JP6681681B2 - 受圧板 - Google Patents

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Description

本発明は、斜面を押圧する受圧板に関し、特に、斜面に埋設されたアンカーに取り付けられて斜面を押圧する受圧板に関する。
我が国は、四方を海に囲まれた島国であり、雨量が多い気候帯に属する。したがって、我が国の地山の斜面は、繰り返される雨により表層の風化が進みやすく、1m〜数mの風化した不安定層(表層)と、その下に存在する岩盤等の安定地層(深層)と、から形成されるものが多いという特徴がある。
上記風化した不安定層を放置すると、この不安定層から斜面が崩壊して砂礫や岩石が下方へと落下し、被害が及ぶおそれがある。この不安定層からの斜面の崩壊は、主に2つのパターンに分けられる。1つは、地山の表層と深層の境界面(すべり面)に沿って上記表層(不安定層)が崩落する現象(いわゆる表層すべり)であり、もう1つは、境界面は維持されているものの、表層の中の一部が表層中から抜け落ちる局部崩壊現象(いわゆる中抜け)である。また、表層すべりと中抜けが同時に発生する斜面の崩壊現象も生じ得る。
これら地山の斜面の表層すべりや中抜けを防止するために、従来から種々の方法が提案されている。例えば、グラウンドアンカーやロックボルト等の緊張部材を地山の斜面の表層から不動層まで貫通させて設け、緊張部材の地山表面側端部に斜面を広くカバーできる平面視略十字形状や矩形の重量あるコンクリートブロック製の受圧板を取り付け、この受圧板に所定の緊張力を与えて緊張部材の地山表面側端部と受圧板とを係止させる斜面の保護方法が提案されている。
この斜面の保護方法によれば、複数の受圧板を斜面全体を覆うように設けることで斜面全体がコンクリートブロック製の受圧板によって押え付けられ、斜面の表層すべりや表層の中抜けを抑制することができる。
しかしながら、重量のあるコンクリートブロック製の受圧板を斜面全体に配置することは、重機の使用に伴うコスト増や、施工期間の長期化につながり、全体として工費も高いものとなる。
そこで、軽量化された受圧板が特許文献1において提案されている。具体的には、特許文献1は、鋼材を十字型に組み合わせた十字枠とこの十字枠の周囲に取り付けた外枠とによって形成される「田」の字の形状の外観を呈する受圧板を開示する。この受圧板は、基端側から法面のアンカー孔に挿入したアンカーボルトの先端側を十字枠の中心のボルト孔に挿通させ、挿通したアンカーボルトにナットを回転させてアンカーボルトを緊張して受圧板を法面に押し付けた状態で設置するものである。
特許文献1の受圧板によれば、受圧板が設置される法面上に多少の不陸(凹凸部)があっても十字枠と周囲の外枠との間の空間に凸部や凹部の存在が許容される一方、「田」の字形状の受圧板は雪国の「輪かんじき」のような機能によって有効に地山を押さえることが可能となる。
また、特許文献2には、図12に示すように、方形の枠体101の内部に角材状の受圧部材102を複数並べて装着した受圧板100が開示されている。受圧部材102には、高い曲げ剛性を有する合成木材が用いられる。
特許文献2の受圧板100によれば、枠体101内に装着された受圧部材102によって受圧板100の受圧面積を確保することができる。また、受圧部材102の強度に枠体101の強度が付加されて受圧板100として十分な強度を得ることができる。
特許第5129104号公報 特開2003−138572号公報
しかしながら、受圧板の受圧面積は、(i)斜面の表層滑りを防止するために必要なアンカー力及び(ii)斜面の性状によって定まる許容地耐力を勘案して設定されているところ、特許文献1の受圧板によれば、斜面は空間部分を除く十字枠部分及び外枠部分によってのみしか押圧されないので、風化した表層が、粘着性が小さく地耐力も小さい崩落性の土により形成されている場合は受圧板が風化した表層に沈みこみ、さらには空間部分から表層の中の一部が抜け落ち、もはや受圧板としての機能を発揮できないおそれがある。このような状態は、設計した受圧面積を確保することができているとも言えない。
さらに、十字枠と周囲の外枠との間の領域からの表層の局部崩壊(中抜け)を防止できないおそれがある。
