以下、実施形態について説明を行う。なお、以下の実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。本実施形態では、車両の電源システム10に適用される回転電機制御装置について具体化するものとしている。電源システム10は、エンジン101(内燃機関)を駆動源として走行する車両において、当該車両の各種機器に電力を供給するものである。
図1に示すように、本電源システム10は、電源としての鉛蓄電池11と、リチウムイオン蓄電池12と、を有する2電源システムである。各蓄電池11,12からはスタータ13や、各種の電気負荷14,15、回転電機ユニット16への給電が可能となっている。また、各蓄電池11,12に対しては回転電機ユニット16による充電が可能となっている。本システムでは、回転電機ユニット16に対して並列に鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12が接続されるとともに、電気負荷14,15に対して並列に鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12が接続されている。
図示による具体的な説明は割愛するが、リチウムイオン蓄電池12は、収容ケースに収容されて基板一体の電池ユニットUとして構成されている。電池ユニットUは、出力端子P1,P2,P3を有しており、このうち出力端子P1に鉛蓄電池11とスタータ13と電気負荷14とが接続され、出力端子P2に回転電機ユニット16の外部端子P0が接続され、出力端子P3に電気負荷15が接続されている。
スタータ13は、エンジン101を始動させるために用いられる。起動スイッチとしての車両のイグニッションスイッチIGがオンされた場合、エンジンECU100からの指令に基づき、鉛蓄電池11から給電され、エンジン101を始動させる。
各電気負荷14,15は、各蓄電池11,12から供給される供給電力の電圧について要求が相違するものである。このうち電気負荷15には、供給電力の電圧が一定、又は少なくとも所定範囲内で変動するよう安定であることが要求される定電圧要求負荷が含まれる。これに対し、電気負荷14は、定電圧要求負荷以外の一般的な電気負荷である。電気負荷15は被保護負荷とも言える。また、電気負荷15は電源失陥が許容されない負荷であり、電気負荷14は、電気負荷15に比べて電源失陥が許容される負荷であるとも言える。
定電圧要求負荷である電気負荷15の具体例としては、ナビゲーション装置やオーディオ装置、メータ装置等の各種ECUが挙げられる。なお、後述するエンジンECU100が含まれていてもよい。この場合、供給電力の電圧変動が抑えられることで、上記各装置において不要なリセット等が生じることが抑制され、安定動作が実現可能となっている。電気負荷15として、電動ステアリング装置やブレーキ装置等の走行系アクチュエータが含まれていてもよい。また、電気負荷14の具体例としては、シートヒータやリヤウインドウのデフロスタ用ヒータ、ヘッドライト、フロントウインドウのワイパ、空調装置の送風ファン等が挙げられる。
図2に示すように、回転電機ユニット16は、回転電機としてのモータ21と、インバータ22と、界磁回路23と、モータ21の作動を制御する演算装置としての回転電機ECU24とを備えている。回転電機ユニット16は、モータ機能付き発電機であり、機電一体型のISG(Integrated Starter Generator)として構成されている。回転電機ユニット16の詳細については後述する。
図1に基づき、電池ユニットUの電気的構成について説明する。電池ユニットUには、ユニット内電気経路として、出力端子P1とリチウムイオン蓄電池12とを繋ぐ第1電気経路L1を有しており、その第1電気経路L1の中間点である接続点N1に出力端子P2が接続されている。この場合、第1電気経路L1は、鉛蓄電池11とリチウムイオン蓄電池12とを電気的に繋ぐ経路であり、第1電気経路L1上の接続点N1に回転電機ユニット16が接続されている。第1電気経路L1において、接続点N1よりも鉛蓄電池11の側に第1スイッチとしての第1AスイッチSW1Aが設けられ、接続点N1よりもリチウムイオン蓄電池12の側に第2スイッチとしての第1BスイッチSW1Bが設けられている。第1電気経路L1とN1−P2間の電気経路とは、回転電機ユニット16に対する入出力電流を流すことを想定した大電流経路であり、この経路を介して、各蓄電池11,12及び回転電機ユニット16の相互の通電が行われる。
また、電池ユニットUには、第1電気経路L1に並列に第2電気経路L2が設けられており、その第2電気経路L2の中間点である接続点N2に出力端子P3が接続されている。なお、第2電気経路L2の一端は、第1電気経路L1上において出力端子P1と第1AスイッチSW1Aとの間の分岐点N3に接続され、他端は、第1電気経路L1上において第1BスイッチSW1Bとリチウムイオン蓄電池12との間の分岐点N4に接続されている。第2電気経路L2において、接続点N2よりも鉛蓄電池11の側に第2AスイッチSW2Aが設けられ、接続点N2よりもリチウムイオン蓄電池12の側に第2BスイッチSW2Bが設けられている。第2電気経路L2とN2−P3間の電気経路とは、第1電気経路L1側と比べて小電流を流すことを想定した小電流経路(すなわち、第1電気経路L1に比べて許容電流が小さい小電流経路)であり、この経路を介して、各蓄電池11,12から電気負荷15への通電が行われる。
電源システム10の作動状態において、第1AスイッチSW1A及び第1BスイッチSW1Bが選択的に閉状態に操作されることで、第1電気経路L1を介して、鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12の少なくともいずれかと回転電機ユニット16との間で通電が行われる。また、第2AスイッチSW2A及び第2BスイッチSW2Bが選択的に閉状態に操作されることで、第2電気経路L2を介して、鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12の少なくともいずれかと電気負荷15との間で通電が行われる。
