JP6675639B2 - 地下水リチャージシステム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、筒状の中空管体と、中空管体内の中心部に設けられた筒状のフィルター部とを備えた目詰まり防止装置(リチャージシステム)が開示されている。この目詰まり防止装置では、中空管体の内周とフィルター部の外周との間に環状空間を形成し、環状空間内に、工事発生水、雨水や地下水等が含まれた排出水(地下水)を、環状空間に、接線方向から水平線に対して下方を向くような旋回流が起こるように導入する。遠心力と重力差とにより排出水中の重量の大きな異物は下方に落下するとともに、重量の小さい異物は上方に浮上し、かつ、フィルター部を透過することで、排出水中の固形分は濾過される。そうして、フィルター部の内周側から濾過後の処理水が取り出される。
なお、上述の所定値とは、注水井戸によって地盤内に注水した際に地盤の目詰まりを良好に防止し得る地下水中の酸化剤の残存許容量を示す酸化還元電位であるが、運用に当っては完全に酸化力を失わせる量である。
また、上述の構成によれば、第一酸化剤検知部及び第二酸化剤検知部の少なくとも一方によって地下水の酸化還元電位が検知され、還元剤添加装置にフィードバックされることにより、還元剤の過剰添加又は添加不足が抑えられ、地下水が効率良く、地盤内に注水した際に目詰まりを良好に防止し得る還元状態になる。
図1に示すように、地下水リチャージシステム11は、掘削工事等を行う現場に設置されるものであり、揚水井戸1によって、帯水層(地盤)S2内から揚水した地下水Wを注水井戸2へ導き、注水井戸2から帯水層(地盤)S3内に注水するリチャージ工法を行うためのシステムである。
従って、地下水リチャージシステム11の揚水井戸1では、井戸内の水位が揚水ポンプP1の吸水口Paよりも高く保たれている。また、地下水Wの酸化及び地下水W中の二価鉄の酸化をより確実に防止する観点から、揚水井戸1内には予め、ヘリウム、窒素、アルゴン等の不活性気体が封入されていることが好ましい。不活性気体は特に限定されないが、コスト等の点から、窒素が好適である。
従って、地下水リチャージシステム10において、地下水Wが注水井戸付近の地盤の目詰まりを充分且つ良好に防止し得る状態となるためには、地下水W中の三価鉄の濃度は少なくとも0.1mg/Lより小さく、好ましくは0.05mg/Lより小さく、より好ましくは、0.01mg/Lより小さいことが重要である。
図5(a)は、除去部20のバネ式ろ過器のバネ式フィルターにおける通常運転(リチャージ運転)時の様子を示す概略図であり、図5(b)は、バネ式フィルターの目詰まり成分を除去するための逆洗運転時の様子を示す概略図である。通常運転時は、図5(a)に示すように、SS成分や酸化金属を含む地下水Wがバネ式ろ過器に導入され、バネ式ろ過器の導出口から、ろ過された地下水Wが流出する。バネ式フィルターの自浄効果としては、図5(b)に示すように、バネ式フィルターにSS成分や、鉄及びマンガンをはじめとする酸化金属(即ち、三価鉄等)が目詰まりし、ろ過効率が所定の効率より落ちた時点で、除去部20のバネ式ろ過器の導出側に接続され、密閉された注水管8b(図1参照)等を介して逆洗用エアーが圧入されることでバネ式フィルターの内側から外側への圧力が自動的に付加及び制御される。これにより、所謂、逆洗が行われ、バネ式フィルターに捕捉された目詰まり成分は、濃縮液として図1に不図示の排水管等を介して回収及び廃棄可能とされている。
還元剤添加部14の還元剤添加装置15から供給される還元剤Reは、地下水Wを還元可能な物質を含むものであれば、特に限定されない。このような物質としては、例えばチオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、水硫化ナトリウム等が挙げられる。チオ硫酸ナトリウムは、観賞魚の脱塩素用材料として利用されるなど安全性が高い物質であるため、好適である。
制御部30を構成するものとしては、例えばコンピュータが挙げられるが、上述した機能を有していれば、特に限定されない。
