JP6678622B2 - ブリの脱血処理方法、脱血ブリの製造方法、マグロの脱血処理方法並びに脱血マグロの製造方法 - Google Patents

ブリの脱血処理方法、脱血ブリの製造方法、マグロの脱血処理方法並びに脱血マグロの製造方法 Download PDF

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本発明は、ブリの脱血処理方法、脱血ブリの製造方法、マグロの脱血処理方法並びに脱血マグロの製造方法に関するものである。
日本の海面魚類養殖生産量の8割以上をブリ類とマダイが占める。平成22年の魚種別生産量(魚類養殖に占める割合)は、農林統計より多い順にブリ類が139千トン(55.7%)、マダイが68千トン(27.5%)、ギンザケが15千トン(6.0%)である。生産額(魚類養殖に占める割合)は、多い順にブリ類が1,176億円(53.8%)、マダイが506億円(23.1%)、ギンザケが65億円(3.0%)である。
養殖ブリ類とはブリ、カンパチ、ヒラマサ(産業統計上少ない)の総称であり、ブリとヒラマサは日本近海で流れ藻と一緒に来遊する天然種苗を捕獲し、養殖が開始されるのに対し、カンパチはその種苗の大半は産卵場所がベトナムと中国海南島近辺であり中国よりの輸入種苗である事に違いがある。即ち、ブリは温帯魚であるのに対し、カンパチは熱帯魚であり、カンパチにヤケ肉を生ずる話は聞かない。
養殖ブリは日本で最大の養殖魚(10万トン)であり、その遊泳範囲は他の回遊魚と異なり、かなりの魚群は日本近海を回遊する事が知られ、また、産卵場所は西日本近海に限定されている所謂、国魚である。従って、今後通年したブリの取り扱いについて問題点を列挙し、可能な限り生鮮度の長期保持の解決策を講ずる事が国内は勿論の事、海外輸出を進める場合競合する魚種が存在しない事から、近年の6次化産業に向け日本より海外に販売を増大させる事は国策にも叶い、ブリは一次産業の活性化に繋がる重要な魚種といえる。
ブリの特性として、天然物でも養殖物でも肉質の充実した旬の時期は、初冬から春先(11月〜4月)までであり、その一定の期間に出荷消費が集中する。春先以降天然魚は自然環境よりの摂取餌より取り込まれた寄生虫が散在し、産卵時の終了以降に成長する事から、切り身にした場合に線虫やブリ糸状虫が目立つ様になり、消費者から生食材(刺身)として敬遠される。寄生虫感染の恐れの無い配合飼料を使用した養殖魚の場合でも、春先(5〜7月)の産卵期は急激に魚肉組成に変化を起こし脂質分が減少し水分増加が見られ水っぽい魚体になる事から、日本のブリは冬場を中心にその消費が定着していた。
最近になり、出荷時期が旬の時期に限定される事から、官民一体で自然の産卵時期をずらせた秋期の人工産卵により通年販売出来る体制が整えられつつある。この技術により冬期の旬(11月〜4月)の時期に夏期出荷(7月〜10月)が加わり、産卵後の一時期を除きほぼ通年した生鮮魚の供給出荷が可能となった。
即ち、上述の通り、ブリの旬の時期は11月〜3(4)月とされてきたが、近年になり日照時間と飼育水温度のコントロール、誘導ホルモン等を駆使した新採苗技術を利用した秋季に産卵させる技術がおこなわれるようになり、給餌飼料の改良等により夏場に市場サイズに合わせた夏期向け出荷養殖が多くなってきた。
ブリは、昭和38年頃より養殖が開始され、昭和45年に天然漁獲を上回る生産量となり、昭和56年度に16万トンに達し、これを現在まで維持しているが、出荷時期が冬期に限られている事から、夏期販売の為に一部は熱帯魚であるカンパチ養殖に置き換わっている。ブリの冷凍保管は近年になり出願人らの出願(特許文献1)によって加工品として血合色調の保持は確立されて増加しているものの、生鮮冷凍処理では失敗例が多く続き、業界では無処理ブリの冷凍は不可能であるとの認識が定着している事も理由にあり、未だ国内では広まっていない。従って、流通消費を拡大する手段として現状の生鮮品の流通形態に合致した夏ブリの安定供給が必要と考える。また、今後増加すると予想される夏ブリの鮮魚出荷におけるヤケ肉問題は出願時点でも未解決なテーマである。
大凡ブリのヤケ肉現象のメカニズムは各研究機関等で解明されつつあるが、その対策に決定的なものはなく画一化された対応に留まっている。
ここで、ヤケ肉とは、夏場7〜8月の高水温期に養殖ブリ・マグロを出荷した際、氷蔵中にも関わらず、保存初期に血合い肉、白身中心肉が短時間で白濁し豆腐状となることを言う。ヤケ肉となった組織は軟弱化して異臭により商品価値は全く無くなる。このような現象は、ブリ・マグロでは通称「ヤケ肉」と呼ばれ、商品価値が無くなる原因となっているが、そのメカニズムについては明瞭に解っていない。仮説ではあるがWatsonらはヤケの原因を高温、低pHだけでは説明しきれないとし、ヤケ発生メカニズムについて以下の様な仮説を唱えている(非特許文献1)。
即ち、「過度な運動で酸素とATPが不足した組織内では細胞膜の代謝崩壊が起こり細胞内にCa2+の増加により、酵素の一種CANP(Calcium-activated neutral protease)が活性化されることでヤケドが進行する。また、漁獲時のストレスは、アドレナリン等の神経伝達物質を分泌させCANPを活性化させている」としている。
ブリ(seriola quinqueradiata)はブリ類(ブリ、カンパチ、ヒラマサ)の中で血液量が最も多く、通常の血抜き処理では完全に抜け切る事は困難であり、血抜きの程度が刺身にした場合の白身の色調に反映される。この魚肉内に残った血液は独特の風味(血生臭さ,鉄味)を持ち嗜好性が反映される所であるが、一般的には好まれない傾向が強く、その後の肉質の変化速度に影響を及ぼす事は従前より知られている所である。ここでは死後の魚肉について述べる事からHbとMbの性質は同一視して説明する。
非特許文献2には、血抜き無し、血抜き後の普通筋中(Hb+Mb)中のMbの割合(%)が示されているが、変動幅が大きく全血の算定が難しく多くの魚種(47〜100%)平均で約80%〜90%であリ、馬、イルカ、クジラでは91%以上との大まかな記載がある。
色素蛋白質(Hb,Mb)の色調はその状態で還元型(R-Hb,Mb暗赤色)、酸素化型(O2-Hb,Mb鮮紅色)であるが、その後メト化(H2O−Hb,Mb褐変色)となる。生体中では炭酸還元酵素群によりメト化したHbは還元型Hbに戻るが、死後の炭酸還元酵素の不活化によりHbはそのままメト化の状態となる。その後、メト化及びポルフィリン崩壊の進行とともに変敗促進物質(酵素の活性に不可欠な非タンパク質性の物質は、通常タンパク質部分と共有結合などで強く結合しており、透析などで除去できないものであり、脂質、糖、金属イオン、リン酸、補酵素、色素などがある。)により同時に多種の異臭気体成分を発する様になる。
