以下に添付図面を参照して、実施形態に係る放送受信装置および放送受信方法について詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。以下では、実施形態に係る放送受信装置が車両に搭載される場合を例に挙げて説明するが、実施形態に係る放送受信装置は、車両以外の移動体に搭載されてもよい。また、実施形態に係る放送受信装置は、放送受信機能を備えたスマートフォンやタブレット型端末等の可搬型の情報処理装置に搭載されてもよい。
まず、図1を参照し、実施形態に係る放送受信装置が行う放送受信方法について説明する。図1は、実施形態に係る放送受信方法の説明図である。図1に示すように、例えば、ある地域内に第1放送局A1、第2放送局A2、および第3放送局B1がある場合、放送局毎に放送エリアが存在する。ここでの放送エリアは、放送局毎に放送受信装置が放送を受信可能なエリアのことである。
第1放送局A1の放送エリアA11は、第1放送局A1を中心とする所定距離圏内の領域となる。第2放送局A2の放送エリアA21は、第2放送局A2を中心とする所定距離圏内の領域となる。第3放送局B1の放送エリアB11は、第3放送局B1を中心とする所定距離圏内の領域となる。そして、第1放送局A1の放送エリアA11、第2放送局A2の放送エリアA21、および第3放送局B1の放送エリアB11は、一部重複することがある。
ここで、例えば、第1放送局A1は、Aネットワークという放送系列に属しており、AAAニュースという番組を放送している。第2放送局A2は、Aネットワークという放送系列に属しており、AXAニュースという番組を放送している。第3放送局B1は、Bネットワークという放送系列に属しており、ドラマXという番組を放送している。なお、ここでの放送系列は、同一のキー局から配給される番組を放送する放送ネットワークのことである。
このような状況で、放送受信装置は、例えば、第1放送局A1を選局中に車両100が放送エリアA11の中央付近から放送エリアA11の端付近まで走行すると、受信中の放送の受信品質が劣化することがある。そして、放送受信装置は、その後、車両100が走行を続けて放送エリアA11の圏外へ出ると、受信中の放送を受信できなくなる。
ただし、放送受信装置は、現在位置が第1放送局A1の放送エリアA11の端付近であっても、現在位置が他の放送局の放送エリアと重複する位置であれば、他の放送局から放送を受信することが可能である。
このとき、放送受信装置は、受信中の番組と同一の番組を他の放送局が放送していれば、同一の番組を放送中の他の放送局に関する情報をユーザへ提示したり、同一の番組を放送中の他の放送局を選局したりすることでユーザの満足度低下を防止することができる。
しかしながら、放送受信装置は、受信中の番組と同一の番組を放送中の他の放送局が存在しない場合、同一の番組を放送中の他の放送局だけを探索し続けると、視聴不可能な期間が続くため、ユーザの満足度低下を招く。また、かかる場合に、放送受信装置は、受信中の番組とは一切関連性がなく、ユーザの趣向に合わない番組を放送中の放送局を選局すると、ユーザの満足度低下を招くおそれがある。
そこで、放送受信装置は、受信中の放送の受信品質が劣化する場合に、受信中の番組と同一の番組を放送中の放送局を探索するが、そのような放送局がなければ、受信中の放送と関連性の高い番組を放送中の代替局を探索して、ユーザへ提示する。
具体的には、放送受信装置は、受信部と、探索部と、放送情報取得部と、判定部と、提示部とを備える。受信部は、放送局から放送を受信する。探索部は、受信部によって選局中の放送局以外に選局可能な代替局を探索する。
放送情報取得部は、選局中の放送局の放送に関する放送情報および探索部によって探索される代替局の放送に関する放送情報を取得する。判定部は、受信部によって受信される放送の受信品質の良否を判定する。
提示部は、判定部によって受信品質が不良になると判定される場合に、放送情報取得部によって取得される放送局の放送に関する放送情報と代替局の放送に関する放送情報とに共通する事項の数に基づいて、代替局に関する情報の提示を行う。
例えば、図1に示す状況の場合、放送受信装置は、まず、第1放送局A1からAAAニュースを受信している。その後、放送受信装置は、車両100が図1に太線矢印で示す方向へ移動し、第1放送局A1の放送エリアA11の端に近づくと、第1放送局A1以外に選局可能な代替局を探索する。
