JP4703703B2 - 核医学診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被検体に投与された放射性同位元素から発せられる放射線を検出する複数の検出器を有する核医学診断装置に関するものである。
従来から、放射線同位元素(以下、RIと称する。)により標識した薬剤を被検体内に投与して、このRIから放射されるガンマ線を検出した結果に基づいて、RIの被検体内における分布の様子を画像化する核医学診断装置が提供されている。特に、前記画像を所定の断層像として得るために、検出器としてガンマカメラ(ガンマ線を検出して、RIの二次元分布を撮影するカメラ)を用いて、これを被検体の体軸を軸として360度回転させて撮影を行う装置、所謂SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置等が広く知られている。
前述のガンマカメラには、検出素子としてシンチレータを用いたものと、半導体(CdTe、CZT等)を用いたものとがある。この内、検出素子として半導体を用いる検出器(以下、半導体検出器と称する)は、検出ヘッドを小型(薄型)且つ軽量に構成できる利点を有している。
しかしながら、半導体は非常に高価であり、その製造上の理由から、一般に、半導体検出器の検出面積は小さく、その検出視野も小さいという欠点を有している。
このようなことから、従来の核医学診断装置の中には、この半導体検出器を複数備えることで、検出視野を大きくすることを可能としたものが存在している。このような核医学診断装置は、例えば、特開平11−211833号公報に記載されている。
ところが、このような核医学診断装置においては、複数の検出器を被検体に対して如何なる位置に配置し、それを如何なるように移動させつつガンマ線の検出を行うのかによって、検査の効率が大きく左右されるため、効率の良い検査を行うためには、これらを検査の種別に応じて適切に実施する必要が生じることになった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の検出器を有する核医学診断装置において、前記複数の検出器を効率良く配置、移動させつつガンマ線の検出を行うことで、データ収集時間を短縮して、検査効率を大いに向上させることのできる核医学診断装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、被検体に投与された放射性同位元素から発せられる放射線を検出する複数の検出器を有する放射線検出手段と、前記放射線検出手段からの検出結果に基づく投影データから画像を作成する画像作成手段とを備える核医学診断装置であって、前記放射線検出手段は、前記複数の検出器を前記被検体の測定対象物周りに略コの字に支持する支持手段と、前記支持手段と共に前記複数の検出器を前記被検体の測定対象物を中心として回転移動させる回転移動手段とを有し、前記放射線検出手段は、前記複数の検出器を前記回転移動手段により前記被検体の測定対象物周りに180度回転させつつ放射線の検知を行い、前記画像作成手段は、前記放射線検出手段の前記複数の検出器からの検知結果に対応した投影データに基づく画像を歪み補正を行いつつ作成することを特徴とする。
上記課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の核医学診断装置であって、前記放射線検出手段は、前記略コの字に支持される複数の検出器の内、中央部分に位置する検出器が前記被検体の右正面側から前記被検体の正面側の180度を回転するように放射線の検知を行うことを特徴とする。
上記課題を解決するために、請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の核医学診断装置であって、前記測定対象物は、心筋であることを特徴とする。