例えば常温の食宴の席で並べられたブリの刺身料理は1〜2時間程度で色調が変化し独特の生臭さや、粘りを生じ食するに不都合となる。コリコリ感のある生鮮度の高いものではまだ時間の延長は可能であろうが、産地から一昼夜かけ食膳に並んだブリの刺身は、このように刺身の盛り合わせとして賞味時間は極めて短いものである。この現象は生鮮魚(ラウンド)の場合死後短時間で魚肉はほぼ体内酸素を消費し切って無酸素状態である事から赤身血合部分は還元型(R-Hb,Mb)状態(pO2は3mmHg以下)と変化し暗赤色を呈して安定する。しかし解体後空気接触する事により酸素と配位結合しブルーミング(発色現象)を生じ視覚的に好ましい鮮紅色を呈する様になる。そして更に食膳という常温下で変化は促進され短時間で褐変化(メト化)を生ずるとともに魚体内に残留するHb,Mbもメト化が進み異臭(血生臭、生臭)及び独特の粘り気を感ずる原因となる。
従って、ブリは、大人数の食膳を事前に準備時間を要する食材としては充分温度と時間を勘案して取り扱われる魚種である。これはHb,Mbのメト化及び変化誘導に伴い各種の異臭気体成分を発する事が原因であり、特に夏場のブリはこれらの変化が激しい。
高水温時にブリに生ずる問題として以下の点がある。
通常飼育海水域(10〜25℃)の溶存酸素量(DO)は8.75〜6.59mg/Lであるが、何らかの状況変化により2mg/Lでブリは狂奔し横転が始まり、1.7mg/Lで死亡する個体が出始める。例えば、高水温時(27〜29℃)で溶存酸素量が低下(6.39〜6.19mg/L)する中でたとえ海上設置の網生簀であっても取上げのため網を絞った高密度環境下では興奮状態となり大量の酸素消費が進み、網生け簀内において環境水の溶存酸素が比較的高い濃度で斃死を起こす事故が多々見受けられ、ヤケ肉が発生し易くなる。
即ち、高温海水中では魚体の代謝準位(α)(エネルギー転換からから求めたブリの酸素要求量)が上昇しており、取上げ時の興奮によりブリの酸素要求量が急激に増大し、高温時の海水溶存酸素量(DO)の低下と相乗し酸素収支のバランス範囲が低温時に比べ狭くなり魚体内への酸素補給が間に合わなくなる。その結果魚体内では急激に嫌気状態となる事から通常とは異なる速度でATPのエネルキー原資であるクレアチン燐酸(Cr-P)が消費され、やがてクレアチン燐酸の消耗後ATPの生成は抑制される。生体内が嫌気状態に陥るとグルコースが血液から細胞内に取り込まれグルコース分解によりATPの補充は続けられるが、ピルビン酸の生成及び、乳酸の蓄積化が急速に促進され、pH低下により特定のプロテアーゼ(蛋白分解酵素)の活性が異常に促進され、高温時特有の不可逆のヤケ肉を生じ商品価値を失する事となる。即ち、ヤケ肉部位は、切り身にすると水っぽく、極端に硬度が低下して白濁した(豆腐状となった)灰色かかった色となり、食味は極めて悪くなり、ヤケ肉が生じたブリに商品価値は全く無くなる。このヤケ肉は外観では判別出来ず、流通を経て切り身にしないと判断出来ない事から、今後更に夏ブリの取り扱いが増加すれば深刻な問題になる。
特開2010−104356号公報
Watson C, Bourke RE, and Brill RW, Acomprehensive theory on the etiology of burnt fish. Bull 1988;86:367-372. 白身の魚と赤身の魚 3色素蛋白質 橋本周久 水産学シリーズ13
本発明者等は、上述のような現状に鑑み、種々検討したところ、以下の知見を得て本発明を完成した。
即ち、コマーシャルサイズのブリは他の養殖魚種(真鯛、トラフグ)と比較し、約2.5倍の酸素消費量であり代謝準位(α)は平常状態飼育水温時(10℃)に平静状態では(α)100であるのに対し、29℃時には(α)420と大凡4倍変化するのに対し興奮時の代謝準位は従来の出荷時期に照らしても10℃〜25℃迄の資料しかない事から近似線(外挿線)を加え29℃の興奮時の代謝準位を算定した結果大凡900〜1000(α)以上の数値となり高温29℃近辺の興奮時の酸素要求量は10℃の平常飼育時に比べ10倍高い酸素要求量である事から、魚体はエネルギー獲得に必要な酸素収支面で大きな支障が起きているものと推考した(図1)。
また、通常冬期に出荷されるブリには殆どヤケ肉は存在しないにもかかわらず、夏ブリ(7〜8月)のみにヤケ肉が発生する事から温度の違いと夏期のブリの肉質の違いに着目した。発明者等は過去に数ヶ年に渡りブリの締め時の頭部肩肉のpHを測定し、魚の活魚輸送方法(クーラー付)、及び輸送密度について計測した経緯から冬場の同一時期であっても輸送時間、輸送温度、輸送密度によりpH値に差を生じ、取り扱いが魚体にとってストレッサーとなり活魚の状態ですでにpHが低下する事、魚肉の季節変化として夏期よりも冬期の方が加工処理後ではpHはより低下する傾向があり、季節変化による肉組成(含有グルコース量)の違いにより乳酸の生成量がpHの低下に由来すると推測した。
更に、一般諸説では安静時の魚肉pHは7.4前後と云われているが、現場での活魚輸送直後では即殺後6.8〜6.6、苦悶した魚肉では6.4以下程度まで低下した。その後、対策として一昼夜の安楽状態を維持した後、取り上げ場所の酸素濃度を飽和状態で即殺処理を行った結果、pHは7以上まで上昇した。
即ち、安静している魚類をたも網で掬い上げる瞬間にストレッサーになると推測した。取り上げ時のバタツキによる魚体内で変化を生ずるのに要する時間は数秒から数十秒の時間で魚体内では大きな生理的変化を生じている。従って、活魚輸送直後や冬場の天然ブリの旋網による疲労魚はヤケ肉までは達していないものの流通販売時点でストレスを受けた魚体は、前述の理由でpH6以下迄低下し身持ちが悪く、スーパーでトレーに切り身販売すると保水力が低下しMbの移動(赤身部色素の白身部へのにじみ)、ドリップが流出し異臭を感ずる様になる。
また、現場では冷却水中に移動し代謝が低下した段階で、すみやかに即殺、延髄処理を行う事が推奨されているが、夏場屋外飼育の海上網生簀からの出荷では環境水のコントロールは不可能であり、屋内の温度調節可能な室内設置半流水の大型畜養水槽の水温を夏期に一昼夜コントロールする事は極めて大きな負担である。
従って、現場では高温時の取扱いとしてしっかり餌止めを行い代謝準位(α)が充分低下した状態で池上げから〆工程(血抜き)まで迅速に取扱い、早期に冷却する事程度しか対策がとれないのが実情であろう。しかし、これらの手法は夏場に特別行われているものではなく温度の低下した冬場の出荷時も同様の事が行われている事から夏場の高水温時に特化した取り扱い方法が求められている。
また、脱血処理の効果については各発表資料、成書等でその重要性は紹介されているが、具体的な確認手段が不明なためその対策と効果が明確となっていない。魚体内部の各器官は多数の酵素群によって生命体が維持されているが、現場で出来る技術としては即殺及び脱血により血液由来の広義のプロテアーゼ及び変敗物質の除去である。畜産では、この工程は屠殺法により法令化されているが、魚類ではこれらの法令は魚種や漁獲場所が大きく異なる事から、法令化には至っていない。