ここでは、第2放送局A2および第3放送局B1という2つの代替局が存在する。そこで、放送受信装置は、選局中の第1放送局A1の放送に関する放送情報として、例えば、第1放送局A1が属する放送系列と放送番組を取得する。なお、放送情報は、放送の搬送波となる放送波に重畳されている情報である。
さらに、放送受信装置は、代替局となりうる第2放送局A2および第3放送局B1の放送に関する情報として、それぞれの放送局から放送系列と放送番組とを取得し、取得した各放送情報を比較して、共通する事項を抽出する。
第1放送局A1の放送情報および第2放送局A2の放送情報には、放送系列が共にAネットワークという1つの共通する事項が含まれている。一方、第1放送局A1の放送情報および第3放送局B1の放送情報には、共通する事項が含まれていない。
そこで、放送受信装置は、第2放送局A2および第3放送局B1のうち、放送情報に含まれる共通する事項の数が多い、第2放送局A2を代替局として決定する。そして、放送受信装置は、例えば、「放送エリアが変わります!Aネットワークの放送を視聴可能です。チャンネルを切り替えますか?」という音声メッセージを出力することによって、ユーザへ代替局の提示を行う。
これにより、ユーザは、第2放送局A2を選局することによって、Aネットワークに属する放送局の放送を継続して視聴することができる。このとき、第2放送局A2で放送中のAXAニュースと、第1放送局A1で放送中のAAAニュースとは、番組名が異なるが、キー局が同一であるため、例えば、ローカルニュースが放送される時間帯以外は、同一の全国ニュースを報じる可能性が高い。これにより、放送受信装置は、受信中の放送番組と同一の放送番組を放送中の代替局が存在しない場合であっても、ユーザの満足度低下を抑制することができる。
次に、図2を参照し、実施形態に係る放送受信装置1の構成について説明する。図2は、実施形態に係る放送受信装置1を示す機能ブロック図である。放送受信装置1は、車両100に搭載されて地上波デジタルテレビジョン(以下、「テレビ」と記載する)放送、FM(Frequency Modulation)ラジオ放送、およびAM(Amplitude Modulation)ラジオ放送を受信する装置である。以下、FMラジオ放送およびAMラジオ放送を総称してラジオ放送という。
図2に示すように、放送受信装置1は、アンテナ21,22、出力装置3、ナビゲーション装置4、およびマイク5に接続される。各アンテナ21,22は、テレビ放送およびラジオ放送の放送波を受信する。アンテナ21,22によって受信される放送波は、放送受信装置1へ入力される。
出力装置3は、ディスプレイ31およびスピーカ32を含む。ディスプレイ31は、例えば、タッチパネル機能を備えたTFT(Thin Film Transistor)液晶表示装置である。ディスプレイ31は、放送受信装置1から入力されるテレビ放送の映像や、ナビゲーション装置4から入力される車両100の現在位置を示す画像、車両100の走行経路を案内する案内画像等を表示する。
また、ディスプレイ31は、放送受信装置1による放送の受信エリアが変わる場合に、選局中の放送局以外に選局可能な代替局を示すテキスト情報等のポップアップ表示を行うこともできる。スピーカ32は、放送受信装置1から入力されるテレビ放送およびラジオ放送の音声、およびナビゲーション装置4から入力される音声を出力する。
ナビゲーション装置4は、地図情報を記憶しており、地図情報とGPS(Global Positioning System)を使用して、車両100の現在位置から入力される目的地までの経路案内を行う装置である。ナビゲーション装置4は、車両100の現在位置および目的地までの経路案内を示す画像情報および音声を出力装置3へ出力する。
また、ナビゲーション装置4は、地図情報に含まれる複数の放送局の位置および各放送局の放送エリアを示すエリア情報を記憶している。さらに、ナビゲーション装置4は、CD(Compact Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)を再生する機能を備える。そして、ナビゲーション装置4は、CDを再生する場合に、CDに記録された音声を出力装置3へ出力し、DVDを再生する場合に、DVDに記録された映像および音声を出力装置3へ出力する。
なお、ナビゲーション装置4は、USB(Universal Serial Bus)ポートを備えており、USBポートに接続される各種メディアから入力される映像や音声を出力装置3へ出力することも可能である。マイク5は、ユーザが発する音声を電気信号に変換して放送受信装置1へ出力する。