各スイッチSW1A,SW1B,SW2A,SW2Bは、それぞれMOSFET等の半導体スイッチング素子を用いて構成されており、言うなればノーマリオープン式のスイッチである。具体的には、例えば第1AスイッチSW1Aは、寄生ダイオードの向きを互いに逆にして直列接続された半導体スイッチング素子からなるスイッチ部31と、同じく寄生ダイオードの向きを互いに逆にして直列接続された半導体スイッチング素子からなるスイッチ部32とを有し、これら各スイッチ部31,32が並列接続されることで構成されている。他のスイッチも同様の構成を有している。すなわち、第1BスイッチSW1Bは、スイッチ部33,34が並列接続されることで構成され、第2AスイッチSW2Aは、スイッチ部35,36が並列接続されることで構成され、第2BスイッチSW2Bは、スイッチ部37,38が並列接続されることで構成されている。
上記の各スイッチ部31〜38では、寄生ダイオードの向きを互いに逆にする一対の半導体スイッチング素子をそれぞれ有することから、例えば第1AスイッチSW1Aがオフ(開放)となった場合、つまり各半導体スイッチング素子がオフとなった場合において、寄生ダイオードを通じて電流が流れることが完全に遮断される。つまり、各電気経路L1,L2において意図せず電流が流れることを回避できる。
なお、図1では、寄生ダイオードが互いにアノード同士で接続されるようにしたが、寄生ダイオードのカソード同士が接続されるようにしてもよい。半導体スイッチング素子として、MOSFETに代えて、IGBTやバイポーラトランジスタ等を用いることも可能である。IGBTやバイポーラトランジスタを用いた場合には、上記寄生ダイオードの代わりとなるダイオードを各半導体スイッチング素子にそれぞれ並列に接続させればよい。
ここで、各スイッチSW1A,SW1B,SW2A,SW2Bの駆動部の構成について説明する。図3は、第1AスイッチSW1Aの駆動部の構成を示す回路図である。第1AスイッチSW1Aは、スイッチ部31を構成するスイッチング素子31a,31bと、スイッチ部32を構成するスイッチング素子32a,32bと、を有している。そして、スイッチ部31を駆動する電源駆動部41として、スイッチング素子31a,31bごとに駆動回路41a,41bが設けられ、スイッチ部32を駆動する電源駆動部42として、スイッチング素子32a,32bごとに駆動回路42a,42bが設けられている。各駆動回路41a,41b,42a,42bには、電池ECU51から開閉操作のための指令信号が入力される。各駆動回路41a,41b,42a,42bは、指令信号に基づいて各スイッチング素子31a,31b,32a,32bを開放又は閉鎖させる。
電源駆動部41,42には個別に電源Vccからの電圧が供給される。上記構成によれば、互いに並列のスイッチ部31,32が各々個別の電源駆動部41,42により駆動されるため、一方のスイッチ部で電源故障が生じても、他方のスイッチ部の開閉が可能となっている。つまり、回転電機ユニット16の発電による鉛蓄電池11への給電、及び回転電機ユニット16への鉛蓄電池11からの給電を確実に行わせることができる。図示による説明は割愛するが、他のスイッチSW1B,SW2A,SW2Bにおいても同様の構成を有している。
また、図1に示すように、電池ユニットUには、鉛蓄電池11と接続されるバイパス端子BP1と出力端子P3とを繋ぐバイパス経路L3が設けられている。そのバイパス経路L3上にバイパスリレー39が設けられている。つまり、バイパスリレー39は、第2AスイッチSW2Aに並列に設けられている。バイパスリレー39は、ノーマリクローズ式のメカニカルリレースイッチである。バイパスリレー39を閉鎖することで、第2AスイッチSW2Aがオフであっても鉛蓄電池11と電気負荷15とが電気的に接続される。例えば、車両のイグニッションスイッチIGがオフされている状態では、各スイッチSW1A,SW1B,SW2A,SW2Bがオフ(開放)されており、かかる状態では、バイパスリレー39を介して電気負荷15に対して暗電流が供給される。なお、鉛蓄電池11とバイパス端子BP1との間の経路にヒューズ39aが設けられている。
バイパス経路L3は、第2電気経路L2と同様に、第1電気経路L1に比べて許容電流が小さい小電流経路であり、その許容電流に応じた経路上限電流が流れることによりヒューズ39aが溶断されるようになっている。なお、バイパス経路L3及びバイパスリレー39を、電池ユニットU外に設けることも可能である。
電池ユニットUは、各スイッチSW1A,SW1B,SW2A,SW2B、及びバイパスリレー39のオンオフ(開閉)を制御する電池ECU51を備えている。電池ECU51は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むマイコンにより構成されており、例えば同一基板に実装されている。電池ECU51は、イグニッションスイッチIGのオン状態、すなわち電源システム10の作動状態で、バイパスリレー39を開状態とさせる。また、電池ECU51は、電源システム10の作動状態中、各蓄電池11,12の状態や、電気負荷15や回転電機ユニット16への給電要求に基づき、各スイッチSW1A,SW1B,SW2A,SW2Bの開閉状態を切り替える。
回転電機ユニット16の回転電機ECU24や、電池ユニットUの電池ECU51には、各ECU24,51を統括的に管理する上位制御装置としてのエンジンECU100が接続されている。エンジンECU100は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むマイコンにより構成されており、都度のエンジン運転状態や車両走行状態に基づいてエンジン101の運転を制御する。各ECU24,51,100は、CAN等の通信ネットワークを構築する通信線102により接続されて相互に通信可能となっており、所定周期で双方向の通信が実施される。これにより、各ECU24,51,100に記憶される各種データを互いに共有している。
エンジンECU100は、回転電機ECU24や電池ECU51に対して上位制御装置となっており、各蓄電池11,12の蓄電状態や車両の運転状態等に基づいて、各種指令を出力する。例えば、エンジンECU100は、電池ECU51に対して、各スイッチSW1A,SW1B,SW2A,SW2Bやバイパスリレー39の開閉制御に関する指令を出力する。これにより、電源システム10において、鉛蓄電池11とリチウムイオン蓄電池12とを選択的に用いて充放電が実施される。また、エンジンECU100は、回転電機ECU24に対して、発電機能及び力行機能に関する指令を出力する。
