JP2003071455A - テトラアルキルアンモニウムを含有する廃液の処理方法及び装置 - Google Patents

テトラアルキルアンモニウムを含有する廃液の処理方法及び装置

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JP2003071455A JP2001260582A JP2001260582A JP2003071455A JP 2003071455 A JP2003071455 A JP 2003071455A JP 2001260582 A JP2001260582 A JP 2001260582A JP 2001260582 A JP2001260582 A JP 2001260582A JP 2003071455 A JP2003071455 A JP 2003071455A
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Mamoru Mizumoto
守 水本
Kiyomi Funabashi
清美 船橋
Masayoshi Kondo
政義 近藤
Naoto Uetake
直人 植竹
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】テトラアルキルアンモニウムを含有する廃液か
ら、テトラアルキルアンモニウムを高効率で分離、濃縮
する新規な電気化学セルを提供する。 【解決手段】カチオン交換膜交互に配置された電子伝導
性部材のうち、カチオン交換膜をはさんで正極側に面し
た部分を、負極として作用させ、カチオン交換膜をはさ
んで負極側に面した裏面を正極として作用させる。アニ
オン交換膜に代って、電子伝導性部材を用いることによ
り、強アルカリであるテトラアルキルアンモニウムを含
有する廃液中においても安定に作動することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体製造における
ポジ型フォトレジストの現像工程をはじめとする各種の
プロセスにおいて有機アルカリとして利用されるテトラ
アルキルアンモニウムイオンを含有する廃液を処理する
方法に関し、特に電気化学的処理により該成分を廃液中
から分離、濃縮する方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】アンモニウムイオン(NH4 +)の水素が全て
アルキル基で置換された、テトラメチルアンモニウム
((CH3)4N+)、テトラエチルアンモニウム((C2H5)4N+)、
テトラブチルアンモニウム((C4H9)4N+)等のテトラアル
キルアンモニウムの水酸化物は、強アルカリ性を示す有
機物として知られている。例えば、水酸化テトラメチル
アンモニウムの 1wt% 水溶液の pH は約 13 であり、ア
ンモニア水溶液よりも高く、ほぼ水酸化ナトリウムに匹
敵する。
【0003】このため、アルカリとして多方面で広く利
用されている。代表的な例として、半導体製造工程のポ
ジ型フォトレジストの現像においては、レジスト材を露
光によりアルカリ可溶性として、これをアルカリ性の水
溶液により溶解させる。アルカリとして水酸化ナトリウ
ム等を使用すると、ナトリウム等がウェハへの金属汚染
の原因となるため、アルカリ金属を含まない強アルカリ
性物質であるテトラアルキルアンモニウムが使用され
る。この他にもアルカリ金属による汚染を排除する必要
がある用途においては、強アルカリ物質として広く使用
されている。
【0004】テトラアルキルアンモニウムイオンを含有
する廃液の処理に関しては、吸着法、濃縮-熱分解法あ
るいは生物処理法等が主体である。しかし活性炭、イオ
ン交換樹脂等を使用する吸着法では、上記吸着剤の再生
処理に多量の薬液類を必要とする。濃縮-熱分解法で
は、廃液中には高々数%オーダーの濃度でしか含まれて
いないテトラアルキルアンモニウムを濃縮するために大
量のエネルギーを必要とする。生物処理においては、処
理速度が遅いために大面積の処理槽の設置が必要とな
る。