放送受信装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。
放送受信装置1は、CPUがROMに記憶された放送受信プログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより機能する複数の処理部を備える。具体的には、放送受信装置1は、受信部11、エリア情報取得部12、位置情報取得部13、探索部14、判定部15、放送情報取得部16、提示部17、音声受付部18、切替部19、選択部20を備える。
なお、放送受信装置1が備える各処理部は、それぞれ一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
受信部11は、アンテナ21を介して、テレビ放送またはラジオ放送の放送波を受信する処理部である。受信部11は、ユーザによって選局される放送局から放送波を受信し、受信した放送波に重畳された映像、音声、および字幕用のテキスト情報等を復調して出力装置3へ出力する。
また、受信部11は、受信する放送波を判定部15および放送情報取得部16へ出力する。なお、ユーザは、例えば、マイク5を使用した音声入力やディスプレイ31のタッチ操作によって、所望の放送局を選択することができる。
エリア情報取得部12は、地図情報に含まれる複数の放送局の位置および各放送局の放送エリアを示すエリア情報をナビゲーション装置4から取得して探索部14へ出力する処理部である。位置情報取得部13は、車両100の現在位置、すなわち、放送受信装置1の現在位置を示す位置情報をナビゲーション装置4から取得して探索部14へ出力する処理部である。
探索部14は、受信部11によって選局中の放送局以外に選局可能な他の放送局である代替局を探索する処理部である。探索部14は、位置情報取得部13から入力される位置情報が示す現在位置が、エリア情報取得部12から入力されるエリア情報が示す放送エリアの端から所定距離未満となる位置まで接近したか否かを判定し、接近したと判定する場合に代替局の探索を開始する。
また、探索部14は、代替局の探索を開始する場合に、その旨を示す情報を判定部15へ出力する。そして、探索部14は、代替局を検出すると、代替局から放送波を受信し、受信した所定時間分の放送波を放送情報取得部16へ出力する。
その後、探索部14は、さらに他の代替局の探索を継続し、他の代替局を検出する度に、他の代替局から放送波を受信し、受信した所定時間分の放送波を順次放送情報取得部16へ出力する。
放送情報取得部16は、受信部11および探索部14から入力される各放送波から、各放送に関する放送情報を取得して選択部20へ出力する処理部である。なお、放送情報取得部16が取得する放送情報の一例については、図4および図5を参照して後述する。
判定部15は、受信部11から入力される受信中の放送波に重畳された放送の受信品質の良否を判定する処理部である。判定部15は、放送波の受信電界強度が所定の閾値未満であれば、受信品質が不良になると判定し、放送波の受信電界強度が所定の閾値以上であれば、受信品質が良好であると判定する。
かかる判定部15は、探索部14から代替局の探索を開始したことを示す情報が入力される場合に、受信品質の良否判定を開始する。そして、判定部15は、受信品質が不良になると判定した場合に、その旨を示す情報を選択部20へ出力する。
選択部20は、判定部15から受信中の放送波の受信品質が不良になることを示す情報が入力される場合に、選局中の放送局以外で選局可能な他の放送局である代替局を選択する処理部である。
かかる選択部20は、選局可能な他の放送局のうち、放送情報取得部16から入力される選局中の放送局の放送に関する放送情報と共通する事項の数が多い放送局から順に、少なくとも1つ以上の放送局を代替局として選択する。
そして、選択部20は、選択した各代替局が放送中の放送に関する放送情報を提示部17へ出力する。提示部17は、選択部20から入力される代替局が放送中の放送に関する放送情報を出力装置3へ出力してユーザへ提示する処理部である。
かかる提示部17は、受信中の放送の受信品質が不良になる場合に、受信中の番組と同一の番組を放送している他の放送局があれば、その放送局を代替局としてユーザへ提示することができる。また、提示部17は、受信中の番組と同一の番組を放送している他の放送局がなくても、受信中の番組と関連性のある他の番組を放送している放送局があれば、その放送局を代替局としてユーザへ提示することができる。
