JP6752932B2 - 水処理装置および水処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水処理装置および水処理方法に関し、特には、電気式脱イオン水製造装置を用いた水処理装置および水処理方法に関する。
イオン交換樹脂などのイオン交換体に被処理水を通水させてイオン交換反応により脱イオンを行う脱イオン水製造装置が知られている。このような装置は、イオン交換体のイオン交換基が飽和して脱塩性能が低下したときに、酸やアルカリなどの薬剤によってイオン交換体を再生する処理(再生処理)を行う必要がある。再生処理は、イオン交換体に吸着した陽イオン(カチオン)や陰イオン(アニオン)を、酸あるいはアルカリに由来する水素イオン(H+)、水酸化物イオン(OH-)で置き換え、これによってイオン交換体の脱塩性能を復活させる処理である。薬剤による再生処理が必要な脱イオン水製造装置は、連続運転を行えず、再生処理のための薬剤補充の手間もかかる、という課題を有する。
近年、これらの課題を解決するものとして、薬剤による再生処理が不要な電気式脱イオン水製造装置(EDI(Electro DeIonization)装置ともいう)が開発され、実用化されている。
EDI装置は、電気泳動と電気透析とを組み合わせた装置である。EDI装置は、アニオンのみを透過させるアニオン交換膜とカチオンのみを透過させるカチオン交換膜との間にイオン交換体(アニオン交換体および/またはカチオン交換体)が充填された脱塩室を備える。EDI装置では、脱塩室から見てアニオン交換膜およびカチオン交換膜の各々の外側に濃縮室が配置される。そして、脱塩室と各濃縮室が、陽極を備える陽極室と陰極を備える陰極室との間に配置される。脱塩室では、陽極に近い側にアニオン交換膜が配置され、陰極に近い側にカチオン交換膜が配置される。脱塩室とアニオン交換膜を介して隣接する濃縮室は、カチオン交換膜を介して陽極室と隣接する。脱塩室とカチオン交換膜を介して隣接する濃縮室は、アニオン交換膜を介して陰極室と隣接する。
EDI装置により被処理水から脱イオン水(処理水)を製造するには、陽極と陰極との間に直流電圧を印加した状態で、脱塩室に被処理水を通水する。すると、被処理水中のイオン成分は脱塩室内のイオン交換体に吸着され、脱イオン化(脱塩)処理が行われ、脱塩室から脱イオン水が流出する。このとき脱塩室では、印加電圧によって異種のイオン交換性物質間の界面、例えば、アニオン交換体とカチオン交換体との界面や、アニオン交換体とカチオン交換膜との界面や、アニオン交換膜とカチオン交換体との界面において、下記式に示すように水の解離反応が起こり、水素イオンおよび水酸化物イオンが生成する。
2O→H++OH-
この水素イオンと水酸化物イオンによって、先に脱塩室内のイオン交換体に吸着されていたイオン成分がイオン交換されてイオン交換体から遊離する。遊離したイオン成分のうちアニオンは、アニオン交換膜まで電気泳動してアニオン交換膜で電気透析されて、脱塩室から見て陽極側の濃縮室を流れる濃縮水に排出される。同様に、遊離したイオン成分のうちカチオンは、カチオン交換膜まで電気泳動してカチオン交換膜で電気透析されて、脱塩室から見て陰極側の濃縮室を流れる濃縮水に排出される。結局、脱塩室に供給された被処理水中のイオン成分は濃縮室に移行して排出されることとなり、同時に、脱塩室のイオン交換体も再生されることになる。
このようにEDI装置では、直流電圧の印加によって生じる水素イオンおよび水酸化物イオンが、イオン交換体を再生する酸およびアルカリの再生剤として連続的に作用する。このため、EDI装置では、外部から供給される薬剤による再生処理は基本的に不要となり、薬剤によるイオン交換体の再生を行うことなく連続運転を行うことができる。
しかしながら、EDI装置を連続運転すると、被処理水中の硬度成分が析出し、水酸化カルシウムや水酸化マグネシウム等のスケールが発生する。その理由は以下のとおりである。
陰極室内での電気分解によって生成された水酸化物イオンが、陰極側の濃縮室のアニオン交換膜を通過することによって、該アニオン交換膜の濃縮室側の表面はアルカリ性となる。すると、脱塩室からカチオン交換膜を通過して陰極側の濃縮室に移動してきた硬度成分イオン(マグネシウムイオンMg2+やカルシウムイオンCa2+)が、アルカリ性になっているアニオン交換膜表面において反応し、水酸化マグネシウムや水酸化カルシウム等のスケールが生成される。
スケールが発生すると、スケール発生部分における電気抵抗が上昇し、EDI装置に電流が流れにくくなる。よって、スケールの発生が無い場合と同一の電流値を得るためには印加電圧を上昇させる必要があり、消費電力の増加を招く。また、濃縮室内における電流密度が不均一になる場合もある。スケールの量がさらに増加すると、通水差圧の上昇が生じるとともに、電気抵抗がさらに上昇する。この場合、イオン除去に必要な量の電流が流せなくなり、処理水質の低下を招く。
スケールの生成を抑制する手法の一つとして、濃縮室内にアニオン交換体を充填する手法が特許文献1に記載されている。
濃縮室内にアニオン交換体が充填されていると、陰極側の濃縮室のアニオン交換膜表面に存在する水酸化物イオンの濃縮水への拡散希釈が、濃縮室内のアニオン交換体によって促進され、該アニオン交換膜表面の水酸化物イオンの濃度が速やかに低減する。他方、硬度成分イオンは、濃縮室内のアニオン交換体の存在によって、該アニオン交換膜表面に到達し難くなる。この結果、水酸化物イオンと硬度成分イオンとが接触し反応する機会が減少し、スケールの発生が抑制される。
