JP6674242B2 - 化粧料の肌への浸透感の評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧料の肌への浸透感の良否を評価する方法に関する。
化粧料の使用感の評価に、専門パネラーによる官能評価が専ら行われてきた。しかし、専門パネラー自体の養成に長期間を費やす場合が多く、また個々の評価結果の経験の蓄積は各パネラーに属しているので、客観的な数値化や一般化が容易でないという問題がある。この観点から、客観的に化粧品の評価を行える技術の開発が提案されている。
特許文献1には、化粧料の揮発成分を揮発させて、該評価サンプルの質量の経時変化を測定し、不揮発成分の質量に対する前記揮発成分の比率が所定の値であるときの該評価サンプルの乾燥速度を求め、その大小に基づき、化粧料の保湿性を判断する工程と、を含む化粧料の保湿性の評価方法が開示されている。
特許文献2には、ヒト疑似皮膚に対する化粧水の接触角を評価する工程と、 ヒト疑似皮膚に前記化粧水を塗布して、前記化粧水のしっとり感やなじみ感等の塗布状態を評価する工程を有することを特徴とする化粧水の評価方法が開示されている。
特開2014−219309号公報 特開2011−53068号公報
しかし、上記評価方法は、いずれも、客観的な評価方法を目的としたものであるが、測定が困難であったり、官能評価との相関が低かったりするという問題があった。また、近年、消費者の美意識や健康意識の高まりから、化粧料に対する要求特性、特に使用感に対する要求特性が高いものとなっている。その要求特性の中で、化粧料を肌にのせたときの感触に加えて、化粧料を肌に塗布しているときに化粧料が肌に浸透していく感覚は、化粧料の使用感に影響を及ぼす一因子として重要な因子である。しかしこれを客観的に評価する手法はこれまで提案されていない。
したがって本発明の課題は、パネラーを介さずに化粧料の使用感を客観的に評価する方法の改良にあり、更に詳細には、肌に化粧料をのせたあと、化粧料を伸ばしているときの化粧料が肌に浸透していく感覚の良否を評価し得る方法を提供することにある。
本発明は、化粧料の肌への浸透感の良否を、下記式(1)で示される粘度指数(1)の大小に基づき評価する、化粧料の肌への浸透感の評価方法を提供するものである。
粘度指数(1) =(η−η)/η(1)
粘度η:化粧料を、ずり速度を0からγに上昇させて得られるγにおける粘度。
粘度η:化粧料を、ずり速度を0からγまで上昇させ、次いで、ずり速度をγからγまで低下させて得られるγにおける粘度。
ここで、各ずり速度は次の範囲である。
γ(s−1):10−2≦γ≦1
γ(s−1):10−2≦γ≦1
γ(s−1):10≦γ≦3×10
本発明によれば、肌に塗布した後の化粧料が肌に浸透していく感覚の良否を客観的に、且つ高精度で評価することができる。
図1は、本発明の評価対象となる化粧料について測定された粘度−ずり速度曲線の一例を示すグラフである。 図2は、実施例で測定された官能評価の結果と、粘度指数(1)との関係をプロットしたグラフである。 図3は、実施例で測定された粘度指数(1)と、粘度指数(2)との関係をプロットしたグラフである。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明は、化粧料が肌に浸透していく感覚の良否を、パネラーを介さずに評価する方法に関するものである。本発明の評価方法の対象となる化粧料は、以下の説明のものである。
本発明の評価方法の対象となる化粧料とは、肌への浸透感に優れる化粧水又は乳液が好ましく、全処方成分に対して、水が55〜98質量%含まれることが好ましく、60〜96質量%含まれることがより好ましく、65〜95質量%含まれることが更に好ましい。また、肌への浸透感に優れる化粧水又は乳液を得る観点から、1,3ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが含まれることが好ましく、全処方成分に対して、1〜30質量%含まれることが好ましく、3〜25質量%含まれることがより好ましく、5〜20質量%含まれることが更に好ましい。同様の観点から、キサンタンガム等の多糖類や、アルキル変性されていてもよいカルボキシビニルポリマー等の水溶性高分子を含有することが好ましく、アルキル変性カルボキシビニルポリマーを含有することがより好ましく、0.001〜2質量%含まれることが好ましく、0.005〜0.7質量%含まれることがより好ましく、0.01〜0.5質量%含まれることが更に好ましく、0.015〜0.4質量%含まれることがさらにより好ましい。また、アスコルビン酸類を含有することが好ましく、特にアスコルビン酸が0.1〜5質量%含まれることがより好ましく、0.8〜4質量%含まれることが更に好ましい。