また、電池ユニットUの外部端子IP1は、イグニッションスイッチIGを介して鉛蓄電池11と接続されている。電池ユニットUの外部端子IP1は、イグニッションスイッチIGがオン(閉鎖)された場合、鉛蓄電池11からイグニッションスイッチIGがオンされたこと(つまり、電源システム10が作動状態であること)を示すIGオン信号が入力される。すなわち、イグニッションスイッチIGがオンされた場合、外部端子IP1に鉛蓄電池11の端子電圧である電源電圧が入力される。
一方、電池ユニットUの外部端子IP1は、イグニッションスイッチIGがオフ(開放)された場合、鉛蓄電池11との電気的接続が切れ、イグニッションスイッチIGがオフされたこと(つまり、電源システム10が作動停止状態であること)を示すIGオフ信号が入力される。すなわち、イグニッションスイッチIGがオフされた場合、鉛蓄電池11から外部端子IP1への電源電圧の入力が停止される。
同様に、回転電機ユニット16の外部端子IP2は、イグニッションスイッチIGを介して鉛蓄電池11と接続されている。回転電機ユニット16の外部端子IP2は、イグニッションスイッチIGがオンされた場合、鉛蓄電池11からイグニッションスイッチIGがオンされたことを示すIGオン信号が入力される。すなわち、イグニッションスイッチIGがオンされた場合、外部端子IP2に鉛蓄電池11からの電源電圧が入力される。
一方、回転電機ユニット16の外部端子IP2は、イグニッションスイッチIGがオフされた場合、鉛蓄電池11との電気的接続が切れ、イグニッションスイッチIGがオフされたことを示すIGオフ信号が入力される。すなわち、イグニッションスイッチIGがオフされた場合、鉛蓄電池11から外部端子IP1への電源電圧の入力が停止される。
次に、回転電機ユニット16の電気的構成について図2を用いて説明する。モータ21は3相交流モータであり、3相電機子巻線25としてU相、V相、W相の相巻線25U,25V,25Wと、界磁巻線26とを備えている。回転電機ユニット16は、エンジン出力軸や車軸の回転により発電(回生発電)を行う発電機能と、エンジン出力軸に回転力を付与する力行機能とを備えるものとなっている。具体的には、モータ21の回転軸は、図示しないエンジン出力軸に対してベルトにより駆動連結されている。このベルトを介して、エンジン出力軸の回転に伴いモータ21の回転軸が回転することによって発電し、モータ21の回転軸の回転に伴いエンジン出力軸が回転することによって、エンジン出力軸に回転力を付与する。
インバータ22は、各相巻線25U,25V,25Wから出力される交流電圧を直流電圧(発電電圧)に変換し、外部端子P0を介して電池ユニットUに対して出力する。また、インバータ22は、電池ユニットUから外部端子P0を介して入力される直流電圧を交流電圧に変換して、各相巻線25U,25V,25Wへ出力する。インバータ22は、相巻線の相数と同数の上下アームを有するブリッジ回路であり、3相全波整流回路を構成している。インバータ22は、モータ21に供給される電力を調節することにより、モータ21を駆動する駆動回路を構成している。すなわち、インバータ22は、複数のスイッチSp,Snを有しモータ21に流れる通電電流を調整するものである。
インバータ22は、相ごとに上アームスイッチSp及び下アームスイッチSnを備えている。本実施形態では、各スイッチSp,Snとして、電圧制御形の半導体スイッチング素子を用いており、具体的には、NチャネルMOSFETを用いている。上アームスイッチSpには、上アームダイオードDpが逆並列に接続され、下アームスイッチSnには、下アームダイオードDnが逆並列に接続されている。本実施形態では、各ダイオードDp,Dnとして、各スイッチSp,Snのボディダイオードを用いている。なお、各ダイオードDp,Dnとしては、ボディダイオードに限らず、例えば各スイッチSp,Snとは別部品のダイオードであってもよい。各相におけるスイッチSp,Snの直列接続体の中間接続点は、各相巻線25U,25V,25Wの一端にそれぞれ接続されている。
界磁回路23は双方向スイッチであり、界磁巻線26に直流電圧を印加可能とされている。本実施形態において界磁回路23は、4個のスイッチSp,Snを組み合わせたHブリッジ整流回路を構成している。各スイッチSp,Snの基本構成はインバータ22の各スイッチと同じであるため、ここでは説明を省略する。本実施形態では、各スイッチSp,Snのオンオフによって界磁巻線26に印加(入力)する直流電圧を調整することにより、界磁巻線26に流れる界磁電流の向き及び電流量を制御する。
インバータ22及び界磁回路23を構成する各スイッチSp,Snは、ドライバ27を介してそれぞれ独立にオン/オフ駆動が切り替えられる。本システムには、各相電流iu,iv,iwを検出する電流検出部29A、及び界磁電流ifを検出する電流検出部29Bがそれぞれ設けられている。電流検出部29A,29Bは、例えばカレントトランスや抵抗器を備えるものが用いられる。
インバータ22を構成する各スイッチSp,Snは、1つの回路モジュール22aに搭載される。本実施形態において、回路モジュール22aには、インバータ22が備えるすべて(6個)のスイッチSp,Snが搭載されている。なお、回路モジュール22aに設けられるスイッチSp,Snの数は任意に変更してもよい。また、回路モジュール22aにスイッチSp,Snに限らず任意の回路素子(例えば、電流検出部29A)を設けてもよい。また、回路モジュール22aの数を任意に変更してもよい。例えば、回路モジュールを複数設けて、インバータ22を構成する複数のスイッチSp,Snを分けて搭載してもよい。また、界磁回路23を構成する各スイッチSp,Snが搭載される回路モジュールを設けてもよい。
そして、この回路モジュール22aには、回路モジュール22aにおける異常を検出する遮断回路30が設けられている。回路モジュール22aにおける異常としては、例えば、スイッチSp,Snに過電流が流れる過電流異常がある。また、例えば、スイッチSp,Snにおける温度異常がある。遮断回路30は、これらの異常のうちいずれかを検出すればよく、複数種類の異常を検出可能としてもよい。
そして、遮断回路30は、異常を検出した場合、異常に応じて回路モジュール22aに設けられた各スイッチSp,Snを保護するために所定の制御を行う。例えば、遮断回路30は、回路モジュール22aに設けられた各スイッチSp,Snをオフ(閉状態)とする。すなわち、各スイッチSp,Snを強制遮断する。