しかし、濃縮室へのアニオン交換体の充填は、濃縮水に含まれる炭酸やシリカに代表される弱酸アニオン成分が濃縮室と脱塩室とを仕切るカチオン交換膜を通過して処理水中に拡散し処理水の純度を低下させる問題を引き起こす。以下、この問題について炭酸とシリカを例に挙げて説明する。
一般的に、カチオン交換膜はカチオンのみを選択的に透過させるイオン交換膜である。その原理は、カチオン交換膜自体に負電荷を持たせ、負電荷を有するアニオンに対して反発力を働かせて透過を阻止するものである。
一方、炭酸(二酸化炭素)やシリカは水溶液中で以下のような各イオン種の形態を取り、それらは平衡状態にある。
CO2⇔HCO3 -⇔CO3 2-
SiO2⇔Si(OH)4⇔Si(OH)3-
上記のような平衡状態において各イオン種が全体に占める割合は、pHによって大きく変化する。pHが低い領域では炭酸やシリカの大部分はイオン化していない、つまり電荷を持たない状態でCO2、SiO2として存在している。
脱塩室と濃縮室とを区画するカチオン交換膜は、被処理水中のカチオン成分と共に水解離反応により生じる多量の水素イオン(H+)を、脱塩室から濃縮室に透過する。このため、カチオン交換膜の濃縮室側表面は、水素イオン(H+)が多い状態(=pHが低い状態)になる。
一方、濃縮水に含まれる炭酸やシリカは、濃縮室内のアニオン交換体によりアニオンとして捕捉され、アニオン交換体を伝って、濃縮室側のカチオン交換膜(脱塩室と濃縮室とを区画するカチオン交換膜)表面まで移動する。濃縮室側のカチオン交換膜表面は上述したようにpHが低くなっている。このため、pHが低い条件下でイオン化しない炭酸やシリカは、アニオン交換体から遊離した後に電荷を失い、濃縮室からカチオン交換膜を透過して脱塩室内の被処理水に拡散する。よって、処理水の純度が低下してしまう。
特許文献2には、濃縮水に含まれるシリカ等のアニオン成分がカチオン交換膜を通過して処理水中に拡散することを抑制可能な技術が記載されている。特許文献2に記載の技術では、被処理水よりシリカ濃度の低い処理水の一部を濃縮室に通水する。これにより、濃縮室から脱塩室へのシリカの拡散が抑制される。
国際公開第2011/152226号 特開2004−33977号公報
特許文献1に記載のように濃縮室内にアニオン交換体を充填する場合、スケールの生成を抑制できても、濃縮水に含まれる炭酸やシリカ等の弱酸アニオン成分がカチオン交換膜を通過して処理水中に拡散してしまう。また、この拡散を抑制するために、特許文献2に記載のように処理水の一部を濃縮室に通水すると、処理水量が減少してしまう。
本発明の目的は、処理水量の減少およびスケールの生成を抑制しつつ、処理水の水質の低下を抑制可能な水処理装置および水処理方法を提供することである。
本発明による水処理装置は、複数の電気式脱イオン水製造装置を有する水処理装置において、前記複数の電気式脱イオン水製造装置の各々は、陽極と陰極との間に、前記陽極側に位置する第1アニオン交換膜と前記陰極側に位置するカチオン交換膜とで区画されイオン交換体が充填された脱塩室と、前記カチオン交換膜を介して前記脱塩室と隣接し前記陰極側が第2アニオン交換膜で区画された第1濃縮室と、前記第1アニオン交換膜を介して前記脱塩室と隣接する第2濃縮室と、を有し、複数の前記脱塩室は、直列に連通しており、前記直列に連通する複数の脱塩室は、被処理水を通水して処理水を流出し、前記被処理水が最初に通水される1段目の前記脱塩室と隣接する前記第1濃縮室にアニオン交換体が単床で充填され、前記処理水を流出する最終段の前記脱塩室と前記カチオン交換膜を介して隣接する前記第1濃縮室では、当該カチオン交換膜の前記陰極側にカチオン交換体が単独で充填され、前記1段目の前記脱塩室と前記最終段の前記脱塩室と前記1段目の前記第2濃縮室にアニオン交換体が単独で充填されている。
本発明による水処理方法は、陽極と陰極との間に、前記陽極側に位置する第1アニオン交換膜と前記陰極側に位置するカチオン交換膜とで区画されイオン交換体が充填された脱塩室と、前記カチオン交換膜を介して前記脱塩室と隣接し前記陰極側が第2アニオン交換膜で区画された第1濃縮室と、前記第1アニオン交換膜を介して前記脱塩室と隣接する第2濃縮室と、を有する複数の電気式脱イオン水製造装置を備え、前記複数の電気式脱イオ
ン水製造装置の各々の前記脱塩室は、直列に連通しており、前記直列に連通する複数の脱塩室は、被処理水を通水して処理水を流出し、前記被処理水が最初に通水される1段目の前記脱塩室と隣接する前記第1濃縮室にアニオン交換体が単床で充填され、前記処理水を流出する最終段の前記脱塩室と前記カチオン交換膜を介して隣接する前記第1濃縮室では、当該カチオン交換膜の前記陰極側にカチオン交換体が単独で充填され、前記1段目の前記脱塩室と前記最終段の前記脱塩室と前記1段目の前記第2濃縮室にアニオン交換体が単独で充填されている水処理装置を用いた水処理方法であって、前記陽極と前記陰極との間に直流電圧を印加しつつ前記直列に連通する複数の脱塩室に前記被処理水を通水して前記被処理水を処理して前記処理水を流出する。
本発明によれば、複数の電気式脱イオン水製造装置の各々の脱塩室が直列に連通され、被処理水が最初に通水される1段目の脱塩室と隣接する第1濃縮室にアニオン交換体が充填され、処理水を流出する最終段の脱塩室とカチオン交換膜を介して隣接する第1濃縮室では、該カチオン交換膜の陰極側にカチオン交換体が充填されている。このため、後述する実施例等からも明らかになるように、処理水量の減少およびスケールの生成を抑制しつつ、処理水の水質の低下を抑制可能になる。