特許文献2の受圧板によれば、枠体の内部に装着された受圧部材によって受圧面積が確保されている。しかしながら、受圧部材は高い曲げ剛性を有する合成木材であるから、受圧部材下部に斜面の不陸(凹凸部)が存在する場合には、受圧板を斜面に密着させることが困難となる、すなわち、受圧板は斜面の凸部等と点接触して当該接触部に応力が集中する。一般的に受圧板はその下面に斜面から均一に荷重が付加されるものとして設計されているところ、上記接触部に応力が集中すると設計された強度以上の荷重が付加されて受圧板が破壊するおそれがある。
また、受圧板の一部に斜面からの応力が集中すると、斜面に対してアンカーからの荷重を均一に伝達することができず、予め定められた受圧面積を確保できず、斜面の表層すべりを防止できないおそれがある。
したがって、特許文献2の受圧板によれば、斜面を均したり、あるいは受圧板の下に不陸吸収部材(ざぶとん材)等を配置したり、受圧板の破壊を防止しつつ受圧面積を確保するための追加の作業を要することとなる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、多少の不陸(凹凸)がある斜面においても破損することなく受圧面積を確保することができる軽量化された受圧板を提供することにある。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、斜面に埋設されたアンカーに取り付けられて斜面を押圧する受圧板において、外縁を画定する枠体と、該枠体の内部を覆うように該枠体の下面部に張設され、前記斜面の起伏形状に追従して変形可能な網状体と、を有することを特徴とする。

この構成によれば、枠体によって画定された外縁の内部を覆うように枠体の下面部に網状体が張設されることで、斜面が網状体及び枠体によって押圧される。したがって、外縁の内部全域を枠体構成部材によって構成する必要が無いのでそのぶん受圧板が軽量化されている。
また、多少の起伏がある斜面に受圧板が設置される場合、網状体下に斜面の凸部を配置することで網状体は斜面の起伏形状に追従しつつ弾性変形し、面的に斜面を押圧することが可能となる。したがって、破損することなく予め定められた受圧面積を確保することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の受圧板において、前記枠体は、略十字形状の主骨格部と、該主骨格部の先端部間に架け渡されて該先端部間を連結する連結部材と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、枠体の構成部材として主骨格部材の先端部間に架け渡される連結部材を用いることで、受圧面積を確保しつつさらに受圧板を軽量化させることが可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の受圧板において、前記網状体は、800〜2000N/mmの引っ張り強度を有する硬鋼線材から製造された線材で構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、網状体が一般の軟鋼線材から製造された線材、すなわち、鉄線(一般に、引っ張り強度290〜540N/mmである)に基づく汎用金網とは異なり、800〜2000N/mmの引っ張り強度を有する硬鋼線材から製造された線材で構成されている。したがって、枠体の下面部に緊張状態で展設された網状体は、斜面表面部だけでなく斜面表面から数メートルの深さまでの表層すべりをも阻止することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の受圧板において、前記網状体の網目の内接円を描いたときの該内接円の直径が、15cm以下であることを特徴とする。
この構成によれば、斜面を内接円の直径が15cm以下のサイズの網目によってより確実に面的に押圧することができ、網目内の空間が十分に小さいことからその空間から表層の一部が抜け落ちる現象も生じない。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の受圧板において、前記枠体の下面部の所定箇所に下方に突出する突起を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、網状体は枠体の内部を覆うように下面部に張設された上に、さらに突起部によって網状体の緊張力を確実且つ均等に枠体に伝達することができ、網状体から斜面へとより均等に荷重を分布させた状態で斜面を押圧することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の受圧板において、前記略十字形状の主骨格部が、2個の棒状部材を長手方向略中央部で相互に結合させてなる組み立て式の構成を有することを特徴とする。
