JP6676266B2 - 電気再生式脱イオン装置 - Google Patents

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Description

本発明は電気再生式脱イオン装置に関するものである。主にイオンクロマトグラフィーほか分析用に使用される純水の高純度化処理に使用される脱イオン能力の高い装置に関するものである。
本発明は河川水、地下水等の水質検査等自然環境評価分析に、あるいは工業用、食品用、医療用に用いられている微量不純物分析で、例えば検査対象サンプル溶液を希釈用にあるいは標準サンプルを溶かす溶媒用としての純水、さらには分析で用いる高純度な酸、塩基を作成するのに必要な純水、各種洗浄用に必要な純水を高純度化処理する装置に関するものである。
ng/Lオーダーの超微量分析が要求される今日、分析に使用される純水も、不純物濃度がng/Lオーダーの超高純度水が要望される。
しかもこのような超高純度水は、あらゆるものを溶解し、保存容器に付着する不純物のみならず容器構成材料中に含まれる微量な添加物を溶出し、更に空気中の炭酸ガスやアンモニアガスも容易に溶解するため保存が難しい。
従って超高純度水を大量に製造し、貯蔵しようとするのではなく、通常、入手されやすく、手元に置ける純水(例えばイオン交換水、または逆浸透膜で得られた水)から、超高純度化処理により、インラインで、必要なとき必要な量だけ生成することができる装置が要望される。
そこで超高純度化処理する手段について先行技術を調べると、初期にイオン交換樹脂塔を用いた脱イオン装置が普及したが、その後、電気透析槽の希釈室にイオン交換体を充填した電気再生式純水製造システムがこれにとって替わって普及している。
それは、脱イオンと同時にイオン交換体が再生されるために連続運転が可能となり、併せて再生廃液処理の必要もなくなり、経済性と環境保全性の両面に優れているからである。
そして超高純度水の品質に基準値はないが純水で電気抵抗率が1 MΩcm(25℃)程度で更に溶解、懸濁している有機物、微生物、微粒子、溶存気体など不純物を取り除いて10 MΩcm(25℃)以上あるとされている。しかし、使用される用途においてさらに厳しいレベルが要求され、例えば最高レベルの半導体用洗浄水で電気抵抗率が18.2 MΩcm超、TOC 1 μg /L以下、溶存酸素 (O2) 2 μg /L 、重金属類 0.001 μg/L以下、微粒子 SEMでサイズ0.03 μm以上が1個/L以下 0.02 μm以上が10個/L以下、生菌 培養法 0.1コロニー個数/100 ml以下、シリカ (SiO2) 0.1 μg/L以下、ナトリウムイオン(Na+) 0.001 μg/L以下、塩素イオン (Cl) 0.0050 μg/L以下である。水の理論的電気抵抗率が18.25 MΩcm(0.05478 μS/cm)(25℃)であることからいかに高い水準か理解されよう。
上記のような高品質な水を得るには通常、電気伝導率が10 MΩcm、程度の高純度水レベルをつくる工程と、更にブラシュアップする工程とがあり、
前工程は次のようである。
(1)水道水→(2)フィルター→(3)逆浸透膜→(4)電気再生式脱イオン装置→(5)高純度水
後工程は次のようである。
(1)高純度水→(2)紫外線ランプ→(3)仕上げ用イオン交換樹脂槽→(4)限外ろ過膜→(5)特殊用途用超高純度水
本発明の超純水処理化装置は、前記の前工程中の電気再生式脱イオン装置に相当し、能力的に後工程の仕上げ用イオン交換樹脂槽を兼備する装置である。
電気再生式脱イオン装置に供給する原水は逆浸透膜水ないしはイオン交換水で前者の電気伝導率は5-30 μS/cm (比抵抗0.03-0.2 MΩcm)、後者の電気伝導率は1-3 μS/cm (比抵抗0.3-1 MΩcm)であり、一般的には微粒子成分の除去に優れた逆浸透膜水が使用される。この原水を使って脱イオン処理をし、比抵抗値が10 MΩcm のレベルにまで約50-300倍も高めるのである。
これまでに知られた電気再生式脱イオン装置は両電極を挟んで一対のイオン交換膜とその膜間に陰・陽交換樹脂を混在した充填槽で構成し、両端に直流電圧をかけ、その陰・陽イオン交換樹脂を混在した充填槽に原水を流し、原水中の陰・陽イオンをそれぞれ陽・陰イオン交換樹脂で交換し、併せて混在する陰・陽イオン交換樹脂の界面で発生する水解離イオンであるH、OHより前記とは逆の再生イオン交換が起こり、遊離した陰・陽イオンを陽極、陰極に電気泳動させるものである。原水は脱イオンされ、イオン交換膜で仕切られた各電極側にはイオン交換膜を通して選択されたイオンが移動し、濃縮された液として外部に排出される。電極は通常、前記したイオン交換膜に接触して設置されている。
電気再生式脱イオン装置の基本構成はおおむね前記の通りであるが、さらに改良したものとして脱イオン室と隣接する濃縮室を交互に複数設けて能力アップをはかったものや、脱イオン室内の陰・陽イオン交換樹脂の混在タイプでなく、両樹脂を極性で分け、イオン交換膜やバイポーラ膜を使って中央で仕切った脱イオン室2室タイプがある。
本発明の超純水処理化する装置、すなわち電気再生式脱イオン装置に近接する構造、要素を示す先行技術を調べている。
先行技術1は特開2012−239966号公報の開示する装置構造である。先行技術1の図3に開示された装置構造は両電極からその間のイオン交換体の構成が近似している。しかし違いは陰極室E1と濃縮室C1の仕切り膜a2、陽極室E2と濃縮室C2の仕切り膜c2が異なる。膜a2は陰イオン交換膜であり、膜c2は陽イオン交換膜である。本発明はいずれの膜も通水孔付フッ素系陽イオン交換膜である。そのほか濃縮室C1に排出路13、濃縮室C2に排出路11が設けられているが本発明では前記した通水孔付フッ素系陽イオン交換膜に設けられた通水孔から電極側に排出する構造になっている。
さらに先行技術2の特開2014−524号公報の開示する図1には2室タイプ脱塩室の中間膜に孔を上部分だけ設けたバイポーラ膜とカチオン膜またはアニオン膜を張り合わせたものを使用し、電極側へ電気泳動中のイオンが被処理水の流れに抗せず脱イオン水出口から漏出するのを防ぐものがある。これは印加電圧を上げて流す電流を大きくしたいが中間膜やイオン交換体が劣化して充分に上げられないことからなされた発明である。これに対して、本発明は大きな電流が流せる構造であり、前記のような必要性がないが本発明の第二発明では中間膜として通水孔付フッ素系陽イオン交換膜が使われ、通水目的のために膜面のすべてに通水孔が設置されている点で異なる。
また先行技術3の特開2007−175647号公報は印加電流を上げてもイオン交換膜の膜焼けを防ぐ構造を提示している。図1が示すように両電極間にアニオン交換膜とカチオン交換膜で区画された脱イオン室と陽極室、陰極室が設けられ、脱イオン室にはイオン混合体、陽極室にはアニオン交換体、陰極室にはカチオン交換体が充填されている。要点はこの陽極室、陰極室に従来は水だけであったのがイオン交換体を充填したことによりイオン交換膜と水の間の電気抵抗を下げてより大きな電流を流すことができるというものである。
本発明ではさらに大きな電流を流せる構造を目指したもので電極とイオン交換体の間に通水孔付フッ素系陽イオン交換膜を設けている点で異なる。
特開2012−239966号公報 特開2014−524号公報 特開2007−175647号公報
高電流を長時間流せる耐久性の高い電気再生式脱イオン装置を目指したものである。これにより脱イオン能力が向上し、脱イオン水生成装置の汎用分野での応用のみならず、高い脱イオン能力が要求される特殊分析用分野での応用を可能とする装置およびそれを用いた脱イオン方法を提供することを目的とするものである。
(1)上記課題を解決するため両電極間に高電流を長時間かけたときバイポーラ界面において、膜焼けの原因になる陽イオン交換膜、陰イオン交換膜にかえて耐熱性、耐薬品性、化学的安定性に優れたフッ素系陽イオン交換膜を全面的に使用することで解決を図ろうとするものである。
そもそもイオン交換膜は純水中で電気伝導性を有するものであるからイオン交換基の極性の如何を問わず両電極間に構成するイオン交換体に用いることができる。ただし、その膜の極性によってそこを流れるイオンの流れを阻止するように働いたり、通過させたりするので被処理液中のイオンを電極に向けて電気泳動させつつ、イオン交換膜の付近に溜まる
イオンを注入水で外部排出させるなどイオンの流れを制御するように極性の異なるイオン交換体との組合せを設計するのである。