本発明の第1の実施形態の水処理装置101を示した図である。 本発明の第2の実施形態の水処理装置201を示した図である。 実施例1〜5および比較例1〜2での処理水の水質の測定結果を示した図である。 実施例6での処理水の水質の測定結果を示した図である。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態の水処理装置101を示した図である。
水処理装置101は、EDI装置(電気式脱イオン水製造装置)101aと、EDI装置101bと、を有する。
EDI装置101aは、陽極11aを備えた陽極室21aと、陰極12aを備えた陰極室25aとの間に、陽極室21a側から順に、濃縮室22a、脱塩室23aおよび濃縮室24aが設けられている。濃縮室24aは第1濃縮室の一例であり、濃縮室22aは、第2濃縮室の一例である。
陽極室21aと濃縮室22aはカチオン交換膜31aを隔てて隣接し、濃縮室22aと脱塩室23aはアニオン交換膜32aを隔てて隣接し、脱塩室23aと濃縮室24aとはカチオン交換膜33aを隔てて隣接し、濃縮室24aと陰極室25aはアニオン交換膜34aを隔てて隣接している。脱塩室23aは、アニオン交換膜32aとカチオン交換膜33aとによって区画されている。アニオン交換膜32aは第1アニオン交換膜の一例であり、アニオン交換膜34aは、第2アニオン交換膜の一例である。
脱塩室23a内には、イオン交換体が充填されている。本実施形態では、脱塩室23a内には、アニオン交換体AERとカチオン交換体CERとが混床形態で充填されている。アニオン交換体AERとしては、例えばアニオン交換樹脂が使用され、カチオン交換体CERとしては、例えばカチオン交換樹脂が使用される。
濃縮室22aおよび24aには、アニオン交換体AERが単床形態で充填されている。
被処理水は、脱塩室23aに通水される。また、濃縮室22aおよび24aと陽極室21aと陰極室25aには、それぞれ、供給水が通水される。供給水の通水方向は適宜変更可能である。
EDI装置101bは、陽極11bを備えた陽極室21bと、陰極12bを備えた陰極室25bとの間に、陽極室21b側から順に、濃縮室22b、脱塩室23bおよび濃縮室24bが設けられている。濃縮室24bは第1濃縮室の一例であり、濃縮室22bは、第2濃縮室の一例である。
陽極室21bと濃縮室22bはカチオン交換膜31bを隔てて隣接し、濃縮室22bと脱塩室23bはアニオン交換膜32bを隔てて隣接し、脱塩室23bと濃縮室24bとはカチオン交換膜33bを隔てて隣接し、濃縮室24bと陰極室25bはアニオン交換膜34bを隔てて隣接している。脱塩室23bは、アニオン交換膜32bとカチオン交換膜33bとによって区画されている。アニオン交換膜32bは第1アニオン交換膜の一例であり、アニオン交換膜34bは、第2アニオン交換膜の一例である。
脱塩室23b内には、イオン交換体が充填されている。本実施形態では、脱塩室23b内には、アニオン交換体AERとカチオン交換体CERとが混床形態で充填されている。なお、脱塩室23bへのイオン交換体の充填形態としては、アニオン交換体AERとカチオン交換体CERの混床形態(MB)、アニオン交換体AERの単床形態(A)、カチオン交換体CERの単床形態(K)を組み合わせた複床形態が採用されてもよい。脱塩室23bは、EDI装置101aの脱塩室23aと直列に連通している。
濃縮室22bおよび24bには、カチオン交換体CERが単床形態で充填されている。
脱塩室23bには、脱塩室23aで処理された被処理水が通水される。濃縮室22bおよび24bと陽極室21bと陰極室25bには、それぞれ、供給水が通水される。供給水の通水方向は、適宜変更可能である。
次に、水処理装置101で行われる水処理について説明する。
EDI装置101aおよび101bにおいて、陽極室21aおよび21bと濃縮室22a、24a、22bおよび24bと陰極室25aおよび25bに供給水を通水し、陽極11aと陰極12aとの間および陽極11bと陰極12bとの間に直流電圧を印加した状態で、EDI装置101aの脱塩室23aに被処理水を通水する。
EDI装置101aでは、被処理水に対して以下の処理が行われると推測される。
被処理水中のイオン成分は、脱塩室23a内のイオン交換体に吸着され、脱イオン化(脱塩)処理が行われる。脱塩室23aで脱イオン化(脱塩)処理が施された被処理水は、脱塩室23bに通水される。
このとき、脱塩室23aでは、陽極11aと陰極12aの間の印加電圧によって上述した水の解離反応が起こり、水素イオンおよび水酸化物イオンが生成される。この水素イオンと水酸化物イオンによって、脱塩室23a内のイオン交換体に吸着されていたイオン成分がイオン交換されてイオン交換体から遊離する。遊離したイオン成分のうち、アニオンは、アニオン交換膜32aを介して濃縮室22aに移動し濃縮室22aから濃縮水として排出され、カチオンは、カチオン交換膜33aを介して濃縮室24aに移動し濃縮室24aから濃縮水として排出される。なお、陽極室21aおよび陰極室25aからは電極水が排出される。