この構成によれば、主骨格部が2個の棒状部材の組み立て式のものであるから、施工現場で組み立て可能とした場合には、輸送や保管の段階で場所をとることがなく、効率的である。
本発明によれば、枠体によって画定された外縁の内部を覆うように枠体の下面部に網状体が張設されることで、斜面が網状体及び枠体によって押圧される。したがって、外縁の内部全域を枠体構成部材によって構成する必要が無いのでそのぶん受圧板が軽量化されている。
また、多少の起伏がある斜面に受圧板が設置される場合、網状体下に斜面の凸部を配置することで網状体は斜面の起伏形状に追従しつつ弾性変形し、面的に斜面を押圧することが可能となる。したがって、破損することなく予め定められた受圧面積を確保することが可能となる。
本発明の第1実施の形態に係る受圧板の分解斜視図である。 (A)図1のII−II線断面図である。(B)図1のII−II線断面図である。 (A)受圧板に用いる網状体の平面図である。(B)同じく、網状体の側面図である。 (A)図1のA部拡大図である。(B)図1のB部拡大図である。 受圧板の斜面への設置を説明するための斜視図である。 斜面に設置された受圧板の平面図である。 図6のVII−VII線断面図である。 複数の受圧板10を所定間隔で設置した斜面Sの断面図である。 本発明の第2実施の形態に係る受圧板を示す平面図である。 図9のX−X線断面図である。 第1実施の形態の受圧板10の連結部材の変形例を示す平面図である。 従来の受圧板100を示す図である。
(第1実施の形態)
次に、本発明の実施の形態に係る受圧板を、図1〜図8を参照して説明する。図1は本発明の第1実施の形態に係る受圧板の分解斜視図、図2(A)は図1のII−II線断面図、図2(B)は図1のII−II線断面図、図3は受圧板に用いる網状体を示す図、図4(A)は図1のA部拡大図、図4(B)は図1のB部拡大図、図5は受圧板の斜面への設置を説明するための斜視図、図6は斜面に設置された受圧板の平面図および図7は図6のVII−VII線断面図であり、図8は複数の受圧板10を所定間隔で設置した斜面Sの断面図である。
図1に示すように、受圧板10は、横方向(図示左下から右上方向)に伸長する横骨格部材12及び縦方向(図示左上から右下方向)に伸長する縦骨格部材16を組合せてなる略十字形状の主骨格部20を主な構成部材とする枠体25の内部を覆うように枠体25の下面部25aに網状体35を張設した基本構成を有する。
横骨格部材12は、同図に示すように、平面視長矩形の下部壁13と下部壁13の幅方向両端部から上方に立ち上がる側壁14,14とから形成される略コ字状の断面形状を有する。尚、縦骨格部材16との結合部となる中央部12aには側壁は設けられていない。横骨格部材12の中央部12aには、図2(A)に示すように、下部壁13を下面13a側から切り欠いてなる切欠き部13bが設けられている。この切欠き部13aの存在により、横骨格部材12の下部壁13の中央部12aにおける厚さは、下部壁13の中央部12a以外の部位の厚さTに対して1/2Tとなっている。また、中央部12aにおいて、横骨格部材12の下部壁13には、アンカー70を挿通させるための孔部13fが設けられている。
横骨格部材12の長さ(長手方向両端部間距離)は約1.0mであり、横骨格部材12の下部壁13の長手方向両端部には、図2(A)に示すように、後述するアイボルト41が螺着されるネジ孔13c,13cがそれぞれ設けられている。さらに、下部壁13の下面13dには、下方に突出する円筒形状の突起13eが、中央部12aから長手方向端部にかけて略等間隔に5個設けられている。すなわち、横骨格部材12の下部壁13の下面13dには、突起13eが中央部から双方の長手方向端部に向けて5個ずつ計10個設けられている。
