JP6683030B2 - 熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物の製造方法、成形体及び成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
この炭素繊維を配合した熱可塑性樹脂の色調を改良するために、酸化チタンを配合する方法が知られている。例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂と炭素繊維と酸化チタンとを配合した熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
[1]熱可塑性樹脂(A)、炭素繊維(B)及び硫化亜鉛(C)を含む、熱可塑性樹脂組成物。
[2]更に、有色顔料(D)を含む、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]熱可塑性樹脂(A)が、ポリオレフィン樹脂である、[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレン樹脂である、[3]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5]熱可塑性樹脂(A)の含有率が、熱可塑性樹脂(A)及び炭素繊維(B)の合計100質量%中、55質量%〜96質量%である、[1]〜[4]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]炭素繊維(B)の含有率が、熱可塑性樹脂(A)及び炭素繊維(B)の合計100質量%中、4質量%〜45質量%である、[1]〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[7]硫化亜鉛(C)の含有量が、熱可塑性樹脂(A)及び炭素繊維(B)の合計100質量部に対して、0.5質量部〜20質量部である、[1]〜[6]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[8]硫化亜鉛(C)の含有量が、炭素繊維(B)100質量部に対して、10質量部〜100質量部である、[1]〜[7]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[9]有色顔料(D)の含有量が、熱可塑性樹脂(A)及び炭素繊維(B)の合計100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部である、[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[10]有色顔料(D)の含有量が、硫化亜鉛(C)100質量部に対して、5質量部〜50質量部である、[2]又は[9]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[11]熱可塑性樹脂(A)及び硫化亜鉛(C)を押出機のメインフィーダーから供給し、炭素繊維(B)を押出機のサイドフィーダーから供給する、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[12]更に、有色顔料(D)を押出機のメインフィーダーから供給する、[11]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[13][1]〜[12]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体。
[14]反射光のL*値が、40〜70である、[13]に記載の成形体。
[15][11]又は[12]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法で熱可塑性樹脂組成物を得た後、射出成形する、成形体の製造方法。
[16]成形体の反射光のL*値が、40〜70である、[15]に記載の成形体の製造方法。
本発明の成形体は、機械的特性及び色調に優れる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)を含む。
ポリプロピレン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、ISO1133に準拠し、温度230℃、荷重21Nの条件で測定した値とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、炭素繊維(B)を含む。
表面処理剤としては、例えば、エポキシ系サイジング剤、ウレタン系サイジング剤、ナイロン系サイジング剤、オレフィン系サイジング剤等が挙げられる。これらの表面処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの表面処理剤の中でも、取り扱い性に優れることから、ウレタン系サイジング剤、ナイロン系サイジング剤が好ましく、ウレタン系サイジング剤がより好ましい。
炭素繊維(B)の直径は、熱可塑性樹脂組成物を空気雰囲気下で3時間600℃に加熱して熱可塑性樹脂(A)等を熱分解により除去し、残存した炭素繊維(B)10本の直径を電子顕微鏡にて測定し、その平均値とする。炭素繊維(B)の直径は、炭素繊維(B)を構成するフィラメント繊維の最大フェレ径とする。
熱可塑性樹脂組成物中の炭素繊維(B)の質量平均繊維長は、熱可塑性樹脂組成物を空気雰囲気下で3時間600℃に加熱して熱可塑性樹脂(A)等を熱分解により除去し、残存した炭素繊維(B)100本の繊維長を光学顕微鏡にて測定し、その平均値とする。質量平均繊維長は、繊維長をLとしたとき、下式(1)で算出される。
質量平均繊維長=ΣL2/ΣL (1)
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、硫化亜鉛(C)を含む。
硫化亜鉛(C)のモース硬度は、基準物質により傷がつくか否かを判断した値である。