この際、被処理水中の硬度成分イオン(マグネシウムイオンMg2+やカルシウムイオンCa2+)は、カチオン交換膜33aを透過して濃縮室24aに移動するが、濃縮室24aにはアニオン交換体AERが充填されているので、アニオン交換膜34aに硬度成分イオンに起因するスケールの発生が抑制される。また、濃縮室22aにもアニオン交換体AERが充填されているので、硬度成分イオンに起因するスケールの発生が抑制される。
しかしながら、濃縮室24aにアニオン交換体AERが充填されているため、濃縮水に含まれている炭酸やシリカの弱酸アニオン成分が、濃縮室24aからカチオン交換膜33aを通過して脱塩室23a内へ拡散する。このため、脱塩室23aから脱塩室23bに流れ出る被処理水には、濃縮水に含まれていた炭酸やシリカの弱酸アニオン成分が含有されてしまう。
EDI装置101bでは、以下の処理が行われると推測される。
EDI装置101bに流入する被処理水中のイオン成分(濃縮水から移動してきた炭酸やシリカの弱酸アニオン成分を含む)は、脱塩室23bのイオン交換体に吸着され、脱イオン化処理が行われる。脱塩室23bで脱イオン化処理が行われた被処理水は、処理水として排出される。EDI装置101bでは、EDI装置101aと同様に、脱塩室23bのイオン交換体においてイオン交換が行われ、脱塩室23bに供給された被処理水中のイオン成分は濃縮室22b、24bに移動して排出され、同時に、脱塩室23bのイオン交換体も再生される。
EDI装置101bに流入する被処理水は、既にEDI装置101aで処理されているため、被処理水内の硬度成分イオンの濃度は、EDI装置101aに流入する前の濃度より低くなっている。このため、濃縮室24bでのスケールの発生が抑制される。
また、濃縮室24bにはカチオン交換体CERが充填されているため、カチオン交換膜33bの濃縮室24b側の表面に存在する水素イオンの濃縮水への拡散希釈が、濃縮室24b内のカチオン交換体CERにより促進され、カチオン交換膜33bの濃縮室24b側の表面における水素イオンの濃度が速やかに低減する(pHが低い状態でなくなる)。また、濃縮水に含まれる炭酸やシリカ等の弱酸アニオン成分は、濃縮室24b内のカチオン交換体CERの存在によって、カチオン交換膜33bの濃縮室24b側の表面に到達し難くなる。また、炭酸やシリカ等の弱酸アニオン成分が、カチオン交換膜33bの濃縮室24b側の表面に到達しても、その表面のpHが低くないため、アニオン成分として維持され、カチオン交換膜33bを通過することが困難になる。よって、濃縮水に含まれる炭酸やシリカ等の弱酸アニオン成分が脱塩室23bへ拡散することを抑制可能になる。また、弱酸アニオン成分の脱塩室23bへの拡散を抑制するために、処理水の一部を濃縮室に供給する供給水として用いる必要もなくなる。したがって、処理水量の減少およびスケールの生成を抑制しつつ、処理水の水質の低下を抑制可能になる。
<第2の実施形態>
図2は、本発明の第2の実施形態の水処理装置201を示した図である。
水処理装置201は、EDI装置101cと、EDI装置101dと、を有する。
EDI装置101cは、陽極11cを備えた陽極室21cと、陰極12cを備えた陰極室25cとの間に、陽極室21c側から順に、濃縮室22c、脱塩室23cおよび濃縮室24cが設けられている。濃縮室24cは第1濃縮室の一例であり、濃縮室22cは、第2濃縮室の一例である。
陽極室21cと濃縮室22cはカチオン交換膜31cを隔てて隣接し、濃縮室22cと脱塩室23cはアニオン交換膜32cを隔てて隣接し、脱塩室23cと濃縮室24cとはカチオン交換膜33cを隔てて隣接し、濃縮室24cと陰極室25cはアニオン交換膜34cを隔てて隣接している。脱塩室23cは、アニオン交換膜32cとカチオン交換膜33cとによって区画されている。アニオン交換膜32cは第1アニオン交換膜の一例であり、アニオン交換膜34cは、第2アニオン交換膜の一例である。
脱塩室23cでは、アニオン交換膜32cカチオン交換膜33cとの間に中間イオン交換膜36cが設けられている。脱塩室23cは、中間イオン交換膜36cによって小脱塩室23c−1と小脱塩室23c−2に区画されている。中間イオン交換膜36cとしては、アニオン交換膜、カチオン交換膜、バイポーラ膜のいずれも使用できる。本実施形態では、中間イオン交換膜36cとして、アニオン交換膜を用いる。陰極側の小脱塩室23c−1は第1小脱塩室の一例であり、陽極側の小脱塩室23c−2は第2小脱塩室の一例である。
小脱塩室23c−1にはカチオン交換体CERが単床形態で充填され、小脱塩室23c−2にはアニオン交換体AERが単床形態で充填されている。小脱塩室23c−1に被処理水が通水され、小脱塩室23c−1から流出する水が小脱塩室23c−2に流入するように(矢印104a、矢印104b、矢印104c参照)、小脱塩室23c−1と小脱塩室23c−2は直列に連通されている。
濃縮室22cおよび24cと陽極室21cと陰極室25cには、それぞれ、供給水が通水される。なお、供給水の通水方向は、適宜変更可能である。
EDI装置101dは、陽極11dを備えた陽極室21dと、陰極12dを備えた陰極室25dとの間に、陽極室21d側から順に、濃縮室22d、脱塩室23dおよび濃縮室24dが設けられている。濃縮室24dは第1濃縮室の一例であり、濃縮室22dは、第2濃縮室の一例である。
陽極室21dと濃縮室22dはカチオン交換膜31dを隔てて隣接し、濃縮室22dと脱塩室23dはアニオン交換膜32dを隔てて隣接し、脱塩室23dと濃縮室24dとはカチオン交換膜33dを隔てて隣接し、濃縮室24dと陰極室25dはアニオン交換膜34dを隔てて隣接している。脱塩室23dは、アニオン交換膜32dとカチオン交換膜33dとによって区画されている。アニオン交換膜32dは第1アニオン交換膜の一例であり、アニオン交換膜34dは、第2アニオン交換膜の一例である。