上記課題を解決するために、請求項4記載の発明は、被検体に投与された放射性同位元素から発せられる放射線を検出する複数の検出器を有する放射線検出手段と、前記放射線検出手段からの検出結果に基づく投影データから画像を作成する画像作成手段とを備える核医学診断装置であって、前記放射線検出手段は、前記被検体の体軸方向と略直交する方向に関して、前記複数の検出器を、互いの検出視野を補完することで前記被検体の測定対象物全体を捉える第1群と、前記被検体の測定対象物及びその周辺部を捉える第2群とに分けて配置する支持手段と、前記支持手段と共に前記第一群及び第二群の検出器を測定対象物周りに回転移動させる回転移動手段とを有し、前記放射線検出手段は、前記回転移動手段により前記複数の検出器を前記被検体の測定対象物周りに360度回転させつつ放射線の検知を行い、前記画像作成手段は、前記放射線検出手段の前記第1群及び第2群の検出器からの検知結果に対応した投影データに基づく画像を歪み補正を行いつつ作成することを特徴とする。
上記課題を解決するために、請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の核医学診断装置であって、前記検出器は、半導体検出器であることを特徴とする。
以上に説明したように、本発明に係る核医学診断装置によれば、複数の検出器を効率良く配置、移動させつつガンマ線の検出を行うことができるので、データ収集時間を短縮して、検査効率を大いに向上させることができる。
以下、本発明に係る核医学診断装置の好適な一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[核医学診断装置の構成]
(機械構成)
図1に、本実施形態における核医学診断装置の全体構成を表す斜視図を示す。同図に示すように、当該核医学診断装置は、主に、被検体Pを載置する寝台1と、検出器21a〜21cを支持する架台2と、操作コンソール3とから構成されている。
寝台1は、被検体Pを載置する天板11と、この天板11をその両端部にて支持する支持部12、13とから構成されている。支持部12、13は、図示省略の駆動手段により互いに同期して伸縮動作を行うことで、天板11を垂直方向Vに沿って自在に昇降させる。
架台2は、床レール4上に載置される固定台24と、この固定台24に回転自在に嵌め込まれた回転リング23と、この回転リング23の内面に取り付けられた3個の支持部22a〜22cと、この支持部22a〜22cに各々支持される3個の検出器21a〜21cとから構成されている。尚、検出器21a〜21cは、それぞれ、被検体に投与されたRIから放射されるガンマ線の入射方向を限定する図示省略のコリメータと、入射したガンマ線を電気信号に変換する検出部20と、前記電気信号を収集する図示省略のデータ収集システム(DAS)とを備えている。検出部20は、CdTe或いはCdZnTe等の複数の半導体検素子が2次元アレイ状に配列されるものであって、その大きさは、220mm×180mm程度の大きさとなっている。このアレイ構造の検出部20にガンマ線が入射してくる前面に前記コリメータが設けられ、検出ガンマ線を特定方向だけに制限している。このように半導体検出素子アレイ構造にて検出部20を構成することで、従来のアンガー型の検出器と比較して圧倒的な小型軽量化が実現される。
このような構成において、検出器21a〜21cは、各々、寝台1の天板11上に載置された被検体Pから放射される放射線、即ち、ガンマ線を検出する。
また、支持部22a〜22cは、複数の検出器21a〜21cを、それぞれ被検体Pの体軸Z方向に沿って所定範囲内移動可能に、且つ、回転リング23の内面を円周方向Dに沿って移動可能に、且つ、回転リング23の内側を回転リング23の円中心に向かう方向に沿って所定範囲内移動可能に、且つ、検出部20の検出方向を調整可能に支持する。尚、検出器21a〜21c及び支持部22a〜22cに関する詳細構成については後述する。
回転リング23は、検出器21a〜21c及び支持部22a〜22cをそれぞれ支持し、図示省略の駆動手段により自身が円周方向Dに沿って回転移動することで、これらを被検体Pの体軸Z周りに回転移動させる。尚、回転リング23は、本発明の「回転移動手段」に対応する。
固定台24は、検出器21a〜21c、支持部22a〜22c及び回転リング23を支持し、図示省略の駆動手段により自身が床レール4上を水平方向Hに沿って移動することで、これらを被検体Pの体軸Z方向に沿って平行移動させる。尚、固定台24は、本発明の「移動手段」に対応する。