したがって、放送受信装置1は、受信中の放送の受信品質が不良になる場合に、受信中の番組と同一の番組を放送中の代替局がなくても、受信中の番組と関連性のある他の番組を放送中の代替局を提示することにより、ユーザの満足度低下を抑制することができる。なお、放送受信装置1が行う代替局の選択手順の一例については、図4および図5を参照して後述する。
音声受付部18は、マイク5から入力される電気信号に変換された音声の入力を受け付け、受け付けた音声の内容を認識する処理部である。音声受付部18は、選局する放送局の切り替えを示す音声の入力を受け付けた場合に、切替先の放送局を指定する情報を切替部19へ出力する。
切替部19は、受信部11に選局させる放送局を切り替える処理を行う処理部である。切替部19は、音声受付部18から切替先の放送局を指定する情報が入力された場合に、切替先として指定された放送局を選局させる指令を受信部11へ出力する。受信部11は、切替部19から入力される指令に従い、選局中の放送局に代えて、指定された放送局を選局する。
これにより、放送受信装置1は、ユーザが車両100を運転中に、音声によって選局する放送局を切り替えることができるので、安全性を向上させることができる。また、放送受信装置1は、車両100が走行中でない場合、ユーザがタッチパネル機能付きのディスプレイ31を操作することによっても、選局する放送局を切り替えることが可能である。
なお、ここでは、提示部17によって代替局をユーザへ提示し、ユーザに切替先の放送局を指定させる場合について説明したが、放送受信装置1は、選択部20によって選択された代替局を自動的に選局する構成であってもよい。
かかる構成の場合、放送受信装置1は、選択部20と切替部19とが接続される。選択部20は、選局中の放送局以外で選局可能な他の放送局のうち、選局中の放送局の放送に関する放送情報と共通する事項の数が最も多い放送局放送局を代替局として選択する。
そして、選択部20は、選択した代替局を示す情報(例えば、受信周波数)を切替部19へ出力する。切替部19は、選択部20から入力される代替局を示す情報に基づき、選局する放送局を選択部20によって選択された代替局へ切り替える。かかる構成の場合、放送受信装置1は、必ずしも提示部17を備えていなくてもよい。
次に、図3を参照し、放送受信装置1による代替局の探索タイミングおよび提示タイミングの一例について説明する。図3は、実施形態に係る放送受信装置1による代替局の探索タイミングおよび提示タイミングの一例を示す説明図である。
ここでは、放送受信装置1を搭載する車両100が第1放送局A1の放送エリアA11から第2放送局A2の放送エリアA21へ向かって走行する場合を例に挙げて説明する。なお、以下では、選局中の放送局を現在局と称する。
図3に示すように、放送受信装置1は、車両100の走行開始当初、現在局から十分に高い受信電界強度で放送を受信中の期間には代替局の探索を行わず、放送エリアA11の端から所定の閾値ThL未満となる位置まで接近する場合に、代替局の探索を開始する。ここでの閾値ThLは、放送エリアA11の中で第1放送局A1から受信する放送の受信電界強度が低下し始めるエリアの端から放送エリアの端までの距離に相当する値であり、予め設定される値である。
これにより、放送受信装置1は、放送エリアA11の端から所定の閾値ThL未満となる位置まで接近するまで、探索部14、放送情報取得部16、および判定部15の動作を停止させることができるので、装置全体の処理負荷を低減することができる。
その後、放送受信装置1は、車両100が放送エリアA11の端にさらに接近し、受信中の放送の受信電界強度が所定の閾値ThW未満になると、現在位置で選局可能な代替局に関する代替局情報の提示を開始する。ここでの閾値ThWは、放送の視聴が困難になる受信電界強度に相当する値であり、予め設定される値である。
これにより、放送受信装置1は、ユーザが放送を問題なく視聴できているにも関わらず、代替局情報を提示してしまい、ユーザの満足度が低下することを抑制することができる。そして、放送受信装置1は、視聴に問題が生じてユーザが代替局を必要とする状況になった場合に、代替局情報の提供を行うことができる。
次に、図4および図5を参照し、放送受信装置1が行う代替局の選択手順の一例について説明する。図4および図5は、実施形態に係る放送受信装置1が取得する放送情報の一例を示す説明図である。ここでは、現在局の放送に関する放送情報を現在局放送情報と称し、第1〜第4の代替局の放送に関する放送情報を、それぞれ第1代替局放送情報、第2代替局放送情報、第3代替局放送情報、および第4代替局放送情報と称する。