フッ素系陽イオン交換膜を全面的に使用した構造とは第一に脱イオン室の中間膜に用い、隣接する陰イオン交換体との界面ではバイポーラ界面を形成し水の解離イオンを生成する極めて激しい場所での使用である。前記界面は酸性・塩基性の強い環境になり、強い電場を受けて被溶液中のイオンを極性の違いで引き離すのである。
そして第2に電極と濃縮室のイオン交換体との界面に通水孔付フッ素系陽イオン交換膜を使用する。ここでは電極との接点であり、強酸性、強塩基性に曝されながら電極反応劣化に耐え、水の電気分解から微量成分との反応生成物である不純物イオンや発生ガスの系内侵入を阻止し、濃縮部のイオン交換体から移動してきたイオンをプロセス水で通水孔を経由して強制的に電極側に排出するのである。
(2)高い電流により脱イオンされるべきイオンが処理液中に漏出することがないようにする。そのためには脱イオン能力の高い脱イオン室を形成するため2室タイプの脱イオン室で中間膜に通水孔のないフッ素系陽イオン交換膜を使用して各室での被処理液注入口から処理液出口までの経路にイオンの漏出を防ぐ構成をとる。
(3)脱イオン室の機能を保つには中間膜とイオン交換体との界面には充分な水の供給がされていることが必要であり、そのために中間膜に通水孔をもうけたものが有効であり、上記の(2)の観点では好ましくないが被処理液流量が不安定であっても装置が空焚きで破壊される危険は小さく、一段と有利である。
(4)濃縮室にプロセス水を注入して脱イオンしたイオンと電極で発生した水素および酸素ガスを電極側に強制排出する必要があり、そのためには電気伝導性のあるイオン交換体を充填して置くことが有利であり、イオンを電気泳動させるために隣接した脱イオン室に充填されたイオン交換体と同じ極性のイオン交換体を用いる。
本発明は従来技術と対比して上記で述べた解決手段の違いが大きな技術的特徴である。
本発明の電気再生式脱イオン装置について、前記の技術的特徴を踏まえて発明の構成全体とその作用について基本構造である図1を参照して説明する。
前記装置は両電極間の中央部に2室からなる脱イオン室1,2とその両側に濃縮室1,2、さらに電極室が備えられている。陽極側の脱イオン室1に被処理液の注入口1と出口1が陰極側の脱イオン室2に被処理液の注入口2と出口2が設けられ、濃縮室1,2にはプロセス水の注入口3,4が設けられている。さらに両電極室にそれぞれ排出口が設けられている。
そして脱イオン室には中央にフッ素系陽イオン交換膜を備えて陽極側に陰イオン交換膜、陰極側に陽イオン交換膜、好ましくはフッ素系陽イオン交換膜で仕切り、陽極側脱イオン室1には陰イオン交換体、陰極側脱イオン室2には陽イオン交換体を充填する。陽極側濃縮室1には陰イオン交換体、陰極側濃縮室2には陽イオン交換体が充填され、各電極と前記イオン交換体の間を通水孔付フッ素系陽イオン交換膜で仕切っている。
被処理液は通常、脱イオン室1で陰イオンを除き、ついで脱イオン室2で陽イオンを除くことになるが、陰イオンだけをあるいは陽イオンだけを除くこともでき、その場合は被処理液を処理したい脱イオン室の一方だけに通し、他方の脱イオン室には純水を流すことになる。
また、両イオンを除く場合であっても陰イオンを除いた後他の処理装置を経由してから陽イオンを除くことも可能である。陰イオンを先に除いた後に陽イオンを除くという脱イオンする工程の順序に制約が生ずるのは、陰イオン交換体の代表的なものである陰イオン交換樹脂が塩基性の条件下でホフマン分解され、1、2、そして3級アミンほかが陽イオンとして分離されてくることがあるからである。この分離されてくる陽イオンを本発明の脱イオン装置を組み込んだ超稀薄イオンに高感度なイオンクロマトグラフ分析装置で検出した実験を後述する実施例で示す。
従って陰イオン除去工程を先の工程として後の陽イオン除去工程で陰イオン交換樹脂由来の前記陽イオンも併せて除去することが必要なのである。
プロセス水を注入口3,4から注入し、出口から排出するのを確認したら両電極に電流を通し、装置は稼働し始める。
前記した技術的特徴を盛り込んだ構成が全体の構成の中でより明確になったので全体として処理対象イオンの挙動が受ける作用とともにあらためて説明するまでもなく省略する。
そして最大の特徴である高電流耐久性についてそのレベルも含め以下説明する。
電流が大きければ被処理溶液中のイオンの分離移動が活発化するので装置の脱イオン能力が高まり、高純度処理に有利に働くことになる。後述する実施例では最大電流密度が1 A/cm2の能力を有る装置でその70 %レベルで各種イオン交換膜の耐久性能比較実験をしている。これは既設の装置の約100倍も大きな高電流耐久性能を有していることになる。
また、この高い脱イオン能力は特に稀薄な不純物イオンの含まれた純水をさらにブラシアップする高純度化処理に威力を発揮する。その詳細実験は後述する実施例で示すことになるが、カラム濃縮も利用して不純物イオンを除去した処理水の残留不純物イオン濃度はng/Lのレベルに達している。その処理水をもって分析用ベース水とすることが可能であり、超微量イオンのイオンクロマトグラフ分析に用いる高純度溶離液の生成用に、また分離カラムの後工程に使う脱イオン装置に好適に用いることが可能となってきた。これにより液相での素反応の解析が進むことが期待される。
次に本発明の電気再生式脱イオン装置の基本構造2について図2を用いて説明する。
前記装置の基本構造2は脱水室の中間膜に通水孔付フッ素系陽イオン交換膜を用い、被処理液注入口を脱イオン室1に設け、処理液出口を脱イオン室2に設けた以外は基本構造1と同じである。
これは通水孔の役割が界面への水供給を促し、液不足という不測の事態から装置の空焚き故障を防ぐことにあり前記したとおりである。
この構造2は脱イオン能力という点で構造1に較べ劣るが、イオン濃度の高い被処理溶液を脱イオンするときに大きな電流で連続して処理するのに適している。
高電流耐久性のある電気再生式脱イオン装置であることから基本構造1の装置では高い脱イオン能力を持ち、一般純水のさらなる高純度処理に適する装置であり、基本構造2の装置ではイオン濃度の高い被処理溶液を脱イオンするに適する装置である。
本発明の第1の実施形態である電気再生式脱イオン装置の概略断面図である。図中、陰イオン交換体として+、陽イオン交換体として−の記号はそれぞれ固定イオン交換基の極性をあらわす。 本発明の第2の実施形態である電気再生式脱イオン装置の概略断面図である。図中、陰イオン交換体として+、陽イオン交換体として−の記号はそれぞれ固定イオン交換基の極性をあらわす。
イオン除去装置の耐久テストに利用した装置の概略図である。 中央バイポーラ界面を陰イオン交換体と通水孔付フッ素系陽イオン交換膜で形成した装置の概略断面図である。 中央バイポーラ界面を陽イオン交換体と通水孔付陰イオン交換膜(AHA)で形成した装置の概略断面図である。 中央バイポーラ界面を陰イオン交換体と通水孔付陽イオン交換膜(C66)で形成した装置の概略断面図である。 中央バイポーラ界面を陰イオン交換体と陽イオン交換体で形成した装置の概略断面図である。
印加電流200 mA下でのイオン除去装置の耐久試験である。図中の記号で×は中央部のバイポーラ界面である陰イオン交換樹脂と通水孔付フッ素系陽イオン交換膜で形成した装置であり、□は中央部のバイポーラ界面である陰イオン交換樹脂と通水孔付陽イオン交換膜(C66)で、〇は中央部のバイポーラ界面である陽イオン交換樹脂と通水孔付陰イオン交換膜(AHA)で、△は中央部のバイポーラ界面である陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂で形成した装置である。
イオン除去装置を使用して約1 mM NaCl溶液中のイオンを除去した装置の概略図である。 使用した陽イオン分析用のイオンクロマトグラフの概略図である。 約1 mM NaCl溶液をイオン除去装置で処理したときの陽イオンクロマトグラムである。図中の(a)は1 mM NaCl溶液、(b)脱イオン室2で処理されたものである。図中の1はNaイオンである。 使用した陰イオン分析用のイオンクロマトグラフの概略図である。 約1 mM NaCl溶液をイオン除去装置で処理したときの陰イオンクロマトグラムである。図中の(a)は1 mM NaCl溶液、(b)脱イオン室1で処理されたものである。図中の1はClイオンである。