操作コンソール3は、寝台1の支持部12、13や架台2の回転リング23及び固定台24に関する移動操作、より詳しくは、これらに各々設けられた前記図示省略の駆動手段に関する駆動制御を行うための操作パネル31と、被検体P内に関する画像を表示する表示モニタ32と、同じく、この表示モニタ32に表示される設定画面において各種設定操作を行うためのマウス33等から構成されている。
このような構成において、操作者は、操作パネル31の操作により支持部12、13を昇降させて、寝台1の天板11上に載置された被検体Pの測定対象物(図示省略)の位置を架台2の回転リング23の回転軸上に略一致させた上で、所定の放射性同位元素を被検体Pに投与して、この放射性同位元素から放射されるガンマ線を所定位置に配置した検出器21a〜21cによって検出する。尚、検出器21a〜21cは、検査の種類に応じて、各々、所定の位置に固定される場合、被検体Pの体軸Z方向に沿って平行移動される場合、被検体Pの体軸Z周りに回転移動される場合、その他、被検体Pの体軸Z方向に沿って平行移動されつつ、被検体Pの体軸Z周りに回転移動される場合等がある。尚、この検出器21a〜21cの配置位置と検査の種類に関する具体例については後述する。因みに、固定系である固定台24と回転系である回転リング23間での信号や電力供給等のやり取りはスリップリングを介して行われる。この際、信号の授受に関しては、例えば、無接触の光信号伝送方式を採用することも可能である。
図2及び図3に、検出器21a及び支持部22aの詳細構成を示す。但し、検出器21a〜21c及び支持部22a〜22cは、何れも同様の構成となっているため、以下においては、この検出器21a及び支持部22aのみを取り上げ説明することにする。
図2に示すように、検出器21aは、支持部22aの回転機構部220aによって、その検出部20aの検出方向を調整可能(同図における(1)の方向)に支持されている。また、支持部22aの伸縮機構部221aによって、回転リング23の内面をその円中心に向かう方向(同図における(2)の方向)に沿って所定範囲内、即ち、所定ストローク内移動可能に支持されている。さらに、支持部22aの移動機構部222aによって、回転リング23の内面を円周方向Dに沿って移動可能に支持されている。この移動機構222aは、その突起部を回転リング23の回転レール230a内に嵌めこむことで、自身が自在に移動可能な構成となっている。さらに、図3に示すように、検出器21aは、支持部22aのスライド機構部223aによって、被検体Pの体軸Z方向に沿って、所定範囲内、即ち、所定ストローク内移動可能に支持されている。尚、これら機構部(回転機構部220a、伸縮機構部221a、移動機構部222a及びスライド機構部223a)の各々には図示省略の固定具が備えられ、検出器21a(検出部20a)を所望の位置に、且つ、所望の方向に固定することが可能となっている。
尚、回転機構部220aは、本発明の「回転支持手段」に対応する。また、伸縮機構部221aは、本発明の「伸縮支持手段」に対応する。また、移動機構部222aは、本発明の「移動支持手段」に対応する。また、スライド機構部223aは、本発明の「スライド支持手段」に対応する。
尚、前述のように、以上に説明した検出器21a及び支持部22aの構成は、この他の検出器21b、21c及び支持部22b、22cに関しても同様となっている。即ち、検出器21a〜21c(検出部20a〜20c)は、各々、支持部22a〜22cによって、所望の位置に、且つ、所望の方向に固定することが可能となっている。
