以下、添付図面を参照して、SPECT装置の各実施形態を詳細に説明する。なお、各実施形態は、適宜組み合わせることができる。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係るSPECT装置の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係るSPECT装置の構成の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るSPECT装置は、架台装置10と、コンソール装置20とを有する。
架台装置10は、被検体Pに投与され、被検体Pの生体組織に選択的に取り込まれた放射性医薬品から放射される放射線(ガンマ線)を検出し、投影データの基となる信号を収集する装置である。架台装置10は、天板11と、寝台12と、寝台駆動回路13とを有する。また、本実施形態に係る架台装置10は、図1に示すように、ガンマカメラ14a及びカメラ駆動回路15aと、ガンマカメラ14b及びカメラ駆動回路15bとを有する。架台装置10は、図1に示すように、撮影口となる空洞を有する。
天板11は、被検体Pが横臥するベッドであり、寝台12の上に配置される。寝台駆動回路13は、後述する寝台制御回路23の制御のもと、寝台12を移動することにより、被検体Pを架台装置10の撮影口内に移動させる。
ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bは、被検体Pの生体組織に選択的に取り込まれた放射性医薬品(トレーサ)の核種(RI:Radio Isotope)から放射されるガンマ線を検出する検出器である。すなわち、本実施形態に係る架台装置10は、ガンマ線を検出する検出器としてのガンマカメラを2つ有する。ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bは、被検体Pから放出されたガンマ線の入射に応じて信号を出力する。ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bは、検出器の一例である。
具体的には、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bそれぞれは、放射性医薬品(トレーサ)から放出されたガンマ線の強度分布を2次元的に検出する。そして、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bそれぞれは、検出した2次元のガンマ線の強度分布を示すデータに対して、例えば、増幅処理、A/D変換処理を施すことで信号を生成し、生成した信号を後述するデータ収集回路25に送信する。例えば、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bそれぞれは、シンチレータと、光電子倍増管(PMT:Photomultiplier Tube)とを有するフォトンカウンティング方式の放射線検出器である。シンチレータは、ガンマ線を紫外領域にピークを持つ光に変換する。PMTは、シンチレータからの発光を増倍して電気信号に変換する。
また、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bそれぞれには、入射方向を制限するコリメータが取り付けられている。ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bそれぞれは、コリメータにより制限された入射方向で入射したガンマ線を検出する。
カメラ駆動回路15a及びカメラ駆動回路15bそれぞれは、後述するカメラ制御回路24の制御のもと、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bそれぞれを移動させる装置である。例えば、カメラ駆動回路15aは、ガンマカメラ14aを架台装置10の撮影口内に沿って所定の位置まで移動させる。また、例えば、カメラ駆動回路15bは、ガンマカメラ14bを架台装置10の撮影口内に沿って所定の位置まで移動させる。これにより、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bそれぞれは、所定の1方向の投影データに対応する信号を生成する。
また、カメラ駆動回路15a及びカメラ駆動回路15bは、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bそれぞれを移動して所定の角度離れた状態に配置し、ガンマカメラ14aとガンマカメラ14bとの間隔を維持した状態で、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bそれぞれを撮影口内に沿って回転駆動させる。これにより、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bそれぞれは、被検体Pの周囲を回転して、360度の複数方向の投影データに対応する信号を生成する。カメラ駆動回路15a及びカメラ駆動回路15bは、駆動部の一例である。
コンソール装置20は、ユーザによるSPECT装置の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された投影データから被検体Pに投与した放射性医薬品の体内分布が描出された断層画像であるSPECT画像を再構成する装置である。
具体的には、コンソール装置20は、図1に示すように、入力回路21と、ディスプレイ22と、寝台制御回路23と、カメラ制御回路24と、データ収集回路25と、画像再構成回路26と、画像処理回路27と、データ記憶回路28と、システム制御回路29と、体動補正回路30とを備える。コンソール装置20が有する各部は、内部バスを介して接続される。
入力回路21は、SPECT装置のユーザが各種指示や各種設定の入力に用いられる。例えば、入力回路21は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等により実現される。
ディスプレイ22は、ユーザによって参照される液晶モニタやCRT(cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等により実現される。ディスプレイ22は、システム制御回路29による制御のもと、SPECT画像などを表示したり、入力回路21を介してユーザから各種指示や各種設定などを受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。
データ記憶回路28は、SPECT装置において用いられる各種データを記憶する。例えば、データ記憶回路28は、SPECT画像、投影データ、体動補正済み投影データ、検査情報などを記憶する。検査情報には、被検体Pの体位に関する情報が含まれる。例えば、データ記憶回路28は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