突起13eは、枠体25の下面部25aに張設された網状体35の網目35a内に挿入されて、網状体35の面広がり方向への移動を係止可能な長さを有していれば良く、例えば、突起13eの長さは10mm〜30mmの範囲である。突起13e相互の間隔は、網目の大きさに合わせて調整することができ、例えば、網目1個〜2個分の間隔に調整することができる。
縦骨格部材16は、横骨格部材12との結合部となる中央部16aを除き横骨格部材12と同じ形状を有する。すなわち、図1に示すように、平面視長矩形の下部壁17と下部壁17の幅方向両端部から上方に立ち上がる側壁18,18とから形成される略コ字状の断面形状を有する。また、横骨格部材12同様、横骨格部材12との結合部となる中央部16aには側壁は設けられていない。
縦骨格部材16の中央部16aには、図2(B)に示すように、下部壁17の上面17aを切り欠いてなる切欠き部17bが設けられている。この切欠き部17bの存在により、縦骨格部材16の下部壁17の中央部16aにおける厚さは、下部壁17の中央部16a以外の部位の厚さTに対して1/2Tとなっている。また、中央部16aにおいて、縦骨格部材16の下部壁17には、アンカー70を挿通させるための孔部17fが設けられている。
縦骨格部材16の長さ(長手方向両端部間距離)は約1.0mであり、縦骨格部材16の下部壁17の長手方向両端部には、図2(B)に示すように、後述するアイボルト41が螺着されるネジ孔17c,17cがそれぞれ設けられている。さらに、下部壁17の下面17dには、下方に突出する円筒形状の突起17eが、中央部16aから長手方向端部にかけて略等間隔に5個設けられている。すなわち、横骨格部材12の下部壁13の下面13dには、突起17eが中央部16aから双方の長手方向端部に向けて5個ずつ計10個設けられている。突起17eの大きさ・形状・相互間隔は、突起13eと同じである。
主骨格部25の上部には、アンカー70の先端に固定される六角ナット45からの荷重を主骨格部25に伝達するための受け台30が配置される。
受け台30は、アンカー70を挿通させる四角筒部31と、四角筒部31の上端に接合されて六角ナット45の下部に配置されるスペーサ43に当接する平面視矩形の台座部32と、四角筒部31の外側面から四方に(径方向外方に)延在する脚部33と、を有する。
脚部33は、側面視台形状であって、上縁部33aが台座部32の下面32aに接合し、下縁部33bが四角筒部31の下端に対して面一となる板部材である。下縁部33bの四角筒部31からの長さは上縁部33aの四角筒部31からの長さよりも大きく、したがって、脚部33は、上方から下方へと移行するにつれて四角筒部31からの径方向距離が漸次増大する構成を有する。
四角筒部31の外側面に位置して縦方向に延在する4本の稜線には、四角筒部31の軸中心から径方向外方へと突出するリブ31aがそれぞれ設けられている。
網状体35は、図3(A)に示すように、一定の間隔をおいて繰り返される直線部と屈曲部とにより螺旋状に図示左右方向に延在する線材36を構成線材として、この線材36を相互に屈曲部において連結してなる、菱形の網目35aを有する菱形金網である。図3(B)に示すように、網状体35の直線部間の間隔Iは、線材36の直径の3倍もしくはそれ以上となっていることが好ましい。
なお、網状体35は菱形金網に限定されるものではない。例えば、亀甲金網や、環状の構成線材からなる多数のリング部材をそれぞれ隣合うリング部材の内周側が接触するように繋ぎ合わせてなるリングネットなど、以下の網目の大きさ・構成線材である線材の要件を満たす限り、種々の網目形状を有する網状体を用いることができる。
網目35aの大きさは、受圧板10が斜面Sに設置された際に、網目35a内の空間からの斜面S表層の一部の抜け落ちを防止できる大きさであるか否かを基準に判断される。例えば、網目が大きい場合には網目の内部から砂礫が抜け出る場合があり、砂礫が抜け出た斜面S上の部位において、網状体35は斜面Sを面的に押圧できなくなるし、この場合、予め定められた受圧面積を確保できているともいえない。
網目35aの内部からの斜面S表層の一部の抜け落ちを防止する網目35aの大きさの目安としては、網状体35の網目35aの内接円を描いたときのこの内接円の直径d(図4(B)参照)が15cm以下であり、好ましくは、10cm以下である。なお、この数字は斜面Sの傾斜角度や斜面S表面の土の性状(土の粘着力等)によっても若干左右される。