このような構成を採ることで、本実施形態における核医学診断装置においては、例えば、図4乃至図9に示すように、検出器21a〜21cを回転リング23内の互いに隣接する位置に配置して、その検出部20a〜20cを同一平面上に一致させて、且つ、各々を被検体Pの体軸Z方向に関してオフセットした位置に配置するような形態(図4及び図5を参照のこと。但し、図4は正面図、図5は平面図となっている。)、また、検出器21a〜21cを回転リング23内の互いに離れた位置に配置して、且つ、各々が被検体Pの体軸Z方向に関して同一の位置に配置するような形態(図6及び図7を参照のこと。但し、図6は正面図、図7は平面図となっている。)、さらに、検出器21a及び21bを回転リング23内の互いに隣接する位置に配置して、検出器21cを回転リング23内のこれらとは離れた位置に配置して、且つ、各々が被検体Pの体軸Z方向に関して同一の位置に配置するような形態(図8及び図9を参照のこと。但し、図8は正面図、図9は平面図となっている。)等を採ることが可能となっている。尚、これらの形態に関しては、各々に対応する検査の種類と共に後述する。
(制御構成)
図10に、当該核医学診断装置のハードウェア構成を表すブロック図を示す。但し、本図に示すブロック図は、当該核医学診断装置の画像作成処理に関わる部分のみを抽出したものとなっている。
同図に示すように、当該核医学診断装置は、主に、各部の制御を行うCPU100と、被検体Pに関する画像の表示手段である前記表示モニタ32と、この表示モニタ32とCPU100とのインターフェースであるディスプレイインターフェース200と、一次的な投影データ等の記憶手段であるメモリ300と、画像等の記憶手段であるディスクユニット400と、このディスクユニット400とCPU100とのインターフェースであるディスクインターフェース500と、各種画像処理(繋ぎ合わせ処理、再構成処理等)を行う画像作成手段であるイメージプロセッサ600と、放射線検出手段である前記検出器21a〜21cと、この検出器21a〜21c(より詳しくは、検出部20及びデータ収集システム(DAS)を含む。)と、CPU100とのインターフェースであるデータインターフェース700と、その他、入力手段である前記マウス33等により構成される。
このような構成において、被検体Pより放射されたガンマ線は、検出器21a〜21cにより検出され、電気信号に変換された後、データ収集システム(DAS)により収集され、投影データとして、データインターフェース700を介してメモリ300に送信され、このメモリ300に一次的に蓄積される。イメージプロセッサ600は、メモリ300に蓄積された投影データに基づいて、画像の繋ぎ合わせ処理や再構成処理等を行う。この際、イメージプロセッサ600において繋ぎ合わされた画像や再構成された画像等は、ディスクユニット400に記憶される。尚、このディスクユニット400には、各検査に応じて操作者が選択的に使用可能な所定の動作プログラムが記憶されており、マウス33等の操作によりこれらのプログラムが読み出され、CPU100は、そのプログラムの内容に応じて演算を行ったり、投影データを取得する際の検出器21a〜21cの検出方向及び検出位置等の設定を行う。イメージプロセッサ600において作成された画像は、ディスプレイインターフェース200を介して表示モニタ32に表示される。
尚、以上に述べたCPU100、ディスプレイインターフェース200、メモリ300、ディスクユニット400、ディスクインターフェース500、イメージプロセッサ600、データインターフェース700等は、通常、1つのコンピュータシステムとして一体化されるものである。
[画像作成方法]
次に、以上のように構成される当該核医学診断装置の画像作成方法、即ち、データ収集方法(検出器21a〜21cの配置位置及びこれらの移動方法)について、各種検査、具体的には、ホールボディ収集、心筋SPECT、汎用SPECTの3つを行う場合を例に採り、それぞれ説明する。
但し、何れの検査を行う場合であっても、検出器21a〜21cは、被検体Pの体軸方向と略直交する方向に関して、互いの検出視野を補う位置に各々配置される。この互いの検出視野を補うことが、本発明の「補完する」に対応する。
操作者は、まず、各々の検査に共通して、被検体Pを寝台1の天板11上に載置して、操作コンソール3の操作パネル31の操作により、寝台1の支持部12、13を昇降させて、天板11上に載置された被検体Pの測定対象物(図示省略)の位置を架台2の回転リング23の回転軸上に略一致させた上で、所定の放射性同位元素を被検体Pに投与する。そして、この放射性同位元素から放射されるガンマ線を以下に説明するように各種検査に応じて予め所定の位置に配置された検出器21a〜21cによって検出する。以下に説明を続ける。