データ収集回路25は、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bそれぞれから送信された信号を収集する。そして、データ収集回路25は、収集した信号それぞれに対して、オフセット補正、感度補正等の補正処理を行って投影データを生成し、生成した投影データをデータ記憶回路28に格納する。
体動補正回路30は、データ記憶回路28から投影データを読み出し、読み出した投影データ(例えば、360度方向分の投影データ)に対して体動補正処理を施す。そして、体動補正回路30は、体動補正処理が施された投影データ(体動補正済み投影データ)をデータ記憶回路28に格納する。
体動補正回路30は、第1の補正機能30a及び第2の補正機能30bを備える。ここで、例えば、図1に示す体動補正回路30の構成要素である第1の補正機能30a及び第2の補正機能30bの各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でデータ記憶回路28に記録されている。体動補正回路30は、各プログラムをデータ記憶回路28から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の体動補正回路30は、図1の体動補正回路30内に示された各機能を有することとなる。本実施形態で説明する第1の補正機能30aは、第1の補正部の一例である。また、第2の補正機能30bは、第2の補正部の一例である。なお、第1の補正機能30a及び第2の補正機能30bが実行する処理の内容については後述する。
なお、体動補正回路30が備える第1の補正機能30a及び第2の補正機能30bをデータ収集回路25が備えていてもよい。
画像再構成回路26は、データ記憶回路28から体動補正済み投影データを読み出し、読み出した体動補正済み投影データ(例えば、360度方向分の体動補正済み投影データ)を逆投影処理することで、SPECT画像を再構成する。例えば、画像再構成回路26は、逐次近似法により、SPECT画像を再構成する。なお、画像再構成回路26は、体動補正済み投影データからSPECT画像を再構成する際に、体動補正済み投影データに対して減弱補正、コリメータ開口補正等の補正処理を行う。そして、画像再構成回路26は、再構成したSPECT画像をデータ記憶回路28に格納する。例えば、画像再構成回路26は、プロセッサにより実現される。
画像処理回路27は、データ記憶回路28からSPECT画像を読み出し、読み出したSPECT画像に対して各種画像処理を行なう。そして、画像処理回路27は、画像処理後のSPECT画像をデータ記憶回路28に格納する。例えば、画像処理回路27は、プロセッサにより実現される。
システム制御回路29は、架台装置10およびコンソール装置20の動作を制御することによって、SPECT装置の全体制御を行う。具体的には、システム制御回路29は、寝台制御回路23およびカメラ制御回路24を制御することで、架台装置10における投影データの収集処理を実行させる。また、システム制御回路29は、データ収集回路25の投影データ生成処理と、体動補正回路30の体動補正処理と、画像再構成回路26および画像処理回路27の画像生成処理を制御することで、コンソール装置20における画像処理全体を制御する。また、システム制御回路29は、データ記憶回路28が記憶するデータを、ディスプレイ22に表示するように制御する。例えば、システム制御回路29は、プロセッサにより実現される。
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable GateArray:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはデータ記憶回路28に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、データ記憶回路28にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し、読み出したプログラムを実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
以上、第1の実施形態に係るSPECT装置の全体構成について説明した。
第1の実施形態に係るSPECT装置は、既存の体動補正ソフトウェアを用いて体動補正処理を実行する。ここで、この体動補正ソフトウェアが、360度分の投影データではなく、180度分の投影データを体動補正処理の対象としていることの理由の一例について説明する。図2〜4は、既存の体動補正ソフトウェアが、180度分の投影データを体動補正処理の対象としていることの理由の一例について説明するための図である。
図2の例に示すように、被検体の心臓40に近い左前方向の180度分の投影データを、180度分離れている2つのガンマカメラ35a、35bのうち一方のガンマカメラ35aで収集し、被検体の心臓40から遠い180度分の投影データを他方のガンマカメラ35bで収集した場合について説明する。
図3には、被検体の心臓40に近い180度分の投影データ41の一例が示され、図4には、被検体の心臓40から遠い180度分の投影データ42の一例が示されている。図3の例に示すように、投影データ41には、部分41aにおいて心臓40が比較的明瞭に表れているが、投影データ42には、心臓40から放出されたガンマ線が、被検体の体躯部(例えば、肝臓などの臓器)により減弱を受けたことにより、心臓40が明瞭に表れていない。したがって、検査時間を短縮したい場合は、時間をかけて360度分の投影データを収集するより、心臓に近い180度分の投影データを収集し、このような心臓が認識しやすい180度分の投影データに対して体動補正処理を施したほうが、位置合わせ時の精度の観点から好ましい。このため、既存の体動補正ソフトウェアは、180度分の投影データを体動補正処理の対象としている。
そのため、SPECT装置は、360度分の投影データに対して、体動補正ソフトウェアを用いて、体動補正処理を行おうとしても、体動補正ソフトウェアの入力制限などにより、体動補正処理を行うことができない場合がある。また、SPECT装置は、360度分の投影データに対して、体動補正処理を行うことができたとしても、精度良く体動補正を行うことができない場合がある。
そこで、第1の実施形態に係るSPECT装置は、360度分の投影データであっても、既存の体動補正ソフトウェアによる体動補正を精度良く行うために、以下で説明する各種の処理を実行する。