イオン除去装置を使用して約1 mM NaCl溶液中のイオンを除去した装置の概略図である。 使用した陽イオン分析用のイオンクロマトグラフの概略図である。 約1 mM NaCl溶液をイオン除去装置で処理したときの陽イオンクロマトグラムである。図中の(a)は1 mM NaCl溶液、(b)脱イオン室1で処理されたもの、(c)脱イオン室2で処理したときのものである。図中の1はNaイオン、2、3、4は不明陽イオンである。 約1 mM NaCl溶液をイオン除去装置で処理したときの陽イオンクロマトグラムである(サンプル注入量1 mL)。図中の1はNaイオン(0.43 μg/L)、2、3、4は不明陽イオンである。 使用した陰イオン分析用のイオンクロマトグラフの概略図である。 約1 mM NaCl溶液をイオン除去装置で処理したときの陰イオンクロマトグラムである。図中の(a)は1 mM NaCl溶液、(b)脱イオン室2で処理されたもの、(c)脱イオン室1で処理したときのものである。図中の1はClイオン、2は CO3 2-である。 約1 mM NaCl溶液をイオン除去装置で処理したときの陰イオンクロマトグラム (サンプル注入量 1mL)である。図中の1は不明陰イオン、2はClイオン(0.62 μg/L)、3はCO3 2-で、4は不明陰イオンである。 純水溶液(陽イオン分析用イオンクロマトグラムで測定したNaイオン濃度; 42 μg/L, 陰イオン分析用イオンクロマトグラムで測定したClイオン濃度; 2.02 μg/L)中のイオンを除去するために使用した装置の概略図を示す。 陽イオンを分析するために使用したイオンクロマトグラフを示す。 溶液をイオン除去装置で処理した時の陽イオンのクロマトグラムを示す。図中の(a)は純水溶液、(b)脱イオン室2で処理したときのものである。図中の1はNaイオン (42 μg/L)、2はKイオン(濃度不明)、3はCaイオン(濃度不明)である。 陰イオンを分析するために使用したイオンクロマトグラフを示す。 純水溶液をイオン除去装置で処理した時の陰イオンのクロマトグラムを示す。図中の(a)は純水溶液、(b)脱イオン室1で処理したものである。図中の1、2は不明陰イオン(濃度不明)、3はCl- (2.02 μg/L)、4は CO3 2-(濃度不明)である。
本発明について最良の実施形態を示し、ついで実施例を詳述する。
[第1の実施形態]
本発明の第一の実施形態は電気再生式脱イオン装置の構成に関するものであり、図1に示されている。
両電極間の中央部に2室からなる脱イオン室とその外側に濃縮室、さらに電極室で構成される。脱イオン室と濃縮室とは陽極側で陰イオン交換膜、陰極側でフッ素系陽イオン交換膜によって仕切られ、脱イオン室は中央にフッ素系陽イオン交換膜で仕切られ、陽極側脱イオン室1、陽極側濃縮室1には陰イオン交換体が、陰極側脱イオン室2、陰極側濃縮室2には陽イオン交換体が充填されている。電極室はいずれの電極室も電極と濃縮室のイオン交換体の間を通水孔付フッ素系陽イオン交換膜で仕切っている。脱イオン室1に被処理液注入口1、処理液出口1が、脱イオン室2に被処理液注入口2、処理液出口2が、濃縮室1にプロセス水注入口1が、濃縮室2にプロセス水注入口2が、各電極室には排出口がそれぞれ設けられている。
<フッ素系陽イオン交換膜>
ポリフッ化ビニルにスルホ基を末端に有するテトラフルオロエチレンを結合させたフッ素系陽イオン交換膜である登録商標Nafion膜(デュポン社製)をはじめ、登録商標セレミオンCMF膜(旭硝子社製)があげられる。
また、前記登録商標Nafion膜にはいくつかの種類が発表されているNRE-212、115、117、324、424、551のいずれも好適に用いることができる。
ポリマーの基本骨格がフッ素系化合物でなることから耐酸、耐塩基、耐熱、化学的安定性といった性状を有し、これにイオン交換基としてスルホ基を組み込んで陽イオン交換膜にしたものである。本発明ではこの性状に着目して、最も過酷な状態を来す部位に使用するものである。
<通水孔付フッ素系陽イオン交換膜>
フッ素系陽イオン交換膜の全面に小さな孔を開けたものである。膜は、液体を透過させにくい程に、表面が緻密である。そのため、膜に通水孔を敢えて施すのである。プロセス水で通水孔に流すことによって、通水孔付フッ素系陽イオン交換膜の近傍に濃縮するイオンを電極室側に排出させることができる。また、濃縮室1の陽極側の陰イオン交換体と接する通水孔付フッ素系陽イオン交換膜とはバイポーラ界面を形成するので界面では電極で発生したHイオンと移動してきた陰イオンで酸を形成するからこれも系外に排出する必要がある。
<イオン交換膜>
陰・陽イオン交換膜は液体の透過性が小さく、透過率は1/100-1/1000程度のものが使用される。この程度の透過率であれば、下限域で電気泳動によるイオンの移動にともない電気浸透流(イオンの周囲にある水分子がイオンと共に移動する)といわれる水の透過がみられるからである。すなわち、下限域以下では水が透過せずイオンの移動が困難になるからである。さらに上限域でイオンの選択透過性が発現する上限であり、陰イオン交換膜では陰イオンを透過させるが陽イオンを透過させない。陽イオン交換膜ではその逆の性質を有する。今日、多くの種類が開発されており、その多くが使用できる。好ましくは、耐酸化性、耐塩基性、耐熱性にすぐれたイオン交換膜である。陰イオン交換膜としては例えばネオセプタ(登録商標)AHA、AMX、ACS,AFN,AFX(トクヤマ社製)、セレミオン(登録商標) AMV,AMT,DS V,AAV,ASV,AHO,AHT,APS4(旭硝子社製)などを用いることができる。また、陽イオン交換膜としては前記フッ素系陽イオン交換膜のほかセレミオン(登録商標) CMV,CMD、HSF,CSO(旭硝子社製)、ネオセプタ(登録商標)C66(トクヤマ社製)などを用いることができる。
<イオン交換体>
イオン交換体はイオン交換機能を有する物質を指し、イオン交換樹脂、モノリス状有機多孔質イオン交換体などがあり、これらの単体でも混合体でもよい。またそれらが成形加工されたビーズ状、繊維状、不織布状、膜状ほかのものが扱いやすい。イオン交換体相全体として陽または陰イオンのイオン交換能を有すればこれら二種以上のイオン交換体を適宜、交互に積層しても混相してもよい。陽イオン交換樹脂としては特に制限はないが例えばアンバライト(登録商標) IR120B,DOWEX(登録商標)50WX2,50WX4,50WX8(ダウ・ケミカル社製)などを用いることができる。これらの中でも強酸性で高交換容量のイオン交換基を有するアンバライト(登録商標)IR120B、DOWEX(登録商標)50WX8が好ましい。陰イオン交換樹脂としては強塩基性で高交換容量のイオン交換基を有するアンバライト(登録商標) IRA402BL、DOWEX(登録商標)1X8、2X8等を用いることができる。
<電極>
電極としては電界分布が均一で接触する通水孔フッ素系陽イオン交換膜から排出される液の通過を妨げない形状が好ましく、棒状や、網目状や、環状のものを用いることができる。材質は特に限定されるものではないが、耐腐食性のある白金が好ましい。
電源は装置本体に組み込んで内装化してもよく、外部電源を用いてもよく、直流電源が好ましいが正にバイアス変換された交流電源でもよい。なお通常運転状態で許容される電圧、電流は装置の大きさによるがおおよそ0.1-150 V,0.1-250 mAである。
<被処理液>
脱イオン処理の対象液であり、強酸、強塩基の濃い溶液から通常の純水程度の稀薄濃度溶液まで幅広く対応することができる。また少量のスケール成分(Caイオン、Mgイオン、Feイオン、シリカイオン)や濁質成分なら除去してしまうが本質的対応を別個専用の設備で行うべきである。
前記したように脱イオン室1で処理した処理液が脱イオン室2の被処理液になることがある。
<プロセス水>
濃縮室に注入して移動してくるイオンを電極室に向けて排出する水で、通常では電気伝導度が1 μS/cm以下の純水である。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は電気再生式脱イオン装置の構成に関するものであり、図2に示されている。
前記装置の基本構造2は脱水室の中間膜に通水孔付フッ素系イオン交換膜を用い、被処理液注入口を脱イオン室1に設け、処理液出口を脱イオン室2に設けた以外は基本構造1と同じである。
これは通水孔の役割が激しく水の解離が生じているバイポーラ界面への水供給を促し、液不足という不測の事態から装置の空焚き故障を防ぐことにあり前記したとおりである。
この構造2は脱イオン能力という点で構造1に較べ劣るが、イオン濃度の高い被処理溶液を脱イオンするときに大きな電流で連続して処理するのに適している。ここでの構成要素は第一の実施形態で述べた内容と同じなので省略する。
[第3の実施形態]
前記第1の実施形態に記載の電気式一体型脱イオン装置を使用して両イオンを脱イオンする方法についてである。図1を参照しながら説明する。
(a)装置稼働開始ステップと