食用魚類では通常、
野〆----自然苦悶死(無脱血)
木槌等による撲殺----脳震盪
手鉤による刺殺による延髄破壊及び尾部大動脈切断による自然放血
出血を促進(活〆法)----延髄部を背動脈及び脊柱を切断し出血促進
鰓切り出血----水槽内に鰓を切断し心臓圧出血(失血症とする。)
灌流処理----動脈系に等張水生理水を注入し血液を導出
等があるが、無脱血処理から高レベル脱血処理まで周知である。しかし、いずれも脱血の方法が述べられているに過ぎず、その効果である脱血の程度の確認方法は確立していない。
魚類の保存性の向上についてみれば、死後変化の要因子となる血液由来の各種プロテアーゼ(蛋白質分解酵素群)を理想的には完全に排出し魚体温度の冷却をすみやかに出来ればその目的は達成出来るが、その手段は脱血処理が唯一の手段である。従って、脱血の程度を測定出来る方法の確立によりこれらの〆方法の改善や品質保持期間の延長等が進む事が期待される。
本発明は、主要養殖魚であるブリ(ハマチ)等について冬期は勿論の事、夏期の水温の高い時期に出荷する時に発生するヤケ肉を防止し、また、その原因物質である血液の除去のレベルを間接的に数値化し実用的に実施可能な品質管理手法を用いたブリの脱血処理方法、脱血ブリの製造方法、マグロの脱血処理方法並びに脱血マグロの製造方法を提供することを目的としている。
本発明の要旨を説明する。
生簀内若しくは水槽内の飽和酸素濃度以下の養生海水域で養生したブリを、この養生海水域から前記生簀内若しくは水槽内に前記養生海水域とは区画して設けた過飽和酸素海水域まで取り上げることなく水中を移動させた後、前記過飽和酸素海水域で取り上げて脱血処理を施すことを特徴とするブリの脱血処理方法に係るものである。
また、前記脱血処理は、ブリの脊髄を破壊した直後に、冷却した灌流液をブリの血管に導入して血液と置換することで施すことを特徴とする請求項1記載のブリの脱血処理方法に係るものである。
また、前記灌流液は、常圧以上で平均孔径10μm以下のフィルターを通した酸素過飽和液体とすることを特徴とする請求項記載のブリの脱血処理方法に係るものである。
また、前記灌流液は電解水中の電解陰極水であることを特徴とする請求項記載のブリの脱血処理方法に係るものである。
また、前記灌流液にはNaHCOが含まれていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のブリの脱血処理方法に係るものである。
また、請求項1〜のいずれか1項に記載のブリの脱血処理方法を用いて脱血ブリを製造することを特徴とする脱血ブリの製造方法に係るものである。
また、生簀内若しくは水槽内の飽和酸素濃度以下の養生海水域で養生したマグロを、この養生海水域から前記生簀内若しくは水槽内に前記養生海水域とは区画して設けた過飽和酸素海水域まで取り上げることなく水中を移動させた後、前記過飽和酸素海水域で取り上げて脱血処理を施すことを特徴とするマグロの脱血処理方法に係るものである。
また、前記脱血処理は、マグロの脊髄を破壊した直後に、冷却した灌流液をマグロの血管に導入して血液と置換することで施すことを特徴とする請求項記載のマグロの脱血処理方法に係るものである。
また、前記灌流液は、常圧以上で平均孔径10μm以下のフィルターを通した酸素過飽和液体とすることを特徴とする請求項記載のマグロの脱血処理方法に係るものである。
また、前記灌流液は電解水中の電解陰極水であることを特徴とする請求項記載のマグロの脱血処理方法に係るものである。
また、前記灌流液にはNaHCOが含まれていることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のマグロの脱血処理方法に係るものである。
また、請求項7〜11のいずれか1項に記載のマグロの脱血処理方法を用いて脱血マグロを製造することを特徴とする脱血マグロの製造方法に係るものである。
本発明は上述のようにするから、主要養殖魚であるブリ(ハマチ)等について冬期は勿論の事、夏期の水温の高い時期に出荷する時に発生するヤケ肉を防止し、また、その原因物質である血液の除去のレベルを間接的に数値化し実用的に実施可能な品質管理手法を用いたブリの脱血処理方法、脱血ブリの製造方法、マグロの脱血処理方法並びに脱血マグロの製造方法となる。
酸素消費量に及ぼす魚の状態と水温の影響に関するグラフである。 測定部位を示す概略説明図である。 試験結果を示す表及びグラフである。 試験結果を示す表及びグラフである。 試験結果を示す表及びグラフである。 試験結果を示す表である。 試験結果を示すグラフである。 野〆ブリと灌流処理ブリの比較写真である。 試験結果を示すグラフである。 食味試験の結果をまとめた表である。
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
生簀内若しくは水槽内の飽和酸素濃度以下の養生海水域で養生したブリあるいはマグロを、この養生海水域から前記生簀内若しくは水槽内に前記養生海水域とは区画して設けた過飽和酸素海水域まで取り上げることなく水中を移動させた後、前記過飽和酸素海水域で取り上げて脱血工程及び脱血確認工程を行う。この脱血確認工程では、例えば灌流液をブリの血管に導入して血液と置換する脱血処理を施し、ブリの背身上部若しくは腹身上部の白身肉のL*a*b*表色系におけるL*値が50以上であるか否かを確認する。
これにより、画像解析等により簡単に灌流液による脱血が十分か否かを確認でき、夏期でもヤケ肉の発生を防止でき、夏期に安定して(養殖)ブリを供給することが可能となる。なお、本発明は、通常の出荷時期である冬期のブリにも適用可能である。
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
本実施例は、灌流液をブリの血管に導入して血液と置換する脱血工程と、この脱血工程後のブリの背身上部若しくは腹身上部の白身肉のL*a*b*表色系におけるL*値を測定し、このL*値が50以上であるか否かによって前記脱血工程における脱血が十分か否かを確認する脱血確認工程とを含むブリの脱血処理方法である。
また、脱血処理を施す前に、ブリは生簀(水槽)等に貯めた酸素が6〜8mg/L程度溶解した飽和酸素濃度以下の海水(具体的には特に処理していない一般的な海水であり、酸素濃度は75〜100%)中で養生しておく。また、生簀(水槽)等には、飽和酸素濃度以下の海水域と区画され過飽和酸素海水からなる取り上げ水域を設ける。取り上げ水域内の海水は、海水に酸素発生器(PSA)で93%濃度の酸素を溶解させることで酸素が30mg/L以上溶解した過飽和酸素海水とする。即ち、生簀(水槽)等を、飽和酸素濃度以下の海水域である養生水域と過飽和酸素海水域である取り上げ水域とに区画する(例えば広い水槽中にズック製水槽等外部の海水が混入しない設備を用いて取り上げ水域を区画形成する。)。そして、養生水域において一定時間(24時間程度)養生したブリを取り上げる際には、取り上げ水域に移動させた後、取り上げ水域で取り上げる。
