JP6676247B2 - 冷間圧造成形機 - Google Patents

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Description

本発明は、相対向するダイとパンチとを備えた複数の圧造ステーションで所定寸法の金属素材を粗から精にし、塑性変形させて圧造成形する冷間圧造成形機に関するものである。
従来、冷間圧造分野においては、主材料である冷間圧造線材の成形時の変形により発生する加工熱が非常に高く、また連続した加工率の高い変形に対して、圧造部の冷却と潤滑を兼ねた圧造潤滑油(以下潤滑油という)を冷間圧造成形機での加工中に多量にかけるのが一般的である。大型機では、1,000Lもの潤滑油をタンクに収めて、これを循環させて使用している。これを以下『循環方式』という。循環方式での潤滑油は使用量が多く、コスト面からあまり高価な潤滑油は使用できない。また、発煙による作業環境の悪化や、消防法の危険物指定数量の面から引火点の高い潤滑油を使用する必要があるが、鉱物系の潤滑油にあっては、粘度上昇を招きやすく、合成油ベースのものではコストを上昇させる。更に、循環型潤滑油に材料引抜時に使用した表面の潤滑コーティングであるリン酸亜鉛被膜等が混入し、機械内部の潤滑油配管が詰まることがしばしばあり、潤滑油は定期的な交換が必要である。この様に現状の潤滑油は、循環方式にて使用される以上は上記の各種条件の妥協点となっていると言える。
しかし、上記した従来の冷間圧造成形機のように、冷却と潤滑を行う目的で多量の潤滑油を圧造部に多量にかけるものにあっては、コストが高くなるうえ、廃油処理や機械周りの油漏れ、床汚れなどにより工場環境が悪化するという問題を抱えており、また、圧造部内への油溜りが生じて圧造時の寸法精度を悪くすることがあった。さらに冷間圧造線材を所定長さに切断した後その切断面にピン穴加工を行う成形については、その切断面に伸線時の潤滑被膜が付着していないことから、そのままピン穴加工を行うと潤滑作用が充分に得られず寸法精度、金型寿命に大きく作用するといった問題も有していた。
なお、金属切削加工の場合、1990年代の後半から、主に自動車部品生産現場における環境負荷低減の関心が高まり、セミドライ加工が注目され多くの工場現場において導入されている。このセミドライ加工とは、大量の切削油に代わり、ごく少量の油剤を加工点に塗布して金属の加工を行う方法のことである。
そこで本発明は、圧造成形機においてごく微量のミスト油剤を重要な部位に噴霧供給するようにして、大幅なコスト削減と作業環境の改善を行うと共に、圧造時の寸法精度を悪くする油溜りを改善し、かつ、金型素材の切断面へのピン穴加工時にそのピン穴加工点へのミスト油剤の塗布により潤滑効果を確実に発揮させて寸法精度を高め、金型寿命を延ばすことのできる圧造成形機の提供を課題とする。
上記した課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、機台の所定位置に並設された複数のダイと、これらのダイと対向して進退動するラムの前面にダイと同数のパンチが配設され、これらダイとパンチとからなる複数の圧造ステーションで所定寸法の素材が粗から精に順次圧造成形される圧造成形機において、潤滑油とエアーを混合してミスト油剤を発生させるミスト発生器と、ラムの移動位置を検出するラム位置検出器と、ミスト発生器で混合されたミスト油剤をダイとパンチと金属素材との三者に噴霧して塗布するミスト噴射部と、ラム位置検出器からの検出信号に基づき圧造前でかつダイとパンチと金属素材との三者に塗布可能なタイミングに合わせて上記ミスト油剤をミスト噴射部からごく微量噴霧させる制御部とからなるミスト給油装置を備えている一方ミスト発生器が、潤滑油を溜める潤滑油槽と、油剤の粘度や気温の影響を受けることなく安定した量のミスト油剤を供給できるように、潤滑油の昇温可能な温度調節機能を有する温度調節手段と、固形潤滑剤配合油剤でも安定よく均一状に噴霧供給できるように潤滑油槽内における潤滑油の撹拌機能を有する撹拌手段を具備していることを特徴とする。