前記装置稼働開始ステップが通電する前に前記プロセス注水口1および前記プロセス注水口2から純水を連続して注入し、各電極室の排出口から排出させ、次いで被処理液1を前記被処理液入口1から連続して注入し、前記処理液出口1から処理液1を排出して、被処理液2を前記被処理液入口2に連続して注入して前記処理液出口2から処理液2を排出する
(b)脱イオン処理ステップと
前記脱イオン処理ステップが前記装置稼働開始ステップの後、前記電極に通電する
(c)回収ステップと
前記回収ステップが前記脱イオン処理ステップの後、前記処理液出口1から脱陰イオンした処理液1を、前記処理液出口2から脱陽イオンした処理液2を回収する
を備える被処理溶液1中の陰イオン、被処理溶液2中の陽イオンを脱イオンする方法である。
本装置では電極間にイオン交換体を使っており、水の存在下であってはじめて通電し、稼働するのである。
[第4の実施形態]
前記第1の実施例に記載の電気式一体型脱イオン装置を使用して陰イオンを脱イオンする方法であって、
(a)装置稼働開始ステップと
前記装置稼働開始ステップが通電する前に前記プロセス注水口1および前記プロセス注水口2から純水を連続して注入し、各電極室の排出口から排出させ、次いで被処理液を前記被処理液入口1から連続して注入し、前記処理液出口1から排出して、純水を前記被処理液入口2からに連続して注入して前記処理液出口2から排出する
(b)脱イオン処理ステップと
前記脱イオン処理ステップが前記装置稼働開始ステップの後、前記電極に通電する
(c)回収ステップと
前記回収ステップが前記脱イオン処理ステップの後、前記処理液出口1から処理液を回収する
を備える被処理溶液中の陰イオンを脱イオンする方法である。
被処理液中の陰イオンだけを除く方法であり、2室ある脱イオン室の内被処理液を通すのは1室だけで他の脱イオン室には純水を流すのがポイントである。
これは被処理液中に溶け込んだ塩の量を監視したいとき陰イオンだけ除去して残りの溶液で陽イオンの量を測定し、溶け込んだ塩の量を算出するのである。
<第5の実施形態>
前記第1の実施形態に記載の電気式一体型脱イオン装置を使用して陽イオンを脱イオンする方法についてである。
(a)装置稼働開始ステップと
前記装置稼働開始ステップが通電する前に前記プロセス注水口1および前記プロセス注水口2から純水を連続して注入し、各電極室の排出口から排出させ、次いで被処理液を前記被処理液入口2から連続して注入し、前記処理液出口2から排出して、純水を前記被処理液入口1からに連続して注入して前記処理液出口1から排出する
(b)脱イオン処理ステップと
前記脱イオン処理ステップが前記装置稼働開始ステップの後、前記電極に通電する
(c)回収ステップと
前記回収ステップが前記脱イオン処理ステップの後、前記処理液出口2から処理液を回収する
を備える被処理溶液中の陽イオンを脱イオンする方法である。
前記被処理溶液中の陰イオンに代えて陽イオンを除去する場合について脱イオンする方法を示したもので、改めて説明するまでもないので省略する。
<第6の実施形態>
前記第2の実施形態に記載の電気式一体型脱イオン装置を使用して脱イオンする方法についてである。
(a)装置稼働開始ステップと
前記装置稼働開始ステップが通電する前に前記プロセス注水口1および前記プロセス注水口2から純水を連続して注入し、各電極室の排出口から排出させ、次いで被処理液を前記被処理液入口から連続して注入し、前記処理液出口から処理液を排出する
(b)脱イオン処理ステップと
前記脱イオン処理ステップが前記装置稼働開始ステップの後、前記電極に通電する
(c)回収ステップと
前記回収ステップが前記脱イオン処理ステップの後、前記処理液出口から処理液を回収する
を備える被処理液中の陰イオンおよび陽イオンを脱イオンする方法である。
第2の実施形態に示す脱イオン装置では比較的濃度の高い被処理液を脱イオンするのに適し、しかも陰イオン、陽イオンを共に脱イオンするように一体型脱イオン装置になっているから被処理液注入口から注入して、処理液出口から排出する。
<第7の実施形態>
前記第1の実施形態に記載の電気式一体型脱イオン装置を使用してイオンクロマトグラフ分析における溶離液を生成する方法についてである。
(a)原水から陽イオンまたは陰イオンを除去するステップと
前記原水から陽イオンまたは陰イオンを除去するステップが
(a−1)前記陽イオンを除去する場合
前記第3実施形態または前記第5実施形態に記載する方法により原水をそれぞれ前記被処理液2または前記被処理液とし、前記処理液2または前記処理液を脱イオン水とする
(a−2)前記陰イオンを除去する場合
前記第3実施形態または前記第4実施形態に記載する方法により原水をそれぞれ前記被処理液1または前記被処理液とし、前記処理液1または前記処理液を脱イオン水とする
(b)さらに前記脱イオン水に必要な陰イオンあるいは陽イオンを注入するステップと
を備える酸性溶離液あるいは塩基性溶離液の生成方法である。
すでに説明しているように第1の実施形態に示される脱イオン装置が高い脱イオン能力を有しているからこれを使ってイオンクロマトグラフ分析に必要な高純度溶離液の生成に用いることができる。溶離液の生成過程は高い純度の水に酸または塩基のイオンを注入して酸性溶離液、塩基性溶離液をつくるのである。
この高純度水の生成用、より正確には脱陰イオン水または脱陽イオン水の生成用に本装置を使用し、その後の酸または塩基のイオンを注入して酸性溶離液、塩基性溶離液をつくる方法は公知の高純度電解質溶液生成装置を使用することができる。この公知の高純度電解質溶液生成装置の例として本発明者による特許第4968812号(高純度電解質溶液生成装置)に開示されている。そして本実施形態を実施した実施例が後述されている。
<第8の実施形態>
前記第1の実施形態に記載の電気式一体型脱イオン装置を使用してイオンクロマトグラフ分析における分離カラム後の脱イオンする方法についてである。
(a)分離カラムからの溶出液から分析対象以外のイオンを除去するステップと
前記分離カラムからの溶出液から分析対象以外のイオンを除去するステップが
(a1)陽イオンクロマトグラフ分析で分析対象以外の陰イオンを除去する場合には前記第5の実施の形態に記載する方法により前記分離カラムで分離された液を前記被処理液とし、脱陰イオンされた前記処理液を得る
(a2)陰イオンクロマトグラフ分析で分析対象以外の陽イオンを除去する場合には前記第4の実施の形態に記載する方法により前記分離カラムで分離された液を前記被処理液とし、脱陽イオンされた前記処理液を得る
(b)さらに脱イオンされた前記処理液を検出器へかけるステップと
を備える脱イオンする方法である。
前記した第7の実施形態で説明したように第1の実施形態に示される脱イオン装置が高い脱イオン能力を有しているからこれを使ってイオンクロマトグラフ分析における分離カラムからの溶出液の脱イオン工程に使用するのである。分離カラムにおいて、サンプル液中のイオンを成分別に分離・溶出した後、検出目的のイオン以外の反対極性イオンを除去するための脱イオン装置があり、これに使用するのである。
本発明の電気再生式脱イオン装置の最大の特徴である高電流耐久性を示す比較実験を各種のイオン交換膜を使って行った。
開発したイオン除去装置の耐久試験に利用した装置の概略図を図3に示す。
使用した装置は、ポンプ1と3(peristaltic pump,1 mL/min で流量コントロール)、ポンプ2(1 mL/min, DP-8020, Tosoh, Tokyo, Japan)、イオン除去装置(200 mA, Nichiri, Chiba, Japan, 図4〜7に使用した装置を示す)から成る。陽イオン交換体として陽イオン交換樹脂、陰イオン交換体として陰イオン交換樹脂、脱イオン室のバイポーラ界面として図4の装置では陰イオン交換樹脂と通水孔付フッ素系陽イオン交換膜(CMF),図5の装置で通水孔付陰イオン交換膜(AHA)と陽イオン交換樹脂、図6の装置で通水孔付陽イオン交換膜(C66)と陰イオン交換樹脂、図7の装置で陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂で構成された。
図4〜7の図中に用いた用語、記号は下記のとおりである。
陰イオン交換膜 (AHA, 株式会社アストム)、通水孔付陽イオン交換膜(C66, 株式会社アストム)、フッ素系陽イオン交換膜 (CMF, 旭硝子)、通水孔付フッ素系陽イオン交換膜 (CMF, 旭硝子)、DOH:OH- 水の解離で生成したイオン、DH: H+、水の解離で生成したイオン、陰イオン交換樹脂(登録商標Amberlite, IRA402BL, 0.6 〜 0.8 mm, L, 0.6 meq/mL, Organo, Tokyo, Japan)、陽イオン交換樹脂(登録商標Amberlite, IR120BL, 0.6〜 0.8 mm, 2.0 meq/mL以下, Organo, Tokyo, Japan)。