【0005】強アルカリであるテトラアルキルアンモニ
ウムは、廃液中に溶解した状態では陽イオン(カチオン)
としてほぼ100%解離している。この特徴を利用する電気
化学的分離手法として、電気透析法が開発されている。
例えば、特許第3164968号公報には、正極と負極の間に
カチオン交換膜とアニオン交換膜を交互に並べて成る電
気透析装置により、水酸化テトラメチルアンモニウムを
含有するフォトレジスト廃液からテトラメチルアンモニ
ウムを分離する方法が記載されている。
【0006】しかしこの方法では、カチオン交換膜に比
べて安定性に劣るアニオン交換膜が、強アルカリの液性
を持つテトラアルキルアンモニウムを含有する廃液中で
劣化を受け、分離特性に悪影響を与える可能性がある。
【0007】このような問題点に対する一つの解決策と
して、特公昭51−9016号公報には、電気透析において安
定性に劣るアニオン交換膜の代りに、ポリビニルアルコ
ール等のイオン交換基を持たない親水性の中性膜を使用
する方法が記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポジ型フォ
トレジストの現像工程をはじめとする各種のプロセスに
おいて利用されるテトラアルキルアンモニウムイオンを
含有する廃液を電気化学的方法により、廃液中に含まれ
るテトラアルキルアンモニウムを、効率的に分離、濃縮
する方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明において処理の対
象となるテトラアルキルアンモニウムは、廃液中に溶解
した状態ではカチオンとしてほぼ100%解離した状態で存
在しており、強アルカリ性を示す。電気透析法により廃
液中のテトラアルキルアンモニウムを分離する場合は、
図2に示すように、アニオン交換膜51とカチオン交換
膜52を交互に配置した電気透析セル11の、各イオン
交換膜で区画されたのうち脱塩室22にテトラアルキル
アンモニウムイオンを含有する現像廃液25を通じ、電
気透析セル11の両端に設置した正極12及び負極13
に電圧を印加する。廃液25中に含まれるテトラアルキ
ルアンモニウムイオンは、カチオンであるため電場に沿
って負極方向に移動し、カチオン交換膜52を通過する
が、アニオン交換膜51により阻止され、濃縮室23に
留まる。同じく廃液中に含まれる水酸イオンは、アニオ
ンであるため電場に沿って正極方向に移動し、アニオン
交換膜51を通過するが、カチオン交換膜52により阻
止され、濃縮室23に留まる。濃縮室23に回収用の液
を供給しておけば、脱塩室22から濃縮室23に移動し
たテトラアルキルアンモニウムは濃縮室23から回収液
26中に水酸化テトラアルキルアンモニウムとして排出
される。
【0010】イオン解離していない廃液25中の溶解物
は、アニオン交換膜51及びカチオン交換膜52を通過
することができず、脱塩室22からそのまま排出され
る。これにより、廃液中のテトラアルキルアンモニウム
は廃液25中から、回収液26中に水酸化テトラアルキ
ルアンモニウムとして分離される。
【0011】通常の電気透析法では、アニオン交換膜と
カチオン交換膜を組合わせて使用する。しかしアニオン
交換膜は、カチオン交換膜に比べて、薬剤に対する耐久
性が低いという難点がある。上述したように、テトラア
ルキルアンモニウムの水溶液は強アルカリであり、1wt%
の濃度でpH はおよそ 13 程度にもなる。このような強
アルカリ条件下では、アニオン交換膜のイオン交換基で
ある第四級アンモニウム塩が劣化を受けるおそれがあ
る。
【0012】図3に示すような、正極12と負極13の
間にアニオン交換膜51とカチオン交換膜52を配置し
た小型のバッチセルを使用してテトラメチルアンモニウ
ム水溶液の電気透析を行った。このセルでは、カチオン
交換膜52とアニオン交換膜51で区切られた区画2か
ら、負極13とカチオン交換膜52で区切られた区画1
へテトラメチルアンモニウムは移動し、区画1では濃縮
が、区画2では希釈が起こる。一方正極12とアニオン
交換膜51で区切られた区画3では、区画2から移動し