本願の請求項記載の発明は、請求項1記載の構成におけるミスト噴射部が、ミスト発生器に連結されたミスト配管と、該ミスト配管に連結されかつパンチ金型の中心付近に配設されたクーラントラインと、該クーラントラインの先端で相対向するダイに向って開口するミスト噴射口とから構成されていることを特徴とする。
なお、ミスト配管とクーラントラインとしては、新たなミスト配管を用いたり、新たなクーラントラインを形成したりしたものであっても良いし、既存の機械設備における配管やクーラントラインなどを利用してもよい。また、パンチ金型の中心付近とは、パンチの中心部や、パンチの外周面或いはパンチを支持するパンチホルダーの内周面に形成されたクーラントラインをも含む概念である。
本願の請求項記載の発明は、請求項1記載の構成におけるミスト噴射部が、ミスト発生器に連結されたミスト配管と、該ミスト配管の先端に設けられたミスト噴射専用ノズルとから構成されていることを特徴とする。
上記したミスト給油装置によれば、冷間圧造成形機による圧造時、ラムの移動位置を検出するラム位置検出器からの検出信号が制御部に入力されると、圧造前でかつダイとパンチと金属素材との三者に塗布可能なタイミングに合わせてミスト発生器で発生させたミスト油剤がミスト配管部から圧造ステーションにおける重要な圧造部位、つまりダイとパンチと金属素材との三者にごく微量噴霧供給され、その状態で圧造成形が行なわれることになる。これにより、従来の冷間圧造成形機のように、冷却と潤滑を行う目的で多量の潤滑油を圧造部全体に多量にかける方式のものに較べて、ごく微量のミスト油剤で冷却と潤滑を行うことができる。その結果、大幅なコスト削減と作業環境の改善を行うことができると共に、ミスト潤滑の場合、塗布量がごく微量のため、圧造時の寸法精度を悪くする油溜りの問題も解消することができる。その上、最終成形品に対する油剤の付着が抑えられるので、後工程への影響が少なく洗浄工程の簡略化が図れる。さらに、ミスト潤滑の場合ごく微量のミスト油でまかなえるため、コスト面から容易に圧造加工に最適なミスト油、例えば低発煙ミスト油などを積極的に選んで使用することが可能となる。
また、ミスト発生器に、上記したように潤滑油槽と温度調節手段と撹拌手段とを備える構成とすれば、潤滑油を少なくとも70℃まで昇温可能な温度調節機能を有する温度調節手段により油剤の粘度や気温の影響を受けることなく安定した量のミスト油剤を供給できると共に、潤滑油槽の撹拌機能を有する撹拌手段により固形潤滑剤配合油剤を用いる場合でもこれを積極的に撹拌することにより安定よく均一状に噴霧供給できる。特に、例えばブライトストックなどのように粘度指数が低く(96程度)、動粘度が極めて高い潤滑油(500mm /s程度)を基油とした潤滑油を使用し、冬季における液温が例えば2℃といった低温であっても、潤滑油槽のみの加熱でノズルやピストン、シリンダへの加熱なしでもミスト化が可能となる。
さらに、ミスト噴射部が、ミスト発生器に連結されたミスト配管と、該ミスト配管に連結されかつパンチ金型の中心付近に配設されたクーラントラインと、該クーラントラインの先端で相対向するダイに向って開口するミスト噴射口とからなる構成とすれば、パンチの中心部や外周部或いはパンチを支持するパンチホルダーの内周面に形成されたミスト噴射孔からミスト油剤を金属素材の切断面に正面より直接的にミスト噴射してより正確に塗布することができる。これにより、その塗布されたミスト油剤により潤滑作用が一層効果的に発揮されて寸法精度を高め、金型寿命を延ばすことができるのでこのましい。
本発明に係るミスト給油装置を備えた冷間圧造成形機の概略平面図である。 冷間圧造成形機で成形する成形品の成形工程説明図である。 ミスト給油装置におけるミスト噴射部の説明図である。 ミスト噴射部の別の説明図である。 ミスト噴射部のさらに別の説明図である。
以下本発明の実施例を図に基づいて説明する。
まず、図1に示すように、本発明のミスト給油装置を備えた冷間圧造成形機1は、その機台2の所定位置にダイブロック3が備えられ、ダイブロック3に4個のダイ4〜4が一定の間隔で並設されている。一方、これらのダイ4〜4と対向して進退動するラム5の前面には上記ダイと同数のパンチ6〜6が配設されて、ラム5の進退動によりダイ4〜4とパンチ6〜6との間で金属素材Aが圧造成形される。その場合に、対向するダイ4〜4とパンチ6〜6との一対ごとがそれぞれ圧造ステーションを構成しているので、この圧造成形機1の場合は4つの圧造ステーションが設けられていることになり、上記金属素材Aはこれらの圧造ステーションを素材移送手段により順次移送されながら例えば図2の(イ)〜(ニ)に示すように粗から精に圧造成形されて最終成形品(製品)Xが形成されることになる。