この遮断回路30は、イグニッションスイッチIGがオンされ、鉛蓄電池11から、回転電機ユニット16の外部端子IP2へ電源電圧(鉛蓄電池11から電圧)が入力されている場合に作動する。具体的には、遮断回路30は、外部端子IP2に入力される電源電圧が、所定値以上の場合、作動する。また、遮断回路30は、作動を開始する場合、作動信号を出力する。
一方、遮断回路30は、イグニッションスイッチIGがオフされ、鉛蓄電池11から、外部端子IP2へ電源電圧が入力されなくなった場合に作動を停止する。具体的には、遮断回路30は、外部端子IP2に入力される電源電圧が、遮断回路30のリセット電圧以下の場合、遮断回路30への電力供給が不安定となり、作動を停止する。遮断回路30のリセット電圧は、予め定められた第2電圧範囲のうちいずれかの電圧となっており、いずれの電圧となるかは、遮断回路30毎の個体差や状態による。以下、遮断回路30のリセット電圧を、単に第2リセット電圧と示す場合がある。
回転電機ECU24は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むマイコンにより構成されている。回転電機ECU24は、界磁巻線26に流す界磁電流を調整することにより、回転電機ユニット16の発電電圧(電池ユニットUに対する出力電圧)を制御する。また、回転電機ECU24は、車両の走行開始後にインバータ22を制御してモータ21を駆動させて、エンジン101の駆動力をアシストする。
回転電機ECU24は、イグニッションスイッチIGがオンされ、鉛蓄電池11から回転電機ユニット16の外部端子IP2へ電源電圧が入力された場合、起動処理を実行する。より具体的には、外部端子IP2に入力される電源電圧が、所定値以上の場合、起動処理を開始する。そして、回転電機ECU24は、遮断回路30からの作動信号の入力に基づき、遮断回路30が適正に作動していることを確認し、且つ、エンジンECU100からの制御情報に基づき、エンジン101の始動が完了したことを確認した後、起動処理を終了する。なお、本実施形態において所定値は、例えば、電源電圧の異常を示す閾値電圧よりも高く設定されている。
回転電機ECU24は、起動処理が完了した後、通常処理を開始する。通常処理では、例えば、回転電機ECU24は、エンジンECU100の指令に基づき、各スイッチSp,Snをオンオフ制御することにより、外部端子P0から入力した電流をインバータ22及び界磁回路23に流し、モータ21を駆動させる。また、例えば、回転電機ECU24は、エンジンECU100の指令に基づき、各スイッチSp,Snをオンオフ制御することにより、回転電機ユニット16に発電させ、外部端子P0から電流を出力するように制御する。
一方、回転電機ECU24は、イグニッションスイッチIGがオフされ、外部端子IP2に鉛蓄電池11からの電源電圧が入力されなくなった場合、リセットされ、作動を停止する。より具体的には、外部端子IP2に入力される電源電圧が、回転電機ECU24のリセット電圧以下の場合、リセットされ、作動を停止する。回転電機ECU24のリセット電圧は、予め定められた第1電圧範囲のうちいずれかの電圧となっており、いずれの電圧となるかは、回転電機ECU24毎の個体差や状態による。以下、回転電機ECU24のリセット電圧を、単に第1リセット電圧と示す場合がある。
回転電機ECU24のリセット電圧の範囲である第1電圧範囲の下限は、遮断回路30のリセット電圧の範囲である第2電圧範囲の下限よりも高く設定されている。つまり、第2電圧範囲は、第1電圧範囲の下限よりも低い下限を有する。また、外部端子IP2に入力される電源電圧は、回転電機ECU24及び遮断回路30にそれぞれ個別に入力されるものであり、電源電圧の低下に伴い個別にリセットされるものである。すなわち、回転電機ECU24及び遮断回路30が、同期してリセットされるものではない。
このため、遮断回路30のリセット電圧(第2リセット電圧)は、回転電機ECU24のリセット電圧(第1リセット電圧)よりも低くなる可能性がある。これにより、回転電機ECU24が正常に作動できなくなるほど電源電圧が低下しても、遮断回路30により異常を検出し、回路モジュール22aに設けられた各スイッチSp,Snを保護することができる場合がある。
一方、回転電機ECU24のリセット電圧の範囲である第1電圧範囲の上限は、遮断回路30のリセット電圧の範囲である第2電圧範囲の上限よりも高く設定されている。なお、第1電圧範囲と、第2電圧範囲は、任意に変更してもよい。例えば、第2電圧範囲の上限の方が第1電圧範囲の上限よりも高くしてもよい。また、第1電圧範囲の下限よりも、第2電圧範囲の上限を高くして、第1電圧範囲と第2電圧範囲とが重複していてもよい。また、第1電圧範囲の下限よりも、第2電圧範囲の上限を低くして、第1電圧範囲と第2電圧範囲とが重複していなくてもよい。
次に、回転電機ECU24及び電池ECU51により実施されるフェールセーフ処理について説明する。回転電機ECU24は、回転電機ユニット16又は電池ユニットUの異常検出に伴い、モータ21を安全に制御するためのフェールセーフ機能を有している。
回転電機ユニット16又は電池ユニットUの異常としては、モータ21に接続される蓄電池(鉛蓄電池11、リチウムイオン蓄電池12)の端子電圧の低下又は上昇といった電圧異常、電池ユニットUでの各スイッチのオンオフ故障、リチウムイオン蓄電池12の異常高温等が挙げられる。電圧異常や電池ユニットUでの異常発生に対するフェールセーフ処理として、回転電機ユニット16は、モータ21の作動制限を実施する。本実施形態では、モータ21の作動制限として、回転電機ECU24が、インバータ22及び界磁回路23の各スイッチSp,Snをオフにして、モータ21を電流遮断する処理を実施する。
電源電圧の異常検出は、回転電機ユニット16に搭載されたASIC28によって実施される。例えば、電源システム10の作動状態中(イグニッションスイッチIGのオン中)、外部端子IP2を介してASIC28に入力される鉛蓄電池11からの電源電圧が閾値電圧以下であれば、ASIC28は、異常を検出する。ASIC28の異常検出に基づき、回転電機ECU24は、フェールセーフ処理を実施する。
なお、スイッチ故障や異常高温等といった電池ユニットUでの異常については、電池ECU51で検出される。電池ECU51は、異常発生を示す異常信号を、通信線102を介して他のECU、すなわち回転電機ECU24やエンジンECU100に対して出力する。回転電機ECU24は、ASIC28による電圧異常の検出結果や、電池ECU51から受信した異常信号に基づいて、フェールセーフ処理を実施する。