まず、第1の実施形態におけるガンマカメラ14a及びガンマカメラ14b並びにデータ収集回路25による投影データの収集を説明する。これは、2つの検出器が対向に配置された形態でSPECT検査が行われるものである。第1の実施形態では、カメラ駆動回路15a及びカメラ駆動回路15bそれぞれは、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bが回転する円周上において、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bが180度離れた状態となるように、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bそれぞれを配置する。
図5は、第1の実施形態におけるガンマカメラ14a、14b並びにデータ収集回路25による投影データの収集の一例を説明するための図である。図5に示すように、例えば、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bが回転する円周上において、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bが180度離れた状態となるように、カメラ駆動回路15aは、ガンマカメラ14aを円周における0度に対応する位置に配置し、カメラ駆動回路15bは、ガンマカメラ14bを円周における180度に対応する位置に配置する。なお、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bが配置される位置は、これに限られず、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bが180度離れていれば、任意の角度に対応する任意の位置に配置されてもよい。
そして、カメラ駆動回路15a及びカメラ駆動回路15bは、180度分の間隔を維持した状態で、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bそれぞれを180度回転駆動させる。例えば、図5に示すように、カメラ駆動回路15aは、ガンマカメラ14aを0度から180度まで回転駆動させる。また、図5に示すように、カメラ駆動回路15bは、ガンマカメラ14bを180度から0度(360度)まで回転駆動させる。これにより、ガンマカメラ14aにより収集された180度分の信号と、ガンマカメラ14bにより収集された180度分の信号とから、データ収集回路25は、360度分の投影データを収集する。
ここで、ガンマカメラ14aは、時刻t1で、角度θ1に対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ14aは、時刻t1において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。一方、ガンマカメラ14bは、時刻t1で、角度θmに対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ14bは、時刻t1において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。ここで、θm=θ1+180°である。すなわち、同時刻t1に出力された2つの信号に基づく2つの投影データは、互いに対向する投影データとなる。
また、ガンマカメラ14aは、時刻t2で、角度θ2に対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ14aは、時刻t2において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。一方、ガンマカメラ14bは、時刻t2で、角度θm+1に対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ14bは、時刻t2において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。ここで、θm+1=θ2+180°である。すなわち、同時刻t2に出力された2つの信号に基づく2つの投影データは、互いに対向する投影データとなる。
また、ガンマカメラ14aは、時刻tkで、角度θkに対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ14aは、時刻tkにおいて、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。一方、ガンマカメラ14bは、時刻tkで、角度θbに対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ14bは、時刻tkにおいて、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。ここで、θb=θk+180°である。すなわち、同時刻tkに出力された2つの信号に基づく2つの投影データは、互いに対向する投影データとなる。
また、ガンマカメラ14aは、時刻tk+1で、角度θk+1に対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ14aは、時刻tk+1において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。一方、ガンマカメラ14bは、時刻tk+1で、角度θb+1に対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ14bは、時刻tk+1において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。ここで、θb+1=θk+1+180°である。すなわち、同時刻tk+1に出力された2つの信号に基づく2つの投影データは、互いに対向する投影データとなる。
また、ガンマカメラ14aは、時刻tnで、角度θnに対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ14aは、時刻tnにおいて、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。一方、ガンマカメラ14bは、時刻tnで、角度θrに対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ14bは、時刻tnにおいて、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。ここで、θr=θn+180°である。すなわち、同時刻tnに出力された2つの信号に基づく2つの投影データは、互いに対向する投影データとなる。