図4および図5に示すように、放送受信装置1は、現在局および選局可能な各代替局から放送情報として、放送番組、放送系列、放送のジャンル、および放送内容を取得する。なお、放送受信装置1が取得する放送情報は、これらに限定されるものではなく、各放送局の放送に関する情報であれば、他の情報をさらに含んでもよい。
放送受信装置1は、選局中の現在局の他に、選局可能な代替局が4局ある場合、例えば、図4に示す現在局放送情報、第1代替局放送情報、第2代替局放送情報、第3代替局放送情報、および第4代替局放送情報を取得することがある。
かかる場合、放送受信装置1は、現在局放送情報と4つの代替局放送情報とを比較し、双方で共通する事項を検出する。ここで、現在局放送情報における放送番組と、第1代替局放送情報における放送番組とは、同一である。このため、当然ながら、双方の放送情報に含まれる放送系列、ジャンル、および放送内容も同一である。したがって、現在局放送情報と第1代替局放送情報とに共通する事項の数は、4となる。
一方、現在放送局情報と第2代替局放送情報とに共通する事項は、放送系列およびジャンルの2つである。また、現在局放送情報と第3代替局放送情報とに共通する事項は、ジャンルの1つである。また、現在局放送情報と第4代替局放送情報とに共通する事項の数は、0である。
このため、放送受信装置1は、共通する事項の数が最も多い第1代替局情報を取得した放送波を発信する第1代替局を優先的に提示する。なお、代替局の提示方法の一例については、図6を参照して後述する。
これにより、放送受信装置1は、受信中の番組と同一の番組を放送中の第1代替局への切り替えを促すことができるので、選局する放送局の切り替えによるユーザの満足度低下を防止することができる。なお、放送受信装置1は、切り替え前の番組と、切り替え後の番組とが同一の場合、代替局に関する情報の提示を行わず、自動的に選局する放送局の切り替えを行うこともできる。これにより、放送受信装置1は、放送エリアが変わっても、ユーザの手を煩わせることなく、ユーザに同一の番組を継続して視聴させることができる。
また、放送受信装置1は、図4に示す代替局情報のうち、第1代替局放送情報を取得しない場合もある。かかる場合、放送受信装置1は、第2代替局放送情報、第3代替局放送情報、および第4代替局放送情報のうち、現在局放送情報と共通する事項の数が最も多い第2代替局放送情報を取得した放送波を発信する第2代替局を優先的に提示する。
現在局と第2代替局とでは、放送番組および内容が異なるが、放送系列が同一であり、しかも、ジャンルが双方ともニュースで同一であるため、例えば、ローカルニュースが放送される時間帯以外は、同一の全国ニュースを報じる可能性が高い。したがって、放送受信装置1は、受信中の番組と同一の番組を放送中の代替局が存在しない場合であっても、同一のニュースを放送する可能性の高い第2代替局を優先的に提示することによって、ユーザの満足度低下を抑制することができる。
また、放送受信装置1は、図4に示す代替局情報のうち、第1代替局放送情報および第2代替局放送情報を取得しない場合もある。かかる場合、放送受信装置1は、第3代替局放送情報および第4代替局放送情報のうち、現在局放送情報と共通する事項の数が多い第3代替局放送情報を取得した放送波を発信する第3代替局を優先的に提示する。
現在局と第3代替局とでは、放送番組、放送系列、および放送内容が異なるが、ジャンルが双方ともニュースで同一であるため、視聴中の内容が、例えば、重大なニュースであれば、別のニュース番組でも、番組中で放送される可能性が高い。したがって、放送受信装置1は、ユーザが視聴中のニュースと関連するニュースを放送する可能性の高い第3代替局を優先的に提示することによって、ユーザの満足度低下を抑制することができる。
また、放送受信装置1は、図4に示す代替局情報のうち、第1代替局放送情報、第2代替局放送情報、および第3代替局放送情報を取得しない場合もある。かかる場合、放送受信装置1は、第4代替局を提示する。これにより、放送受信装置1は、ユーザが放送を視聴できない期間を極力短時間に抑えることによって、ユーザの満足度低下を抑制することができる。
また、放送受信装置1は、図5に示す現在局放送情報、第1代替局放送情報、第2代替局放送情報、および第3代替局放送情報を取得することがある。かかる場合、放送受信装置1は、現在局放送情報と3つの代替局放送情報とを比較し、双方で共通する事項を検出する。