ところで、エンジン101を始動させるためにスタータ13が駆動する時には、鉛蓄電池11の端子電圧が一時的に低下する。これに伴い、鉛蓄電池11から、外部端子IP2に入力される電源電圧も、閾値電圧以下となり、電圧異常に基づくフェールセーフ処理が実施され、回転電機ECU24が適正に起動できなくなる可能性がある。
また、イグニッションスイッチIGがオンされ、遮断回路30から作動信号が出力された後に、スタータ13の駆動に伴い、外部端子IP2に入力される電源電圧が回転電機ECU24の第1リセット電圧以下となる場合も考えられる。この場合、回転電機ECU24がリセットされることとなる。なお、遮断回路30の第2リセット電圧は回転電機ECU24の第1リセット電圧よりも低い可能性があるため、回転電機ECU24のみがリセットされることが生じ得る。この場合、遮断回路30から作動信号を入力することができずに、回転電機ECU24を適正に起動させることができなくなるおそれがある。
そこで、本実施形態において、スタータ13、遮断回路30及び回転電機ECU24を以下のように構成し、適正に起動させるようにした。以下、詳しく説明する。
まず、スタータ13の駆動について説明する。図4に示すように、イグニッションスイッチIGがオンされた場合、スタータ13は、エンジンECU100の指令に基づき、イグニッションスイッチIGがオンされてから所定時間である開始時間(例えば、92msec)の経過後、鉛蓄電池11から電力が供給され、駆動する。これにより、エンジン101が始動する。
すなわち、スタータ13の駆動に伴い、イグニッションスイッチIGがオンされてから開始時間が経過した後、鉛蓄電池11の電圧(電源電圧)が低下する可能性がある一方で、開始時間経過前には、スタータ13の駆動に基づく電源電圧の低下は生じないことなる。なお、エンジンECU100は、センサなどでエンジン101の状態を監視し、エンジン101の始動を完了した場合(例えば、初爆又は完爆を判定した場合)、その旨を示す始動完了信号を回転電機ECU24等に出力する。この場合、エンジンECU100が始動判定部として機能する。
次に、図4に基づき、本実施形態におけるモータ21を制御する回転電機制御装置200について説明する。回転電機制御装置200は、インバータ22と、回転電機ECU24と、遮断回路30と、記憶装置60と、を備えている。
遮断回路30について説明する。遮断回路30は、イグニッションスイッチIGがオンされ、回転電機ユニット16の外部端子IP2に所定値以上の電源電圧が入力されると、作動する。遮断回路30は、適正に作動すると、正常作動することを示す作動信号を出力する。より詳しくは、遮断回路30は、回転電機ECU24と接続されており、回転電機ECU24への作動信号の出力が可能となっている。そして、遮断回路30は、適正に作動すると、作動信号の状態を、ロー状態からハイ状態に遷移させる。本実施形態において作動信号の出力(入力)とは、作動信号の状態がロー状態からハイ状態に遷移したことを意味する。
なお、遮断回路30は、所定期間、例えば、開始時間よりも長い期間、作動信号の状態を、ハイ状態に維持し、その後、作動信号の状態をハイ状態からロー状態に遷移させる。
次に、記憶装置60について説明する。記憶装置60は、不揮発性メモリ等、外部端子IP2への電源電圧に関係なく記憶内容を保持するものである。なお、内部電源を設けて、内部電源から記憶装置60に電力が供給されるように構成してもよい。また、回転電機ECU24に記憶装置60を備えてもよい。
記憶装置60は、遮断回路30と接続されており、遮断回路30からの作動信号の入力に基づき、作動信号の入力履歴が記憶されるように構成されている。具体的には、記憶装置60は、作動信号の状態がロー状態からハイ状態に遷移した場合、作動信号の状態がロー状態からハイ状態に遷移したことを記憶する。なお、記憶装置60は、例えば、回転電機ECU24からの指示があるまで、作動信号の入力履歴を記憶する。
次に、回転電機ECU24について説明する。回転電機ECU24は、起動処理部24aと、異常判定部24bと、入力部24cと、無効部24dとしての機能を実施する。回転電機ECU24が備える記憶部(図示略)に記憶されたプログラムが実行されることで、これらの機能が実現される。なお、これらの機能は、ハードウェアである電子回路によって実現されてもよく、あるいは、少なくとも一部をソフトウェア、すなわちコンピュータ上で実行される処理によって実現されてもよい。
起動処理部24aは、イグニッションスイッチIGがオンされた場合、すなわち、外部端子IP2に所定値以上の電源電圧が入力された場合、起動処理(詳しくは後述)を実施する。起動処理部24aは、起動処理において、遮断回路30からの作動信号の入力を確認する。また、起動処理部24aは、作動信号の入力を確認する際、記憶装置60に記憶された作動信号の入力履歴に基づいて確認を行うこともできる。
異常判定部24bは、電源電圧が異常であるか否かを判定する。すなわち、異常判定部24bは、外部端子IP2に入力される電圧が閾値電圧以下の場合、ASIC28による検出結果に基づき、電圧異常であると判定する。なお、異常判定部24bにより電源電圧が異常であると判定された場合、前述したように、回転電機ECU24は、フェールセーフ処理等を実施する。
入力部24cは、エンジンECU100からエンジン101の始動が完了した旨の始動完了信号を入力する。
無効部24dは、イグニッションスイッチIGのオン後から入力部24cが始動完了信号を入力するまでの期間において、異常判定部24bの判定結果を無効とする。すなわち、無効部24dは、イグニッションスイッチIGのオン後からエンジン101の始動完了が判定されるまでの期間において、無効フラグを設定する。そして、無効フラグが設定されている間、異常判定部24bにより電源電圧が異常であると判定されても、当該判定結果を無効とし、当該電圧異常に応じた処理(フェールセーフ処理等)の実施を制限する。
次に、図5に基づき、回転電機ECU24が実行する起動処理について説明する。起動処理は、イグニッションスイッチIGがオンされた場合、すなわち、回転電機ユニット16の外部端子IP2に所定値以上の電源電圧(鉛蓄電池11の電圧)が入力された場合に、実行される。