A:ホールボディ収集を行う場合
ホールボディ収集において測定対象となるのは、被検体Pの全身である。そこで、当該核医学診断装置では、まず、図4、図5及び図11に示すように、3つの検出器21a〜21cの内、1つ、例えば検出器21cを被検体Pの頭部上方位置に配置して(本発明である請求項4の「第1群」に対応する。)、残る2つ、検出器21a、21bを被検体Pの両肩部上方位置に各々配置して(本発明である請求項4の「第2群」に対応する。)、且つ、検出部20a〜20cの検出部20a〜20cを各々同一面上に一致させた上で、これらを保持したまま固定台24を床レール4に沿って被検体Pの体軸Zに関して平行移動させることで、被検体Pの全身をこの3つの検出器21a〜21cによりカバーしてガンマ線の検出、即ち、投影データのデータ収集を行う。尚、この際、検出器21a、21bと検出器21cのデータ収集範囲には、図11に示すように、互いに重複する部分(図における斜線部分)が設けられることが好ましい。このような部分を設けることで、後にイメージプロセッサ600において画像の繋ぎ合わせ処理や再構成処理が行われる際に、これらを適切に行うことができる。データの欠落範囲が無くなるからである。尚、当然のことながら、操作者は、操作コンソール3の操作パネル31の操作により固定台24を床レール4に沿って被検体Pの体軸Zに関して平行に移動させることになる。
ここで注目すべきは、当該核医学診断装置においては、ホールボディ収集を行う場合、検出器21a〜21cの移動距離は、図11に示すように、移動距離Lとなることである。同図に示すように、従来の核医学診断装置、例えば、比較的大きな検出器21´を1つ備えるものにあっては、ホールボディ収集を行う場合、検出器21´の移動距離は、被検体Pの頭部から足先まで、即ち、移動距離L´となるため、当該核医学診断装置では、L´−Lの分だけ検出器(21a〜21c)の移動距離を短くすることができる。従って、データ収集時間を短縮することができ、検査効率を向上させることができる。
B:心筋SPECTを行う場合
心筋SPECTにおいて測定対象となるのは被検体Pの心臓周辺部である。尚、当該心筋SPECTにおいては、被検体Pの心臓周辺部の断層像を得るために、検出器21a〜21cは、各々、被検体Pの体軸周りに回転移動を行いつつデータ収集を行うことになる。そこで、当該核医学診断装置では、まず、図6、図7及び図12に示すように、3つの検出器21a〜21cの内、2つ、例えば検出器21b、21cを被検体Pの心臓部Qを挟んで対向する位置に、残る1つ、検出器21aを被検体Pの心臓部Q及びその周辺をカバーする位置に、且つ、他の検出器21b、21cと併せて略コの字を描く位置に配置した上で、これらを保持したまま回転リング23を180度回転移動させることで、被検体Pの心臓部Q及びその周辺部をこの3つの検出器21a〜21cによりカバーしてデータ収集を行う。因みに、図12に示すOが検出器21a〜21cの回転中心である。尚、当然のことながら、操作者は、操作コンソール3の操作パネル31の操作により回転リング23を円周方向Dに回転移動させることになる。
ここで注目すべきは、当該核医学診断装置では、検出器21a〜21cのデータ収集範囲が、各々、図12に示すRa、Rb、Rcとなることである。即ち、画像の再構成処理を行う上で重要な範囲である心臓部Qのある心筋側180度の範囲においては、常に2検出器分(検出器21a乃至検出器21cの何れか2つ)の投影データが得られると共に、画像の再構成処理を行う際に歪み補正用として用いられる範囲である心筋の反対側180度の範囲(心臓部Qから遠く、天板11が障害となる範囲)においては、必要最小限である1検出器分(検出器21b又は検出器21c)の投影データを得ることができる。従来の核医学診断装置、例えば、当該核医学診断装置と同様に3つの検出器を備えるものにあっては、心筋SPECTを行う場合、通常、略コの字に配置された検出器21a〜21cの回転角度は360度であったため、必要以上の投影データを得ていただけでなく、データ収集時間も長く検査効率は悪かった。