また、機台2の一側には、冷間圧造線材aを圧造ステーション側に供給する素材供給部(図示せず)と、素材供給部より供給された冷間圧造線材aを所定寸法に切断するカッター7とが備えられている一方、機台2の前面上部には、該カッターにより所定寸法に切断された金属素材Aを各ダイ4〜4と各パンチ6〜6とにより構成される複数段の圧造ステーションに順次移送する複数のチャックをもつ素材移送用チャック機構(図示せず)が備えられている。
そして、以上のように構成する冷間圧造成形機には、次のミスト給油装置10が備えられている。
ミスト給油装置10は、図1に示すように潤滑油とエアーを混合してミスト油剤を発生させるミスト発生器11と、ラム5の移動位置を検出するラム位置検出器12と、ミスト発生器11で混合されたミスト油剤を重要な圧造部位に噴霧して塗布するミスト噴射部13と、ラム位置検出器12からの検出信号に基づき圧造前の所定タイミングに合わせて上記ミスト油剤をミスト噴射部13からごく微量噴霧させる制御部14とから構成される。
図に示すミスト発生器11には、潤滑油を溜める潤滑油槽15と、油剤の粘度や気温の影響を受けることなく安定した量のミスト油剤を供給できるように、潤滑油を70℃まで昇温可能な温度調節機能を有する加熱器などの温度調節手段16と、固形潤滑剤配合油剤でも安定よく均一状に噴霧供給できるように潤滑油槽15内における潤滑油を撹拌する撹拌機能を有する回転羽根付撹拌機などの撹拌手段17とが備えられている。温度調節手段16と撹拌手段17とを備えており、温度調節手段16により油剤の粘度や気温の影響を受けることなく安定した量のミスト油剤を供給できる温度調節機能を有すると共に、撹拌手段17により固形潤滑剤配合油剤でも安定よく均一状に噴霧供給できる撹拌機能を有している。
ここで、潤滑油を70℃まで昇温可能な温度調節機能を有する温度調節手段16を用いる理由を説明する。
通常のミスト発生器では、40℃の動粘度で50mm /s以下で粘度指数170程度が一般的である。粘度指数は温度に因る粘度の影響を示し、標準的なものが100であり、数値が高いものほど良好で低温での流動性と高温での粘性を保ちやすい。ミスト用潤滑油に高い粘度指数が要求される理由は、冬季など低温時に高粘度化し、ミスト化がしづらくなる為、粘度上昇をできるだけ抑えることが必要になること及び高温時に油膜を保持し、潤滑性を保たせることによる。
Figure 0006676247
金属切削加工では、潤滑油温度5℃では、スムーズなミスト化の為に潤滑油の加熱が必要となる。常温使用でのミスト化可能な限界粘度は10℃の208mm /sと考えられる。つまり、潤滑油を加熱することで、動粘度を208mm /sまで下げられれば、潤滑油として使用可能であることを意味する。
当然、潤滑油は昇温させれば温度に応じて動粘度は低下し、70℃まで加熱することを想定すると、粘度指数120のものであれば、動粘度208mm /sは40℃で1080mm /sと計算される。
しかし、ここまで高粘度な潤滑油では、ミスト噴射停止時にノズル内に残留したものは室温放置にて冷却されて高粘度化し、ミスト化の妨げとなる。また、加熱装置の小型化や就業時の昇温に要する時間の短縮も考慮する必要があり、潤滑油の熱に因る劣化の促進も抑制せねばならない。これらにより、潤滑油の動粘度は必然的に制約され、40℃における動粘度は500mm /s以下、昇温の実用範囲は70℃までが好ましい。
また、これであれば、例えブライトストックなど粘度指数が96程度と低くとも、40℃の動粘度極めて高い潤滑油(550mm2/s程度)を基油に使用した潤滑油であっても、下記の表2の通り、40℃の動粘度を500mm /s以下に抑えるならば、ミスト化可能粘度208mm2/sは60℃以下の加熱で得ることが可能となる。
40℃動粘度500mm /s、粘度指数91の潤滑油の各温度における粘度は下記の通りである。