てきた水酸イオンは正極12において、次式により消費
されるため、濃縮あるいは希釈は起こらない。 4 OH- → O2 + 2 H2O + 4 e-…(1) 濃度 0.015wt% の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶
液を用いて電気透析を行い、各区画で溶液の pH を測定
すると、区画1では濃縮が起こるため pH は最も高く、
区画2では希釈が起こるため pH は最も低くなる。区画
3では濃度変化がないため、pH は前二者の中間の値と
なる。
【0013】電気透析を繰り返して、試験後の各室の p
H を計測してその変化の様子を調べた。それによると、
図4に示すように、試験を繰り返すうちに、本来なら電
気透析によっては濃度が変化しないはずの区画3で、溶
液の pH が低下する現象が認められた。これは、アニオ
ン交換膜が劣化してカチオンの移動をブロックできなく
なったため、テトラメチルアンモニウムが負極方向へ移
動し、このために pHが低下したことを示す。
【0014】このようなアニオン交換膜の劣化現象は広
く知られており、例えば、特公昭 51−9016号公報では
アニオン交換膜の代りにポリビニルアルコール系の親水
性の中性膜を使用する方法が記載されている。しかしこ
の方法では分離、濃縮する対象がアニオンであり、この
アニオンが電場に沿って正極方向へ移動しようとして
も、カチオン交換膜によるブロックが作用し、該アニオ
ンはカチオン交換膜の負極側の区画に留まり、電気透析
による分離が可能となる。しかし、テトラメチルアンモ
ニウムはカチオンであり、このカチオンが電場に沿って
負極方向へ移動する場合、アニオン交換膜の代りに中性
膜を使用するのでは、カチオンはカチオン交換膜のみな
らず中性膜をも透過して負極まで至ることになり、電気
透析ではカチオンを効率的には分離することができな
い。
【0015】発明者らは、テトラアルキルアンモニウム
の分離、濃縮において、安定性に劣るアニオン交換膜に
代る部材について鋭意検討し、その結果、アニオン交換
膜の代りに電子伝導性の部材を設置して、正極と負極の
間にカチオン交換膜と電子伝導性部材から成るペアを配
置する電気化学セルを構成することにより効率的にテト
ラアルキルアンモニウムを分離、濃縮できることを見出
した。
【0016】すなわち、図1に示すように、本発明にな
る電気化学セル31は、アニオン交換膜の代りに電子伝
導性部材53を配置し、電気化学セル31に給電する正
極12と負極13の間に、カチオン交換膜52/電子伝
導性部材53/カチオン交換膜52/電子伝導性部材5
3/……/カチオン交換膜52/電子伝導性部材53/
カチオン交換膜52となる構成で各部材を配置する。こ
こにおいて、カチオン交換膜と電子伝導性部材から成る
ペアは必要に応じて、その数を増減させることができ
る。
【0017】廃液中のテトラアルキルアンモニウムを分
離、濃縮するためには、カチオン交換膜52をはさん
で、正極12側の区画が脱塩室22となるので、ここに
にテトラアルキルアンモニウムを含む現像廃液25を供
給する。一方、カチオン交換膜52をはさんで、負極1
3側の区画は濃縮室23となるので、ここにテトラアル
キルアンモニウムを回収するために液を流通させておけ
ば、回収液26中にテトラアルキルアンモニウムを分
離、濃縮させることができる。
【0018】ここにおいて、電子伝導性部材53は電場
に沿ってのテトラアルキルアンモニウムの負極方向への
移動を阻止し、濃縮室23にテトラアルキルアンモニウ
ムを留める働きを持つ。併せて、電子伝導性部材53は
バイポーラ極として電気化学セル31の電荷移動におい
て重要な役割を果たす。
【0019】この構成の電気化学セルに通電すると、正
極12に一番近いカチオン交換膜52をはさんで正極に
対して設置された電子伝導性部材53では、正極に面し
た側は負極として機能し、その裏側は正極として作用す
る。以下次のカチオン交換膜をはさんで設置された電子
伝導性の部材の正極側は負極として、裏側は正極として
機能する。これにより電子伝導性部材53の正極として