ここで、現在局放送情報における放送番組と、第1代替局放送情報における放送番組とは、同一である。このため、当然ながら、双方の放送情報に含まれる放送系列、ジャンル、および放送内容も同一である。したがって、現在局放送情報と第1代替局放送情報とに共通する事項の数は、4となる。
一方、現在放送局情報と第2代替局放送情報とに共通する事項は、ジャンルおよび放送内容の2つである。また、現在局放送情報と第3代替局放送情報とに共通する事項の数は、0である。
このため、放送受信装置1は、共通する事項の数が最も多い第1代替局放送情報を取得した放送波を発信する第1代替局を優先的に提示する。これにより、放送受信装置1は、受信中の番組と同一の番組を放送中の第1代替局への切り替えを促すことができるので、選局する放送局の切り替えによるユーザの満足度低下を防止することができる。
また、放送受信装置1は、図5に示す代替局情報のうち、第1代替局放送情報を取得しない場合もある。かかる場合、放送受信装置1は、第2代替局放送情報および第3代替局放送情報のうち、現在局放送情報と共通する事項の数が多い第2代替局放送情報を取得した放送波を発信する第2代替局を優先的に提示する。
ここで、現在局は、テレビ局であり、第2代替局は、ラジオ局である。つまり、現在局と第2代替局とでは、放送メディアが異なる。しかし、現在局および第2代替局は、Gチーム対Tチーム戦という同一試合の野球中継を放送している。
したがって、放送受信装置1は、受信中の野球のテレビ中継と同一試合のラジオ中継を放送している第2代替局を優先的に提示することによって、ユーザの満足度低下を抑制することができる。
また、放送受信装置1は、図5に示す代替局情報のうち、第1代替局放送情報および第2代替局放送情報を取得しない場合もある。かかる場合、放送受信装置1は、第3代替局放送情報を取得した放送波を発信する第3代替局を優先的に提示する。
現在局と第3代替局とでは、放送番組、放送系列、およびジャンルが異なるが、放送内容が双方ともスポーツで同一である。このため、第3代替局で放送中のニュースでは、現在局で放送中の野球中継の途中経過や結果等が放送される可能性がある。
したがって、放送受信装置1は、ユーザが視聴中の野球中継と関連するニュースを放送する可能性のある第3代替局を優先的に提示することによって、ユーザの満足度低下を抑制することができる。なお、放送受信装置1は、選局可能な代替局を検出することができない場合、AV(Audio Video)ソースを切り替える。例えば、放送受信装置1は、テレビ放送の受信品質が不良になる場合に、代替局を検出することができなければ、CDまたはCVDに記録された音声や映像を出力させる。
次に、図6を参照し、放送受信装置1による代替局の提示態様および放送局の切り替え態様の一例について説明する。図6は、実施形態に係る放送受信装置1による代替局の提示態様および放送局の切り替え態様の一例を示す説明図である。
図6に(a)で示すように、放送受信装置1は、例えば、天気予報の受信中に車両100が走行に伴って放送の受信品質が不良になり、視聴が困難になると、代替局を探索して提示する。例えば、放送受信装置は、「放送エリアが変わります。選局可能局の放送を10秒ずつ出力しますので、選局してください。3ch:明日の○○地方は、晴れ・・・、1Ch:3回の裏、2アウト満塁で・・・、5Ch:・・・」という音声メッセージを出力する。
その後、放送受信装置1は、図6に(b)で示すように、例えば、ユーザが「3Ch」と、音声によるチャンネルの選択操作を行うと、図6に(c)で示すように、放送局を3Chに切り替えて、天気予報の放送を受信する。
このように、放送受信装置1は、音声によって代替局の提示を行い、ユーザの音声による切り替え操作によって、放送局の切り替えを行う。これにより、ユーザは、目をディスプレイ31に向けることなく、代替局の提示を受けることができ、手を使うことなく、放送局の切り替えを行うことができる。したがって、放送受信装置1は、ユーザが車両100を運転中であっても、代替局の提示および放送局の切り替えを安全に行うことができる。
次に、図7を参照し、放送受信装置1が実行する処理について説明する。図7は、実施形態に係る放送受信装置1が実行する処理を示すフローチャートである。放送受信装置1は、放送を受信している間、図7に示す処理を所定周期で繰り返し実行する。