また、従来の核医学診断装置、例えば、2つの検出器を備えるものにあっては、心筋SPECTを行う場合、通常、2つの検出器を略Lの字に配置して、これらを90度回転させることでデータ収集を行っていたため、データ収集時間は短いのだが、画像の再構成に必要な最小限の投影データを得るのみで、歪み補正用として用いる投影データは得ておらず、このため再構成された画像の画質に問題が生じる場合があった。このように、当該核医学診断装置では、略コの字に配置した検出器を必要最小限である180度だけ回転させて、重要である心臓部Qのある心筋側180度の範囲においては、2検出器分の投影データを得て、歪み補正用として用いる反対側180度の範囲においては、必要最小限である1検出器分の投影データを得ることができるため、データ収集時間を短縮することができると同時に、歪み補正の成された良好な画像を得ることができる。よって、検査効率を向上させることができると共に、検査を適切に支援することができる。
C:汎用SPECTを行う場合
汎用SPECTにおいて測定対象となるのは、被検体Pの任意の部分である。しかしながら、本発明においては、1つの検出器のみによってはデータ収集し切れない大きさを有するものを、特に汎用SPECTの測定対象とする。尚、当該汎用SPECTにおいても、被検体Pの測定対象物Qの断層像を得るために、検出器21a〜21cは、各々、被検体Pの体軸周りに回転移動を行いつつデータ収集を行う。前述のように、検出器21a〜21cの検出部20a〜20cの大きさ、即ち、検出範囲は、各々、220mm×180mm程度となっているため、例えば、測定対象物が肺等の場合には、当然1つの検出器のみではデータ収集し切れないことになる。そこで、当該核医学診断装置では、図8、図9及び図13に示すように、まず、3つの検出器21a〜21cの内、2つ、例えば検出器21a、21cを隣接する位置に配置し(本発明である請求項14の「第1群」に対応する。)、これらを用いて被検体Pの測定対象物Q´の全体をカバーし、さらに、残る1つ、検出器21bを前記検出器21a、21cと離れた位置に配置して(本発明である請求項14の「第2群」に対応する。)、これを用いて被検体Pの測定対象物Q´及びその周辺部をカバーした上で、これらを保持したまま回転リング23を360度回転移動させて、被検体Pの測定対象物Q´全体のデータ収集を行う。因みに、図13に示すOが検出器21a〜21cの回転中心である。尚、当然のことながら、操作者は、操作コンソール3の操作パネル31の操作により回転リング23を円周方向Dに回転移動させることになる。また、必要な場合には、これに同期させて固定台24を床レール4に沿って被検体Pの体軸Z方向に移動させる。
ここで注目すべきは、当該核医学診断装置では、検出器21a〜21cの複数(検出器21a、21b)を互いの検出視野をカバーするように用いることで、1つの検出器のみによってはカバーし切れない大きさを有する測定対象物(Q´)であっても、一回にその投影データを得ることが可能になることにある。さらには、残る検出器(検出器21b)を用いて、歪み補正用の投影データを得ることで、歪み補正の成された良好な画像を得ることができることにある。よって、検査効率を向上させることができると共に、検査を適切に支援することができる。
尚、このように1つの検出器のみによってはカバーし切れない大きさを有する測定対象物Q´に対してデータ収集を行う場合には、この他にも、例えば図14に示すように、2つの検出器A、Bを用いて、これらを互いの検出視野の死角を補うように略Lの字に配置して、これを360度回転させる方法や、さらに、図15に示すように、3つの検出器A、B、Cを用いて、同様にこれらを互いの検出視野の死角を補うように略三角形に配置して、これを360度回転させる方法等がある。この場合、2つの検出器によってもカバーし切れない大きさを有する測定対象物Q´´(>Q´)に対しても1回にデータ収集を行うことができる。因みに、同図に示すOが検出器A〜Cの回転中心である。これらは、検出器の数等を調整することにより、当該核医学診断装置において何れも実施することが可能となっている。