機能する面では、(1)式により水酸イオンより電子を受
け取り、この電子は電子伝導性部材53の中を移動し、
反対側の負極として機能する面で、(2)式により水に電
子を与えて水酸イオンを生成する。 4 OH- → O2 + 2 H2O + 4 e-…(1) 4 H2O + 4 e- → 4 OH- + 2 H2…(2) 通常の電気透析に比べて、図1に示す方式では正極1
2、負極13及びバイポーラ極として機能する電子伝導
性部材53の表面での電気分解が主体となる。電気透析
法においては、カチオン交換膜及びアニオン交換膜を介
してのカチオン及びアニオンの移動が主体であり、正極
あるいは負極側での電気透析の対象となる物質の分解を
抑制するために、正極の内側にはカチオン交換膜を、負
極の内側にはアニオン交換膜を設置し、双方の区画には
電気化学的に安定な物質を極液として供給する方法が一
般的であった。
【0020】しかし、テトラアルキルアンモニウムは水
系あるいは非水系電解液システムにおいて、例えば、テ
トラエチルアンモニウム((C2H5)4N+)あるいはテトラブ
チルアンモニウム((C4H9)4N+)の過塩素酸塩(ClO4 -)ある
いはホウフッ化水素酸塩(BF4 -)に代表されるように、支
持電解質として広く利用されている。この事実は、テト
ラアルキルアンモニウム塩が電気化学的には極めて安定
であり、アノード分解あるいはカソード分解が無視でき
るほどに少ないことを示す。
【0021】実際に水酸化テトラメチルアンモニウムの
水溶液のサイクリックボルタングラムを測定してみる
と、第5図に示すように、カソード側の水素発生と、ア
ノード側の酸素発生の間には酸化あるいは還元のピーク
は認められず、テトラメチルアンモニウムが電気透析に
おいて分解する可能性は低い。
【0022】従って、テトラアルキルアンモニウムを分
離、濃縮する場合には、正極あるいは負極室をイオン交
換膜で分画し、処理対象液から隔離し、正極あるいは負
極室に極液を流通させる必要はない。
【0023】本発明になる電気化学セル31の構成は、
通常電気分解において使用される構成の電気化学セルと
類似している。カチオン交換膜52をはさんで正極13
と電子伝導性部材53、あるいはカチオン交換膜52を
はさんで2枚の電子伝導性部材53、あるいはカチオン
交換膜52をはさんで電子伝導性部材53と負極12か
らなるそれぞれの組み合わせは、それぞれ電気化学セル
を構成している。
【0024】従って、テトラアルキルアンモニウムを含
有する廃液を、電気化学セル31に導き、正極及び負極
間に通電すると、上述したそれぞれのセルの2枚の電極
において電気分解が進行する。しかし、図5に示すよう
に廃液中のテトラアルキルアンモニウムが分解する前
に、水の電気分解が起こるため、テトラアルキルアンモ
ニウムは分解されず、それぞれのセルの負極方向に移動
して、廃液から分離され、廃液と回収液の流量の比に応
じて濃縮される。
【0025】電子伝導体の材質としては、各種の金属あ
るいは合金、半導性の金属酸化物、カーボン類、導電性
高分子のようなものが使用できる。望ましくは、テトラ
アルキルアンモニウム水溶液との界面のうち、正極とし
て機能する側では酸化反応の雰囲気に、負極として機能
する側では還元反応の雰囲気と成るので、耐食性に優れ
た材質として、各種の金属あるいは合金電極を使用する
のが良い。さらに望ましくは、正極として機能する側で
は酸素発生が、負極として機能する側では水素発生が主
として進行するので、酸素発生及び水素発生の過電圧の
低い貴金属を含む電極材を使用するのが良い。
【0026】また液透過量の少ない緻密な部材を用いる
ことにより、イオン種の濃度拡散を抑制することがで
き、電流効率が向上する。
【0027】以下本発明の概要を第1図により説明す
る。
【0028】本発明になる電気化学セル31の構成は、
図2に示すよう従来型の電気透析セルにおいてアニオン
交換膜が占めていた部位に、代りに電子伝導性53の部
材を配置することに特徴がある。すなわち、電気化学セ
ル31に給電する正極12と負極13の間に、カチオン