また、ガンマカメラ14aは、時刻tn+1で、角度θn+1に対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ14aは、時刻tn+1において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。一方、ガンマカメラ14bは、時刻tn+1で、角度θr+1に対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ14bは、時刻tn+1において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。ここで、θr+1=θn+1+180°である。すなわち、同時刻tn+1に出力された2つの信号に基づく2つの投影データは、互いに対向する投影データとなる。
上述したように、カメラ駆動回路15a及びカメラ駆動回路15bが、180度分の間隔を維持した状態で、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bそれぞれを180度回転駆動させた場合には、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bから、360度分の信号が出力される。そして、データ収集回路25が、360度分の信号から360度分の投影データを生成する。ここで、上述したように、この360度分の投影データは、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bから、複数の時刻t1、t2・・・・tk、tk+1・・・・tn、tn+1のそれぞれにおいて、同時に出力された信号に基づく投影データにより構成される。そして、この360度分の投影データは、データ収集回路25によりデータ記憶回路28に記憶される。
そして、第1の実施形態に係る体動補正回路30は、データ記憶回路28に記憶された360度分の投影データに対して、体動補正処理を行う。
図6は、第1の実施形態に係る体動補正回路30が実行する体動補正処理の流れの一例を示すフローチャートである。図6の例に示すように、第1の補正機能30aは、360度分の投影データから、心臓に近い180度分の投影データを切り出し、切り出した180度分の投影データに対して、既存の体動補正ソフトウェアを用いて、体動補正処理を行う(ステップS101)。
例えば、ステップS101では、第1の補正機能30aは、まず、データ記憶回路28に記憶された360度分の投影データを取得する。そして、第1の補正機能30aは、データ記憶回路28に記憶された検査情報を参照して、投影データ(投影データの基となる信号)が収集された際の被検体Pの体位に関する情報を取得する。そして、第1の補正機能30aは、取得した情報が示す被検体Pの体位に応じて、360度分の投影データの中から、心臓に近い180度分の投影データを選択する。例えば、第1の補正機能30aは、被検体Pの体位が仰臥位(背臥位)であり、図5の例に示すような360度分の投影データを収集した場合には、角度θb+1から角度0度を経由して角度θkまでの180度分の投影データを、心臓に近い180度分の投影データとして選択する。
そして、ステップS101では、取得した360度分の投影データから、選択した心臓に近い180度分の投影データを切り出す。例えば、第1の補正機能30aは、図5の例に示すような360度分の投影データから、角度θb+1から角度0度を経由して角度θkまでの180度分の投影データを、心臓70に近い180度分の投影データとして切り出す。
切り出した180度分の投影データは、ガンマカメラ14aのみにより収集された投影データ、ガンマカメラ14bのみにより収集された投影データ、又は、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bの2台のガンマカメラで収集された投影データのいずれかである。例えば、図5の例に示すような360度分の投影データから切り出された角度θb+1から角度0度を経由して角度θkまでの180度分の投影データは、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bの2台のガンマカメラで収集された投影データである。
いずれにせよ、切り出した180度分の投影データは、必ず、複数の時刻t1、t2・・・・tk、tk+1・・・・tn、tn+1のそれぞれにおいてガンマカメラ14a又はガンマカメラ14bで収集された投影データにより構成される。
そして、ステップS101では、第1の補正機能30aは、既存の体動補正ソフトウェアを用いて、この体動補正ソフトウェアを実行して、切り出した180度分の投影データに対して体動補正処理を行う。ここで、既存の体動補正ソフトウェアは、180度分の投影データを体動補正処理の対象としているので、精度良く体動補正を行うことができる。そして、第1の補正機能30aは、体動補正処理が施された180度分の投影データをデータ記憶回路28に格納する。
ここで、第1の補正機能30aは、既存の体動補正ソフトウェアを用いて体動補正処理を行った結果、体動補正前の投影データに対して、体動補正後の投影データが、体軸が示す所定の方向及び体軸に垂直な所定の方向の2方向にどれだけ移動したかを示す2方向の移動量を時刻ごとにデータ記憶回路28に格納する。第1の補正機能30aは、体動補正ソフトウェアから、上述した移動量を取得することが出来るため、取得した移動量を時刻ごとにデータ記憶回路28に格納する。なお、移動量は、補正量の一例である。ここで、体軸が示す所定の方向とは、体軸が示す2つの方向(頭から足に向かう方向及び足から頭に向かう方向)のうち1つの方向を指す。また、体軸に垂直な所定の方向とは、体軸に垂直な複数ある方向のうち1つの方向を指す。
図7は、第1の実施形態に係る第1の補正機能30aが実行する処理の一例を説明するための図である。例えば、第1の補正機能30aは、複数の時刻t1、t2・・・・tk、tk+1・・・・tn、tn+1のそれぞれにおける移動量をデータ記憶回路28に格納する。例えば、図7に示すように、第1の補正機能30aは、時刻t1における体軸が示す所定の方向の移動量M1_a及び体軸に垂直な所定の方向の移動量M1_bをデータ記憶回路28に格納する。また、第1の補正機能30aは、時刻t2における体軸が示す所定の方向の移動量M2_a及び体軸に垂直な所定の方向の移動量M2_bをデータ記憶回路28に格納する。また、第1の補正機能30aは、時刻tn+1における体軸が示す所定の方向の移動量Mn+1_a及び体軸に垂直な所定の方向の移動量Mn+1_bをデータ記憶回路28に格納する。
そして、第1の補正機能30aは、体動補正処理を行う前の180度分の投影データのサイノグラムと、体動補正処理を行った後の180度分の投影データのサイノグラムとを並べてディスプレイ22に表示させる(ステップS102)。これにより、ユーザは、体動補正処理前後のサイノグラムを比較して、体動補正の効果を確認することができる。
体動補正の効果を確認したユーザは、例えば、体動補正の効果がないと感じた場合には、入力回路21を介して、再度の体動補正処理の実行の指示(再実行指示)、及び、体動補正処理において用いられるパラメータが修正された修正パラメータを入力する。一方、ユーザは、体動補正の効果があると感じた場合には、体動補正が適切である旨を、入力回路21を介して、入力する。