ステップS11において、回転電機ECU24は、電圧異常の判定を無効とする無効フラグを設定する。これにより、無効フラグの設定中、回転電機ECU24は、外部端子IP2に入力される電源電圧が閾値電圧以下となっても、電圧異常であるとして判定しない。ステップS11により、回転電機ECU24は、無効部24dとして機能する。
ステップS12において、起動処理を開始してからスタータ13の駆動の開始時間(例えば、92msec)を経過したか否かを判定する。すなわち、スタータ13の駆動に基づく電源電圧の低下がなく、作動信号を入力可能な期間が経過したか否かを判定する。
開始時間が経過していない場合(ステップS12:NO)、回転電機ECU24は、予め決められた時間経過後、再びステップS12の処理を実行する。一方、開始時間が経過した場合(ステップS12:YES)、回転電機ECU24は、ステップS13に移行する。
ステップS13において、回転電機ECU24は、遮断回路30から作動信号を入力したか否かを判定する。本実施形態において作動信号の入力とは、作動信号の状態が遷移したことを意味し、より詳しくは、作動信号の状態が、ロー状態からハイ状態に遷移したか否かを判定する。具体的には、起動処理開始時における作動信号の状態(初期値)と、開始時間経過時における作動信号の状態(判定値)とを比較することにより、作動信号の入力を判定する。
作動信号を入力した場合(ステップS13:YES)、回転電機ECU24は、ステップS16に移行し、作動信号を入力しなかった場合(ステップS13:NO)、ステップS14に移行する。
ステップS14において、回転電機ECU24は、記憶装置60に作動信号の入力履歴が記憶されているか否かを判定する。ステップS14において、起動処理の開始前、又は今回よりも以前の起動処理において作動信号が出力されていた場合であって当該起動処理が適正に終了しなかった場合(リセットされた場合)、記憶装置60に作動信号の入力履歴が記憶されている。この場合、ステップS14は肯定判定される。
作動信号の入力履歴が記憶されていた場合(ステップS14:YES)、回転電機ECU24は、ステップS16に移行する。一方、作動信号の入力が記憶されていなかった場合(ステップS14:NO)、回転電機ECU24は、ステップS15に移行する。
ステップS15において、回転電機ECU24は、異常に応じた処理を行い、起動処理を終了する。例えば、回転電機ECU24は、エンジンECU100に正常に起動していない旨の通知を行う。また、フェールセーフ処理を実施してもよい。
ステップS16において、回転電機ECU24は、回転電機ユニット16における各種初期設定を行い、ステップS17に移行する。
ステップS17において、回転電機ECU24は、エンジン101の始動が完了した旨を示す始動完了信号を入力したか否かを判定する。つまり、回転電機ECU24は、エンジン101の始動が完了したか否かを判定する。なお、エンジンECU100は、エンジン101の始動完了後、少なくとも回転電機ECU24から起動処理が終了した旨の通知を入力するまで、エンジン101の始動完了を示す始動完了信号を入力可能に構成されている。
エンジン101の始動が完了していない場合(ステップS17:NO)、回転電機ECU24は、予め決められた時間経過後、再びステップS17の処理を実行する。すなわち、回転電機ECU24は、エンジン101の始動が完了するまで待機する。エンジン101の始動が完了した場合(ステップS17:YES)、回転電機ECU24は、ステップS18に移行する。ステップS17により、回転電機ECU24は、入力部24cとして機能する。
ステップS18において、回転電機ECU24は、無効フラグを解除し、ステップS19に移行する。これ以降、電圧異常を判定した場合、回転電機ECU24は、電圧異常に応じた処理を実行する。例えば、回転電機ECU24は、無効フラグを解除した状態で電圧異常を判定した場合、フェールセーフ処理を実施し、また、エンジンECU100に電圧異常を判定した旨を通知する。
ステップS19において、回転電機ECU24は、作動信号の入力履歴に関する記憶装置60の記憶内容をリセットする。その後、回転電機ECU24は、起動処理を終了する。
適正に起動処理を終了すると、回転電機ECU24は、回転電機ユニット16が駆動可能状態であることをエンジンECU100等に通知し、通常処理を実行する。これにより、エンジンECU100の指令に基づき、回転電機ECU24は、回転電機ユニット16を駆動させ、発電機能及び力行機能を実現する。
なお、起動処理において、作動信号の入力をどのような方法で判定するかは、任意に変更してもよい。例えば、所定間隔で、作動信号の状態遷移が生じたか否かを判定するようにしてもよい。また、例えば、記憶装置60に作動信号の入力履歴が記憶されているか否かに基づき、判定してもよい。
そして、判定方法に合わせて、作動信号の入力履歴を記憶装置60にどのように記憶するかは任意に変更してもよい。例えば、記憶装置60に、初期値と、判定値とを記憶し、作動信号の入力履歴が記憶されているか否かを判定する際、これらを比較するようにしてもよい。すなわち、遮断回路30からの作動信号のロー状態からハイ状態が遷移したことが記憶装置60に記憶されていればよく、作動信号の入力に関わる判定方法及び記憶方法は、任意の方法を採用すればよい。
次に、図6〜図8に基づき、スタータ13の駆動時における各種タイミングについて説明する。図6では、スタータ13の駆動に伴い、第1リセット電圧及び第2リセット電圧よりも高い電圧であるが、電源電圧の異常を示す閾値電圧以下となるまで、電源電圧(鉛蓄電池11の電圧)が低下した場合について説明する。
イグニッションスイッチIGがオンされると(時点T11)、外部端子IP2に入力される電源電圧が所定値以上となる(時点T12)。これにより、回転電機ECU24が起動処理を開始する。その際、回転電機ECU24は、無効フラグを設定する。
また、イグニッションスイッチIGがオンされると(時点T11)、外部端子IP2に入力される電源電圧が所定値以上となる(時点T12)。このため、イグニッションスイッチIGがオンされてから開始時間が経過するよりも前のタイミング(時点T13)で、遮断回路30が適正に作動し、作動信号を出力する。記憶装置60には、この作動信号の出力に基づき、作動信号の入力履歴が記憶される。この作動信号は、所定期間経過するまで出力される(時点T16)。つまり、作動信号のハイ状態が所定期間経過するまで維持される。