交換膜52/電子伝導体53/カチオン交換膜52/電
子伝導体53/……/カチオン交換膜52/電子伝導体
53/カチオン交換膜52となる構成で各部材を配置す
る。ここにおいて、カチオン交換膜と電子伝導性部材か
ら成るペアは、廃液中のテトラアルキルアンモニウムの
処理量等の必要に応じて、その数を増減させることがで
きる。
【0029】テトラアルキルアンモニウムを含む現像廃
液25は、カチオン交換膜52をはさんで正極側12に
位置する脱塩室22に供給する。テトラアルキルアンモ
ニウムの回収液26は、カチオン交換膜を挟んで負極側
に位置する濃縮室23に供給する。
【0030】正極12と負極13の間に一定電圧を荷電
すると、カチオン交換膜52をはさんで正極側に位置す
る脱塩室22に供給されたテトラアルキルアンモニウム
は、カチオン交換膜52を透過して負極側の濃縮室23
に移動し、濃縮される。濃縮室23に面する電子伝導性
部材53の表面では、移動してくるテトラアルキルアン
モニウムカチオンに対して、電荷のバランスをとるた
め、次式により水酸イオンが生成する。これにより、濃
縮室23では水酸化テトラアルキルアンモニウムが濃縮
される。 4 H2O + 4 e- → 4 OH- + 2 H2…(2) 処理対象廃液中のアニオンは正極側の区画に残留する。
カチオンであるテトラアルキルアンモニウムが移動する
ため、電荷のバランスを取る必要から、廃液中のアニオ
ンが主として水酸イオンである場合は、脱塩室22に面
する電子伝導性部材53の表面で(1)式により分解し、
酸素を発生する。 4 OH- → O2 + 2 H2O + 4 e-…(1) 処理対象液中の非解離の中性分子は正極側の脱塩室22
に残留する。処理対象廃液中に溶解した金属等の他のカ
チオン種が共存する場合は、テトラアルキルアンモニウ
ムとともに脱塩室22から濃縮室23へ移動し、廃液か
ら分離、濃縮される。金属等の他のカチオンをテトラア
ルキルアンモニウムと分離するためには、濃縮室23か
ら回収されたテトラアルキルアンモニウムと他のカチオ
ンが分離、濃縮された回収液26を、さらに別途の手段
により処理する。
【0031】電気化学セル31に供給する現像廃液25
及び回収液26の量を適宜選ぶことにより、あるいは液
を特定の比率で循環させることにより、現像廃液25か
らのテトラアルキルアンモニウムの回収率、あるいは回
収液26へのテトラアルキルアンモニウムの濃縮率を任
意に設定することができる。また、電気化学セル31を
複数段直列に設置することにより、テトラアルキルアン
モニウムの回収率、あるいは濃縮率を高めることができ
る。
【0032】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施例を図に従って
説明する。 (実施例1)図6に示す装置を用いて、レジスト現像廃
液の分離、濃縮特性を評価した。電気化学セルの構成
は、正極/カチオン交換膜/電子伝導性部材/カチオン
交換膜/負極の4セルからなる。正極及び負極には白金
をメッキしたチタン板を使用した。電子伝導性部材とし
てはステンレス板を使用した。電気化学セルの断面積
は、10cm × 8cm である。
【0033】この電気化学セルに現像廃液を毎分 12cm3
の割合で供給し、セル電圧を 20V、25V、30V、40V に
それぞれ設定し、テトラメチルアンモニウムの分離、濃
縮特性を調べた。併せて、正極と電子伝導体間及び電子
伝導性部材と負極間の電圧をそれぞれ測定した。
【0034】現像廃液、回収液、及び処理された現像廃
液中のテトラメチルアンモニウム濃度からテトラメチル
アンモニウムの移動量を求め、供給量に対する移動量の
比から回収率を、移動量に対する通電量の比から電流効
率を算出し、その結果を表1に示す。それによると、セ
ル電圧が高くなるほどテトラメチルアンモニウムの回収
率は上昇し、40Vでは 93.9% となった。これに対して、
電流効率のほうは、30〜40% でセル電圧による変化が認
められなかった。
【0035】
【表1】
【0036】電流効率はいずれの場合も 40% 前後と、