硫化亜鉛(C)の屈折率は、波長10μmの条件で測定した値である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)、炭素繊維(B)、硫化亜鉛(C)、有色顔料(D)以外に、必要に応じて、他の添加剤(E)を含んでもよい。
熱可塑性樹脂組成物のメルトボリュームレイト(MVR)は、ISO1133に準拠し、温度230℃、荷重21Nの条件で測定した値とする。
熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、例えば、熱可塑性樹脂(A)、炭素繊維(B)、硫化亜鉛(C)、必要に応じて、有色顔料(D)、他の添加剤(E)をドライブレンドした後に溶融混練する方法;溶融状態の熱可塑性樹脂(A)、硫化亜鉛(C)、必要に応じて、有色顔料(D)、他の添加剤(E)の混合物に炭素繊維(B)を供給して混練する方法等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂組成物の製造方法の中でも、炭素繊維(B)の折損を抑制し質量平均繊維長を制御でき、炭素繊維(B)の分散性に優れることから、溶融状態の熱可塑性樹脂(A)、硫化亜鉛(C)、必要に応じて、有色顔料(D)、他の添加剤(E)の混合物に炭素繊維(B)を供給して混練する方法が好ましい。具体的には、押出機の上流に設置したメインフィーダーから熱可塑性樹脂(A)、硫化亜鉛(C)、必要に応じて、有色顔料(D)、他の添加剤(E)を供給して溶融状態にさせた後に、押出機の下流に設置したサイドフィーダーから炭素繊維(B)を供給すればよい。
前述した熱可塑性樹脂組成物中の炭素繊維(B)の質量平均繊維長は、炭素繊維(B)のフィード方法、スクリュー回転数、押出量等の溶融混練条件を制御することにより調整することができる。
押出機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機等が挙げられ、二軸押出機が好ましい。
同方向二軸押出機の場合、押出機のスクリュー回転数は、100rpm〜300rpmが好ましい。押出機のスクリュー回転数が100rpm以上であると、炭素繊維(B)の分散性に優れる。また、押出機のスクリュー回転数が300rpm以下であると、炭素繊維(B)の折損を抑制することができる。
押出機のスクリューは、炭素繊維(B)の供給前後に、それぞれ1箇所以上のニーディングゾーンを設けたものが好ましい。即ち、炭素繊維(B)の供給前のニーディングゾーンにより熱可塑性樹脂(A)、硫化亜鉛(C)、必要に応じて、有色顔料(D)、他の添加剤(E)の混合物を十分に溶融状態にし、炭素繊維(B)の供給後のニーディングゾーンにより溶融状態の熱可塑性樹脂(A)、硫化亜鉛(C)、必要に応じて、有色顔料(D)、他の添加剤(E)の混合物と炭素繊維(B)とを混練する。このようにすることで、炭素繊維(B)の折損を抑制し質量平均繊維長を制御でき、炭素繊維(B)の分散性に優れる熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
本発明の成形体は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる。
成形体の曲げ弾性率は、剛性設計をする場合に成形体の薄肉化が可能であることから、6000MPa以上が好ましく、7000MPa以上がより好ましい。
曲げ強度や曲げ弾性率の測定に用いる試験片は、射出成形によりISO20753に記載のダンベル形引張試験片タイプA1を成形し、その平行部から短冊形試験片タイプB2に切り出したものを用いることとする。このようにして得られた短冊形試験片タイプB2は、試験片の長さ方向に流動して射出成形されるため、炭素繊維(B)は、主に試験片の長さ方向に配向する。曲げ弾性率や曲げ強度は、炭素繊維(B)の配向方向に強く依存するため、成形体の形状が異なる場合は、その成形体の原料である熱可塑性樹脂組成物を用いて成形して得た短冊形試験片タイプB2を測定した値とする。
成形体のシャルピー衝撃強度は、Vノッチを付与し、ISO179準拠して測定した値とする。
成形体の反射光のL*値は、ISO11664−4に準拠して、分光測色法(積分球式、反射測定)により測定した三刺激値X、Y、Zから算出した値とする。
実施例・比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物のメルトボリュームレイト(MVR)を、メルトフローインデックステスター(機種名「LABO−MI」、(株)安田精機製作所製)を用い、ISO1133に準拠し、温度230℃、荷重21Nの条件で測定した。
実施例・比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物を、射出成形機(機種名「IS55」、東芝機械(株)製)を用い、シリンダー温度230℃、金型温度80℃で射出成形を行い、成形体(幅20mm、長さ40mm、厚さ4mm)を得た。得られた成形体を23℃の恒温室に24時間静置させた後、ISO1183に準拠し、アルキメデス法により、比重を測定した。
実施例・比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物を、射出成形機(機種名「IS55」、東芝機械(株)製)を用い、シリンダー温度230℃、金型温度80℃の条件で射出成形を行い、成形体(幅10mm、長さ80mm、厚さ4mm)を得た。得られた成形体を23℃の恒温室に24時間静置させた後、ISO178に準拠し、23℃の環境下で3点曲げ試験を行い、曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。