線材36としては、JIS G 3506に規定された硬鋼線材から製造されたものを用いる。硬鋼線材としては、例えば、硬鋼線(JIS G 3521)、亜鉛めっき鋼線(JIS G 3548)等が該当する。
かかる硬鋼線材から製造された線材36は、従来の汎用金網の構成線材である市販の軟鋼線材から製造された線材、すなわち、鉄線と比較してバネ性を有し、塑性変形をしにくく、鉄線(引張強度290N/mm〜540N/mm)と比較しても高い引張強度を有している。
線材36の素線引張強度は、目安として800N/mm〜2,000N/mmの範囲であり、好ましくは、1,000N/mm〜2,000N/mmの範囲である。線材36の直径φは、2.0mm〜4.0mmの範囲であり、2.5mm以上のものが好ましい。
線材36には防食処理が施されていることが好ましく、有利な防食処理としては、線材の表面に先ずZn/Alメッキを施し、その上に飽和ポリエステル(PET)の被覆を設ける方法が挙げられる。しかしながら、他の防食処理も適用可能である。
図3(A)に示すように、線材36の図示左右方向の末端部は環状部36aを設ける末端処理が施されており、図1及び図4(B)に示すように、環状部36aには連結部材40が挿通されている。
本実施の形態において、連結部材40は、上記網状体35に用いられるような硬鋼線材から製造された線材をよりあわせてなるワイヤロープである。連結部材40は、使用される網状体35の外周長と同じ長さに切断され、両端をつなぎ合わせて無端の環状ロープとして構成されている。尚、上記両端は、例えば、線材36と同様にして設けた環状部を相互に連結することでつなぎ合わせることができる。また、環状部相互をD字状のシャックルで連結させてもよい。
次に、以上の構成を有する受圧板10の組み立て及び斜面Sへの設置について説明する。
まず、横骨格部材12と縦骨格部材16を互いの切欠き部13a,17bを対向させて十字状に交差配置し、切欠き部13a及び切欠き部17bを、横骨格部材12の下部壁13の下面13aと縦骨格部材16の下部壁17の上面17aが当接するまで嵌め合わせることで、平面視略十字形状の主骨格部20を形成する。
このとき、切欠き部13a,17bが設けられた中央部12a,16aの厚さはそれぞれ1/2Tであるから、主骨格部20の上記嵌合部位の厚さTは、それぞれの骨格部材12,16の中央部12a,16a以外の部位の厚さTに等しい。
次に、上述のとおり、連結部材40が無端化されていない線状の状態で、図3(A)に示す網状体35の図示最上部の網目、図示右側側部の網目を構成する線材36端部の環状部36a、図示最下部の網目、左側側部の網目を構成する線材36端部の環状部36a、と順に網状体35の外周部を挿通させる。最後に、連結部材40の両端部を上記のとおりに結合して無端化し、図1に示すように、外周が連結部材40で縁取られた網状体35が完成する。尚、上記連結部材40を網状体35に挿通させる作業の際、図4(A)に示すように、網状体35の四隅に位置するアイボルト41のリングにも連結部材40が挿通される。
したがって、連結部材40はアイボルト41のリングへの挿通方向にこのリングに対して移動可能となっており、この移動により応力集中をある程度回避可能となっている。しかしながら、アイボルトのリングの前後位置において連結部材40にストッパを取付け、連結部材40のこのリングへの挿通方向への移動を所定範囲に制限する構成とすることも可能である。
次に、網状体35の四隅に位置するアイボルト41を主骨格部20の端部(先端部)に設けられたネジ孔13c,13c,17c及び17cにそれぞれ螺着させてナット42で固定し、主骨格部20の上部から受け台30を配置させることで受圧板10の組み立てが完成する。受け台30は、4個の脚部33の下縁部33bを、主骨格部20を構成する下部壁13,13,17及び17上に当接させるようにして主骨格部20上に配置される。受圧板10は、斜面Sに埋設されたアンカー70に取り付けられる。
斜面Sとしては、例えば、地山を切削してなる法面が挙げられる。斜面Sには、表層G2(風化した不安定層)の表面部から深層G1(岩盤等の安定地層)までアンカー孔72が、アンカー70を挿通する位置に所定間隔(約1.5m〜2.5m)をおいて複数穿設されている(図8参照)。なお、表層G2と深層G1の境界面は、すべり面Bとなる(同図参照)。