比較例1に示す結果に比べて低い。これが如何なる理由
によるのかについて、現像廃液の組成を詳細に分析して
調べた。その結果、現像廃液中にアンモニアが混入して
いることがわかった。アンモニアが水溶液中に溶解する
と、一部は解離してアンモニウムイオンを形成する。ア
ンモニウムイオンはテトラメチルアンモニウムイオンと
同じくカチオンであり、図1あるいは図6に示す電気化
学セルにおいては両者は類似の挙動を示す。すなわち通
電中にアンモニウムイオンとテトラメチルアンモニウム
イオンとが等量移動したとすると、テトラメチルアンモ
ニウムの移動量に基づいて算出した電流効率は 50% と
なる。
【0037】本実施例の場合、アンモニウムイオンとテ
トラメチルアンモニウムイオンの濃度及び両者の電気伝
導度を加味して、両者の移動量を概算すると、表1の電
流効率とほぼ合致する。
【0038】正極と電子伝導性部材間及び電子伝導性部
材と負極間の電圧をそれぞれ測定したところ、本来なら
双方の電圧は等しいはずであるが、表2に示すように両
者の間の電圧分配に不均一が生じた。
【0039】
【表2】
【0040】これは、電気化学セル内の現像廃液及び回
収液の流れを直列に設定したためである。すなわち、図
6に示すように現像廃液の流路は、負極側の区画から正
極側の区画へと設定されており、廃液中のテトラメチル
アンモニウムの濃度は、カチオン交換膜を通してのテト
ラメチルアンモニウムの移動に対応して、負極側のほう
が高く、正極側へ移ると濃度は低下する。一方回収液の
流路は、正極側の区画から負極側の区画へと設定されて
おり、同じくカチオン交換膜を通してのテトラメチルア
ンモニウムの移動に対応して、正極側のほうが低く、負
極側へ移ると濃度は上昇する。
【0041】従って、両者を併せると正極側の2つの区
画の中を流れる液中のテトラメチルアンモニウムの濃度
は、負極側の2つの区画の中を流れる液中のテトラメチ
ルアンモニウムの濃度に比べて低いことになる。液の電
気伝導度は液中のテトラメチルアンモニウムの濃度に比
例するため、正極側の2つの区画の中の液の電気伝導度
は、負極側の2つの区画の液の電気伝導度に比べて低い
ことになる。従って、正極側の2つの区画における抵抗
損失は、負極側の2つの区画における抵抗損失に比べて
大きく、これにより表2に示すような電圧分配の不均一
が生じたものと考えられる。
【0042】流路の設定を並列に設定して、正極側の区
画と負極側の区画とを並行して流れるように設定する
と、表2に示すような電圧分配の不均一は解消される。
【0043】本実施例によれば、電子伝導性部材とカチ
オン交換膜の組み合わせにより、セル電圧40Vで現像廃
液中のテトラメチルアンモニウムの回収率を 93.9% と
することができた。 (実施例2)図7に示す装置を用いて、レジスト現像廃
液の分離、濃縮特性を評価した。この装置では、現像廃
液及び回収液はそれぞれ2つに分岐し、電子伝導性部材
をはさんで電気化学セルの正極側と負極側にに供給し
た。
【0044】この電気化学セルに現像廃液を毎分 12cm3
の割合で供給し、セル電圧を 40Vに設定し、テトラメ
チルアンモニウムの分離、濃縮特性を調べた。
【0045】現像廃液、回収液、及び処理された現像廃
液中のテトラメチルアンモニウム濃度からテトラメチル
アンモニウムの回収率を算出した結果、回収率は 91.1%
となり、表1に示すセル電圧 40V での試験結果とほぼ
一致した。
【0046】本実施例によれば、現像廃液及び回収液の
流路を並列に設定しても、テトラメチルアンモニウムの
回収率は、実施例1、すなわち、流路を直列に設定した
場合とほぼ同じであることがわかった。 (比較例1)図3に示すバッチ形式セルを用いて、分離
特性に及ぼす廃液中のテトラメチルアンモニウムの濃度
の影響を評価した。濃度の影響を評価するために模擬的
に、水酸化テトラメチルアンモニウムを、2wt%、0.2wt
%、及び0.015wt% 含む水溶液を調製した。
【0047】それぞれの液を図5に示すバッチ形式セル
に注入し、一定電圧で通電し、電流の経時変化を測定し