実施例・比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物を、射出成形機(機種名「IS55」、東芝機械(株)製)を用い、シリンダー温度230℃、金型温度80℃の条件で射出成形を行い、成形体(幅10mm、長さ80mm、厚さ4mm)を得た。得られた成形体に切削加工でVノッチを付与し、23℃の恒温室に24時間静置させた後、ISO179に準拠し、23℃の環境下でシャルピー衝撃試験を行い、ノッチありの成形体のシャルピー衝撃強度を測定した。
実施例・比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物を、射出成形機(機種名「IS55」、東芝機械(株)製)を用い、シリンダー温度230℃、金型温度80℃の条件で射出成形を行い、成形体(幅50mm、長さ90mm、厚さ2.5mm)を得た。得られた成形体の外観色調を目視にて確認した。また、得られた成形体の反射光のL*値、a*値、b*値、C*値は、ISO 11664−4に準拠して、分光測色計(機種名「U4100」、株式会社 日立ハイテクノロジーズ製)を用い、C光源、視野角2°の条件で、反射測定により測定した三刺激値X、Y、Zから算出した。反射測定は、積分球を用い、正反射成分と拡散反射成分とを集積して受光した。
熱可塑性樹脂(A−1):ポリプロピレン樹脂(商品名「ノバテックPP BC02NC」(日本ポリプロ(株)製)95質量%と商品名「ユーメックス1001」(三洋化成工業(株)製)5質量%との混合樹脂)
炭素繊維(B−1):PAN系炭素繊維(商品名「パイロフィル TR06UL」、三菱レイヨン(株)製、繊維長6mm、チョップドファイバー)
硫化亜鉛(C−1):硫化亜鉛(商品名「サクトリスHD−S」、サクトレーベン社製、モース硬度3、屈折率2.2)
有色顔料(D−1):青色顔料(商品名「ブルーHPA−575」、住化カラー(株)製)
有色顔料(D−2):茶色顔料(商品名「ブラウンSHPA−916」、住化カラー(株)製)
他の添加剤(E−1):ガラス繊維(商品名「ECS03T−351」、日本板硝子(株)製)
他の添加剤(E−2):酸化チタン(商品名「GTI」、川鉄鉱業(株)製、モース硬度6)
得られた熱可塑性樹脂組成物の評価結果を、表2に示す。
原料の種類と含有量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
有色顔料(D−1)、有色顔料(D−2)、他の添加剤(E−1)、他の添加剤(E−2)は、メインフィーダーから供給した。
有色顔料(D−1)、有色顔料(D−2)は、マスターバッチであるので、表中の有色顔料(D−1)、有色顔料(D−2)の含有量は、マスターバッチ中に含まれる顔料の含有量に換算した値である。
得られた熱可塑性樹脂組成物の評価結果を、表2に示す。
一方、比較例1〜3で得られた熱可塑性樹脂組成物は、硫化亜鉛(C)を含まないので、成形体の曲げ弾性率、色調に劣った。
また、比較例4で得られた熱可塑性樹脂組成物は、硫化亜鉛の代わりに酸化チタンを配合したものであるが、成形体の色調に優れたものの、成形体の曲げ強度、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強度が顕著に劣った。比較例4で得られた熱可塑性樹脂組成物は、炭素繊維でなくガラス繊維を配合したものであるが、成形体の曲げ強度、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強度が顕著に劣ることは、比較例3と比較例4との比から明白である。
Claims (11)
- ポリプロピレン樹脂、炭素繊維(B)及び硫化亜鉛(C)を含む、熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、ポリプロピレン樹脂及び硫化亜鉛(C)を押出機のメインフィーダーから供給し、炭素繊維(B)を押出機のサイドフィーダーから供給する、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂組成物が、更に、有色顔料(D)を含む、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- ポリプロピレン樹脂の含有率が、ポリプロピレン樹脂及び炭素繊維(B)の合計100質量%中、55質量%〜96質量%である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 炭素繊維(B)の含有率が、ポリプロピレン樹脂及び炭素繊維(B)の合計100質量%中、4質量%〜45質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 硫化亜鉛(C)の含有量が、ポリプロピレン樹脂及び炭素繊維(B)の合計100質量部に対して、0.5質量部〜20質量部である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 硫化亜鉛(C)の含有量が、炭素繊維(B)100質量部に対して、10質量部〜100質量部である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 有色顔料(D)の含有量が、ポリプロピレン樹脂及び炭素繊維(B)の合計100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 有色顔料(D)の含有量が、硫化亜鉛(C)100質量部に対して、5質量部〜50質量部である、請求項2又は7に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 更に、有色顔料(D)を押出機のメインフィーダーから供給する、請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法で熱可塑性樹脂組成物を得た後、射出成形する、成形体の製造方法。
- 成形体の反射光のL*値が、40〜70である、請求項10に記載の成形体の製造方法。
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