Figure 0006676247
このように、ブライトストックなどのように粘度指数が低く(96程度)、動粘度が極めて高い潤滑油(500mm /s程度)を基油とした潤滑油を使用し、冬季における液温が例えば2℃といった低温であっても、潤滑油槽のみの加熱でノズルやピストン、シリンダへの加熱なしでもミスト化が可能となる。
なお、理想的には小型加熱器などの温度調節手段16にて速やかに昇温可能な40℃程度までの加熱とし、粘度指数も100以上であり、上記1の潤滑油における20℃動粘度121.2mm /sを40℃にて達成することが好ましい。
以上の点からミスト発生器11に用いる潤滑油として、引火点が250℃以上のポリオールエステル、原油残渣油から製造されるブライトストック、植物油脂及びその誘導体の一種以上を基油とし、硫黄系極圧剤、りん系極圧剤、脂肪酸の金属塩、スルホン酸の金属塩、二硫化モリブデン、有機モリブデン化合物、ジチオリン酸亜鉛の一種以上を配合してなり、40℃における動粘度が500mm /s以下、引火点200℃以上の加工用潤滑油(潤滑油)を使用する。
つまり、潤滑油のミスト化にあたり、低温流動性と高温潤滑性及び引火性の観点から、粘度指数が高く引火点的にも通常の潤滑油にない高い性能が要求される。そのため、必然的に基油は上記のものに限定され、配合される潤滑成分も循環方式より引火点の高いものが選定されねばならない。
具体的に基油について述べると、ポリオールエステルは、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと脂肪酸とのエステルで、熱分解性に優れ、温度変化による粘度変化を示す粘度指数が高いことで、低温流動性と高温での粘度の確保を行うことができる。
原油残渣油から得られるブライトストックは、動粘度が40℃にて500mm /s以下前後の高粘度な鉱物油で、粘度指数も96程度に留まるが、引火点は300℃以上と高く、コストも安い。循環方式では粘度の制約から使用が制限されるが、潤滑油の過熱装置を有することで実用可能となる。
植物油脂及びその誘導体における植物油は、不飽和脂肪酸が多く、流動性があり、引火点300℃以上、動粘度も40℃にて良好である。菜種油、大豆油、トウモロコシ油などが当てはまる。ただ、熱と空気中の酸素により固着重合し易い。これは油脂中の炭酸鎖に二重結合を多く有する不飽和脂肪酸、すなわち二重結合を3個有するリノレン酸や2個有するリノール酸が原因であり、二重結合に水素を付加(水素添加)させることで、二重結合が1個と少ないことで固着重合性が少ないオレイン酸へと変えることができる。
ただし、同時に二重結合を持たない飽和脂肪酸量も増加させてしまうので、流動性が低下することから、これを除去する処理(ウインタリング:低温析出処理)も行う。
次に、配合潤滑添加剤について述べると、従来の金属切削におけるセミドライ加工ではポリオールエステル主体もしくは、単体で使用され、粘度的には50mm /s以下、粘度指数は150以上が一般的である。しかし、より高い潤滑性能が求められる冷間圧造にあっては、潤滑添加剤の配合は必須となる。そこで、硫黄系極圧剤、りん系極圧剤、脂肪酸の金属塩、スルホン酸の金属塩、二硫化モリブデン、有機モリブデン化合物、ジチオリン酸亜鉛の一種以上を配合している。
何れも、圧造成形機の加工用潤滑添加剤として汎用されるものであるが、引火点は200℃以下のものが多く、特に硫黄系極圧剤との組み合わせでは添加物同士の反応も起こり、発生する低分子物質により引火点を更に引き下げることもあるので、本冷間圧造成形機での使用は、高温での加工を想定して、引火点を200℃以上に規定した。
一方、重要な圧造部位にミスト噴射するミスト噴射部13としては、図3に示すように一端がミスト発生器11に接続されたミスト配管18の他端部がパンチホルダー19の連通路19aを介してパンチ6の中心部に形成されたミスト噴射孔6aに連通連結されることにより形成されている。このようにパンチ6の中心部にミスト噴射孔6aを形成した場合には、冷間圧造線材aを所定寸法に切断した金属素材Aの切断面にピン穴加工などを施す際に、該ミスト噴射孔6aからピン穴加工を施す金属素材Aの切断面に向って直接にミスト噴霧してミスト油剤を効率よく塗布することができる。
