V570を用い、Labsphere社製積分球用標準白板をリファレンスとして積分球での全反射率を波長域250nm〜2000nmの範囲で測定した。全反射率の測定はアルミニウム箔の圧延方向(MD)と、MDに対して垂直な方向(TD)との2つの方向で測定し、これらの平均値として全反射率と評価した。その結果、波長1000nmから1800nmの赤外波長の平均反射率は88%という高い値であった。
また、劣化を確認するために透湿防水シートを85℃湿度85%、1000時間の耐熱試験により耐久性を確認した。その結果、アルミニウム箔の消失による劣化は見られず、試験後の赤外波長の平均反射率も88%であった。
(実施例2)
貫通孔を開口率1.2%で個数171703個/mとした以外は、実施例1と同様にして透湿防水シートを作成し、透湿性、つづり針保持強さ、引張強さ、防水性、防風性、赤外反射率を測定した。その結果、表1に示す様に、JIS A6111における規格の範囲内に全ての特性が入っていた。波長1000nmから1800nmの赤外波長の平均反射率は88%、耐久性試験後の赤外波長の平均反射率も88%であった。
(実施例3)
貫通孔を開口率1.22%で個数88643個/mとした以外は、実施例1と同様にして透湿防水シートを作成し、透湿性、つづり針保持強さ、引張強さ、防水性、防風性、赤外反射率を測定した。その結果、表1に示す様に、JIS A6111における規格の範囲内に全ての特性が入っていた。波長1000nmから1800nmの赤外波長の平均反射率は88%、耐久性試験後の赤外波長の平均反射率も88%であった。
(実施例4)
不織布のメルトブローン層を、厚さ50μm、密度を0.27g/cmとした以外は、実施例1と同様にして透湿防水シートを作成し、透湿性、つづり針保持強さ、引張強さ、防水性、防風性、赤外反射率を測定した。その結果、表1に示す様に、JIS A6111における規格の範囲内に全ての特性が入っていた。波長1000nmから1800nmの赤外波長の平均反射率は88%、耐久性試験後の赤外波長の平均反射率も88%であった。
(実施例5)
不織布のメルトブローン層を、厚さ20μm、密度を0.68g/cmとした以外は、実施例1と同様にして透湿防水シートを作成し、透湿性、つづり針保持強さ、引張強さ、防水性、防風性、赤外反射率を測定した。その結果、表1に示す様に、JIS A6111における規格の範囲内に全ての特性が入っていた。波長1000nmから1800nmの赤外波長の平均反射率は88%、耐久性試験後の赤外波長の平均反射率も88%であった。
(参考例)
不織布の繊維表面にアルミニウムが蒸着された市販の透湿防水シート(旭デュポン社製 デュポンタイベックシルバーTM)を用意した。透湿性、つづり針保持強さ、引張強さ、防水性、防風性、赤外反射率を測定したところ、JIS A6111における規格の範囲内に全ての特性が入っていた。しかしながら、波長1000nmから1800nmの赤外波長の平均反射率は78%、耐久性試験後にはアルミニウム蒸着膜の剥がれが確認され、赤外波長の平均反射率は50%にまで低下していた。
(比較例1)
開口率0.5%、貫通孔の数量74074個/mとした以外は、実施例1と同様にして透湿防水シートを作成し、透湿性、つづり針保持強さ、引張強さ、防水性、防風性、赤外反射率を測定した。その結果、表1に示す様に、透湿性が参考例に劣るだけでなく、JIS A6111の規格を満たしていなかった。波長1000nmから1800nmの赤外波長の平均反射率は89%であり、耐久性試験後の赤外波長の平均反射率も89%であった。
(比較例2)
貫通孔の開口率を16.0%で個数320000個/mとした以外は、実施例1と同様にして透湿防水シートを作成し、透湿性、つづり針保持強さ、引張強さ、防水性、防風性、赤外反射率を測定した。その結果、表1に示す様に、防風性が参考例に劣るだけでなく、JIS A6111の規格を満たしていなかった。波長1000nmから1800nmの赤外波長の平均反射率は87%であり、耐久性試験後の赤外波長の平均反射率も87%であった。
(比較例3)
実施例1で用意した厚み499μmのSMMMS不織布をそのまま、カレンダー加工せず、メルトブローン層の密度が0.22g/cmとした以外は、実施例1と同様にして透湿防水シートを作成し、透湿性、つづり針保持強さ、引張強さ、防水性、防風性、赤外反射率を測定した。このときのメルトブローン層の厚みは60μmであった。その結果、防風性が参考例に劣るだけでなく、JIS A6111の規格を満たしていなかった。波長1000nmから1800nmの赤外波長の平均反射率は88%であり、耐久性試験後の赤外波長の平均反射率も88%であった。
(比較例4)
アルミニウム箔を、厚さ7μmの市販のアルミニウム箔(東洋アルミニウム製A1N30材)にした以外は、実施例1と同様にして透湿防水シートを作成し、透湿性、つづり針保持強さ、引張強さ、防水性、防風性、赤外反射率を測定した。その結果、表1に示す様に、JIS A6111の規格を満たしていたものの、実施例よりも強度が低く、波長1000nmから1800nmの赤外波長の平均反射率は82%、耐久性試験後の赤外波長の平均反射率も82%であった。