以上のようにして、各々の検査において収集された投影データは、共通して検出器21a〜21cからデータインターフェース700を介してイメージプロセッサ600へと送信され、イメージプロセッサ600は、その投影データに対して、画像の繋ぎ合わせ処理や画像の再構成処理を行う。尚、心筋SPECTや汎用SPECTの場合には、イメージプロセッサ600は、画像の歪み補正を行いつつ再構成処理を行う。
これら画像の繋ぎ合わせ処理、画像の再構成処理及び画像の歪み補正処理等は、従来の核医学診断装置と同様の公知手法によって行われるものである。例えば、イメージプロセッサ600は、画像の再構成処理に関しては、これを逐次近似的な方法によって行う。その代表的な方法の1つにOS‐EM法がある。当該OS‐EM法とは、投影データを複数のグループに分けて、サブセット毎に逐次近似処理を行っていく手法である。このサブセットの分け方は任意であるが、三次元の収集位置にあっては、互いに最も疎の(関連が薄い)関係となる90度の角度をなす2つのデータを1つのサブセットとすることが良好な画像を再構成する上で好ましい条件となっている。
このようにして、イメージプロセッサ600において繋ぎ合わせ処理や再構成処理を施された画像は、ディスプレイインターフェース2を介して表示モニタ32に表示される。
以上に説明したように、本実施形態における核医学診断装置においては、各種検査、具体的には、ホールボディ収集、心筋SPECT、汎用SPECT等を行う場合の各々において、複数の検出器が効率良く配置され、且つ、それらが必要最小限の範囲内において移動されることでデータ収集が行われるため、データ収集時間が短縮され、検査効率を大いに向上させることができる。また、歪み補正用の投影データをも同時に得て、画像補正を行うことで、歪み補正の成された良好な画像を得ることができる。よって、検査を適切に支援することができる。さらに、複数の検出器を互いの検出視野を補完するように用いることで、1つの検出器のみによってはカバーし切れない大きさを有する測定対象物であっても、一回にその投影データを得ることができ、検査効率を向上させることができる。また、残る検出器を用いて、歪み補正用の投影データをも同時に得て、画像補正を行うことで、歪み補正の成された良好な画像を得ることができる。よって、検査を適切に支援することができる。
尚、本発明に係る核医学診断装置は、本実施形態における核医学診断装置に限定されるものではなく、本発明の主旨及び範囲から逸脱しない程度の種々の変形が当然に可能である。例えば、本実施形態における核医学診断装置の支持部22a〜22cに関する構成や、これを支持する回転リング23及び固定台24、更には、床レール4等の構成も、同様の機能を有するものであれば、他の形態を採るものであって良い。また、これらの機能を部分的に抽出した形態を採るものであっても良い。操作コンソール3の操作パネル31、表示モニタ32、マウス33等の構成に関しても、同様の機能を有するものであれば、他の形態を採るものであって良い。さらに、各々の検査における検出器の配置及びその移動範囲においても同様である。
本発明に係る核医学診断装置の全体構成を表す斜視図である。 図1に示す核医学診断装置の検出器及び支持部に関する詳細構成を表す斜視図である。 図1に示す核医学診断装置の検出器及び支持部に関する詳細構成を表す斜視図である。 図1に示す核医学診断装置において、ホールボディ収集を行う際の各検出器の配置位置を表す正面図である。 図1に示す核医学診断装置において、ホールボディ収集を行う際の各検出器の配置位置を表す平面図である。 図1に示す核医学診断装置において、心筋SPECTを行う際の各検出器の配置位置を表す正面図である。 図1に示す核医学診断装置において、心筋SPECTを行う際の各検出器の配置位置を表す平面図である。 図1に示す核医学診断装置において、汎用SPECTを行う際の各検出器の配置位置を表す正面図である。 図1に示す核医学診断装置において、汎用SPECTを行う際の各検出器の配置位置を表す平面図である。 図1に示す核医学診断装置の制御構成を表すブロック図である。 ホールボディ収集を行う際の各検出器の移動距離を説明するための説明図である。 心筋SPECTを行う際の各検出器のデータ収集範囲を説明するための説明図である。 汎用SPECTを行う際の各検出器の配置位置を説明するための説明図である。 図13に示す汎用SPECTを行う際の各検出器の配置位置に関する他例を説明するための説明図である。 図13に示す汎用SPECTを行う際の各検出器の配置位置に関するさらに他例を説明するための説明図である。