そして、第1の補正機能30aは、ユーザから、体動補正が適切である旨が入力されたか否かを判定する(ステップS103)。体動補正が適切である旨が入力されていない場合(ステップS103;No)には、第1の補正機能30aは、ユーザから、再実行指示及び修正パラメータが入力されたか否かを判定する(ステップS104)。
再実行指示及び修正パラメータが入力されていない場合(ステップS104;No)には、第1の補正機能30aは、ステップS103に戻り、再び、体動補正が適切である旨が入力されたか否かを判定する。
一方、再実行指示及び修正パラメータが入力された場合(ステップS104;Yes)には、第1の補正機能30aは、修正パラメータが適用された既存の体動補正ソフトウェアを用いて、この体動補正ソフトウェアを実行して、既に切り出した180度分の投影データに対して体動補正処理を行い(ステップS105)、ステップS102に戻る。
また、体動補正が適切である旨が入力された場合(ステップS103;Yes)には、第2の補正機能30bは、データ記憶回路28に格納された各時刻における移動量を用いて、360度分の投影データから切り出されていない残りの180度分の投影データに対して体動補正を行う(ステップS106)。すなわち、ステップS106において、第2の補正機能30bは、体動補正処理が施されていない180度分の投影データに対して、既存の体動補正ソフトウェアを用いるのではなく、各時刻における移動量を用いて体動補正を行う。これにより、第1の実施形態に係るSPECT装置によれば、体動補正処理が施されていない180度分の投影データに対して、簡易に体動補正を行うことができる。
ここで、上述したステップS101では、第1の補正機能30aが、切り出した180度分の投影データに対して、既存の体動補正ソフトウェアを用いることで、上述したように、精度良く体動補正処理を行う。また、同時刻でガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bで収集された投影データには、体動による同一の位置ずれが生じていると考えられる。そこで、第2の補正機能30bは、第1の補正機能30aにより精度良く行われた体動補正処理において精度良く算出された各時刻における移動量を用いて、体動補正処理が行われていない残りの180度分の投影データに対して体動補正を行うことで、残りの180度分の投影データに対しても精度良く体動補正を行う。この結果、全周360度分の投影データに対して精度良く体動補正を行うことができる。
例えば、ステップS106では、第2の補正機能30bは、時刻t1、t2・・・・tk、tk+1・・・・tn、tn+1のそれぞれにおける2方向の移動量をデータ記憶回路28から取得する。例えば、第2の補正機能30bは、時刻t1における体軸が示す所定の方向の移動量M1_a及び体軸に垂直な所定の方向の移動量M1_bを取得する。
図8は、第1の実施形態に係る第2の補正機能30bが実行する処理の一例を説明するための図である。図8の例に示すように、第2の補正機能30bが取得した、体軸が示す所定の方向の移動量M1_aは、時刻t1においてガンマカメラ14aで収集された投影データに対して、この投影データに体動補正が行われた体動補正済み投影データ51が、体軸が示す所定の方向にどれだけ移動したかを示す移動量である。また、図8の例に示すように、第2の補正機能30bが取得した、体軸に垂直な所定の方向の移動量M1_bは、時刻t1においてガンマカメラ14aで収集された投影データに対して、体動補正済み投影データ51が、体軸に垂直な所定の方向にどれだけ移動したかを示す移動量である。
そして、ステップS106では、第2の補正機能30bは、図8の例に示すように、時刻t1においてガンマカメラ14bで収集された投影データを、体軸が示す所定の方向の移動量M1_a分だけ移動させ、体軸に垂直な所定の方向とは逆の方向に移動量M1_b分だけ移動させた体動補正済み投影データ50を生成する。第2の補正機能30bは、他の時刻t2・・・・tk、tk+1・・・・tn、tn+1のそれぞれにおいても、同様に、体動補正処理が行われていない投影データを、対応する2方向の移動量に基づいて移動させた体動補正済み投影データを生成する。そして、第2の補正機能30bは、各時刻において生成した体動補正済み投影データをデータ記憶回路28に格納する。上述したような方法で第2の補正機能30bは、第1の補正機能30aにより体動補正処理が行われていない180度分の投影データに対して体動補正処理を行う。これにより、360度分の投影データに対して体動補正処理が行われ、360度分の体動補正済み投影データが生成される。
そして、第2の補正機能30bは、360度分の体動補正済み投影データのサイノグラムと、体動補正が行われる前の360度分の投影データのサイノグラムとをディスプレイ22に並べて表示させ(ステップS107)、処理を終了する。これにより、ユーザは、360度分の体動補正済み投影データのサイノグラムと、体動補正が行われる前の360度分の投影データのサイノグラムとを確認することで、体動補正の効果を把握することができる。なお、第2の補正機能30bは、ステップS107での処理を省略してもよい。
以上、第1の実施形態に係るSPECT装置について説明した。上述したように、第1の実施形態に係るSPECT装置は、複数のガンマカメラ14a、14bと、カメラ駆動回路15a、15bと、第1の補正機能30aと、第2の補正機能30bとを備える。複数のガンマカメラ14a、14bは、被検体Pから放出されたガンマ線の入射に応じて信号を出力する。カメラ駆動回路15a、15bは、複数のガンマカメラ14a、14bを被検体Pの周囲において所定の間隔で配置した状態で、回転させる。第1の補正機能30aは、カメラ駆動回路15a、15bによって所定の間隔に対応する角度(すなわち、180度)分回転された複数のガンマカメラ14a、14bそれぞれが同時に出力した信号に基づいて収集された360度分の投影データのうち、180度分の投影データを用いて、体動補正処理を行う。第2の補正機能30bは、第1の補正機能30aにより行われた体動補正処理の結果に基づいて、残りの180度分の投影データ(体動補正処理が行われていない180度分の投影データ)に対して体動補正処理を行う。したがって、第1の実施形態に係るSPECT装置によれば、上述したように、360度分の投影データであっても、精度良く体動補正を行うことができる。
また、第1の実施形態に係るSPECT装置によれば、SPECT装置を開発した会社以外の会社で開発された、180度分の投影データを体動補正処理の対象とする体動補正ソフトウェアがオープンされていない場合でも、この体動ソフトウェアを360度分の投影データに適用することができる。これにより、複数のガンマカメラを用いて収集した投影データの体動補正を行うことが簡易的な方法でできるようになる。これは、心臓SPECTの定量解析の精度を上げることにもつながる。