本発明の化粧料は、前記以外に、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、アニオン界面活剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、油剤、エタノール、防腐剤、酸化防止剤、色素、酸及びその塩、香料、紫外線吸収剤、多価アルコール、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、美白剤、抗炎症剤、皮膚賦活剤、感触向上剤などを含有することができる。これらの各剤は、各剤としての用途に限られず、目的に応じて他の用途、例えば、制汗剤を香料として使用することができる。
前記と同様の観点から、本発明の評価方法の対象となる化粧料は、25℃、ずり速度10−1での粘度が10−3Pa・s以上3×10−1Pa・s以下であることが好ましく、3×10−3Pa・s以上10−1Pa・s以下であることが更に好ましく、5×10−3Pa・s以上7×10−2Pa・s以下であることが一層好ましい。これらの粘度は、以下に述べる方法において、ずり速度を0から10−1に上昇させて得られる。
前記の化粧料を対象とした評価方法、すなわち化粧料の肌への浸透感の良否の評価方法において、「肌への浸透感」とは、肌に化粧料をのせたあと、化粧料を肌表面に伸ばしているときに、肌に入っていく感覚のことを言う。化粧料が肌に入っていく感覚とは、化粧料が実際に肌に浸透した現象が起きているか否かを問わず、肌に塗布された化粧料が液膜に変化することで、肌が柔らかくなった感覚や、肌が潤った感覚を使用者が受けることである。肌への浸透感の高い化粧料は、肌とのなじみが良好であり、塗布後に肌のしっとり感を使用者に与え、且つ肌のきしみ感やべたつき感を使用者に与えないという点で、使用感の高い化粧料となる。
本発明の評価方法の特徴の一つは、化粧料の「肌への浸透感」を客観的に測定できることであり、特に肌への浸透感に優れるとされる化粧水又は乳液の肌への浸透感を評価できる点にある。しかも、化粧水はその主成分が水であり、粘度が低いところ、本発明者は、あえて、その粘度特性を測定し、特定のずり速度の粘度を指標とすることで、肌への浸透感を客観的に測定できることを知見したものである。
本発明の評価方法においては、化粧料のレオロジー的な測定結果に基づき、該化粧料の肌への浸透感の良否を評価する。詳細には、対象となる化粧料について、ずり速度を0からずり速度γに上昇させて測定して得られる第1の粘度ηと、対象となる化粧料についてずり速度を0からずり速度γ(10−1≦γ≦3×10−1)まで上昇させて、続いて、ずり速度をγからγまで低下させて測定して得られる第2粘度ηを求める。γ(s−1)は10−2≦γ≦1であり、γ(s−1)は10−2≦γ≦1であり、γ(s−1)は10≦γ≦3×10である。より簡便的な方法としては、対象となる化粧料についてレオロジー的特性、すなわち、該化粧料の粘度−ずり速度曲線を求める。この粘度−ずり速度曲線は、最初にずり速度を低速度から高速度(γ)まで上昇させて測定して得られる第1粘度−ずり速度曲線Cを求め、続いて、高速度(γ)から、ずり速度を高速度から低速度まで低下させて測定して得られる第2粘度−ずり速度曲線Cを求める。前記第1の粘度ηは、前記第1粘度−ずり速度曲線Cにおける、ずり速度γの粘度として求められ、前記第2の粘度ηは、前記第2粘度−ずり速度曲線Cにおけるずり速度γの粘度として求められる。
本発明の評価方法において、再現性の高い測定結果を得る観点から、ずり速度γ及びγは、それぞれ独立に10−2−1以上1s−1以下であり、3×10−2−1以上7×10−1−1以下とすることが好ましく、4×10−2−1以上6×10−1−1以下とすることがより好ましく、5×10−2−1以上5×10−1以下とすることが一層好ましい。
また、同様の観点から、ずり速度γは、10−1以上3×10−1以下であり、3×10−1以上2.7×10−1以下とすることが好ましく、4×10−1以上2.5×10−1以下とすることがより好ましく、5×10−1以上2×10以下とすることが一層好ましい。
以下、レオロジー測定の一般的な方法である、粘度−ずり速度の関係を示すヒステリシスを得る方法により説明する。