具体的には、養殖時の海水は上述のように酸素濃度は75〜100%であるが、従来の出荷時の網生簀では網が絞られるため、魚が興奮状態となり酸素消費量が増大し、網生簀内の酸素濃度は部分的に50%以下まで大きく低下する。
そのため、少しの時間のズレで魚体は酸素欠乏になり、その後の品質に大きく影響する(高温時ではヤケやへい死が起きる。)。
ブリの場合、現状の養殖現場の出荷法は海上で、活魚運搬船(酸素補給は船の進行に合わせ、船体の取り込み口から補給するが、船が停船している積み込み時、取り出し時には酸素ボンベやエアーブロア等によって酸素供給を行う。)又は養殖生簀をゆっくり曳航(3km/h)し、活魚船や網生簀から海水毎クレーンタモ網で作業台に取り上げ延髄切断(活締め処理)を行い、塩氷水中で冷却後、計量、梱包、出荷の工程を経ているが、例えば搬入ストレスを解消するため陸上水槽に1晩養生し、この陸上水槽中で区画された純酸素を供給し過飽和酸素海水域とした取り上げ水域中から取り出し加工処理を行うのが好ましい。
マグロについても同様であるが、マグロはブリよりもデリケートで網慣れするまでは僅かな刺激で暴走し網に衝突し傷が原因で死亡する。またブリは運搬船が使用できるが、マグロの場合は現場の養殖網生簀で活締め処理を行う。
マグロの輸送は、幼魚であれば幼魚時(ヨコワ)用網生簀をそのままゆっくり曳航(1km/h以下)できるが、成魚になった場合、網生簀が大型深底のため移動は困難である。そのため、例えば出荷時の網生簀に別途区画された取り上げ水域を設け、この部分を過飽和酸素海水域とする。
本実施例においては、生簀等から取り上げたブリは、脊髄を破壊した直後に(5分以上放置せず)、直ちに灌流液をブリの血管に導入(圧入)して血液と置換する(血液を導出する)脱血処理を施す。灌流処理は心臓組織が破裂しない程度の流量(魚のサイズによるが概ね0.25〜0.3L/min・kg)で灌流液を血管に導入して行う。
具体的には、エアドリルで頭部より脳室のみを穿牙し、その穿孔部よりステンレス棒を尾部まで挿入し延髄、脊髄を破壊する(これにより血管系は傷をつけず全身の血管を閉鎖回路とすることができる。)。その後、心臓部より全身に灌流液を圧入すると、毛細血管を拡張しながら内臓部の脆弱組織(肝臓、腎臓消化器官等)から灌流液が導出される。
また、灌流液は電解水中の電解陰極水とする。また、灌流液として酸素過飽和液体(過飽和酸素溶解液)を常圧以上で平均孔径10μm以下のフィルターを通した後、使用しても良い。なお、電解陰極水等にNaHCOを含有させたものを用いても良い。また、灌流液は20℃以下に冷却したものを用いる(海水温より8℃〜10℃程度低い温度。例えば海水温より9℃低い温度。)。
また、例えば、灌流液として、灌流処理初期(血液がまだ大分残存している状態、灌流処理開始から1〜2分)には前記酸素過飽和液体をフィルターに通したものを使用し、その後(血液がある程度導出された後)は前記電解陰極水を使用することもできる。
以上の方法により、脱血された脱血ブリを製造し、これを冷蔵し、そのまま(鮮魚のまま)流通させるか、ブリのチルド加工品若しくはブリの冷凍加工品に加工して流通させる。
また、マグロについても、上述のブリに対する養生、脱血処理等と同様の処理を行うことで、ヤケ肉を防止できる。
以上の方法を採用した具体的な理由について以下に説明する。
鰓呼吸が遮断され、短時間で体内が嫌気状態に陥ると活動エネルギーであるATPは血液中から細胞内に取り込まれたグルコース分解によりATPは供給されるが、一方では嫌気環境下に於いてグルコースはピルビン酸を経て乳酸蓄積が進む。その前駆体であるピルビン酸は乳酸よりも細胞膜透過性が低いので細胞中に残存し、それが運動停止後も長時間に渡り乳酸の生成源と成りうる事を示している。これらのpHの低下により、魚肉内に存在する各種プロテアーゼの活性化が示されているが、近年の公開論文中に血液中の各種プロテアーゼについて論じており、特に注視すべきは、生鮮度(コリコリ感)の指標であるコラーゲン(細胞外マトリックス)が、生鮮度(生きの良さ)と大きく関係している点である。カテプシン群は、至適pH、阻害剤との相互作用、基質特異性及び分子量の違いから、それぞれ分類されている。その中でも強いエンドプロテアーゼ活性を有するのはカテプシンL(EC 3.4.22.15)である。生体内では同酵素は細胞内へのグルコースの取り込み調整機能として作用するが、死後は蛋白質分解酵素として最も重要であると考えられている。特に魚類においては、畜肉に比べてかなりの早さで筋蛋白質が自己消化することが知られており、これらのリソゾーマルシステインプロテアーゼの働きや発現調節機構等は哺乳動物と異なっているものと思われる。更に作用するプロテアーゼとして、コラゲナーゼ、並びにゼラチン分解酵素(G1,G2,G3,G4等)が挙げられる。コラーゲン自体は安定した蛋白質であるがカテプシンL等のプロテアーゼも含んでいる事から、魚肉体内から完全分離は不可能である。
コラーゲンは加熱処理する事によりゼラチンに変成することは周知であり、温度、pH等の条件が揃えばゼラチン構造となる。この魚肉のゼラチン変性温度は低く構造体は一般コラーゲン組織の熱変成により発生するが、魚類筋肉の軟弱化と大きく関係があると思われる。牛肉の霜降り肉は安定しているが、ブリやマグロの霜降り肉は時間経過とともに消失する事実は、目視上脂質とコラーゲン組織の変化を見ている事になるかもしれないが詳細は不明である。血液はバクテリアによる腐敗の開始前から酵素群の活性過程で特異の血生臭い、生臭い等の気体成分(臭気)を発生する事が知られ、これらの主因は血液中のプロテアーゼ(カテプシンL)の活性化が主因と考えられ更にコラゲナーゼ及びゼラチン分解酵素により筋肉の軟弱化が進み臭気も発生すると考えられる。
ヤケ肉の発生防止を主題とした場合、キハダマグロを例に取ると、赤道下の高温水域の巻き網漁法で苦悶死したマグロの断面を観察したところ、時間経過とともに脊柱近辺の血合い肉からヤケ肉が発生し、血合い部を超えて骨格筋にヤケ肉が広がって行く事を確認している。見地としては、時間の経過により先ず変化を起こすのは色調の変化ではなく、魚肉表面に虹色の皮膜を生ずる様になる。ヤケ肉の判断は古くから生産地市場ではストロー状の刺し棒を背鰭より脊柱に挿入し脊柱近辺の筋肉組織を採取し,ヤケ肉の判断を行っている。