開始時間が経過すると(時点T14)、回転電機ECU24は、作動信号の入力を判定する。また、スタータ13は駆動を開始する。スタータ13が駆動すると、電源電圧が低下する(時点T15)。前提より、閾値電圧以下となるまで、鉛蓄電池11の電圧が低下するが、無効フラグが設定されているため、電圧異常を判定しても無効とされる。すなわち、回転電機ECU24がフェールセーフ処理を実施することはなく、起動処理に影響を与えることがない。
その後、エンジンECU100からエンジン101が始動完了した旨の通知を入力すると(時点T17)、回転電機ECU24は、無効フラグを解除する。なお、エンジン101が始動完了するまでには、スタータ13の駆動に基づく電源電圧の低下が回復する。つまり、スタータ13が駆動しなくなるため、鉛蓄電池11の電圧が回復する。一方、エンジン101が始動完了した以降、電源電圧が低下した場合には、電圧異常であると判定することとなる。
そして、回転電機ECU24は、記憶装置60の記憶内容をリセットし、起動処理を終了する(時点T18)。そして、回転電機ECU24は、エンジンECU100に起動処理が終了した旨を通知し(時点T18)、通常処理に移行する。
以上のように、閾値電圧以下となるまで、電源電圧(鉛蓄電池11の電圧)が低下した場合であっても、無効フラグの設定により、電圧異常を判定しても無効とする。これにより、回転電機ECU24は、適正に起動処理を終了することができる。
図7に基づき、遮断回路30の第2リセット電圧よりも高い電圧であるが、回転電機ECU24の第1リセット電圧以下となるまで、鉛蓄電池11の電圧が低下した場合について説明する。なお、時点T21〜時点T24までの内容は、時点T11〜時点T14までの内容と同じであるので、説明を省略する。
スタータ13の駆動に基づき、遮断回路30の第2リセット電圧よりも高い電圧であるが、回転電機ECU24の第1リセット電圧以下となるまで、鉛蓄電池11の電圧が低下すると(時点T25)、回転電機ECU24は、リセットされる。一方で、遮断回路30は、リセットされることがないので、作動信号の状態(ハイ状態)を維持し、作動から所定時間経過後(時点T26)、作動信号の出力を終了する(作動信号をロー状態にする)。
スタータ13の駆動が終了することに伴い、電源電圧が所定値まで上昇すると(時点T27)、回転電機ECU24は、再び起動処理を開始することとなる。その際、回転電機ECU24は、再び無効フラグを設定する。なお、時点T25〜時点T27において無効フラグもリセットされることとなるが、回転電機ECU24も作動していないため、異常を判定することはない。
再び起動処理を開始してから開始時間が経過しても(時点T28)、回転電機ECU24は、その間で(時点T27〜T28)、作動信号が入力されることはない。すなわち、作動信号がロー状態からハイ状態に遷移することはない。しかしながら、再び起動処理を開始してから作動信号が入力されていなくても、前回の起動処理は正常に終了することなく、回転電機ECU24がリセットされている。このため、時点T23において、記憶装置60に作動信号の入力履歴が記憶されていることとなる。したがって、回転電機ECU24は、再び起動処理を実施した際、記憶装置60に作動信号の入力履歴が記憶されていることを確認することができる。
その後、エンジンECU100からエンジン101が始動完了した旨の通知を入力すると(時点T29)、回転電機ECU24は、無効フラグを解除する。
回転電機ECU24は、記憶装置60の記憶内容をリセットし、起動処理を終了する(時点T30)。そして、回転電機ECU24は、エンジンECU100に起動処理が終了した旨を通知し(時点T30)、通常処理に移行する。
以上のように、回転電機ECU24の第1リセット電圧以下となるまで、鉛蓄電池11の電圧が低下した場合であっても、記憶装置60に作動信号の入力履歴が記憶され、記憶内容が保持される。このため、回転電機ECU24は、記憶装置60に作動信号の入力履歴が記憶されているかを判定することにより、作動信号の入力を確認できる。これにより、回転電機ECU24は、適正に起動処理を終了することができる。
図8に基づき、遮断回路30の第2リセット電圧以下となるまで、鉛蓄電池11の電圧が低下した場合について説明する。なお、時点T31〜時点T34までの内容は、時点T11〜時点T14までの内容と同じであるので、説明を省略する。
スタータ13の駆動に基づき、遮断回路30の第2リセット電圧以下となるまで、鉛蓄電池11の電圧が低下すると(時点T35)、回転電機ECU24及び遮断回路30は、リセットされる。
スタータ13の駆動が終了することに伴い、電源電圧が所定値以上となるまで上昇すると(時点T36)、回転電機ECU24は、再び起動処理を開始することとなる。その際、回転電機ECU24は、無効フラグを設定する。
また、電源電圧が所定値以上となるまで上昇すると、遮断回路30の作動し、作動信号の状態がハイ状態に遷移する(時点T37)。その際、記憶装置60において作動信号の入力履歴が上書きされる。なお、そのまま何もせずに、記憶内容が維持されるようにしてもよい。
再び起動処理を開始してから開始時間が経過すると、回転電機ECU24は、作動信号の入力を判定する。その際、記憶装置60に作動信号の入力履歴が記憶されているため、入力履歴に基づき、作動信号の入力を判定してもよい。
その後、エンジンECU100からエンジン101が始動完了した旨の通知を入力すると(時点T38)、回転電機ECU24は、無効フラグを解除する。
回転電機ECU24は、記憶装置60の記憶内容をリセットし、起動処理を終了する(時点T39)。そして、回転電機ECU24は、エンジンECU100に起動処理が終了した旨を通知し(時点T39)、通常処理に移行する。
以上のように、遮断回路30の第2リセット電圧以下となるまで、鉛蓄電池11の電圧が低下した場合、再び作動信号が出力されるため、再び起動処理を実施した際に、作動信号の入力を判定することができる。これにより、回転電機ECU24は、適正に起動処理を終了することができる。
上記によれば以下の優れた効果を奏することができる。
回転電機制御装置200においては、インバータ22の保護等を目的として遮断回路30が設けられている。異常発生時には遮断回路30により各スイッチSp,Snが強制遮断されることにより、スイッチSp,Sn等の保護が図られている。また、インバータ22のスイッチSp,Snのオンオフを制御する回転電機ECU24では、イグニッションスイッチIGのオン後における起動処理として遮断回路30からの作動信号の入力が確認される。