第1粘度−ずり速度曲線C及び第2粘度−ずり速度曲線Cの測定には、回転型のレオメータを用いることができる。レオメータは、測定対象となる化粧料に歪み又は応力を加えることで、該化粧料のレオロジー的な特性が測定可能な機能を有する。レオメータには、レオロジー的特性を測定する試料を入れる測定セルを備えている。測定セルに測定試料をマウントし、試料に歪み又は応力を加えてレオロジー的特性の測定を行う。測定セルとしては、(i)円形の平行平板間に測定試料を配置するパラレルプレート型のセル、(ii)円形の平板と円錐形のコーンプレートとの間に測定試料を配置するコーンプレート型のセル、(iii)2つの同軸円筒の隙間に測定試料を配置する同心円筒(クエット)型のセルなどのタイプがある。本発明においてはこれらのセルを特に制限なく用いることができるが、コーンプレート型又はパラレルプレート型のセルを用いる方が、数ml程度の少量の測定試料で化粧料の肌への浸透感の良否を精度良く、且つ再現性よく評価できる。
コーンプレート型又はパラレルプレート型のセルでは、下部プレートと上部プレートとの間に測定試料を挟み込む形で試料をマウントして測定を行うが、上部プレートの測定試料と接する面(以下、「試料接触面」とも言う。)は粗化処理されたものを用いることが好ましい。粗化処理された試料接触面を有するプレートを備えたセルを用いることで、低歪み速度域のレオロジー測定を正確に行えるようになるので好ましい。
粗化の程度は、JIS B0601に規定される中心線表面粗さRaで表して、0.11〜10.00μm、特に0.12〜7.00μmであることが好ましい。プレートの試料接触面の粗化処理には例えばサンドブラスター処理などを用いることができる。
本発明において、中心線表面粗さRaの測定は、例えば表面粗さ測定機(surfcom−590A、東京精密社製)を用いて行った。測定子はメーカー型式0102501の円錐角90度の円錐ダイヤで、先端の曲率半径は5μmであった。測定条件は、測定長さ4.0mm、測定速度0.3mm/s、カットオフ波長0.8mmとした。
本発明においては、上述したレオメータを用いて、最初に第1粘度−ずり速度曲線Cを、続いて第2粘度−ずり速度曲線Cを測定する。第1粘度−ずり速度曲線Cと第2粘度−ずり速度曲線Cを測定するに際して順序を規定したのは、ずり流動の印加によって試料の静置時の構造が次第に破壊されていく状態に起因する粘性率を第1粘度−ずり速度曲線Cから知り、また、高ずりの印加によって壊された試料の構造及びそこからの構造回復過程の粘性率を第2粘度−ずり速度曲線Cから知るためである。なお、測定試料を測定セルにマウントする操作によって測定試料の構造は乱されるので、静置時の構造が回復するまで待った後に第1粘度−ずり速度曲線Cの測定を開始する必要がある。
レオロジー測定の温度及び相対湿度は、化粧料使用時の環境や皮膚温度を考慮すると、10℃以上35℃以下が好ましく、30%RH以上65%RH以下が好ましい。また、測定時にサンプルの乾燥が生じるものでは、乾燥防止の処理を施して測定する必要がある。
第1粘度−ずり速度曲線Cを求める場合には、ずり速度を0から高速度γまで上昇させる。第1粘度−ずり速度曲線Cの測定法は種々あるが、使用するレオメータの機差の影響をなくし、静置時間を除く実質の測定時間が比較的短くし、且つ、再現性の高い測定結果を得る観点から、測定開始のずり速度γL1は、10−4−1以上10−1−1以下とすることが好ましく、7×10−3−1以上3×10−1−1以下とすることが更に好ましく、5×10−3−1以上5×10−1−1以下とすることが一層好ましい。
一方、第1粘度−ずり速度曲線Cを求めるときの高ずり速度γは、目的とするデータを得つつ、且つ、再現性の高い測定結果を得る観点から、上述したとおりである。
第2粘度−ずり速度曲線Cを求める場合には、ずり速度を高速度γからずり速度が0になるまで低下させる。
粘度測定は、測定サンプルにずり流動を加えて行うため、測定プログラムにおける各測定点での計測時間とその時点でのずり速度の積分値が、試料が受ける全ずり歪み量となる。本発明に必要な粘度データを得るには、第1粘度−ずり速度曲線Cの測定中のずり速度1×10−2−1における試料が受ける全印加ずり歪は、7×10−2以上4×10−1以下の範囲にあることが好ましく、ずり速度1s−1における試料が受ける全印加ずり歪は8以上3×10以下の範囲であることが好ましい。
また、第1粘度−ずり速度曲線Cの測定中のずり速度1×10−1における試料が受ける全印加ずり歪は3×10以上6×10以下の範囲にあることが好ましい。
