JP6683084B2 - 蓄電装置 - Google Patents

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本発明は、蓄電装置に関する。
従来の蓄電装置として、電極板の一方面に正極が形成され、他方面に負極が形成されたバイポーラ電極を備えたバイポーラ電池が知られている(特許文献1参照)。バイポーラ電池は、セパレータを介して複数のバイポーラ電極を積層してなる積層体を備えている。積層体には、シール用の樹脂製の枠体が設けられ、バイポーラ電極の積層によって形成される側面が保持されるようになっている。
特開2011−151016号公報
上述のような蓄電装置では、バイポーラ電極の電極板の縁部は、枠体を構成する樹脂に保持されている。ここで、電極板を構成する材料と枠体を構成する樹脂との親和性が低いことにより、電極板と枠体との間の接合性が低く、これを向上することが要請されていた。
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、電極板と枠体との間の接合性を向上できる蓄電装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る蓄電装置は、一方面側に正極が形成され、かつ他方面側に負極が形成された電極板からなるバイポーラ電極を有する蓄電装置であって、セパレータを介してバイポーラ電極を交互に積層してなる積層体と、バイポーラ電極の積層によって形成された積層体の側面を取り囲んで保持する樹脂性の枠体と、を備え、電極板の縁部には、当該縁部の表面を覆うめっき層が形成され、電極板の縁部は、めっき層を介して枠体に保持され、枠体を構成する樹脂とめっき層との線膨張係数の差は、枠体を構成する樹脂と電極板との線膨張係数の差よりも小さい。
この蓄電装置では、電極板の縁部には、当該縁部の表面を覆うめっき層が形成されている。従って、電極板の縁部は、めっき層を介して枠体に保持される。ここで、枠体を構成する樹脂とめっき層との線膨張係数の差は、枠体を構成する樹脂と電極板との線膨張係数の差よりも小さい。これにより、電極板が枠体に直接保持される場合に比して、枠体との境界部分の線膨張係数の差を小さくした状態にて、電極板を枠体に保持させることができる。以上により、電極板と枠体との間の接合性を向上できる。
また、めっき層の表面には、粗面部が形成されていてよい。このような構成によれば、めっき層の粗面部における凹凸形状が枠体に食い込んだ状態で、めっき層が枠体と接合することができるため、接合性を更に向上することができる。
本発明によれば、電極板と枠体との間の接合性を向上できる。
本発明の一実施形態に係る蓄電装置の構成を示す概略断面図である。 電極板の縁部の拡大断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一側面に係る蓄電装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電装置の構成を示す概略断面図である。同図に示す蓄電装置1は、バイポーラ電極3の積層体2を備えたバイポーラ電池である。蓄電装置1は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池などの二次電池、或いは電気二重層キャパシタである。蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
蓄電装置1は、上述したバイポーラ電極3の積層体2と、積層体2を保持する枠体4と、積層体2を拘束する拘束部材5とを備えている。
積層体2は、セパレータ6を介して複数のバイポーラ電極3を積層することによって構成されている。バイポーラ電極3のそれぞれは、電極板11と、電極板11の一方面11aに設けられた正極12と、電極板11の他方面11bに設けられた負極13とを有している。積層体2において、一のバイポーラ電極3の正極12は、積層方向に隣り合う一方のバイポーラ電極3の負極13と対向し、一のバイポーラ電極3の負極13は、積層方向に隣り合う他方のバイポーラ電極の正極12と対向している。
電極板11は、例えばニッケルからなる金属箔である。電極板11の厚さは、例えば0.1μm〜1000μm程度となっている。正極12を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極13を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。電極板11の他方面11bにおける負極13の形成領域は、電極板11の一方面11aにおける正極12の形成領域に対して一回り大きくてもよい。
電極板11の縁部11cは、正極活物質及び負極活物質の塗工されない未塗工領域となっており、枠体4の内壁4aに埋没した状態で枠体4に保持されている。これにより、積層方向に隣り合う電極板11,11間には、当該電極板11,11と枠体4の内壁4aとによって仕切られた空間が形成されている。当該空間には、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。