図3に示すように微量のイオンを含んだ純水溶液は、ポンプ 2によりイオン除去装置へ送られる。陽イオン交換樹脂が充填してある脱イオン室2では陽イオンが除去され、陰イオン交換樹脂が充填してある脱イオン室1では陰イオンが除去される。プロセス水として純水(電気伝導 1 μS/cm以下)がポンプ1と3によりイオン除去装置へ送られる。電極で発生する泡もプロセス水とともに系外へ排出される。
図4に示す装置を使用し、印加電流200 mA下において、イオン除去装置の耐久試験を行った。図4〜7の装置は内径6 mmφの円筒であり、印加電流密度は700 mA/cm2である。最大許容電流は1000 mA/cm2であるから70 %レベルの稼働で行った。図4〜7の装置に200 mAの電流を印加し、その時の測定した電圧の変化を表1−1から表1−2、表1−3までと図8に示す。
図8中の記号で×は中央部のバイポーラ界面である陰イオン交換樹脂と通水孔付フッ素系陽イオン交換膜で形成した装置であり、□は中央部のバイポーラ界面である陰イオン交換樹脂と通水孔付陽イオン交換膜(C66)(13)で、〇は中央部のバイポーラ界面である陽イオン交換樹脂と通水孔付陰イオン交換膜(AHA)(12)で、△は中央部のバイポーラ界面である陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂で形成した装置である。
図8から分かるように、中央部のバイポーラ界面である陰イオンは樹脂と通水孔付フッ素系陽イオン交換膜で形成した装置の電圧の変化は一定で、装置は壊れていないことが分かる。しかし、その他の3つの装置では、中央部のバイポーラ界面が陰イオン交換樹脂と通水孔付陽イオン交換膜(C66),通水孔付陰イオン交換膜(AHA)と陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂で構成され、いずれも電圧が上昇し装置が壊れることが分かる。また、前記界面部分の故障を試験終了後分解して目視で確認している。通水孔付陽イオン交換膜(C66)は黒変しており、通水孔付陰イオン交換膜(AHA)は膜表面に陽イオン交換樹脂がびっしり付着していた。陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂とはびっしりとくっ付いていた。いずれも組織が壊れ、イオン交換機能が損なわれているものと推察される。
この結果は、中央部のバイポーラ界面が陰イオン交換樹脂と通水孔付フッ素系陽イオン交換膜で形成したものの優位性が明らかになった。また、上記の実験では通水孔付のタイプで確認したものだが上記の結果は材質の耐久性が比較されたものであるから通水孔のないものでもまったく同様の耐久性が示されるものとみなされる。
図2に示される脱イオン装置のイオン除去能力を、イオンクロマトグラフ分析を使って調べる。まず、陽イオンの除去能力を確かめる。
<脱イオン装置と脱イオン方法>
約1 mM NaCl溶液中(陽イオン分析用イオンクロマトグラムで測定したNaイオン濃度; 26.4 mg/L, 陰イオン分析用イオンクロマトグラムで測定したClイオン濃度; 42.66 mg/L)のイオンを除去するために使用した装置の概略図を図9に示す。その装置は、ポンプ(pump, 1 mL/min, DP-8020, Tosoh, Tokyo, Japan)、イオン除去装置(ion remover, 100 mA, Nichiri, Chiba, Japan)から成る。
プロセス水はいずれも純水(電気伝導度1 μS/cm以下)を使用する。
NaCl溶液は、ポンプによりイオン除去装置の脱イオン室1へ流れ、その後、脱イオン室2へ送られる。脱イオン室2では陽イオンが除去され、脱イオン室1では陰イオンが除去される(陰イオンと陽イオンの除去室については図2を参照)。
<陽イオン分析>
陽イオンを分析するために使用したイオンクロマトグラフを図10に示す。
その装置は、ポンプ1(Pump 1, 1.3 mL/min, DP-8020)、ポンプ2(Pump 2, 1 mL/min, DP-8020)、陽イオン除去装置(cation remover, 100 mA, Nichiri)、酸性溶液生成装置(acid solution generator, Nichiri)、インジェクター(injection volume; 20 μL or 1 mL, 9010 model, Rheodyne, USA)、陽イオン分析用分離カラム(CS14, 4 mm I.D.× 250 mm L, Dionex, USA)、陰イオン除去装置(anion remover, 100 mA, Nichiri)、電気伝導度検出器(ECD; electrical conductivity detector, Nichiri)から成る。
純水(電気伝導度1μS/cm以下)はポンプ1により陽イオン除去装置に送られ、純水中に含まれる微量な陽イオンは除去される。陽イオンが除去された溶出液は、酸性溶液生成装置に送られる。酸性生成装置では、目的濃度の酸性溶液(約13 mM HCl)となるように、その純水中に陰イオンとしてClイオンが注入される。
その酸性溶液は陽イオン分析用の溶離液として、ポンプ2により陽イオン分析用のイオンクロマトグラフに送られる。イオンクロマトグラフでは、インジェクターで注入されたサンプルの陽イオンは分離カラムで分離される。分離カラムからの溶出液は陰イオン除去装置に送られ、陰イオン除去装置により陰イオンは除去され、陰イオン除去装置からの溶出液は電気伝導度検出器で測定される。
イオン除去装置の陽イオンの除去能力を確認した。約1 mM NaCl溶液(陽イオン分析用イオンクロマトグラムで測定したNaイオン濃度; 26.4 mg/L, 陰イオン分析用イオンクロマトグラムで測定したClイオン濃度; 42.66 mg/L)をイオン除去装置の脱イオン室1から脱イオン室2に向けて流し、装置からの溶出液を陽イオン分析用のイオンクロマトグラフに注入し、溶出液中に含まれる陽イオンの濃度を測定した。
NaCl溶液をイオン除去装置で処理した時の陽イオンのクロマトグラムを図11に示す。図11の(a)は1 mM NaCl溶液、(b)脱イオン室1と2で処理されたものである。図中の1はNaイオンである。
NaCl溶液がイオン除去装置の脱イオン室2に流れると、陽イオンが除去される。イオン除去装置からの溶出液中にNaイオンは0.29 mg/L含まれていた。この結果から、脱イオン室2において、Naイオンの濃度は1/91(0.29/26.4)まで減少することが分かった。
<陰イオン分析>
つぎに脱イオン装置で陰イオンの脱イオン能力を確かめる。
陰イオンを分析するために使用したイオンクロマトグラフを図12に示す。
その装置は、ポンプ1(Pump 1, 1.3 mL/min, DP-8020)、ポンプ2(Pump 2, 1 mL/min, DP-8020)、陰イオン除去装置(anion remover, 100 mA, Nichiri)、塩基性溶液生成装置(Base solution generator, Nichiri)、インジェクター(Injection volume; 20 μL or 1 mL, 9010 model, Rheodyne, USA)、陰イオン分析用分離カラム(AS9HC, 4 mm I.D.×250 mm L, Dionex, USA)、陽イオン除去装置(cation remover, 100 mA, Nichiri)、電気伝導度検出器(ECD; electrical conductivity detector, Nichiri)から成る。
純水(電気伝導度1 μS/cm以下)はポンプ1により陰イオン除去装置に送られ、純水中に含まれる微量な陰イオンは除去される。陰イオンが除去された溶出液は、塩基性溶液生成装置に送られる。塩基性生成装置では、目的濃度の塩基性溶液(約50 mM NaOH)となるように、その純水中に陽イオンとしてNaイオンが注入される。
その塩基性溶液は陰イオン分析用の溶離液として、ポンプ2により陰イオン分析用のイオンクロマトグラフに送られる。イオンクロマトグラフでは、インジェクターで注入されたサンプルの陰イオンは分離カラムで分離される。分離カラムからの溶出液は、陽イオン除去装置に送られ、陽イオン除去装置により陽イオンは除去され、陽イオン除去装置からの溶出液は電気伝導度検出器で測定される。