具体的には、図7に示すように、放送受信装置1は、放送の受信を開始すると、まず、ナビゲーション装置4から現在位置付近の放送エリアに関するエリア情報を取得し(ステップS101)、その後、ナビゲーション装置4から現在位置を示す位置情報を取得する(ステップS102)。
続いて、放送受信装置1は、現在位置が放送エリアの端に接近したか否かを判定する(ステップS103)。ここで、放送受信装置1は、放送エリアの端までの距離が所定の閾値ThL未満になった場合に、放送エリアの端に接近したと判定する。
そして、放送受信装置1は、放送エリアの端に接近していないと判定した場合(ステップS103,No)、処理をステップS101へ移す。また、放送受信装置1は、放送エリアの端に接近していると判定した場合(ステップS103,Yes)、代替局の探索および受信品質の判定を開始する(ステップS104)。
続いて、放送受信装置1は、代替局があるか否かを判定し(ステップS105)、代替局がないと判定した場合(ステップS105,No)、AVソースを切り替えて(ステップS113)、処理をステップS105へ移す。
また、放送受信装置1は、代替局があると判定した場合(ステップS105,Yes)、現在局から受信する放送波および代替局から受信する放送波から放送情報を取得する(ステップS106)。そして、放送受信装置1は、現在局放送情報と代替局放送情報とを比較し、共通する事項の数に基づいて、提示代替局を決定する(ステップS107)。
続いて、放送受信装置1は、受信中の放送の受信品質が不良になるか否かの判定を行い(ステップS108)、受信品質が不良にならないと判定した場合(ステップS108,No)、処理をステップS101へ移す。
また、放送受信装置1は、受信品質が不良になると判定した場合(ステップS108,Yes)、現在局から代替局への切り替え前後の放送番組は同一か否かの判定を行う(ステップS109)。そして、放送受信装置1は、切り替え前後の放送番組は同一と判定した場合(ステップS109,Yes)、処理をステップS112へ移す。
また、放送受信装置1は、切り替え前後の放送は同一でないと判定した場合(ステップS109,No)、代替局に関する代替局情報の提示を行い(ステップS110)、ユーザによる代替局選択操作があるか否かを判定する(ステップS111)。
そして、放送受信装置1は、代替局選択操作がないと判定した場合(ステップS111,No)、処理をステップS108へ移す。また、放送受信装置1は、代替局選択操作があると判定した場合(ステップS111,Yes)、代替局への切り替えを行い(ステップS112)、処理を終了する。
上述したように、実施形態に係る放送受信装置は、受信部と、探索部と、放送情報取得部と、判定部と、選択部とを備える。受信部は、放送局から放送を受信する。探索部は、
受信部によって選局中の放送局以外に選局可能な代替局を探索する。
放送情報取得部は、選局中の放送局の放送に関する放送情報および探索部によって探索される代替局の放送に関する放送情報を取得する。判定部は、受信部によって受信される放送の受信品質の良否を判定する。
選択部は、判定部によって受信品質が不良になると判定される場合に、放送情報取得部によって取得される放送局の放送に関する放送情報と代替局の放送に関する放送情報とに共通する事項の数に基づいて、代替局を少なくとも1つ選択する。
これにより、放送受信装置は、受信中の放送の受信品質が不良になる場合に、受信中の放送番組と同一の放送番組を放送中の代替局が存在しなくても、ユーザの嗜好に合った代替局を選択することによりって、ユーザの満足度低下を抑制することができる。
また、実施形態に係る放送受信装置の放送情報取得部は、放送情報として、少なくとも、放送番組を示す情報および放送内容のジャンルを示す情報を取得する。これにより、放送受信装置は、受信中の放送と同一番組や、受信中の放送と同一ジャンルの番組を放送中の代替局を提示することによって、ユーザの満足度低下をさらに抑制することができる。
また、実施形態に係る放送受信装置の放送情報取得部は、放送媒体が選局中の放送局と同一の代替局の放送に関する放送情報と、放送媒体が選局中の放送局とは異なる代替局の放送に関する放送情報とを取得する。これにより、放送受信装置は、例えば、選局可能なテレビ局およびラジオ局の中から、受信中の番組と最も関連性の高い番組を放送中の代替局を提示することによって、ユーザの満足度低下を抑制することができる。