積層体2の一方の積層端(図1における上側の積層端)には、片面に負極13のみが設けられた電極板11Aが積層されている。当該電極板11Aは、セパレータ6を介して負極13と最上層のバイポーラ電極3の正極12とが対向するように配置されている。また、積層体2の他方の積層端(図1における下側の積層端)には、正極12のみが設けられた電極板11Bが積層されている。当該電極板11Bは、セパレータ6を介して正極12と最下層のバイポーラ電極3の負極13とが対向するように配置されている。電極板11A,11Bの縁部は、バイポーラ電極3の電極板11と同様に、枠体4の内壁4aに埋没した状態で枠体4に保持されている。なお、電極板11A,11Bは、バイポーラ電極3の電極板11に比べて厚く形成されていてもよい。
セパレータ6は、例えばシート状に形成されている。セパレータの形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。また、セパレータ6は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ6は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
枠体4は、例えば絶縁性の樹脂を用いた射出成形によって矩形の筒状に形成されている。樹脂性の枠体4を構成する樹脂材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)又は変性ポリフェニレンサルファイド(変性PPS)などが挙げられる。枠体4は、バイポーラ電極3の積層によって形成される積層体2の側面2aを取り囲んで保持する部材である。より具体的には、枠体4は、バイポーラ電極3の電極板11、及び積層体2の積層端に位置する電極板11A,11Bの縁部を保持し、バイポーラ電極3,3間に形成される電解液の収容空間をシールしている。
拘束部材5は、一対の拘束プレート21,21と、拘束プレート21,21同士を連結する連結部材(ボルト22及びナット23)とによって構成されている。拘束プレート21は、例えば鉄などの金属によって平板状に形成されている。拘束プレート21の縁部には、ボルト22を挿通させる挿通孔21aが枠体4よりも外側となる位置に設けられている。また、拘束プレート21の一面側には、絶縁性部材24を介して集電板25(25A,25B)が結合されている。これにより、拘束プレート21は、拘束機能と集電機能とを兼ねる集電板付き拘束プレートとなっている。拘束プレート21と集電板25との間に介在させる絶縁性部材24の形成材料としては、例えばフッ素系樹脂やポリエチレン樹脂が挙げられる。
一方の拘束プレート21は、枠体4の内側で集電板25Aと電極板11Aとが当接するように枠体4の一端面に突き当てられ、他方の拘束プレート21は、枠体4の内側で集電板25Bと電極板11Bとが当接するように枠体4の他端面に突き当てられている。ボルト22は、例えば一方の拘束プレート21側から他方の拘束プレート21側に向かって挿通孔21aに通され、他方の拘束プレート21から突出するボルト22の先端には、ナット23が螺合されている。
これにより、積層体2、電極板11A,11B、及び枠体4が挟持されてユニット化されると共に、拘束荷重が付加される。また、集電板25A,25Bは、積層体2を積層方向に挟むように拘束プレート21と積層体2との間に配置される。集電板25Aには、正極端子26が接続され、集電板25Bには、負極端子27が接続されている。正極端子26及び負極端子27により、蓄電装置1の充放電を行うことができる。
続いて、上述した蓄電装置1における電極板11と枠体4との接合部の構成について、更に詳細に説明する。なお、以下の説明においては、電極板11について説明を行うが、電極板11A,11Bについても同様の構成を有する。
図2(a)に示すように、電極板11の縁部11cには、当該縁部11cの表面を覆うめっき層30が形成されている。電極板11の縁部11cは、めっき層30を介して枠体4に保持されている。めっき層30を形成する方法は特に限定されず、例えば、電解めっき、無電解めっき、溶融めっき等を採用してよい。また、めっき層30の厚みは特に限定されないが、電極板11の厚みが50〜1000μmであるのに対して、めっき層30の厚みが0.5〜10μmに設定されてよい。
めっき層30は、電極板11のうち、正極活物質及び負極活物質の塗工されない未塗工領域である縁部11cのみに形成されてよい。また、めっき層30は、電極板11の縁部11cのうち、少なくとも枠体4の内壁4aに埋没した部分に形成されてよい。また、めっき層30は、電極板11の縁部11cのうちの枠体4の内壁4aに埋没した部分の全領域に形成されていてよい。あるいは、めっき層30は、電極板11の縁部11cのうちの枠体4の内壁4aに埋没した部分の一部の領域に形成されていてよい。具体的に、めっき層30は、電極板11の縁部11cのうち、一方面11a、他方面11bに形成されていてよい。なお、説明の便宜上、図2(a)では一方面11aと他方面11bを接続する端面が図示されており、当該部分にもめっき層30が形成されている。ただし、実際の電極板11は非常に薄く、当該端面は目視困難な程度に小さい。
めっき層30のうち、一方面11a及び他方面11bに対応する部分の外周側の端部30b,30cの位置は特に限定されない。例えば、図2(a)に示すように、端部30b,30cは、枠体4の内壁4aの表面から外側(積層体の内側)へ延びていてよい。この場合、電極板11において枠体4の樹脂と接触する部分を全てめっき層30で覆うことができる。あるいは、端部30b,30cは、枠体4の内壁4aの内部に配置されていてよい。この場合、めっき層30全体が枠体4内に埋設されるため、めっき層30が電解液と接触することを防止できる。例えば、高アルカリ環境下では、アルミニウム、スズ、亜鉛、鉛及びこれらの合金は腐食される可能性がある。従って、めっき層30としてそれらの材料を採用したとしても、めっき層30全体を枠体4内に埋設することで、腐食を防止できる。あるいは、端部30b,30cは、枠体4の内壁4aの表面と同位置に配置されてもよい。この場合、電極板11において枠体4の樹脂と接触する部分を全てめっき層30で覆うことができ、且つ、めっき層30全体を枠体4内に埋設することで、腐食を防止できる。