符号の説明
1…寝台
11…天板
12、13…支持部
2…架台
20a〜20c…検出部
21´…検出器
21a〜21c…検出器
22a〜22c…支持部
220a〜220c…回転機構部
221a〜221c…伸縮機構部
222a〜222c…移動機構部
223a〜223c…スライド機構部
23…回転リング
24…固定台
3…操作コンソール
31…操作パネル
32…表示モニタ
33…マウス
4…床レール
100…CPU
200…ディスプレイインターフェース
300…メモリ
400…ディスクユニット
500…ディスクインターフェース
600…イメージプロセッサ
700…データインターフェース
A〜C…検出器
D…円周方向
H…水平方向
L、L´…移動距離
O…回転中心
P…被検体
Q、Q´、Q´´…測定対象物
Ra、Rb、Rc…データ収集範囲
V…垂直方向
Z…被検体体軸

Claims (5)

  1. 被検体に投与された放射性同位元素から発せられる放射線を検出する複数の検出器を有する放射線検出手段と、前記放射線検出手段からの検出結果に基づく投影データから画像を作成する画像作成手段とを備える核医学診断装置であって、
    前記放射線検出手段は、前記複数の検出器を前記被検体の測定対象物周りに略コの字に支持する支持手段と、前記支持手段と共に前記複数の検出器を前記被検体の測定対象物を中心として回転移動させる回転移動手段とを有し、
    前記放射線検出手段は、前記複数の検出器を前記回転移動手段により前記被検体の測定対象物周りに180度回転させつつ放射線の検知を行い、前記画像作成手段は、前記放射線検出手段の前記複数の検出器からの検知結果に対応した投影データに基づく画像を歪み補正を行いつつ作成することを特徴とする核医学診断装置。
  2. 前記放射線検出手段は、前記略コの字に支持される複数の検出器の内、中央部分に位置する検出器が前記被検体の右正面側から前記被検体の正面側の180度を回転するように放射線の検知を行うことを特徴とする請求項1に記載の核医学診断装置。
  3. 前記測定対象物は、心筋であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の核医学診断装置。
  4. 被検体に投与された放射性同位元素から発せられる放射線を検出する複数の検出器を有する放射線検出手段と、前記放射線検出手段からの検出結果に基づく投影データから画像を作成する画像作成手段とを備える核医学診断装置であって、
    前記放射線検出手段は、前記被検体の体軸方向と略直交する方向に関して、前記複数の検出器を、互いの検出視野を補完することで前記被検体の測定対象物全体を捉える第1群と、前記被検体の測定対象物及びその周辺部を捉える第2群とに分けて配置する支持手段と、前記支持手段と共に前記第一群及び第二群の検出器を測定対象物周りに回転移動させる回転移動手段とを有し、
    前記放射線検出手段は、前記回転移動手段により前記複数の検出器を前記被検体の測定対象物周りに360度回転させつつ放射線の検知を行い、前記画像作成手段は、前記放射線検出手段の前記第1群及び第2群の検出器からの検知結果に対応した投影データに基づく画像を歪み補正を行いつつ作成することを特徴とする核医学診断装置。
  5. 前記検出器は、半導体検出器であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の核医学診断装置。
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