イオン除去装置の陰イオンの除去能力を確認した。約1 mM NaCl溶液(陽イオン分析用イオンクロマトグラムで測定したNaイオン濃度; 26.4 mg/L, 陰イオン分析用イオンクロマトグラムで測定したClイオン濃度; 42.66 mg/L)をイオン除去装置に流し、装置からの溶出液を陰イオン分析用のイオンクロマトグラフに注入し、溶出液中に含まれる陰イオンの濃度を測定した。
NaCl溶液をイオン除去装置で処理した時の陰イオンのクロマトグラムを図13に示す。図13の(a)は1 mM NaCl溶液で、(b)は脱イオン室1と2で処理したものである。図中の1はClイオンである。
NaCl溶液がイオン除去装置の脱イオン室1に流れると、陰イオンが除去される。イオン除去装置からの溶出液中に、塩素イオンは2.16 mg/L含まれていた。この結果から、脱イオン室1において、塩素イオンの濃度は1/20(2.16/42.66)となることが分かった。
図1に示す脱イオン装置のイオン除去能力をイオンクロマト分析で調べる。
<脱イオン装置と脱イオン方法の概要>
約1 mM NaCl溶液(陽イオン分析用イオンクロマトグラムで測定したNaイオン濃度; 26.6 mg/L, 陰イオン分析用イオンクロマトグラムで測定したClイオン濃度; 40.06 mg/L)中のイオンを除去するために使用した装置の概略図を図14に示す。その装置は、ポンプ(pump, 1 mL/min, DP-8020, Tosoh, Tokyo, Japan)、イオン除去装置(ion remover, 100 mA, Nichiri, Chiba, Japan)から成る。
プロセス水はいずれも純水(電気伝導度1 μS/cm以下)を使用する。
1 mM NaCl溶液は、ポンプによりイオン除去装置の脱イオン室2と脱イオン室1へそれぞれ別個に送られる。脱イオン室2では陽イオンが除去され、脱イオン室1では陰イオンが除去される(陰イオンと陽イオンの除去室については図1を参照)。
<陽イオン分析用イオンクロマトグラフ>
陽イオンを分析するために使用したイオンクロマトグラフを図15に示す。
その装置は、ポンプ1(Pump 1, 1.3 mL/min, DP-8020)、ポンプ2(Pump 2, 1 mL/min, DP-8020)、陽イオン除去装置(cation remover, 100 mA, Nichiri)、酸性溶液生成装置(acid solution generator, Nichiri)、インジェクター(injection volume; 20 μL or 1 mL, 9010 model, Rheodyne, USA)、陽イオン分析用分離カラム(CS14, 4 mm I.D. × 250 mm L, Dionex, USA)、陰イオン除去装置(anion remover, 100 mA, Nichiri)、電気伝導度検出器(ECD; electrical conductivity detector, Nichiri)から成る。
純水(電気伝導度1 μS/cm以下)はポンプ1により陽イオン除去装置に送られ、純水中に含まれる微量な陽イオンは除去される。陽イオンが除去された溶出液は、酸性溶液生成装置に送られる。酸性溶液生成装置では、陰イオンが注入され、目的濃度の酸性溶液(約13 mM HCl)となり溶出される。
その酸性溶液は陽イオン分析用の溶離液として、ポンプ2により陽イオン分析用のイオンクロマトグラフに送られる。イオンクロマトグラフでは、インジェクターで注入されたサンプルの陽イオンは分離カラムで分離される。分離カラムからの溶出液は陰イオン除去装置に送られ、陰イオン除去装置により陰イオンは除去され、陰イオン除去装置からの溶出液は電気伝導度検出器で測定される。
<イオン除去能力の確認>
<陽イオン分析>
イオン除去装置の陽イオンの除去能力を確認した。約1 mM NaCl溶液(陽イオン分析用イオンクロマトグラムで測定したNaイオン濃度; 26.6 mg/L)をイオン除去装置の脱イオン室2と脱イオン室1に流し、部屋からの溶出液を陽イオン分析用のイオンクロマトグラフに注入し、溶出液中に含まれる陽イオンの濃度を測定した。
1 mM NaCl溶液をイオン除去装置で処理した時の陽イオンのクロマトグラムを図16に示す。図16の(a)は1 mM NaCl溶液、(b)脱イオン室1で処理,(c)脱イオン室2で処理したときのものである。図中の1はNaイオン、2、3、4は不明陽イオンである。
1 mM NaCl溶液がイオン除去装置の脱イオン室2に流れると、陽イオンが除去され、陽イオン成分のピークは確認できない(図16(c))。低濃度の陽イオンを測定するために、サンプル注入量を20 μLから1 mLへと50倍に増やし、イオン除去装置の脱イオン室2からの溶出液中に含まれている陽イオンを測定したクロマトグラムを図17に示す。図中の1はNaイオン、2、3、4は不明陽イオンである。
脱イオン室2からの溶出液中にNaイオンは0.43 μg/L含まれていた。この結果から、脱イオン室2において、Naイオンの濃度は1/61860(0.00043/26.6)まで減少することが分かった。
そして、イオン除去装置の脱イオン室1に流れると、Naイオン以外に、脱イオン室1由来の陽イオンが溶出していることが分かる。脱イオン室1由来の陽イオンは、脱イオン室1に充填している陰イオン交換樹脂から溶出している陽イオンである。陰イオン交換樹脂には第4級アミン基がイオン交換基として化学結合している。この4級アミン基は、アルカリ条件下において、ホフマン分解が起こることが知られている。この実験条件では、イオン除去装置の脱イオン室1はアルカリ状態となるため、ホフマン分解により分解した第4級アミン由来の陽イオン(3級アミンほか)の溶出が起こる。つまり分解素反応がとらえられており、液中反応のメカニズムを研究する上で貴重な分析結果である。今後のこのような超稀薄濃度溶液での超高感度分析に威力を発揮していくものと期待される。
従って、イオン除去装置の脱イオン室1において陰イオンを除去する場合、微量ではあるが陽イオンが溶出する問題が起こる。この問題は、脱イオン室1からの溶出液をイオン除去装置の脱イオン室2へ流すことにより、脱イオン室1から溶出する陽イオンを除去することができる。
<陰イオン分析用イオンクロマトグラフ>
陰イオンを分析するために使用したイオンクロマトグラフを図18に示す。
その装置は、ポンプ1(Pump 1, 1.3 mL/min, DP-8020)、ポンプ2(Pump 2, 1 mL/min, DP-8020)、陰イオン除去装置(anion remover, 100 mA, Nichiri)、塩基性溶液生成装置(Base solution generator, Nichiri)、インジェクター(Injection volume; 20 μLor, 1 mL, 9010 model, Rhodyne, USA)、陰イオン分析用分離カラム(AS9HC, 4 mm I.D.×250 mm L, Dionex, USA)、陽イオン除去装置(cation remover, 100 mA, Nichiri)、電気伝導度検出器(ECD; electrical conductivity detector, Nichiri)から成る。
純水(電気伝導度1 μS/cm以下)はポンプ1により陰イオン除去装置に送られ、純水中に含まれる微量な陰イオンは除去される。陰イオンが除去された溶出液は、塩基性溶液生成装置に送られる。塩基性生成装置では、陽イオンが注入され、目的濃度(約50 mM)の塩基性溶液となり溶出される。
その塩基性溶液は陰イオン分析用の溶離液として、ポンプ2により陰イオン分析用のイオンクロマトグラフに送られる。イオンクロマトグラフでは、インジェクターで注入されたサンプルの陰イオンは分離カラムで分離される。分離カラムからの溶出液は陽イオン除去装置に送られ、陽イオン除去装置により陽イオンは除去され、陽イオン除去装置からの溶出液は電気伝導度検出器で測定される。
<陰イオン分析>
<イオン除去能力の確認>
イオン除去装置の陰イオンの除去能力を確認した。約1 mM NaCl溶液(陰イオン分析用イオンクロマトグラムで測定したClイオン濃度; 40.06 mg/L)をイオン除去装置の脱イオン室1と脱イオン室2に流し、各部屋からの溶出液を陰イオン分析用のイオンクロマトグラフに注入し、溶出液中に含まれる陰イオンの濃度を測定した。1 mM NaCl溶液をイオン除去装置で処理した時の陰イオンのクロマトグラムを図19に示す。図19の(a)は1 mM NaCl溶液,(b)脱イオン室2で処理、(c)脱イオン室1で処理したものである。図中の1は Cl-、2は CO3 2-である。