ところで、エンジン101の始動のためのスタータ13の駆動時には、外部端子IP2に入力される電源電圧(鉛蓄電池11の電圧)が一時的に低下し、その電源電圧の低下により回転電機ECU24がリセットすることが考えられる。加えて、スタータ13の駆動タイミングによっては、イグニッションスイッチIGがオンされ、遮断回路30から作動信号が入力された後に、電源電圧の低下により回転電機ECU24がリセットされることも考えられる。なお、遮断回路30の第2リセット電圧が回転電機ECU24の第1リセット電圧よりも低い可能性があるため、回転電機ECU24のみがリセットされることが生じ得る。この場合、起動処理が開始された後に、作動信号を入力することができず、回転電機ECU24を適正に起動させることができなくなるおそれがある。
この点、上記構成では、イグニッションスイッチIGのオン後に作動信号が入力された場合、作動信号の入力履歴が記憶装置60に記憶される。このため、回転電機ECU24は、起動処理において、記憶装置60に記憶された作動信号の入力履歴に基づいて作動信号の入力を確認することが可能となっている。したがって、スタータ13の駆動時に電源電圧が一時的に低下して回転電機ECU24のリセットが生じても、その後において適正なる起動が可能となる。
回転電機ECU24は、回転電機ユニット16の機能(発電機能及び力行機能)に基づく性質上、エンジン101の始動完了前に起動処理を終了する必要がない。また、エンジン101が始動される前に、起動処理を終了すると、電源電圧の低下により、リセットされる可能性がある。そこで、エンジン101の始動が完了した後に、回転電機ECU24による起動処理を終了するようにした。
回転電機ECU24は、起動処理を終了する際、記憶装置60に記憶された作動信号の入力履歴を消去する。これにより、次回、イグニッションスイッチIGがオンされた場合、作動信号の入力履歴を適切に記憶することができる。
スタータ13は、イグニッションスイッチIGがオンされてから開始時間を経過した後、エンジン101を始動させるようにその駆動を開始する。一方、遮断回路30は、イグニッションスイッチIGがオンされてから開始時間を経過するまでに、作動信号を出力する。このため、イグニッションスイッチIGがオンされてから開始時間が経過するまでは、電源電圧の低下を防止できる。これにより、遮断回路30から作動信号を出力させ、記憶装置60に作動信号の入力履歴を記憶させる時間を確保することが可能となる。
回転電機ECU24は、イグニッションスイッチIGのオン後からエンジン101の始動完了が判定されるまでの期間において、電圧異常の判定を無効とする無効フラグを設定する。このため、スタータ13の駆動時、電源電圧の低下により、電源電圧が異常となってもその判定を無効とすることができる。これにより、起動処理中に、スタータ13の駆動に基づく異常に応じた処理が実行されることなく、適切に起動処理を終了することができる。
エンジン101の始動が完了する前(又は回転電機ECU24の起動処理が終了するまで)、モータ21を駆動させる必要がないため、電池ユニットUから外部端子P0を介して電力が供給されることはない。すなわち、第1AスイッチSW1A及び第1BスイッチSW1Bが開状態とされている。これにより、回転電機ECU24は、外部端子IP2を介して入力される鉛蓄電池11の電圧に基づき、イグニッションスイッチIGのオンオフを判定している。
従って、スタータ13の駆動に基づき、鉛蓄電池11の電圧低下が生じると、イグニッションスイッチIGがオフされたと誤って判定する可能性がある。すなわち、閾値電圧以下となり、電圧異常が生じたと判定し、起動処理が適正に完了しなくなる可能性がある。また、第1リセット電圧以下となり、回転電機ECU24のみがリセットされて、起動処理が適正に完了しなくなる可能性がある。
そこで、回転電機ECU24は、スタータ13の駆動による電源電圧の低下の影響を防止し、適正に起動処理を実施できるようにした。すなわち、回転電機ECU24は、イグニッションスイッチIGがオンされてから、エンジン101の始動が完了するまで、電圧異常の判定を無効とすることとした。また、記憶装置60には、作動信号の入力履歴が記憶されるようにした。そして、回転電機ECU24は、イグニッションスイッチIGがオンされてから、エンジン101の始動が完了するまでの間にリセットされても、起動処理において入力履歴に基づき、作動信号の入力を確認できるようにした。
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されず、例えば以下のように実施してもよい。なお、以下では、各実施形態で互いに同一又は均等である部分には同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
・電源システム10は、鉛蓄電池11とリチウムイオン蓄電池12とを備える2電源システムだったが、リチウムイオン蓄電池12を備えていなくてもよい。
・回転電機ECU24は、起動処理中、電源電圧の異常判定を無効とする無効フラグを設定したが、起動処理を終了する場合に、異常判定を無効とし、電源電圧の異常に応じた処理を無効とするようにしてもよい。
・回転電機ECU24は、外部端子IP2に入力される電源電圧の異常を検出しないように構成してもよい。これにより、スタータ13の駆動に基づき電源電圧が低下しても、起動処理中、電源電圧の異常判定を無効とする必要がなくなる。
・回転電機ECU24は、起動処理のステップS17において、エンジンECU100からの通知に基づきエンジン101の始動完了を判定したが、これ以外の方法で判定してもよい。例えば、起動処理の開始から、エンジン101の始動が完了するまでに十分な時間(例えば、300msec)経過した場合、エンジン101の始動が完了したと判定してもよい。
・作動信号の入力履歴を確認するタイミングは、任意に変更してもよい。また、作動信号の入力を判定するタイミングも任意に変更してもよいが、開始時間が経過するまで判定することが望ましい。
・上記実施形態において、作動信号の状態は、所定期間経過後、リセットされたが、起動処理の終了時に回転電機ECU24等によりリセットされてもよい。作動信号のハイ状態が維持される期間は、任意に変更してもよい。