脱塩室23dでは、アニオン交換膜32dとカチオン交換膜33dとの間に中間イオン交換膜36dが設けられている。脱塩室23dは、中間イオン交換膜36dによって小脱塩室23d−1と小脱塩室23d−2に区画されている。中間イオン交換膜36dとしては、アニオン交換膜が用いられる。陽極側の小脱塩室23d−1は第2小脱塩室の一例であり、陰極側の小脱塩室23d−2は第1小脱塩室の一例である。
小脱塩室23d−1にはアニオン交換体AERが単床形態で充填され、小脱塩室23d−2には入口側23d−21の領域にカチオン交換体CERが単独で充填され出口側23d−22の領域にアニオン交換体AERが単独で充填されている。小脱塩室23d−1に被処理水が通水され、小脱塩室23d−1から流出する水が小脱塩室23d−2に入口側23d−21から流入するように(矢印104c、矢印104d、矢印104e参照)、小脱塩室23d−1と小脱塩室23d−2は直列に連通されている。
濃縮室22dおよび24dと陽極室21dと陰極室25dには、それぞれ、供給水が通水される。なお、供給水の通水方向は、適宜変更可能である。
次に、水処理装置201で行われる水処理について説明する。
EDI装置101cおよび101dにおいて、陽極室21cおよび21dと、濃縮室22c、24c、22dおよび24dと、陰極室25cおよび25dに供給水を通水し、陽極11cと陰極12cとの間および陽極11dと陰極12dとの間に直流電圧を印加した状態で、EDI装置101cの小脱塩室23c−1に被処理水を通水する。
EDI装置101cでは、被処理水に対して以下の処理が行われると推測される。
被処理水中のカチオンは、脱塩室23c−1のカチオン交換体CERに吸着され、脱イオン化処理が行われる。脱塩室23c−1で脱イオン化処理が行われた被処理水は、脱塩室23c−2に通水される。
このとき、脱塩室23cでは、陽極11cと陰極12cとの間の印加電圧によって水の解離反応が起こり、水素イオンおよび水酸化物イオンが生成される。この水素イオンによって、脱塩室23c−1内のカチオン交換体CERに吸着されていたカチオンがイオン交換されてカチオン交換体CERから遊離する。遊離したカチオンは、カチオン交換膜33cを介して濃縮室24cに移動し、濃縮室24cから濃縮水として排出される。
この際、被処理水中の硬度成分イオン(マグネシウムイオンMg2+やカルシウムイオンCa2+)は、カチオン交換膜33cを透過して濃縮室24cに移動するが、濃縮室24cにはアニオン交換体AERが充填されているので、アニオン交換膜34cでの硬度成分イオンに起因するスケールの発生が抑制される。
しかしながら、濃縮水に含まれている炭酸やシリカ等の弱酸アニオン成分が、濃縮室24cからカチオン交換膜33cを通過して脱塩室23c−1内へ拡散する。このため、脱塩室23c−1から脱塩室23c−2に流れ出る被処理水には、濃縮水に含まれていた炭酸やシリカが含有されてしまう。
脱塩室23c−2では、被処理水中のアニオンは、脱塩室23c−2のアニオン交換体AERに吸着され、脱イオン化処理が行われる。脱塩室23c−2で脱イオン化処理が行われた被処理水は、脱塩室23d−1に通水される。
この際、脱塩室23c−2内のアニオン交換体AERに吸着されていたアニオンが、水の解離反応で生成された水酸化物イオンによってイオン交換されて、アニオン交換体AERから遊離する。遊離したアニオンは、アニオン交換膜32cを介して濃縮室22cに移動し、濃縮室22cから濃縮水として排出される。また、濃縮室24c内の濃縮水から小脱塩室23c−1内の被処理水に移動してきた炭酸やシリカの弱酸アニオン成分も、アニオン交換膜32cを介して濃縮室22cに移動し、濃縮室22cから濃縮水として排出される。
脱塩室23d−1では、被処理水中のアニオンは、脱塩室23d−1のアニオン交換体AERに吸着され、脱イオン化処理が行われる。脱塩室23d−1で脱イオン化処理が行われた被処理水は、脱塩室23d−2に入口側23d−21から通水される。
この際、脱塩室23d−1では、脱塩室23d−1内のアニオン交換体AERに吸着されていたアニオンが、水の解離反応で生成された水酸化物イオンによってイオン交換されて、アニオン交換体AERから遊離する。遊離したアニオンは、アニオン交換膜32dを介して濃縮室22dに移動し、濃縮室22dから濃縮水として排出される。
脱塩室23d−2では、被処理水中のカチオンが、入口側23d−21の領域のカチオン交換体CERに吸着され、脱イオン化処理が行われる。その後、被処理水は、脱塩室23d−2の出口側23d−22の領域に通水される。
このとき、入口側23d−21の領域のカチオン交換体CERでは、入口側23d−21の領域のカチオン交換体CERに吸着されていたカチオンが、水の解離反応で生成された水素イオンによってイオン交換されてカチオン交換体CERから遊離する。遊離したカチオンは、カチオン交換膜33dを介して濃縮室24dに移動し、濃縮室24dから濃縮水として排出される。
入口側23d−21の領域のカチオン交換体CERに流入する被処理水は、既にEDI装置101cで処理されているので、該被処理水内の硬度成分イオンの濃度は、EDI装置101cに流入する前の濃度より低くなっている。このため、濃縮室24dでのスケールの発生が抑制される。