1 mM NaCl溶液がイオン除去装置の脱イオン室1に流れると、陰イオンが除去され、陰イオンのピークは確認できない。低濃度の陰イオンを測定するために、サンプル注入量を20 μLから1 mLへと50倍に増やし、イオン除去装置の脱イオン室1からの溶出液中に含まれている陰イオンを測定したクロマトグラムを図20に示す。図中の1は不明陰イオン、2はClイオン(0.62 μg/L)、3はCO3 2-で、4は不明陰イオンである。
脱イオン室1からの溶出液中に、塩素イオンは0.62 μg/L含まれていた。この結果から、脱イオン室1において、塩素イオンの濃度は1/64620(0.00062/40.06)となることが分かった。
そして、イオン除去装置の脱イオン室2に流れると、Clイオン以外に、陰イオンが溶出していないことが分かる。この結果から、イオン除去装置の脱イオン室2では陽イオンが、脱イオン室1では陰イオンがそれぞれ除去されるので、両イオン除去室を通過したイオン除去装置からの溶出液中にはイオンを含まない溶液が溶出される。
図1に示す脱イオン装置のイオン除去能力をイオンクロマト分析で調べる。
まず、陽イオンの除去能力を確かめる。
<脱イオン装置と脱イオン方法の概要>
測定に使用した純水はEYELA製の純水装置(SA-2000E1)で作成した純水で、その純水の電気伝導度は1μS/cm以下である。純水溶液(陽イオン分析用イオンクロマトグラムで測定したNaイオン濃度; 42 μg/L, 陰イオン分析用イオンクロマトグラムで測定したClイオン濃度; 2.02 μg/L)中のイオンを除去するために使用した装置の概略図を図21に示す。その装置は、ポンプ(pump, 1 mL/min, DP-8020, Tosoh, Tokyo, Japan)、イオン除去装置(ion remover, 100 mA, Nichiri, Chiba, Japan)から成る。
プロセス水はいずれも上記装置で生成した純水を使用する。
純水溶液は、ポンプによりイオン除去装置の脱イオン室1と脱イオン室2へそれぞれ別個に送られる。脱イオン室2では陽イオンが除去され、脱イオン室1では陰イオンが除去される(陰イオンと陽イオンの除去室については図1を参照)。
<陽イオン分析用イオンクロマトグラフ>
陽イオンを分析するために使用したイオンクロマトグラフを図22に示す。
その装置は、ポンプ1(Pump 1, 1.3 mL/min, DP-8020)、ポンプ2(Pump 2, 1 mL/min, DP-8020)、陽イオン除去装置(cation remover, 100 mA, Nichiri)、酸性溶液生成装置(acid solution generator, Nichiri)、インジェクター(injection volume; 1 mL, 9010 model, Rheodyne, USA)、陽イオン分析用分離カラム(CS14, 4 mm I.D. × 250 mm L, Dionex, USA)、陰イオン除去装置(anion remover, 100 mA, Nichiri)、電気伝導度検出器(ECD; electrical conductivity detector, Nichiri)から成る。
純水(電気伝導度1 μS/cm以下)はポンプ1により陽イオン除去装置に送られ、純水中に含まれる微量な陽イオンは除去される。陽イオンが除去された溶出液は、酸性溶液生成装置に送られる。酸性溶液生成装置では、陰イオンが注入され、目的濃度(約13 mM HCl)の酸性溶液となり溶出される。
その酸性溶液は陽イオン分析用の溶離液として、ポンプ2により陽イオン分析用のイオンクロマトグラフに送られる。イオンクロマトグラフでは、インジェクターで注入されたサンプルの陽イオンは分離カラムで分離される。分離カラムからの溶出液は陰イオン除去装置に送られ、陰イオン除去装置により陰イオンは除去され、陰イオン除去装置からの溶出液は電気伝導度検出器で測定される。
<イオン除去能力の確認>
<陽イオン分析>
イオン除去装置の陽イオンの除去能力を確認した。純水溶液(陽イオン分析用イオンクロマトグラムで測定したNaイオン濃度; 42 μg/L)をイオン除去装置の脱イオン室2に流し、部屋からの溶出液を陽イオン分析用のイオンクロマトグラフに注入し、溶出液中に含まれる陽イオンの濃度を測定した。
純水溶液をイオン除去装置で処理した時の陽イオンのクロマトグラムを図23に示す。図23の(a)は純水溶液、(b)脱イオン室2で処理したときのものである。図中の1はNaイオン (42 μg/L)、2はKイオン(濃度不明)、3はCaイオン(濃度不明)である。
純水溶液がイオン除去装置の脱イオン室2に流れると、陽イオンが除去され、陽イオン成分のピークは確認できない。この結果から、脱イオン室2において、純水中のNaイオンの濃度は使用した検出器では検出することができなくなるまで減少することが分かった。
<陰イオン分析用イオンクロマトグラフ>
陰イオンを分析するために使用したイオンクロマトグラフを図24に示す。
その装置は、ポンプ1(Pump 1, 1.3 mL/min, DP-8020)、ポンプ2(Pump 2, 1 mL/min, DP-8020)、陰イオン除去装置(anion remover, 100 mA, Nichiri)、塩基性溶液生成装置(Base solution generator, Nichiri)、インジェクター(Injection volume; 20 μLor, 1 mL, 9010 model, Rhodyne, USA)、陰イオン分析用分離カラム(AS9HC, 4 mm I.D.×250 mm L, Dionex, USA)、陽イオン除去装置(cation remover, 100 mA, Nichiri)、電気伝導度検出器(ECD; electrical conductivity detector, Nichiri)から成る。
純水(電気伝導度1 μS/cm以下)はポンプ1により陰イオン除去装置に送られ、純水中に含まれる微量な陰イオンは除去される。陰イオンが除去された溶出液は、塩基性溶液生成装置に送られる。塩基性生成装置では、陽イオンが注入され、目的濃度(約50 mM)の塩基性溶液となり溶出される。
その塩基性溶液は陰イオン分析用の溶離液として、ポンプ2により陰イオン分析用のイオンクロマトグラフに送られる。イオンクロマトグラフでは、インジェクターで注入されたサンプルの陰イオンは分離カラムで分離される。分離カラムからの溶出液は陽イオン除去装置に送られ、陽イオン除去装置により陽イオンは除去され、陽イオン除去装置からの溶出液は電気伝導度検出器で測定される。
<陰イオン分析>
<イオン除去能力の確認>
イオン除去装置の陰イオンの除去能力を確認した。純水溶液(陰イオン分析用イオンクロマトグラムで測定したClイオン濃度; 2.02 μg/L)をイオン除去装置の脱イオン室1に流し、各部屋からの溶出液を陰イオン分析用のイオンクロマトグラフに注入し、溶出液中に含まれる陰イオンの濃度を測定した。純水溶液をイオン除去装置で処理した時の陰イオンのクロマトグラムを図25に示す。図25の(a)は純水溶液、(b)脱イオン室1で処理したものである。図中の1、2は不明陰イオン(濃度不明)、3はCl- (2.02 μg/L)、4はCO3 2- (濃度不明)である。
純水溶液がイオン除去装置の脱イオン室1に流れると、陰イオンが除去され、炭酸イオンのピーク高さは1/15となり、それ以外の陰イオン成分のピークは確認できない。この結果から、脱イオン室1において、純水中の炭酸イオン以外の陰イオンの濃度は、使用した検出器では検出することができなくなるまで減少することが分かった。陰イオン、陽イオンいずれも検出限界に達していたことから参考値として検出限界は、陽イオンで8.5 ng/L(Naイオン換算)、陰イオンで200 ng/L(Clイオン換算)を示しておく。
本発明の電気再生式脱イオン装置は化学反応実験の事前処理として、また事後処理として広範囲に脱イオン処理用に用いられる。特に図1の装置を用いて液中反応のメカニズムを研究する上で貴重な分析結果が得られたことから今後、このような超稀薄濃度溶液(ng /Lオーダー)での超高感度分析に威力を発揮していくものと期待される。
1 陰イオン交換膜
2 陽イオン交換膜
3 通水孔付フッ素系陽イオン交換膜
4 陰イオン交換体
5 陽イオン交換体
6 脱イオン室1
7 脱イオン室2
8 濃縮室1
9 濃縮室2
10 陽極
11 陰極

Claims (8)

  1. 電気式一体型脱イオン装置であって、
    (a)脱イオン室と
    (a1)前記脱イオン室が両電極間の中央部に配置したフッ素系陽イオン交換膜を挟んで両側面にイオン交換体を充填し、さらに外側をイオン交換膜で挟持した脱イオン室1,2を備え