また、ミスト噴射部13としては、上記のようにパンチの中心部にミスト噴射口を設けるものに何ら限定されるものではない。例えば図4或いは図5に示すようにパンチ6とこれを保持するパンチホルダー19との嵌合面にダイ側に向って開口するミスト噴射用溝6b或いは19aを設け、このミスト噴射用溝6b或いは19aから、パンチ外周や金属素材及びダイの成形孔などに向ってミスト油剤をごく微量噴霧供給するようにしてもよい。
さらには、図示していないがミスト発生器11に接続されたミスト配管18の先端にミスト噴射専用ノズル(図示せず)を別に取り付け、このミスト噴射専用ノズルをパンチ側又はダイ側の外部に適宜設置して、このミスト噴射専用ノズルにより外部からパンチ外周や金属素材及びダイの成形孔などに向ってミスト油剤をごく微量噴霧供給するようにしてもよい。
なお、以上のようなミスト噴射部13を形成する場合、既存の機械設備の配管やクーラントラインなどの配管ルートを適宜利用して噴霧供給するようにしてもよいこと勿論である。
次に、以上のように構成した冷間圧造成形機1におけるミスト給油装置10の作用について説明する。
上記の冷間圧造成形機1による圧造時、ラム5の移動位置を検出するラム位置検出器12からの検出信号が制御部14に入力されると、圧造前の所定タイミングに合わせてミスト発生器11で発生させたミスト油剤がミスト配管部13からごく微量圧造ステーションにおける重要な圧造部位、つまりダイ4とパンチ6と金属素材Aとの三者に直接噴霧供給され、その状態で圧造成形が行なわれる。これにより、従来の冷間圧造成形機のように、冷却と潤滑を行う目的で多量の潤滑油を圧造部全体に多量にかける方式のものに較べて、ごく微量のミスト油剤で冷却と潤滑を行うことができる。その結果、大幅なコスト削減と作業環境の改善を行うことができると共に、ミスト潤滑の場合、塗布量がごく微量のため、圧造時の寸法精度を悪くする油溜りの問題も解消することができる。その上、最終成形品に対する油剤の付着が抑えられるので、後工程への影響が少なく洗浄工程の簡略化が図れる。
また、ミスト潤滑の場合ごく微量のミスト油でまかなえるため、コスト面から容易に加工に最適な高級のミスト油を選んで使用することが可能となる。
たとえば、従来シャワー方式で使用していた従来油(粘度65、引火点185℃以上のもの)に代えて、低発煙に優れた低発煙ミスト油(粘度50、引火点290℃以上のもの)を用いて六角ハイテンションボルト(M20×65)の成形と、トリミング加工時の油煙発生と金型温度測定の検証試験を行ったところ、以下のような結果が得られた。
低発煙ミスト油を用いた場合、微量(20cc/時間)の給油にもかかわらず、従来油に較べて油煙の低減が目視により明確に確認できた。また、金型温度についても微量のミスト給油にも拘らず下記の表3の通り従来のシャワー給油と較べて大きな変化がなかった。
Figure 0006676247
一方、図2の(ハ)、(ニ)、(ホ)に示すように、冷間圧造線材を所定長さに切断した後、その切断面にピン穴加工などを行う成形については、切断面には伸線時の潤滑被膜が付着していないため、この切断面への潤滑油のみが寸法精度や金型寿命に極めて大きな影響を与えることになる。
そこで、この切断面へのピン穴加工時には、図3に示すミスト噴射部13を用い、パンチ6の中心部から金属線材Aの切断面に向って正面から直接的にミスト噴霧するのである。つまり、パンチ6の中心部に形成したミスト噴射孔6aや、その外周部或いはパンチ6を支持するパンチホルダー18の内周面に形成されたミスト噴射溝6b或いはミスト噴射溝18aからミスト油剤を金属素材Aの切断面に正面より直接的にミスト噴射してより正確に塗布するのである。これにより、正確に塗布されたミスト油剤により潤滑作用が一層効果的に発揮されて寸法精度を高め、金型寿命を延ばすことができる。
以上のように、ミスト潤滑の場合ごく微量の油剤でまかなえるため、コスト面から容易に加工に最適なミスト油剤を選んで使用することが可能になると共に、多段圧造工程のうち、ミスト油剤を必要とするそれぞれの工程に応じてミスト噴射の方向や塗布量などをフレキシブルに供給することも可能となり、より寸法精度の高い生産と共に、工具寿命の向上も図ることができる。