(第1の実施形態の第1の変形例)
上述した第1の実施形態では、第1の補正機能30aが、体動補正ソフトウェアから、移動量を取得することが出来る場合について説明した。しかしながら、体動補正ソフトウェアから移動量を取得することが出来ない場合もある。ここで、体動補正ソフトウェアが、SPECT装置を開発した会社と異なるサードパーティにより製造されたソフトウェアである場合には、SPECT装置を開発した会社に所属するユーザが、体動補正ソフトウェアから移動量が取り出せるように体動ソフトウェアを修正することは困難である。そのため、体動補正ソフトウェアから移動量を取り出すことが困難となる。そこで、第1の補正機能30aが、移動量を算出し、算出した移動量を時刻ごとにデータ記憶回路28に格納してもよい。そこで、このような実施形態を第1の実施形態の第1の変形例として説明する。
例えば、第1の実施形態の第1の変形例に係る第1の補正機能30aは、複数の時刻それぞれについて、体動補正前の投影データのサイノグラムと、体動補正後の投影データのサイノグラムとの位置合わせを行う。そして、第1の補正機能30aは、位置合わせにおける体動補正前のサイノグラムに対する体動補正後のサイノグラムの移動量を算出する。なお、位置合わせの手法としては、公知のMI(mutual information)法や、体動補正前のサイノグラムに対して、体動補正後のサイノグラムを移動させて、体動補正前のサイノグラムと体動補正後のサイノグラムとの差分の絶対値が最小になるような体動補正後のサイノグラムの位置を算出する方法がある。第1の変形例に係る第1の補正機能30aは、このような方法で、時刻ごとに、移動量を算出する。なお、第1の変形例に係る第1の補正機能30aは、複数の時刻それぞれについて、体動補正前の投影データのライノグラムと、体動補正後の投影データのライノグラムを用いて位置合わせを行ってもよい。なお、ライノグラムとは、体軸方向に対して垂直な方向に投影データを加算したデータをビュー毎に並べたものである。
(第1の実施形態の第2の変形例)
上述した実施形態では、カメラ駆動回路15a及びカメラ駆動回路15bは、180度分の所定の間隔を維持した状態で、ガンマカメラ14a及びガンマカメラ14bそれぞれを180度回転駆動させることで、360度分の投影データを収集する例について説明した。しかしながら、SPECT装置は、ガンマカメラを3台以上備え、カメラ駆動回路が、所定の間隔を維持した状態で、3台以上のガンマカメラを所定の間隔に対応する角度分回転駆動させることで、360度分の投影データを収集してもよい。そこで、このような実施形態を、第1の実施形態の第2の変形例として説明する。以下、ガンマカメラの台数が3台である場合を例に挙げて説明する。
第1の実施形態の第2の変形例に係るガンマカメラ及びデータ収集回路25による投影データの収集を説明する。図9は、第1の実施形態の第2の変形例におけるガンマカメラ及びデータ収集回路25による投影データの収集の一例を説明するための図である。図9の例に示すように、第2の変形例では、ガンマカメラ80a、ガンマカメラ80b及びガンマカメラ80cが回転する円周上において、ガンマカメラ80aとガンマカメラ80bとの間隔、ガンマカメラ80bとガンマカメラ80cとの間隔、及び、ガンマカメラ80cとガンマカメラ80aとの間隔が、120度離れた状態となるように、カメラ駆動回路は、ガンマカメラ80aを円周における0度に対応する位置に配置し、ガンマカメラ80bを円周における120度に対応する位置に配置し、ガンマカメラ80cを円周における240度に対応する位置に配置する。なお、ガンマカメラ80a、ガンマカメラ80b及びガンマカメラ80cが配置される位置は、これに限られず、隣接するガンマカメラの間隔が120度離れていれば、任意の角度に対応する任意の位置に配置されてもよい。
そして、カメラ駆動回路は、120度分の間隔を維持した状態で、ガンマカメラ80a、ガンマカメラ80b及びガンマカメラ80cそれぞれを120度回転駆動させる。例えば、図9に示すように、カメラ駆動回路は、ガンマカメラ80aを0度から120度まで回転駆動させる。また、図9に示すように、カメラ駆動回路は、ガンマカメラ80bを120度から240度まで回転駆動させる。また、図9に示すように、カメラ駆動回路は、ガンマカメラ80cを240度から0(360)度まで回転駆動させる。これにより、データ収集回路25は、ガンマカメラ80aにより収集された120度分の信号と、ガンマカメラ80bにより収集された120度分の信号と、ガンマカメラ80cにより収集された120度分の信号とから、360度分の投影データを収集する。
ここで、図9の例に示すように、ガンマカメラ80aは、時刻t1で、角度θ1に対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ80aは、時刻t1において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。また、ガンマカメラ80bは、時刻t1で、角度θcに対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ80bは、時刻t1において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。また、ガンマカメラ80cは、時刻t1で、角度θeに対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ80cは、時刻t1において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。ここで、θe=θc+120°=θ1+240°である。
また、ガンマカメラ80aは、時刻t2で、角度θ2に対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ80aは、時刻t2において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。また、ガンマカメラ80bは、時刻t2で、角度θc+1に対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ80bは、時刻t2において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。また、ガンマカメラ80cは、時刻t2で、角度θe+1に対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ80cは、時刻t2において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。ここで、θe+1=θc+1+120°=θ2+240°である。