アンカー70は、ロックボルトやグラウンドアンカー工法に用いられるグラウンドアンカーが該当する。本実施の形態において、想定されるアンカー力は3t〜10tであることから、ロックボルトをアンカーとして用いる。
アンカー70は、このアンカー孔72に挿入された後に、セメントミルク74が当該アンカー孔72に注入され、アンカー72が斜面Sに打設される。この状態において、アンカー70の基部(図示せず)は深層に固定されている。アンカー70の頭部70aは、図5に示すように、地表に露出せしめられた状態で維持されている。
受圧板10は、その中央の孔部(すなわち、孔部13f、孔部17f及び四角筒部31)にアンカー70の頭部70aを挿通させて斜面S上に配置される。
アンカーの頭部70aには、受圧板10の上部から環状の板部材として構成されたスペーサ43を介して六角ナット45が螺着される。
斜面Sに設置された受圧板10を、図6及び図7に示し、複数の受圧板10を所定間隔で設置した斜面Sの断面図を図8に示す。
図6に示すように、略十字形状の主骨格部20と、主骨格部20の先端部4か所を連結する環状の連結部材40とによって枠体25が構成されており、この枠体25により、すなわち、主骨格部20の先端部4か所が連結部材40により連結されることで、連結部材40内部の矩形の受圧板10の外縁が画定されている。
また、図7に示すように、枠体25の主骨格部20を構成する骨格部材12,16の下部壁13,17の下面13a,17dから下方に突出する突起13e,17eが、枠体25の下面部25aに張設された網状体35の網目35aに挿入されている。
さらに、本実施の形態においては、図8に示すように、所定の幅寸法を有する受圧板10が所定の間隔で斜面Sの全体に配置されて表層G2を深層G1へと押さえつけることで、表層G2のすべり面Bに沿った崩落(いわゆる表層すべり)及び表層Gの中の一部が表層G中から抜け落ちる局部崩落(いわゆる中抜け)が防止される。
したがって、本実施の形態に係る受圧板10によれば、枠体25によって画定された外縁の内部を覆うように枠体25の下面部25aに網状体35が張設されることで、斜面Sが網状体35及び枠体25によって押圧される。したがって、受圧板10外縁の内部全域を枠体25の構成部材によって構成する必要が無いのでそのぶん受圧板10が軽量化されている。
また、多少の起伏がある斜面Sに受圧板10が設置される場合、網状体35下に斜面Sの凸部を配置することで網状体35は斜面Sの起伏形状に追従しつつ弾性変形し、破損することなく面的に斜面Sを押圧することが可能となる。したがって、予め定められた受圧面積を確保することが可能となる。すなわち、斜面S上に多少の起伏がある場合であっても、斜面を均したり、あるいは受圧板10の下にざぶとん材等の不陸吸収部材を配置したりするといった追加の作業を要することなく受圧面積の確保が可能となる。
さらに、網状体35が一般の軟鋼線すなわち、鉄線(一般に、引っ張り強度290〜540N/mmである)に基づく汎用金網とは異なり、800〜2000N/mmの引っ張り強度を有する線材36から構成されている。したがって、枠体25の下面部25aに緊張状態で展設された網状体35は、斜面S表面部だけでなく斜面S表面から数メートルの深さまでの表層すべりをも阻止することができる。
そのうえ、網状体35は、枠体25の内部を覆うように下面部25aに張設された上に、上述の通り網目35a内に挿入された突起13e,17eによって網状体35の緊張力を確実且つ均等に枠体25に伝達することができ、網状体35から斜面へとより均等に荷重を分布させた状態で斜面Sを押圧することができる。
また、無端環状のワイヤロープである連結部材40は網状体35の網目35a及び線材36の末端部の環状部36aに挿通されているのであって、両者は固定されているわけではない。したがって、網状体35に斜面S中の凸部からの大荷重が入力された場合に、網状体35は連結部材40に対して摺動することで荷重が分散される。これにより、連結部材40との交点において網状体35に荷重が集中して破断するという恐れが回避される。