市販のマグロの表面を見ると虹色膜を発生している場合があり、業者間では「レインボウ」といわれ乳酸を含む漏出液膜である。食する時にやや酸っぱみを感ずることもあるが、乳酸生成によりpH6以下になると保水力が急激に減少しドリップが流出し、水っぽい事から良品質とは評価されない。産地市場ではpH6.3以上は「SA」、5.9〜6.2は「A」及び5.8以下を「B」として取引される所も有る。これはマグロが大量にグルコースを含有する為に、pHの変動が大きい事から行われる品質の確認方法である。
また、近年漁獲高が増加傾向にある巻き網漁法で漁獲された天然ブリの切り身を見るとこの「レインボウ」が見られる場合がある。ヤケ肉の場合は更にこれらの状態が進んだものと考えられ、ブリのヤケ肉、マグロのヤケ肉等原因は同一のものとした場合、原因はエネルギー代謝の異常状態(ATP、グルコースの分解、各種蛋白質分解酵素群)であり、自然生体内では発生しない変化が高体温時において魚体の興奮とともに急激に起きている事は容易に推測出来る。従来の文献等にもカテプシンL,B,E,Dが魚肉変化促進として述べられていたが、その活性度から死後の乳酸蓄積により弱酸性化で活性化が進むカテプシンLが最も変成を引き起こす事は知られている。
夏期ブリの品質劣化の進行は肉質の季節性、高温時の興奮状態、溶存酸素量の減少等の要因によりATPの急激な脱リン酸によるプロトンの生成によるpHの低下、同時に進む体内の酸素不足により生ずる嫌気状態におけるグルコースの急速分解によるピルビン酸への移行と貯留、その後細胞膜から乳酸の流出生成によりpHの弱酸性化による。
本発明者等は、蛋白質分解酵素の活性化により、コラーゲン組織の急速な崩壊と高温のため、一部ゼラチンに変化するが更にゼラチン分解酵素が作用し、魚肉の軟弱化変成を促進し不可逆なヤケ肉を生ずるとの可能性を示していると仮定した。
ブリヤケ肉を観察すると本来血抜き後でも白身部位に残留する色素蛋白質であるHbの赤色が全く消失して豆腐状の色調及び急激な軟化を生ずる事を考察した場合、赤色色素であるHbを大量に含む赤血球が消失したのではなく、異常なpHや酵素反応によりHbが変性し、ポルフィリン環の遊離及び酸化が促進され黄色及び透明化した事から異常な白色を呈するものと考えた。従って、ヤケ肉状態では酵素活性が続き、その範囲は強く活性化された酵素群により体液、血液を介して拡大する。
従って、加工処理後白身の色調変化は、血液の色調変化と併せて変化する事から、灌流処理区後脱血された白身色調と血液の残留している色調の明るさを示すL*値は時間経過にあわせほぼ賞味時間内(大凡15時間)は僅か低下するのに対し、一般血抜きで血液が残留している場合、処理後複雑に2〜6時間程度上昇し、その後低下に転ずるが、L*値は最大で<50である。しかしヤケ肉が発生した場合、〆直後L*値は40〜45となり、2〜6時間では豆腐色となりL*値は60を超える。
高温時の取り扱い処理法として、海上高温水域内で現実に実行出来る項目を列挙すると以下の通りである。前提条件として夏期の高水温度期(28〜29℃)であっても、摂食量は減少するものの正常に活動する事から、安静時であれば代謝系は適正範囲内であるが、取り上げ時の興奮により体内で異常代謝状態に陥るのではないかと推定した。従って、海上作業で困難な水温を低下させる事を除外し、その対策は下記の条件を満たす事となる。
1)魚体の(α)が最大となり興奮する取り上げ高温海水域を部分的に区画し純酸素の微
細泡海水とし過飽和酸素水濃度状態とする。
2)取り上げ後は最短の時間で脊髄破壊処理し仮死状態(不動状態)にする。
3)すみやかに海水温より低温(度差9℃程度)の過飽和酸素溶解冷却灌流液にてヤケ
の発生部分の毛細血管を集中して冷却し同時に脱血する。
4)灌流処理以降に細胞外への滲出乳酸の処理のため、陰極電解水、pH調整剤(NaH
CO)を使用してpHの低下を抑制する。
5)処理の確認としてブリ背身(上部)及び腹身(上部)の白身肉で断頭部分から大凡5cm
前後の赤身肉(Mb)を含まない部分(図2)のL*a*b*値を測定し、脱血の程度をL*値とし
て管理基準化する。
6)マグロについては全身赤身魚(Hb,Mb)である事から、ブリの様に単純にL*値のみで
は判断できない。魚体重量、及び毎分灌流液量を勘案すれば、灌流液量で間接的な脱
血率は換算出来と考えるが、天然マグロの場合、キハダ、メバチ、クロマグロ、イン
ドマグロ等と種類が有る事から個々に、個体差も含め検討しなければならない。
以下、ブリの具体的な脱血度の求め方について述べる。
本実施例では実用面を含め、所定時間間隔で灌流導出液中のHbを分光測定し、吸収帯(ABS)の減少度を確定し毛細血管が散在する魚肉の白身肉(赤身肉Mbを含まない)部位の色差度(L*a*b*)中の(L*値)との相関表を作成し、脱血の程度を換算するものである。
・分光計によるHbの特定と現場における測定法の選択
赤血球は魚種毎に吸光帯に僅差があるがMbの第6配位座に配位子が配位結合している魚類、ほ乳類とも新鮮な状態では536〜540nm及び568〜582nmの2バンドのピークを形成する事が知られている。また、配位子が離脱した還元型(R-Hb)の場合は中間帯555〜557nmに1バンドのピークになる事が知られている。しかし、時間経過とともにこのバンドは体外ではHb,Mb共に不可逆な変化を示し、メト化が進行し同様に色調も変化する。時間が経過するとHbはMbの4畳体で中心核はFe++でありメト化(褐変化)を起こすとFe+++となる事が知られている(配位子はH2Oとなる。)。新鮮なHb,Mbは配位子を放出し還元型Mbになると2バンドの中間にピークが1つになることから、Mb,Hbの配位子の有無に関わらず配位状態は把握出来る。既知のHb,Mbの配位子はO2,CO,NO,CN,H2S,等)但しH2Sは緑色の別系統色になる。
魚肉のHbの存在は魚種により異なる事からここではブリについて灌流導出液の吸光度(ABS)のピーク波長を基準とした。
Hb,Mbの判別はHPLC(高速液体クロマトグラフィ)では時間軸に差を生じ分離出来るが、簡易な分光計では同じ吸収バンドである事から、現場で多数の品質管理にはMbと重畳しない為にMb色素蛋白を含まない白身肉に限定し、直接又は間接的画像処理で色差計によりL*a*b*値を測定し、(ABS)値と対比出来る様にすれば、迅速に脱血の程度が把握できる。
本件ではくん液処理の場合も含む事から、配位する分子は酸素だけではないため、従来法とした。
・脱血の程度を数値化する意義とその範囲
ほ乳類、魚肉中の動静脈及び毛細血管を含む全血を見積もる事は、生理水による灌流法(direct method)、色素(infusion method)、一酸化炭素(inhalation method)、アイソトープ法(radioisotope method)等の方法は存在するが、完全に全血採取する方法は未だ確立されていない。灌流法(direct method)以外の方法は特定マーカーの魚体内希釈度により全血量を推算する手法である。灌流実験として血液凝固阻止剤を含む生理水による灌流法の場合には魚体重の10倍〜30倍の灌流液により全血を回収する。また、処理部位はシリンジで鰓下部心室膜を穿牙し心臓球より注入する手法となっている事から、処理時間は長時間を要すると考えられる。血液量は魚種によって大きく異なるが大凡魚体中の1/20〜1/30と言われている。