即ち、制御部30は、制御プログラム等が内蔵されたコンピュータで構成されていることが好ましい。前述の制御プログラムは、コンピュータに、第二還元電位検知部27で検知された地下水Wの酸化還元電位を取り込む手順と、地下水Wの酸化還元電位が予め設定した閾値(所定値)以下であれば、ろ過水タンク32の導出口と通水管8Cとを連通状態にする手順と、地下水Wの酸化還元電位が閾値を超えていれば、ろ過水タンク32の導出口と通水管8Cとを非連通状態にする手順と、を実行させるように構成されていることが好ましい。
注水井戸2A,2Bは、還元状態の地下水Wを帯水層S3内に注水ための公知の注水設備(所謂、リチャージウェル)であり、具体的には、掘削領域Xの外に設置された井戸からなる。注水井戸2A,2Bには、地下水位以深の地盤(図1では、帯水層S3)内に埋設されたスクリーン2aが形成されており、スクリーン2aから注水井戸2A,2B内の地下水Wが流出して帯水層S3内に地下水Wが注入される。また、注水井戸2の上端には蓋が取り付けられており、蓋によって注水井戸2の上端は密閉されており、注水井戸2は密閉構造になっている。
上述した作用効果により、本実施形態の地下水リチャージシステム11は、従来、注水側の地盤や注水井戸に設けられたスクリーンやフィルターの目詰まりの頻度が高くなる地下水W、即ち、二価鉄を比較的多く含む地下水Wに対しても対応することができる。
また、本実施形態の地下水リチャージシステム11によれば、地下水Wに溶存している二価鉄の酸化及び析出を極力抑え、バネ式ろ過器の逆洗運転の頻度をより少なくし、逆洗運転に必要な費用(例えば、プレコート材、逆洗用動力、濃縮物処理等にかかる費用)を抑えることができる。即ち、従来の排水処理用のフィルター等を用いる地下水リチャージシステムに比べて、バネ式ろ過器を用いた地下水リチャージシステム11によって、ランニングコストを格段に抑えることができる。
2,2A,2B 注水井戸
11 地下水リチャージシステム
14 還元剤添加部
20 除去部
26 第一還元電位検知部
27 第二還元電位検知部
Re 還元剤
W 地下水
Claims (4)
- 揚水した地下水を地盤内へ注水するリチャージ工法を行うための地下水リチャージシステムであって、
前記地下水を揚水するための密閉された揚水井戸と、
前記揚水井戸から揚水された前記地下水を導入し、該地下水中に存在する浮遊物質成分及び酸化金属を除去する除去部と、
前記除去部で処理された前記地下水に該地下水の酸化還元電位が所定値以下になるまで還元剤を添加する還元剤添加部と、
前記還元剤が添加された前記地下水を前記地盤内へ注水するための注水井戸と、
を備え、
前記揚水井戸から揚水された前記地下水を密閉された通水管を介して前記注水井戸に導き、
前記還元剤添加部は、
前記除去部で処理された前記地下水に前記還元剤を添加する還元剤添加装置と、
前記還元剤添加装置によって前記還元剤が添加される前の前記地下水の酸化還元電位を検知し、検知した前記酸化還元電位を前記還元剤添加装置にフィードバックする第一還元電位検知部、及び、前記還元剤添加装置によって前記還元剤が添加された後の前記地下水の酸化還元電位を検知し、検知した前記酸化還元電位を前記還元剤添加装置にフィードバックする第二還元電位検知部の少なくとも何れか一方と、
を備え、
前記第一還元電位検知部及び前記第二還元電位検知部の少なくとも何れか一方からフィードバックされた情報に基づいて前記還元剤添加量を調節可能に構成されている地下水リチャージシステム。 - 前記所定値は、200mV以下である請求項1に記載の地下水リチャージシステム。
- 前記揚水井戸の水位は、前記地下水の揚水位置より高くなるように構成されている請求項1又は請求項2に記載の地下水リチャージシステム。
- 前記除去部は、バネ式ろ過器から構成されている請求項1から請求項3の何れか一項に記載の地下水リチャージシステム。
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