なお、市販のアルミニウム箔(東洋アルミニウム製A1N30材)は、予め定められた表面積に存在する晶出物の総表面積の割合が2%以下であり、前記晶出物の1個当たりの平均表面積が2μm以下であり、圧延方向に対して垂直な方向の表面粗さRzが200nmであり、かつ、表面粗さRaが47nmであった。
以上の実施例1〜5と参考例、および比較例1〜4の透湿性、つづり針保持強さ、引張強さ、防水性、防風性、赤外反射率の結果を表1に示す。
Figure 2018144345
表1に示されるように、実施例1から4における透湿防水シートは、樹脂フィルム、アルミニウム箔、不織布を順に備え、アルミニウム箔と樹脂フィルムには、互いに貫通する貫通孔を複数有し、貫通孔の開口率は1.2%以上7.0%以下であり、アルミニウム箔は、予め定められた表面積に存在する晶出物の総表面積の割合が2%以下であり、晶出物の1個当たりの平均表面積が2μm以下であり、圧延方向に対して垂直な方向の表面粗さRzが40nm以下であり、かつ、表面粗さRaが10nm以下であり、不織布は、メルトブローン層の両面にスパンボンド層が積層されており、前記メルトブローン層は、密度が0.26g/cm以上0.7g/cm200g/m以下であるので、従来品(参考例)と同等以上の防水性と透湿性と通気性を有しながらも、赤外線反射性と強度が高く、長期に亘って赤外線反射性を有する。
(その他の実施形態)
上述の実施形態は本願発明の例示であって、本願発明はこれらの例に限定されず、これらの例に周知技術や慣用技術、公知技術を組み合わせたり、一部置き換えたりしてもよい。また当業者であれば容易に思いつく改変発明も本願発明に含まれる。
アルミニウム箔と不織布との間の接着剤層は、網目状ではなくても構わない。この接着剤層がアルミニウム箔の表面全面を覆っていても構わないが、アルミニウム箔に開けられた貫通孔と不織布の空隙とを繋いでこの空隙と貫通孔との間を期待が通過できる状態の接着剤層であることが好ましい。例えば、不織布のアルミニウム箔との貼り合わせを行う面に多数の点状に接着剤を塗布したり、グラビアロールでグラビアの目のところだけによって接着剤を塗布して接着剤層を形成することが考えられる。
10 樹脂フィルム
20 アルミニウム箔
30 接着剤層
40 不織布
42 スパンボンド層
44 メルブローン層
50 貫通孔

Claims (8)

  1. 樹脂フィルム、アルミニウム箔及び不織布をこの順番で備えており、
    前記アルミニウム箔と前記樹脂フィルムとは、連通している貫通孔を複数有しており、
    前記貫通孔の開口率は1.2%以上7.0%以下であり、
    前記アルミニウム箔は少なくとも前記樹脂フィルムに対向する面において、予め定められた表面積に存在する晶出物の総表面積の割合が2%以下であり、前記晶出物の1個当たりの平均表面積が2μm以下であり、圧延方向に対して垂直な方向の表面粗さRzが40nm以下であり、かつ、表面粗さRaが10nm以下であり、
    前記不織布は、メルトブローン層の両面にスパンボンド層が積層されており、
    前記メルトブローン層は、密度が0.26g/cm以上0.7g/cm以下であることを特徴とする、透湿防水シート。
  2. 前記アルミニウム箔と前記不織布との間に網目状の接着剤層を有することを特徴とする、請求項1に記載の透湿防水シート。
  3. 前記網目状の接着剤層はポリオレフィン系接着剤であって、塗布量が5g/m以上12g/m以下であることを特徴とする、請求項2に記載の透湿防水シート。
  4. 前記樹脂フィルムは厚さが8μm以上30μm以下、前記アルミニウム箔は厚さが5μm以上30μm以下、前記不織布は厚さが100μm以上300μm以下、であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一つに記載の透湿防水シート。
  5. 前記不織布におけるメルトブローン層の厚さは20μm以上60μm以下であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載の透湿防水シート。
  6. 前記樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン(NY)、および二軸延伸ポリプロピレン(OPP)からなる群から選択される1種以上のフィルムより構成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一つに記載の透湿防水シート。
  7. 前記メルトブローン層は、構成する繊維が互いに融着していないことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一つに記載の透湿防水シート。
  8. 前記不織布は、ポリアミド(ナイロン)繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維及びアラミド繊維からなる群から選択される1種以上の繊維を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一つに記載の透湿防水シート。
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