また、濃縮室24dにはカチオン交換体CERが充填されているため、濃縮水に含まれる炭酸やシリカ等の弱酸アニオン成分の脱塩室23d−2への拡散を抑制可能になる。また、弱酸アニオン成分の脱塩室23d−2への拡散を抑制するために、処理水の一部を濃縮室に供給する供給水として用いる必要もなくなる。したがって、処理水量の減少およびスケールの生成を抑制しつつ、処理水の水質の低下を抑制可能になる。
そして、脱塩室23d−2の出口側23d−22の領域に通水された被処理水中のアニオンは、出口側23d−22の領域のアニオン交換体AERに吸着され、脱イオン化処理が行われる。その後、出口側23d−22の領域のアニオン交換体AERを通った水は、処理水として排出される。
このとき、出口側23d−22の領域のアニオン交換体AERでは、吸着されていたアニオンが、水の解離反応で生成された水酸化物イオンによってイオン交換されてアニオン交換体AERから遊離する。遊離したアニオンは、中間イオン膜36dを介して脱塩室23d−1に移動し、その後濃縮室22dに移動し、濃縮室22dから濃縮水として排出される。
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
例えば、濃縮室24bや濃縮室24dでは、カチオン交換膜33bやカチオン交換膜33dの陰極側にカチオン交換体CERが単独で充填され、他の領域にアニオン交換体AERが充填されてもよい。
上述した各実施形態では、2台のEDI装置を用いた水処理装置が示された。しかしながら、被処理水が最初に通水される1段目の脱塩室と隣接する第1および第2濃縮室にアニオン交換体が充填され、処理水を流出する最終段の脱塩室とカチオン交換膜を介して隣接する第1濃縮室では、該カチオン交換膜の陰極側にカチオン交換体が充填されていれば、EDI装置の数は2台に限らず3台以上でもよい。また、EDI装置一台(1つの筐体)の中で、脱塩室ブロックと濃縮室ブロックをそれぞれ2段以上配置し内部にてそれぞれの脱塩室を直列に接続する構造としてもよい。
また、上記では[濃縮室(C)|アニオン交換膜(AEM)|脱塩室(D)|カチオン交換膜(CEM)|濃縮室(C)]からなる基本構成(セルセット)が陽極と陰極との間に配置されているものとした。しかしながら、電極間にこのようなセルセットを複数個並置し、電気的には複数個のセルセットが一端を陽極とし他端を陰極として直列接続されるようにして処理能力の増大を図ってもよい。
この場合、隣接するセルセット間で隣り合う濃縮室を共有することができる。よって、EDI装置の構成としては、[陽極室|C|AEM|D|CEM|C|AEM|D|CEM|C|AEM|D|CEM|…|C|陰極室]の構成が用いられてもよい。このような直列構造のEDI装置における脱塩室の数を「脱塩室セルペア数」とも称される。
また、このような直列構造において、陽極室に最も近い脱塩室については、陽極室との間に独立の濃縮室を介在させることなく陽極室自体を濃縮室としても機能させることができ、陰極室に最も近い脱塩室については、陰極室との間に濃縮室を介在させることなく陰極室自体を濃縮室としても機能させることができる。直流電圧の印加によって消費する電力を抑えるためには、陽極室および陰極室にもイオン交換体を充填して電気抵抗を下げてもよい。
<実施例1〜5>
実施例1〜4の水処理装置として、第1の実施形態の水処理装置101を用いた。実施例1〜4の各々の違いは、濃縮室への供給水の通水方向(以下「濃縮室通水方向」と称する)と脱塩室への被処理水の通水方向(以下「脱塩室通水方向」と称する)との関係(並流か向流)の違いである。
実施例1では、1段目のEDI装置101aおよび2段目のEDI装置101bにおいて、濃縮室通水方向と脱塩室通水方向とを並流の関係とした。
実施例2では、1段目のEDI装置101aにおいては濃縮室通水方向と脱塩室通水方向とを並流の関係とし、2段目のEDI装置101bにおいては濃縮室通水方向と脱塩室通水方向とを向流の関係とした。この場合、2段目の濃縮室の入口と2段目の脱塩室の出口が隣接する。
実施例3では、1段目のEDI装置101aにおいては濃縮室通水方向と脱塩室通水方向とを向流の関係とし、2段目のEDI装置101bにおいては濃縮室通水方向と脱塩室通水方向とを並流の関係とした。この場合、1段目の濃縮室の入口と1段目の脱塩室の出口が隣接する。
実施例4では、1段目のEDI装置101aおよび2段目のEDI装置101bにおいて濃縮室通水方向と脱塩室通水方向とを向流の関係とした。この場合、1段目の濃縮室の入口と1段目の脱塩室の出口が隣接し、2段目の濃縮室の入口と2段目の脱塩室の出口が隣接する。
また、実施例5の水処理装置として、第2の実施形態の水処置装置201を用いた。実施例5では、1段目のEDI装置101cにおいては濃縮室通水方向と脱塩室通水方向とを向流の関係とし、2段目のEDI装置101dにおいては濃縮室通水方向と脱塩室23d−2での脱塩室通水方向とを向流の関係とした。
<比較例1〜2>
比較例1の水処理装置として、第1の実施形態の水処理装置101において、1段目のEDI装置101aの濃縮室22aおよび24aにアニオン交換体AERの代わりにカチオン交換体CERを単床形態で充填し、2段目のEDI装置101bの濃縮室22bおよび24bにカチオン交換体CERの代わりにアニオン交換体AERを単床形態で充填した水処理装置を用いた。比較例1では、1段目のEDI装置101aおよび2段目のEDI装置101bにおいて濃縮室通水方向と脱塩室通水方向とを向流の関係とした。