また、ガンマカメラ80aは、時刻tkで、角度θkに対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ80aは、時刻tkにおいて、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。また、ガンマカメラ80bは、時刻tkで、角度θdに対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ80bは、時刻tkにおいて、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。また、ガンマカメラ80cは、時刻tkで、角度θrに対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ80cは、時刻tkにおいて、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。ここで、θr=θd+120°=θk+240°である。
また、ガンマカメラ80aは、時刻tk+1で、角度θk+1に対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ80aは、時刻tk+1において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。また、ガンマカメラ80bは、時刻tk+1で、角度θd+1に対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ80bは、時刻tk+1において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。また、ガンマカメラ80cは、時刻tk+1で、角度θr+1に対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ80cは、時刻tk+1において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。ここで、θr+1=θd+1+120°=θk+1+240°である。
なお、図9の例において、ガンマカメラ80cは、時刻tbで、角度θbに対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ80cは、時刻tbにおいて、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。また、ガンマカメラ80cは、時刻tb+1で、角度θb+1に対応する位置に位置する。そして、ガンマカメラ80cは、時刻tb+1において、ガンマ線の強度分布を検出し、検出したガンマ線の強度分布を示す信号をデータ収集回路25に送信する。ここで、θb=θk+180°であり、θb+1=θk+1+180°である。
上述したように、カメラ駆動回路が、120度分の間隔を維持した状態で、ガンマカメラ80a、ガンマカメラ80b及びガンマカメラ80cそれぞれを120度回転駆動させた場合には、ガンマカメラ80a、ガンマカメラ80b及びガンマカメラ80cから、360度分の信号が出力される。そして、データ収集回路25は、この360度分の信号から360度分の投影データを収集する。ここで、この360度分の投影データは、ガンマカメラ80a、ガンマカメラ80b及びガンマカメラ80cから、複数の時刻t1、t2・・・・tb、tb+1・・・tk、tk+1のそれぞれにおいて、同時に出力された信号に基づく投影データにより構成される。そして、この360度分の投影データは、データ収集回路25によりデータ記憶回路28に記憶される。
そして、第1の実施形態の第2の変形例に係る体動補正回路30は、データ記憶回路28に記憶された360度分の投影データに対して、体動補正処理を行う。
図10は、第1の実施形態の第2の変形例に係る体動補正回路30が実行する体動補正処理の流れの一例を示すフローチャートである。図10の例に示すように、第2の変形例に係る第1の補正機能30aは、360度分の投影データから、心臓に近い180度分の投影データを切り出し、切り出した180度分の投影データに対して、既存の体動補正ソフトウェアを実行して、体動補正処理を行う(ステップS201)。
例えば、ステップS201では、第1の補正機能30aは、まず、データ記憶回路28から、360度分の投影データを取得する。そして、第1の補正機能30aは、データ記憶回路28に記憶された検査情報を参照して、投影データが収集された際の被検体Pの体位に関する情報を取得する。そして、第1の補正機能30aは、取得した情報が示す被検体Pの体位に応じて、360度分の投影データの中から、心臓に近い180度分の投影データを選択する。例えば、第1の補正機能30aは、被検体Pの体位が仰臥位(背臥位)であり、図9の例に示すような360度分の投影データを収集した場合には、角度θb+1から角度0度を経由して角度θkまでの180度分の投影データを、心臓に近い180度分の投影データとして選択する。
そして、ステップS201では、取得した360度分の投影データから、選択した心臓に近い180度分の投影データを切り出す。例えば、第1の補正機能30aは、図9の例に示すような360度分の投影データから、角度θb+1から角度0度を経由して角度θkまでの180度分の投影データを、心臓70に近い180度分の投影データとして切り出す。
切り出した180度分の投影データは、ガンマカメラ80aのみにより収集された投影データ、ガンマカメラ80bのみにより収集された投影データ、ガンマカメラ80cのみにより収集された投影データ、ガンマカメラ80a及びガンマカメラ80bの2台のガンマカメラで収集された投影データ、ガンマカメラ80a及びガンマカメラ80cの2台のガンマカメラで収集された投影データ、ガンマカメラ80b及びガンマカメラ80cの2台のガンマカメラで収集された投影データ、又は、ガンマカメラ80a、ガンマカメラ80b及びガンマカメラ80cの3台のガンマカメラで収集された投影データのいずれかである。
そして、ステップS201では、第1の補正機能30aは、第1の実施形態と同様に、既存の体動補正ソフトウェアを用いて、切り出した180度分の投影データに対して体動補正処理を行う。そして、第1の補正機能30aは、体動補正処理が施された180度分の投影データ(体動補正済み投影データ)をデータ記憶回路28に格納する。