さらに、主骨格部20が2個の棒状部材(横骨格部材12及び縦骨格部材16)の組み立て式のものであるから、施工現場で組み立て可能とした場合には、輸送や保管の段階で場所をとることがなく、効率的である。
なお、本実施の形態においては、枠体25を構成する連結部材40として、網状体35に用いられるような硬鋼線材をよりあわせてなるワイヤロープを用いたが、これに限られるものではない。他の態様を有する連結部材を用いた受圧板の実施の形態を、以下に説明する。
(第2実施の形態)
本発明の第2実施の形態に係る受圧板50を、図9及び図10を参照して説明する。尚、本実施の形態において第1実施の形態と同様の要素には、同一の符号を付しその説明を省略する。図9は本実施の形態に係る受圧板50を示す平面図であり、図10は図9のX−X線断面図である。
本実施の形態においては、受圧板50の枠体25を構成する連結部材が上記第1実施の形態と異なる。すなわち、本実施の形態においては、図9に示すように、連結部材55は、骨格部材12,16同様の剛性を有する平面視ロ字状の板部材であり、連結部材55は、四辺の各中央部において主骨格部20の先端部4か所に(すなわち、主骨格部20の下面(下部壁13,17の下面13d,17d)に)固定されている。これにより、主骨格部20の先端部4か所は、連結部材55によって連結されている。
図10に示すように、連結部材55の下面には、各辺の端から端まで合計9個の突起55aが設けられており、網状体35は、その外周部の網目35aを突起55aに係止させることで、枠体25の下面部25aに張設されている。
したがって、本実施の形態によれば、受圧板を軽量化でき、且つ多少の起伏がある斜面においても予め定められた受圧面積を確保できるという上記第1実施の形態同様の効果に加えて、連結部材55に覆われた面積の増減により、受圧板50による受圧面積を増減調節することが可能となる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、受圧板10の主骨格部20は2個の骨格部材12,16を組み合わせた平面視略十字状の形状としているが、これに限られるものではない。例えば、3個の棒状の骨格部材を組み合わせてなる平面視略「エ」字状又は略「*」字状等、種々の形状をとることが可能である。
さらに、上記実施の形態においては、主骨格部20は2個の骨格部材12,16を組合せたものとしているが、主骨格部を最初から十字形状の一つの部材として形成してもよい。
また、図11は第1実施の形態の受圧板10の連結部材の変形例を示す平面図であり、同図に示すように、第1実施の形態の連結部材40を、第2実施の形態の連結部材55と同様に、所定の剛性を有する板部材(連結部材60)により構成することも可能である。
10、50 受圧板
13e、17e 突起
20 主骨格部
40、55、60 連結部材
25 枠体
35 網状体
35a 網目
36 線材
70 アンカー
S 斜面

Claims (5)

  1. 斜面に埋設されたアンカーに取り付けられて斜面を押圧する受圧板において、
    外縁を画定する枠体と、
    該枠体の内部を覆うように該枠体の下面部に張設され、前記斜面の起伏形状に追従して変形可能な網状体と、
    を有し、
    前記枠体は、略十字形状の主骨格部と、該主骨格部の先端部間を連結する連結部材と、を有し、
    前記連結部材と網状体とが互いに係合されたことを特徴とする受圧板。
  2. 前記網状体は、800〜2000N/mmの引っ張り強度を有する硬鋼線材から製造された線材で構成されていることを特徴とする請求項に記載の受圧板。
  3. 前記網状体の網目の内接円を描いたときの該内接円の直径が、15cm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の受圧板。
  4. 前記枠体の下面部の所定箇所に下方に突出する突起を設けたことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の受圧板。
  5. 前記略十字の主骨格部が、2個の棒状部材を長手方向略中央部で相互に結合させてなる組み立て式の構成を有することを特徴とする請求項に記載の受圧板。
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