更に、第2粘度−ずり速度曲線Cの測定中のずり速度1×10−1における試料が受ける全印加ずり歪は1×10以上8.3×10以下の範囲にあることが好ましい。
また、第2粘度−ずり速度曲線Cの測定中のずり速度1s−1における試料が受ける全印加ずり歪は8.3×10以上8.58×10未満の範囲にあることが好ましく、ずり速度1×10−2−1における試料が受ける全印加ずり歪は8.58×10以上8.59×10未満の範囲にあることが好ましい。
図1には、このようにして求めた第1粘度−ずり速度曲線C及び第2粘度−ずり速度曲線Cのグラフの一例が示されている。
図1に示すグラフでは、第1粘度−ずり速度曲線Cと第2粘度−ずり速度曲線Cとの間にヒステリシスが観察される。このヒステリシスは特に低ずり速度の領域において顕著に観察される。本発明者の検討の結果、化粧料の肌への浸透感の良否は、このヒステリシスの程度と相関することが判明した。詳細には、ヒステリシスの程度が大きい化粧料ほど、肌への浸透感が良好であり、逆にヒステリシスの程度が小さい化粧料ほど、肌への浸透感が不良であることが、本発明者の検討の結果判明した。したがって、種々の化粧料について、このヒステリシスの程度を比較することで、それらの化粧料について肌への浸透感の良否を客観的に序列づけすることができる。
図1に示すグラフから明らかなとおり、ヒステリシスの程度を評価する場合には、第1粘度−ずり速度曲線Cと第2粘度−ずり速度曲線Cとの間でのヒステリシスが大きく観察される低ずり速度領域において、各曲線C,Cから得られる粘度の大小関係を比較することが好ましい。具体的には、所定のずり速度γにおける第1粘度−ずり速度曲線Cから得られる粘度をηとし、同ずり速度γにおける第2粘度−ずり速度曲線Cから得られる粘度をηとしたとき、粘度指数(1)を=(η−η)/ηと定義し、この粘度指数(1)の値の大小に基づき、化粧料の肌への浸透感の良否(程度)を評価することが好ましい。そして、粘度指数(1)の値が大きい化粧料ほど、肌への浸透感が良好であると判断し、逆に粘度指数(1)の値が小さい化粧料ほど、肌への浸透感が不良であると判断する。
なお、γとγは10−2以上1s−1以下の範囲にあれば、同じであっても異なってもよいが、ヒステリシスを過大評価せずに、化粧料のより正確な肌への浸透感を評価する観点から、γとγとは同じ値であることが好ましい。
前記の式で表される粘度指数(1)を求める場合のずり速度γ及びγは、上述したとおりである。
更に、本発明においては、粘度指数(1)に基づき、化粧料の肌への浸透感の良否を評価することに加え、第1粘度−ずり速度曲線Cのずり速度がγでの化粧料の粘度ηと、ずり速度がγでの該化粧料の粘度ηから求められる下記一般式(2)
粘度指数(2)=(η−η)/η(2)
で表される粘度指数(2)の大小に基づき、該化粧料の肌への浸透感の良否を評価することが、評価の精度が一層向上する点から好ましい。そして、粘度指数(2)の値が大きい化粧料ほど、肌への浸透感が良好であると判断し、逆に粘度指数(2)の値が小さい化粧料ほど、肌への浸透感が不良であると判断する。
後述する実施例において例証されるとおり、本発明においては、複数種類の化粧料について得られた肌への浸透感についての官能評価の結果と、本発明に従い測定された粘度指数(1)との間に一次の高い相関関係がある。したがって、この相関関係を予め求めておけば、官能評価を行っていない化粧料について、本発明の評価方法を適用することで、その評価結果から肌への浸透感の良否を予測することができる。つまりパネラーを介さずに、化粧料の肌への浸透感の良否を客観的に評価することができる。したがって本発明の評価方法は、新たな化粧料の設計や、既存の化粧料についてのパネラーを介さない評価に非常に適したものとなる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
以下の表1に示す7種類の化粧水を調製した(化粧水1〜7)。これらの化粧水と市販の化粧水(化粧水8)について、レオロジー的特性の測定を行った。測定には化粧水や乳液のずり速度10−4〜3×10−1での範囲での粘性率のずり速度依存性が精度よく、且つ、安定して測定できるレオメータを用いることが必要である。更に、試料の静置時の構造及び高ずり速度の印加による静置構造の破壊とそこからの回復挙動が観察できるような測定プログラムが組める機種が必要になる。これら条件を満たすレオメータとして、例えば、アントンパール社の回転型レオメータであるMCR30XシリーズやMCR50Xシリーズ(ここで、X=0、1、2)があるが、同様な性能を有するレオメータであればこの限りではない。