比較例2の水処理装置として、第1の実施形態の水処理装置101において、1段目のEDI装置101aの濃縮室22aおよび24aにアニオン交換体AERの代わりにアニオン交換体とカチオン交換体CERを混床形態で充填し、2段目のEDI装置101bの濃縮室22bおよび24bにカチオン交換体CERの代わりにアニオン交換体AERとカチオン交換体CERを混床形態で充填した水処理装置を用いた。比較例2では、1段目のEDI装置101aおよび2段目のEDI装置101bにおいて濃縮室通水方向と脱塩室通水方向とを向流の関係とした。
実施例1〜5および比較例1〜2におけるEDI装置の仕様、通水流量、印加電流、被処理水の水質などの運転条件は、以下の通りである。
・アニオン交換体として、アニオン交換樹脂[商品名:アンバージェット4002(強塩基性陰イオン交換樹脂4002)、ダウ・ケミカル社製]を用い、カチオン交換体として、カチオン交換樹脂[商品名:アンバージェット1020(強酸性陽イオン交換樹脂1020)、ダウ・ケミカル社製]を用いた。
・アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の両方が充填されている脱塩室23d−2では、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との体積の割合を1:1にした。
・1段目EDI装置に通水される被処理水として、RO(逆浸透膜)処理水(導電率:3〜4μS/cm、炭酸濃度:5〜6mgCO/L、硬度濃度:500〜600μgCaCO3/L)を用いた。
・セル(脱塩室、濃縮室、陽極室、陰極室)の容積を、100mm×100mm×10mmとした。
・脱塩室セルペア数を、5セルペアとした。
・被処理水流量を、100L/hとした。
・陽極と陰極との間を流れる電流の値を、0.4Aとした。
・濃縮室へ供給する供給水として、別系統からの純水を用いた。
・濃縮室への供給水流量を、25L/hとした。
・陽極室へ供給する供給水および陰極室へ供給する供給水として、別系統からの純水を用いた。
・陽極室へ供給する供給水流量および陰極室への供給水流量を、5L/hとした。
・陽極室および陰極室への供給水の通水方向を、電極室の電極反応にて発生するガスを排出するため、全て装置下部から上部に向かう方向とした(図1、2の下から上への方向)。
図3は、実施例1〜5および比較例1〜2における1段目のEDI装置でのスケールの発生状況および2段目のEDI装置から流出される処理水の水質の測定結果を示した図である。なお、図3では、アニオン交換体AERとカチオン交換体CERの混床形態を(MB)、アニオン交換体AERの単床形態を(A)、カチオン交換体CERの単床形態を(K)で示している。
実施例1と実施例2との比較から分かるように、2段目のEDI装置の濃縮室通水方向を2段目のEDI装置の脱塩室通水方向と向流の関係にすることで、処理水の水質が向上した。これは、向流の場合に、濃縮室から脱塩室への弱酸アニオン成分の逆拡散量が減少していると推定される。
実施例1と実施例3との比較から分かるように、1段目のEDI装置の濃縮室通水方向を1段目のEDI装置の脱塩室通水方向と向流の関係にすることで、1段目EDI装置でのスケールの発生が抑制された。
実施例4と比較例1との比較から分かるように、1段目および2段目のEDI装置の両方で、濃縮室通水方向を脱塩室通水方向と向流の関係にしても、比較例1のように1段目の濃縮室にカチオン交換体CERを充填すると、濃縮室内でのスケールの発生が抑制されなかった。また、比較例1のように2段目のEDI装置の濃縮室にアニオン交換体を充填すると、濃縮室内のアニオン交換体AERに吸着したアニオン成分の脱塩室側への拡散が起こり、処理水の水質低下が発生した。
また、比較例1と比較例2の比較から以下の点が分かる。比較例2では1段目のEDI装置の濃縮室にアニオン交換体AERとカチオン交換体CERが混床形態で充填されているので、比較例1よりも濃縮室内でのカチオン交換体CERの連続性が悪くなる。このため、アニオン交換膜まで移動する硬度成分が減少し、スケールの発生状況は改善するが、スケールの発生は依然として多い。また、同様の理由で、2段目のEDI装置の濃縮室にアニオン交換体AERとカチオン交換体CERが混床形態で充填されていると、比較例1に比べて、濃縮室から脱塩室に拡散するアニオン成分が減少するため、水質は改善するが、高い水質を得ることはできなかった。
実施例4と実施例5との比較から分かるように、脱塩室が2室構造のEDI装置を用いることで、より高いスケール耐性と処理水の水質を得ることができた。
<実施例6>
実施例6は、実施例5において、被処理水の硬度濃度を2000μgCaCO3/Lに固定した状態で、炭酸濃度を1〜25mgCO2/Lの範囲で変更した例である。
図4は、実施例6での2段目のEDI装置の脱塩室23d−1の入口での被処理水の炭酸濃度と、1段目のEDI装置でのスケールの発生状況と、2段目のEDI装置から流出される処理水の水質の測定結果を示した図である。なお、図4では、アニオン交換体AERの単床形態を(A)、カチオン交換体CERの単床形態を(K)で示している。