今回の灌流法による導出血液測定の目的は、血液中のプロテアーゼ、細胞組織から放出された乳酸等の老廃物を実用可能な範囲で排出し、魚肉の品質保持、保存性の有効性が確認達成出来る範囲が前提となる。従って、前述の全血液量測定法と灌流処理による全血導出量とは意味を異にする。
・測定器具類
温度測定器
体表測温:レーザーポインター付赤外線測温器 Raytek-minTempFS
魚肉中心測温及び腹腔内温度:刺し棒型温度計 DRETEC
分光計:SIMADZU UV1240mini
光学顕微鏡:OLIMPUS BH-2
色差計:MINOLUTA CR-13
・事前の血液成分を指標とした脱血指標について
血液の成分としては血漿(55〜60%、内訳として水分90,蛋白質8,脂質1,糖類0.1その他0.9),血球(40〜45%、内訳として赤血球96,白血球3,血小板1)であり、分光測定はあらかじめ、別途に導出くん液灌流血液を採取し、導出初期原液および希釈液(血液濃度の高い初期導出液はクエン酸Na液で10倍希釈し測定値を10倍とした)を190〜1100nmまであらかじめ分光計でスペクトルを計測した結果、主ピークが536,569,418nmでありは配位子が結合している赤血球Hbバンドは536,569nmである事を確認し、更に60分間灌流導出液の吸光度(ABS)を測定した結果、赤血球の存在を示す536,569nmのピークは認められなかった事から、実用的な灌流処理条件を模索した結果、大凡10分以内で、赤血球の存在は60分処理と比較し些少となる事から10分処理を基準とした。更に、同時間処理した処理魚の背身上部,腹身上部白身肉を10倍蒸留水希釈後ホモジナイズし10μmフィルター濾過し、分光計で測定し、いずれも血液由来の吸収バンドが存在しなかった。
・脱血度合い
脱血の程度を数値化出来れば、品質管理面で有効な管理基準となりうる事から、新たな用語として脱血度を想定した。灌流処理により測定出来る濃度迄灌流処理を定間隔で導出液濃度を分光計により測定し、初期濃度T1以降1分後毎をT2,T3,T4〜T10…T60ステージを測定し赤血球の分光計により吸収バンド(536,569nm)が検知できない段階Tn迄測定し、(T1+T2+T3+…Tn)までの累計を全血指数(W)とし、各ステージ迄の吸収度(ABS)の積算値を全血指数(W)で除すことにより脱血度合いを脱血度として数値化した。
例 任意T3時点に於ける脱血程度の算式
脱血度=(T1+T2+T3)/(T1+T2+T3+T4+…Tn)×100 (式1)
=(T1+T2+T3)/(W)×100
上記の脱血度のT1は原血であり吸光度が大きく(ABS)値で56.3を示し、以降急激に吸光度は低下し10分以上で些少となる数値の積算である事から、(56.3〜100)としているが、相関式の切片は0ではない事から、必要に於いて数値加工を行えば切片0〜100%の脱血率としても良い。
・試験1(冷水灌流効果時間と導出血液の吸光度(ABS値)、及び魚体温度(℃)の関係及び脱血時の白身部の色調(L*a*b*値))
方法:
餌止め3日後の5尾ブリ(5.5〜5.8kg)を500L容器内に一夜かけて純酸素をエアーストーンで常時飽和状態以上を維持するように溶解しながら水温を22℃から29℃(ヤケ肉発生条件温度帯)まで容器内で昇温し、1尾を魚体温度測定用、2尾を血液回収用とした。
灌流は灌流処理可能量とし、ポリ袋氷塊で大凡20℃に調整した海水及び水道水を混合した混合液により灌流処理を行い、0〜10分間の魚体各部位の温度と採取した導出灌流血液90ccにクエン酸Na10%液10ccを混合し撹拌後検体サンプルとし3℃保存とし、418,536,569nm吸光度(ABS)測定に供した。
また、2尾をそれぞれ完全脱血を前提とし、60分間長時間灌流処理を行い、色調L*a*b*値を測定、終了時の灌流導出液をビーカーに採取し光を通し目視で観察した。
結果:
1)循環系動脈系にカテーテルを挿入し、20℃の灌流冷却水を灌流処理限度量で注入し
、10分間に渡り時間経過と共に体表背身頭部、体表背身腹部、体表背身尻部、背身肩
部(上部)中心肉、背身腹肉(中部)中心部、背身尻肉(下部)中心部および腹腔内
を肉内穿孔及び表面測温した。結果を図3に示した。
2)灌流処理開始0分から1分毎に導出液を10分間採取し計11検体の536,569nm及び418nm
の吸光度(ABS)を測定した。結果を図4,5に示した。灌流処理による脱血の程度とし
て式(1)を用いて図6の脱血度とした。
3)導出される灌流液中の赤血球の存在は分光計により把握出来る事から、最大脱血状
態を導くため長時間大量灌流処理(60min・120L)を行った結果、導出灌流液からHbの
存在を示す(536,569nm)バンドは検出されなかった。
この時のL*a*b*測定結果でL*値は背身上部61.5〜64.1、腹身上部66.8〜67.1であり
、更に終了時の導出液の目視による色調を他の測定結果と併記した(図6,7)。
検討:
1)同試験では5尾処理を所定条件で処理したがヤケ肉は発生しなかった(但し、灌流処
理後は通常の7℃冷却殺菌槽にて冷却)。
2)魚肉中心部と灌流液温度の差は一般に生体ショック(痙攣等)を起こさない温度範囲
(9℃差)で問題無く灌流処理は行われた。
3)ヤケ肉の発生部位である血合い肉を含む背身肩部中心肉、背身腹肉中心部は大凡、
6分間で通常初冬、早春の23℃程度の出荷時期の温度まで低下させる事が出来た。背
身尻肉中心部はやや遅れて低下した。
4)腹腔内部(肝臓)は最も速く22℃まで冷却が進み、3分後以降は灌流液温と近似とな
り安定化した。
5)完全に灌流処理により導血されたと思われる肉色のL*値は背身上部(61.5〜64.1)、
腹身上部(66.8〜67.1)の範囲と思われる。
・試験2(短時間灌流処理による魚肉白身の色調)
方法:
試験1の結果(灌流導出液の経時毎の吸光度(ABS)で3分間で大半の血液が導出されている事から1,2,3,6分毎の灌流処理を実施し背身上部の白身肉、腹身上部の白身肉のL*a*b*値を測定した。並びに、各経時毎の導出液をビーカーに採取し目視で評価した。
結果:
1,2,3分処理と6分処理で赤色差(a*)は目視で明瞭に判別出来るが、L*値は1min処理区以上で>50となった。
また、6分処理区,10分処理区及び60分区では目視で判別が困難であった。
L*値の測定値と導出液の目視による評価を図6,図7に示す。
・試験3(多数の灌流処理に於けるL*a*b*の分布)
方法:
試験2の結果より灌流時間を6分以上とし、背身上部の白身肉及び腹身上部の白身肉(個体誤差を勘案し、各10尾について,背、腹各部位について10回ずつ測定し平均値として集計)のL*a*b*値を生産者及び日付けを変えて4回測定した。
結果:
灌流処理の場合背身のヤケ肉指標L*>55と比較した場合、背身上部ではL*値は52.4〜65.7、腹身上部ではL*値は58.4〜72.1であった。L*値測定結果を図6,図7に示す。
この値を示す色調は明らかに通常ブリには見られないヤケ肉の色調レベルであるが、明瞭に血抜きの効果である事は観察出来、一見で従来のブリ肉とは異なる色調となったが色調には不自然さは無く、目視レベルでは極めて白いが、視感で感ずる明るさと、ヤケ肉の明るさを示すL*値の数値とは異なる事が判明しつつ自然な白さとなった。
野〆区と灌流処理区の比較写真を(図8)に示す。
検討:
長時間処理を行ったL*値と同試験の背身腹身白身部との色調差はL*値a*値b*値ともに差を生じたが、検体の中にはa*,b*値でも差を生じているが交差する測定値も散見した。これは脱血の程度と言うよりも多数の測定結果による個体差と推した。
測定値の数値から見るとL*値のみ灌流処理群と一般的な血抜き区で明らかな違いを生じ、大半の検体がヤケ肉と言われるL*値55以上になった。即ち、L*値上はヤケ肉を示しているが、本発明は脱血処理により意図的に当該L*値としたもので、本発明を適用したブリはL*値上ではヤケ肉の指標を満たしていてもヤケ肉ではない。
・試験4(脱血レベル測定)
方法:
脱血の程度が従来示されていない事から、灌流導血による赤血球の存在を示す吸光度(ABSレンジ0〜3)と、簡易測定法である色差計の(L*a*b*値)の相関を調べた。
結果:
血液導出灌流液排液の分光計吸収度(ABS)のHbバンドである536,569nmピークはいずれも処理3分迄急激に低下し、魚体内の血液が体外に排出され減少している事を示した。
血液由来の418nmピークバンドは2分程遅れの5分後に濃度は低下した。
確認として無処理区(野締め)の背肉上部の白身部を蒸留水10倍希釈ホモジナイズし、10μmフィルター濾過液を分光計400〜650nmで計測してもHbに配位子が結合した赤血球の存在を示す(536,569nm)帯及び血液由来の418nmの3バンドは418nmを最大として検出されたのに対し、灌流処理群の背身白身肉を蒸留水10倍希釈ホモジナイズし、10μmフィルター濾過液を分光計400〜650nmで計測してもHbに配位子が結合した赤血球の存在を示す(536,569nm)帯及び血液由来の418nmの3バンドは検出しなかった事から灌流液処理による脱血の効果が確認された。
同様のサンプルは時間経過とともに(536,569nm)バンドのバランス変化を起こし、血球膜の崩壊と一致する結果となった。従って、光学的手法、分光計による測定としては加工処理時の新鮮灌流液及び魚肉を使用する事は必須である。
検討:
光学的手法として、肉片をスライドグラスにスンプし(押しつけ)、ギムザ染色後赤血球の存在の有無を試みた結果、血抜き(延髄切断)処理したものは赤血球は確認出来るが不純物が多いため、判定に熟度が必要で定量するには不向きであると判断した。光学的手法として導出灌流液中の血液はギムザ染色塗抹標本で3分経過時迄確認出来たが5分経過後では確認出来なかった。また、サンプル液は15℃保管とし、更に経過観察を続けたが各区とも、翌日に溶血が進み赤血球膜が崩壊し観察は困難となった。
肩肉の上部にある背肉の赤いMb色素を含む背身肉をホモジナイズし自然沈降させた検体は、536nmに僅かなピークを形成するが、Hbのバンドとは大きく異なり測定部位の特定するにあたり影響は与えないが、尾部や血合い肉というMb蛋白色素を多く含む部位ではHbと同吸収バンドが出現する事から、背身、腹身とも上部(図2参照)という条件は必須である。
・各処理区の分光計吸収度(ABS)と色差計(L*a*b*)との関係
導出灌流液の測定は2つのHbピーク値の平均値として0min(吐出開始時)から1min毎10min及び、60minまで安定している536nmピーク値の吸光度を測定し、60分で完全に脱血が終了した前提で、各分毎のABS値の累計値を脱血度とした。
脱血は導出鰓血管より脊動脈を経て各臓器及び、筋肉内の毛細血管を経て導出される事から、筋肉の脱血のみと脱血度は一致しない。従って、初期の脱血度は内臓器官から導出される事が考えられ、筋肉の脱血には時間がかかるものと推察し、灌流処理時間1,2,3,6,10,60分の脱血度、及び対応するL*値(背身、腹身いずれも上部)及び目視による導出灌流液色調を図6に併記した。
・灌流処理と活け締めの閾値
脱血度は導出灌流液の吸光度(ABS)を導出初期より累計した事から、野〆区の脱血度はそのままの吸光度である。従って、この数値を0に置換して脱血率を算定する事も可能である。本試験の結果は野〆区を56.4とし60分処理区を100として記載した。
灌流処理はその原理から内循環系の血液を導出する効果は他の脱血処理と比べ極めてその効果は高い。しかし、反面消費者からは、味覚上、色調上の観点から、脱血の程度を下げて欲しいとの意見もあることは、完全な嗜好の分野である事から、実用上灌流処理時間は任意に調整出来る。
ヤケ肉指標としての基準であると言われるL*値を基準とし検体での導出灌流液には魚肉に残留しているHbは大凡(図4)に示した時間内(1min〜10min)で血液成分中の赤血球は82.9〜99.17%は魚体から除去される事が示された。
1)野〆区
無処理の野締め区処理品は背身部L*値32.4〜35.3及び腹身部L*値35.6〜37.4を得た。
2)丁寧な脱血
延髄切断血絞り区:背身部L*値40.1〜44.6、腹身部L*値44.3〜46.2
鰓切遊泳放血後30min吊下:背肉L*値44.3〜46.3腹肉L*42.4〜47.6
を得た。
3)灌流処理区(1min〜10min)
背身部L*値52.4〜57.5、腹身部L*値58.4〜72.1を得た。
色素蛋白質であるHbは色調に及ぼす影響は大きく、僅か1分以上の灌流処理でL*値は50を超えるが、肉色調では淡血色を呈している。この時のa*値(赤⇔緑)は0〜1まで低下するが、更に2分経過時にはL*値の変化よりもa*値の方が明瞭に低下し大凡-2前後を示す様になる。更に6分経過後では背身L*値は55〜60、腹身L*値は60〜65を示す様になり、血抜きの効果が顕著となる。
図4より(式1)により求められた脱血度と10分処理区を100%に補正した白身部位L*値の説明率は背身上部R2=0.98732、腹身上部R2=0.98761と強い相関が認められた(図9)。
相関式は背身上部はy=0.6928X-6.0454、腹身上部はy=0.7009x-3.2438である。
また、いずれの区も背身肉よりも腹身肉の方がL*は上回る結果となった。
効果1:
内循環系である血管を利用して冷却する方法は魚体内部より冷却が可能なため、短時間で魚体をヤケ肉発生部位から冷却出来る極めて有効な手段である。
脱血の程度は筋肉中の血液色調が抜ける事を意味し、筋肉軟化原因のプロテアーゼ(カテプシンL)が赤血球膜に多量に存在するとした場合、現場管理用としては間接的な手段として血抜きの程度はブリでは白身肉の背身上部、腹身上部の色調L*a*b*値中L*値が有効である。
L*a*b*値の測定は,間接的に画像解析が可能である事から、測定位置を定義すれば、製造加工ラインに組み込み、品質のバラツキをコントロールする事が可能である。
灌流処理されたブリの白身肉は従来市場に存在しない透明度の高い脱血された色調に変化した(図8)。
一般血抜き(延髄切断脊髄破壊、及び鰓切遊泳放血)では脱血の程度は不明であるが相関式より白身肉のL*値より脱血度を推算すると68〜71となった(図7)。
血抜きの手段として丁寧な一般血抜きは初期L*値は40〜45であるのに対し、灌流処理は1min,2.2L/min以上の処理で脱血度80を越え、背身上部及び腹身上部の白身部のL*値が50以上であり本発明に至った。
・食味試験
検体作成手順:
検体1,2を除いて冷凍処理は所定の処理後フィレー加工処理後マイナス35℃のブライン凍結処理を行い、マイナス18℃冷凍庫で9日間保管後、+3℃インキュベータで各検体を5,6及び3,4を8時間ずらし真空パック毎12時間の緩慢解凍を行い試食試験に供した。以下に検体処理後の取り扱いを示す。
1)冷凍解凍8時間経過区(検体5,6)
検体は5灌流区、6一般血抜区として冷凍解凍後を背身腹身とも上部、中部をスライス
し作製後ラップで保湿して6℃で保管時間(冷凍解凍8時間後)とした。
2)冷凍解凍直後区(検体3,4)
検体は3灌流区、4一般血抜区として解凍済の冷凍品を背身腹身とも上部、中部をスラ
イスとして大凡30分後に試食に供した。
3)活魚区(検体1,2)
検体は1灌流区、2一般血抜区として活魚を灌流処理直後、及び、延髄切断血抜き処理
直後、背身腹身とも上部、中部をスライスとして試食に供した。
以上の6検体は明らかに色調差がある事から灌流区をA列(1,3,5)、一般血抜処理区をB列(2,4,6)として同一のテーブルに準備し試食パネラーに特殊血抜処理と一般血抜の2種である事のみを事前に説明し、感想内容の下記の留意点を示し、
1 外観(色調)
2 臭気(生臭味、血生臭み)
3 食味(旨さ、硬さ)
を5段階で評価(優良5,良4,可3,可否2,不可1)することと各自のコメントを依頼した。
結果(養殖業者、ブリを扱う調理人及び加工処理者による意見)を図10に示す。
図10より、パネラーの代表的意見は、
1 1,3,5(灌流品)はブリとしてはあり得ないくらい白身が白い。
2 1,3,5(灌流品)は全く臭いがない、生臭味がない。
3 5は少し軟らかいが6に比べ断然硬さがある。
4 4,6(一般血抜き)は色が悪く食べたくない。
一方嗜好性として
1 2(無処理生鮮品)が普段から食べ慣れている味である。
2 3(灌流処理区解凍品)は食べた時、魚の旨味がすぐ解る。旨い。
3 1,3,5(灌流処理)はブリの味(血液味)、臭いがしない。
4 4,6は軟らかすぎるし色が悪い。
5 6は生臭味が強い。
10人のパネラー総合評価点から見た順位として
ランク 評点 検体明細
1 (55点) 生鮮灌流処理品
2,3 (49,49点) 灌流冷凍品解凍後及び生鮮一般血抜き直後
4 (45点) 灌流冷凍品解凍後8時間経過品
5 (24点) 生鮮一般血抜き冷凍品解凍直後
6 (19点) 生鮮一般血抜き冷凍品解凍8時間経過品
更に通常のブリでは常温数時間経過にともない血生臭味を生ずるのに対し、所定の灌流処理したブリは全く臭気が感じられない製品となった反面、「ブリの味(血の味)がしない、白すぎる」との否定的な意見もあったが色調も変化しにくく、硬度も維持される事はパネラーの一致した意見であった。
この血生臭さは、嗜好性の分野であるが、女性及び子供に試食させた時の反応は極めて敏感に感ずるようであり、野〆の天然魚を従来より食べ慣れた人からするかなり違和感を感ずるくらい明瞭に差を生じた。
従って灌流処理によりほぼ完全に体内の血液が導出されている事を意味し、血液由来の酵素群の除去により品質劣化の遅延が起き、硬度が保たれたたものと推定した。

Claims (12)

  1. 生簀内若しくは水槽内の飽和酸素濃度以下の養生海水域で養生したブリを、この養生海水域から前記生簀内若しくは水槽内に前記養生海水域とは区画して設けた過飽和酸素海水域まで取り上げることなく水中を移動させた後、前記過飽和酸素海水域で取り上げて脱血処理を施すことを特徴とするブリの脱血処理方法。
  2. 前記脱血処理は、ブリの脊髄を破壊した直後に、冷却した灌流液をブリの血管に導入して血液と置換することで施すことを特徴とする請求項1記載のブリの脱血処理方法。
  3. 前記灌流液は、常圧以上で平均孔径10μm以下のフィルターを通した酸素過飽和液体とすることを特徴とする請求項記載のブリの脱血処理方法。
  4. 前記灌流液は電解水中の電解陰極水であることを特徴とする請求項記載のブリの脱血処理方法。
  5. 前記灌流液にはNaHCOが含まれていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のブリの脱血処理方法。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のブリの脱血処理方法を用いて脱血ブリを製造することを特徴とする脱血ブリの製造方法。
  7. 生簀内若しくは水槽内の飽和酸素濃度以下の養生海水域で養生したマグロを、この養生海水域から前記生簀内若しくは水槽内に前記養生海水域とは区画して設けた過飽和酸素海水域まで取り上げることなく水中を移動させた後、前記過飽和酸素海水域で取り上げて脱血処理を施すことを特徴とするマグロの脱血処理方法。
  8. 前記脱血処理は、マグロの脊髄を破壊した直後に、冷却した灌流液をマグロの血管に導入して血液と置換することで施すことを特徴とする請求項記載のマグロの脱血処理方法。
  9. 前記灌流液は、常圧以上で平均孔径10μm以下のフィルターを通した酸素過飽和液体とすることを特徴とする請求項記載のマグロの脱血処理方法。
  10. 前記灌流液は電解水中の電解陰極水であることを特徴とする請求項記載のマグロの脱血処理方法。
  11. 前記灌流液にはNaHCOが含まれていることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のマグロの脱血処理方法。
  12. 請求項7〜11のいずれか1項に記載のマグロの脱血処理方法を用いて脱血マグロを製造することを特徴とする脱血マグロの製造方法。
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