実施例の測定には、レオメータとしてMCR300を、測定セルには、試料接触面にサンドブラスト処理を施した直径75mm、円錐角1°のコーンプレートを用いた。試料接触面の中心線表面粗さRaは3.38μmであった。測定条件は以下のとおりである。
測定は25℃で行った。測定試料をセルにセット後、50分間静置した。その後、以下の第1ターム及び第2タームの操作を行い、第1粘度−ずり速度曲線C、及び第2粘度−ずり速度曲線Cを得た。
<第1ターム>ずり速度:γL1=10−4[s−1]〜γ=10[s−1]、サンプリング時間:30[s]〜2[s]、測定点はずり速度とサンプリング時間をそれぞれ対数分割で22点に等分割した点として測定。
<第2ターム>ずり速度:γ=10[s−1]〜γL2=10−3[s−1]、サンプリング時間:2[s]〜30[s]、測定点はずり速度とサンプリング時間をそれぞれ対数分割で19点に等分割して点として測定。
得られた第1粘度−ずり速度曲線C、及び第2粘度−ずり速度曲線Cに基づき、各化粧水について粘度指数(1)、及び粘度指数(2)を求めた。その結果を以下の表1に示す。
粘度指数(1)は、粘度指数(1)=(η−η)/ηから算出した。式中、ηは、第1粘度−ずり速度曲線Cにおけるずり速度γでの粘度を表し、ηは、第2粘度−ずり速度曲線Cにおけるずり速度γ(=γ)での粘度を表す。
粘度指数(2)は、粘度指数(2)=(η−η)/ηから算出した。式中、ηは、第1粘度−ずり速度曲線Cにおけるずり速度γでの粘度を表し、式中、ηは、第1粘度−ずり速度曲線Cにおけるずり速度γでの粘度を表す。
以上の操作とは別に、前記の8種類の化粧水について、肌への浸透感の良否の評価を、官能評価を行うようにトレーニングを受けた専門評価者3名に行わせた。評価の方法は以下のとおりである。
<化粧水の肌への浸透感の良否の評価方法>
専門パネラー3名により、洗浄後の前腕屈側部に各化粧水0.06gを適用し、人差し指、中指の2本の指で1秒間に1回転、直径約4cmの円を描くように20秒間マッサージした。化粧料が浸透した感じについて明らかに浸透感が感じられると判断した場合を5、明らかに浸透感が感じられないと判断した場合を1と評価し、3人の平均点で示した。
このようにして得られた官能評価の結果と、先に求めた粘度指数(1)との関係をプロットしたグラフを図2に示す。また図3には、粘度指数(1)と、粘度指数(2)との関係をプロットしたグラフを示す。図3中、プロットの近傍に記入してある数値は、官能評価の結果を表す値である。
図2に示す結果から明らかなとおり、本発明に従い求められた粘度指数(1)は、官能評価と高い相関関係にあることが判る。この結果から、粘度指数(1)と官能評価との関係が予め判れば、官能評価を行っていない化粧料について、当該関係に基づき肌への浸透感を予測可能なことが判る。
また図3に示すとおり、粘度指数(1)と、粘度指数(2)との間に高い相関関係があることが判る。したがって、粘度指数(1)に粘度指数(2)を加重することで、官能評価との相関関係が一層高くなることが判る。

Claims (4)

  1. 化粧料の肌への浸透感の良否を、下記式(1)で示される粘度指数(1)の大小に基づき評価する、化粧料の肌への浸透感の評価方法。
    粘度指数(1) =(η−η)/η(1)
    粘度η:化粧料を、ずり速度を0からγに上昇させて得られるγにおける粘度。
    粘度η:化粧料を、ずり速度を0からγまで上昇させ、次いで、ずり速度をγからγまで低下させて得られるγにおける粘度。
    ここで、各ずり速度は次の範囲に含まれる、次の範囲の中の1点である。
    γ(s−1):10−2≦γ≦1
    γ(s−1):10−2≦γ≦1
    γ(s−1):10≦γ≦3×10
  2. 更に、下記式(2)で示される粘度指数(2)の大小に基づき、化粧の肌への浸透感の良否を評価する、請求項1に記載の化粧料の肌への浸透感の評価方法。
    粘度指数(2)=(η−η)/η(2)
    粘度η:化粧料を、ずり速度を0からγに上昇させて得られるγにおける粘度。
  3. 粘度指数(1)が大きい化粧料ほど、肌への浸透感が良好であると評価する請求項1又は2に記載の化粧料の肌への浸透感の評価方法。
  4. 粘度指数(2)が大きい化粧料ほど、肌への浸透感が良好であると評価する請求項2に記載の化粧料の肌への浸透感の評価方法。
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