    前記脱イオン室1が前記中央部フッ素系陽イオン交換膜と陽極電極側にあって陰イオン交換体と陰イオン交換膜を備え、
    前記脱イオン室2が前記中央部フッ素系陽イオン交換膜と陰極電極側にあって陽イオン交換体と陽イオン交換膜を備え、
    (a2)さらに被処理液入口1を前記脱イオン室1の一端に設け、同他端に処理液出口1を設けて、被処理液入口2を前記脱イオン室2の一端に設け、同他端に処理液出口2を設ける
    (b)濃縮室と
    (b1)前記濃縮室が前記脱イオン室1に連接して陽極側に濃縮室1と、前記脱イオン室2に連接して陰極側に濃縮室2を備え、
    前記濃縮室1が前記脱イオン室1を構成する前記陰イオン交換膜と陽極電極に接する通水孔付フッ素系陽イオン交換膜で陰イオン交換体を挟持してなり、
    前記濃縮室2が前記脱イオン室2を構成する前記陽イオン交換膜と陰極電極に接する通水孔付フッ素系陽イオン交換膜で陽イオン交換体を挟持してなる
    (b2)さらに前記濃縮室1にプロセス注水口1を、前記濃縮室2にプロセス注水口2を設ける
    (c)電極室と
    (c1)前記電極室が前記陽極電極と同電極に接して前記通水孔付陽イオン交換膜で仕切られる陽極電極室と、前記陰極電極と同電極に接して前記通水孔付陽イオン交換膜で仕切られる陰極電極室を備え、
    (c2)前記各電極室に排出口が設けられる
    を備える装置。
  2. 電気式一体型脱イオン装置であって、
    (a)脱イオン室と
    (a1)前記脱イオン室が両電極間の中央部に配置した通水孔付フッ素系陽イオン交換膜を挟んで両側面にイオン交換体を充填し、さらに外側をイオン交換膜で挟持した脱イオン室1,2を備え、
    前記脱イオン室1が前記中央部通水孔付フッ素系陽イオン交換膜と陽極電極側にあって陰イオン交換体と陰イオン交換膜を備え、
    前記脱イオン室2が前記中央部通水孔付フッ素系陽イオン交換膜と陰極電極側にあって陽イオン交換体と陽イオン交換膜を備え、
    (a2)さらに被処理液入口を前記脱イオン室1に設け、処理液出口を前記脱イオン室2に設ける
    (b)濃縮室と
    (b1)前記濃縮室が前記脱イオン室1に連接して陽極側に濃縮室1と、前記脱イオン室2に連接して陰極側に濃縮室2を備え、
    前記濃縮室1が前記脱イオン室1を構成する前記陰イオン交換膜と陽極電極に接する通水孔付フッ素系陽イオン交換膜で陰イオン交換体を挟持してなり、
    前記濃縮室2が前記脱イオン室2を構成する前記陽イオン交換膜と陰極電極に接する通水孔付フッ素系陽イオン交換膜で陽イオン交換体を挟持してなる
    (b2)さらに前記濃縮室1にプロセス注水口1を、前記濃縮室2にプロセス注水口2を設ける
    (c)電極室と
    (c1)前記電極室が前記陽極電極と同電極に接して前記通水孔付陽イオン交換膜で仕切られる陽極電極室と、前記陰極電極と同電極に接して前記通水孔付陽イオン交換膜で仕切られる陰極電極室を備え、
    (c2)前記各電極室に排出口が設けられる
    を備える装置。
  3. 前記請求項1に記載の電気式一体型脱イオン装置を使用して脱イオンする方法において
    (a)装置稼働開始ステップと
    前記装置稼働開始ステップが通電する前に前記プロセス注水口1および前記プロセス注水口2から純水を連続して注入し、各電極室の排出口から排出させ、次いで被処理液1を前記被処理液入口1から連続して注入し、前記処理液出口1から処理液1を排出して、被処理液2を前記被処理液入口2に連続して注入して前記処理液出口2から処理液2を排出する
    (b)脱イオン処理ステップと
    前記脱イオン処理ステップが前記装置稼働開始ステップの後、前記電極に通電する
    (c)回収ステップと
    前記回収ステップが前記脱イオン処理ステップの後、前記処理液出口1から脱陰イオンした処理液1を、前記処理液出口2から脱陽イオンした処理液2を回収する
    を備える被処理溶液1中の陰イオン、被処理溶液2中の陽イオンを脱イオンする方法。
  4. 前記請求項1に記載の電気式一体型脱イオン装置を使用して脱イオンする方法において
    (a)装置稼働開始ステップと
    前記装置稼働開始ステップが通電する前に前記プロセス注水口1および前記プロセス注水口2から純水を連続して注入し、各電極室の排出口から排出させ、次いで被処理液を前記被処理液入口1から連続して注入し、前記処理液出口1から排出して、純水を前記被処理液入口2から連続して注入して前記処理液出口2から排出する
    (b)脱イオン処理ステップと
    前記脱イオン処理ステップが前記装置稼働開始ステップの後、前記電極に通電する
    (c)回収ステップと
    前記回収ステップが前記脱イオン処理ステップの後、前記処理液出口1から処理液を回収する
    を備える被処理溶液中の陰イオンを脱イオンする方法。
  5. 前記請求項1に記載の電気式一体型脱イオン装置を使用して脱イオンする方法において
    (a)装置稼働開始ステップと
    前記装置稼働開始ステップが通電する前に前記プロセス注水口1および前記プロセス注水口2から純水を連続して注入し、各電極室の排出口から排出させ、次いで被処理液を前記被処理液入口2から連続して注入し、前記処理液出口2から排出して、純水を前記被処理液入口1から連続して注入して前記処理液出口1から排出する
    (b)脱イオン処理ステップと
    前記脱イオン処理ステップが前記装置稼働開始ステップの後、前記電極に通電する
    (c)回収ステップと
    前記回収ステップが前記脱イオン処理ステップの後、前記処理液出口2から処理液を回収する
    を備える被処理溶液中の陽イオンを脱イオンする方法。
    以上
  6. 前記請求項2に記載の電気式一体型脱イオン装置を使用して脱イオンする方法において
    (a)装置稼働開始ステップと
    前記装置稼働開始ステップが通電する前に前記プロセス注水口1および前記プロセス注水口2から純水を連続して注入し、各電極室の排出口から排出させ、次いで被処理液を前記被処理液入口から連続して注入し、前記処理液出口から処理液を取り出す
    (b)脱イオン処理ステップと
    前記脱イオン処理ステップが前記装置稼働開始ステップの後、前記電極に通電する
    (c)回収ステップと
    前記回収ステップが前記脱イオン処理ステップの後、前記処理液出口から処理液を回収する
    を備える被処理液中の陰イオンおよび陽イオンを脱イオンする方法。
  7. 前記請求項1に記載の電気式一体型脱イオン装置を使用してイオンクロマトグラフ分析における溶離液を生成する方法において
    (a)原水から陽イオンまたは陰イオンを除去するステップと
    前記原水から陽イオンまたは陰イオンを除去するステップが
    (a−1)前記陽イオンを除去する場合
    請求項3または請求項5に記載する方法により原水をそれぞれ前記被処理液2または前記被処理液とし、前記処理液2または前記処理液を脱イオン水とする
    (a−2)前記陰イオンを除去する場合
    請求項3または請求項4に記載する方法により原水をそれぞれ前記被処理液1または前記被処理液とし、前記処理液1または前記処理液を脱イオン水とする
    (b)さらに前記脱イオン水に必要な陰イオンあるいは陽イオンを注入するステップと
    を備える酸性溶離液あるいは塩基性溶離液の生成方法。
  8. 前記請求項1に記載の電気式一体型脱イオン装置を使用してイオンクロマトグラフ分析における分離カラム後の脱イオンする方法において
    (a)分離カラムで分離されたイオンを含む液から分析対象以外の陰イオンを除去するステップと
    前記分離カラムで分離されたイオンを含む液から分析対象以外の陽イオンを除去するステップが
    (a1)陽イオンクロマトグラフ分析で分析対象以外の陰イオンを除去する場合には請求項4または請求項3に記載する方法により前記分離カラムで分離された液を前記被処理液とし、脱陰イオンされた前記処理液を得る
    (a2)陰イオンクロマトグラフ分析で分析対象以外の陽イオンを除去する場合には請求項5または請求項3に記載する方法により前記分離カラムで分離された液を前記被処理液とし、脱陽イオンされた前記処理液を得る
    (b)さらに脱イオンされた前記処理液を検出器へかけるステップと
    を備える脱イオンする方法。
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