また、ミスト発生器は、潤滑油槽と温度調節手段と撹拌手段とを備えているので、潤滑油を70℃まで昇温可能な温度調節機能を有する温度調節手段により油剤の粘度や気温の影響を受けることなく安定した量のミスト油剤を供給できると共に、潤滑油槽の撹拌機能を有する撹拌手段により固形潤滑剤配合油剤を用いる場合でもこれを積極的に撹拌することにより安定よく均一状に噴霧供給できる。特に、ブライトストックなどのように粘度指数が低く(96程度)、動粘度が極めて高い潤滑油(500mm /s程度)を基油とした潤滑油を使用し、冬季における液温が例えば2℃といった低温であっても、潤滑油槽のみの加熱でノズルやピストン、シリンダへの加熱なしでもミスト化が可能となる。
さらに、ミスト発生器に用いる潤滑油として、引火点が250℃以上のポリオールエステル、原油残渣油から製造されるブライトストック、植物油脂及びその誘導体の一種以上を基油とし、硫黄系極圧剤、りん系極圧剤、脂肪酸の金属塩、スルホン酸の金属塩、二硫化モリブデン、有機モリブデン化合物、ジチオリン酸亜鉛の一種以上を配合してなり、40℃における動粘度が500mm /s以下、引火点200℃以上の加工用潤滑油を使用することにより、潤滑油のミスト化にあたり、低温流動性と高温潤滑性及び引火性の観点から、粘度指数が高く、引火点的にも通常の潤滑油にない高い性能が得られる。
なお、ミスト配管とクーラントラインとしては、新たなミスト配管を用いたり、新たなクーラントラインを形成するようにしたものであってもよいが、既存の機械設備における配管やクーラントラインなどを利用してもよい。
また、上記したミスト給油装置10を備えたうえで、必要に応じてダイブロック3におけるダイ4〜4周りに冷却媒体を供給する冷却機構(図示せず)を適宜並設してもよい。
上記した実施の形態では、すべての圧造ステーションにそれぞれミスト噴射部13を設けたものについて説明したけれども、必要な圧造ステーションにのみにミスト噴射部13を設けるようにしてもよい。
1 冷間圧造成形機
2 機台
3 ダイブロック
4 ダイ
5 ラム
6 パンチ
10 ミスト給油装置
11 ミスト発生器
12 ラム位置検出器
13 ミスト噴射部
14 制御部
15 潤滑油槽
16 温度調節手段
17 撹拌手段
A 金属素材
X 最終成形品

Claims (3)

  1. 機台の所定位置に並設された複数のダイと、これらのダイと対向して進退動するラムの前面にダイと同数のパンチが配設され、これらダイとパンチとからなる複数の圧造ステーションで所定寸法の素材が粗から精に順次圧造成形される圧造成形機において、潤滑油とエアーを混合してミスト油剤を発生させるミスト発生器と、ラムの移動位置を検出するラム位置検出器と、ミスト発生器で混合されたミスト油剤をダイとパンチと金属素材との三者に噴霧して塗布するミスト噴射部と、ラム位置検出器からの検出信号に基づき圧造前でかつダイとパンチと金属素材との三者に塗布可能なタイミングに合わせて上記ミスト油剤をミスト噴射部からごく微量噴霧させる制御部とからなるミスト給油装置を備えている一方ミスト発生器が、潤滑油を溜める潤滑油槽と、油剤の粘度や気温の影響を受けることなく安定した量のミスト油剤を供給できるように、潤滑油の昇温可能な温度調節機能を有する温度調節手段と、固形潤滑剤配合油剤でも安定よく均一状に噴霧供給できるように潤滑油槽内における潤滑油の撹拌機能を有する撹拌手段を具備していることを特徴とする冷間圧造成形機。
  2. ミスト噴射部が、ミスト発生器に連結されたミスト配管と、該ミスト配管に連結されかつパンチ金型の中心付近に配設されたクーラントラインと、該クーラントラインの先端で相対向するダイに向って開口するミスト噴射口とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の冷間圧造成形機。
  3. ミスト噴射部が、ミスト発生器に連結されたミスト配管と、該ミスト配管の先端に設けられたミスト噴射専用ノズルとから構成されていることを特徴とする請求項1記載の冷間圧造成形機。
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