また、実施形態に係る受信装置は、選択部によって選択される代替局に関する情報の提示を行う提示部を備える。これにより、放送受信装置は、受信中の放送の受信品質が不良になる場合に、受信中の放送番組と同一の放送番組を放送中の代替局が存在しなくても、ユーザの嗜好に合った代替局をユーザへ提示することによって、ユーザの満足度低下を抑制することができる。
また、実施形態に係る放送受信装置の提示部は、受信中の放送局の放送と共通する事項の数が多い放送を放送中の代替局に関する情報の提示を優先的に行う。これにより、放送受信装置は、受信中の番組と関連性の高い番組を放送中の代替局を優先的に提示することによって、ユーザの満足度低下を抑制することができる。
また、実施形態に係る放送受信装置の提示部は、判定部によって受信品質が不良になったと判定された場合に、代替局の提示を開始する。これにより、放送受信装置は、受信中の番組の受信品質が不良になっていない状態で、代替局の提示を行うことによるユーザの満足度低下を抑制することができる。
また、実施形態に係る放送受信装置は、選局中の放送局を代替局へ切り替える切替部をさらに備える。そして、提示部は、放送情報取得部によって取得された放送情報に基づき、選局中の放送局および代替局の放送番組が同一と判定する場合には、提示を行わずに切替部によって放送局を切り替えさせ、選局中の放送局および代替局の放送番組が異なると判定する場合には、提示を行う。
これにより、放送受信装置は、放送局の切り替え前後で放送番組が変わらないにも関わらず、不必要な代替局の提示を行うことがない。また、放送受信装置は、放送局の切り替え前後で放送番組が変わる場合に、ユーザに無断で放送局の切り替えを行うことを防止することができる。
また、実施形態に係る放送受信装置は、音声による代替局の選択操作を受付ける音声受付部をさらに備える。そして、切替部は、音声受付部によって選択操作が受付けられる場合に、選局中の放送局を代替局へ切り替える。これにより、放送受信装置は、例えば、車両に搭載される場合に、ユーザが車両を運転中であっても、安全に放送局の切り替えを行わせることができる。
また、実施形態に係る放送受信装置の提示部は、音声によって代替局の提示を行う。これにより、放送受信装置は、例えば、車両に搭載される場合に、ユーザが車両を運転中であっても、安全に代替局の提示を行うことができる。
また、実施形態に係る放送受信装置は、選局中の放送局の放送エリアを示すエリア情報を取得するエリア情報取得部と、放送受信装置の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部とをさらに備える。そして、探索部は、位置情報取得部によって取得される位置情報が示す現在位置が、エリア情報取得部によって取得されるエリア情報が示す放送エリアの端から所定距離未満となる位置まで接近する場合に、代替局の探索を開始する。これにより、放送受信装置は、放送エリアの端から所定距離未満となる位置まで接近する以前における処理負荷を低減することができる。
また、実施形態に係る放送受信装置の判定部は、受信部によって受信される放送が重畳される放送波の受信電界強度が所定の閾値未満である場合に、受信品質が不良になると判定し、放送波の受信電界強度が所定の閾値以上である場合に、受信品質が良好であると判定する。これにより、放送受信装置は、放送受信品質を適切に判定することができる。
なお、上述した実施形態では、放送受信装置とナビゲーション装置とが別体である場合を例に挙げて説明したが、実施形態に係る放送受信装置は、ナビゲーション装置に内蔵されてもよい。また、ナビゲーション装置は、ディスプレイやスピーカを備える構成であってもよい。
また、実施形態に係る放送受信装置は、代替局に関する情報の提示を音声のみで行うか、音声およびディスプレイへの表示によって行うか、ディスプレイへの表示のみで行うかをユーザが設定する構成であってもよい。
また、実施形態に係る放送受信装置は、放送局の切り替え操作を音声によって行わせるか、手動操作によって行わせるかをユーザが設定する構成であってもよい。また、実施形態に係る放送受信装置は、AVソースを切り替える場合に、予め設定されるAVソースの優先度に基づき、選択するAVソースを決定する構成であってもよい。
また、実施形態に係る放送受信装置は、放送波の受信電界強度に基づいて、放送の受信品質を判定するが、放送波を受信するアンテナの受信電力に基づいて、放送の受信品質を判定する構成であってもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。