ここで、上述した第1の実施形態では、第1の補正機能30aが、体軸が示す所定の方向及び体軸に垂直な所定の方向の2方向の移動量を時刻ごとにデータ記憶回路28に格納したが、第1の実施形態の第2の変形例では、第1の補正機能30aは、2方向の移動量のうち、体軸が示す所定の方向の移動量のみを時刻ごとにデータ記憶回路28に格納する。ステップS201においてデータ記憶回路28に格納された時刻ごとの移動量は、180度分の各時刻に対応する移動量である。例えば、ステップS201においてデータ記憶回路28に格納された時刻ごとの移動量は、角度θb+1から角度0度を経由して角度θkまでの180度分の各時刻tb+1・・・tk、tk+1・・・t1、t2、・・・tkに対応する移動量である。換言すると、ステップS201においてデータ記憶回路28に格納された時刻ごとの移動量は、60度分の各時刻tb+1・・・tk−1分に対応する移動量が重複する120度分の各時刻t1、t2・・・tb、tb+1・・・tk−1、tk、tk+1に対応する移動量であると言える。ここで、時刻tk−1は、時刻tkの1つ前の時刻である。
そして、第1の補正機能30aは、第1の実施形態と同様に、体動補正処理を行う前の180度分の投影データのサイノグラムと、体動補正処理を行った後の180度分の投影データのサイノグラムとを並べてディスプレイ22に表示させる(ステップS202)。
そして、第1の補正機能30aは、第1の実施形態と同様に、ユーザから、体動補正が適切である旨が入力されたか否かを判定する(ステップS203)。体動補正が適切である旨が入力されていない場合(ステップS203;No)には、第1の補正機能30aは、第1の実施形態と同様に、ユーザから、再実行指示及び修正パラメータが入力されたか否かを判定する(ステップS204)。
再実行指示及び修正パラメータが入力されていない場合(ステップS204;No)には、第1の補正機能30aは、第1の実施形態と同様に、ステップS203に戻り、再び、体動補正が適切である旨が入力されたか否かを判定する。
一方、再実行指示及び修正パラメータが入力された場合(ステップS204;Yes)には、第1の補正機能30aは、第1の実施形態と同様に、修正パラメータが適用された既存の体動補正ソフトウェアを実行して、既に切り出した180度分の投影データに対して体動補正処理を行い(ステップS205)、ステップS202に戻る。
また、体動補正が適切である旨が入力された場合(ステップS203;Yes)には、第2の変形例に係る第2の補正機能30bは、データ記憶回路28に記憶された、180度分の各時刻に対応する移動量を取得する(ステップS206)。そして、第2の補正機能30bは、180度分の各時刻に対応する移動量から、120度分の各時刻に対応する移動量を切り出す(ステップS207)。ここで、切り出す移動量の範囲が120度であるのは、隣接するガンマカメラ間の間隔が120度であり、ガンマカメラ80a〜80cが移動した範囲が120度であるからである。どのように120度分の各時刻に対応する移動量を切り出しても、切り出した120度分の各時刻に対応する移動量は、必ず、複数の時刻t1、t2・・・・tb、tb+1・・・・tk、tk+1のそれぞれに対応する移動量を含む。
そして、第2の補正機能30bは、切り出した120度分の各時刻に対応する体軸が示す所定の方向の移動量を用いて、360度分の投影データから、既に体動補正が行われた180度分の投影データを除いた180度分の投影データに対して、体動補正を行う(ステップS208)。ここで、同時刻にガンマカメラ80a、80b、80cで収集された複数の投影データは、体軸が示す所定の方向については、位置ずれの量が同一であると考えられる。そのため、第2の変形例に係る第2の補正機能30bは、体軸が示す所定の方向の移動量、及び、体軸に垂直な所定の方向の移動量のうち、体軸が示す所定の方向についてのみ体動補正を行い、体軸に垂直な所定の方向については体動補正を行わない。
一方、同時刻にガンマカメラ80a、80b、80cで収集された複数の投影データは、互いに対向する投影データではない。よって、計算が煩雑になるし、精度も伴わないため、第2の補正機能30bは、体軸に垂直な所定の方向について、体動補正を行わない。しかしながら、ステップS208において、計算が煩雑となっても構わない場合には、第2の補正機能30bは、体軸に垂直な所定の方向についても、体動補正を行ってもよい。この場合には、ステップS201において、第1の補正機能30aが、体軸が示す所定の方向の移動量に加えて、体軸に垂直な所定の方向の移動量を時刻ごとにデータ記憶回路28に格納する。
そして、第2の補正機能30bは、第1の実施形態と同様に、体動補正が行われた360度分の投影データのサイノグラムと、体動補正が行われる前の360度分の投影データのサイノグラムとをディスプレイ22に並べて表示させ(ステップS209)、処理を終了する。
(その他の変形例)
第1の実施形態、第1の実施形態の第1の変形例、及び、第1の実施形態の第2の変形例では、ステップS102又はステップS202において、第1の補正機能30aが、体動補正処理を行う前の180度分の投影データのサイノグラムと、体動補正処理を行った後の180度分の投影データのサイノグラムとを並べてディスプレイ22に表示させる例について説明した。しかしながら、ステップS102又はステップS202において、第1の補正機能30aは、体動補正処理を行う前の180度分の投影データのライノグラムと、体動補正処理を行った後の180度分の投影データのライノグラムとを並べてディスプレイ22に表示させてもよい。また、ステップS102又はステップS202において、第1の補正機能30aは、体動補正処理を行う前の180度分の投影データが画像再構成回路26により再構成されたSPECT画像と、体動補正処理を行った後の180度分の投影データが画像再構成回路26により再構成されたSPECT画像とを並べてディスプレイ22に表示させてもよい。
また、第1の実施形態、第1の実施形態の第1の変形例、及び、第1の実施形態の第2の変形例では、ステップS107又はステップ209において、第2の補正機能30bが、体動補正が行われた360度分の投影データのサイノグラムと、体動補正が行われる前の360度分の投影データのサイノグラムとをディスプレイ22に並べて表示させる例について説明した。しかしながら、ステップS107又はステップ209において、第2の補正機能30bは、体動補正が行われた360度分の投影データのライノグラムと、体動補正が行われる前の360度分の投影データのライノグラムとをディスプレイ22に並べて表示させてもよい。また、ステップS107又はステップ209において、第2の補正機能30bは、体動補正が行われた360度分の投影データが画像再構成回路26により再構成されたSPECT画像と、体動補正が行われる前の360度分の投影データが画像再構成回路26により再構成されたSPECT画像とをディスプレイ22に並べて表示させてもよい。
以上述べた少なくとも1つの実施形態又は変形例に係るSPECT装置によれば、360度分の投影データであっても、精度良く体動補正を行うことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。