た。試験終了後各区画の液を採取し、それぞれの液中に
含まれるテトラメチルアンモニウム濃度を分析した。こ
の濃度からテトラメチルアンモニウムの移動量を算出
し、通電量との比較により電流効率を求めた。
【0048】
【表3】
【0049】表3に示す結果は、テトラメチルアンモニ
ウムの濃度が 0.18wt% 以上であると電流効率はほぼ 10
0% であるが、テトラメチルアンモニウムの濃度が 0.01
8wt% あるいはそれ以下まで低下すると、電流効率は 80
% 程度まで低下することを示している。
【0050】電流効率が低下する原因に関しては、テト
ラメチルアンモニウムの濃度が低下するに従って、テト
ラメチルアンモニウムの拡散が律速となり、局所的に水
の電気分解が起こり、これによって生成したプロトンあ
るいは水酸イオンにより電荷が移動したことに起因する
と考えられる。 (比較例2)比較例1と同じく図3に示すバッチ形式の
装置を用いて、濃度0.015wt%のテトラメチルアンモニウ
ム水溶液での電気透析試験を繰り返し、イオン交換膜の
耐久性を評価した。各バッチ試験の終了時に各区画の p
H を計測し、テトラメチルアンモニウムの濃度変化の指
標とした。
【0051】結果を図4に示す。それによると、51 回
めまでは区画3の pH は11以上で推移していたが、52回
めの試験において、区画3の pH が 10 と低下をはじ
め、その後試験を繰り返すたびに pH は低下し、55回め
の試験ではついに pH は 6 まで低下した。
【0052】アニオン交換膜51及びカチオン交換膜5
2が正常に機能していれば、区画2のテトラメチルアン
モニウムはカチオン交換膜52を透過して区画1に移動
し、負極13において (2)式により生成する水酸イオン
とともに区画1に蓄積され、濃縮が起こる。一方区画3
のテトラメチルアンモニウムはアニオン交換膜51に阻
止され、区画2側へ移動することは出来ず、区画2から
アニオン交換膜を透過して移動してきた水酸イオンは正
極12において (1)式により消費される。従って、区画
3ではテトラメチルアンモニウムの濃縮あるいは希釈は
起こらず、濃度は不変であり pH の変化は起こらないは
ずである。
【0053】しかし、アニオン交換膜51の機能が低下
し、カチオンの透過を阻止する能力が失われると、区画
3のテトラメチルアンモニウムはアニオン交換膜51に
阻止されることなく区画2側へ移動し、このテトラメチ
ルアンモニウムに同伴されて水酸イオンも区画2側へ移
動する。一方区画3の水酸イオンは正極12において
(1)式により消費されるため、区画3の pH は低下す
る。
【0054】アニオン交換膜劣化の原因については、今
のところ明確ではないが、アニオン交換膜の主たるイオ
ン交換基であるアンモニウム基が、強アルカリ条件下で
劣化を受けた可能性が高い。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、テトラアルキルアンモ
ニウムを含有する廃液中のテトラアルキルアンモニウム
を分離、濃縮する方法において、カチオン交換膜と電子
伝導性部材の組み合わせからなる新規な電気化学セルを
用いることにより、従来のアニオン交換膜とカチオン交
換膜の組み合わせからなる電気透析セルを用いる場合に
おいて、アニオン交換膜が劣化するという問題点を解消
し、テトラアルキルアンモニウムを高効率で分離、濃縮
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる、テトラアルキルアンモニウムを
含む廃液中のテトラアルキルアンモニウムを分離、濃縮
する装置の構成の一例を示す図。
【図2】テトラアルキルアンモニウムを含む廃液中のテ
トラアルキルアンモニウムを分離、濃縮する電気透析装
置の構成の一例を示す図。
【図3】バッチ式試験セルの構成を示す図。
【図4】バッチ式試験セルの各区画における液の pH の
経時変化を示す図。
【図5】テトラメチルアンモニウム水溶液のサイクリッ
クボルタングラムの一例を示す図。
【図6】本発明になる、テトラアルキルアンモニウムを