実施例6から分かるように、1段目のEDI装置への被処理水の炭酸濃度が3〜20mgCO2/Lである状況では、高い処理水質を得られ、さらに、2段目のEDI装置の脱塩室23d−1の入口での被処理水の炭酸濃度が1mgCO2/L以下となっていれば高い処理水質が保たれていた。また、硬度濃度が2000μgCaCO3/Lという高濃度の条件では、1段目のEDI装置への被処理水の炭酸濃度が3mgCO2/L以上でないと極めて多いスケールが発生した。なお、1段目のEDI装置への被処理水の炭酸濃度が1mgCO2/Lのときは安定した運転ができなかったため、図4において、処理水質に関するデータはない。
11a、11b、11c、11d 陽極
12a、12b、12c、12d 陰極
21a、21b、21c、21d 陽極室
22a、24a、22b、24b、22c、24c、22d、24d 濃縮室
23a、23b、23c、23d 脱塩室
23c−1、23d−1 第1脱塩室
23c−2、23d−2 第2脱塩室
25a、25b、25c、25d 陰極室
31a、33a、31b、33b、31c、33c、31d、33d カチオン交換膜
32a、34a、32b、34b、32c、34c、32d、34d アニオン交換膜
36a、36b 中間イオン交換膜
CER カチオン交換体
AER アニオン交換体
101、201 水処理装置
101a、101b、101c、101d EDI装置

Claims (11)

  1. 複数の電気式脱イオン水製造装置を有する水処理装置において、
    前記複数の電気式脱イオン水製造装置の各々は、陽極と陰極との間に、前記陽極側に位置する第1アニオン交換膜と前記陰極側に位置するカチオン交換膜とで区画されイオン交換体が充填された脱塩室と、前記カチオン交換膜を介して前記脱塩室と隣接し前記陰極側が第2アニオン交換膜で区画された第1濃縮室と、前記第1アニオン交換膜を介して前記脱塩室と隣接する第2濃縮室と、を有し、
    複数の前記脱塩室は、直列に連通しており、
    前記直列に連通する複数の脱塩室は、被処理水を通水して処理水を流出し、
    前記被処理水が最初に通水される1段目の前記脱塩室と隣接する前記第1濃縮室にアニオン交換体が単床で充填され、
    前記処理水を流出する最終段の前記脱塩室と前記カチオン交換膜を介して隣接する前記第1濃縮室では、当該カチオン交換膜の前記陰極側にカチオン交換体が単独で充填され、前記1段目の前記脱塩室と前記最終段の前記脱塩室と前記1段目の前記第2濃縮室にアニオン交換体が充填されていることを特徴とする水処理装置。
  2. 前記1段目の脱塩室と隣接する第1濃縮室の入口と、前記1段目の脱塩室の出口が隣接している、請求項1に記載の水処理装置。
  3. 前記最終段の脱塩室と隣接する第1濃縮室の入口と、前記最終段の脱塩室の出口が隣接している、請求項1または2に記載の水処理装置。
  4. 前記複数の脱塩室の少なくとも1つの脱塩室は、
    前記アニオン交換膜と前記カチオン交換膜との間に位置する中間イオン交換膜と、
    前記カチオン交換膜と前記中間イオン交換膜とで区画された第1小脱塩室と、
    前記アニオン交換膜と前記中間イオン交換膜とで区画された第2小脱塩室と、を有し、
    前記第1小脱塩室と前記第2小脱塩室とが直列に連通している、請求項1に記載の水処理装置。
  5. 前記1段目の脱塩室の中間イオン交換膜とカチオン交換膜にて区画された小脱塩室の出口と前記第1濃縮室の入口が隣接している、請求項4に記載の水処理装置。
  6. 前記最終段の脱塩室の中間イオン交換膜とカチオン交換膜にて区画された小脱塩室の出口と前記第1濃縮室の入口が隣接している、請求項4または5に記載の水処理装置。
  7. 陽極と陰極との間に、前記陽極側に位置する第1アニオン交換膜と前記陰極側に位置するカチオン交換膜とで区画されイオン交換体が充填された脱塩室と、前記カチオン交換膜を介して前記脱塩室と隣接し前記陰極側が第2アニオン交換膜で区画された第1濃縮室と、前記第1アニオン交換膜を介して前記脱塩室と隣接する第2濃縮室と、を有する複数の電気式脱イオン水製造装置を備え、前記複数の電気式脱イオン水製造装置の各々の前記脱塩室は、直列に連通しており、前記直列に連通する複数の脱塩室は、被処理水を通水して処理水を流出し、前記被処理水が最初に通水される1段目の前記脱塩室と隣接する前記第1濃縮室にアニオン交換体が単床で充填され、前記処理水を流出する最終段の前記脱塩室と前記カチオン交換膜を介して隣接する前記第1濃縮室では、当該カチオン交換膜の前記陰極側にカチオン交換体が単独で充填され、前記1段目の前記脱塩室と前記最終段の前記脱塩室と前記1段目の前記第2濃縮室にアニオン交換体が単独で充填されている水処理装置を用いた水処理方法であって、
    前記陽極と前記陰極との間に直流電圧を印加しつつ前記直列に連通する複数の脱塩室に前記被処理水を通水して前記被処理水を処理して前記処理水を流出することを特徴とする水処理方法。
  8. 前記1段目の脱塩室に供給する前記被処理水の炭酸濃度が、3〜20mgCO2/Lである請求項7に記載の水処理方法。
  9. 前記最終段の脱塩室に供給する被処理水の炭酸濃度が、1mgCO/L未満である請求項7または8に記載の水処理方法。
  10. 前記1段目の脱塩室に供給する前記被処理水の硬度濃度が、2000μgCaCO3/L以下である請求項7から9のいずれか1項に記載の水処理方法。
  11. 前記最終段の脱塩室に供給する被処理水の硬度濃度が、20μgCaCO3/L以下である請求項7から10のいずれか1項に記載の水処理方法。
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