ここで、各材料の線膨張係数について説明する。本実施形態に係る蓄電装置1において、枠体4を構成する樹脂とめっき層30との線膨張係数の差は、枠体4を構成する樹脂と電極板11との線膨張係数の差よりも小さい。例えば、枠体4の樹脂の線膨張係数に比して、電極板11の線膨張係数が小さい場合、めっき層30の線膨張係数は、枠体4の樹脂と電極板11との間の値に設定されてよい。ただし、枠体4を構成する樹脂とめっき層30との線膨張係数の差が、枠体4を構成する樹脂と電極板11との線膨張係数の差よりも小さい限り、めっき層30の線膨張係数は、枠体4を構成する樹脂の線膨張係数以上の値であってもよい。この場合、めっき層30と電極板11との線膨張係数の差が、枠体4の樹脂と電極板11との線膨張係数の差より大きくなるが、金属材料と金属材料との間の接合強度は、(線膨張係数の差に関わらず)金属材料と樹脂との間の接合強度よりも大きくなる。従って、当該場合であっても、電極板11を枠体4の樹脂に直接接合させる場合に比して、電極板11をめっき層30を介して枠体4の樹脂に接合させた方が、接合強度が向上する。また、当該事情があるため、枠体4を構成する樹脂とめっき層30との線膨張係数の差は小さい方が好ましい。
例えば、電極板11の材料として採用されるニッケル(Ni)の線膨張係数は12.8×10(/K)となる。例えば、枠体4の樹脂として変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)の線膨張係数は、90×10(/K)となる。この場合、枠体4を構成する樹脂と電極板11との線膨張係数の差は、77.2×10(/K)となる。従って、上述の条件を満たすためのめっき層30の材料として、線膨張係数が26.9×10(/K)であるスズ(Sn)、線膨張係数が30.2×10(/K)である亜鉛(Zn)、線膨張係数が28.8×10(/K)であるスズ(Pb)、または線膨張係数が29.1×10(/K)である鉛(Sn)等を採用してもよい。
次に、電極板11及びめっき層30の表面処理について説明する。図2(b)に示すように、めっき層30の表面30aには、粗面部35が形成されてよい。このような粗面部35は、電極板11に表面30aの粗いめっき層30を形成することで構成される。
なお、めっき層30の表面30aに形成される凸部の形状は特に限定されない。例えば、凸部の形状は、粒状の形状であってよく、先端が尖った針状の形状であってよく、突出した部分から更に枝状に分岐して突出する部分が形成されるような形状であってもよい。
次に、本実施形態に係る蓄電装置1の作用・効果について説明する。
この蓄電装置1では、電極板11の縁部11cには、当該縁部11cの表面を覆うめっき層30が形成されている。従って、電極板11の縁部11cは、めっき層30を介して枠体4に保持される。ここで、枠体4を構成する樹脂とめっき層30との線膨張係数の差は、枠体4を構成する樹脂と電極板11との線膨張係数の差よりも小さい。これにより、電極板11が枠体4に直接保持される場合に比して、枠体4との境界部分の線膨張係数の差を小さくした状態にて、電極板11を枠体4に保持させることができる。以上により、電極板11と枠体4との間の接合性を向上できる。
また、めっき層30の表面30aには、粗面部35が形成されていてよい。このような構成によれば、めっき層30の粗面部35における凹凸形状が枠体4に食い込んだ状態で、めっき層30が枠体4と接合することができるため、接合性を更に向上することができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば、上述の実施形態では、めっき層が単層である場合の例について説明したが、めっき層は多層であってもよい。すなわち、めっき層は、異なる材料で構成される複数の層を有して良い。この場合、枠体を構成する樹脂とめっき層の最外層との線膨張係数の差が、枠体を構成する樹脂と電極板との線膨張係数の差よりも小さければよい。
1…蓄電装置、3…バイポーラ電極、4…枠体、6…セパレータ、11…電極板、12…正極、13…負極、30…めっき層、35…粗面部。

Claims (2)

  1. 一方面側に正極が形成され、かつ他方面側に負極が形成された電極板からなるバイポーラ電極を有する蓄電装置であって、
    セパレータを介して前記バイポーラ電極を交互に積層してなる積層体と、
    前記バイポーラ電極の積層によって形成された前記積層体の側面を取り囲んで保持する樹脂性の枠体と、を備え、
    前記電極板の縁部には、当該縁部の表面を覆うめっき層が形成され、
    前記電極板の縁部は、前記めっき層を介して前記枠体に保持され、
    前記枠体を構成する樹脂と前記めっき層との線膨張係数の差は、前記枠体を構成する樹脂と前記電極板との線膨張係数の差よりも小さい、蓄電装置。
  2. 前記めっき層の表面には、粗面部が形成されている、請求項1に記載の蓄電装置。
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