含む廃液中のテトラアルキルアンモニウムを分離、濃縮
する装置の構成の一例を示す図。
【図7】本発明になる、テトラアルキルアンモニウムを
含む廃液中のテトラアルキルアンモニウムを分離、濃縮
する装置の構成の一例を示す図。
【符号の説明】
11…電気透析セル、12…正極、13…負極、15…
直流安定化電源、22…脱塩室、23…濃縮室、25…
現像廃液、26…回収液、27…排液、31…電気化学
セル、51…アニオン交換膜、52…カチオン交換膜、
53…電子伝導性部材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 政義 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発研究所内 (72)発明者 植竹 直人 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発研究所内 Fターム(参考) 2H096 AA25 GA08 LA25 4D006 GA17 HA42 MA03 MA13 MA40 PA02 PB08 PB27 PC01 4D061 DA08 DB18 DC09 EA09 EB01 EB04 EB12 EB13 EB17 EB19 EB30

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テトラアルキルアンモニウムを含有する
    廃液の処理方法であって、電気化学セルに該廃液を導入
    して該電気化学セルに通電し、テトラアルキルアンモニ
    ウムを廃液から分離、濃縮する方法において、該電気化
    学セルに直流電力を供給する正極と負極の間にカチオン
    交換膜と電子伝導性部材からなる仕切り板を交互に配置
    してなる、該カチオン交換膜と該電子伝導性部材によっ
    て分画された区画及び該電気化学セルの両端に形成され
    る該正極とカチオン交換膜及び該負極と該カチオン交換
    膜によって分画された区画のうち、該カチオン交換膜を
    はさんで該電気化学セルの正極側に位置する区画に該廃
    液を供給し、該カチオン交換膜をはさんで該電気化学セ
    ルの負極側に位置する区画に該廃液から分離、濃縮され
    たテトラアルキルアンモニウムを回収するための液を供
    給することを特徴とする、テトラアルキルアンモニウム
    を含有する廃液の処理方法。
  2. 【請求項2】 テトラアルキルアンモニウムを含有する
    廃液の処理装置であって、電気化学セルに該廃液を導入
    して該電気化学セルに通電し、テトラアルキルアンモニ
    ウムを廃液から分離、濃縮する装置において、(1)該
    電気化学セルに直流電力を供給する正極及び負極と、
    (2)該正極と該負極の間にカチオン交換膜と電子伝導
    性部材からなる仕切り板を交互に配置してなる、該カチ
    オン交換膜と該電子伝導性部材によって分画された区画
    及び該電気化学セルの両端に形成される該正極とカチオ
    ン交換膜及び該負極と該カチオン交換膜によって分画さ
    れた区画を備え、(3)該カチオン交換膜をはさんで該
    電気化学セルの正極側に位置する区画に該廃液を流通
    し、該カチオン交換膜をはさんで該電気化学セルの負極
    側に位置する区画に該廃液から分離、濃縮されたテトラ
    アルキルアンモニウムを回収するための液を流通するた
    めの手段を、備えたことを特徴とする、テトラアルキル
    アンモニウムを含有する廃液の処理装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の装置において、電子伝
    導部材の材質として、各種の金属あるいは合金、半導性
    の金属酸化物、カーボン類、導電性高分子を使用するこ
    とを特徴とする、テトラアルキルアンモニウムを含有す
    る廃液の処理装置。
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